JP3750927B2 - 高炉樋用耐火ブロックの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐摩耗性及び耐熱スポーリング性に優れ、高炉樋の内張り用途に好適な高炉樋用耐火ブロック、特に高炉傾注樋用耐火ブロックの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
高炉出銑樋(高炉樋)には溶鉱炉から噴出した溶銑とスラグが混在して流れる主樋、主樋下部で分離されて溶銑のみが流れる溶銑樋、スラグのみが流れるノロ(滓)樋、そして溶銑を溶銑樋から混銑車に移すにあたって中継的に傾注及び分配するための傾注樋がある。その中で傾注樋は溶銑樋から一定の落差をもって溶銑を受けるため、摩耗による損傷を受けるのと同時に、間歇受銑による熱的スポーリングを受ける。そのためその底部における損傷が特に大きく、上記二つの要因がもっぱら傾注樋の寿命を左右していると言える。
【0003】
かつて高炉出銑樋用内張り材としては練り土状のラミング材が主流であった。しかし現在その使用は僅かである。粉末状のラミング材は少例ではあるが特殊なケースに使用されている。現在、低セメントキャスタブルに代表されるキャスタブル耐火物(流し込み剤)の性能向上を背景として、高炉出銑樋用内張り材としてはキャスタブル耐火物を流し込み施工したものが主流となっている。キャスタブル耐火物の材質としてはアルミナ−炭化珪素―カーボン質材あるいはアルミナ−スピネル−炭化珪素―カーボン質材が一般的である。
【0004】
高炉出銑樋用内張り材として、キャスタブル耐火物を成型することにより製造される耐火ブロックも以前から使用されているが、多用されるまでには到っていない。例えば特開昭51-131403号は、大型の溝型ブロックを既設の鉄皮内に順次連接することにより高炉出銑樋を構築する方法を開示している。しかしこの方法は、傾注樋の構築時間短縮を目的とした方法であって、高炉樋の内張り材における耐摩耗性と耐熱スポーリング性を改善できるものではない。
【0005】
その他、(イ) 高炉出銑樋等の壁面の補修部に対応したブロック補修体を予め成型し、そのブロック補修体を該補修部に嵌装し、その周囲に耐火物を流し込んで一体的に乾燥固着することにより補修する方法(特開昭64-14590号)、(ロ) 高炉出銑樋の内張りに、内側面と外側面とが対称状の耐火ブロック体を装着するとともに、外側面側を内側面側に再利用できるように取り替え可能に装着する方法(特開平2-166207号)、(ハ) 外気温度の影響を受けやすく、損傷の大きい溶銑樋および傾注樋の先端部のみに取替え自在の溝型ブロックを用いる方法(実開平2-53957号)が開示されている。しかし、これらの方法は耐火ブロックの耐久性を改善したものではなく、高炉樋の内張り材における摩耗損傷や亀裂の発生による割れ損傷を減少させることはできなかった。
【0006】
これに対して実開平5-37947号は、耐火ブロックの材質については明記していないが、表面を平坦とし裏面を凸形とした耐火ブロックを溶銑傾注樋の中央底部耐火材中に埋設することによって傾注樋の寿命を改善する方法を開示している。しかし水量を少なめに添加した流し込み樋材を型枠に流し込み、加振及び成型しただけの耐火ブロックを実開平5-37947号と同様に傾注樋底部に埋設した限りでは、溶銑の落下衝撃による摩耗損傷は減少するものの、亀裂の発生による割れ損傷が起こることを本発明者らは確認した。この割れ損傷は熱的スポーリングによるものと推定される。また実開昭56-82496号は、型枠に不定形耐火物を鋳込みこれを加熱して得られる耐火ブロックにおいて、型枠の上部開放面に相当する上面に開口部をもつ空洞部を設けることにより、加熱乾燥時の水分膨出により成型体の密度が下がる現象を抑制し、耐久性を向上した主に高炉出銑樋のダンパーブロック用途の耐火ブロックを開示している。
【0007】
一方本発明者らは、耐熱スポーリング性を向上させるために耐火ブロックを低弾性率化するべく、キャスタブル耐火物の組成のうちカーボン、ピッチ、黒鉛等の量的検討を行ったが、耐摩耗性と耐熱スポーリング性は相反する傾向があるため、両者のバランスがうまくとれず、キャスタブル耐火物の組成を変更するだけでは耐摩耗性と耐熱スポーリング性を十分に改善することは困難であることを確認した。
【0008】
従って、本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消し、耐摩耗性及び耐熱スポーリング性に優れた高炉樋用耐火ブロック、特に高炉傾注樋用耐火ブロックの製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、高炉樋用キャスタブル耐火物を使用して比較的緻密なブロック体を成型し、これにピッチを含浸させることにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明に想到した。
【0010】
すなわち、本発明の高炉樋用耐火ブロックの製造方法は粒径10μm以下の耐火性超微粉を含む耐火性粉末、耐火性骨材及びアルミナセメントを含有する耐火組成物と、少量の分散剤とを含む高炉樋用キャスタブル耐火物を型枠に流し込み、養生及び乾燥することにより作製したブロック体にピッチを含浸させ、得られたピッチ含浸ブロック体をベーキング処理することを特徴とする。
【0011】
耐火性骨材は少なくともアルミナ及び/又は炭化珪素からなる骨材を含有し、耐火性粉末はアルミナ、炭化珪素及びカーボンからなる群から選ばれた少なくとも一種の粉末を含有するのが好ましい。これにより耐火組成物を、高炉傾注樋用耐火ブロックに好適なアルミナ−炭化珪素−カーボン質材にすることができる。耐火組成物は、前記耐火組成物全体を100質量%として、アルミナ60〜80質量%、炭化珪素10〜25質量%、カーボン0.5〜5質量%を化学成分として含有し、残部がその他の任意の化学成分からなるのが好ましい。
【0012】
耐火組成物は、前記耐火組成物全体を100質量%として、粒径30〜0.1 mmの耐火性骨材60〜80質量%、粒径10μm以下の耐火性超微粉5〜20質量%、アルミナセメント0.5〜8質量%を材料として含有し、残部がその他の耐火性骨材及び耐火性粉末からなるのが好ましい。
【0013】
本発明の製造方法により得られた高炉樋用耐火ブロックは、高炉における傾注樋、主樋落ち口部、溶銑樋、ノロ樋のコーナー部・ダンパー部等の溶銑あるいは溶滓の流れが速い部位に内張り材として用いることにより優れた効果を発揮するが、特に高炉傾注樋用耐火ブロックとして好適に使用することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の高炉樋用耐火ブロックの製造方法について、高炉傾注樋に用いる高炉傾注樋用耐火ブロックを例として、以下詳細に説明する。
[1] 高炉傾注樋用キャスタブル耐火物
高炉傾注樋用耐火ブロックを作製するための高炉傾注樋用キャスタブル耐火物の材料としては、通常に流し込み施工で使用されるものを使用することができる。一般的に耐火性骨材、耐火性粉末及びアルミナセメントを含有する耐火組成物は、アルミナ−炭化珪素−カーボン質材あるいはアルミナ−スピネル−炭化珪素−カーボン質材が適している。前者は高炉樋における広範囲の内張り材に使用され、後者は主樋のメタル部の内張り材に主として使われる。高炉傾注樋用耐火ブロックにおいてはアルミナ−炭化珪素―カーボン質材が好ましい。
【0015】
(1) 材料組成
高炉傾注樋用キャスタブル耐火物は、(a) 耐火性骨材、(b) 粒径10μm以下の耐火性超微粉を含む耐火性粉末及び(c) アルミナセメントを含有する耐火組成物と、少量の分散剤とを含む。耐火組成物は、耐火組成物全体を100質量%として、粒径30〜0.1 mmの耐火性骨材60〜80質量%、粒径10μm以下の耐火性超微粉5〜20質量%、アルミナセメント0.5〜8質量%を材料として含有し、残部がその他の耐火性骨材及び耐火性粉末からなるのが好ましい。
(a) 耐火性骨材
耐火性骨材としては、電融アルミナ、焼結アルミナ等のアルミナ、スピネル、ムライト、炭化珪素、黒鉛、ピッチ、ボーキサイト、ダイアスポア、礬土頁岩、シャモット、ケイ石、パイロフィライト、シリマナイト、アンダリュサイト、クロム鉄鉱、マグネシア、ジルコニア、ジルコン、クロミア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ホウ化チタン及びホウ化ジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種を用いることができ、必要に応じて二種以上を併用することができる。中でも電融アルミナ、焼結アルミナ、スピネル、ムライト、炭化珪素、黒鉛及びピッチからなる群から選ばれた少なくとも二種を用いるのが好ましい。耐火性骨材の粒径は30mm以下であるのが好ましく、30〜0.1 mmであるのがより好ましい。耐火組成物は、耐火組成物全体を100質量%として、30〜0.1 mmの耐火性骨材を 60〜80質量%の割合で含むのが好ましく、65〜73質量%の割合で含むのがより好ましい。
【0016】
(b) 耐火性粉末
耐火性粉末としては、アルミナ、スピネル、ムライト、非晶質シリカ、シリカ、チタニア、炭化珪素、カーボン、粘土、チタニア、ボーキサイト、ダイアスポア、礬土頁岩、シャモット、パイロフィライト、シリマナイト、アンダリュサイト、ケイ石、クロム鉄鉱、マグネシア、ジルコニア、ジルコン、クロミア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ホウ化ジルコニウム及びホウ化チタンからなる群から選ばれた少なくとも一種を使用することができ、必要に応じて二種以上を併用することができる。中でもアルミナ、スピネル、ムライト、非晶質シリカ、シリカ、チタニア、炭化珪素、カーボン及び粘土からなる群から選ばれた少なくとも二種を用いるのが好ましい。本発明においては耐火性粉末として粒径が10μm以下の耐火性超微粉を含むものを使用する。耐火性超微粉の粒径は1μm以下であるのが好ましい。耐火組成物は、耐火組成物全体を100 質量%として、粒径10μm以下の耐火性超微粉を5〜20質量%含有するのが好ましい。耐火性超微粉の配合量が5質量%未満では分散剤との併用によって混練水量を減少できる効果(減水効果)が小さく、20質量%を超えると混練水量が増加するので、焼成後の収縮が大きくなる。
【0017】
(c) アルミナセメント
アルミナセメントはJIS 2 種以上の高品位のものが適している。アルミナセメントの配合量は耐火組成物100 質量%当たり0.5〜8質量%が好ましい。係る配合量が0.5質量%未満では強度が不足し、8質量%を超えると耐食性が悪化する。
【0018】
(d) 分散剤
分散剤にはヘキサメタリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ等の縮合リン酸塩、β−ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アミノスルホン酸およびその塩、リグニンスルホン酸およびその塩、ポリアクリル酸およびその塩、ポリカルボン酸およびその塩、オキシカルボン酸およびその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種を使用するのが好ましい。添加量は耐火組成物100質量%に対して0.01〜1.0質量%(外掛け)であるのが好ましい。分散剤の添加量が0.01質量%未満では耐火性粉末に対する十分な分散効果が得られず、また1質量%超では最適な分散状態が得られない。
【0019】
(e) その他の成分
その他の成分としては、可使時間及び硬化時間調整のための硼酸、リン酸、オキシカルボン酸、炭酸アルカリ塩等の各種添加剤、靭性向上のための無機あるいは金属などの繊維、乾燥爆裂防止のための金属アルミニウム粉末、オキシカルボン酸塩あるいは有機繊維などを添加することができる。さらに金属シリコン、フェロシリコン等の粉末状焼結助材、炭化ホウ素等の酸化防止材も使用できる。
【0020】
(2) 化学成分組成
上述の耐火性骨材、耐火性粉末及びアルミナセメントを含有する耐火組成物は、前記耐火性骨材として少なくともアルミナ及び/又は炭化珪素からなる骨材を含有し、前記耐火性粉末としてアルミナ、炭化珪素及びカーボンからなる群から選ばれた少なくとも一種の粉末を含有するのが好ましい。これにより耐火組成物を、高炉傾注樋用耐火ブロックに好適なアルミナ−炭化珪素−カーボン質材にすることができる。このような耐火組成物は、耐火組成物全体を100質量%として、アルミナ60〜80質量%、炭化珪素10〜25質量%、カーボン0.5〜5質量%を化学成分として含有し、残部がその他の任意の化学成分からなるのが好ましい。
【0021】
[2] 高炉傾注樋用耐火ブロックの製造
高炉傾注樋用耐火ブロックは上述の高炉傾注樋用キャスタブル耐火物に水を添加した流し込み樋材(ブロック用流し込み樋材)を型枠に流し込み、養生及び乾燥することにより作製したブロック体にピッチを含浸させた後、得られたピッチ含浸ブロック体をベーキング処理してなる。
【0022】
(1) ブロック体の成型
高炉傾注樋用キャスタブル耐火物への混練水量を通常の流し込み施工の場合よりやや少な目にして混練したブロック用流し込み樋材を型枠に流し込んで充填する。この時、振動を十分にかけるようにする。これにより空気等が脱気され、緻密性を高めることができる。振動はバイブレーター等を用いてかければよい。混練水量は配合組成に依存するが、キャスタブル耐火物100質量部に対して大体3〜6質量部である。その後型枠中で1日以上養生した後脱枠し、得られたブロック体を300〜500℃で5〜12時間乾燥脱水する。
【0023】
(2) ピッチ含浸処理
上述の方法により作製したブロック体は、ピッチを含浸する処理によってその強度が増大し、弾性率が低下する。このことが高炉傾注樋用耐火ブロックの亀裂の発生を防止することに寄与していると考えられる。使用に適するピッチは軟化点が110℃以下のものが好ましい。軟化点温度が110℃を超えるピッチは残炭率が大きいが、細孔へのピッチの含浸が十分でなくなる。含浸処理はブロック体を装入した真空槽を予め150〜300℃に加温した状態で脱気した後、真空度を維持しながら150〜300℃に加温したピッチ液を投入することにより行う。或いは加温したピッチ液とブロック体とを真空槽に装入し、真空ポンプで脱気してもよい。このような脱気含浸を1〜10時間程度行った後、150〜300℃の加熱下かつ1〜3MPaの加圧下で1〜10時間加圧含浸処理を行う。次いでピッチ含浸処理したブロック体を熱処理炉に装入し、300〜450℃に加熱してピッチ中の揮発分を除去する(ベーキング処理)。ベーキング処理時間は処理温度によるが、5〜12時間であるのが好ましい。ベーキング処理をすることにより、高炉傾注樋用耐火ブロックを高炉傾注樋に生じた損傷部分に嵌装し、その廻りを補修用の流し込み樋材(補修用流し込み樋材)で流し込み施工処理した場合に、高炉傾注樋用耐火ブロックとその廻りの補修用流し込み樋材との接着性が向上する。なおブロック用流し込み樋材中の高炉傾注樋用キャスタブル耐火物の材料組成及び化学成分組成は、補修用流し込み樋材を構成する高炉傾注樋用キャスタブル耐火物のものとそれぞれできるだけ近いのが好ましい。これにより高炉傾注樋用耐火ブロックとその廻りに流し込み施工した補修用流し込み樋材との界面での異常溶損を防止することができ、かつ係る界面での膨張特性の差異による剥離を防止することができる。
【0024】
【実施例】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1
表1に示す配合組成物(高炉傾注樋用キャスタブル耐火物)を4.5質量部の水で混練したブロック用流し込み樋材を4×4×16 cmの型枠に流し込み、加振しながら成型した。得られた成型物を1日養生した後脱枠し、110℃で24時間乾燥した後、さらに結晶水を除去するべく450℃で3時間加熱することによりブロック片を作製した。得られたブロック片を容器に入れ、230℃に加温しながら真空ポンプで3時間脱気した後、230℃に加温したピッチ(ピッチA:軟化点86℃、固定炭素55.1%)を容器に注入することによりブロック片を浸漬し、230℃/7時間の減圧状態でピッチ含浸処理を行った。次いで、230℃/1.5MPaで5時間加圧含浸を行った。続いて400℃で3時間ベーキング処理することにより耐火ブロック試験片を作製した。
【0026】
表1
注)(1) 耐火組成物に対する外掛け質量%
(2) 粉末樋材(高炉傾注樋用キャスタブル耐火物) 100質量部に対する質量部
【0027】
実施例2
軟化点の異なるピッチ(ピッチB:軟化点40℃、固定炭素35%)を用いた以外は実施例1と同様に耐火ブロック試験片を作製した。
【0028】
比較例1
ピッチ含浸処理を施さなかった以外は実施例1と同様に耐火ブロック試験片を作製した。
【0029】
実施例1,2及び比較例1で得られた各試験片に対して、以下の試験を行った。
・気孔率:JIS R2205に準拠して測定した。
・圧縮強度:JIS R2553に準拠して測定した。
・熱間曲げ強度:JIS R2656に準拠して測定した。
・弾性率:JIS R1605に準拠して測定した。
・スポーリング試験:1400℃で30分保持後30分空冷する操作を1サイクルとし、3サイクルおよび5サイクル後の弾性率を測定し、スポーリング試験前の弾性率の値を100とする比(指数)で表した。耐スポーリング性指数が大きいほどスポーリング試験に対する抵抗力が大きいことを意味する。
【0030】
表2
【0031】
表2に示すように実施例1,2は比較例1に比べて、気孔率は小さく、焼成後の圧縮強度および熱間強度は高く、弾性率は小さい。これを反映して耐スポーリング性指数は実施例1,2の方が比較例1より大きく、耐スポーリング性が高いことを示している。亀裂発生に対する抵抗力は、破壊強度が大きく弾性率が小さい程大きい。
【0032】
実施例3
図1及び図2は、実施例1と同様の配合組成のブロック用流し込み樋材及びAピッチを用い、形状及び大きさ以外は実施例1と同様に作製した高炉樋用耐火ブロック(高炉傾注樋用耐火ブロック)の一形態を示す平面図及び正面図である。耐火ブロック1は上部に向かってテーパ状になっているとともに、側壁中途には凹部を有する。このような形状をとることにより、受銑中に耐火ブロック1が浮き上がるのを防止することができる。耐火ブロック1は図1及び図2に示すA1が850mm、A2が750mm、B1が650mm、B2が550mm、Hが250mmとなるサイズにした以外は実施例1と同様の手順で作製した。ただし耐火ブロック1の形状及び大きさは、高炉傾注樋における異常損傷部分の状況に応じて決定すればよい。
【0033】
高炉傾注樋は図3に示す斜視図のように一般的には舟形形状である。図4は図3の高炉傾注樋2の平面図であり、図5は図4の高炉傾注樋2のA-A断面図であり、図6は図4の高炉傾注樋2のB-B断面図である。傾注樋2は溶銑樋から落下してくる溶銑を受けるので、その内張りキャスタブルは摩耗による損傷を受けるのと同時に、間歇受銑による熱的スポーリングを受ける。その結果図5及び6に示すように、高炉傾注樋2の内張りキャスタブル22は全体に損傷を受け、損傷部3(底部及び側壁)が生じており、特に樋中央底部(湯当たり部)に異常損傷部分31が生じている。
【0034】
上述の耐火ブロック1を用いて、図5及び6に示すような異常損傷部分31及び損傷部3を有する高炉傾注樋2の補修を行った。異常損傷部分31周辺の内張りキャスタブルを耐火ブロック1が配置できるように開口部状に切削した後、そこに図7〜9に示すように耐火ブロック1を嵌装し、その廻りを始めとする損傷部3を表1に示す配合組成と同様の組成の補修用流し込み樋材4で流し込み施工することにより高炉傾注樋を補修した。
【0035】
図7は耐火ブロック1を用いて異常損傷部分31を補修した高炉傾注樋2を示す平面図であり、図8は図7の高炉傾注樋2のC-C断面図であり、図9は図7の高炉傾注樋2のD-D断面図である。図7〜9は異常損傷部分31に耐火ブロック1を配置し、その廻りを始めとする損傷部3に補修用流し込み樋材4を流し込んで樋内張りを形成した例を示す。このような場合、上述のように耐火ブロック1の原料である高炉傾注樋用キャスタブル耐火物の材料組成及び化学成分組成は、補修用流し込み樋材4を構成する高炉傾注樋用キャスタブル耐火物のものとそれぞれできるだけ近いのが好ましい。これにより耐火ブロック1と補修用流し込み樋材4の膨張特性が近似し、両者の接着が良好になる。以上述べたような方法により高炉傾注樋2の損傷部3を補修することができる。
【0036】
比較例2
ピッチによる含浸処理をしていない耐火ブロックを作製し、これを用いた以外は実施例3と同様に高炉傾注樋の異常損傷部分を始めとする損傷部を補修した。
【0037】
比較例3
耐火ブロックを嵌装せずに、実施例3と同様のブロック用流し込み樋材だけを用いて高炉傾注樋の異常損傷部分を始めとする損傷部を補修施工した。
【0038】
実施例3及び比較例2,3で得られた補修済み高炉傾注樋を実炉に設置し、実炉試験を行った。表3に通銑成績を示す。平均損耗速度は銑鉄量1000t当たりに損耗した耐火ブロック(実施例3及び比較例2)又は湯当たり部流し込み樋材(比較例3)の平均損耗厚みを示す。
【0039】
【0040】
表3に示すように実施例3の平均損耗速度は1.0 mm/1000tと優れていた。これに対して、比較例2はピッチによる含浸処理をしていず、比較例3は流し込み樋材だけを用いているため、平均損耗速度は実施例1の2倍以上と劣っている。
【0041】
【発明の効果】
高炉樋用低セメントキャスタブル耐火物を成型したブロック体をピッチ含浸処理する本発明の製造方法により得られた高炉樋用耐火ブロックは、耐熱スポーリング性と耐摩耗性に優れている。そのため高炉傾注樋用内張り材としてだけでなく高炉樋用内張り材として好適に使用することができる。特に傾注樋の湯当たり部、主樋の落ち口部、溶銑樋又はノロ樋のコーナ部・ダンパー部等の溶銑あるいは溶滓の流れが速く、熱的、機械的衝撃が大きい部位に本発明の製造方法により得られた高炉樋用耐火ブロックを内張り材として配置すると、流し込み樋材のみを用いた場合に比べて格段に優れた損耗抵抗性を示す。これらの異常損傷を起こす部位に本発明の製造方法により得られた高炉樋用耐火ブロックを配置し、その周辺を補修用流し込み樋材で内張り施工すると内張りキャスタブル全体がバランスのとれた損傷状態を示すので樋材原単位の低減効果が大きい。その結果高炉樋の寿命を延長させることができる。本発明の製造方法により得られた高炉樋用耐火ブロックを用いることにより、高炉における樋類の補修回数や取替え施工回数を減少させることができるため、耐火材の使用量を減少させることができ、かつ高炉の安定操業に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 高炉樋用耐火ブロックの形状の一例を示す平面図である。
【図2】 高炉樋用耐火ブロックの形状の一例を示す正面図である。
【図3】 内張りキャスタブルに損傷を生じた高炉傾注樋を示す斜視図である。
【図4】 内張りキャスタブルに損傷を生じた高炉傾注樋を示す平面図である。
【図5】 図4の高炉傾注樋のA-A断面図である。
【図6】 図4の高炉傾注樋のB-B断面図である。
【図7】 高炉樋用耐火ブロックを配置した高炉傾注樋の施工例を示す平面図である。
【図8】 図7の高炉傾注樋のC-C断面図である。
【図9】 図7の高炉傾注樋のD-D断面図である。
【符号の説明】
1・・・耐火ブロック
2・・・高炉傾注樋
21・・・鉄皮
22・・・内張りキャスタブル
3・・・損傷部
31・・・異常損傷部分
4・・・補修用流し込み樋材
Claims (4)
- 粒径10μm以下の耐火性超微粉を含む耐火性粉末、耐火性骨材及びアルミナセメントを含有する耐火組成物と、少量の分散剤とを含む高炉樋用キャスタブル耐火物を型枠に流し込み、養生及び乾燥することにより作製したブロック体にピッチを含浸させ、得られたピッチ含浸ブロック体をベーキング処理することを特徴とする高炉樋用耐火ブロックの製造方法。
- 請求項1に記載の高炉樋用耐火ブロックの製造方法において、
(a) 前記耐火組成物は前記耐火性骨材として少なくともアルミナ及び/又は炭化珪素からなる骨材を含有し、前記耐火性粉末としてアルミナ、炭化珪素及びカーボンからなる群から選ばれた少なくとも一種の粉末を含有し、もって前記耐火組成物は、前記耐火組成物全体を100質量%として、アルミナ60〜80質量%、炭化珪素10〜25質量%、カーボン0.5〜5質量%を化学成分として含有し、残部がその他の任意の化学成分からなり、かつ
(b) 前記耐火組成物は、前記耐火組成物全体を100質量%として、粒径30〜0.1 mmの耐火性骨材60〜80質量%、粒径10μm以下の耐火性超微粉5〜20質量%、アルミナセメント0.5〜8質量%を材料として含有し、残部がその他の耐火性骨材及び耐火性粉末からなることを特徴とする方法。 - 請求項1又は2に記載の高炉樋用耐火ブロックの製造方法において、前記高炉樋用耐火ブロックが高炉傾注樋用であることを特徴とする方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で製造した高炉樋用耐火ブロック。
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