JP6927054B2 - アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物、及びその製造方法 - Google Patents

アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶融金属処理容器の内張り炉材に用いられるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に関する。
溶鋼取鍋等に用いられるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、使用中に発生する亀裂が原因で剥離損耗を生じる課題があった。使用中に発生するアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の亀裂の主な原因は、耐火物の構成原料であるアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張により引き起こされる座屈と、耐火物内部へのスラグ浸透に起因する構造スポーリングによるものと考えられている。
アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の使用中の座屈を防止するには、座屈の原因となるアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張により発生する応力を緩和するために、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に荷重軟化性を付与する方法がある。
アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物内部へのスラグ浸透の防止には、スラグは気孔を介して耐火物内部に浸透することから、使用中の耐火物内部での気孔の生成抑制と耐火物組織の緻密化、並びに、使用中の耐火物内部の温度分布の急勾配化を図る方法がある。
特許文献1では、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の構成原料であるアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張が大きくなる1400℃以上の高温下において適度な荷重軟化性を付与させたアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が開示されている。
特許文献2では、使用中にアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物内部で、気孔の生成を抑制するために、粒径が0.75mm未満のMgOと残部Alとの化学成分を有するペリクレース−スピネル粒子を配合したアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が開示されている。
特許文献3では、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の組織を緻密化させるために、粒径と配合量との両者を規定したアルミナ微粒子と、粒径のみを規定した非晶質シリカ微粒子を用いたアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が開示されている。
特許文献4では、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の使用中の耐火物内部の温度分布の急勾配化を図るために、粒子径が5mm以下の中空アルミナを規定量配合したアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が開示されている。
特開平5−185202号公報 特許第4692104号公報 特許第4410459号公報 特許第5361795号公報
しかしながら、特許文献1,2、3、及び4に記載のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を用いても、使用中にキャスタブル耐火物に発生する亀裂を起点とした剥離損耗が解消しない問題が生じていた。
本発明者は、溶鋼取鍋に用いられるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の損耗機構を調べた結果、剥離損耗の原因となる使用中に耐火物に生じる亀裂は、耐火物の構成原料であるアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張により引き起こされる座屈や、耐火物内部へのスラグ浸透に起因する構造スポーリングが原因で発生するものでは無く、使用中に耐火物内部で生成する液相が消失することにより引き起こされる座屈が原因で発生することを見出した。しかしながら、従来技術ではアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物において、使用中の耐火物内部で生成する液相の消失を防止する方法がなかった。
そのため、使用中の耐火物内部で生成する液相の消失が抑制され、座屈が発生しない耐用性に優れたアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が求められている。
本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)シリカ粉体、マグネシア質耐火原料、アルミナセメント、及びアルミナ質耐火原料を含む耐火物100質量%として、
0.8〜1.2質量%の、1μm以下の最大粒径を有する前記シリカ粉体、
4.0〜7.0質量%の、1mm未満の最大粒径を有する前記マグネシア質耐火原料、
3.0〜8.0質量%の前記アルミナセメント、及び
残部として30mm未満の最大粒径を有する前記アルミナ質耐火原料
を含み、
前記アルミナ質耐火原料は、前記耐火物100質量%を基準として、粒度が10μm以上75μm以下の粒子を5.0〜15.0質量%含み、
前記粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料の全量と前記シリカ粉体の全量とで形成された、粒度が0.3mm以上1.0mm未満の造粒塊を含む、
ことを特徴とするアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物。
(2)アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の製造方法であって、
シリカ粉体、マグネシア質耐火原料、アルミナセメント、及びアルミナ質耐火原料を含む耐火原料100質量%として、
0.8〜1.2質量%の、1μm以下の最大粒径を有する前記シリカ粉体、
4.0〜7.0質量%の、1mm未満の最大粒径を有する前記マグネシア質耐火原料、
3.0〜8.0質量%の前記アルミナセメント、及び
残部として30mm未満の最大粒径を有する前記アルミナ質耐火原料
を用意すること、
前記アルミナ質耐火原料は、前記耐火物100質量%を基準として、粒度が10μm以上75μm以下の粒子を5.0〜15.0質量%含み、前記粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料の全量と前記シリカ粉体の全量とを混合造粒して、粒度が0.3mm以上1.0mm未満の造粒塊を形成すること、並びに
前記造粒塊と、前記マグネシア質耐火原料、前記アルミナセメント、及び前記粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料を除く前記アルミナ質耐火原料とを配合して、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を得ること、
を特徴とするアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の製造方法。
本発明により、使用中の耐火物内部で生成する液相の消失が抑制され、座屈が発生しない耐用性に優れたアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を得ることができる。
1400℃で3時間焼成した従来技術のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の切断面の電子顕微鏡写真。 本発明のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の液相及びヒボナイトの生成機構の模式図。 1400℃で3時間焼成した本発明のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の切断面の電子顕微鏡写真。
従来技術のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、最大粒径1μm以下のシリカ超微粉、最大粒径1mm未満のマグネシア質耐火原料、CaO・Alを主結晶相とするアルミナセメント、及び残部として最大粒径30mm未満のアルミナ質耐火原料を単純に混合したものからなる。このような従来技術のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物では、上記のように、使用中に耐火物内部で液相が生成し生成した液相が消失するために座屈が発生する。その機構を以下に述べる。
耐火物内部の温度分布において1000℃以上の温度となる領域では、耐火物原料同士の反応が開始する。先ずは、1000℃で次の(1)式の反応が起こる。
シリカ+CaO・Al→2CaO・Al・SiO(ゲーレナイト) (1)
続いて、1400℃で上記(1)式の反応で生成したゲーレナイトは溶融し、1400℃以上の温度では、(1)式で生成したゲーレナイトが溶けた液相が、アルミナ質耐火原料粒子と次の(2)式の反応を起こすと考えられる。
液相+アルミナ→アルミナ+CaO・6Al(ヒボナイト)+液相 (2)
上記(2)式の反応により生成した液相が、MaO・Alスピネル及びCaO・6Alの生成に伴う体積膨張を緩和する効果を発現することにより、座屈による亀裂の発生を防止することができる。
図1に、1400℃で3時間焼成した従来技術のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の切断面の電子顕微鏡写真を示す。アルミナ質耐火原料粒子3及びCaO・6Al粒子1のみが観察され、1400℃では液相となっていた相は観察されてはいない。1400℃で3時間焼成後に、本来1400℃では液相となっていた相が観察されなかった理由は、生成した液相の量が少なく、生成した液相の全てがアルミナ質耐火原料粒子と反応して、液相は全てCaO・6Al(ヒボナイト)の生成に消費されたからである。
以上のことから、従来技術のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物では、生成する液相の量が少ないことが原因で、使用中に耐火物内部で、アルミナ質耐火原料粒子と全ての液相とが反応して生成していた液相が消失するために、MaO・Alスピネル及びCaO・6Alの生成に伴う体積膨張を緩和することができず、座屈の発生を引き起こすことを見出した。
したがって、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物において、使用中に耐火物内部で生成する液相の消失を防止し、座屈を解消するためには、生成する液相の量を多くすることが重要となる。
そこで、本発明のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、生成する液相の量を増大させるために、耐火物100質量%を基準として粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料を5.0〜15.0質量%含む最大粒径30mm未満のアルミナ質耐火原料のうち、粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料の全量と1μm以下の最大粒径を有するシリカ粉体全量とで形成された、粒度が0.3mm以上1.0mm未満の造粒塊を含むことを特徴とする。本願明細書において、粒度とは、粒径をグループ毎に区切ったものを意味する。例えば、上記の「粒度が0.3mm以上1.0mm未満」は全ての粒径が0.3mm以上1.0mm未満の範囲内にあることを意味する。したがって、例えば、最大粒径30mm未満と粒度が30mm未満とは同じ意味である。
図2に、本発明のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物における液相及びCaO・6Al(ヒボナイト)の生成機構の模式図を示す。最大粒径30mm未満のアルミナ質耐火原料のうち粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料をシリカ粉体と混合造粒するのは、液相生成の主体となるシリカとアルミナとの接触点数を増加させるためである。シリカ粉体と混合造粒するアルミナ質耐火原料粒子の粒度が10μm未満では、上記(2)式においてアルミナは全て反応する結果、液相の生成量が過剰になり、耐食性が低下する。シリカ粉体と混合造粒するアルミナ質耐火原料粒子の粒度が75μm超では、アルミナ質耐火原料粒子1個に対するシリカ粉体の付着量が少なくなり、アルミナ質耐火原料粒子1個に対して生成する液相の量が少なくなる結果、生成した液相は全て、アルミナ質耐火原料粒子と反応して消失する。
粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料を、シリカ粉体と混合造粒し、得られる造粒塊の粒度を0.3mm以上1.0mm未満とするのは、使用中に造粒塊内部で最適な量の液相を生成するためである。造粒塊の粒度が0.3mm未満では、造粒塊内部で生成する液相の量が少なくなり、生成した液相は全て、アルミナ質耐火原料粒子と反応して消失する。造粒塊の粒度が1.0mm以上では、造粒塊内部で生成する液相の量が過剰になり、耐食性が低下する。
シリカ粉体と混合造粒する粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料の配合量は5.0〜15.0質量%とする。その理由は、使用中に造粒塊内部で最適な量の液相が生成するため、及び耐火物組織が緻密化するためである。粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料の配合量が5.0質量%未満では、造粒塊内部で生成する液相の量が過剰になり、耐食性が低下する。その配合量が15.0質量%超では、造粒により得られる粒度が0.3mm以上1.0mm未満の造粒塊の量が多すぎるために、耐火物組織が粗雑となり、耐食性が低下する。
粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料の全量がシリカ粉体の全量と造粒される。すなわち、30mm未満の最大粒径を有するアルミナ質耐火原料の粒度構成において、粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料の全てを、シリカ粉体と造粒する。したがって、本発明の耐火物の構成において、30mm未満の最大粒径を有するアルミナ質耐火原料中に、粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料は単独では存在せず、実質的に造粒塊中に存在する。
粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料と、最大粒径が1μm以下のシリカ粉体とを混合造粒する方式としては、乾式での高速混合方式や湿式での混合方式を用いることができる。
湿式での混合方式では、粒度10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料とシリカ粉体とをミキサーに装填して混合し、撹拌中に樹脂材料、例えばエポキシ樹脂、フラン樹脂、及びフェノール樹脂のうち少なくとも1つの樹脂を有機溶剤で希釈した溶液を添加することで、化学結合力により造粒塊を作製することができる。
図3に、1400℃で3時間焼成した本発明のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の切断面の電子顕微鏡写真を示す。アルミナ質耐火原料粒子3間にCaO・6Al粒子1と、1400℃では液相となっていた相2が存在していることが確認できる。
本発明のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に用いられるシリカ粉体としては、好ましくは、シリコンまたはシリコン合金の製造時に副生するシリカフラワーやシリカヒュームのようなシリカ、気相法で製造したエアロゾル状のシリカ、または湿式法で合成した非晶質含水シリカ若しくはそれを乾燥させたものが使用できる。シリカ粉体の最大粒径は1μm以下のものを用いる。シリカ粉体の最大粒径が1μm超では大きすぎであり、粒度10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料との混合造粒時にアルミナ質耐火原料の表面に吸着せず、アルミナ質耐火原料粒子と反応する液相の量が少なくなるために、生成していた液相が消失する。アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物中のシリカ粉体の配合割合は、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物中の耐火原料100質量%中、質量%で0.8%〜1.2%である。シリカ粉体の配合割合が0.8質量%未満では、配合割合が少ないため、生成する液相の量が少なくなり、生成した液相は全て、アルミナ質耐火原料粒子と反応して消失する。シリカ粉体の配合割合が1.2質量%超では、液相の生成量が多くなり、耐火性が低下するために耐食性に劣る。
本発明のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に用いられるマグネシア質耐火原料としては、好ましくは、焼結マグネシアまたは電融マグネシアが使用できる。マグネシア質耐火原料の最大粒径は1mm未満である。マグネシア質耐火原料の最大粒径が1mm以上であると、粒度が大きいために反応性に劣り、アルミナとの反応によるスピネル生成量が少なくなる結果、耐食性に劣る。アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物中のマグネシアの配合割合は、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物中の耐火原料100質量%中、質量%で4%〜7%である。マグネシア質耐火原料の配合割合が4質量%未満では、配合割合が少ないため耐食性に劣り、7質量%超ではアルミナとの反応による体積膨張を伴うスピネルの生成量が増大するために、座屈する。
本発明のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に用いられるアルミナセメントとしては、好ましくは、CaO・Alを含有し、アルミナセメント100質量%基準でCaO含有量が18〜30質量%のアルミナセメントが使用できる。アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物中のアルミナセメントの配合割合は、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物中の耐火原料100質量%中、質量%で3%〜8%である。アルミナセメントの配合割合が3質量%未満では、配合割合が少ないため、生成する液相の量が少なくなり、生成した液相は全て、アルミナ質耐火原料粒子と反応して消失する。アルミナセメントの配合割合が8質量%超では、液相の生成量が多くなり、耐火性が低下するために耐食性に劣る。
本発明のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に用いられるアルミナ質耐火原料には、好ましくは、焼結アルミナ、電融アルミナ、仮焼アルミナ、重焼アルミナ、ボーキサイト、電融ボーキサイト、ばん土頁岩、またはそれらの混合物などが含まれ、より好ましくは、焼結アルミナ、電融アルミナ、仮焼アルミナ、またはそれらの混合物が含まれる。焼結アルミナ、電融アルミナ、及び仮焼アルミナは、純度が高くAlの含有量が高いために、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の耐熱性をより向上することができる。アルミナ質耐火原料の最大粒径は30mm未満である。最大粒径が30mm以上であると、緻密な耐火物組織が得られず、耐食性に劣るからである。30mm未満の最大粒径を有するアルミナ質耐火原料中に、粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料が5〜15質量%含まれるように調製する。好ましくは、30mm未満の最大粒径を有するアルミナ質耐火原料中に、粒度が10μm以上75μm以下の電融アルミナまたは焼結アルミナが5〜15質量%含まれるように調製する。例えば、5〜15質量%の、粒度が10μm以上75μm以下の電融アルミナ、焼結アルミナ、またはそれらの組み合わせと、95〜85質量%の、粒度が10μm以上75μm以下の範囲外で30mm未満の焼結アルミナ、電融アルミナ、仮焼アルミナ、またはそれらの組み合わせとを混合して、アルミナ質耐火原料を調製することができる。
本発明の造粒塊の製造に使用される、粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料としては、好ましくは、焼結アルミナまたは電融アルミナを使用することができる。より好ましくは、焼結アルミナを用いる。焼結アルミナのほうが、本発明の原料構成において、液相がより生成しやすく、CaO・6Al(ヒボナイト)結晶が板状に成長しやすい。
最大粒径が1μm以下のシリカ粉体、最大粒径が1mm未満のマグネシア質耐火原料、及び最大粒径が30mm未満のアルミナ質耐火原料は、外部から入手してもよい。シリカ粉体からサイクロン(気流分級機)で分級して最大粒径が1μm以下のシリカ粉体を得ることもできる。最大粒径が1mm未満のマグネシア質耐火原料、及び最大粒径が30mm未満のアルミナ質耐火原料は、篩いを用いて得ることもできる。粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料は外部から入手してもよく、または最大粒径が30mm未満のアルミナ質耐火原料からサイクロン(気流分級機)で分級して得ることもできる。粒度が0.3mm以上1.0mm未満の造粒塊は、篩いを用いて得ることができる。すなわち、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に含まれるシリカ粉体は全てが1μm以下の粒度を有し、マグネシア質耐火原料は全てが1mm未満の粒度を有し、アルミナ質耐火原料は全てが30mm未満の粒度を有し、造粒に用いられるアルミナ質耐火原料は全てが10μm以上75μm以下の粒度を有し、造粒塊は全てが0.3mm以上1.0mm未満の粒度を有する。
本発明のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に用いられる分散剤としては、一般に使用されるものでよい。例えば、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリカルボン酸ナトリウム、スルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、ウルトラポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどのうち1種類以上を使用できる。分散剤の配合割合も一般的な処方でよい。分散剤の配合割合は、例えば、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物中の耐火原料100質量%に対して、外掛けで0.1〜1質量%の範囲が望ましい。
本発明のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に用いられる爆裂防止剤としては、一般に使用されるものでよい。例えばビニロンファイバー、乳酸アルミニウム、発泡剤である金属アルミニウム、アゾジカルボンアミド等を挙げることができる。爆裂防止剤の配合割合も一般的な処方でよい。爆裂防止剤の配合割合は、例えば、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物中の耐火原料100質量%に対して、外掛けで0.01〜0.03質量%の範囲が望ましい。
本発明のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の混練物は、従来から施工現場で使用されるミキサーを用いて作製され得る。使用する水の品質や量等の混練条件についても、特に制限されず、従来と同条件であることができる。
例えば、前記組成を満たすアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物100質量%に対し、外掛けで3.6〜5.0質量%の水を添加し、ミキサーで混練し、作製してもよい。
ミキサーとしては、ボルテックスミキサー、ターボミキサー、二軸ミキサー、及び高速ミキサーのうちいずれでも使用できる。
以下に、本発明の実施例及び比較例を示す。
(実施例1)
表1に、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の原料配合、並びに熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度の評価結果を示す。
シリカ粉体、マグネシア質耐火原料、アルミナセメント、及びアルミナ質耐火原料を含む耐火原料100質量%として、0.8質量%の、1μm以下の最大粒径を有するシリカ粉体(シリカフラワー)、4.0質量%の、1mm未満の最大粒径を有するマグネシア質耐火原料(焼結マグネシア)、8.0質量%のアルミナセメント(CaO・Al23を含有し、アルミナセメント100質量%基準で30質量%のCaOを含有)、及び残部として87.2質量%の30mm未満の最大粒径を有するアルミナ質耐火原料を用意した。最大粒径30mm未満のアルミナ質耐火原料の構成原料として、75.2質量%の粒度が75μm超の焼結アルミナ、5.0質量%の粒度が10μm以上75μm以下の電融アルミナ、及び7.0質量%の粒度が10μm未満の仮焼アルミナを用意した。粒度が75μm超の焼結アルミナを篩いにかけて、75μm超〜30mm未満(最大粒径30mm)の粒度を有する焼結アルミナを得た。1μm以下の最大粒径を有するシリカ粉体はサイクロン(気流分級機)を用いて得た。1mm未満の最大粒径を有するマグネシア質耐火原料は篩分けにより得た。粒度が10μm以上75μm以下の電融アルミナはサイクロン(気流分級機)を用いて得た。粒度が10μm未満の仮焼アルミナはサイクロン(気流分級機)を用いて得た。
粒度が10μm以上75μm以下の電融アルミナと最大粒径が1μm以下のシリカ粉体とを、湿式混合方式を用いて混合造粒を行った。具体的には、粒度が10μm以上75μm以下の電融アルミナと最大粒径が1μm以下のシリカ粉体とを、プロシェアミキサーを用いて混合、撹拌し、撹拌中に、エチレングリコール溶液で1000分の1に希釈したフェノール樹脂を添加することにより造粒を行い造粒物を得た。
得られた造粒物に対して篩分けを行い、粒度が0.3mm以上1.0mm未満の造粒塊を得た。
粒度が0.3mm以上1.0mm未満の造粒塊と、用意した1mm未満の最大粒径を有するマグネシア質耐火原料、アルミナセメント、粒度が75μm超の焼結アルミナ、及び粒度が10μm未満の仮焼アルミナとを配合して、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製した。
配合した耐火原料100質量%に、分散剤としてポリカルボン酸ナトリウムを耐火物質量に対する外掛け0.5質量%の範囲で添加し、爆裂防止剤としてビニロンファイバーを耐火物質量に対する外掛け0.02質量%添加し、更に水を耐火素材100質量%に対する外掛け3.8質量%添加して、二軸ミキサーを用いて3分間混練し、混練物を作製した。
Figure 0006927054
Figure 0006927054
作製した上記混練物を金枠に流し込み施工し、室温で24時間養生した後に金枠から硬化体を取外し、その硬化体を110℃で24時間乾燥し、次いで1400℃で3時間焼成して、熱膨張率測定用試料を得た。熱膨張率測定用試料の1600℃での熱膨張率を、JIS−R2207―1に準拠して測定して、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の座屈を評価した。
座屈を熱膨張率で評価した理由は、座屈し易い耐火物は、1400℃で3時間焼成後には、一旦生成した液相が消失しているために、軟化し難く、1600℃での熱膨張率は高くなり、一方で、座屈し難い耐火物は、1400℃で3時間焼成後にも、生成した液相が残っているために軟化し易く、1600℃での熱膨張率は低くなるからである。即ち、1600℃での熱膨張率は、座屈し易い耐火物では相対的に高く、座屈し難い耐火物では相対的に低い値となる。1600℃での熱膨張率は好ましくは0.60%以下である。
耐食性は回転侵食法により評価した。耐食性の評価試料は、得られた混練物を所定寸法の金枠に振動を付与しながら流し込み、室温で24時間養生した後に、110℃で24時間乾燥させることにより作製した。
耐食性は、侵食材として転炉スラグを用いた回転侵食炉法により評価した。回転侵食炉内に、事前に大気中で1000℃×6時間焼成した評価試料である混練物を内張りし、評価試料の表面温度が1650℃に到達した時点で、炉内にスラグを投入し30分経過後に溶融したスラグを排出し、新たにスラグを投入するという操作を6回繰り返すことにより試験を行った。試験後に評価試料を切断し、切断面における最大侵食深さを測定することにより耐食性を評価した。耐食性は、後で説明する比較例1の最大侵食深さを100として指数表示により相対評価した。指数が小さいほど、耐食性に優れることを意味する。
実機(溶鋼取鍋)使用時の溶鋼取鍋側壁部の損耗速度は、次のようにして測定した。得られた混練物を、容量300tの溶鋼取鍋の側壁部に施工した。この溶鋼取鍋を70回(ch)使用した後に当該耐火物の厚みを測定し、元の厚みから差し引いた値を使用回数で除することにより平均損耗速度(mm/ch)を算出した。同時に、使用中の座屈の発生状況を目視観察した。損耗速度は好ましくは0.20mm/ch以下である。
(実施例2)
アルミナ質耐火原料として、73.1質量%の粒度が75μm超〜30mm未満の電融アルミナ、8.0質量%の粒度が10μm以上75μm以下の焼結アルミナ、及び6.0質量%の粒度が10μm未満の仮焼アルミナを用意し、造粒塊の作製に用いるアルミナ質耐火原料を、上記8.0質量%の粒度が10μm以上75μm以下の焼結アルミナにし、耐火原料、分散剤、爆裂防止剤、及び水の配合割合を表1に記載の割合にしたこと以外は実施例1と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(実施例3)
アルミナ質耐火原料として、74.0質量%の粒度が75μm超〜30mm未満の焼結アルミナ、10.0質量%の粒度が10μm以上75μm以下の電融アルミナ、及び5.0質量%の粒度が10μm未満の仮焼アルミナを用意し、造粒塊の作製に用いるアルミナ質耐火原料を、上記10.0質量%の粒度が10μm以上75μm以下の電融アルミナにし、耐火原料、分散剤、爆裂防止剤、及び水の配合割合を表1に記載の割合にしたこと以外は実施例1と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(実施例4)
アルミナ質耐火原料として、70.9質量%の粒度が75μm超〜30mm未満の電融アルミナ、12.0質量%の粒度が10μm以上75μm以下の焼結アルミナ、及び6.0質量%の粒度が10μm未満の仮焼アルミナを用意し、造粒塊の作製に用いるアルミナ質耐火原料を、上記12.0質量%の粒度が10μm以上75μm以下の焼結アルミナにし、耐火原料、分散剤、爆裂防止剤、及び水の配合割合を表1に記載の割合にしたこと以外は実施例1と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(実施例5)
アルミナ質耐火原料として、68.8質量%の粒度が75μm超〜30mm未満の電融アルミナ、15.0質量%の粒度が10μm以上75μm以下の焼結アルミナ、及び5.0質量%の粒度が10μm未満の仮焼アルミナを用意し、造粒塊の作製に用いるアルミナ質耐火原料を、上記15.0質量%の粒度が10μm以上75μm以下の焼結アルミナにし、耐火原料、分散剤、爆裂防止剤、及び水の配合割合を表1に記載の割合にしたこと以外は実施例1と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(比較例1)
耐火原料、分散剤、爆裂防止剤、及び水の配合割合、並びにアルミナ質耐火原料の粒度毎の配合量及びアルミナ質耐火原料の種類を表1に記載の割合にし、特許文献1の実施例に記載の方法と同様の方法でアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製した。すなわち、造粒塊を形成せずに、シリカ粉体、マグネシア質耐火原料、アルミナセメント、及び残部としてアルミナ質耐火原料を配合し、さらに分散剤としてポリカルボン酸ナトリウム、爆裂防止剤としてビニロンファイバー、及び水を加えて二軸ミキサーを用いて3分間混練し、混練物であるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製した。
(比較例2)
最大粒径が10μm未満の仮焼アルミナを、造粒塊を作製するためのアルミナ質耐火原料として用い、分散剤、爆裂防止剤、及び水の配合割合、並びにアルミナ質耐火原料の粒度毎の配合量及びアルミナ質耐火原料の種類を表1に記載の割合にしたこと以外は実施例2と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(比較例3)
粒度が75μm超の電融アルミナのうち、目開き125μmの篩いを通過した粒度が75μm超〜125μm未満の電融アルミナ10.0質量%を、造粒塊を作製するためのアルミナ質耐火原料として用い、分散剤、爆裂防止剤、及び水の配合割合、並びにアルミナ質耐火原料の粒度毎の配合量及びアルミナ質耐火原料の種類を表1に記載の割合にしたこと以外は実施例3と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(比較例4)
篩いを用いて造粒塊の粒度を0.3mm未満(0.075mm以上0.3mm未満)にし、分散剤、爆裂防止剤、及び水の配合割合、並びにアルミナ質耐火原料の粒度毎の配合量及びアルミナ質耐火原料の種類を表1に記載の割合にしたこと以外は実施例4と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(比較例5)
篩いを用いて造粒塊の粒度を1.0mm以上(1.0mm以上2.0mm未満)にし、分散剤、爆裂防止剤、及び水の配合割合、並びにアルミナ質耐火原料の粒度毎の配合量及びアルミナ質耐火原料の種類を表1に記載の割合にしたこと以外は実施例5と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(比較例6、7、9、10、12、13)
耐火原料の配合割合を表1に記載に割合にし、分散剤、爆裂防止剤、及び水の配合割合、並びにアルミナ質耐火原料の粒度毎の配合量及びアルミナ質耐火原料の種類を表1に記載の割合にしたこと以外は実施例1と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(比較例8)
最大粒径が3μm(最大粒径が1μm超)のシリカ粉体を用いたこと以外は実施例3と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(比較例11)
最大粒径が2mm未満(最大粒径が1mm以上)のマグネシア質耐火原料を用いたこと以外は実施例3と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(比較例14)
最大粒径が50mm未満(最大粒径が30mm以上)のアルミナ質耐火原料を用いたこと以外は実施例4と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(比較例15)
造粒塊を構成する粒度10μm以上75μm以下の電融アルミナの配合量を3質量%にしたこと以外は実施例1と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
(比較例16)
造粒塊を構成する粒度10μm以上75μm以下の焼結アルミナの配合量を17質量%にしたこと以外は実施例5と同じ方法で、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製し、熱膨張率、耐食性、座屈、及び損耗速度を評価した。
実施例1〜5は、粒度10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料が、シリカ粉体と混合造粒されており、かつ、造粒塊の粒度が0.3mm以上1.0mm未満であることから最適な量の液相が生成し、1400℃で3時間焼成後にも液相が残っているために、耐食性に優れ、かつ、実機使用時にも座屈の発生が無く、実機で使用しても損耗速度が小さく、極めて優れた耐用性を示していることが確認できた。
比較例1は、造粒塊を形成せずにアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を作製したため、生成していた液相が消失した結果、1600℃での熱膨張率が高くなり、実機使用時には座屈が発生し、損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
比較例2は、造粒塊中のアルミナ質耐火原料の粒度が10μm未満であるために、過剰な量の液相が生成したために耐食性に劣り、実機で使用しても損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
比較例3は、造粒塊中のアルミナ質耐火原料の粒度が75μm超であり、生成していた液相が消失した結果、1600℃での熱膨張率が高くなり、実機使用時には座屈が発生し、損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
比較例4は、造粒塊の粒度が0.3mm未満であり、生成していた液相が消失した結果、1600℃での熱膨張率が高くなり、実機使用時には座屈が発生し、損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
比較例5は、造粒塊の粒度が1.0mm以上であり、過剰な量の液相が生成したために耐食性に劣り、実機で使用しても損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
比較例6は、シリカ粉体の配合量が0.6質量%(0.8質量%未満)であるために、生成していた液相が消失した結果、1600℃での熱膨張率が高くなり、実機使用時には座屈が発生し、損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
比較例7は、シリカ粉体の配合量が1.4質量%(1.2質量%超)であり、過剰な量の液相が生成したために耐食性に劣り、実機で使用しても損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
比較例8は、シリカ粉体の最大粒径が3μm(最大粒径が1μm超)であるために、生成していた液相が消失した結果、1600℃での熱膨張率が高くなり、実機使用時には座屈が発生し、損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
比較例9は、マグネシア質耐火原料の配合量が3.0質量%(4.0質量%未満)であるために、耐食性に劣り、実機で使用しても損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。比較例10は、マグネシア質耐火原料の配合量が8.0質量%(7.0質量%超)であるために、1600℃での熱膨張率が高くなり、実機使用時には座屈が発生し、損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。比較例11は、マグネシア質耐火原料の最大粒径が2mm未満(最大粒径が1mm以上)であるために、耐食性に劣り、実機で使用しても損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
比較例12は、アルミナセメントの配合量が2.0質量%(3.0質量%未満)であるために、生成していた液相が消失した結果、1600℃での熱膨張率が高くなり、実機使用時には座屈が発生し、損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。比較例13は、アルミナセメントの配合量が9.0質量%(8.0質量%超)であるために、耐食性に劣り、実機で使用しても損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
比較例14は、アルミナ質耐火原料の最大粒径が50mm未満(最大粒径が30mm以上)であるために、耐食性に劣り、実機で使用しても損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
比較例15は、造粒塊を構成する粒度10μm以上75μm以下の範囲にあるアルミナ質耐火原料の配合量が3.0質量%(5.0質量%未満)であるために、造粒塊内部で生成する液相の量が過剰になり、耐食性に劣り、実機で使用しても損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
比較例16は、造粒塊を構成する粒度10μm以上75μm以下の範囲にあるアルミナ質耐火原料の配合量が17.0質量%(15.0質量%超)であるために、造粒により得られる粒度が0.3mm以上1.0mm未満の造粒塊の量が過多となり、耐火物組織が粗雑となる結果、耐食性に劣り、実機で使用しても損耗速度が大きく、耐用性に劣っていた。
本発明により、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物において、使用中の耐火物内部で生成する液相の消失を防止することにより、座屈を解消することができ、耐用性に極めて優れたアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物及び当該キャスタブル耐火物を用いた実機を製造することができる。
1:CaO・6Al23(ヒボナイト)粒子
2:液相となっていた相
3:アルミナ質耐火原料粒子

Claims (2)

  1. シリカ粉体、マグネシア質耐火原料、アルミナセメント、及びアルミナ質耐火原料を含む耐火物100質量%として、
    0.8〜1.2質量%の、1μm以下の最大粒径を有する前記シリカ粉体、
    4.0〜7.0質量%の、1mm未満の最大粒径を有する前記マグネシア質耐火原料、
    3.0〜8.0質量%の前記アルミナセメント、及び
    残部として30mm未満の最大粒径を有する前記アルミナ質耐火原料
    を含み、
    前記アルミナ質耐火原料は、前記耐火物100質量%を基準として、粒度が10μm以上75μm以下の粒子を5.0〜15.0質量%含み、
    前記粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料の全量と前記シリカ粉体の全量とで形成された、粒度が0.3mm以上1.0mm未満の造粒塊を含む、
    ことを特徴とするアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物。
  2. アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の製造方法であって、
    シリカ粉体、マグネシア質耐火原料、アルミナセメント、及びアルミナ質耐火原料を含む耐火原料100質量%として、
    0.8〜1.2質量%の、1μm以下の最大粒径を有する前記シリカ粉体、
    4.0〜7.0質量%の、1mm未満の最大粒径を有する前記マグネシア質耐火原料、
    3.0〜8.0質量%の前記アルミナセメント、及び
    残部として30mm未満の最大粒径を有する前記アルミナ質耐火原料
    を用意すること、
    前記アルミナ質耐火原料は、前記耐火物100質量%を基準として、粒度が10μm以上75μm以下の粒子を5.0〜15.0質量%含み、前記粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料の全量と前記シリカ粉体の全量とを混合造粒して、粒度が0.3mm以上1.0mm未満の造粒塊を形成すること、並びに
    前記造粒塊と、前記マグネシア質耐火原料、前記アルミナセメント、及び前記粒度が10μm以上75μm以下のアルミナ質耐火原料を除く前記アルミナ質耐火原料とを配合して、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を得ること、
    を特徴とするアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の製造方法。
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