JP3795968B2 - リニアアクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体出入ポートから圧力流体を導入することにより、シリンダ本体の軸線方向に沿ってスライドテーブルを往復させるリニアアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ワーク等の搬送手段として、例えば、流体圧シリンダ等のリニアアクチュエータが用いられている。このリニアアクチュエータは、シリンダ本体に沿ってスライドテーブルを直線状に往復運動させることにより、前記スライドテーブルに載置されたワークを搬送している。
【0003】
従来技術に係る流体圧シリンダを図7Aおよび図7Bに示す(実開平5−42716号公報参照)。この流体圧シリンダ1は、シリンダ本体2を有し、前記シリンダ本体2の上面部には長手方向に沿ってガイドレール3が膨出形成される。
【0004】
前記流体圧シリンダ1には、シリンダ室に収装されたピストンの変位作用下に前記ガイドレール3に沿って摺動変位するテーブル4が設けられ、前記テーブル4には、図示しない複数のボールベアリングが転動するボール循環穴(図示せず)が該テーブル4の長手方向に沿って形成されている。
【0005】
他の従来技術に係る流体圧シリンダ5を図8に示す(実開平6−43302号公報参照)。この流体圧シリンダ5は、内部にシリンダ室が設けられたシリンダ本体6と、前記シリンダ本体6の上面部に固設されたリニアガイド7の案内作用下に前記シリンダ本体6の軸線方向に沿って移動するテーブル8とを有する。前記シリンダ本体6の長手方向と略直交する一端部には、第1張出し部9が上方に向かって膨出形成され、前記テーブル8の一側面部には前記第1張出し部9を挟むように第2張出し部10および第3張出し部11が横方向に向かって膨出形成されている。
【0006】
この場合、前記第2張出し部10および第3張出し部11にそれぞれねじ込まれたボルト12、13が第1張出し部9に当接することにより、テーブル8の移動終端位置が規制されるとともに、前記ボルト12、13のねじ込み量を調整することにより、該テーブル8の移動量を調整している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の従来技術に係る流体圧シリンダ1、5では、シリンダ本体2、6の幅Lに対し、ガイドレール3、リニアガイド7の幅L1 、L2 が比較的に小さく形成されているために、スライドテーブルに対して水平方向から付与される負荷によって該スライドテーブルの直線精度が劣化するという不都合がある。
【0008】
本発明は、前記の不都合を克服するためになされたものであり、スライドテーブルに対して略水平方向から負荷が付与されても、前記スライドテーブルの直線精度を保持することが可能なリニアアクチュエータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、流体出入ポートから圧力流体を導入することにより、シリンダ本体の軸線方向に沿ってスライドテーブルを往復動作させるリニアアクチュエータであって、
内部にシリンダ室が形成されたシリンダ本体と、
前記シリンダ本体の軸線方向に沿って往復動作するスライドテーブルと、
前記シリンダ室に沿って摺動自在に配設されるピストンの変位作用下に前記スライドテーブルを往復動作させるシリンダ機構と、
前記シリンダ本体に取り付けられ、複数の転動体の転動作用下に循環する通路が形成された扁平なガイドブロックを有し、前記スライドテーブルを前記シリンダ本体の軸線方向に沿って案内するガイド機構と、
前記ガイドブロックおよび前記シリンダ本体にそれぞれ形成された一組の取付用孔部を介して該ガイドブロックをシリンダ本体に固定するボルト部材と、
前記シリンダ本体とガイドブロックとの間に介装され、前記ガイドブロックを前記シリンダ本体に位置決めして保持する保持手段と、
を備え、
前記保持手段は、シリンダ本体およびガイドブロックにそれぞれ形成されたピン挿入用孔部に嵌挿される一組のピン部材からなり、前記ガイドブロックは前記ピン部材と前記ボルト部材との共働作用下に前記シリンダ本体に固定され、
前記ガイドブロックの両端部には、軸線方向に沿って突出する一組の膨出部が形成されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、流体出入ポートから導入される圧力流体の作用下に、スライドテーブルがシリンダ本体の軸線方向に沿って往復動作する。前記スライドテーブルが変位する際、前記スライドテーブルに対して略水平方向から荷重が付与された場合であっても、保持手段として機能するピン部材を介してガイドブロックがシリンダ本体に位置決め保持されるとともに、ボルト部材を介してガイドブロックがシリンダ本体に固定されており、前記ピン部材と前記ボルト部材との共働作用下に前記スライドテーブルの直線精度を良好に保つことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るリニアアクチュエータについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0012】
図1において参照数字20は、本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータを示し、このリニアアクチュエータ20は、シリンダ本体22と、前記シリンダ本体22の長手方向に沿って直線状に往復動作するスライドテーブル24と、前記シリンダ本体22とスライドテーブル24との間に介装され、一組のピン部材(保持手段)26a、26bを介して該シリンダ本体22に保持されるガイド機構28(図2参照)とを有する。
【0013】
図2並びに図3に示されるように、前記シリンダ本体22の上面部には、一端部が湾曲する横長の凹部30が形成され、前記凹部30にはピン部材26a、26bを挿入するための一組のピン挿入用孔部32a、32bが所定間隔離間して形成される。また、前記ピン挿入用孔部32a、32bに近接する部位には、ガイド機構28をシリンダ本体22に取り付けるための一組の取付用孔部34a、34bが貫通して形成される。
【0014】
前記シリンダ本体22の一方の側面部には、長手方向に沿って二条のセンサ取付用長溝36a、36bが形成され、他方の側面部には、後述するストッパブロック38が当接してスライドテーブル24の変位量を規制する変位量調整部材(変位量調整手段)40がねじ締結される。前記センサ取付用長溝36a、36b内の所定部位には、図示しないセンサが係着される。
【0015】
前記変位量調整部材40は、図4に示されるように、ブロック体42と、前記ブロック体42の孔部に螺入され、ナット44を介して前記ブロック体42に固定されるねじ部材46と、前記ねじ部材46の一端部に付設されるダンパ部材47とから構成され、前記ブロック体42に対するねじ部材46のねじ込み量を増減させることにより、スライドテーブル24の変位量を調整することができる。
【0016】
さらに、前記シリンダ本体22の内部には軸線方向に沿って略平行に並設された一組の貫通孔43a、43b(図5参照)が形成され、前記貫通孔43a、43b内には、略同一形状に形成され、外周面にシールリング45および磁性体47等が装着されたピストン48と、前記ピストン48に連結されたピストンロッド50等を含むシリンダ機構がそれぞれ設けられる(図6参照)。
【0017】
各貫通孔43a、43bの一端部は、止め輪52を介して装着されるエンドキャップ54によって気密に閉塞され、前記貫通孔43a、43bの他端部は、止め輪52を介して保持されるリング体56、ロッドパッキン58およびカラー60によって気密に閉塞される。なお、カラー60の外周面には、環状溝を介してOリング62が嵌着される。
【0018】
この場合、一組の貫通孔43a、43bを夫々閉塞するエンドキャップ54とカラー60とによって第1シリンダ室64aおよび第2シリンダ室64bが夫々並設され、前記第1シリンダ室64aおよび第2シリンダ室64bは、連通路66a、66bを介して夫々連通するように形成される。また、シリンダ本体22の一側面には、一組の流体出入ポート68a、68bが形成され、前記流体出入ポート68a、68bは第2シリンダ室64bに夫々連通するように形成される。なお、前記ピストンロッド50の先端部には、ねじ部材を介してフローティングブッシュ70がそれぞれ連結される。
【0019】
スライドテーブル24は、図1に示されるように、一組のボルト72a、72bを介して断面略L字状に直交してねじ締結されるテーブル本体74とエンドプレート76とから構成され、前記エンドプレート76に形成された半円形状の孔部を介してフローティングブッシュ70が保持される。なお、前記エンドプレート76には図示しない緩衝部材が付設され、前記緩衝部材は、スライドテーブル24の一方の変位領域の終端位置においてエンドプレート76がシリンダ本体22の端面に当接する際に発生する衝撃を緩和する機能を営む。前記テーブル本体74には、4個のワーク保持用孔部78a〜78dが形成される。
【0020】
図2に示されるように、テーブル本体74には、長手方向に沿って一体的に膨出する一組のガイド部80が形成され、前記ガイド部80の対向する内壁面には長手方向に沿ってボール転動溝82a、82bが形成される。テーブル本体74の一側面部にはストッパブロック38がねじ止めされ、前記ストッパブロック38はスライドテーブル24と一体的に変位し、図示しない緩衝部材がストッパブロック38に当接することにより、スライドテーブル24の変位量が規制される。
【0021】
スライドテーブル24を案内するガイド機構28は、図3に示されるように、軸線と略直交する方向に幅広な扁平状のガイドブロック84と、前記ガイドブロック84の長手方向に沿った両端部にそれぞれ装着される一組のボールリターン部材86、カバー部材88およびスクレーパ90と、前記ガイドブロック84をシリンダ本体22に位置決め保持する一組のピン部材26a、26bとを有する。前記カバー部材88には、ボールリターン部材86との共働作用下に転動するボールベアリング92を循環させる半円状のボールリターン溝94が形成されている。
【0022】
前記ガイドブロック84の両側面には、長手方向に沿ってボール転動溝96a、96bが形成され、前記ボール転動溝96a、96bに近接する部位には、長手方向に沿って貫通する一組のボール循環穴98が所定間隔離間して形成される。前記ガイド部80のボール転動溝82a、82b、ガイドブロック84のボール転動溝96a、96b、ボール循環穴98およびカバー部材88のボールリターン溝94によって連続するボール循環通路が形成され、複数のボールベアリング92が前記ボール循環通路に沿って転動することにより、スライドテーブル24を円滑に往復動作させることができる。
【0023】
また、前記ガイドブロック84の長手方向に沿った両端部には、角張った膨出部100a、100bが一体的に形成され、前記膨出部100a、100bを形成することにより、所定間隔離間する一組の取付用孔部102a、102bのピッチPを大きくすることができる。
【0024】
さらに、ガイドブロック84の底面部には、一組のピン部材26a、26bを挿入するためのピン挿入用孔部104a、104bが所定間隔離間して形成され、前記ピン挿入孔部104a、104bに近接する部位には、ねじ溝が刻設された一組の取付用孔部102a、102bが貫通して形成される。後述するように、前記取付用孔部102a、102bのねじ溝に螺合するボルト部材106を介してガイドブロック84を含むガイド機構28がシリンダ本体22の上面部に取り付けられる。
【0025】
本実施の形態に係るリニアアクチュエータ20は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0026】
図示しない流体圧供給源から圧力流体を一方の流体出入ポート68bに導入する。この場合、他方の流体出入ポート68aは、図示しない切換弁の操作下に大気開放状態にしておく。
【0027】
前記圧力流体は、前記流体出入ポート68bに連通する第2シリンダ室64bおよび第1シリンダ室64aに順次供給され、ピストン48を矢印X1 方向に押圧する(図6参照)。なお、前記ピストン48の押圧作用下にピストンロッド50に係合するフローティングブッシュ70が矢印X1 方向に変位し、ボールベアリング92の転動作用下に前記エンドプレート76と一体的にスライドテーブル24が変位する。
【0028】
前記スライドテーブル24が矢印X1 方向に向かって変位する過程において、該スライドテーブル24に伴って変位するストッパブロック38がねじ部材46に装着されたダンパ部材47に当接することにより変位終端位置に至る。この場合、ナット44を緩めてブロック体42に対するねじ部材46のねじ込み量を調整することにより、スライドテーブル24の変位量を増減変更することが可能である。
【0029】
前記とは逆方向にスライドテーブル24を変位させる場合には、流体出入ポート68aに圧力流体を供給する。前記供給された圧力流体は第2シリンダ室64b、第1シリンダ室64aに順次導入され、ピストン48を矢印X2 方向に向かって押圧する。前記ピストン48の押圧作用下に、ピストンロッド50に係合するフローティングブッシュ70を介してエンドプレート76およびスライドテーブル24が矢印X2 方向に一体的に変位し、前記エンドプレート76に設けられた図示しない緩衝部材がスライドテーブル24の端面に当接することにより図1に示す初期位置に復帰する。
【0030】
次に、シリンダ本体22に対するガイド機構28の組み付け工程について説明する。
【0031】
ガイドブロック84の底面部に所定間隔離間して穿設された一組のピン挿入用孔部104a、104bと、シリンダ本体22の上面部に穿孔された一組のピン挿入用孔部32a、32bにそれぞれピン部材26a、26bを挿入し、ガイドブロック84を含むガイド機構28をシリンダ本体22の凹部30に位置決め固定する。また、シリンダ本体22に貫通して形成された一組の取付用孔部34a、34bにそれぞれボルト部材106を挿通し、前記ボルト部材106の一端部に刻設されたねじ部をガイドブロック84の取付用孔部102a、102bのねじ溝に螺入することにより、シリンダ本体22に対してガイド機構28がねじ止めされる。
【0032】
このように、ガイド機構28を構成するガイドブロック84は、離間間隔(ピッチP)が大きく形成された取付用孔部102a、102bに螺入されるボルト部材106と、ピン挿入用孔部104a、104bに挿入されるピン部材26a、26bとの共働作用下にシリンダ本体22に固定される。
【0033】
本実施の形態に係るリニアアクチュエータ20では、図5に示されるように、シリンダ本体22の幅Lに対するガイド機構28の幅L3 の比率を増大させ、従来技術に係るガイドレール3、リニアガイド7と比較して幅広に形成されている。また、ガイド機構28をシリンダ本体22に取り付けるボルト部材106に加えて、ガイドブロック84とシリンダ本体22との間にピン部材26a、26bを介装している。
【0034】
従って、スライドテーブル24に対して略水平方向から荷重F1 、F2 (図5参照)が付与されてもスライドテーブル24が安定して支持されるため、前記スライドテーブル24の直線精度を保持して円滑に往復動作させることが可能となる。この結果、前記スライドテーブル24を介してワークを安定して搬送することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0036】
すなわち、スライドテーブルが変位する際、前記スライドテーブルに対して略水平方向から荷重が付与された場合であっても、保持手段を介してガイド機構がシリンダ本体に保持されるため、前記スライドテーブルの直線精度を良好に保つことができる。この結果、前記スライドテーブルを介してワークを安定して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータの斜視図である。
【図2】図1に示すリニアアクチュエータの分解斜視図である。
【図3】図1に示すリニアアクチュエータを構成するガイド機構の分解斜視図である。
【図4】図1に示すリニアアクチュエータの平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った縦断面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿った横断面図である。
【図7】図7Aは、従来技術に係るリニアアクチュエータの平面図であり、図7Bは、図7Aの側面図である。
【図8】他の従来技術に係るリニアアクチュエータの斜視図である。
【符号の説明】
20…リニアアクチュエータ 22…シリンダ本体
24…スライドテーブル 26a、26b…ピン部材
28…ガイド機構
32a、32b、104a、104b…ピン挿入用孔部
34a、34b、102a、102b…取付用孔部
40…変位量調整部材 64a、64b…シリンダ室
48…ピストン 50…ピストンロッド
68a、68b…流体出入ポート 76…エンドプレート
80…ガイド部 84…ガイドブロック
100a、100b…膨出部
Claims (2)
- 流体出入ポートから圧力流体を導入することにより、シリンダ本体の軸線方向に沿ってスライドテーブルを往復動作させるリニアアクチュエータであって、
内部にシリンダ室が形成されたシリンダ本体と、
前記シリンダ本体の軸線方向に沿って往復動作するスライドテーブルと、
前記シリンダ室に沿って摺動自在に配設されるピストンの変位作用下に前記スライドテーブルを往復動作させるシリンダ機構と、
前記シリンダ本体に取り付けられ、複数の転動体の転動作用下に循環する通路が形成された扁平なガイドブロックを有し、前記スライドテーブルを前記シリンダ本体の軸線方向に沿って案内するガイド機構と、
前記ガイドブロックおよび前記シリンダ本体にそれぞれ形成された一組の取付用孔部を介して該ガイドブロックをシリンダ本体に固定するボルト部材と、
前記シリンダ本体とガイドブロックとの間に介装され、前記ガイドブロックを前記シリンダ本体に位置決めして保持する保持手段と、
を備え、
前記保持手段は、シリンダ本体およびガイドブロックにそれぞれ形成されたピン挿入用孔部に嵌挿される一組のピン部材からなり、前記ガイドブロックは前記ピン部材と前記ボルト部材との共働作用下に前記シリンダ本体に固定され、
前記ガイドブロックの両端部には、軸線方向に沿って突出する一組の膨出部が形成されることを特徴とするリニアアクチュエータ。 - 請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、スライドテーブルの変位量を調整する変位量調整手段が設けられることを特徴とするリニアアクチュエータ。
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