JPH0755351A

JPH0755351A - 溶融金属容器の内張り構造および内張り方法

Info

Publication number: JPH0755351A
Application number: JP5197296A
Authority: JP
Inventors: Osami Matsumoto; 松本修美; Toshihiro Isobe; 礒部利弘; Tomio Mizuno; 水野富生
Original assignee: Harima Ceramic Co Ltd
Current assignee: Harima Ceramic Co Ltd
Priority date: 1993-08-09
Filing date: 1993-08-09
Publication date: 1995-03-03

Abstract

(57)【要約】【目的】プレキャスト耐火物による溶融金属容器側壁
の内張りにおいて、種々の問題を解決すること。【構成】側壁（１）の内張りとして、高さ方向に複数
に分割したプレキャスト耐火物（４）を設け、かつ、こ
のプレキャスト耐火物（４）の背面に耐火物粉末（５）
を充填したことを特徴とする溶融金属容器の内張り構造
および溶融金属容器に耐火物を内張りするに際して、内
張りされる該溶融金属容器の内周よりやや小さな径で、
かつ、高さ方向に複数に分割された筒状プレキャスト耐
火物を、前記溶融金属内に同容器内周壁との間に空隙を
有するように順次積み上げ、次いで、前記空隙に耐火物
粉末を充填することを特徴とする溶融金属容器の内張り
方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プレキャスト耐火物に
よる溶融金属容器の内張り構造および内張り方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、溶融金属容器の内張りは、従来の
レンガ積みから不定形耐火物による施工に移行しつつあ
る。不定形耐火物はレンガ積みに比べて材料が安価、施
工技術が簡単、施工の機械化が容易などの利点がある。
しかし、側壁の内張り施工には中子設備が必要である。
また、施工後は、内張りの養生・乾燥を必要とする問題
がある。

【０００３】そこで、オフラインで不定形耐火物を予め
流し込み施工したプレキャスト耐火物を使用することが
知られている。例えば、特開昭５７−１８７１６３号公
報では、取鍋の敷部にプレキャスト耐火物を使用する例
が示されている。プレキャスト耐火物による施工では中
子設備が不要となる。また、養生および乾燥が完了して
いることから、施工の時間が大巾に短縮される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、プレキャスト
耐火物による溶融金属容器の内張りは、プレキャスト耐
火物が大型のために搬送が容易でないこと、レンガのよ
うに小割りしていないために使用後の解体が容易でない
こと、容器の外殻鉄皮がくり返しの使用で変形していた
場合に容器の内壁と合致し難いことなどの問題がある。
これらの理由から、溶融金属容器の内張りにおいて、側
壁も含めた完全なプレキャスト耐火物化は今だ実用化す
るに至っていない。

【０００５】本発明は、プレキャスト耐火物による溶融
金属容器側壁の内張りにおいて、上記問題を解決するこ
とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、側壁の内張り
として、高さ方向に複数に分割したプレキャスト耐火物
を設け、かつ、このプレキャスト耐火物の背面に耐火物
粉末を充填したことを特徴とする溶融金属容器の内張り
構造および内張り方法である。

【０００７】まず、プレキャスト耐火物の大型化を避け
るには、分割することが考えられる。しかし、分割に伴
って目地が発生する。目地は、溶融金属容器の使用によ
る加熱−冷却のくり返しで拡大し、溶融金属・スラグが
侵入して、内張りの寿命低下を招く。

【０００８】本発明は、目地の発生による耐食性の低下
を最小限に留めるために、プレキャスト耐火物を高さ方
向に分割した。これにより、水平方向に形成された目地
は、プレキャスト耐火物の自重を受けて常に閉じられて
おり、溶融金属・スラグの侵入が防止される。

【０００９】溶融金属容器は、そのくり返し使用によっ
て外殻鉄皮が変形している。レンガ積みでは、施工現場
においてその変化に追随して内張りできるが、予め施工
されているプレキャスト耐火物は施工時に変形させるこ
とができない。これに対し本発明では、プレキャスト耐
火物を溶融金属容器内にセット後、その背面の空隙に充
填材を充填することにより、鉄皮の変形に影響されずに
施工することができる。

【００１０】内張りの背面空隙部に充填材を設けること
は、レンガ積みなどでも行われており、既存の技術であ
る。従来、ここで使用される充填材は、レンガ積みを接
着保持するために、耐火モルタル、キャスタブル耐火物
などである。

【００１１】これに対し、本発明では充填材に耐火物粉
末を使用する。本発明は内張りのプレキャスト耐火物が
分割されているが、高さ方向に対する分割のために周方
向に一体的物であり、充填物が耐火モルタル、キャスタ
ブル耐火物のように接着性がない耐火物粉末であって
も、内張りが傾倒することはない。また、充填率を向上
させるために、耐火物粉末をランマーなどによって強圧
叩打しても、内張りは傾倒や精度の低下もない。

【００１２】耐火モルタル、キャスタブル耐火物などの
充填材は、多量の水分を添加して使用する。施工後は、
乾燥させなければならない。充填材は、内張りの背面に
位置するために、乾燥には相当の時間を要する。キャス
タブル耐火物では、さらに、養生時間が必要となる。

【００１３】プレキャスト耐火物の特徴は、成形、養
生、乾燥などの処理が予め完了していることにより、迅
速な内張り施工が可能になることにある。耐火モルタ
ル、キャスタブル耐火物などを充填材に使用すると乾燥
に時間を要し、プレキャスト耐火物を使用したことによ
る効果が十分発揮されない。本発明は充填材に耐火物粉
末を使用することにより、プレキャスト耐火物の内張り
後は、乾燥を必要としない。

【００１４】内張りは損耗が進むと新しいものと取り替
えるが、耐火モルタル、キャスタブル耐火物などの充填
材は、使用時の加熱を受けて内張りと接着し、解体作業
が容易でない。プレキャスト耐火物は、ユニットあたり
の接着面積が大きいことも解体が容易でない原因であ
る。また、安全対策として、内張りの背面には一般にパ
ーマネント内張りが設けられており、解体はこのパーマ
ネント内張りを残して行われるが、耐火モルタルまたは
キャスタブル耐火物の接着で内張りの解体時にパーマネ
ント内張りが大きく損傷する。

【００１５】これに対し、本発明で使用する充填材は耐
火物粉末であり、接着しないために内張りの解体作業が
きわめて効率的であり、しかも、パーマネント内張りを
損傷する問題もない。

【００１６】図１は、溶鋼取鍋の例を挙げ、本発明によ
る内張り構造の断面を模式的に示したものである。

【００１７】側壁（１）の鉄皮（２）の内側に、パーマ
ネント内張り（３）およびプレキャスト耐火物（４）を
設ける。そして、プレキャスト耐火物（４）の背面部に
耐火物粉末（５）を充填する。

【００１８】パーマネント内張り（３）の材質は特に限
定されるものでなない。例えば、レンガ積み、不定形耐
火物、耐火ボード、あるいはこれらの組合せ使用であ
る。

【００１９】プレキャスト耐火物（４）は、高さ方向に
複数に分割されている。分割数は、内張り全体のサイ
ズ、プレキャスト耐火物（４）の製造設備、プレキャス
ト耐火物（４）の搬送機械の能力などに合わせて決定す
る。大型の溶融金属容器であっても、２〜５分割程度が
好ましい。分割数が多過ぎると施工能率が低下する。

【００２０】プレキャスト耐火物（４）の材質は、アル
ミナ、ムライト、マグネシア、カルシア、ドロマイト、
スピネル、ジルコン、ジルコニア、アンダルサイト、ボ
ーキサイト、ばん土けつ岩、クロム鉱などをから選ばれ
る一種または二種以上を主骨材とし、必要に応じて炭
素、炭化物、マイクロシリカ、ほう化物、耐火超微粉、
アルミナゾル、シリカゾル、金属粉、有機ファイバー、
無機ファイバ−、金属ファイバ−、分散剤、焼結剤など
から選ばれる一種または二種以上を添加する。

【００２１】結合剤は、キャスタブル耐火物用として従
来公知の無機系、有機系のものを使用することができ
る。例えばアルミナセメント、マグネシアセメント、ケ
イ酸ソーダ、リン酸ソーダ、フェノ−ル樹脂、ピッチな
どから選ばれる一種または二種以上とする。

【００２２】プレキャスト耐火物（４）の製造は常法ど
おり、鋳込み成形後、養生・乾燥する。さらに、焼成し
てもよい。内張り全体を同じ材質のプレキャスト耐火物
（４）で構成してもよいし、例えば、内張りの上方に位
置するスラグライン部（６）を耐スラグ性に優れた異質
材質にしてもよい。スラグライン部（６）はプレキャス
ト耐火物だけでなく、耐火レンガ積みでもよい。

【００２３】耐火物粉末（５）の材質は、例えばアルミ
ナ、ムライト、マグネシア、カルシア、ドロマイト、ス
ピネル、ジルコン、ジルコニア、アンダルサイト、ボー
キサイト、ばん土けつ岩、クロム鉱、リン状黒鉛、人造
黒鉛、粘土などから選ばれる一種または二種以上を主材
とする。中でもマグネシアは熱膨張率が大きいために、
耐火物粉末（５）の１０ｗｔ％以上に使用すると、充填
材が使用中の高温を受けて膨張し、プレキャスト耐火物
（４）をより強固に固定する。また、この膨脹応力でプ
レキャスト耐火物（４）に生じるキレツの拡大を防止す
る効果をもつ。さらに、マグネシアは高塩基度スラグに
対して耐食性が優れている特性があり、万一、プレキャ
スト耐火物（４）の背面にスラグが浸透した場合でも、
安全性が高い。

【００２４】耐火物粉末（５）は乾燥を必要としないよ
うに、水分を添加しないことが必要であるが、叩打施工
での充填締まりを促進させるために、例えば外掛け１〜
５ｗｔ％程度の微量の水分、苦汁、糖蜜、糊料、アルコ
ール、油類、樹脂、パラフィンなどを添加しもよい。添
加水分が２０〜２００ｗｔ％程度添加して泥しょう状に
して施工するモルタルやキャスタブル耐火物と違って、
この程度の添加量では、施工後に特に乾燥しなくても、
炉熱で使用初期に容易に乾燥する。

【００２５】また、耐火物粉末（５）にマグネシアを使
用した場合、プレキャスト耐火物（４）をアルミナ質に
限定すると、使用中の高温を受けて、プレキャスト耐火
物（４）と耐火物粉末（５）との界面にＭｇＯ・Ａｌ₂
Ｏ₃スピネルが生成し、その生成に伴う体積膨張によ
り、プレキャスト耐火物（４）の固定と、プレキャスト
耐火物（４）キレツの拡大阻止の効果が、一層顕著なも
のとなる。この効果を得るためには、プレキャスト耐火
物（４）は耐火骨材に占めるアルミナ質原料が、Ａｌ₂
Ｏ₃換算にして８０ｗｔ％以上であることが必要であ
る。

【００２６】敷部（７）の構造については特に限定する
ものではないが、施工性の面から、側壁と同様にプレキ
ャスト耐火物による施工が好ましい。敷部（７）をプレ
キャスト耐火物にする場合は、その背面の充填は耐火物
粉末（５）に限らず、モルタルを使用してもよい。耐火
物粉末（５）層とモルタル層を併用して設けてもよい。
また、湯当り部（８）は高強度、高耐食性の耐火物を設
けるのが好ましい。

【００２７】以上は溶鋼取鍋の例について説明したが、
本発明の内張り構造はこれに限らず、溶銑取鍋、転炉、
真空脱ガス炉などにも使用できる。

【００２８】

【実施例】表１は、各例で使用した内張りの配合組成で
ある。表２は、プレキャスト耐火物の背面に介在した充
填材の配合組成である。表３は、側壁の内張り構造とそ
の試験結果である。

【００２９】プレキャスト耐火物は、表１に示す配合物
に水分を外掛け７ｗｔ％添加し、混練後、所望のサイズ
に流し込み施工し、養生後、乾燥して製造した。側壁の
高さ方向に等間隔で３分割したサイズとし、一つ当りの
高さが２００ｍｍのドーナツ状とした。

【００３０】炉壁を直接流し込み施工した比較例では、
表１に示す配合物に水分を外掛け８ｗｔ％添加し、泥し
ょう状にして流し込んだ。この際、容器内に中子を設置
した。各例は、２５０ｔの溶鋼取鍋（鉄皮；内径3000mm
×高さ4000mm）に実際に施工し、試験した。パーマネン
ト内張りは、厚さ３５ｍｍのアルミナ質レンガとした。
内張りの厚さは、直接流し込み施工した場合は１８０ｍ
ｍ、プレキャスト耐火物を用いた場合は１６０ｍｍとし
た。スラグライン部は、いずれの場合もＭｇＯ−Ｃ質の
耐火レンガで構成した。

【００３１】プレキャスト耐火物を使用した場合は、そ
の背面に２０〜３０ｍｍの厚さで充填材を充填した。充
填材に耐火物粉末を使用した場合は、表２に示す配合物
に水分を外掛け３ｗｔ％添加させ、湿潤状態にし、エア
ーランマーで叩き固めた。充填材の流し込み施工では水
分を外掛け５０ｗｔ％添加し、泥しょう状にして流し込
んだ。

【００３２】

【表１】

【００３３】

【表２】

【００３４】

【表３】

【００３５】本発明実施例によれば、プレキャスト耐火
物の使用により、内張り材の養生を全く必要とせず、加
熱乾燥も含めた乾燥も従来の３分の１以下である。ま
た、背面充填材が耐火物粉末であることで、内張りの解
体において、解体所要時間が短い、パーマネント内張り
の損傷がないなどの効果がある。

【００３６】実施例１，２，４は、実施例３に比べて耐
用使用回数が多い。アルミナ質の内張りとマグネシア質
の充填材との界面にスピネルが生成し、その生成に伴う
体積膨張により、内張り耐火物の固定とキレツ阻止の効
果があるが、実施例１，２，４は実施例３に比べて耐火
骨材に占めるＡｌ₂Ｏ₃の割合が多く、スピネル生成が顕
著なためである。

【００３７】

【効果】本発明による溶融金属容器の内張り構造は、以
上に説明したように、中子設備が不要、乾燥をほとんど
必要としないなどのプレキャスト耐火物使用による効果
に加え、背面充填材に耐火物粉末を使用したことによ
り、乾燥時間がさらに短くなること、内張りの解体作業
が容易であること、パーマネント内張りを損傷しないな
どの効果を合わせ持つ。その結果、内張りの施工・解体
に要する時間と労力が一層低減し、ひいては溶融金属容
器の稼働率向上に貢献する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の内張り構造の断面を模式的
に示した。

【図２】本発明の他の実施例の内張り構造の断面を模式
的に示した。

【符号の説明】１…側壁２…鉄皮３…パーマネント内張り４…プレキ
ャスト耐火物５…耐火物粉末６…スラグ
ライン部７…敷部８…湯当た
り部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】側壁の内張りとして、高さ方向に複数に
分割したプレキャスト耐火物を設け、かつ、このプレキ
ャスト耐火物の背面に耐火物粉末を充填したことを特徴
とする溶融金属容器の内張り構造。
【請求項２】耐火物粉末がマグネシア質である請求項
１記載の内張り構造。
【請求項３】プレキャスト耐火物がアルミナ質である
請求項１または２記載の内張り構造。
【請求項４】請求項１記載の溶融金属容器の内張り構
造において、敷部にプレキャスト耐火物を設けたことを
特徴とする溶融金属容器の内張り構造。
【請求項５】溶融金属容器に耐火物を内張りするに際
して、内張りされる該溶融金属容器の内周よりやや小さ
な径で、かつ、高さ方向に複数に分割された筒状プレキ
ャスト耐火物を、前記溶融金属内に同容器内周壁との間
に空隙を有するように順次積み上げ、次いで、前記空隙
に耐火物粉末を充填することを特徴とする溶融金属容器
の内張り方法。