JP3755398B2 - 回転霧化静電塗装装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ボディ等への塗装処理に用いられる回転霧化静電塗装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ベルカップ外周方向に向けてシェーピングエアーを吹出す回転霧化静電塗装処理においては、シェーピングエアーが斜めに当たるため塗装効率の低下や色味の劣化という問題が生じていた。この問題に対し、シェーピングエアーの吹出し角度をベルカップの回転軸に対して鋭角とする発明が、本願発明者から提案されている(特願2000−313407号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
<第1の課題>
しかしながら、シェーピングエアーの吹出し角度を鋭角とする場合には、これに伴って塗装パターン幅が減少してしまい、塗装対象物が大きい場合や塗装面積が大きい場合では塗装時間の延長を招いてしまうという問題がある。
また、この課題に対し、単にベルカップの内径を拡大しても塗装膜厚の分布が不均一(ドーナツ状)となってしまい塗装の質が低下してしまう。
【0004】
<第2の課題>
さらに、本発明では上記課題を解決するため、内周径の異なる複数のベルカップを同芯円状に設けることでパターン幅の拡大及び膜厚の均一化を図るが、内周のベルカップによる塗装と外周のベルカップによる塗装とでは両者の塗装膜厚が異なり、全体として塗装品質が劣化するという問題が生じてしまう。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、パターン幅を拡大しつつ高品質の塗装を行うことができる回転霧化静電塗装装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明の回転霧化静電塗装装置は、複数のベルカップが実質的に同芯円状に設けられたことを特徴とする。
この発明では、複数のベルカップが実質的に同芯円状に2重、3重又はそれ以上幾重にも重なるように設けられているため、重なった各ベルカップの内周面に供給された塗料は内側面をつたって外縁から飛び出すこととなり、塗装対象物方向から見た場合には何重もの円から霧化塗料が吹き出された状態となる。すると、霧化した塗料微粒子は均一に広く拡散して塗装対象物に塗着することとなる。
この発明により、ベルカップの内径を拡大して塗装パターン幅の拡大を図るとともに塗装パターンの均一化を図ることができ、広い面積の被塗布物にも対応することができる回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
【0006】
(2)上記目的を達成するために、本発明の回転霧化静電塗装装置は、ベルカップの背面からシェーピングエアーを供給するエアー吹き出し口が、前記ベルカップの回転軸方向に対して0〜20°の角度で前記シェーピングエアーを吹出すように設けられたことを特徴とする。
この発明では、シェーピングエアーがベルカップの回転軸方向に対して0〜20°の角度で吹出される。このシェーピングエアーが、ベルカップの遠心力により微粒化されて(ベルカップの)外周方向に飛び出した微粒子の進行方向を制御して、被塗物面に向けて略垂直方向に導く。すると、塗料微粒子は、ベルカップの外周方向に向けて拡がらずに、被塗物面に垂直に衝突し、塗装面に対して面平行に塗着することとなる。
この発明によれば、シェーピングエアーによって塗料微粒子が横流れすることなく被塗装物面に塗着するため塗着効率の高い回転霧化静電塗装装置を提供することができる。また、メタリックフレークなどが被塗物面に対して面平行に並べられることから色味の向上を図ることができ、一定の色味の塗装を得るという観点からも、塗着効率が高い回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
複数のベルカップを同芯円上に重ねた場合には、パターン幅を拡大しながら塗着効率の向上を図ることができ、結果として設置ベルカップの数を低減し、塗装時間を短縮し、塗装品質を高める回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
【0007】
(3)上記目的を達成するために、本発明の回転霧化静電塗装装置は、前記複数のベルカップの回転駆動をそれぞれ制御する駆動制御手段を備えたことを特徴とする。
この発明では、回転霧化静電塗装装置に設けられた複数のベルカップの回転駆動がそれぞれ制御されるため、塗料を吹き出すベルカップの面積を調整することができ、大きな塗装面に対しては内周から外周までのベルカップをすべて駆動させ、小さな塗装面に対しては、内周のベルカップのみを駆動させて対応することができる。また、塗装の厚さや塗料の塗布密度に応じてベルカップの駆動のオンオフを制御することができるため(重ねて設置されたベルカップを一つおきに駆動させるなど)、塗装条件に応じたベルカップの駆動制御を行うことができる。 この発明によれば、パターン幅の広狭に応じた塗装を行うことができるため、オーバースプレーを防止するとともに、使用する塗料を節約しうる回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
【0008】
(4)上記目的を達成するために、本発明の回転霧化静電塗装装置は、前記駆動制御手段が、前記複数のベルカップの回転数をそれぞれ制御することを特徴とする。
この発明では、駆動制御手段によりベルカップの回転数がそれぞれ制御されるため、同芯円状に重ねたベルカップの外周の大きさに応じて適切な回転数でベルカップを駆動することができる。
この発明によれば、内径の異なるベルカップを重ねて設けたことにより生じる塗装膜厚分布の不均一を解消することができ、高い品質の塗装を行うことができる回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
【0009】
(5)上記目的を達成するために、本発明の回転霧化静電塗装装置は、前記駆動制御手段は、前記複数のベルカップの周速が実質的に同一となるようにベルカップの回転数をそれぞれ制御することを特徴とする。
この発明では、駆動制御手段によりベルカップの周速が実質的に同一となるようにベルカップの回転数が制御されるため、大きさの異なるベルカップの外周の周速が一定となり、各ベルカップの外縁にて塗料微粒子に与えられる力が一定となる。すなわち、塗料の微粒子化のために与えられる力の大きさが同等となるため、内径の異なるベルカップであっても塗着時の塗料の微粒子径が略同一となり、塗装面の品質は向上する。
この発明によれば、同芯円状に重ねたベルカップから飛び出す微粒子の微粒子径を均一とすることができ、高品質の塗装を行うことができる回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
【0010】
(6)上記目的を達成するため、本発明の回転霧化静電塗装装置は、複数のベルカップへの塗料供給をそれぞれ制御する塗料供給制御手段を有することを特徴とする。
この発明では、ベルカップの塗料供給がベルカップごとに行われるため、同芯円状に重ねて設けられたベルカップをそれぞれ独立に機能させることができる。 この発明により、複数のベルカップのうち内側のベルカップのみ機能させる、外側のベルカップのみ機能させる、すべてのベルカップを機能させる、又はひとつおきにベルカップを機能させる等と機能形態を変化させることができ、塗装対象面積に応じて塗布パターンを変化させることができるため、オーバースプレーを防止し、塗料を節約できる回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
【0011】
【発明の効果】
(1)本発明によれば、ベルカップの内径を拡大して塗装パターン幅の拡大を図るとともに塗装パターンの均一化を図ることができ、広い面積の被塗布物にも対応することができる回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
【0012】
(2)本発明によれば、シェーピングエアーによって塗料微粒子が横流れすることなく被塗装物面に塗着するため塗着効率の高い回転霧化静電塗装装置を提供することができる。また、メタリックフレークなどの塗料微粒子が被塗物面に対して面平行に並べられることから色味の向上を図ることができ、一定の色味の塗装を得るという観点からも、塗着効率が高い回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
複数のベルカップを同芯円上に重ねた場合には、パターン幅を拡大しながら塗着効率の向上を図ることができ、結果として設置ベルカップの数を低減し、塗装時間を短縮し、塗装品質を高める回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
【0013】
(3)請求項3に係る発明によれば、パターン幅の広狭に応じた塗装を行うことができるため、オーバースプレーを防止するとともに、使用する塗料を節約しうる回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
【0014】
(4)本発明によれば、内径の異なるベルカップを重ねて設けたことにより生じる塗装膜厚分布の不均一を解消することができ、高い品質の塗装を行うことができる回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
【0015】
(5)本発明によれば、同芯円状に重ねたベルカップから飛び出す微粒子の微粒子径を均一とすることができ、高品質の塗装を行うことができる回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
【0016】
(6)本発明によれば、複数のベルカップのうち内側のベルカップのみ機能させる、外側のベルカップのみ機能させる、すべてのベルカップを機能させる、又はひとつおきにベルカップを機能させる等と機能形態を変化させることができ、塗装対象面積に応じて塗布パターンを変化させることができるため、オーバースプレーを防止し、塗料を節約できる回転霧化静電塗装装置を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の回転霧化静電塗装装置の実施形態を示す図であり、図2は、吹出し角度を説明する図であり、図3は、本実施形態の回転霧化静電塗装装置の塗着効率を比較する図であり、図4は、本実施形態の回転霧化静電塗装装置の色味(IV値)を比較する図であり、図5は実施形態の回転霧化静電塗装装置のパターン幅を比較する図であり、図6はベルカップの内径に応じてベルカップの回転数と塗料の微粒化径とを対応づけた回転数情報の一例を示す図であり、図7は本実施形態の回転霧化静電塗装装置の塗装パターンの分布を比較する図である。
【0018】
<構成>
図1は、本発明の回転霧化静電塗装装置の実施形態を示す図である。図1に示すように、本実施形態の回転霧化静電塗装装置100は、ハウジング6内に回転軸21が図外のモータにより回転可能に支持されており、この回転軸21の先端方向にベルカップ2(2A、2B)が設けられている。このベルカップ2の回転機構は、回転軸をモータにより回転駆動させてベルカップ2を回転させるものであっても、ベルカップ2を空気流により回転させるものであってもよい。本実施形態では2つのベルカップ2を設けており、第1のベルカップ2A(内心側)と第2のベルカップ2B(外周側)とを有している。本実施形態ではベルカップの数が2つの場合を示したが、ベルカップの数は限定されることなく、いくつであってもよい。
【0019】
このベルカップ2は駆動制御手段4により回転駆動、停止、回転数の制御等が行われる。この駆動制御はベルカップの回転軸に作用してもよいし、ベルカップを回転させるエアタービン4に作用してもよい。
【0020】
ハウジング6とベルカップ2との間には環状のシェーピングエアーリング7が、ベルカップ2ごとに設けられている。このシェーピングエアーリング7とベルカップ2側近傍には環状のシェーピングエアーの通路が形成される。このシェーピングエアーは、ベルカップ2A、2Bの背面にベルカップ2A、2Bの外周に沿って複数設けられたエアー吹出し口1から供給される。このシェーピングエアーは、各ベルカップごとにその背面から供給されることが好ましいが、同芯円状に重なり合ったベルカップ2の間隔が狭い場合には、適宜、シェーピングエアーリング7、シェーピングエアー吹き出し口1をまとめて構成し、シェーピングエアーの供給経路を統合することも可能である。
【0021】
また、このように複数の供給経路を介して供給されるシェーピングエアーの吹き出し角度は、すべて0度から20度であることが好ましいが、任意のベルカップの背面から供給されるシェーピングエアーの吹き出し角度を0度から20度とすることも、複数のベルカップ2のうち最も外側に位置するベルカップ2Bの背面から供給されるシェーピングエアーの吹き出し角度のみを0度から20度とすることも可能である。この場合、外側のシェーピングエアーは、内側のすべてのベルカップ2A、2Bから吹き出された霧化された塗料を包み込む、いわゆるエアーカーテンを形成する。
【0022】
ここで、図2を参照して、シェーピングエアーの吹き出し口について説明する。図2は、シェーピングエアーの吹出し角度を説明する図である。図2に示すように、吹出し角度とは、シェーピングエアー吹出し方向S’とベルカップの回転軸21の方向とが、なす角度である。本願に係る発明では、このシェーピングエアー吹出し角度を0〜20°の角度とすることを特徴としている。図1に示した本実施形態における吹き出し口1(ベルカップ2B(外周側)の外側)は、吹出し角度を0°、すなわち、シェーピングエアーが、ベルカップ2の回転軸方向21に対して0°で吹出されるように設けられている。
【0023】
また、ベルカップの内周面先端へ塗料を供給する塗料供給経路3と、塗料が噴出する塗料ノズル31とを有している。メタリックフレーク等の塗料は、供給経路3を介して複数のベルカップ2A、2Bへ供給される。この塗料の供給は、塗料供給制御手段5であるトリガーバルブ5において制御される。このトリガーバルブ5はベルカップ2A、2Bへのそれぞれの供給を制御する。
【0024】
<作用>
次に作用について説明する。ベルカップ2A、2Bへ供給された塗料は、塗料ノズル31から噴出されると、ベルカップ2A、2Bの回転力により円周方向外側に向けて霧状に放出されて、被対象物の面上に塗着する。このとき、本実施形態のように設けられたエアー吹出し口1が、ベルカップ2の背面から回転軸方向に対して0〜20°の角度でシェーピングエアーを吹出す。すると、円周方向外側に拡がる塗料は、シェーピングエアーにより進行方向を変えられて被塗物面に対し略垂直方向に衝突し塗装面に対して面平行に塗着する。本実施形態では、シェーピングエアー吹出し角度を、0°とした。
【0025】
本実施形態における回転霧化静電塗装装置100の作用を確認するために、その塗着効率、色味、パターン幅について、検討した。その結果を図3、図4、図5に示す。具体的には、図3は、本実施形態の回転霧化静電塗装装置の塗着効率を比較する図、図4は、本実施形態の回転霧化静電塗装装置の色味(IV値)を比較する図、図5は、本実施形態の回転霧化静電塗装装置のパターン幅を比較する図である(図中S.Aとあるのは、シェーピングエアーの略である)。
【0026】
これらの検討は、回転軸21に対してシェーピングエアー吹出し角度が、−10°から60°の範囲にある回転霧化静電塗装装置を作成し、シェーピングエアー吹出し角度が0°から20°の範囲にある回転霧化静電塗装装置100(本実施形態)と、シェーピングエアー吹出し角度が30°から45°の範囲にある従来の回転霧化静電塗装装置(比較例)とを比較して行った。
【0027】
塗着効率
図3は塗着効率を示し、シェーピングエアー流量が500Nl/minの場合(太線で示す)と、シェーピングエアー流量が300Nl/minの場合(細線で示す)のそれぞれにおいて、シェーピングエアー吹出し角度を−10°から60°の範囲で変化させ、シェーピングエアー吹出し角度(°)に対する塗着効率(%)をプロットした。
その結果、吹出し角度が0°から20°においては、シェーピングエアー流量が500Nl/minの場合には塗着効率が95から100%の範囲で推移し、シェーピングエアー流量が300Nl/minの場合には塗着効率が80から90%の範囲で推移した。
これにより、本実施形態では、比較例(吹出し角度が30〜50°)よりも塗着効率が向上することがわかった。特に、0°に近いほうが塗着効率が向上することがわかった。
【0028】
色味
図4は色味(IV値)を示し、シェーピングエアー流量が500Nl/minの場合(太線で示す)と、シェーピングエアー流量が300Nl/minの場合(細線で示す)のそれぞれにおいて、シェーピングエアー吹出し角度を−10°から60°の範囲で変化させ、シェーピングエアー吹出し角度(°)に対する色味(IV値)をプロットした。
その結果、吹出し角度が0°から20°においては、シェーピングエアー流量が500Nl/minの場合には塗着効率が230から250の範囲で推移し、シェーピングエアー流量が300Nl/minの場合には塗着効率が180から200の範囲で推移した。
これにより、本実施形態では、比較例(吹出し角度が30〜50°)よりも色味(IV値)が向上することがわかった。特に、0°に近いほうが色味(IV値)が向上した。
【0029】
パターン幅
図5はパターン幅を示す。シェーピングエアー吹出し角度を−10°から60°の範囲で変化させ、シェーピングエアー吹出し角度(°)に対するパターン幅(mm)をプロットした。
その結果、吹出し角度が0°から20°においては、パターン幅が150mmから200mmの範囲で推移し、吹出し角度が30°から45°においては、パターン幅が250mmから300mmの範囲で推移した。
これにより、本実施形態では、比較例(吹出し角度が30〜50°)よりもパターン幅が少なくなることがわかった。
【0030】
膜厚の分布
内径の異なる複数のベルカップ2A、2B等を同芯円状に複数設け、背面から吹き出し角度が0〜20度のシェーピングエアーを吹き出すことによって、塗装幅の拡大を図るとともに塗着効率の向上と色味の向上を図ることができるが、これに伴って塗装膜厚が不均一となる傾向があることがわかった。
塗装膜厚が不均一となると塗装品質が低下するおそれがある。
そこで、本実施形態の回転霧化静電塗装装置100は、このような問題を解決し、ベルカップ2の回転数を制御して塗装膜厚を平均化するものである。
【0031】
同一の回転数で回転させた場合、ベルカップ2の内径が異なるとベルカップ2の周速に差異が生じ、ベルカップ2の外縁で塗料微粒子に与えられる力(向心力、遠心力)に違いが生じる。この結果、ベルカップの回転力により微粒子化する塗料粒子の微粒子径に差異が生じる。図6において、内径が異なる2つのベルカップ(50φ、150φ)について、ベルカップ2の回転数ごとの塗料微粒化径を具体的に示した。図6に示すように同じ回転数(10Krpm)にて、内径の異なるベルカップ(50φと150φ)を回転させると、内径50φのベルカップ2Aから噴出された塗料の微粒化径は25μmとなり、内径150φのベルカップ2Bから噴出された塗料の微粒化径は17μmとなった。同一回転数での回転においては内径が大きいベルカップ2bの方が周速が速くなり、ベルカップ2Bの外縁で塗料微粒子が受ける力が大きくなるため、その微粒子化が進むことがわかる。このように微粒化径の異なる塗料を同時に塗布すれば、塗装の膜厚が不均一となってしまう。
【0032】
一方、ベルカップ2の内径が異なる場合であっても、周速が同じであれば微粒化径が同一となる場合がある。図6に示すように、内径50φのベルカップ2Aを回転数10Krpmで回転させた場合と、内径150φのベルカップ2Bを回転数30Krpmで回転させた場合とは、それらベルカップ2から塗布される塗料の微粒化径は17μmと同一となる。
【0033】
このように、微粒化径が同一となるようにベルカップ2A、2Bの回転数を制御すれば複数のベルカップ2から噴出される塗料の微粒化径が等しくなり、塗装膜が均一となって高い品質の塗装を行うことができる。
【0034】
複数の異なる内径を有するベルカップにより塗布した塗料の膜厚分布を図7に示した。図7は、本実施形態の回転霧化静電塗装装置の塗装パターンの分布を比較する図である。塗装の質を検討するため、塗装膜厚について、0mm地点を規準として−250mmから+250mmまでの各ポイントにおける膜厚(μm)を測定しプロットした。図7中、内径φ50のベルカップを回転数10Krpmで回転した場合の膜厚分布を2点鎖線で示し、内径φ150のベルカップを回転数10Krpmで回転した場合の膜厚分布を1点鎖線で示した。図7で示すようにベルカップの内径が小さい場合には塗布パターンは0地点付近にピークがあるが、ベルカップの内径を単に大きくすると、塗布パターンがドーナツ状となってしまう。これら2つのベルカップをあわせて同時に塗布しても膜厚を均一とする塗布を行うことはできない。
【0035】
一方、図7中実線で示した塗布パターンは、内径φ150のベルカップを回転数10Krpmで回転させ、内径φ50のベルカップを回転数30Krpmで回転させた場合である。このように、回転数を適宜制御することによって、内径の異なるベルカップ2A,2Bの周速を同じくすることができるため、結果として、塗布パターンを拡大しつつ膜厚が均一な塗布を行うことができる。
【0036】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転霧化静電塗装装置の実施形態を示す図である。
【図2】吹出し角度を説明する図である。
【図3】本実施形態の回転霧化静電塗装装置の塗着効率を比較する図である。
【図4】本実施形態の回転霧化静電塗装装置の色味(IV値)を比較する図である。
【図5】本実施形態の回転霧化静電塗装装置のパターン幅を比較する図である。
【図6】ベルカップの内径に応じてベルカップの回転数と塗料の微粒化径とを対応づけた回転数情報の一例を示す図である。
【図7】本実施形態の回転霧化静電塗装装置の塗装パターンの分布を比較する図である。
【符号の説明】
100…回転霧化静電塗装装置
1…エアー吹出し口
2…ベルカップ
2A…第1のベルカップ
2B…第2のベルカップ
21…(ベルカップ)回転軸
3…塗料供給経路、フィードチューブ
31…塗料ノズル
4…駆動制御手段、エアタービン
41…回転制御機能
5…塗料供給制御手段(トリガーバルブ)
6…ハウジング
7…シェーピングエアーリング
S…シェーピングエアー
S’…シェーピングエアー吹出し方向
P…塗料
Claims (6)
- 複数のベルカップが実質的に同芯円状に設けられ、前記複数のベルカップの回転駆動をそれぞれ制御する駆動制御手段を備えたことを特徴とする回転霧化静電塗装装置。
- ベルカップの背面からシェーピングエアーを供給するエアー吹き出し口が、前記ベルカップの回転軸方向に対して0〜20°の角度で前記シェーピングエアーを吹出すように設けられた請求項1記載の回転霧化静電塗装装置。
- 前記複数のベルカップの内径が異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転霧化静電塗装装置。
- 前記駆動制御手段が、前記複数のベルカップの回転数をそれぞれ制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の回転霧化静電塗装装置。
- 前記駆動制御手段は、前記複数のベルカップの周速が実質的に同一となるようにベルカップの回転数をそれぞれ制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の回転霧化静電塗装装置。
- 前記複数のベルカップへの塗料供給をそれぞれ制御する塗料供給制御手段を有することを特徴とする請求項1〜5記載の回転霧化静電塗装装置。
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JP2002143727A (ja) | 2002-05-21 |
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