JP3817703B2

JP3817703B2 - Method and apparatus for producing coiled carbon fiber

Info

Publication number: JP3817703B2
Application number: JP18606496A
Authority: JP
Inventors: 栖二元島
Original assignee: Japan Science and Technology Agency; National Institute of Japan Science and Technology Agency
Current assignee: Japan Science and Technology Agency; National Institute of Japan Science and Technology Agency
Priority date: 1996-07-16
Filing date: 1996-07-16
Publication date: 2006-09-06
Anticipated expiration: 2016-07-16
Also published as: JPH1037024A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、三次元強化複合材、電磁波吸着材、ミクロメカニカル素子、ミクロスイッチング素子、ミクロセンサー、ミクロフィルター、吸着剤などの材料として適用しうるコイル状炭素繊維の製造方法及び製造装置に関する。
【０００２】
【従来技術】
炭素繊維には、従来からの有機前駆体繊維を原料とし、これを不融化、炭化、黒鉛化などの処理を行って得られる炭素繊維、例えばポリアクリロニトリル繊維から得られるＰＡＮ系炭素繊維、ピッチ系繊維から得られるピッチ系炭素繊維などの他に、最近開発された炭化水素の気相熱分解によって得られる気相成長炭素繊維がある。気相成長炭素繊維は、グラファイトの網面が同心円状に巻いており、高強度で、金属的から半導体的導電性までの巾広い特性を持ち、機能性材料としての応用が期待されている。
気相成長炭素繊維の製造方法として、ベンゼンなどの炭化水素とキャリアガスとの混合ガスを、１０００℃以上の温度に保持され金属粉末触媒を担持させた反応管内で、先ず１００〜１５００ｃｍ／分の流速で繊維成長の核を形成させ、次いで流速を１０〜３０ｃｍ／分として繊維を成長させる方法が開示されている（特公昭５１−３３２１０号公報参照）。この他、気相成長炭素繊維を製造するに、種々の触媒金属粉末及び種々の製造方法が提案されている。しかしこれらの方法ではコイル状の炭素繊維は全く得られない。
コイル状炭素繊維の製造方法としては、本発明者らは先に遷移金属及び第Ｖ族もしくは第ＶＩ族の化合物が存在する系内で、炭化水素系ガスまたは一酸化炭素を含むガスを３００〜１０００℃で気相熱分解させる方法を提案した（特開平４−２２２２２８号公報参照）。
【０００３】
遷移金属を触媒として用いた場合、金属のメーカー、貯蔵条件、前処理条件などによりコイル収率が著しく変化し、コイルが全く得られないこともある。金属表面は通常薄い酸化膜で覆われており、この酸化膜がコイル成長に大きな影響を及ぼす可能性がある。一方、金属触媒は、反応中イオウ（又は燐）及び炭素種を含む高温の反応性ガス中に晒されている。したがって、金属触媒はイオウ（又は燐）及び炭素、あるいはイオウと炭素との化合物あるいはそれらとの固溶体となっている可能性があり、これらが実際の触媒作用を示すものと考えられる。一方、上記の実験室規模の方法で得られるコイル状炭素繊維の量は極めて少なく１００ｍｇオーダーである。しかし、コイル状炭素繊維の特性を評価し、実用化するためには、さらに有効な触媒の探索と共に、大量合成のための合成装置の開発やそのスケールアップが必要である。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、コイル状炭素繊維の新しい合成用触媒の探索及び大量合成のための新しい装置の開発やスケールアップについて検討した結果、本発明を完成させたものある。本発明の目的は、コイル状炭素繊維の大量合成に有効な触媒及び合成装置を提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、遷移金属の酸化物、炭化物、硫化物、リン化物、炭酸化物、炭硫化物よりなる群から選ばれた１種又は複数の触媒の存在下、微量のチオフェンなどの硫黄系化合物あるいは三塩化リンなどのリン系化合物を含有するアセチレンガスを６００〜８５０℃の温度範囲で気相熱分解させることを特徴とするコイル状炭素繊維の製造方法である。また、その装置として、原料ガス導入口と、これに対向する位置に廃ガス排出口とを有する反応容器内に、無端ベルトを設け、該無端ベルト上に触媒を塗布した基板あるいは金属板（触媒兼基板）を設置し、原料ガス導入口より導入された原料ガス流と基板とがほぼ直交するようにし、且つ、原料ガス導入口と基板との距離を１〜２０ｍｍに保つようにしたことを特徴とするコイル状炭素繊維製造装置である。
即ち、本発明はコイル状炭素繊維の製造方法における、触媒、不純物ガス、熱分解条件、装置の形状などの製造条件を検討した結果、遷移金属の酸化物、炭化物、硫化物、リン化物、炭酸化物、炭硫化物よりなる群から選ばれた一種又は複数の混合物が触媒として有効であり、さらに原料ガス中に微量のチオフエンなどの硫黄系化合物あるいは三塩化リンなどのリン系化合物が含まれている場合、特に高いコイル収率が得られるのである。また、製造装置としては、原料ガス導入口と、これに対向する位置に廃ガス排出口とを有する反応器内に、無端ベルトを設け、該無端ベルト上に触媒を塗布した基板或いは金属板（触媒兼基板）を設置し、原料ガス導入口より導入された原料ガス流と基板とがほぼ直交するようにし、両者の距離を１〜２０ｍｍに保つことにより、コイルの大量合成を可能とした。
【０００６】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する原料ガスとしては、アセチレンに不純物として微量のチオフェンなどの硫黄系化合物あるいは三塩化リンなどのリン系化合物が含まれているものであって、好ましい不純物はチオフェンである。原料ガス中にはキャリアガスとしてアルゴンガス、水素ガスが存在してもよく、反応器内へ導入する原料ガスの好ましい流量比は、水素：アルゴン：アセチレン：チオフェン＝７：４：３：０．０５である。
【０００７】
本発明で使用しうる触媒としては、遷移金属の酸化物、炭化物、硫化物、リン化物、炭酸化物、炭硫化物よりなる群から選ばれた一種又は複数の混合物であり、好ましい触媒は、ニッケル、チタンおよびタングステンの酸素との固溶体または酸化物、炭化物、硫化物、リン化物、炭酸化物、炭硫化物である。これらの触媒は、あらかじめ固溶体或いは化合物となったものの他、金属粉末或いは板を反応器内で反応前に所定条件で酸化、炭化、硫化、リン化、炭酸化、炭硫化処理して得たものでも使用できる。
【０００８】
本発明で使用しうる触媒としては、ＮｉおよびＴｉ化合物の他、ほとんどあらゆる遷移金属の上記化合物が利用できる。例えば、４族のＺｒ、Ｈｆ、５族のＶ、Ｎｂ、Ｔａ、６族のＣｒ、Ｍｏ、Ｗ、７族のＭｎ、８族のＦｅ、９族のＣｏ、１０族のＮｉなどの化合物はいずれもコイル成長に対して触媒効果を示す。特に、化合物中の酸素、イオウ、リン、炭素などの含有量が比較的少なく、また非化学量論性の強い化合物が優れた触媒作用を示す。例えば、Ｔｉ酸化物の場合の好ましい酸素含有量は、４０〜６２ａｔ．％であり、またＴｉ炭化物の場合の好ましい炭素含有量は１５〜４５ａｔ．％である。そのような好ましいＴｉ化合物の例としては、Ｔｉ₂Ｃ、Ｔｉ₂Ｏ₃、Ｔｉ₃Ｓ₄、Ｔｉ₂Ｐ、ＴｉＣｘＳ₁ｘ（ｘ＜０．５）などがある。また、好ましいＮｉ化合物の例としては、Ｎｉ₂Ｏ₃、Ｎｉ₃Ｓ₂、ＮｉＳなどがある。金属成分としては、単一成分のほか、２成分あるいはそれ以上の多元系合金も使用できる。
【０００９】
本発明で使用しうる触媒のうち、金属の硫化物、炭硫化物、リン化物等の場合には不純物としてイオウ系あるいはリン系不純物を原料ガス中に添加しなくてもある程度のコイルを得ることが出来る。
【００１０】
本発明で使用しうる触媒の形態としては、粉末状、金属板、粉末の焼結板などいずれでも良く、好ましくは平均粒径が５ミクロン程度の微粉末状あるいはこれを焼結した焼結板である。粉末状触媒の場合、基板上へ散布あるいは塗布しても良く、また原料ガス中に流動状態で用いても良い。
【００１１】
本発明で得られる炭素繊維は、本質的に炭素のみからなり、繊維直径は０．０１〜１μｍ、コイル外径は０．１〜１０μｍ、コイルピッチは０．０１〜５μｍ、コイル長さは１〜３，０００μｍの範囲のマイクロコイル状の繊維である。このマイクロコイル状繊維は、ほとんどの場合、２本のコイルが互いに巻き合いながら成長した二重コイルであり、元の長さの３倍前後まで完全弾性的に伸び縮みする。また、ほぼ直線状まで伸ばすことができるが、この場合、歪みが残り元の長さまで戻らない。
【００１２】
本発明のコイル状炭素繊維は、既存の炭素繊維が用いられている種々の用途に応用できるが、特にそのコイル状という特異的形態からもたらされる種々特性を利用して、ＦＲＰやＦＲＭなどの三次元強化用繊維、電磁波吸収材、ミクロメカニカル素子、ミクロスイッチング素子、ミクロセンサー、ミクロフィルター、吸着剤などの機能性材料として有用である。
【００１３】
次に、本発明にかかる製造装置を説明する。図１は本発明にかかる製造装置の概念図である。図１において、反応器１は、原料ガス導入口２と廃ガス排出口３とが対向する位置に存在する。反応器１には、無端ベルト４を設け、この無端ベルト４に触媒５を設置する。原料ガス導入管は、原料アセチレンの好ましくない分解を防ぐため原料ガス導入口２の反応器中央に内部ヒーター６と外部ヒーター７とを設ける。原料ガス導入管に水冷却器８を設ける。原料ガス導入口と無端ベルト上の触媒を担持した基板との距離を１〜２０ｍｍとする。このような装置において内部ヒーター６と外部ヒーター７とによって反応器内を所定の温度に加熱し、原料ガスを原料ガス導入口２を通して反応器内に導入し、排出口３より排出させる。このようなガス流に対してほぼ直交するように無端ベルト４を移動させると無端ベルトの基板上の触媒と原料ガスとが接触して反応が進行する。
【００１４】
本発明にかかる製造装置の形としては、断面が円形状、楕円状、正方形、あるいは矩形などのいずれでも良い。また反応器の材質としては、銅を含まず、また高温で侵炭、侵硫、侵リン脆化あるいは腐食されない材料、たとえばステンレス、好ましくはインコネル製が良い。反応器の大きさについては特に限定はなく、また、反応器の大きさに関係なく原料ガス導入口と無端ベルト上の触媒を担持した基板との距離を１〜２０ｍｍ、好ましくは、２〜７ｍｍとする以外、特に限定はない。
【００１５】
アセチレンは高温では分解しやすく、アセチレンを触媒と接触するまでの間、長時間、４００℃以上に加熱すると分解反応が進行して粉末（アセチレンブラック）あるいは直線状繊維が析出しやすく、コイル収率は低下する。したがって、原料導入は外から冷却したり、原料導入口の面積を小さくしてガスの線速度を上げたりすることにより、原料アセチレンの温度上昇を防ぎ、できるだけ未分解の原料アセチレンを触媒と接触させることが重要である。このような理由によって原料ガス導入管を水冷却し、またガス導入口４と無端ベルト上の触媒を担持した基板との距離を１〜２０ｍｍと限定する。
【００１６】
本発明に係る製造装置の一例を挙げると、断面が２００ｍｍ（高さ）×３５０ｍｍ（奥行き）の矩形で、幅１５００ｍｍのインコネル製の箱型反応器内に無端ベルトを装置し、これに３０ｍｍ（幅）×３００ｍｍ（長さ）のグラファイト基板を１０枚セットした。基板と基板との距離は５ｍｍとした。基板上には、酸化チタン（Ｔｉ₂Ｏ₃）粉末触媒を均一に散布した。原料ガス導入口（上部）とガス排出口（下部）とは対向し、それぞれ５ｍｍ（幅）×３００ｍｍ（奥行き）の矩形とした。原料導入管は、外から水冷却した。
【００１７】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に示すが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
実施例１
内径が約２３ｍｍ、長さ５００ｍｍの不透明石英管からなる小型の熱ＣＶＤ装置の中央部に、酸化チタン（Ｔｉ₂Ｏ₃）粉末触媒を散布したグラファイト基板をセットし、アルゴン中で７７５℃まで加熱した。その後、チオフェン不純物を１．５１ｍｏｌ％含むアセチレンを３０ｃｃ／分、水素を７０ｃｃ／分、アルゴンを４０ｃｃ／分で流し、常圧下で、１５分間反応を行った。この時の全ガスに対するチオフェンの含有量は、０．３２３ｍｏｌ％となる。析出物は０．４５ｇ得られ、その中にコイルが０．３０ｇ含まれていた。これは、導入した原料アセチレン中の炭素量の６２モル％（コイル収率６２モル％）に相当する。アセチレン中のチオフェン含有量が上記値より少しでも減少あるいは増加するとコイル収率は急激に低下し、０．２モル％以下あるいは８モル％以上ではコイルは全く析出しなかった。
【００１８】
実施例２
市販のチタン粉末を予め、空気中６５０℃で３０分間表面酸化したものを触媒とし、他の条件は実施例１と同じとした場合、コイル収率は５７％であった。この触媒表面中には、約５７ａｔ．％の酸素が含有されていた。
実施例３
市販のチタン粉末を予め、空気中８５０℃で３０分間表面酸化したものを触媒とし、他の条件は実施例１と同じとした場合、コイル収率は６０％であった。この触媒表面には、約６０ａｔ．％の酸素が含有されていた。
【００１９】
実施例４
市販のチタン粉末をそのまま（未処理）触媒として用い、他の条件は実施例１と同じとした場合、コイル収率は４０％であった。この触媒表面には、約４０ａｔ．％の酸素が含有されていた。
比較例１
市販のチタン金属板を予め＃１２０のエメリー紙で研磨し、その後５０℃の濃塩酸中に６０分浸して表面の酸化物層を除去したものを触媒とし、他の条件は実施例１と同じとした場合、コイルの成長はまったく認められなかった。
【００２０】
実施例５
市販のニッケル粉末を予め、空気中８５０℃で３０分間表面酸化したものを触媒とし、他の条件は実施例１と同じとした場合、コイル収率は６５％であった。この触媒表面には、約４５ａｔ．％の酸素が含有されていた。
比較例２
市販のニッケル金属板を、予め＃１２０のエメリー紙で研磨し、その後５０〜８０℃の濃塩酸中に３０〜６０分浸して表面の酸化物層を除去したものを触媒とし、他の条件は実施例１と同じとした場合、コイルの成長はまったく認められなかった。
【００２１】
実施例６
硫化チタン（Ｔｉ₃Ｓ₄）粉末（平均粒径５μｍ）を触媒とし、チオフェン不純物を１．６７ｍｏｌ％含むアセチレンを３０ｃｃ／分、水素を７０ｃｃ／分、アルゴンを４０ｃｃ／分で流して１５分間反応を行った。反応温度とコイル収率との関係を図２に示す。７５０℃で最高収率５０％が得られ、この温度より低くあるいは高くなると、コイル収率は急激に低下した。また、アセチレン中のチオフェン含有量が上記の値より低下あるいは上昇するとコイル収率は急激に低下した。例えば８％では、コイルは全く成長しなかった。不純物としてチオフェンを添加しない場合のコイル収率は３５％であった。
【００２２】
実施例７
硫化ニッケル（Ｎｉ₈Ｓ₂）粉末を触媒とし、他の条件は実施例１と同じとした場合、コイル収率は３５％であった。また、不純物としてチオフェンを添加しない場合のコイル収率は２５％であった。
実施例８
硫化モリブデン（Ｍｏ₂Ｓ₃）粉末を触媒とし、他の条件は実施例１と同じとした場合、コイル収率は４５％であった。また、不純物としてチオフェンを添加しない場合のコイル収率は３０％であった。
【００２３】
実施例９
リン化チタン（Ｔｉ₂Ｐ）粉末を触媒とし、不純物としてチオフェンのかわりに三塩化リンを原料アセチレン中に０．２１モル％添加した以外は実施例１と同じとした場合、コイル収率は４５％であった。不純物として三塩化リンを添加しない場合のコイル収率は３０％であった。
実施例１０
図１に示した反応器上部の原料ガス導入口から、少量のチオフェンを含んだアセチレン水素およびアルゴンの混合ガスを導入し、導入口直下約３ｍｍの位置にセットした基板上の触媒と接触させて反応を行った。触媒として実施例８の硫化モリブデン（Ｍｏ₂Ｓ₃）を使用した。基板温度は７５０℃、一枚の基板当たりの反応時間は１５分、反応圧力は常圧とした。また、それぞれのガス流量は、以下の通りとした。チオフェン；５０ｃｃ／分、水素１，０００ｃｃ／分、アルゴン１，５００ｃｃ／分、一枚の基板上に２．１ｇのコイル状炭素繊維が析出した。これはコイル収率約５０％に相当する。
【００２４】
実施例１１
実施例１０において一枚の基板について１５分間反応を行った後これを移動し、次の基板を原料ガス導入口直下に移動して反応を１５分間行った。この操作を１０枚の基板について繰り返した。１０枚の基板上に析出したコイルの総量は、約２１．０ｇであった。これはコイル収率約５０％に相当する。
実施例１２
実施例１０において原料導入口と基板との距離を５ｍｍとし、一枚の基板を用い、他の条件は実施例１１と同じで反応を行った場合、コイル収率は６０％であった。
【００２５】
実施例１３
実施例１０において原料導入口と基板との距離を２０ｍｍとし、他の条件は実施例９と同じで反応を行った場合、コイル収率は２０％であった。
比較例３
実施例１０において原料導入口と基板との距離を３０ｍｍとし、一枚の基板を用い、他の条件は実施例１１と同じで反応を行った場合、コイルは全く得られなかった。
実施例１３に於いて、原料導入口を水冷却しない場合、コイル収率は２０％に低下した。また原料導入口の幅を実施例１３の２倍（１０ｍｍ）とした場合、コイル収率は１５％に低下した。
【００２６】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の触媒を使用することによってコイル状炭素繊維を高収率で得ることができ、特に本発明の製造装置を使用すると、容易にスケールアップすることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明にかかる製造装置の概念図である。
【図２】硫化チタン（Ｔｉ₃Ｓ₄）触媒を使用した場合の反応温度に対するコイル収率を示す。
【符号の説明】
１反応器２原料ガス導入口３廃ガス排出口
４無端ベルト５触媒６内部ヒーター
７外部ヒーター８水冷部[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method and an apparatus for producing a coiled carbon fiber that can be applied as a material such as a three-dimensional reinforced composite material, an electromagnetic wave adsorbent, a micromechanical element, a microswitching element, a microsensor, a microfilter, and an adsorbent.
[0002]
[Prior art]
Carbon fiber is obtained by using conventional organic precursor fiber as a raw material, and processing such as infusibilization, carbonization, graphitization, etc., for example, PAN-based carbon fiber obtained from polyacrylonitrile fiber, pitch-based In addition to the pitch-based carbon fibers obtained from the fibers, there are vapor-grown carbon fibers obtained by vapor phase pyrolysis of hydrocarbons that have been recently developed. Vapor-grown carbon fiber has a graphite net surface wound concentrically, has high strength, has a wide range of properties from metallic to semiconductive, and is expected to be applied as a functional material.
As a method for producing vapor-grown carbon fiber, first, a mixed gas of a hydrocarbon such as benzene and a carrier gas is maintained at a temperature of 1000 ° C. or higher and a metal powder catalyst is supported, and first, 100-1500 cm / min. A method is disclosed in which nuclei for fiber growth are formed at a flow rate, and then fibers are grown at a flow rate of 10 to 30 cm / min (see Japanese Patent Publication No. 51-33210). In addition, various catalytic metal powders and various production methods have been proposed for producing vapor-grown carbon fibers. However, these methods do not provide any coiled carbon fiber.
As a method for producing a coiled carbon fiber, the present inventors previously used a hydrocarbon gas or a gas containing carbon monoxide in a system in which a transition metal and a Group V or Group VI compound existed 300 to 300- A method of vapor phase pyrolysis at 1000 ° C. has been proposed (see Japanese Patent Application Laid-Open No. 4-222228).
[0003]
When a transition metal is used as a catalyst, the coil yield varies significantly depending on the metal manufacturer, storage conditions, pretreatment conditions, etc., and the coil may not be obtained at all. The metal surface is usually covered with a thin oxide film, and this oxide film can greatly affect coil growth. On the other hand, the metal catalyst is exposed to a high-temperature reactive gas containing sulfur (or phosphorus) and carbon species during the reaction. Therefore, the metal catalyst may be in the form of sulfur (or phosphorus) and carbon, or a compound of sulfur and carbon, or a solid solution thereof, and these are considered to exhibit actual catalytic action. On the other hand, the amount of coiled carbon fiber obtained by the laboratory scale method described above is extremely small, on the order of 100 mg. However, in order to evaluate the characteristics of coiled carbon fibers and put them to practical use, it is necessary to search for a more effective catalyst and to develop a synthesis apparatus for mass synthesis and scale it up.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
Therefore, the present inventors have completed the present invention as a result of searching for a new catalyst for synthesis of coiled carbon fibers and developing a new apparatus for mass synthesis and scaling up. An object of the present invention is to provide a catalyst and a synthesis apparatus effective for mass synthesis of coiled carbon fibers.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
The gist of the present invention is a sulfur system such as a trace amount of thiophene in the presence of one or more catalysts selected from the group consisting of transition metal oxides, carbides, sulfides, phosphides, carbonates, and carbonates. A method for producing a coiled carbon fiber, comprising vapor-phase thermal decomposition of a compound or an acetylene gas containing a phosphorus compound such as phosphorus trichloride in a temperature range of 600 to 850 ° C. Further, as the apparatus, a substrate or a metal plate (catalyst) in which an endless belt is provided in a reaction vessel having a source gas inlet and a waste gas outlet at a position opposite to the source gas, and a catalyst is applied on the endless belt. That the source gas flow introduced from the source gas inlet and the substrate are substantially orthogonal to each other, and the distance between the source gas inlet and the substrate is maintained at 1 to 20 mm. It is the coiled carbon fiber manufacturing apparatus characterized.
That is, as a result of studying production conditions such as catalyst, impurity gas, thermal decomposition conditions, and apparatus shape in the method for producing coiled carbon fiber, the present invention has resulted in transition metal oxides, carbides, sulfides, phosphides, carbonic acids. One or a mixture selected from the group consisting of fluoride and carbon sulfide is effective as a catalyst, and the raw material gas contains a small amount of a sulfur compound such as thiophene or a phosphorus compound such as phosphorus trichloride. A particularly high coil yield is obtained. In addition, as a manufacturing apparatus, a substrate or a metal plate in which an endless belt is provided in a reactor having a raw material gas inlet and a waste gas outlet at a position opposite to this, and a catalyst is applied on the endless belt ( The catalyst / substrate) was installed, the raw material gas flow introduced from the raw material gas inlet and the substrate were substantially orthogonal to each other, and the distance between the two was kept at 1 to 20 mm, thereby enabling mass synthesis of the coil.
[0006]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
As the source gas used in the present invention, acetylene contains a trace amount of a sulfur compound such as thiophene or a phosphorus compound such as phosphorus trichloride as an impurity, and a preferred impurity is thiophene. Argon gas and hydrogen gas may be present as a carrier gas in the source gas, and the preferred flow rate ratio of the source gas introduced into the reactor is hydrogen: argon: acetylene: thiophene = 7: 4: 3: 0. 05.
[0007]
The catalyst that can be used in the present invention is one or a mixture selected from the group consisting of oxides, carbides, sulfides, phosphides, carbonates, and carbosulfides of transition metals, and preferred catalysts are nickel. , Solid solutions or oxides of titanium and tungsten with oxygen, carbides, sulfides, phosphides, carbonates, carbosulfides. These catalysts, which have been previously formed into solid solutions or compounds, are obtained by oxidizing, carbonizing, sulfiding, phosphating, carbonating, carbonitriding the metal powder or plate in the reactor under predetermined conditions before the reaction. But you can use it.
[0008]
As the catalyst that can be used in the present invention, in addition to Ni and Ti compounds, the above compounds of almost all transition metals can be used. For example, compounds such as Group 4 Zr, Hf, Group 5 V, Nb, Ta, Group 6 Cr, Mo, W, Group 7 Mn, Group 8 Fe, Group 9 Co, Group 10 Ni, etc. Both show a catalytic effect on coil growth. In particular, a compound having a relatively low content of oxygen, sulfur, phosphorus, carbon and the like in the compound and having a strong non-stoichiometry exhibits excellent catalytic action. For example, the preferable oxygen content in the case of Ti oxide is 40 to 62 at. %, And the preferable carbon content in the case of Ti carbide is 15 to 45 at. %. Examples of such preferable Ti compounds include Ti ₂ C, Ti ₂ O ₃ , Ti ₃ S ₄ , Ti ₂ P, and TiCxS ₁ x (x <0.5). Examples of preferred Ni compounds include Ni ₂ O ₃ , Ni ₃ S ₂ and NiS. As the metal component, in addition to a single component, a multicomponent alloy having two or more components can also be used.
[0009]
Among the catalysts that can be used in the present invention, in the case of metal sulfides, carbon sulfides, phosphides, etc., a certain degree of coil can be obtained without adding sulfur-based or phosphorus-based impurities as source impurities. I can do it.
[0010]
The form of the catalyst that can be used in the present invention may be any of powder, metal plate, powder sintered plate, etc., preferably a fine powder having an average particle size of about 5 microns or a sintered plate obtained by sintering the powder. It is. In the case of a powdered catalyst, it may be sprayed or coated on the substrate, or may be used in a flowing state in the raw material gas.
[0011]
The carbon fiber obtained by the present invention consists essentially of carbon, the fiber diameter is 0.01 to 1 μm, the coil outer diameter is 0.1 to 10 μm, the coil pitch is 0.01 to 5 μm, and the coil length is 1. It is a microcoiled fiber in the range of ˜3,000 μm. In most cases, the microcoiled fiber is a double coil that is grown while two coils are wound around each other, and expands and contracts completely elastically to about three times the original length. Moreover, although it can extend to substantially linear form, in this case, distortion remains and does not return to the original length.
[0012]
The coiled carbon fiber of the present invention can be applied to various uses in which the existing carbon fiber is used. In particular, by utilizing various characteristics brought about by the specific form of the coiled shape, a tertiary such as FRP and FRM is used. It is useful as functional materials such as original reinforcing fibers, electromagnetic wave absorbers, micromechanical elements, microswitching elements, microsensors, microfilters, and adsorbents.
[0013]
Next, the manufacturing apparatus according to the present invention will be described. FIG. 1 is a conceptual diagram of a manufacturing apparatus according to the present invention. In FIG. 1, the reactor 1 exists in the position where the raw material gas inlet 2 and the waste gas outlet 3 face each other. The reactor 1 is provided with an endless belt 4, and a catalyst 5 is installed on the endless belt 4. The raw material gas introduction pipe is provided with an internal heater 6 and an external heater 7 in the center of the reactor of the raw material gas inlet 2 in order to prevent undesired decomposition of the raw material acetylene. A water cooler 8 is provided in the source gas introduction pipe. The distance between the raw material gas inlet and the substrate carrying the catalyst on the endless belt is set to 1 to 20 mm. In such an apparatus, the inside of the reactor is heated to a predetermined temperature by the internal heater 6 and the external heater 7, and the source gas is introduced into the reactor through the source gas inlet 2 and discharged from the outlet 3. When the endless belt 4 is moved so as to be substantially perpendicular to such a gas flow, the catalyst on the substrate of the endless belt and the raw material gas come into contact with each other and the reaction proceeds.
[0014]
The shape of the manufacturing apparatus according to the present invention may be any of a circular shape, an elliptical shape, a square shape, a rectangular shape, and the like. The material of the reactor is preferably made of a material that does not contain copper and that does not corrode, vulcanize, phosphorus embrittle, or corrode at high temperatures, such as stainless steel, preferably Inconel. The size of the reactor is not particularly limited, and the distance between the raw material gas inlet and the substrate carrying the catalyst on the endless belt is 1 to 20 mm, preferably 2 to 7 mm, regardless of the size of the reactor. Other than the above, there is no particular limitation.
[0015]
Acetylene is easily decomposed at high temperatures, and when it is heated to 400 ° C or higher for a long time until it contacts the catalyst, the decomposition reaction proceeds and powder (acetylene black) or linear fibers are likely to precipitate, resulting in a coil yield. Will decline. Therefore, the raw material introduction is cooled from outside, or the area of the raw material inlet is reduced to increase the linear velocity of the gas, thereby preventing the temperature rise of the raw material acetylene and bringing the undecomposed raw material acetylene into contact with the catalyst as much as possible. This is very important. For this reason, the source gas introduction pipe is water-cooled, and the distance between the gas introduction port 4 and the substrate carrying the catalyst on the endless belt is limited to 1 to 20 mm.
[0016]
As an example of the production apparatus according to the present invention, an endless belt is installed in an Inconel box reactor having a rectangular cross section of 200 mm (height) × 350 mm (depth) and a width of 1500 mm. Ten graphite substrates each having a width of 300 mm (length) were set. The distance between the substrates was 5 mm. A titanium oxide (Ti ₂ O ₃ ) powder catalyst was uniformly dispersed on the substrate. The source gas inlet (upper part) and the gas outlet (lower part) face each other, and each was a rectangle of 5 mm (width) × 300 mm (depth). The raw material introduction pipe was water-cooled from the outside.
[0017]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, the present invention will be specifically described with reference to examples, but the present invention is not limited to the examples.
Example 1
A graphite substrate on which a titanium oxide (Ti ₂ O ₃ ) powder catalyst is dispersed is set in the center of a small thermal CVD apparatus consisting of an opaque quartz tube having an inner diameter of about 23 mm and a length of 500 mm, and heated to 775 ° C. in argon. did. Thereafter, acetylene containing 1.51 mol% of thiophene impurities was flowed at 30 cc / min, hydrogen at 70 cc / min, and argon at 40 cc / min, and the reaction was performed for 15 minutes under normal pressure. At this time, the content of thiophene with respect to the total gas is 0.323 mol%. 0.45 g of a precipitate was obtained, and 0.30 g of a coil was contained therein. This corresponds to 62 mol% (coil yield 62 mol%) of the carbon content in the introduced raw acetylene. When the thiophene content in acetylene decreased or increased even slightly from the above value, the coil yield decreased rapidly, and no coil was deposited at 0.2 mol% or less or 8 mol% or more.
[0018]
Example 2
When a commercially available titanium powder was surface-oxidized in air at 650 ° C. for 30 minutes in advance as a catalyst and the other conditions were the same as in Example 1, the coil yield was 57%. In this catalyst surface, about 57 at. % Oxygen was contained.
Example 3
When a commercially available titanium powder was surface-oxidized in advance at 850 ° C. for 30 minutes in the air as a catalyst and other conditions were the same as in Example 1, the coil yield was 60%. About 60 at. % Oxygen was contained.
[0019]
Example 4
When a commercially available titanium powder was used as it was (untreated) as a catalyst and the other conditions were the same as in Example 1, the coil yield was 40%. About 40 at. % Oxygen was contained.
Comparative Example 1
A commercially available titanium metal plate was previously polished with # 120 emery paper and then immersed in concentrated hydrochloric acid at 50 ° C. for 60 minutes to remove the oxide layer on the surface. The other conditions were the same as in Example 1. In this case, no coil growth was observed.
[0020]
Example 5
When a commercially available nickel powder was surface-oxidized in advance at 850 ° C. for 30 minutes in the air as a catalyst and other conditions were the same as in Example 1, the coil yield was 65%. About 45 at. % Oxygen was contained.
Comparative Example 2
A commercially available nickel metal plate was previously polished with # 120 emery paper and then immersed in concentrated hydrochloric acid at 50 to 80 ° C. for 30 to 60 minutes to remove the oxide layer on the surface. The other conditions were as follows. When the same as in Example 1, no coil growth was observed.
[0021]
Example 6
Using titanium sulfide (Ti ₃ S ₄ ) powder (average particle size 5 μm) as a catalyst, acetylene containing 1.67 mol% of thiophene impurities was flowed at 30 cc / min, hydrogen at 70 cc / min, and argon at 40 cc / min for 15 minutes. Went. The relationship between reaction temperature and coil yield is shown in FIG. A maximum yield of 50% was obtained at 750 ° C., and the coil yield dropped sharply below or above this temperature. Moreover, when the thiophene content in acetylene decreased or increased from the above value, the coil yield decreased rapidly. For example, at 8%, the coil did not grow at all. The coil yield when no thiophene was added as an impurity was 35%.
[0022]
Example 7
When nickel sulfide (Ni ₈ S ₂ ) powder was used as a catalyst and other conditions were the same as in Example 1, the coil yield was 35%. The coil yield when no thiophene was added as an impurity was 25%.
Example 8
When molybdenum sulfide (Mo ₂ S ₃ ) powder was used as a catalyst and other conditions were the same as in Example 1, the coil yield was 45%. The coil yield when no thiophene was added as an impurity was 30%.
[0023]
Example 9
When titanium phosphide (Ti ₂ P) powder was used as a catalyst and phosphorus trichloride was added in an amount of 0.21 mol% in the raw material acetylene instead of thiophene as an impurity, the coil yield was 45. %Met. The coil yield when phosphorus trichloride was not added as an impurity was 30%.
Example 10
A mixed gas of acetylene hydrogen and argon containing a small amount of thiophene is introduced from the raw material gas inlet at the top of the reactor shown in FIG. 1, and is brought into contact with the catalyst on the substrate set at a position of about 3 mm immediately below the inlet. Reaction was performed. The molybdenum sulfide (Mo ₂ S ₃ ) of Example 8 was used as the catalyst. The substrate temperature was 750 ° C., the reaction time per substrate was 15 minutes, and the reaction pressure was normal pressure. Each gas flow rate was as follows. Thiophene: 50 cc / min, hydrogen 1,000 cc / min, argon 1,500 cc / min, 2.1 g of coiled carbon fiber was deposited on one substrate. This corresponds to a coil yield of about 50%.
[0024]
Example 11
In Example 10, a substrate was reacted for 15 minutes and then moved, and the next substrate was moved directly under the raw material gas inlet and reacted for 15 minutes. This operation was repeated for 10 substrates. The total amount of coils deposited on 10 substrates was about 21.0 g. This corresponds to a coil yield of about 50%.
Example 12
In Example 10, when the distance between the raw material inlet and the substrate was 5 mm, a single substrate was used, and the reaction was carried out under the same conditions as in Example 11, the coil yield was 60%.
[0025]
Example 13
In Example 10, when the reaction was performed under the same conditions as in Example 9 except that the distance between the raw material inlet and the substrate was 20 mm, the coil yield was 20%.
Comparative Example 3
In Example 10, when the distance between the raw material inlet and the substrate was 30 mm, a single substrate was used and the reaction was carried out under the same conditions as in Example 11, no coil was obtained.
In Example 13, when the raw material inlet was not cooled with water, the coil yield was reduced to 20%. Moreover, when the width | variety of the raw material inlet was made into twice (10 mm) of Example 13, the coil yield fell to 15%.
[0026]
【The invention's effect】
As described above, by using the catalyst of the present invention, the coiled carbon fiber can be obtained in high yield, and in particular, when the production apparatus of the present invention is used, it can be easily scaled up. Play.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a conceptual diagram of a manufacturing apparatus according to the present invention.
FIG. 2 shows the coil yield with respect to the reaction temperature when a titanium sulfide (Ti ₃ S ₄ ) catalyst is used.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Reactor 2 Raw material gas introduction port 3 Waste gas discharge port 4 Endless belt 5 Catalyst 6 Internal heater 7 External heater 8 Water cooling part

Claims

遷移金属の酸化物、炭化物、硫化物、リン化物、炭酸化物、炭硫化物よりなる群から選ばれた１種又は複数の触媒の存在下、微量のチオフェンなどの硫黄系化合物あるいは三塩化リンなどのリン系化合物を含有するアセチレンガスを６００〜８５０℃の温度範囲で気相熱分解させることを特徴とするコイル状炭素繊維の製造方法。 In the presence of one or more catalysts selected from the group consisting of transition metal oxides, carbides, sulfides, phosphides, carbonates, and sulfides, trace amounts of sulfur compounds such as thiophene, phosphorus trichloride, etc. A process for producing a coiled carbon fiber, characterized in that acetylene gas containing a phosphorus compound is vapor-phase pyrolyzed in a temperature range of 600 to 850 ° C.

冷却部を有する原料ガス導入口と、これに対向する位置に廃ガス排出口とを有する反応容器内に、無端ベルトを設け、該無端ベルト上に触媒を塗布した基板あるいは金属板（触媒兼基板）を設置し、原料ガス導入口より導入された原料ガス流と基板とがほぼ直交するようにし、且つ、原料ガス導入口と基板との距離を１〜２０ｍｍに保つようにしたことを特徴とするコイル状炭素繊維製造装置。A substrate or a metal plate (catalyst and substrate) in which an endless belt is provided in a reaction vessel having a raw material gas inlet having a cooling unit and a waste gas outlet at a position opposite to this, and a catalyst is applied on the endless belt. ), The source gas flow introduced from the source gas inlet and the substrate are substantially orthogonal, and the distance between the source gas inlet and the substrate is maintained at 1 to 20 mm. Coiled carbon fiber manufacturing equipment.