JP3802259B2 - ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 - Google Patents
ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3802259B2 JP3802259B2 JP1672999A JP1672999A JP3802259B2 JP 3802259 B2 JP3802259 B2 JP 3802259B2 JP 1672999 A JP1672999 A JP 1672999A JP 1672999 A JP1672999 A JP 1672999A JP 3802259 B2 JP3802259 B2 JP 3802259B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- positive photosensitive
- photosensitive composition
- component
- group
- light
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
- Materials For Photolithography (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性平版印刷版、簡易校正印刷用プルーフ、配線板やグラビア用銅エッチングレジスト、フラットディスプレイ製造に用いられるカラーフィルター用レジスト、LSI製造用フォトレジスト等に使用される、主として近赤外線領域の光に対して高感度なポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版に関し、特に、半導体レーザーやYAGレーザー等による直接製版に好適なポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポジ型感光性組成物としては、例えば、光照射によりインデンカルボン酸を生じアルカリ可溶性となるo−キノンジアジド基含有化合物、o−ニトロカルビノールエステル基を有する有機高分子物質、或いは、光により酸を発生する化合物(光酸発生剤)と酸により加水分解を生じアルカリ可溶性となる化合物との組成物等が知られている。
【0003】
一方、コンピュータ画像処理技術の進歩に伴い、デジタル画像情報から、銀塩マスクフィルムへの出力を行わずに、レーザー光或いはサーマルヘッド等により、直接レジスト画像を形成する感光又は感熱ダイレクト製版システムが注目されている。特に、高出力の半導体レーザーやYAGレーザー等を用いる、高解像度のレーザー感光ダイレクト製版システムは、小型化、製版作業時の環境光、及び版材コスト等の面から、その実現が強く望まれている。
【0004】
これに対し、従来より、レーザー感光又は感熱を利用した画像形成方法としては、昇華転写色素を利用し色材画像を形成する方法並びに平版印刷版を作製する方法等が知られており、後者においては、具体的に、例えば、ジアゾ化合物の架橋反応を利用し平版印刷版を作製する方法、ニトロセルロースの分解反応を利用し平版印刷版を作製する方法等が知られている。
【0005】
近年、化学増幅型のフォトレジストに長波長光線吸収色素を組み合わせた技術が散見され、例えば、特開平6−43633号公報には、特定のスクアリリウム系色素、光酸発生剤、及びバインダーを含む画像形成材料が、又、特開平7−20629号公報には、赤外線吸収色素、潜伏性ブレンステッド酸、レゾール樹脂、及びノボラック樹脂を含む画像形成材料が、又、特開平7−271029号公報には、前記潜伏性ブレンステッド酸に代えs−トリアジン系化合物を用いた画像形成材料が、更に、特開平7−285275号公報には、結着剤、光を吸収し熱を発生する物質、及び熱分解性でありかつ分解しない状態では結着剤の溶解性を実質的に低下させる物質を含む画像形成材料が、それぞれ開示されている。
【0006】
又、これら従来の技術が、紫外線領域の光に対しても感応し、白色蛍光灯下における取扱時に反応が進行してしまい、そのため安定した品質のものが得られ難いという問題があるのに対して、特開平9−43847号公報には、アルカリ現像液に対して難溶性の樹脂と赤外線吸収剤を含有し、赤外線照射等により加熱されて結晶性を変化させてアルカリ可溶性となるが紫外線照射では変化しないポジ型組成物が、又、WO97/39894号明細書には、水性現像可能なポリマーと該ポリマーの水性現像性を抑止する化合物を含有し、加熱により水性現像性が向上するが紫外線照射では変化しない熱感受性のポジ型組成物が、それぞれ開示されている。
【0007】
これら特開平9−43847号公報及びWO97/39894号明細書に開示されるポジ型組成物は、露光により化学変化を生じる化合物を含有しその化学変化によって露光部と非露光部の溶解性に差異を生ぜしめる前述の従来技術における組成物とは異なり、化学変化以外の変化によって溶解性に差異を生ぜしめるものであると共に、紫外線領域の光に感受性を有する化合物を含まないため、白色蛍光灯下における取扱性に優れる等の利点を有する。
【0008】
しかしながら、本発明者等の検討によれば、前述の従来技術は、露光後に加熱処理を要するネガ型感光性組成物においては、その処理条件によって得られる画像が必ずしも安定しておらず、又、露光後の加熱処理を要しないポジ型感光性組成物においては、画像部(非露光部)と非画像部(露光部)とのコントラストが不十分で、その結果、非画像部が十分に除去されなかったり、画像部の残膜率が十分に保持されず、そのため現像条件の幅も狭い等の問題を有しており、特に、化学変化以外の変化によって露光部と非露光部の溶解性に差異を生ぜしめるような、特開平9−43847号公報及びWO97/39894号明細書に開示されるポジ型組成物においては、その傾向が顕著であることが判明した。
【0009】
これに対して、本願出願人は、紫外線領域の光に感受性を有する化合物を含有せず、近赤外線領域の光に対する光熱変換物質とアルカリ可溶性樹脂という光化学的変化を期待し得ない単純な系で、前述の問題もを解消したポジ画像を形成できる感光性組成物が得られることを見い出し、先に特許出願(特願平9−205789号)し、引き続いて、更なる改良を検討中であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の従来技術に鑑みてなされたものであって、紫外線領域の光に対しては感応せず、白色蛍光灯下における取扱性に優れると共に、画像部と非画像部とのコントラストに優れ、画像部の残膜率も十分に保持され、よって、現像条件の幅の広いポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、紫外線領域の光に感受性を有する化合物を含まない系において、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、主として近赤外線領域の光に対する光熱変換物質と特定のポリシロキサンをバインダー樹脂と共に用いた組成物が前記目的を達成できることを見い出し本発明を完成したものであって、即ち、本発明は、下記の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有してなり、且つ、o−キノンジアジド基含有化合物を含有しないポジ型感光性組成物、及び、下記の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有してなり、且つ、400ルクスの光強度の白色蛍光灯下に10時間放置した後の組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が、放置前に比して実質的変化を生じないポジ型感光性組成物、並びに、支持体表面に該感光性組成物からなる層が形成されてなるポジ型感光性平版印刷版、を要旨とする。
(A)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂
(B)画像露光光源の光を吸収して熱に変換する光熱変換物質
(C)オキシアルキレン骨格含有変性ポリシロキサン
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における(A)成分としての、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、フェノール性水酸基を有するアクリル酸誘導体の共重合体等が挙げられ、中で、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、又はポリビニルフェノール樹脂が好ましく、特に、ノボラック樹脂が好ましい。
【0013】
ノボラック樹脂は、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4,4’−ビフェニルジオール、ビスフェノール−A、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、フロログルシノール等のフェノール類の少なくとも1種を、酸性触媒下、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類(尚、ホルムアルデヒドに代えてパラホルムアルデヒドを、アセトアルデヒドに代えてパラアルデヒドを、用いてもよい。)、又は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、の少なくとも1種と重縮合させた樹脂であって、中で、本発明においては、フェノール類としてのフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシノールと、アルデヒド類又はケトン類としてのホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドとの重縮合体が好ましく、特に、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レゾルシノールの混合割合がモル比で40〜100:0〜50:0〜20:0〜20:0〜20の混合フェノール類、又は、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で1〜100:0〜70:0〜60の混合フェノール類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体が好ましい。尚、本発明のポジ型感光性組成物は後述する溶剤抑止剤を含有することが好ましく、その場合は、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レゾルシノールの混合割合がモル比で70〜100:0〜30:0〜20:0〜20:0〜20の混合フェノール類、又は、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で10〜100:0〜60:0〜40の混合フェノール類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体が好ましい。
【0014】
前記ノボラック樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(MW )が、好ましくは1,000〜15,000、特に好ましくは1,500〜10,000のものが用いられる。
【0015】
又、レゾール樹脂は、ノボラック樹脂の重縮合における酸触媒に代えてアルカリ触媒を用いる以外は同様にして重縮合させた樹脂であって、本発明においては、前記ノボラック樹脂におけると同様の、フェノール類及びその混合組成、及び、アルデヒド類又はケトン類が好ましく、又、同様の重量平均分子量(MW )のものが好ましい。
【0016】
又、ポリビニルフェノール樹脂は、例えば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレン、テトラヒドロキシスチレン、ペンタヒドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレン等のヒドロキシスチレン類(尚、これらは、ベンゼン環に塩素、臭素、沃素、弗素等のハロゲン原子、或いは炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい。)の単独又は2種以上を、ラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤の存在下で重合させた樹脂であって、中で、本発明においては、ベンゼン環に炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよいヒドロキシスチレン類の重合体が好ましく、特に、無置換のベンゼン環のヒドロキシスチレン類の重合体が好ましい。
【0017】
前記ポリビニルフェノール樹脂は、又、一部水素添加を行ったものでもよく、tert−ブトキシカルボニル基、ピラニル基、フリル基等で一部の水酸基を保護したものでもよい。
又、重量平均分子量(MW )が、好ましくは1,000〜100,000、特に好ましくは1,500〜50,000のものが用いられる。
【0018】
ノボラック樹脂、レゾール樹脂、及びポリビニルフェノール樹脂の分子量が、前記範囲よりよりも小さいとレジストとしての十分な塗膜が得られず、前記範囲よりも大きいとアルカリ現像液に対する溶解性が小さくなり、非画像部の抜けが不十分となってレジストのパターンが得られにくくなる傾向となる。
【0019】
本発明のポジ型感光性組成物における(A)成分としての前記アルカリ可溶性樹脂の含有割合は、1〜98重量%であるのが好ましく、5〜95重量%であるのが更に好ましく、20〜90重量%であるのが特に好ましい。
【0020】
本発明における(B)成分としての、画像露光光源の光を吸収して熱に変換する光熱変換物質としては、吸収した光を熱に変換し得る化合物であれば特に限定されないが、波長域650〜1300nmの近赤外線領域の一部又は全部に吸収帯を有する有機又は無機の顔料や染料、有機色素、金属、金属酸化物、金属炭化物、金属硼化物等が挙げられる中で、光吸収色素が特に有効である。これらの光吸収色素は、前記波長域の光を効率よく吸収する一方、紫外線領域の光は殆ど吸収しないか、吸収しても実質的に感応せず、白色灯に含まれるような弱い紫外線によっては感光性組成物を変成させる作用のない化合物である。
【0021】
これらの光吸収色素としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子等を含む複素環等がポリメチン(−CH=)n で結合された、広義の所謂シアニン系色素が代表的なものとして挙げられ、具体的には、例えば、キノリン系(所謂、シアニン系)、インドール系(所謂、インドシアニン系)、ベンゾチアゾール系(所謂、チオシアニン系)、イミノシクロヘキサジエン系(所謂、ポリメチン系)、ピリリウム系、チアピリリウム系、スクアリリウム系、クロコニウム系、アズレニウム系等が挙げられ、中で、キノリン系、インドール系、ベンゾチアゾール系、イミノシクロヘキサジエン系、ピリリウム系、又はチアピリリウム系が好ましく、又、その他に、インモニウム系色素、ジインモニウム系色素、フタロシアニン系色素等も代表的なものとして挙げられる。
【0022】
本発明においては、前記シアニン系色素の中で、キノリン系色素としては、特に、下記一般式(Ia) 、(Ib)、又は(Ic)で表されるものが好ましい。
【0023】
【化1】
【0024】
〔式(Ia)、(Ib)、及び(Ic)中、R1 及びR2 は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示し、L1 は置換基を有していてもよいトリ、ペンタ、又はヘプタメチン基を示し、該ペンタ又はヘプタメチン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素数5〜7のシクロアルケン環を形成していてもよく、キノリン環は置換基を有していてもよく、その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結して縮合ベンゼン環を形成していてもよい。X- は対アニオンを示す。〕
【0025】
ここで、式(Ia)、(Ib)、及び(Ic)中のR1 及びR2 における置換基としては、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、又はフェニル基等が挙げられ、L1 における置換基としては、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン原子等が挙げられ、キノリン環における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子等が挙げられる。
【0026】
又、インドール系、及びベンゾチアゾール系色素としては、特に、下記一般式(II)で表されるものが好ましい。
【0027】
【化2】
【0028】
〔式(II)中、Y1 及びY2 は各々独立して、ジアルキルメチレン基又は硫黄原子を示し、R3 及びR4 は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示し、L2 は置換基を有していてもよいトリ、ペンタ、又はヘプタメチン基を示し、該ペンタ又はヘプタメチン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素数5〜7のシクロアルケン環を形成していてもよく、縮合ベンゼン環は置換基を有していてもよく、その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結して縮合ベンゼン環を形成していてもよい。X- は対アニオンを示す。〕
【0029】
ここで、式(II)中のR3 及びR4 における置換基としては、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、又はフェニル基等が挙げられ、L2 における置換基としては、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン原子等が挙げられ、ベンゼン環における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子等が挙げられる。
【0030】
又、イミノシクロヘキサジエン系色素としては、特に、下記一般式(III) で表されるものが好ましい。
【0031】
【化3】
【0032】
〔式(III) 中、R5 、R6 、R7 、及びR8 は各々独立して、アルキル基を示し、R9 及びR10は各々独立して、置換基を有していてもよいアリール基、フリル基、又はチエニル基を示し、L3 は置換基を有していてもよいモノ、トリ、又はペンタメチン基を示し、該トリ又はペンタメチン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素数5〜7のシクロアルケン環を形成していてもよく、キノン環及びベンゼン環は置換基を有していてもよい。X- は対アニオンを示す。〕
【0033】
ここで、式(III) 中のR9 及びR10として具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基等が挙げられ、それらの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、又はハロゲン原子等が挙げられ、L3 における置換基としては、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン原子等が挙げられ、キノン環及びベンゼン環における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子等が挙げられる。
【0034】
又、ピリリウム系、及びチアピリリウム系色素としては、特に、下記一般式(IVa) 、(IVb) 、又は(IVc) で表されるものが好ましい。
【0035】
【化4】
【0036】
〔式(IVa) 、(IVa) 、及び(IVc) 中、Y3 及びY4 は各々独立して、酸素原子又は硫黄原子を示し、R11、R12、R13、及びR14は各々独立して、水素原子又はアルキル基、又は、R11とR13、及びR12とR14が互いに連結して炭素数5又は6のシクロアルケン環を形成していてもよく、L4 は置換基を有していてもよいモノ、トリ、又はペンタメチン基を示し、該トリ又はペンタメチン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素数5〜7のシクロアルケン環を形成していてもよく、ピリリウム環及びチアピリリウム環は置換基を有していてもよく、その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結して縮合ベンゼン環を形成していてもよい。X- は対アニオンを示す。〕
【0037】
ここで、式(IVa) 、(IVa) 、及び(IVc) のL4 における置換基としては、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン原子等が挙げられ、ピリリウム環及びチアピリリウム環における置換基としては、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
【0038】
尚、前記一般式(Ia 〜c)、(II)、(III) 、及び(IVa〜c)における対アニオンX- としては、例えば、Cl- 、Br- 、I- 、ClO4 - 、PF6 - 、及び、BF4 - 等の無機硼酸等の無機酸アニオン、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、酢酸、及び、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、メトキシフェニル、ナフチル、ジフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、チエニル、ピロリル等の有機基を有する有機硼酸等の有機酸アニオンを挙げることができる。これらの中で、有機硼酸アニオンを対イオンに有する色素は、塗布溶剤に対する溶解性に優れるので、低沸点の溶剤の使用が可能となること等から、好ましい。
【0039】
以上、前記一般式(Ia 〜c)で表されるキノリン系色素、前記一般式(II)で表されるインドール系又はベンゾチアゾール系色素、前記一般式(III) で表されるイミノシクロヘキサジエン系色素、及び前記一般式(IVa〜c)で表されるピリリウム系又はチアピリリウム系色素の各具体例を以下に示す。
【0040】
【化5】
【0041】
【化6】
【0042】
【化7】
【0043】
【化8】
【0044】
【化9】
【0045】
【化10】
【0046】
【化11】
【0047】
【化12】
【0048】
【化13】
【0049】
【化14】
【0050】
更に、光吸収色素として、「特殊機能色素」(池森・柱谷編集、1986年、(株)シーエムシー発行)、「機能性色素の化学」(檜垣編集、1981年、(株)シーエムシー発行)、「色素ハンドブック」(大河・平嶋・松岡・北尾編集、講談社発行)、日本感光色素研究所が1995年に発行したカタログ、Exciton Inc.が1989年に発行したレーザー色素カタログ、Epolin Inc.が1996年に発行したカタログ「Epolite」等に記載の近赤外領域に吸収を有する色素が挙げられ、これらの中で、日本感光色素研究所の「NK−123」、「NK−124」、「NK−2204」、「NK−2268」、「NK−2545」、「NK−2674」、「NK−3027」、「NK−3508」、「NK−3555」、「NKX−113」、「NKX−114」、「NKX−1199」等、Exciton Inc.の「IR−26」、「IR−132」、「IR−140」、「DNTPC−P」、「DNDTPC−P」、「Q−Switch5」等、Epolin Inc.の「Epolite III−57」、「Epolite III−117」、「Epolite III−130」、「Epolite III−178」、「Epolite III−184」、「Epolite III−189」、「Epolite III−192」、「Epolite IV−62A」、「Epolite V−63」、「Epolite V−73」、「Epolite V−99」、「Epolite V−149」等が好適である。
【0051】
本発明のポジ型感光性組成物における(B)成分としての前記光熱変換物質の含有割合は、0.5〜70重量%であるのが好ましく、1〜60重量%であるのが更に好ましく、2〜50重量%であるのが特に好ましい。
【0052】
本発明における(C)成分としてのポリシロキサンは、オキシアルキレン骨格含有変性ポリシロキサンであることが必須であり、未変性のポリシロキサン、又は、前記以外の変性ポリシロキサンでは、本発明の目的を達成することができない。
【0053】
ここで、ポリシロキサンとしては、具体的には、ポリジメチルシロキサンが代表的なものとして挙げられ、その他に、例えば、そのメチル基の一部が水素、水酸基、他アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はフェニル基等で置換されたポリシロキサンが挙げられる。
【0054】
又、オキシアルキレン骨格としては、具体的には、例えば、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、オキシネオペンチル、オキシトリメチレン、オキシテトラメチレン、オキシペンタメチレン、オキシヘキサメチレン等の単量体骨格のもの、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシトリメチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシペンタメチレン、ポリオキシヘキサメチレン等の単独重合体骨格のもの、ポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)共重合体等の共重合体骨格のもの等が挙げられ、中で、重合体骨格のものが好ましい。尚、これらのオキシアルキレン骨格は、水酸基、アルキル基等の置換基を有していてもよい。
【0055】
これらのオキシアルキレン骨格含有変性ポリシロキサンは、シロキサンと、前記の如きオキシアルキレン骨格を含有する化合物とを共重合するか、或いはポリシロキサンを、前記の如きオキシアルキレン骨格を含有する化合物で後変性する等により、ポリシロキサン骨格にオキシアルキレン骨格を導入することにより得られるが、本発明においては、中で、シロキサンと、前記重合体骨格のポリオキシアルキレンとの共重合体が好ましい。
【0056】
又、本発明における前記変性ポリシロキサンとしては、オキシアルキレン骨格を5〜95重量%含有するものであるのが好ましい。
【0057】
尚、これらのオキシアルキレン骨格含有変性ポリシロキサンは、例えば、ビックケミー社より、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンとして、「BYK−300」、「BYK−302」、「BYK−306」、「BYK−307」、「BYK−310」、「BYK−330」、「BYK−331」、「BYK−333」、「BYK−335」、「BYK−341」、「BYK−344」、「BYK−346」、「BYK−348」等のグレード名で、又、ポリオキシアルキレン変性メチルアルキルポリシロキサンとして、「BYK−325」等のグレード名で、又、ポリオキシアルキレン変性メチルヒドロキシポリシロキサンとして、「BYK−375」等のグレード名で、又、オキシポリメチレン変性ジメチルポリシロキサンとして、「BYK−022」等のグレード名で、それぞれ市販されている。
【0058】
本発明のポジ型感光性組成物における(C)成分としての前記変性ポリシロキサンの含有割合は、0.1〜20重量%であるのが好ましく、0.3〜10重量%であるのが更に好ましく、0.5〜5重量%であるのが特に好ましい。
【0059】
尚、本発明のポジ型感光性組成物には、前記(A)成分のアルカリ可溶性樹脂、前記(B)成分の光熱変換物質、及び前記(C)成分の変性ポリシロキサンの他に、例えば、ビクトリアピュアブルー(42595)、クリスタルバイオレット(42555)、クリスタルバイオレットラクトン、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニンOK70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、ファーストブラックHB(26150)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラーファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4T−564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッドB4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(74160)、リオノールブルーSM(26150)等の顔料又は染料等の着色剤が含有されていてもよい。尚、ここで、前記の括弧内の数字はカラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0060】
本発明のポジ型感光性組成物における前記着色剤の含有割合は、0〜50重量%であるのが好ましく、1〜30重量%であるのが更に好ましく、2〜20重量%であるのが特に好ましい。
【0061】
本発明のポジ型感光性組成物には、前記成分以外に、例えば、塗布性改良剤、現像性改良剤、密着性改良剤、感度改良剤、感脂化剤等の通常用いられる各種の添加剤が更に10重量%以下、好ましくは0.1〜5重量%の範囲で含有されていてもよい。
【0062】
しかし、本発明のポジ型感光性組成物は、o−キノンジアジト基含有化合物は含有しないものであって、該化合物に基づく化学的変化を伴わずに露光部にアルカリ現像液に対する溶解性を付与するものである。
【0063】
又、本発明のポジ型感光性組成物は、紫外線領域の光に対して感応せず、具体的には、400ルクスの光強度の白色蛍光灯下に10時間放置した後も、アルカリ現像液に対する溶解性が実質的変化を生じないものである。
【0064】
本発明の前記ポジ型感光性組成物は、通常、前記各成分を適当な溶媒に溶解した溶液として支持体表面に塗布した後、加熱、乾燥することにより、支持体表面に感光性組成物層が形成されたポジ型感光性平版印刷版とされる。
【0065】
ここで、その溶媒としては、使用成分に対して十分な溶解度を持ち、良好な塗膜性を与えるものであれば特に制限はないが、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール系溶媒、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル系溶媒、ヘプタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール等のアルコール系溶媒、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の高極性溶媒、酢酸、あるいはこれらの混合溶媒、更にはこれらに芳香族炭化水素を添加したもの等が挙げられる。溶媒の使用割合は、感光性組成物の総量に対して、通常、重量比で1〜20倍程度の範囲である。
【0066】
又、その塗布方法としては、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布、及びカーテン塗布等を用いることができる。塗布量は用途により異なるが、乾燥膜厚として、通常、0.3〜7μm、好ましくは0.5〜5μm、特に好ましくは1〜3μmの範囲とする。尚、その際の乾燥温度としては、例えば、60〜170℃程度、好ましくは70〜150℃程度、乾燥時間としては、例えば、5秒〜10分間程度、好ましくは10秒〜5分間程度が採られる。
【0067】
尚、本発明の効果を一層確実ならしめるために、例えば、40〜100℃程度、好ましくは40〜70℃程度の温度で、1分〜50時間程度、好ましくは30分〜20時間程度の加熱処理を施すことが好ましい。
【0068】
又、その支持体としては、アルミニウム、亜鉛、銅、鋼等の金属板、アルミニウム、亜鉛、銅、鉄、クロム、ニッケル等をメッキ又は蒸着した金属板、紙、樹脂を塗布した紙、アルミニウム等の金属箔を貼着した紙、プラスチックフィルム、親水化処理したプラスチックフィルム、及びガラス板等が挙げられる。中で、好ましいのはアルミニウム板であり、塩酸又は硝酸溶液中での電解エッチング又はブラシ研磨による砂目立て処理、硫酸溶液中での陽極酸化処理、及び必要に応じて封孔処理等の表面処理が施されたアルミニウム板がより好ましい。又、支持体表面の粗さとしては、JIS B0601に規定される平均粗さRa で、通常、0.3〜1.0μm、好ましくは0.4〜0.8μm程度とする。
【0069】
本発明でのポジ型感光性組成物層を画像露光する光源としては、主として、HeNeレーザー、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、HeCdレーザー、半導体レーザー、ルビーレーザー等のレーザー光源が挙げられるが、特に、光を吸収して発生した熱により画像形成させる場合には、650〜1300nmの近赤外レーザー光線を発生する光源が好ましく、例えば、ルビーレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、LED等の固体レーザーを挙げることができ、特に、小型で長寿命な半導体レーザーやYAGレーザーが好ましい。これらの光源により、通常、走査露光した後、現像液にて現像し画像が形成される。
【0070】
尚、レーザー光源は、通常、レンズにより集光された高強度の光線(ビーム)として感光性組成物層表面を走査するが、それに感応する本発明での感光性組成物層の感度特性(mJ/cm2 )は受光するレーザービームの光強度(mJ/s・cm2 )に依存することがある。ここで、レーザービームの光強度は、光パワーメーターにより測定したレーザービームの単位時間当たりのエネルギー量(mJ/s)を感光性組成物層表面におけるレーザービームの照射面積(cm2 )で除することにより求めることができる。レーザービームの照射面積は、通常、レーザーピーク強度の1/e2 強度を越える部分の面積で定義されるが、簡易的には相反則を示す感光性組成物を感光させて測定することもできる。
【0071】
本発明において、光源の光強度としては、2.0×106 mJ/s・cm2 以上とすることが好ましく、1.0×107 mJ/s・cm2 以上とすることが特に好ましい。光強度が前記範囲であれば、本発明でのポジ型感光性組成物層の感度特性を向上させ得る、走査露光時間を短くすることができ実用的に大きな利点となる。
【0072】
本発明の前記ポジ型感光性平版印刷版を画像露光したポジ型感光体の現像に用いる現像液としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、第二燐酸ナトリウム、第三燐酸ナトリウム、第二燐酸アンモニウム、第三燐酸アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硼酸アンモニウム等の無機アルカリ塩、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等の有機アミン化合物の0.1〜5重量%程度の水溶液からなるアルカリ現像液を用いる。中で、無機アルカリ塩である珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等のアルカリ金属の珪酸塩が好ましい。
【0073】
尚、現像液には、必要に応じて、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤や、アルコール等の有機溶媒を加えることができる。
【0074】
尚、現像は、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等により、通常、好ましくは10〜50℃程度、特に好ましくは15〜45℃程度の温度でなされる。
【0075】
【作用】
本発明のポジ型感光性組成物は、前記アルカリ可溶性樹脂と前記光熱変換物質、及び前記変性ポリシロキサンを必須成分とし、前述の如く着色剤、及び現像性改良剤等の添加剤を含有することを許容するが、紫外線領域の光に感受性を有する化合物を含有せず、従来よりポジ型感光性組成物として知られている、アルカリ可溶性樹脂と感光性付与成分としての0−キノンジアジド基含有化合物やジアゾニウム塩等との組成物とは明確に区別される。即ち、0−キノンジアジド基含有化合物やジアゾニウム塩等を含有する従来のポジ型感光性組成物は、紫外光の照射により0−キノンジアジド基含有化合物やジアゾニウム塩等のジアゾ部分が光分解してカルボン酸が生成することによってアルカリ可溶性樹脂のアルカリ可溶性が増加し、露光部がアルカリ現像液に溶解することによって画像が形成されると考えられているのに対し、本発明のポジ型感光性組成物は、露光によるかかる化学的変化を伴わず、基本的には、光熱変換物質によって吸収された光エネルギーが熱に変換され、その熱を受けた部分のアルカリ可溶性樹脂がコンフォメーション変化等の何らかの化学変化以外の変化を起こし、その部分のアルカリ可溶性が高まることによって、アルカリ現像液により画像が形成されるものと考えられ、このことの詳細は、本願出願人による特願平9−205789号明細書に記載されている。
【0076】
そして、本発明の如く光熱変換物質の作用に基づく感光性組成物層においては、その表面近傍に比し支持体との界面近傍では、光吸収効率が低いと共に、光吸収により発生した熱が支持体へ熱拡散すること等から、現像液に対する溶解性の賦与効果が小さい。従って、露光部(非画像部)の支持体近傍での感光層の抜け性が不十分となり、画像部と非画像部とのコントラストが劣るとか、非画像部の十分な抜けを求めると画像部の膜減りが発生するとかの問題があったのに対して、本発明は、その問題を特定の変性ポリシロキサンを用いることによって解決したものである。
【0077】
本発明の感光性組成物がポジ型画像形成性を高め得る理由の詳細は不明であるが、特定の変性ポリシロキサンのオキシアルキレン骨格部が、フェノール性水酸基含有アルカリ可溶性樹脂に水素結合により架橋構造を形成せしめると共に、ポリシロキサン骨格部が感光性組成物層の表面に配向し、光照射時の光熱変換物質の光吸収により発生した熱によりその架橋構造が緩和又は解離することによって、露光部においてはアルカリ現像液に対する十分な抜け性が発現し、一方、非露光部においては十分な残膜率を保持し得ることになるものと推定される。
【0078】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0079】
実施例1〜3、比較例1〜4
アルミニウム板(厚さ0.24mm)を、3重量%の水酸化ナトリウム水溶液中で60℃で1分間脱脂処理を行った後、12g/リットルの濃度の塩酸水溶液中で、温度25℃、電流密度80A/dm2 、処理時間10秒の条件で電解エッチング処理を行った。次いで10g/リットルの水酸化ナトリウム水溶液中で50℃、3秒間のデスマット処理を施した後、30重量%硫酸溶液中で、温度30℃、電流密度10A/dm2 、処理時間15秒の条件で陽極酸化処理を行った。更に、90℃の熱水で熱水封孔処理を行い、平版印刷版支持体用のアルミニウム板を作製した。表面粗度計(小坂研究所社製、「SE−3DH」)によるこの板の平均粗さRaの値は0.60μmであった。
【0080】
得られたアルミニウム板支持体表面に、(A)成分として、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で20:50:30の混合フェノール類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体からなるノボラック樹脂(MW 9,400)100重量部、(B)成分として前記具体例(II-8)で示したインドール系色素4重量部、(C)成分として下記のポリシロキサン又は界面活性剤2重量部、及びクリスタルバイオレットラクトン10重量部を、メチルセロソルブ/エチルセロソルブの重量比8/2の混合溶媒1000重量部に溶解した塗布液をワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥させた後、55℃で16時間、加熱処理することにより、塗膜量2.5g/m2 のポジ型感光性組成物層を有するポジ型感光性平版印刷版を作製した。
【0081】
(C)成分
▲1▼ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン(ビックケミー社製「BYK−333」)
▲2▼ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン(ビックケミー社製「BYK−302」)
▲3▼オキシポリメチレン変性ジメチルポリシロキサン(ビックケミー社製「BYK−022」)
【0082】
▲4▼(比較例用)ポリオキシエチレンソルビットテトラオレエート(日光ケミカルズ社製「NIKKOL GO−430」)
▲5▼(比較例用)ポリオキシエチレン(東邦化学工業社製「PEG#2000」)
▲6▼(比較例用)アラルキル変性ジメチルポリシロキサン(ビックケミー社製「BYK−322」)
【0083】
得られたポジ型感光性平版印刷版につき、830nmの半導体レーザーを光源とする露光装置(クレオ社製、「Trend Setter 3244T」)を用いて140mJ/cm2 で175線、3〜97%の網点画像を画像露光し、次いで、アルカリ現像液(富士写真フィルム社製「DP−4」の7倍又は8倍希釈液)に28℃で30秒、40秒、50秒、又は60秒間浸漬した後、水洗し現像を行った。非露光部における現像前後の反射濃度を反射濃度計(マクベス社製「RD−514」)を用いて測定し、感光性組成物層形成前の支持体表面の反射濃度の値を差引いたそれぞれの値の比から残膜率を求め、以下の基準で評価し、結果を表1に示した。
【0084】
A:残膜率95%以上。
B:残膜率90%以上、95%未満。
C:残膜率90%未満。
D:露光部に残膜が生じ、ポジ画像が形成できず。
【0085】
又、一方、前記で得られたポジ型感光性平版印刷版を白色蛍光灯(三菱電機社製36W白色蛍光灯「ネオルミスーパーFLR40S−W/M/36」)の400ルクスの光強度照射下に10時間放置した後、前記と同様の現像処理を行って、前記と同様に反射濃度計を用いて反射濃度を測定して残膜率を求め、白色蛍光灯下における取扱性を評価したが、いずれの実施例及び比較例においても、実質的な膜減りは認められなかった。
【0086】
【表1】
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外線領域の光に対しては感応せず、白色蛍光灯下における取扱性に優れると共に、画像部と非画像部とのコントラストに優れ、画像部の残膜率も十分に保持され、よって、現像条件の幅の広いポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版を提供することができる。
Claims (6)
- 下記の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有してなり、且つ、o−キノンジアジド基含有化合物を含有しないことを特徴とするポジ型感光性組成物。
(A)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂
(B)画像露光光源の光を吸収して熱に変換する光熱変換物質
(C)オキシアルキレン骨格含有変性ポリシロキサン - 下記の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有してなり、且つ、400ルクスの光強度の白色蛍光灯下に10時間放置した後の組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が、放置前に比して実質的変化を生じないことを特徴とするポジ型感光性組成物。
(A)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂
(B)画像露光光源の光を吸収して熱に変換する光熱変換物質
(C)オキシアルキレン骨格含有変性ポリシロキサン - (C)成分がジメチルポリシロキサンとポリオキシアルキレンとの共重合体である請求項1又は2に記載のポジ型感光性組成物。
- (B)成分が近赤外線吸収能を有するシアニン系色素である請求項1乃至3のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
- (A)成分がノボラック樹脂である請求項1乃至4のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
- 支持体表面に、請求項1乃至5のいずれかに記載のポジ型感光性組成物の層が形成されてなることを特徴とするポジ型感光性平版印刷版。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1672999A JP3802259B2 (ja) | 1999-01-26 | 1999-01-26 | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1672999A JP3802259B2 (ja) | 1999-01-26 | 1999-01-26 | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000214591A JP2000214591A (ja) | 2000-08-04 |
JP3802259B2 true JP3802259B2 (ja) | 2006-07-26 |
Family
ID=11924363
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1672999A Expired - Fee Related JP3802259B2 (ja) | 1999-01-26 | 1999-01-26 | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3802259B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002123002A (ja) * | 2000-10-13 | 2002-04-26 | Mitsubishi Chemicals Corp | ポジ型感光性平版印刷版の製版方法 |
WO2006137261A1 (ja) * | 2005-06-21 | 2006-12-28 | Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. | 感光性組成物、感光性平版印刷版材料および平版印刷版材料の画像形成方法 |
-
1999
- 1999-01-26 JP JP1672999A patent/JP3802259B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000214591A (ja) | 2000-08-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0934822B1 (en) | Positive photosensitive composition, positive photosensitive lithographic printing plate and method for forming a positive image | |
JP3731356B2 (ja) | ポジ型感光性組成物、感光性平版印刷版及びポジ画像の形成方法 | |
JP2002189294A (ja) | ポジ型画像形成材料 | |
JP3802259B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 | |
JP4615673B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 | |
JP3836617B2 (ja) | ポジ型感光性組成物、ポジ型感光性平版印刷版及びポジ画像形成方法 | |
JP4563556B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 | |
JP3949884B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 | |
JP3833840B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 | |
JP3946940B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 | |
JP3860361B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版、並びにポジ画像形成方法 | |
JP4006665B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版、並びにポジ画像形成方法 | |
JP3772542B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 | |
JP3681268B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及び感光性平版印刷版 | |
JPH11327163A (ja) | ポジ画像形成方法 | |
JP3949882B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 | |
JP4475486B2 (ja) | ポジ型感光性平版印刷版及びその製版方法 | |
JP3802270B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 | |
JP4068320B2 (ja) | ポジ型感光性組成物、ポジ型感光性平版印刷版及びそれを用いたポジ画像形成方法 | |
JP4377392B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 | |
JP4417528B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 | |
JP3802230B2 (ja) | ポジ型感光体の現像方法及びそれに用いる現像液 | |
JP4584487B2 (ja) | ポジ型画像形成材及びそれを用いたポジ画像形成方法 | |
JP2001296653A (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 | |
JP3717027B2 (ja) | ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20050511 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051027 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051115 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20051118 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20051108 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060328 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060427 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512 Year of fee payment: 4 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120512 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130512 Year of fee payment: 7 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130512 Year of fee payment: 7 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130512 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |