JP3830165B2 - D−パントラクトン加水分解酵素およびそれをコードする遺伝子 - Google Patents

D−パントラクトン加水分解酵素およびそれをコードする遺伝子 Download PDF

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Description

技術分野
本発明はD,L−パントラクトンのD−選択的不斉加水分解による光学分割に有用な新規な酵素およびそれをコードする遺伝子に関するものである。特に本発明は、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)由来の天然のD−パントラクトン加水分解酵素またはそれと実質的に同等な活性を有するタンパク質およびそれをコードする遺伝子に関するものであり、さらに詳しくは、本発明は該タンパク質をコードする塩基配列を含有するDNA,該DNAで形質転換せしめた宿主細胞、該宿主細胞を用いる該D−パントラクトン加水分解酵素の製造方法、さらにはそれらタンパク質および宿主細胞の用途に関するものである。
背景技術
D−パントラクトンは医学上または生理学上重要なビタミンとして有用なD−パントテン酸やパンテチンの製造における中間体として知られている。従来、D−パントラクトンは化学的に合成されたD,L−パントラクトンを光学分割することにより製造されている。しかしながら、この方法は、キニーネ、ブルシン等の高価な分割剤を必要とするものであり、D−パントラクトンの回収も容易でない等の欠点を有している。このような問題点を解決するため本発明者らはD,L−パントラクトンの酵素的不斉加水分解による光学分割法を特開平3−65198号および特開平4−144681号各公報に提示した。
すなわち、フサリウム属、シリンドロカルポン属、ジベレラ属、アスペルジラス属、ペニシリウム属、リゾプス属、ボルテラ属、グリオクラディウム属、ユーロティウム属、ネクトリア属、シゾフィラム属、ミロセシウム属、ノイロスポラ属、アクリモニウム属、ツベルクリナ属、アブシジア属、スポロスリクス属、バーティシリウム属またはアルスロダーマ属に属する微生物より選ばれたラクトン加水分解能を有する微生物を用いてD,L−パントラクトン中のD−体を選択的に不斉加水分解せしめることにより、D−パントイン酸を生成せしめ、そのD−パントイン酸を分離し、D−パントラクトンに変換することを特徴とするD−パントラクトンの製造法および上記した属に属する微生物によるD−パントラクトン加水分解酵素の製造法である。
しかし、これらの開示されている微生物の多くが直ちに工業的に利用可能なほどの加水分解活性を有しているとは必ずしもいえず、当該微生物がもつ酵素活性を工業可能なレベルまでに上昇させるためには、培養条件や活性誘導条件等について長時間を要する煩雑で難しい検討が必要とされる。またこれらの当該微生物は真菌であるため、菌体が様々な形態をもつ菌糸状を呈し、単一な形態を有する細菌などに比べ、工業的生産に有利な固定化菌体の調製がかなり難しいという問題がある。さらに酵素を菌体から精製する際にも、D−パントラクトン加水分解酵素に関してはかなり回収率が悪いなどの問題がある。
発明の開示
本発明はこれらの問題点を解決し、さらにD−パントラクトン加水分解酵素そのものの改変により酵素活性の飛躍的な上昇を可能ならしめることを目的とする。すなわち、本発明は天然のD−パントラクトン加水分解酵素、例えば、フサリウム・オキシスポルム由来の天然のD−パントラクトン加水分解酵素またはそれと実質的に同等な活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を明らかにし、該タンパク質をコードする塩基配列を含有するDNAで形質転換せしめた宿主細胞、該宿主細胞を用いる該タンパク質の製造方法、さらにはそれらタンパク質および宿主細胞の用途等を提供することにある。
本発明者らは、上記ラクトン加水分解能を有する微生物からD−パントラクトン加水分解酵素をコードする遺伝子を単離し、こうして単離したD−パントラクトン加水分解酵素遺伝子を利用して、効率よく且つより生産性に優れたD−パントラクトン生産システムを開発すれば、上記様々な問題点が解決できるだけでなく、更にはより新しい機能をも併せ持つラクトン加水分解能をもつところの酵素の開発及びそれを使用した技術の開発にも資するところが多いと考え、特にはD−パントラクトン加水分解酵素を産生するフサリウム属微生物、例えば、フサリウム・オキシスポルムからそれ由来のD−パントラクトン加水分解活性を有する加水分解酵素をコードする新規な遺伝子を単離することに成功し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、天然のD−パントラクトン加水分解酵素またはそれと実質的に同等な活性を有するか、あるいは実質的に同等の一次コンフォメーションを持つタンパク質またはその塩、そのタンパク質の特徴的な部分ペプチドまたはその塩、それらをコードする遺伝子、例えばDNA、RNAなど、その遺伝子を遺伝子組換え技術で操作することが可能なように含有しているベクターあるいはプラスミド、こうしたベクターなどで形質転換された宿主細胞、その宿主細胞を、培養して該タンパク質またはその塩などを製造する方法、さらにこうして遺伝子操作された宿主細胞や組換えタンパク質またはその塩などを用いて、D、L−パントラクトンの光学分割を行いD−パントラクトンを合成する方法及び固定化酵素などといったD−パントラクトン生産システム手段に関する。
好ましくは、本発明では、配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸配列またはそれと実質的に同等のアミノ酸配列を有することを特徴とするD−パントラクトン加水分解酵素またはその塩が挙げられる。
特に本発明は、
(1)天然のD−パントラクトン加水分解酵素またはそれと実質的に同等な活性を有するか、あるいは実質的に同等の一次コンフォメーションを持つものであることを特徴とするタンパク質またはその塩、
(2)該天然のD−パントラクトン加水分解酵素がフサリウム属、シリンドロカルポン属、ジベレラ属、アスペルジラス属、ペニシリウム属、リゾプス属、ボルテラ属、グリオクラディウム属、ユーロティウム属、ネクトリア属、シゾフィラム属、ミロセシウム属、ノイロスポラ属、アクリモニウム属、ツベルクリナ属、アブシジア属、スポロスリクス属、バーティシリウム属またはアルスロダーマ属に属する微生物由来のものであることを特徴とする上記第(1)項記載のタンパク質、
(3)該天然のD−パントラクトン加水分解酵素がフサリウム属由来のものであることを特徴とする上記第(1)項記載のタンパク質、
(4)配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸配列またはそれと実質的に同等のアミノ酸配列を有するD−パントラクトン加水分解酵素またはその塩であることを特徴とする上記第(1)〜(3)項のいずれか一記載のタンパク質、
(5)外因性DNA配列を原核生物において発現して得たものであることを特徴とする上記第(1)〜(4)項のいずれか一記載のタンパク質、
(6)配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸配列またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列を有することを特徴とする上記第(1)〜(5)項のいずれか一記載のタンパク質、
(7)上記第(1)〜(6)項のいずれか一記載のタンパク質の部分ペプチドまたはその塩、
(8)上記第(1)〜(7)項のいずれか一記載のタンパク質またはその部分ペプチドをコードする塩基配列を有することを特徴とする核酸、
(9)配列表の配列番号:2で表される塩基配列のうちオープン・リーディング・フレーム部分またはそれと実質的に同等な活性を有する塩基配列を有することを特徴とする上記第(8)項記載の核酸、
(10)上記第(8)又は(9)項記載の核酸を含有することを特徴とするベクター、
(11)上記第(10)項記載のベクターを保有することを特徴とする形質転換体、
(12)上記第(11)項記載の形質転換体を増殖可能な栄養培地中で培養し、組換えタンパク質としてD−パントラクトン加水分解酵素またはその塩を包含する上記第(1)〜(7)項のいずれか一記載のタンパク質又はその部分ペプチドを生成せしめることを特徴とするD−パントラクトン加水分解酵素またはその塩を包含する上記第(1)〜(7)項のいずれか一記載のタンパク質又はその部分ペプチドの製造方法、及び
(13)上記第(1)〜(7)項のいずれか一記載のタンパク質またはその部分ペプチドまたは上記第(11)項記載の形質転換体を用いてのD、L−パントラクトンの光学分割によるD−パントラクトンの製造法を提供する。
より具体的には、本発明は配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有することを特徴とするD−パントラクトン加水分解酵素またはその塩を提供する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、D−パントラクトン加水分解酵素の消化ペプチドの解析により得られたアミノ酸配列を示す。
第2図は、D−パントラクトン加水分解酵素の消化ペプチドのcDNAアミノ酸配列に対応する部位を示す。
第3図は、D−パントラクトン加水分解酵素のゲノムDNAを鋳型としたPCRに用いたプライマー構造を示す。
第4図は、D−パントラクトン加水分解酵素発現ベクター構築に用いたPCRに使用したプライマーの構造を示す。
第5図は、D−パントラクトン加水分解酵素のアミノ酸配列とそれをコードする塩基配列を示す。
発明を実施するための最良の形態
本発明では、天然のD−パントラクトン加水分解酵素、例えば、フサリウム・オキシスポルム由来の天然のD−パントラクトン加水分解酵素またはそれと実質的に同等な活性を有するタンパク質をコードする遺伝子のクローニング、同定、そして特徴的な配列の決定(シークエンシング)、該遺伝子の発現ベクターへの組換えなどの操作、該タンパク質をコードする塩基配列を含有するDNAを用いての形質転換せしめた宿主細胞の作成及び培養・増殖、該宿主細胞を用いる該タンパク質の製造、さらにはそれらタンパク質および宿主細胞の用途等が提供され、それらは以下順次詳しく解説される。また本発明では上記D−パントラクトン加水分解酵素をコードする遺伝子を利用する各種の手段が提供され、さらにこうして単離したD−パントラクトン加水分解酵素遺伝子を利用して、効率よく且つより生産性に優れたD−パントラクトン生産システムが提供される。
本発明では、天然のD−パントラクトン加水分解酵素またはそれと実質的に同等な活性を有するか、あるいは実質的に同等の一次コンフォメーションを持つタンパク質またはその塩、そのタンパク質の特徴的な部分ペプチドまたはその塩、それらをコードする遺伝子、例えばDNA、RNAなど、その遺伝子を遺伝子組換え技術で操作することが可能なように含有しているベクターあるいはプラスミド、こうしたベクターなどで形質転換された宿主細胞、その宿主細胞を、培養して該タンパク質またはその塩などを製造する方法、さらにこうして遺伝子操作された宿主細胞や組換えタンパク質またはその塩などを用いて、D、L−パントラクトンの光学分割を行いD−パントラクトンを合成する方法及び固定化酵素などといったD−パントラクトン生産システム手段が提供されている。
本発明では、好ましくは、配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸配列あるいはそれと実質的に同等のアミノ酸配列を有することを特徴とするD−パントラクトン加水分解酵素またはその塩が具体的に説明されているが、本発明のD−パントラクトン加水分解酵素としては、D−パントラクトン加水分解能をもつ新規なアミノ酸配列を有するものであればよい。D−パントラクトン加水分解能としてはその活性が同質のものであればよい。より好ましくは本発明のD−パントラクトン加水分解酵素は、配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸配列またはそれと実質的に同等及び/又は同一のアミノ酸配列を有するものがすべて挙げられる。
本発明のD−パントラクトン加水分解酵素遺伝子は、例えば次の方法でクローニングできる。なお、遺伝子組換え技術は、例えば
T. Maniatis et al.,“Molecular Cloning”, 2nd Ed., Cold Sping Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N. T.(1989);
日本生化学会編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法II」、東京化学同人(1986);日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核酸III(組換えDNA技術)」、東京化学同人(1992);
R. Wu ed., “Methods in Enzymology”, Vol. 68, Academic Press, New York(1980);R. Wu et al. ed., “Methods in Enzymology”, Vol. 100 & 101, Academic Press, New York(1983);R. Wu et al. ed., “Methods in Enzymology”, Vol. 153, 154 & 155, Academic Press, New York(1987)などに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法あるいはそれらと実質的に同様な方法や改変法により行うことができる。それらの手法は、本発明の目的に合わせて公知の手法に独自の改変改良を加えたものであることもできる。
1)D−パントラクトン加水分解酵素の部分ゲノムDNAのクローニング
培養し、得られたフサリウム・オキシスポルムの菌体を破砕し、常法により染色体DNAを遠心分離後、RNAを分解除去し、除タンパク操作をおこなって、DNA成分を精製する。これらの操作については「植物バイオテクノロジー実験マニュアル:農村文化社、252頁」を参照されたい。またフサリウム属に属するD−パントラクトン加水分解酵素産生能をもつ微生物であれば、DNA源として好適に用いることが出来る。フサリウム属微生物としては、例えば、フサリウム・オキシスポルム IFO 5942、フサリウム・セミテクタム IFO 30200などを用いることが出来る。
同様にシリンドロカルポン属、ジベレラ属、アスペルジラス属、ペニシリウム属、リゾプス属、ボルテラ属、グリオクラディウム属、ユーロティウム属、ネクトリア属、シゾフィラム属、ミロセシウム属、ノイロスポラ属、アクリモニウム属、ツベルクリナ属、アブシジア属、スポロスリクス属、バーティシリウム属またはアルスロダーマ属に属する微生物であり、D−パントラクトン加水分解酵素産生能をもつ微生物もDNA源として用いることが出来よう。こうした微生物としては、例えば、シリンドロカルポン・トンキネンス IFO 30561、ジベレラ・フジクロイ IFO 6349、アスペルジラス・アワモリ IFO 4033、ペニシリウム クリソゲナム IFO 4626、リゾプス・オリザエ IFO 4706、ボルテラ・ブクシ IFO 6003、グリオクラディウム・カテヌラタム IFO 6121、ユーロティウム・シエバリエリ IFO 4334、ネクトリア・エレガンス IFO 7187、シゾフィラム・コムネ IFO 4928、ミロセシウム・ロリダム IFO 9531、ノイロスポラ・クラツサ IFO 6067、アクリモニウム・フシデイオイデス IFO 6813、ツベルクリナ・ペルシシナ IFO 6464、アブシジア・リヒセイミ IFO 4009、スポロスリクス・シエンキ IFO 5983、バーティシリウム・マルトウセイ IFO 6624またはアルスロダーマ・ウンシナトウム IFO 7865などが挙げられる。ここで「IFO」は財団法人醗酵研究所〔(郵便番号532)大阪市淀川区十三本町二丁目17番85号〕を示し、そこに記載の番号は財団法人発酵研究所のカタログ番号を示すものである。
2)プローブの作製
D−パントラクトン加水分解酵素の内部ペプチドのアミノ酸情報に基づいて合成オリゴヌクレオチドプライマーを作製する。例えば、上記微生物であり、D−パントラクトン加水分解酵素産生能をもつ微生物から得られた精製D−パントラクトン加水分解酵素の内部ペプチドのアミノ酸情報に基づいて合成オリゴヌクレオチドプライマーを作製することができる。典型的な場合、アミノ酸配列を基に、デジェネレイテッド・プライマーなどを作製する。プライマーの作製は、当該分野で知られた方法で行うことができ、例えばDNA自動合成装置を用い、フォスフォジエステル法、フォスフォトリエステル法、フォスフォアミダイト法などにより合成できる。具体的にはフサリウム・オキシスポルム IFO 5942を栄養培地中で培養して得られた菌体からD−パントラクトン加水分解酵素を精製し、必要に応じペプチド加水分解酵素などで断片化し、その酵素の内部ペプチドのアミノ酸配列の情報を収集する。こうして得られたアミノ酸配列の情報より好ましい合成オリゴヌクレオチドプライマーを作製する。このプライマーを用い、D−パントラクトン加水分解酵素のゲノムDNAを鋳型にしてPCRをおこなう。PCR反応は、当該分野で公知の方法あるいはそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことができるが、例えばR. Saiki, et al., Science, Vol. 230, pp. 1350(1985);R. Saiki, et al., Science, Vol. 239, pp. 487(1988);Henry A. Erlich, PCR Technology, Stockton Pressなどに記載された方法に従って行うことができる。反応は、例えば、市販のキットや試薬を利用して行うことが出来る。
得られた増幅DNA断片をシークエンスし、精製酵素の内部ペプチドのアミノ酸配列と相同な配列を含むことを確認し、それをアイソトープで標識しプローブとしてその後の実験などに使用する。塩基配列の決定は、ダイデオキシ法、例えばM13ダイデオキシ法など、Maxam-Gilbert法などを用いて行うことができるが、市販のシークエンシングキット、例えばTaqダイプライマーサイクルシークエンシングキットなどを用いたり、自動塩基配列決定装置、例えば蛍光DNAシーケンサー装置などを用いて行うことが出来る。プローブなどを放射性同位体などによって標識するには、市販の標識キット、例えばランダムプライムドDNAラベリングキット(Boehringer Mannhaim)などを使用して行うことが出来る。
3)D−パントラクトン加水分解酵素cDNAのクローニング
a)mRNAの調製およびcDNAライブラリーの作製
培養し、得られたフサリウム・オキシスポルムの菌体を破砕し、AGPC法に従って全RNAを抽出し、ここから適当な方法、例えばオリゴdTセルロースカラムを用いてmRNAを精製する。典型的にはmRNAの単離は、当該分野で公知の方法あるいはそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことができるが、T. Maniatis et al.,“Molecular Cloning”, 2nd Ed., Chapter 7, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N. T.(1989);L. Grossman et al. ed., “Methods in Enzymology”, Vol. 12, Part A & B, Academic Press, New York(1968);S. L. Berger et al. ed., “Methods in Enzymology”, Vol. 152, p.33 & p.215, Academic Press, New York(1987);Biochemistry, 18, 5294-5299, 1979などに記載の方法、例えばグアニジン−塩化セシウム法、チオシアン酸グアニジン法、フェノール法などの方法で行うことが出来る。必要に応じ、得られた全RNAはオリゴ(dT)−セルロースカラムなどを使用して精製してポリ(A) mRNAを得ることが出来る。またフサリウム属に属するD−パントラクトン加水分解酵素産生能をもつ微生物であれば、mRNA源として好適に用いることが出来る。フサリウム属微生物としては、例えば、フサリウム・オキシスポルム IFO 5942、フサリウム・セミテクタム IFO 30200などを用いることが出来る。
同様にシリンドロカルポン属、ジベレラ属、アスペルジラス属、ペニシリウム属、リゾプス属、ボルテラ属、グリオクラディウム属、ユーロティウム属、ネクトリア属、シゾフィラム属、ミロセシウム属、ノイロスポラ属、アクリモニウム属、ツベルクリナ属、アブシジア属、スポロスリクス属、バーティシリウム属またはアルスロダーマ属に属する微生物であり、D−パントラクトン加水分解酵素産生能をもつ微生物もmRNA源として用いることが出来よう。こうした微生物としては、例えば、シリンドロカルポン・トンキネンス IFO 30561、ジベレラ・フジクロイ IFO 6349、アスペルジラス・アワモリ IFO 4033、ペニシリウム クリソゲナム IFO 4626、リゾプス・オリザエ IFO 4706、ボルテラ・ブクシ IFO 6003、グリオクラディウム・カテヌラタム IFO 6121、ユーロティウム・シエバリエリ IFO 4334、ネクトリア・エレガンス IFO 7187、シゾフィラム・コムネ IFO 4928、ミロセシウム・ロリダム IFO 9531、ノイロスポラ・クラツサ IFO 6067、アクリモニウム・フシデイオイデス IFO 6813、ツベルクリナ・ペルシシナ IFO 6464、アブシジア・リヒセイミ IFO 4009、スポロスリクス・シエンキ IFO 5983、バーティシリウム・マルトウセイ IFO 6624またはアルスロダーマ・ウンシナトウム IFO 7865などが挙げられる。
得られたmRNAを鋳型として逆転写酵素(リバース・トランスクリプターゼ)などを用いてcDNAを合成する。mRNA及び逆転写酵素を用いてのcDNA合成は当該分野で公知の方法あるいはそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことができるが、H. Land et al., “Nucleic Acids Res.”, Vol. 9, 2251(1981);U. Gubler et al., “Gene”, Vol. 25, 263-269(1983);S. L. Berger et al. ed., “Methods in Enzymology”, Vol. 152, p.307, Academic Press, New York(1987)などに記載の方法が挙げられる。こうして得られたcDNAはこれを市販のファージベクターに挿入し、さらに常法によりパッケージングする。こうして作製されたcDNAを基にcDNAライブラリーを構築できる。
b) D−パントラクトン加水分解酵素cDNAのクローニング
宿主細胞に上記パッケージングしたcDNAライブラリーを感染させ、プラークハイブリダイゼーションによりポジティブ・プラークを得る。得られたクローンをシークエンスし、アミノ酸配列を検討することにより、D−パントラクトン加水分解酵素遺伝子がクローニングされることが確認できる。またファージベクターを使用する以外で、大腸菌などの宿主細胞の形質転換をするには、例えばカルシウム法、ルビジウム/カルシウム法など当該分野で知られた方法あるいはそれと実質的に同様な方法で行うことができる(D. Hanahan, J. Mol. Biol., Vol. 166, p.557(1983)など)。
作製されたcDNAを鋳型にPCR増幅反応を行うこともできる。典型的な場合、上記2)で得られたプライマーを使用することが出来る。
D−パントラクトン加水分解酵素遺伝子を組込むプラスミドとしては遺伝子工学的に常用される宿主細胞(例えば、大腸菌、枯草菌等の原核細胞宿主、酵母、等の真核細胞宿主)中で該DNAが発現できるプラスミドであればどのようなプラスミドでもよい。こうした配列内には、例えば選択した宿主細胞で発現するのに好適なコドンを導入することや、制限酵素部位を設けることも可能である。また、目的とする遺伝子の発現を容易にするための制御配列、促進配列など、目的とする遺伝子を結合するのに役立つリンカー、アダプターなど、さらには抗生物質耐性などを制御したり、代謝を制御したりし、選別などに有用な配列等を含ませることが可能である。
好ましくは、適当なプロモーター、例えば大腸菌を宿主とするプラスミドでは、トリプトファン(trp)プロモーター、ラクトース(lac)プロモーター、トリプトファン・ラクトース(tac)プロモーター、リポプロテイン(lpp)プロモーター、λファージPLプロモーター等を、酵母を宿主とするプラスミドでは、GAL1、GAL10プロモーター等を使用し得る。
大腸菌を宿主とするプラスミドとしては、例えばpBR322、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119、pSP64、pSP65、pTZ−18R/−18U、pTZ−19R/−19U、pGEM−3、pGEM−4、pGEM−3Z、pGEM−4Z、pGEM−5Zf(−)、pBluescript KSTM(Stratagene)などが挙げられる。大腸菌での発現に適したプラスミドベクターとしては、pAS、pKK223(Pharmacia)、pMC1403、pMC931、pKC30なども挙げられる。酵母を宿主とするプラスミドとしては、YIp型ベクター、YEp型ベクター、YRp型ベクター、YCp型ベクターなどが挙げられ、例えばpGPD−2などが挙げられる。宿主細胞としては、宿主細胞が大腸菌の場合、例えば大腸菌K12株に由来するものが挙げられ、例えばNM533 XL1−Blue、C600、DH1、HB101、JM109などが挙げられる。
本発明の遺伝子工学的手法においては、当該分野で知られたあるいは汎用されている制限酵素、逆転写酵素、DNA断片をクローン化するのに適した構造に修飾したりあるいは変換するための酵素であるDNA修飾・分解酵素、DNAポリメラーゼ、末端ヌクレオチジルトランスフェラーゼ、DNAリガーゼなどを用いることが出来る。制限酵素としては、例えば、R. J. Roberts, Nucleic Acids Res, Vol. 13, r165(1985);S. Linn et al. ed. Nulceases, p. 109, Cold Spring Harbor Lab., Cold Spring Harbor, New York, 1982などに記載のものが挙げられる。逆転写酵素としては、例えばマウスモロネイ白血病ウイルス(mouse Moloney leukemia virus;MMLV)由来の逆転写酵素(reverse transcriptase)、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(avian myeloblastosis virus;AMV)由来の逆転写酵素などが挙げられ、特にはRNase H欠損体などは好ましく用いることが出来る。DNAポリメラーゼとしては、例えば大腸菌DNAポリメラーゼ、その誘導体であるクレノウ・フラグメント、大腸菌ファージT4 DNAポリメラーゼ、大腸菌ファージT7DNAポリメラーゼ、耐熱菌DNAポリメラーゼなどが挙げられる。
末端ヌクレオチジルトランスフェラーゼとしては、例えばR. Wu et al. ed., “Methods in Enzymology”, Vol. 100, p. 96, Academic Press, New York(1983)に記載の3’−OH末端にデオキシヌクレオチド(dNMP)を付加するTdTaseなどが挙げられる。DNA修飾・分解酵素としては、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼなどが挙げられ、例えばヘビ毒ホスホジエステラーゼ、脾臓ホスホジエステラーゼ、大腸菌DNAエキソヌクレアーゼI、大腸菌DNAエキソヌクレアーゼIII、大腸菌DNAエキソヌクレアーゼVII、λエキソヌクレアーゼ、DNase I、ヌクレアーゼS1、ミクロコッカス(Micrococcus)ヌクレアーゼなどが挙げられる。DNAリガーゼとしては、例えば大腸菌DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼなどが挙げられる。
DNA遺伝子をクローニングしてDNAライブラリーを構築するのに適したベクターとしては、プラスミド、λファージ、コスミド、P1ファージ、F因子、YACなどが挙げられ、好ましくはλファージ由来のベクターが挙げられ、例えばCharon 4A、Charon 21A、λgt10、λgt11、λDASHII、λFIXII、λEMBL3、λZAPIITM(Stratagene)などが挙げられる。
さらに、本発明に係わるD−パントラクトン加水分解酵素の遺伝子塩基配列を基に遺伝子工学的に常用される方法を用いることにより、D−パントラクトン加水分解酵素のアミノ酸配列中に適宜、1個ないし複数個以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入、転移あるいは付加したごとき変異を導入した相当するタンパク質を製造することができる。こうした変異・変換・修飾法としては、日本生化学会編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法II」、p105(広瀬進)、東京化学同人(1986);日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核酸III(組換えDNA技術)」、p233(広瀬進)、東京化学同人(1992);R. Wu, L. Grossman, ed., “Methods in Enzymology”, Vol. 154, p. 350 & p. 367, Academic Press, New York(1987);R. Wu, L. Grossman, ed., “Methods in Enzymology”, Vol. 100, p. 457 & p. 468, Academic Press, New York(1983);J. A. Wells et al., “Gene”, Vol. 34, p. 315(1985);T. Grundstroem et al., “Nucleic Acids Res”, Vol. 13, p. 3305(1985);J. Taylor et al., “Nucleic Acids Res.”, Vol. 13, p. 8765(1985);R. Wu ed., “Methods in Enzymology”, Vol. 155, p. 568, Academic Press, New York(1987);A. R. Oliphant et al., “Gene”, Vol. 44, p. 177(1986)などに記載の方法が挙げられる。例えば合成オリゴヌクレオチドなどを利用する位置指定変異導入法(部位特異的変異導入法)、Kunkel法、dNTP[αS]法(Eckstein)法、亜硫酸や亜硝酸などを用いる領域指定変異導入法等の方法が挙げられる。
さらに得られた本発明のタンパク質は、化学的な手法でその含有されるアミノ酸残基を修飾することもできるし、ペプチダーゼ、例えばペプシン、キモトリプシン、パパイン、ブロメライン、エンドペプチダーゼ、エキソペプチダーゼなど酵素などを用いて修飾したり、部分分解したりしてその誘導体などにすることができる。また遺伝子組換え法で製造する時に融合タンパク質として発現させ、生体内あるいは生体外で天然のD−パントラクトン加水分解酵素と実質的に同等の生物学的活性を有しているものに変換・加工してもよい。遺伝子工学的に常用される融合産生法を用いることができるが、こうした融合タンパク質はその融合部を利用してアフィニティクロマトグラフィーなどで精製することも可能である。タンパク質の構造の修飾・改変などは、例えば日本生化学会編、「新生化学実験講座1、タンパク質VII、タンパク質工学」、東京化学同人(1993)を参考にし、そこに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法、さらにはそれらと実質的に同様な方法で行うことができる。
かくして本発明は、1個以上のアミノ酸残基が同一性の点で天然のものと異なるもの、1個以上のアミノ酸残基の位置が天然のものと異なるものであってもよい。本発明は、天然のD−パントラクトン加水分解酵素に特有なアミノ酸残基が1個以上(例えば、1〜80個、好ましくは1〜60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20個、特には1〜10個など)欠けている欠失類縁体、特有のアミノ酸残基の1個以上(例えば、1〜80個、好ましくは1〜60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20個、特には1〜10個など)が他の残基で置換されている置換類縁体、1個以上(例えば、1〜80個、好ましくは1〜60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20個、特には1〜10個など)のアミノ酸残基が付加されている付加類縁体も包含する。天然のD−パントラクトン加水分解酵素の特徴であるドメイン構造を有しているものも包含されてよい。また、同質のD−パントラクトン加水分解酵素活性を有するものも挙げられる。
天然のD−パントラクトン加水分解酵素の特徴であるドメイン構造が維持されていれば、上記のごとき変異体は、全て本発明に包含される。また本発明の天然のD−パントラクトン加水分解酵素と実質的に同等の一次構造コンフォメーションあるいはその一部を有しているものも含まれてよいと考えられ、さらに天然のD−パントラクトン加水分解酵素と実質的に同等の生物学的活性を有しているものも含まれてよいと考えられる。さらに天然に生ずる変異体の一つであることもできる。こうした本発明のD−パントラクトン加水分解酵素は、下記で説明するように分離・精製処理されることができる。一方では、こうして本発明は上記したポリペプチドをコードするDNA配列、そして天然の特性の全部あるいは一部を有するD−パントラクトン加水分解酵素のポリペプチド、さらにその類縁体あるいは誘導体をコードするDNA配列も包含する。該D−パントラクトン加水分解酵素の塩基配列は、修飾(例えば、付加、除去、置換など)されることもでき、そうした修飾されたものも包含されてよい。
本発明のDNA配列は、これまで知られていなかったD−パントラクトン加水分解酵素タンパク質のアミノ酸配列に関する情報を提供しているから、こうした情報を利用することも本発明に包含される。こうした利用としては、例えばD−パントラクトン加水分解酵素及び関連タンパク質をコードする微生物、特に好ましくはD−パントラクトン加水分解酵素産生能をもつ微生物、例えば、フサリウム属、シリンドロカルポン属、ジベレラ属、アスペルジラス属、ペニシリウム属、リゾプス属、ボルテラ属、グリオクラディウム属、ユーロティウム属、ネクトリア属、シゾフィラム属、ミロセシウム属、ノイロスポラ属、アクリモニウム属、ツベルクリナ属、アブシジア属、スポロスリクス属、バーティシリウム属またはアルスロダーマ属に属する微生物であり、D−パントラクトン加水分解酵素産生能をもつ微生物の、ゲノムDNA及びcDNAの単離及び検知のためのプロープの設計などが挙げられる。
本発明のDNA配列は、例えばD−パントラクトン加水分解酵素及び関連タンパク質をコードするD−パントラクトン加水分解酵素産生能をもつ微生物、特に好ましくは上記フサリウム属をはじめとした微生物の、ゲノムDNA及びcDNAの単離及び検知のためのプロープとして有用である。遺伝子の単離にあたっては、PCR法、さらには逆転写酵素(RT)を用いたPCR法(RT−PCR)を利用することが出来る。D−パントラクトン加水分解酵素及びその関連DNAは、クローニングされ、配列決定されたD−パントラクトン加水分解酵素 cDNA配列から推定されるアミノ酸配列に基づき特徴的な配列領域を選び、DNAプライマーをデザインして化学合成し、得られたDNAプライマーを用いて、PCR法、RT−PCR、その他の方法を用いてD−パントラクトン加水分解酵素関連遺伝子の単離、検出などに利用することが出来る。
以上述べたように本発明に従えばD−パントラクトン加水分解酵素の遺伝子及び組換えDNA分子を宿主に移入し、D−パントラクトン加水分解酵素を発現させ、目的とするD−パントラクトン加水分解酵素を得る方法が提供される。こうして本発明によれば、D−パントラクトン加水分解酵素の遺伝子を実質的に発現する組換え体あるいはトランスフェクタント及びその製造法、さらにはその用途も提供される。
別の面では、本発明はD−パントラクトン加水分解酵素活性を有するタンパク質またはそれと実質的に同等な活性を有することを特徴とするタンパク質またはその塩、より好ましくはフサリウム・オキシスポルム由来のD−パントラクトン加水分解酵素またはその塩と、実質的に同等な活性を有するか、あるいは実質的に同等の一次構造コンフォメーションを持つ該タンパク質の少なくとも一部あるいは全部を有するポリペプチドを、大腸菌などの原核生物あるいは真核生物で発現させることを可能にするDNAやRNAなどの核酸に関するとすることができる。またこうした核酸、特にはDNAは、(a)配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸配列をコードできる配列あるいはそれと相補的な配列、(b)該(a)のDNA配列またはその断片とハイブリダイズすることのできる配列、及び(c)該(a)又は(b)の配列にハイブリダイズすることのできる縮重コードを持った配列であることができる。こうした核酸で形質転換され、本発明の該ポリペプチドを発現できる大腸菌などの原核生物あるいは真核生物も本発明の特徴をなす。
本発明に従えば、D−パントラクトン加水分解酵素活性を有するタンパク質またはそれと実質的に同等な活性を有することを特徴とするタンパク質をコードするDNA、あるいは該DNAを発現可能に含んでいるベクターなどのDNAを、D−パントラクトン加水分解酵素産生能をもつ微生物、例えば、フサリウム属、シリンドロカルポン属、ジベレラ属、アスペルジラス属、ペニシリウム属、リゾプス属、ボルテラ属、グリオクラディウム属、ユーロティウム属、ネクトリア属、シゾフィラム属、ミロセシウム属、ノイロスポラ属、アクリモニウム属、ツベルクリナ属、アブシジア属、スポロスリクス属、バーティシリウム属またはアルスロダーマ属に属する微生物に導入して、D−パントラクトン加水分解酵素産生能を改変した微生物を得ることもできよう。こうした微生物としては、例えば、フサリウム・オキシスポルム IFO 5942、フサリウム・セミテクタム IFO 30200、シリンドロカルポン・トンキネンス IFO 30561、ジベレラ・フジクロイ IFO 6349、アスペルジラス・アワモリ IFO 4033、ペニシリウム クリソゲナム IFO 4626、リゾプス・オリザエ IFO 4706、ボルテラ・ブクシ IFO 6003、グリオクラディウム・カテヌラタム IFO 6121、ユーロティウム・シエバリエリ IFO 4334、ネクトリア・エレガンス IFO 7187、シゾフィラム・コムネIFO 4928、ミロセシウム・ロリダム IFO 9531、ノイロスポラ・クラツサ IFO 6067、アクリモニウム・フシデイオイデス IFO6813、ツベルクリナ・ペルシシナ IFO 6464、アブシジア・リヒセイミ IFO 4009、スポロスリクス・シエンキ IFO 5983、バーティシリウム・マルトウセイ IFO 6624、またはアルスロダーマ・ウンシナトウム IFO 7865などが挙げられる。
形質転換の方法としては、適当な細胞壁溶解酵素を用いて調製したプロトプラスト化した細胞に、塩化カルシウム、ポリエチレングリコールなどの存在下DNAを接触させるとか、エレクトロポレーション法(例えば、E. Neumann et al., “EMBO J”, Vo. 1, pp.841(1982)など)、マイクロインジェクション法、遺伝子銃により打ち込む方法などが挙げられる。
酵素は、各種原料、例えば細胞培養液、細胞培養破砕物など、形質転換体細胞などの酵素産生材料から従来公知の方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなどによるゲルろ過法、例えばジエチルアミノエチル基あるいはカルボキシメチル基などを持つ担体などを用いたイオン交換クロマトグラフィー法、例えばブチル基、オクチル基、フェニル基など疎水性基を持つ担体などを用いた疎水性クロマトグラフィー法、色素ゲルクロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法などにより精製して得ることができる。また封入体として得られた場合には、可溶化処理、例えば、塩酸グアニジン、尿素といった変成剤、さらには必要に応じ、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトールなどの還元剤存在下に処理して活性型酵素とすることもできる。酵素としては酵素産生細胞をそのまま用いることが出来る。固定化酵素としては、当該分野で知られた方法で酵素又は酵素産生細胞などを固定化したものが挙げられ、共有結合法や吸着法といった担体結合法、架橋法、包括法などにより固定化できる。例えばグルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソチオシアネートなどの縮合剤を必要に応じて使用し、固定化できる。またモノマーを重合反応でゲル化させて行うモノマー法、通常のモノマーよりも大きな分子を重合させるプレポリマー法、ポリマーをゲル化させて行うポリマー法などが挙げられ、ポリアクリルアミドを用いた固定化、アルギン酸、コラーゲン、ゼラチン、寒天、κ−カラギーナンなどの天然高分子を用いた固定化、光硬化性樹脂、ウレタンポリマーなどの合成高分子を用いた固定化などが挙げられる。微生物の培養、酵素を用いたD−パントラクトン加水分解をはじめとしたラクトン加水分解酵素利用の酵素的不斉加水分解によるラクトン系化合物の光学分割反応及び生成物の処理は特開平3−65198号および特開平4−144681号に記載のようにして行うことができる。
例えば、液体培地で振盪培養した形質転換菌を集菌し、得られた菌体にD、L−パントラクトン水溶液(2〜60%濃度)を加え、pHを6〜8に調整しながら温度10〜40℃で数時間から1日反応させる。反応終了後、菌体を分離し、反応液中の未反応L−パントラクトンを有機溶媒(酢酸エチルのようなエステル類、ベンゼンのような芳香族炭化水素類、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素等などが好ましい)を用いて抽出分離する。水層に残存しているD−パントイン酸を塩酸酸性下、加熱することによりラクトン化をおこない、上記した有機溶媒で抽出することにより生成したD−パントラクトンを得ることができる。このようにして、形質転換菌の処理菌体(乾燥菌体や固定化菌体等)や形質転換菌から得られた酵素や固定化酵素等も同様にしておこなうことが可能である。
本発明の前述した種々の態様を利用することにより、D−パントラクトン加水分解をはじめとしたラクトン加水分解酵素利用の酵素的不斉加水分解によるラクトン系化合物の光学分割法に関わる合成研究に有用な手段として、あるいはその他の用途に適用される種々の技術手段を提供することができる。以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されず、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。なお、明細書及び図面において、塩基及びアミノ酸等を略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによるか、あるいは当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものであり、アミノ酸に光学異性体が存在する場合は、特に断らないかぎりL−体を示す。
後述の実施例1で得られたD−パントラクトン加水分解酵素の遺伝子を導入したベクター(PFLC40E)を保有する大腸菌JM109(EJM−ESE−1)は、平成7年8月30日(原寄託日)から茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305)の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託されており(受託番号FERM P−15141)、平成8年8月28日に原寄託よりブダペスト条約に基づく寄託への移管請求がなされ、受託番号FERM BP−5638としてNIBHに保管されている。
実施例
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されること無く様々な態様が含まれることは理解されるべきである。
実施例1
1)精製酵素のアミノ酸配列決定
特開平4−144681号の実施例1に準じて調製した凍結乾燥D−パントラクトン加水分解酵素14.3nmol(サブユニット分子量6万として)を8M尿素を含む50mM Tris-HCl(pH9.0)44μlに溶かし、37℃で1時間変性させる。これに50mM Tris-HCl(pH9.0)44μlを添加して尿素濃度を4Mとする。12nmol/mlのリジルエンドペプチダーゼ(和光純薬)12μl(0.144nmol,E/S=1/100)を添加し、30℃で12時間消化をおこなう。得られた消化ペプチドを逆相カラム(ナカライテスク)で分取し、ABI社477Aプロテインシークエンサーでアミノ酸配列の分析をおこなった。
Figure 0003830165
アミノ酸配列の分析の結果は図1及び図2の通りであった。
2)ゲノムDNAの作製
a)D−パントラクトン加水分解酵素のゲノムDNA抽出法
対数増殖期後期の菌体を減圧濾過で集菌した。液体窒素中に菌体を入れ、ワーリングブレンダーで細かく破砕した。ある程度細かくなった菌体を乳鉢に移し液体窒素を加えながらすりつぶした。70℃に保温した2 x CTAB液(2% CTAB(Cetyl trimethyl ammonium bromide,シグマ),0.1 M Tris-HCl, pH8.0, 1.4 M NaCl, 1% PVP(Polyvinylpyrrolidone,シグマ)に懸濁し、65℃で3〜4時間インキュベートした。遠心分離した上清を順次、フェノール、フェノール/クロロホルム、クロロホルムで処理し、等容のイソプロパノールでDNAを沈殿させた。70%エタノールで洗浄し、風乾後、TE(Tris 10mM−EDTA 1mM、pH7.8)に溶解した。リボヌクレアーゼAおよびリボヌクレアーゼT1でRNAを分解し、フェノール、フェノール/クロロホルム、クロロホルムで順次処理して除タンパク操作をおこなった。等容のイソプロパノールでDNAを沈殿させた。70%エタノールで洗浄し、風乾後、TEに溶解しゲノム標品を得た。
b)D−パントラクトン加水分解酵素遺伝子の増幅
D−パントラクトン加水分解酵素の内部ペプチドのアミノ酸配列の情報(図1及び図2)を基に、N−末端アミノ酸配列のセンスストランドに対応するセンスプライマーと内部ペプチド配列のアンチセンスストランドに対応するアンチセンスプライマーを各々合成した(図3)。
D−パントラクトン加水分解酵素のゲノムDNAを鋳型として下記の条件でPCRをおこなった。PCR増幅は、例えばR. Saiki, et al., Science, Vol. 230, pp. 1350(1985);R. Saiki, et al., Science, Vol. 239, pp. 487(1988);PCR Technology, Stockton Press(1989)などに記載された方法に従って行われた。PCR増幅により、約1kbの増幅DNA断片を得た。
Figure 0003830165
本得られた増幅DNA断片をシークエンスし、アミノ酸配列に変換したところ、D−パントラクトン加水分解酵素の内部ペプチドの部分アミノ酸配列の箇所が見いだされた。
3)cDNAの作製
a)mRNAの作製
菌体は対数増殖期前期に集菌し、ただちに液体窒素で凍結後破砕し、AGPC(Acid Guanidinium Thiocyanate Phenol Chloroform)法(例えば、実験医学、Vol.No.15,p99(1991))に従って全RNAを抽出した。得られた全RNAをオリゴdT-セルロースカラム(ファルマシア)にかけることにより精製した。
b)cDNAライブラリーの作製
得られたmRNAを鋳型として、cDNAラピッドアダプターライゲーションモジュール(cDNA rapido adaptor ligation module, cDNA synthesis module RPN 1256, 1994:アマシャム社(Amersham International plc))を用いてcDNAを合成した。
c)D−パントラクトン加水分解酵素cDNAのクローニング
宿主大腸菌にcDNAライブラリーを感染させ、プラークハイブリダイゼーションによりポジティブプラークを得た。ただし、ここで用いたプローブはフサリウム・オキシスポルムのD−パントラクトン加水分解酵素遺伝子を含む約1kbの断片を鋳型とし、マルチプライム法で標識することにより作製した。得られたクローンをシークエンスし、アミノ酸配列に変換した結果、上記のD−パントラクトン加水分解酵素遺伝子全長のクローニングに成功したことが判明した。
こうして配列番号:2で表される塩基配列が得られた。この塩基配列によりコードされる配列番号:1で表されるアミノ酸配列と相同性を示す配列はNBRF(National Biomedical Research Foundation)Protein Sequence Data Bank中には存在せず、この塩基配列を有するDNAは全く新規なものであることが認められた。
塩基配列を決定したcDNAには、N末端部分が一部欠けていて、開始コドンを有していないことが判明したので、開始コドンを新たに人工的に挿入した発現ベクター(PFLC40Eと命名)の構築をPCR法によりおこなった。
図4で示される制限酵素サイトを有するセンスおよびアンチセンスプライマーの合成オリゴヌクレオチドを作製し、これらのプライマーを用い、以下の条件でPCR反応をおこなった。PCR増幅は、例えばR. Saiki, et al., Science, Vol. 230, pp. 1350(1985);R. Saiki, et al., Science, Vol. 239, pp. 487(1988);PCR Technology, Stockton Press(1989)などに記載された方法に従って行われた。
Figure 0003830165
こうして得られたPCR産物は両端にそれぞれEcoRIとXbaIの制限酵素サイトをもつので、各制限酵素(EcoRI(宝酒造)とXbaI(宝酒造))処理をおこない、pUC18とライゲーション反応を行う(宝ライゲーションキット)ことにより発現ベクター(PFLC40E)を構築した。
次に当該ベクターを“Molecular Cloning”second ed.,1989, ed. by J.Sambrook et al., Cold Spring Habor Laboratory Pressに記載された方法に従い、E.coli JM 109のコンピテントセルにトランスフォーメーションし、形質転換をおこなった。なお、当該形質転換体は50mg/lのアンピシリンを含む2 x YT培地(トリプトン1.5%、酵母エキス1%、NaCl 0.5%)上で選択した。形質転換処理は、塩化カルシウム法に従った。
こうして得られた組換え大腸菌を上記した50mg/lのアンピシリン含有2 x YT培地10mlを含む試験管で前培養をおこない、この前培養液(計100μl)を種菌として前培養液と同じ組成からなる本培養液100mlで培養時間、培養温度、イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)添加時間等を検討した。培養結果を表1に示す。培養後、得られた菌体を超音波破砕し、遠心上清を用いてD−パントラクトン加水分解酵素活性を測定した。最適条件での比活性は2.25U/mgであった。D−パントラクトン加水分解酵素の酵素活性の測定は次の条件で行い、1分間に1μmolのD−パントラクトンを加水分解する酵素活性を1単位(unit)とする。D−パントラクトン10%濃度の0.5M PIPES緩衝溶液(pH7.0)200μlに酵素溶液50μlを加え、30℃で120分間反応させた後2mM EDTAのメタノール溶液250μlを加え反応を停止させる。反応終了液をHPLC(Nucleosil 518 4.6×150mm、溶離液10%メタノール、流速1ml/min、検出波長230nm)を用いて加水分解率を求める。酵素活性は例えば加水分解率が1%であれば、酵素溶液1ml当たりの活性は1.6×102U/mlとなる。
PFLC40Eで形質転換された大腸菌JM109は2×YT培地中で培養した。IPTGは、最終濃度2mMとなるように加えた。
Figure 0003830165
SDS-PAGEをおこなった結果、遠心沈殿部の不溶性画分に予想分子量の太いバンドが検出されたのでこのバンドについてブロッティングをおこない、エドマン分解法によりN末端のアミノ酸配列を調べた結果、D−パントラクトン加水分解酵素のそれと一致した。従ってD−パントラクトン加水分解酵素cDNAの本大腸菌発現系においてD−パントラクトン加水分解酵素の一部は可溶性で発現しているものの、大部分はinclusion body(封入体)として発現しているものと考えられる。上記D−パントラクトン加水分解酵素の遺伝子を導入したベクター(PFLC40E)を保有する大腸菌JM109(EJM−ESE−1)は、茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305)の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に受託番号FERM BP−5638として寄託保存されている〔平成7年8月30日(原寄託日)に寄託された受託番号FERM P−15141(微工研菌寄第P−15141号;原寄託)よりブダペスト条約に基づく寄託への移管請求が平成8年8月28日になされた〕。
産業上の利用可能性
天然のD−パントラクトン加水分解酵素、例えば、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium Oxysporum)由来の天然のD−パントラクトン加水分解酵素またはそれと実質的に同等な活性を有するタンパク質をコードする遺伝子構造が明らかにされ、該タンパク質をコードする塩基配列を含有するDNAで形質転換せしめた宿主細胞、該宿主細胞を用いる該タンパク質の製造方法、さらにはそれらタンパク質および宿主細胞を用いてのD−パントラクトンの製造などの用途において飛躍的な発展を期待でき、さらにD−パントラクトン加水分解酵素そのものの改変により酵素活性の飛躍的な上昇を可能ならしめることが可能である。
配列表
【配列番号:1】
Figure 0003830165
Figure 0003830165
【配列番号:2】
Figure 0003830165

Claims (11)

  1. 配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸配列または配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸配列において1個ないし数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、転移あるいは付加されているものであり、天然のD−パントラクトン加水分解酵素活性を有することを特徴とする組換えポリペプチドまたはその塩。
  2. 該天然のD−パントラクトン加水分解酵素がフサリウム属、シリンドロカルポン属、ジベレラ属、アスペルジラス属、ペニシリウム属、リゾプス属、ボルテラ属、グリオクラディウム属、ユーロティウム属、ネクトリア属、シゾフィラム属、ミロセシウム属、ノイロスポラ属、アクリモニウム属、ツベルクリナ属、アブシジア属、スポロスリクス属、バーティシリウム属またはアルスロダーマ属に属する微生物由来のものであることを特徴とする請求項1記載のポリペプチドまたはその塩。
  3. 該天然のD−パントラクトン加水分解酵素がフサリウム属由来のものであることを特徴とする請求項1記載のポリペプチドまたはその塩。
  4. 外因性DNA配列を原核生物において発現して得たものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一記載のポリペプチドまたはその塩。
  5. 外因性DNA配列を真核生物において発現して得たものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一記載のポリペプチドまたはその塩。
  6. 請求項1〜のいずれか一記載のポリペプチドをコードする塩基配列を有することを特徴とする核酸。
  7. 配列表の配列番号:2で表される塩基配列を有することを特徴とする請求項記載の核酸。
  8. 請求項又は記載の核酸を含有することを特徴とするベクター。
  9. 請求項又は記載の核酸あるいは請求項記載のベクターを保有することを特徴とする形質転換体。
  10. 請求項記載の形質転換体を増殖可能な栄養培地中で培養し、組換えポリペプチドとしてD−パントラクトン加水分解酵素活性を有するポリペプチドを生成せしめることを特徴とする請求項1〜のいずれか一記載のポリペプチドの製造方法。
  11. 請求項1〜のいずれか一記載のポリペプチドまたは請求項記載の形質転換体を用いてのD、L−パントラクトンの光学分割によるD−パントラクトンの製造法。
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