JP3794549B2 - 金属製品成形用金型における粉体離型剤の塗布方法および金属製品成形用金型 - Google Patents
金属製品成形用金型における粉体離型剤の塗布方法および金属製品成形用金型 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定側金型と、可動側金型とからなり、これらの金型のパーティング面側にスプル孔、ランナ溝、ゲート孔、キャビティ等が形成され、完全溶融状態あるいは半溶融状態の溶融金属材料が、これらのスプル孔、ランナ溝、ゲート孔等を介して前記キャビティに射出充填されるようになっている金属製品成形用金型に粉体離型剤を塗布する、金属製品成形用金型における粉体離型剤の塗布方法および金属製品成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛合金等の低融点金属材料から金属製品を得る成形方法の1つにコールドチャンバ方式のダイカスト方法が知られている。このダイカスト方法の実施に使用されるダイカストマシン50は、特開平6−320246号に開示されているように、すなわち図3に示されているように固定側型盤51に取り付けられている固定側金型52、この固定側金型52と対をなす可動側金型53、固定側型盤51を貫通して設けられているスリーブ54、このスリーブ54内に軸方向に駆動可能に設けられているプランジャ55等からなっている。そして、スリーブ54には、溶湯供給口56が設けられている。この溶湯供給口56は、離型剤塗布時にはシャッター57’で閉鎖されるが、離型剤供給ノズル57は、このシャッター57’に取り付けられ、溶湯をスリーブ54内に注入するときは、シャッター57’と共に待避するようになっている。また、固定側金型52と可動側金型53との間のパーティングラインには金属製品を成形するためのキャビティ60が形成されている。そして、このキャビティ60の端部には、第1の排気通路61が開口している。第1の排気通路61は、油圧ピストン・シリンダユニット62で駆動されるシャットオフピン63で開閉されるようになっている。また、第1の排気通路61からは第2の排気通路64が略直角に分岐し、この第2の排気通路64には可撓性ホース65を介して、図3には示されていないが、バルブ、真空タンク、排気ポンプ等が接続されている。なお、離型剤供給ノズル57も可撓性ホース58を介して、圧縮空気で所定量宛供給される離型剤供給装置に接続されているが、この離型剤供給装置も図3には示されていない。またエジェクタプレート、エジェクタピン等も示されていない。
【0003】
従来のダイカストマシン50は、上記のように構成されているので、次のようにして、金属製品を得ることができる。すなわち、図3に示されているように、可動側金型53を固定側金型52に対して型締し、シャットオフピン63を図3に示されている位置に待避させる。そうして、排気ポンプを駆動する。そうすると、キャビティ60、ゲート孔66、スプル孔67およびスリーブ54の内部の空気は、真空タンクへ排気され、これらの内部は減圧される。このとき、離型剤供給ノズル57が取り付けられているシャッター57’が溶湯供給口56を閉鎖する。これにより、溶湯供給口56近傍からの空気の吸い込みが防止される。圧縮空気により離型剤供給装置から粉体離型剤が所定時間供給され、粉体離型剤はキャビティ60等の内表面に付着する。油圧ピストン・シリンダユニット62でシャットオフピン63を駆動して第1の排気通路61を閉鎖する。その後、溶湯供給口56から、るつぼの溶湯を所定量だけスリーブ54内へ供給する。そうして、プランジャ55により溶湯をキャビテ60へ射出する。射出充填された溶湯の冷却固化を待って可動側金型53を開くと、エジェクタピンが突き出て金属製品が得られる。
【0004】
上記したようなアルミニウム合金、マグネシウム合金等の低融点金属材料から金属製品を得る成形方法の他の方法として、チキソモールド法が例えば特公平1ー33541号、同2ー15620号公報により提案されている。この方法は、合金原料を固液共存状態で撹拌すると、樹枝状結晶すなわちデンドライドの形成が抑制され、破壊された微細な粒状の固体と液体とが共存した状態であるスラリー状物質が得られるが、このような固液共存状態であるスラリー状物質を短時間に金型内に射出して凝固させ、固体がほぼ均一に分布した合金組織の成形品を得る方法である。この金属製品は、凝固による収縮率が小さく、またミクロシュリンケージすなわち収縮孔およびガスの巻き込みによる空隙孔が少ないため、寸法精度と機械的性質が共に良好な性質を示す。
【0005】
このようなスラリー状物質の性質を利用した合金金属製品の製造法には、金属射出成形機が使用される。金属射出成形機は、概略的には加熱シリンダと、この加熱シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとから構成されている。加熱シリンダの前方には、一般にオープンタイプの射出ノズルが設けられ、加熱シリンダと射出ノズルの外周部には、個々に発熱温度が制御される複数個の加熱ヒータが設けられている。
【0006】
オープンタイプの射出ノズルを備えた金属射出成形機により計量するときは、計量中の溶融金属材料が射出ノズルの先端部から漏れるのを防ぐために「栓」をする必要がある。この栓には、溶融金属材料がある程度冷却固化したコールドプラグが利用される。すなわち、射出終了後、金型にタッチしている射出ノズルからは急速に熱が金型の方へ奪われる。その結果、射出ノズルの先端部に滞留している溶融金属材料は固化し、コールドプラグが形成される。このコールドプラグは、計量中の溶融金属材料の圧力には耐え、射出圧力では抜ける程度の固さに形成されている。したがって、スクリュを回転駆動すると、金属原料はスクリュによりシリンダの先端部に順次移送させられる。このとき金属原料は、加熱シリンダの外周部に設けられている加熱ヒータから加えられる熱と、スクリュを回転駆動するときに生じる剪断作用、摩擦作用等により発生する熱とにより溶融あるいは半溶融し、加熱シリンダの先端部の計量室に貯えられる。
【0007】
そこで、スプル孔、ランナ溝、キャビティ等に粉体離型剤を塗布することができると、塗布後にスクリュを軸方向に高速駆動して計量室に貯えられている溶融金属材料を金型のスプル孔、ランナ溝、ゲート孔等を介してキャビティに射出充填することができる。このとき、コールドプラグは可動側金型の方に設けられているコールドプラグキャッチャに捕捉される。冷却固化を待って金型を開くと、粉体離型剤のために金属製品は容易に金型から取り出される。スプル、ランナ等も金型から同時に排出される。なお、液体の離型剤は、大量のミストが発生するので、固体の粒子状の粉体離型剤を使用することが試みられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、金属射出成形機により完全溶融状態あるいは半溶融状態の溶融金属材料をキャビティに射出充填して金属製品を得ると、得られる金属製品は寸法精度、機械的性質等に良好な性質を示すが、粉体離型剤の塗布方法に問題がある。この問題は、上記したダイカストマシン50には粉体離型剤の塗布方法が示されているので、この塗布方法を適用することで解決されると考えられる。しかしながら、上記ダイカストマシン50の塗布方法は、固定側型盤51に固定されているスリーブ54からキャビティ60の表面に塗布するようになっているので、金属射出成形機においてもスプル孔から塗布することになるが、スプル孔から塗布するためには、射出ノズルを一旦金型から離さなければならない。ところで、射出ノズルを金型から離すためには、加熱シリンダ、加熱シリンダの内部に軸方向と回転方向とに駆動可能に設けらているスクリュ、スクリュを駆動する駆動装置等からなる射出ユニットを塗布毎すなわちショット毎に移動させることになる。そうすると、成形サイクルは長くなり、生産性は落ちる。
【0009】
本発明は、上記したような事情に鑑みてなされたものであって、射出ユニットを、粉体離型剤を塗布する毎に移動させる必要が無く、したがって成形サイクルが短く、また妄りに動力費が嵩むことがない、金属製品成形用金型における粉体離型剤の塗布方法および金属製品成形用金型を提供することを目的としている。また、他の発明は上記目的に加えて、粉体離型剤としては蒸発等の問題のない固体粒子状の粉体離型剤が優れているが、この粉体離型剤がキャビティに一様に塗布される、金属製品成形用金型における粉体離型剤の塗布方法および金属製品成形用金型を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、粉体離型剤を、スプル孔を挟んでキャビティの反対側の位置から、スプル孔およびキャビティに向けて供給するように構成することにより達成される。また、オープン型の射出ノズルが適用される金型には、射出時にコールドプラグを受けるコールドプラグキャッチャが一般に設けられているので、コールドプラグキャッチャを挟んでキャビティの反対側の位置から粉体離型剤を供給するように構成される。すなわち、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、固定側金型と、可動側金型とからなり、これらの金型のパーティング面側に、スプル孔、該スプル孔の一方の側方に形成されているランナ溝、該ランナ溝に連通したゲート孔および該ゲート孔に連通した金属製品成形用のキャビティが形成されている金型に、粉体離型剤を塗布する方法であって、前記粉体離型剤は、前記可動側金型を前記固定側金型に対して型締めして、前記スプル孔、ランナ溝、ゲート孔およびキャビティの内部を減圧し、そして前記スプル孔に対応して設けられているコールドプラグキャッチャを挟んだ前記キャビティの他方の側方位置から前記スプル孔、ランナ溝、ゲート孔およびキャビティに向けて塗布するように構成される。
請求項2に記載の発明は、固定側金型と、離型剤供給装置に連なった離型剤供給路と負圧源に連なった排気通路とが設けられている可動側金型とからなり、これらの金型のパーティング面側にスプル孔、ランナ溝、ゲート孔および金属製品成形用のキャビティが形成され、完全溶融状態あるいは半溶融状態の溶融金属材料がこれらのスプル孔、ランナ溝およびゲート孔を介して前記キャビティに射出充填されるようになっている金型であって、前記可動側金型の、前記スプル孔に対応した位置にコールドプラグキャッチャが設けられていると共に、前記キャビティは、前記スプル孔の一方の側方に形成され、前記スプル孔の他方の側方には前記ランナ溝に連通したサブランナ溝が形成され、前記離型剤供給路は、第1の開閉弁を介して前記サブランナ溝に、そして前記排気通路は第2の開閉弁を介して前記キャビティに、それぞれ開口している。請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の金型において、第1、2の開閉弁が、離型剤供給路および排気通路のそれぞれに軸方向に移動自在に設けられているシャットオフピンであるように、そして請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の金型において、排気通路が、オーバーフローを介してキャビティに連通しているようにに構成されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における金属原料とは、融点が700゜C以下の金属元素単体もしくはこれらの金属を基にした合金を称する。実際的な例としては例えばアルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、鉛、ビスマス、テルビウム、テルル、カドミウム、タリウム、アスタチン、ポロニウム、セレン、リチウム、インジウム、ナトリウム、カリウム、ルビジュウム、セシウム、フランシウム、ガリウム等を挙げることできるが、特にアルミニウム、マグネシウム、鉛、亜鉛、ビスマス、錫の単体およびこれらの金属を基にした合金が望ましい。これらの金属原料は、いずれも加熱シリンダ内で外部から加える熱で溶融し、そして金型の製品洞へ射出して成形できる金属元素あるいは合金である。銅の融点は1085゜Cで700゜Cよりもはるかに高いが、銅合金は例えばろう付け用の銅合金の融点は、700゜C以下であり、本発明は銅合金も金属原料の対象としている。さらには、本発明は、Al2O3、SiCのようなセラミック粒子あるいはセラミック繊維を同時に添加して、金属基複合材を成形する材料も発明の対象としている。
【0012】
これらの金属原料は、色々な方法で得ることができる。例えばインゴットをチッピングマシンでチップ化して得ることもできる。あるいは、切削マシンで切削して得られる切削粉を利用することもできる。さらには、水などの冷却媒に溶融金属を滴下して作ることもできる。これらの方法により得られる金属原料は、適度に形状が小さく、粉体とは異なり取扱いが容易で、加熱シリンダ内で容易に溶融する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係わる金属製品形用金型1を閉じた状態で示す断面図であるが、同図に示されているように、本実施の形態に係わる金型1は、概略的には固定側型盤3に取り付けられている固定側金型2と、スライドベース11を介して可動側型盤12に取り付けられ、型開き方向と型閉じ方向とに駆動される可動側金型10とから構成されている。そして、可動側金型10の方に、離型剤供給路20と、排気通路30とが設けられている。
【0014】
固定側金型2には、この固定側金型2を横切る形で、従来周知のテーパ状のスプル孔4が形成されている。そして、このスプル孔4に連通して、固定側金型2と可動側金型10のパーティング面P、P’に沿ってランナ溝5、ゲート孔6および金属製品を成形するためのキャビティ7が形成あるいは構成されている。また、キャビティ7の端部には、小孔8を介してキャビティ7と連通した、比較的小容積のオーバーフロー9が形成されている。このように構成されている固定側金型2のスプル孔4に、そのオープンタイプの射出ノズルNがタッチ可能な状態で、射出ユニットが設けられている。射出ユニットは従来周知のように、加熱シリンダC、この加熱シリンダCの先方の射出ノズルN、加熱シリンダCの内部に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュ、このスクリュを駆動する駆動装置等からなっている。なお、射出ノズルNと加熱シリンダCの外周部には電気ヒータ等からなる複数個の加熱器H、H、…が設けられ、これらの加熱器H、H、…の発熱温度は、第1、2の温度センサS1、S2で測定され、そして射出ノズルNと加熱シリンダCの内部が設定温度になるように制御装置により個々に制御されるが、制御装置は図1には示されていない。
【0015】
本実施の形態によると、キャビティ7に連通しているランナ溝5は、スプル孔4の側方すなわち図1において上方に形成されている。このランナ溝5は、図1に示されているように、スプル孔4を越えて下方へ延びている。すなわち、スプル孔4を越えてキャビティ7と反対側へ所定量だけ延びている。この延びた部分が、サブランナ溝5’となっている。
【0016】
固定側金型2と略同じ大きさの可動側金型10のパーティング面P’には、所定大きさで、所定深さの複数個の凹部が形成され、これらの凹部と固定側金型2のパーティング面Pとにより、前述したようにランナ溝5、サブランナ溝5’、ゲート孔6、キャビティ7、オーバーフロー9等が形成されている。キャビティ7の底部14、14には、この底部14、14を貫通する形で複数個の透孔が明けられ、これらの透孔にエジェクタピン15、15が抜き差し自在に設けられている。これらのエジェクタピン15、15は、従来周知のように、油圧ピストン・シリンダユニット等で駆動されるエジェクタプレート16に取り付けられている。また、本実施の形態によると、固定側金型2のスプル孔4に対応して所定深さ、所定大きさのコールドプラグキャッチャ13がパーティング面P’に略直角に装着されている。コールドプラグキャッチャ13の底部にも透孔が明けられている。そして、この透孔にもエジェクタピン15’が抜き差し自在に設けられている。このエジェクタピン15’もエジェクタプレート16に取り付けられている。したがって、エジェクタピン15、15、15’が突き出ると、金属製品と共にコールドプラグも突き出されることになる。
【0017】
本実施の形態によると、可動側金型10には、コールドプラグキャッチャ13の図1において下方に離型剤供給路20が設けられている。この離型剤供給路20は、本実施の形態では、可動側金型10を横方向に貫通した形の第1の供給通路21と、この第1の供給通路21から直角に分岐し、可動側金型10の側部に開口している第2の供給通路22とからなっている。第1の供給通路21の一方の端部は、サブランナ5’の底部に開口し、他端部は可動側金型10の、図1において左側の背部に開口している。この第1の供給通路21には、可動側金型取付盤12’に取り付けられている第1の油圧ピストン・シリンダユニット24で軸方向に往復駆動されるシャットオフピン23が設けられている。したがって、シャットオフピン23が図1に示されている第1の待避位置へ駆動されている状態では、サブランナ5’と第2の供給通路22は、第1の供給通路21を介して連通しているが、第1の油圧ピストン・シリンダユニット24によりシャットオフピン23が、その先端部がサブランナ5’の底部に達するように第2の位置へ駆動されると、遮断されることになる。可動側金型10の下方の側部には、第2の供給通路22に対応してコネクタ25が取り付けられ、このコネクタ25にセラミックス等の断熱パイプ26を介して可撓性のホース27が接続されている。そして、このホース27に、固体粒子状の粉体離型剤が圧縮空気で所定量宛吐出される離型剤供給装置28が接続されている。
【0018】
排気通路30も可動側金型10に形成されている。この排気通路30は、第1の排気路31と、この第1の排気路31から分岐し、可動側金型10の側部すなわち図1において上方部に開口している第2の排気路32とからなっている。そして、第1の排気路31の一方の端部は、オーバーフロー9の底部に開口し、他端部は可動側金型10の、図1において左側の背部に開口している。この第1の排気路21には、第2の油圧ピストン・シリンダユニット34で軸方向に往復駆動されるシャットオフピン33が設けられている。したがって、シャットオフピン33が図1に示されている第1の待避位置へ駆動されると、オーバーフロー9と第2の排気路32は、第1の排気路31を介して連通するが、第2の油圧ピストン・シリンダユニット34によりシャットオフピン33が、その先端部がオーバーフロー9の底部に達するように第2の位置へ駆動されると、遮断されることになる。第2の排気路32には、可動側金型10の外部においてコネクタ35により可撓性ホース36が接続されている。この可撓性ホース36に、第1、2の排気通路31、32の密閉度を補助する開閉バルブ37、比較的容量の大きい真空タンク38および排気ポンプ39がこの順序で設けられている。
【0019】
次に、上記実施の形態に係わる金属製品成形用金型1を使用した成形例について説明する。なお、本実施の形態に係わる金属製品成形用金型1は、制御装置を備え、自動的に成形することもできるが、以下説明を簡単にするために主として手動的に操作する例について説明する。図1には型締装置は示されていないが、可動側金型10を固定側金型2に対して型締めする。また、射出ユニットにより金属原料を計量する。このとき、完全溶融状態あるいは固液共存状態で撹拌して得られる半溶融状態の金属材料を計量する。上記のように型締めされ、そして前回の射出により射出ノズルNの先端部にコールドプラグCPが形成され、加熱シリンダCの計量室には溶融金属材料YKが所定量計量されている状態が、図1に示されている。
【0020】
第1、2の油圧ピストン・シリンダユニット24、34によりシャットオフピン23、33を図1に示されているように第1の待避位置へ駆動する。そうして、開閉バルブ37を開く。また、排気ポンプ39を駆動する。開閉バルブ37を開くことにより、オーバーフロー9、キャビティ7、ランナ溝5、スプル孔4、サブランナ溝5’等の空気は真空タンク38内へ排気され、減圧される。離型剤供給装置28から圧縮空気により粉体離型剤を供給する。粉体離型剤は、ホース27、第2の供給通路22、第1の供給通路21を通って、サブランナ溝5’、スプル孔4、ランナ溝5、キャビティ7、オーバーフロー9等の表面に付着する。所定量あるいは所定時間塗布して粉体離型剤の塗布を終わる。
【0021】
このとき、粉体離型剤の供給口でもある第1の供給通路21は、パーティング面P’から所定深さに窪んだ状態で形成されているので、過剰の粉体離型剤は第1の供給通路21内に溜まり、キャビティ7の方へ妄りに流れ、金属製品に巻き込まれるようなことはない。また、スプル孔4は、粉体離型剤を含んだ空気の流れから見ると窪んでいるので、粉体離型剤はスプル孔4に比較的多く塗布される。これにより、型開き方向に長く、抜き抵抗の大きいスプルも容易に抜けることになる。また、可撓性ホース27は断熱パイプ26を介して第2の供給通路22に接続されているので、可撓性ホース27が高温になることはない。したがって、粉体離型剤のワックスが溶けて可撓性ホース27の内面に付着することもない。さらには、型閉じしてから粉体離型剤を塗布するので、粉体離型剤がパーティング面P、P’に挟まるようなことはない。したがって、マグネシウムのような粘性の小さい溶融金属材料を充填してもバリは生じない。
【0022】
開閉バルブ37を閉じると共に、第1、2の油圧ピストン・シリンダユニット24、34によりシャットオフピン23、33を、その先端部がサブランナ5’およびオーバーフロー9の底部にそれぞれ達する第2の位置へ駆動する。これにより、第1の供給通路21と、第1の排気路31は閉鎖され、射出可能な状態になる。この状態が図2に示されている。
【0023】
射出ノズルNを固定側金型2にタッチさせた状態で、射出ユニットのスクリュを軸方向に駆動して計量された溶融金属材料YKを射出する。コールドプラグCPは、コールドプラグキャッチャ13で受けられ、溶融金属材料YKはスプル孔4、ランナ溝5およびゲート孔6を通ってキャビティ7に充填される。余剰の溶融金属材料YKは、小孔8からオーバーフロー9に達する。また、サブランナ溝5’にも充填される。充填が終わった状態も、図2に示されている。従来周知のように保圧工程を実施する。充填された溶融金属材料YKの冷却固化時間が過ぎると、あるいは射出・保圧後にスクリュが回転駆動して計量が終了すると、可動側金型10を開く。エジェクタピン15、15、15’が可動側金型10から突き出て、金属製品が、スプル、ランナ、サブランナ、オーバーフロー等と共に突き出される。次いで型締めする。
【0024】
第1、2の油圧ピストン・シリンダユニット24、34によりシャットオフピン23、33を第1の待避位置へ駆動する。そうして、前述したようにキャビティ7等を減圧して、粉体離型剤を所定時間塗布する。これにより、次の成形サイクルへ移行する準備が完了する。以下同様にして成形する。
【0025】
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な形で実施できる。例えば射出ノズルNにシャットオフ弁が設けられているタイプの射出ノズルに対しては、コールドプラグキャッチャ13は不要となることは明らかである。また、第1、2の油圧ピストン・シリンダユニット24、34は、油圧に代えて空気圧でも実施できる。さらには、第1、2の油圧ピストン・シリンダユニット24、34により駆動されるシャットオフピン23、33は、略同期して第1、2の位置へ駆動されるので、1個の油圧ピストン・シリンダユニットで駆動するように実施できることも明らかである。さらには、第1の供給通路21および排気路31を開閉する弁機構がシャットオフピン23に限定されないことも、また第1の排気路31をオーバーフロー9以外の、例えばキャビティ7の端部に直接設けることができることも明らかである。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、粉体離型剤は、可動側金型を固定側金型に対して型締めして、スプル孔、ランナ溝、ゲート孔およびキャビティの内部を減圧し、そして前記スプル孔に対応して設けられているコールドプラグキャッチャを挟んだ前記キャビティの他方の側方位置から前記スプル孔、ランナ溝、ゲート孔およびキャビティに向けて塗布するので、すなわち従来のダイカストマシンのようにスプル孔から直接塗布しないので、射出ノズルを粉体離型剤を塗布する毎に移動させる必要がない。したがって、本発明によると、成形サイクルが長くなることがなく、生産性が落ちることもない。また、射出ユニットをショット毎に移動させる必用がないので、移動させる動力費が嵩むようなこともない。さらには、粉体離型剤はスプル孔を越えた反対位置からキャビティに向けて供給塗布するので、スプル孔を越えて供給されるとき、スプル孔の表面に多く付着する。したがって、型開き方向に長く、離型抵抗の大きいスプルが抜けやすくなる効果も得られる。また、粉体離型剤は型締めしてから塗布するので、粉体離型剤が金型のパーティング面に挟み込まれ、金属製品にバリが生じるようなこともない。
また、可動側金型に、離型剤供給装置に連なった離型剤供給路と負圧源に連なった排気通路とが設けられ、前記離型剤供給路はサブランナ溝に、そして前記排気通路がオーバーフローを介してキャビティに開口している金属製品成形用金型の発明によると、前述したような効果に加えて、粉体離型剤は溶融金属材料と同じような流れとなり、キャビティの表面に一様に塗布される効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係わる金属製品成形用金型を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係わる金属製品成形用金型を使用した一つの成形工程を可動側金型を閉じ射出充填が終わった状態で示す断面図である。
【図3】 従来のダイカスト方法の実施に使用される金型の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 金属製品成形用金型 2 固定側金型
4 スプル孔 5 ランナ溝
5’ サブランナ溝 7 キャビティ
9 オーバーフロー 10 可動側金型
13 コールドプラグキャッチャ 20 離型剤供給路
21 第1の供給通路 23 シャットオフピン
30 排気通路 31 第1の排気路
33 シャットオフピン 28 離型剤供給装置
C 加熱シリンダ N 射出ノズル
CP コールドプラグ
整理番号 H13003
Claims (4)
- 固定側金型と、可動側金型とからなり、これらの金型のパーティング面側に、スプル孔、該スプル孔の一方の側方に形成されているランナ溝、該ランナ溝に連通したゲート孔および該ゲート孔に連通した金属製品成形用のキャビティが形成されている金型に、粉体離型剤を塗布する方法であって、
前記粉体離型剤は、前記可動側金型を前記固定側金型に対して型締めして、前記スプル孔、ランナ溝、ゲート孔およびキャビティの内部を減圧し、そして前記スプル孔に対応して設けられているコールドプラグキャッチャを挟んだ前記キャビティの他方の側方位置から前記スプル孔、ランナ溝、ゲート孔およびキャビティに向けて塗布することを特徴とする金属製品成形用金型における粉体離型剤の塗布方法。 - 固定側金型と、離型剤供給装置に連なった離型剤供給路と負圧源に連なった排気通路とが設けられている可動側金型とからなり、これらの金型のパーティング面側にスプル孔、ランナ溝、ゲート孔および金属製品成形用のキャビティが形成され、完全溶融状態あるいは半溶融状態の溶融金属材料がこれらのスプル孔、ランナ溝およびゲート孔を介して前記キャビティに射出充填されるようになっている金型であって、
前記可動側金型の、前記スプル孔に対応した位置にコールドプラグキャッチャが設けられていると共に、
前記キャビティは、前記スプル孔の一方の側方に形成され、前記スプル孔の他方の側方には前記ランナ溝に連通したサブランナ溝が形成され、
前記離型剤供給路は、第1の開閉弁を介して前記サブランナ溝に、そして前記排気通路は第2の開閉弁を介して前記キャビティに、それぞれ開口していることを特徴とする金属製品成形用金型。 - 請求項2に記載の金型において、第1、2の開閉弁が、離型剤供給路および排気通路のそれぞれに軸方向に移動自在に設けられているシャットオフピンである、金属製品成形用金型。
- 請求項2または3に記載の金型において、排気通路が、オーバーフローを介してキャビティに連通している、金属製品成形用金型。
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