JP3799249B2 - 撹拌装置及び該装置を用いるポリマーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な撹拌装置に関するものである。さらに詳しくは、セルフクリーニング機能を有する撹拌装置に関するものである。また、本発明は、この装置を使用し、飽和及び不飽和のポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート等の高粘度重縮合体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、合成ポリマーの製造装置として、混合性能、伝熱性能が高く、さらに、ポリマーの滞留を積極的に防止する機能、すなわち、セルフクリーニング機能を持った撹拌装置が望まれることが多い。
【0003】
特に、光学用途で用いられることが多いポリマーを製造するには、品質上、撹拌装置におけるセルフクリーニング機構が極めて重要である。このため、従来から、特に付着性の強い粘ちょうな物質を処理するためのものとして、セルフクリーニング機構を持つ撹拌装置が提案されている。
【0004】
かかるセルフクリーニング機構を持つ撹拌装置としては、容器内に2軸以上の撹拌軸を設け、それらに撹拌ロータを取り付け、撹拌ロータ相互間及び撹拌ロータと容器内壁との隙間を僅かに保ち、機械的に容器内壁への付着物の生成を可能な限り防止しようとする装置が挙げられる(特開昭63−232828号公報)。
【0005】
かかる装置は、容器内に配設されて同期して回転駆動される複数の撹拌軸と、前記各撹拌軸に固定されて撹拌作用をなす複数の撹拌ロータとを具えてなる撹拌装置であって、前記撹拌ロータを軸方向に間隔を空けて取り付けるとともに、前記撹拌ロータの先端部に前記間隔にほぼ相当する長さを有するスクレーパを前記撹拌軸と平行に取り付けたものである。
【0006】
この装置では、撹拌作用と同時にセルフクリーニング作用が行われる。すなわち、各撹拌ロータの尖端稜線部が容器内壁に近接して移動すること、一方の撹拌軸の撹拌ロータと他方の撹拌軸の撹拌ロータの曲面状周面は相互にそれらの尖端が近接して移動すること、撹拌ロータ平面状側面とそれらに対向する撹拌ロータの平面状側面が近接して相対移動すること、等によってセルフクリーニングされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなセルフクリーニング機能を有する従来の装置においては、通常、容器の底部に液供給口が設けられ、供給口付近で被処理液の流れが不安定となる欠点があった。そのため液供給口の近傍の撹拌ロータを供給液で均一に濡らすことが困難であり、撹拌ロータの表面に気液の界面が生じ、界面付近で劣化物が生成するという問題点があった。
【0008】
特に、ポリマーの高粘度流体を撹拌混和する場合においては、この傾向が顕著であり、供給口近傍では気相と液相との境界が生じ、その界面付近ではポリマーが劣化しやすく、セルフクリーニング性が不十分な場合は、製品品質の維持のため装置の洗浄間隔を短くせざるを得ず、運転コストを増大せしめる大きな要因となっていた。
【0009】
本発明は、このような従来の撹拌装置における問題点を解決することを目的とするものであり、セルフクリーニング性を改善し、直線状の飽和及び不飽和のポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート等の重縮合体を製造することのできる装置、及び該装置を用い低運転コストで連続的に高品質のポリマーを製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、実質的に水平に設置した筒体状の容器内に平行をなして配設されて同期して同方向に回転駆動される2本の撹拌軸を併設し、各撹拌軸の軸回りに90度ずらして固定され軸方向に間隔をあけて撹拌軸に取り付けられた撹拌作用をなす複数の撹拌ロータを具えた撹拌装置において、該容器への液供給口を、該容器を外側から見た場合に、撹拌軸の回転が反時計回りのときは左側の撹拌軸の中心から垂直上方を起点とし、撹拌軸の回転方向を正として、−45度から+90度(ただし−45度を除く)までの範囲に対応する該容器の鏡板又は円筒上に設置し、撹拌軸の回転が時計回りのときは右側の撹拌軸の中心から垂直上方を起点とし、撹拌軸の回転方向を正として、−45度から+90度(ただし−45度を除く)までの範囲に対応する該容器の鏡板又は円筒上に設置することを特徴とする撹拌装置である。
【0011】
また、本発明は、予め重縮合せしめた重縮合体を本発明の装置によって、さらに重合せしめることを特徴とするポリマーの製造方法である。そして、本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重合せしめて得られたポリカーボネートを本発明の撹拌装置に供給し、該装置にて減圧下で溶融撹拌することにより、さらに重合せしめることを特徴とするポリカーボネートの製造方法を包含する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の撹拌装置の具体例を図面に従って詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の撹拌装置の一例を示す水平断面図、図2は図1のA−A’垂直断面図である。図3は、図1及び図2の装置を撹拌軸方向から見た断面の模式図である。
【0014】
(容器)
本発明の撹拌装置において、容器1は実質的に水平に設置され、該容器1の内壁は撹拌軸2及び撹拌軸3をそれぞれ中心とする2個の円筒壁を繋げたような形の繭型断面を有している。なお、容器1の断面形状は繭型が好適であるが、これに限定されるものではない。
【0015】
(撹拌軸)
容器1内には、該容器の長手方向へほぼ水平に伸びた2本の撹拌軸2、3が設けられており、これら2本の撹拌軸2、3は互いに平行に軸受けで支持され、各々の撹拌軸2、3は図示しない駆動源によって、図中矢印のように同一回転方向に同一回転速度で互いに同期して回転駆動されるようになっている。
【0016】
(撹拌ロータ)
各撹拌軸2、3には、それぞれ複数の撹拌ロータが、撹拌軸と直交する面内に沿って所定間隔を隔てて固定されている。各撹拌ロータは、図3〜7に示すごとく、中央部が膨らみ両端が尖った紡錘形断面を持つ厚肉板状に形成されているが、その形状は適宜選択できる。また、各撹拌軸に固定する撹拌ロータの数も適宜選択できるが、各撹拌軸の全体にわたってほぼ均等に撹拌ロータを配置するのが適当である。図4で示すようにロータの直径をDとすると、ロータの曲率半径はD/√2であることが好ましい。
【0017】
各撹拌軸に固定した撹拌ロータは、それぞれ、図1、図2、図11、図12に示すように、その回転角度位置に応じて僅かな隙間を隔てて、容器1の円筒内壁あるいは隣接して対応する隣接の撹拌軸に固定した撹拌ロータに対向し得るようにその寸法が選定されている。
【0018】
すなわち、一方の撹拌軸2には所定の間隔を隔てて複数(図1、図2では19個)の撹拌ロータ4a、4b、4c、…4sが固定されている。これらの撹拌ロータは撹拌軸2に対してそれと直交する面内に沿って取り付けられている。また、これらの撹拌ロータはその回転角度位置に応じて僅かな隙間を隔てて前記1の円筒壁あるいは他方の撹拌軸3に固定された対応する撹拌ロータ5a、5b、5c、…5sに対向し得るようにその寸法が選定されている。
【0019】
一方、撹拌軸3にも、同様に複数(図1、図2では撹拌軸2の撹拌ロータと同数の19個)の撹拌ロータ5a、5b、5c、…5sが固定されている。各撹拌ロータはそれぞれ相対する撹拌軸2の対応する撹拌ロータに対応してそれと同じ軸方向位置に位置し、各々対応する撹拌ロータに対して各々位相が90度ずれた形で撹拌軸3に取り付けられている。
【0020】
いずれの撹拌ロータも、その各尖端が、回転角度位置に応じて僅かな隙間を隔てて容器1の円筒内壁あるいは各々対応する撹拌ロータに対向し得るようになっている。さらに、その側面はそれぞれ隣接して対応する撹拌ロータに対して軸方向に僅かな隙間を隔てて対向している。そして、撹拌軸2に固定した撹拌ロータと撹拌軸3に固定した撹拌ロータは、それぞれ相手方の撹拌ロータに対応してそれと同じ軸方向に位置し、かつ対応する撹拌ロータに対して各々位相が90度ずれた形で撹拌軸に取り付けられている。さらに各撹拌ロータの側面はそれぞれ隣接して対応する撹拌ロータに対して軸方向に僅かな隙間を隔てて対向している。
【0021】
(スクレーパ)
図1〜3に示す装置では各撹拌ロータにはスクレーパを設けていないが、図11〜13に示す装置のように各撹拌ロータ尖端にスクレーパを具えてもよく、その方が好ましい場合も多い。撹拌ロータの尖端部分にスクレーパを設けた場合には、セルフクリーニング性をさらに向上させることができる。
【0022】
スクレーパは、撹拌ロータの先端部に、撹拌軸と平行に取り付けることが好ましい。その形状は、外面が該撹拌ロータの外周面と一致して図13の12で示す如き擬三角形断面をなしていることが好ましい。また、スクレーパの長さ13は、図12で示すように撹拌ロータの間隔と同程度にすることが好ましい。
【0023】
(液出口)
通常、液出口9は容器1の円筒10の下部に取り付けられることが多い。
【0024】
(液供給口)
本発明は、液供給口8を容器1の鏡板6又は円筒10上に開口せしめ、かつ、その位置を以下のように選定することを特徴とするものである。
【0025】
本発明において、容器1への液供給口8は、図4〜図7に斜線で示す位置に設けられる。図4〜図7は本発明の撹拌装置を外側から見たときの液供給口の位置を説明する模式図である。
【0026】
本発明の撹拌装置において、被処理溶液は、鏡板6又は円筒10に設けた図4〜図7に斜線で示す範囲内に設けた液供給口から、容器1内に導入され、撹拌軸2、3が回転駆動することで各撹拌ロータの移動により、十分撹拌された後、液出口9から取り出される。
【0027】
本発明の撹拌装置は、従来の装置では溶液の供給口が設けられていない特定の位置に液供給口を設置したことを最大の特徴とするものである。
【0028】
すなわち、該容器を外側から見た場合に、図4、図5に示すように撹拌軸の回転が反時計回りのときは、液供給口8を、左側の撹拌軸2の中心から垂直上方11を起点とし、撹拌軸の回転方向を正として、−45度〜+90度の範囲に対応する該容器の鏡板6(図4に示す)又は円筒10上(図5に示す)に設置する。
【0029】
また、図6、図7に示すように撹拌軸の回転が時計回りのときは、液供給口8を、右側の撹拌軸の中心から垂直上方を起点とし、撹拌軸の回転方向を正として、−45度〜+90度の範囲に対応する、該容器の鏡板6(図6に示す)又は円筒10上(図7に示す)に投影した範囲内に設置したことを最大の特徴とするものである。図8、9は、液供給口8を示す装置の垂直断面図である。
【0030】
本発明は、横型撹拌装置においては、図10に示す第II象限が最も撹拌装置内部の溶液滞留量が低下するということを見出したことに基づく。
【0031】
すなわち、図10に示すように横型撹拌装置は一般的に、主に重力と撹拌ロータの回転運動との影響により、撹拌軸の垂直上方の円筒上の点を起点として回転方向を正とすると、装置の円筒の撹拌軸の中心を通る水平面より上方である図10に示す第II象限が最も撹拌装置内部の溶液滞留量が低下するため、前記範囲に溶液を供給することで、装置内の滞留量の不均一化を解消することができることを見出したことに基づくものである。
【0032】
従来の装置において、撹拌軸の回転方向が反時計回りの場合、図10に示すようにx−y座標系をとると、y≧0の範囲(第I象限、第II象限)とy<0の範囲(第III象限、第IV象限)とでは、重力の影響により、y≧0の方がポリマーの滞留量は少ない。また、x≧0の範囲(第I象限、第IV象限)とx<0範囲(第II象限、第III象限)とを比較すると、回転方向が反時計回りであるために、x<0の範囲(第II象限、第III象限)がポリマーの滞留量が少ない。
【0033】
故に、図10に示す座標系においては、y≧0かつx<0の範囲(第II象限)のポリマー滞留量が最も少ないためにセルフクリーニング性を維持できていなかった。
【0034】
しかし、本発明によれば、すでに図4〜7で詳述したように、容器の外側から鏡板をみて、軸の回転が反時計回りのときは容器の鏡板6の左側の撹拌軸の垂直上方11を起点とし、回転方向を正とすると、−45度〜90度の範囲内に、軸の回転が時計回りのときは容器の鏡板6の右側の撹拌軸の垂直上方11を起点とし、回転方向を正とすると、−45度〜90度の範囲内に、液供給口8を設置することによって、これまで濡らすことが困難であった液供給口近傍の撹拌ロータを十分に濡らすことができる。
【0035】
そして装置内での液供給口付近の溶液の滞留の不均一化が解消されるために、装置内に偏りなく液が充満し、これまで確たる解決方法がなかった液供給口近傍の撹拌ロータのセルフクリーニング性が改善され、長時間の運転を続けてもポリマーの劣化、および、ゲル等の発生が無い高品質のポリマーが製造可能となる。
【0036】
この場合の液供給口8の位置は、鏡板6に近ければ近いほど良く、好ましくは、鏡板6近接の撹拌ロータに直接被処理溶液を供給できる構造になっている方がよりセルフクリーニング性が良い。
【0037】
(重縮合系ポリマーの製造方法)
また、本発明は、低運転コストで製品品質の維持を図りながら連続的にポリマーを製造する方法を提供するものである。
【0038】
すなわち、本発明は、予め重縮合せしめた重縮合体を本発明の装置によって、さらに重合せしめることを特徴とするポリマーの製造方法を提供するものである。重縮合体としては、飽和及び不飽和のポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0039】
本発明は、前記の飽和、不飽和のポリマーの中で、芳香族ポリカーボネートの溶融重合に適用できる。すなわち、本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重合せしめて得られたポリカーボネート、好ましくは固有粘度[η]が0.2〜0.35程度のポリカーボネートを、上記の撹拌装置により減圧下でさらに溶融重合せしめて、より高重合度のポリカーボネートを製造する方法を包含する。
【0040】
ここで使用する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニールエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィドなどのジヒドロキシアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのジヒドロキシアリールスルホン類等が用いられる。特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0041】
炭酸ジエステルとしては置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート等が挙げられる。
【0042】
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの溶融重合反応は、従来知られているように不活性ガス雰囲気下で加熱しながら撹拌して生成する芳香族モノヒドロキシ化合物を溜出させることで行われる。反応温度は通常120〜350℃の範囲であり、反応後期には系の減圧度を1〜0.1Torrに高めて生成する芳香族モノヒドロキシ化合物の溜出を容易にさせて固有粘度[η]が0.2〜0.35程度のポリカーボネートを得る。
【0043】
なお、ここで、固有粘度[η]は、0.7g/dlの塩化メチレン溶液でウベローデ粘度計で測定したものである。
【0044】
本発明方法では、このように製造した溶融粘度数千ポイズ程度のポリカーボネートを、さらに溶融状態で上記の撹拌装置に供給し、該装置内で撹拌混合を続けて連続的に重合せしめることによって2万〜3万ポイズの溶融粘度まで重合度を上昇させ、光学特性の良好な[η]が0.3〜0.7程度のポリカーボネートが製造される。
【0045】
この後期重合工程では、反応温度(容器内の設定温度)は120〜350℃、好ましくは170〜300℃、圧力は10〜0.1Torr、好ましくは1〜0.1Torrとし、反応時間(装置内の滞留時間)は30〜120分程度が好適に採用される。
【0046】
【発明の効果】
本発明の装置によれば、液供給口付近の溶液の滞留の不均一化が防止され、装置内に偏りなく溶液が充満し、気液界面の発生による劣化物の生成が抑制され十分なセルフクリーニング性が実現される。
【0047】
また、本発明の装置によれば、十分なセルフクリーニング性が実現される結果、長時間の運転を続けてもポリマーの劣化、ゲルの発生が無く、高粘度で高品質のポリマーの製造が可能となり、また装置の洗浄周期を長くすることが可能となる。
【0048】
本発明の装置は、100ポイズ以上の高粘度の溶液の撹拌混合、ポリマーを製造する場合に有用であり、重合の後期段階の使用に適している。
【0049】
【実施例】
次に、本発明の撹拌装置を使用し、重縮合系ポリマーの一種である芳香族ポリカーボネートを製造する例を説明する。なお、例中の固有粘度[η]の測定は前述の通りである。
【0050】
[実施例1]
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを溶融重合せしめ、得られた固有粘度[η]が0.35のポリカーボネートを、溶融状態にて、水平に設置した図1〜3に示す繭型断面の撹拌装置に供給した。図3に示す液供給口8を持つ装置を用い、減圧下、温度270℃で重合反応を進行させた。
【0051】
そして、反応終了後のポリマーを、液出口9より取り出した。このようにして、最終固有粘度[η]が0.5であり、かつ、色相の良好なポリカーボネートを約700時間連続的に製造することができた。
【0052】
上記実験終了後、該撹拌装置の容器内部を分解点検したところ、ポリマー劣化物等の汚れは皆無であり、良好なセルフクリーニング機能が維持されていたことが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の撹拌装置の具体例の水平断面図。
【図2】図1のA−A’断面摸式図。
【図3】図1及び図2で示す装置を撹拌軸方向から見た断面の模式図。
【図4】液供給口の位置を示す模式図。
【図5】液供給口の位置を示す模式図。
【図6】液供給口の位置を示す模式図。
【図7】液供給口の位置を示す模式図。
【図8】液供給口の位置を示す模式図。
【図9】液供給口の位置を示す模式図。
【図10】装置断面の液滞留分布の模式図。
【図11】スクレーパを有する本発明の撹拌装置の具体例の水平断面図。
【図12】図11のA−A’断面摸式図。
【図13】図11及び図12で示す装置を撹拌軸方向から見た断面の模式図。
【符号の説明】
1:容器
2、3:撹拌軸
4a〜4s、5a〜5s:撹拌ロータ
6、7:鏡板
8:液供給口
9:液出口
10:円筒
11:垂直上方
12:スクレーパ
13:スクレーパの長さ
Claims (5)
- 実質的に水平に設置した筒体状の容器内に平行をなして配設されて同期して同方向に回転駆動される2本の撹拌軸を併設し、各撹拌軸の軸回りに90度ずらして固定され軸方向に間隔をあけて撹拌軸に取り付けられた撹拌作用をなす複数の撹拌ロータを具えた撹拌装置において、該容器への液供給口を、該容器を外側から見た場合に、撹拌軸の回転が反時計回りのときは左側の撹拌軸の中心から垂直上方を起点とし、撹拌軸の回転方向を正として、−45度から+90度(ただし−45度かつx=0を除く、x=0は2本の攪拌軸の中心を結ぶ線の中央を0とし、2本の攪拌軸の中心を結ぶ線をx座標、x座標に垂直な直線をy座標とするx−y座標系のx=0の点である)までの範囲に対応する該容器の鏡板上に設置し、撹拌軸の回転が時計回りのときは右側の撹拌軸の中心から垂直上方を起点とし、撹拌軸の回転方向を正として、−45度から+90度(ただし−45度かつx=0を除く、x=0は2本の攪拌軸の中心を結ぶ線の中央0とし、2本の攪拌軸の中心を結ぶ線をx座標、x座標に垂直な直線をy座標とするx−y座標系のx=0の点である)までの範囲に対応する該容器の鏡板上に設置したことを特徴とする撹拌装置。
- 請求項1において、撹拌ロータが、中央部が膨らみ両端が尖った紡錘形断面形形状をなし、直径をDとする場合その曲率半径がD/√2である攪拌装置。
- 請求項1において、撹拌ロータの先端部に、外面が該撹拌ロータの外周面と一致して擬三角形断面をなし、スクレーパが撹拌軸と平行に取り付けられた攪拌装置。
- 予め重縮合せしめた重縮合体を、請求項1〜3のいずれかに記載の装置によってさらに重合せしめることを特徴とするポリマーの製造方法。
- 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重合せしめて得られたポリカーボネートを、請求項1〜4のいずれかに記載の撹拌装置に供給し、該装置にて減圧下で溶融撹拌することにより、さらに重合せしめることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
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