JP3741092B2 - 超薄型ポンプとこれを備えた冷却システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は超薄型ポンプとこれを備えた冷却システム等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、CPU等の電子部品を効率良く冷却する冷却システムが望まれており、これに対応する冷却方法として冷媒を循環させて冷却する冷媒式冷却システムが注目されてきている。このような冷却システムの冷媒循環用ポンプは、電子部品自体にコンパクトさが求められるため、搭載スペースに多くの制約が課せられ、小型、薄型化が強く求められている。
【0003】
以下、従来の小型遠心ポンプについて図6に示す、従来の小型遠心ポンプの構造図を用いて説明する(例えば、特許文献1参照)。101は羽根車、102はこの羽根車101を回転自在に支承する固定軸、103は固定軸102の端部を固定し、羽根車101を収納すると同時に羽根車101が流体に与えた運動エネルギーを圧力回復して吐出口へと導くためのポンプ室を有するポンプケーシング、104は羽根車101の一部をなす後面シュラウド、105は同じく羽根車101の一部をなし羽根車101の中央に吸水開口が形成された前面シュラウド、106は羽根車101の後面シュラウド104に固定されたローターマグネット、107はローターマグネット106の内周側に設けられたモーターステーター、108はローターマグネット106とモーターステーター107の間に設けられポンプ室を密閉するための防水隔壁、109は吸込口、110は吐出口である。
【0004】
この従来の遠心形ポンプの作用を説明すると、外部電源から電力を供給されると、遠心形ポンプに設けられた電気回路により制御された電流がモータステーター107のコイルに流れ、回転磁界が発生する。この回転磁界がローターマグネット106に作用するとローターマグネット106に物理力が発生する。ところで、このローターマグネット106は羽根車101に固定されており、羽根車101は固定軸102に回転自在に支承されているため、羽根車101に回転トルクが作用し、この回転トルクにより羽根車101が回転を始める。羽根車101の前面シュラウド105および後面シュラウド104の間に設けられた羽根は、羽根車101の回転によって流体に運動量変化を与え、吸込口109から流入する流体は運動エネルギーを羽根車101から受取ることになる。もちろん、羽根車101内で羽根出口へ向けて流路面積が拡大しているのであれば、羽根車101内で一部圧力回復されることになる。羽根車101の羽根出口から流出した流体は、ポンプケーシング103に設けられたディフューザーで与えられた運動エネルギーを圧力回復することになり、吐出口110へと導かれる。このように、この従来の小型遠心ポンプではアウターローター方式で薄型羽根車を駆動することで、ポンプの小型、薄型化を図っている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−132699号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の小型遠心ポンプでは、流体を羽根車中央の吸水開口に供給させるためポンプ室には軸方向の吸込部が必要となるため、ポンプ全体の回転軸方向の長さを小さくする目的、即ち、薄型化に対して限界が存在する構成であった。
【0007】
また、遠心ポンプの外にも、半径方向から吸込み、半径方向に吐き出す構造を備え、薄型化に適した渦流ポンプ(摩擦ポンプあるいは再生ポンプとも呼称される。以下、渦流ポンプという。)も公知であるが、ポンプを渦流ポンプにしたとしても、羽根車は中央の固定軸と連結されるため円盤状となりその上下にポンプ室を密封するための防水隔壁が必要で回転軸方向においてモーターステーターと防水隔壁および羽根車が重なるため、薄型化するのには限界があった。
【0008】
そこで、本発明は、超薄型化が実現でき、構造が簡単であるとともに低コストの超薄型ポンプを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、冷却システム全体の構成を薄くでき、効率の良い冷却を実現できる冷却システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明の超薄型ポンプは、外周に多数の羽根が形成され、内周にローターマグネットが設けられたリング状羽根車と、ローターマグネットの内周側に設けられたモーターステーターと、吸込口と吐出口が形成され内部にリング状羽根車を収容するとともに、モーターステーターとローターマグネットの間に配設するための円筒部が形成されたポンプケーシングとを備え、円筒部がリング状羽根車を回転自在に軸支したことを特徴とする。
【0011】
これにより、超薄型化が実現でき、構造が簡単であるとともに低コストの超薄型ポンプを提供できる。
【0012】
また、本発明の冷却システムは、冷媒により熱交換を行なって発熱部品を冷却する冷却器と、該冷媒から熱を取り除くための放熱器とを備え、冷媒を循環させるために超薄型ポンプが配設されたことを特徴とする。
【0013】
これにより、冷却システム全体の構成を薄くでき、効率の良い冷却を実現できる冷却システムを提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、外周に多数の羽根が形成され、内周にローターマグネットが設けられたリング状羽根車と、ローターマグネットの内周側に設けられたモーターステーターと、吸込口と吐出口が形成され内部にリング状羽根車を収容するとともに、モーターステーターとローターマグネットの間に配設するための円筒部が形成されたポンプケーシングとを備え、円筒部がリング状羽根車を回転自在に軸支したことを特徴とする超薄型ポンプであるから、羽根とローターマグネットおよび回転軸を一体化してリング状に形成しその中にモーターステーターを挿入することでポンプ全体の回転軸方向の長さを極力小さくでき、ポンプの超薄型化が可能となるという作用を有する。また、羽根、ローターマグネット、回転軸を一体化することで、構造が簡単で低コスト化が実現できるという作用を有する。
【0015】
本発明の請求項2に記載の発明は、リング状羽根車の内周またはポンプケーシングの円筒部に複数の突起を設けたことを特徴とする請求項1に記載の超薄型ポンプであるから、羽根車の回転による羽根車内周とポンプケーシング円筒部の摺動を突起部で受けることで摺動面積を減らし摩擦部を少なくできるため、ポンプの高効率化、超寿命化が可能になるという作用を有する。
【0016】
本発明の請求項3に記載の発明は、リング状羽根車の側面のスラスト荷重を受けるスラスト板がポンプケーシングに設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の超薄型ポンプであるから、スラスト板でスラスト荷重を受けることで、ポンプの負荷変動やポンプ自体の設置状態によりスラスト荷重が変化してもポンプを安定して運転できるという作用を有する。
【0017】
本発明の請求項4に記載の発明は、リング状羽根車の側面またはポンプケーシングのスラスト板に複数の突起を設けたことを特徴とする請求項3に記載の超薄型ポンプであるから、羽根車の回転による羽根車側面とポンプケーシングのスラスト板の摺動を突起部で受けることで摺動面積を減らし摩擦部を少なくできるため、ポンプの高効率化、超寿命化が可能になるという作用を有する。
【0018】
本発明の請求項5に記載の発明は、リング状羽根車の側面のスラスト荷重を受けるスラスト磁気軸受けが、ローターマグネットとモーターステーターとで構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の超薄型ポンプであるから、スラスト荷重を磁気軸受けで受けることで、羽根車の側面をポンプケーシングと非接触で回転させることができ摩擦部を少なくできるため、さらなるポンプの高効率化、超寿命化が可能になるという作用を有する。
【0019】
本発明の請求項6に記載の発明は、リング状羽根車の少なくともローターマグネット及び羽根が磁性樹脂材で一体に構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超薄型ポンプであるから、羽根車を磁性樹脂材で構成してローターマグネットと羽根を一体化することで、構造が簡単で低コスト化が実現できるとともにマグネット部を大きくできるのでモーター性能、即ちポンプ性能を向上できるという作用を有する。
【0020】
本発明の請求項7に記載の発明は、ポンプが渦流ポンプであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の超薄型ポンプであるから、ポンプを高揚程が可能で気泡の排出能力の高い渦流ポンプにすることで、管路抵抗の大きい循環系でも必要流量を確保できるとともに、流入した気泡を滞留させることなく連続的に排出できるという作用を有する。
【0021】
本発明の請求項8に記載の発明は、冷媒により熱交換を行なって発熱部品を冷却する冷却器と、該冷媒から熱を取り除くための放熱器とを備え、冷媒を循環させるために請求項1〜7のいずれかに記載の超薄型ポンプが配設されたことを特徴とする冷却システムであるから、超薄型ポンプを用いることでシステム全体の薄型化が可能になるという作用を有する。
【0022】
本発明の請求項9に記載の発明は、請求項8記載の冷却システムであって、小型パーソナルコンピューターの電子部品を冷却することを特徴とする冷却システムであるから、超薄型ポンプを用いることで製品の薄型化を達成しながら効率の良い冷却を実現できるという作用を有する。
【0023】
本発明の請求項10に記載の発明は、冷媒が不凍液であることを特徴とする請求項8〜9のいずれかに記載の冷却システムであるから、冷媒を不凍液にすることで、寒冷地においても冷媒が凍結して冷却システムが故障することを防止できるという作用を有する。
【0024】
本発明の請求項11に記載の発明は、不凍液がフッ素系不活性液体であることを特徴とする請求項10に記載の冷却システムであるから、冷媒をフッ素系不活性液体とすることで、万が一冷媒が漏れた場合でも電子部品の故障を防ぐことが可能になるという作用を有する。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図5を用いて説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における超薄型ポンプの側面の断面図、図2は本発明の実施の形態1における超薄型ポンプを回転軸方向から見た断面図、図3は本発明の実施の形態1における超薄型ポンプの分解斜視図である。
【0027】
図1〜3に示すように、1はリング状羽根車であり、外周に多数の羽根2が形成され、内周にローターマグネット3が設けられている。実施の形態1の羽根2は上述した過流ポンプの羽根であり、こういった点からは実施の形態1のポンプは基本的には超薄型の過流ポンプということができる。ただ、ターボ型等、これに限られるものではない。なお、本明細書では、新しいタイプの羽根車で超薄型を実現したということから、これを超薄型ポンプという。ここでリング状羽根車1は、羽根2とローターマグネット3とを違う材料で構成してはめ合わせて一体化しても良いし、磁性樹脂材で構成して羽根2とローターマグネット3とを同一材料で一体化させてもよい。4はローターマグネット3の内周側に設けられたモーターステーターである。5は、リング状羽根車1を収容すると同時にリング状羽根車1が流体に与えた運動エネルギーを圧力回復して吐出口へと導くためのポンプ室を有するポンプケーシング、6は、ポンプケーシング5に含まれ、リング状羽根車1を収納した後ポンプ室を密閉するためのケーシングカバーである。ポンプケーシング5には、モーターステーター4とローターマグネット3の間に配設され、リング状羽根車1を回転自在に軸支するための円筒部7が形成されるとともに、リング状羽根車1の側面のスラスト荷重を受けるためのスラスト板8が形成されている。スラスト板8はケーシングカバー6側にも形成されている。9は吸込口、10は吐出口である。
【0028】
次に、本実施の形態1の超薄型ポンプの作用を説明すると、外部電源から電力を供給されると、超薄型ポンプに設けられた電気回路により制御された電流がモーターステーター4のコイルに流れ、回転磁界が発生する。この回転磁界がローターマグネット3に作用するとローターマグネット3に物理力が発生する。ところで、このローターマグネット3はリング状羽根車1と一体化されており、リング状羽根車1はポンプケーシング5の円筒部7に回転自在に軸支されているため、リング状羽根車1に回転トルクが作用し、この回転トルクによりリング状羽根車1が回転を始める。リング状羽根車1の外周に設けられた羽根2はリング状羽根車1の回転によって吸込口9から流入した流体に運動エネルギーを与え、その運動エネルギーによりポンプケーシング5内の流体の圧力が徐々に高められ吐出口10から吐き出される。また、ポンプの負荷変動やポンプ自体の設置状態によりスラスト荷重が変化してもスラスト板8でリング状羽根車1のスラスト荷重を受けることができるため、ポンプは安定して運転される。
【0029】
以上説明したように本実施の形態によれば、羽根2とローターマグネット3および回転軸とを一体化してリング状羽根車1を形成し、さらに円筒部7に軸支作用とシールレスポンプの分離板の作用をさせるから、その中にモーターステーター4を挿入することでポンプ全体の回転軸方向の長さを極力小さくでき、ポンプの超薄型化が可能となる。具体的には、本実施の形態1のポンプ7は回転軸方向の厚さが5〜10mm、半径方向の代表寸法が40〜50mm、回転数は1200rpm、流量が0.08〜0.12L/分、ヘッドが0.35〜0.45m程度のポンプである。そして、本発明のポンプの諸元は、本実施の形態1の値を含んで、厚さ3〜15mm、半径方向代表寸法10〜70mm、流量が0.01〜0.5L/分、ヘッド0.1〜2m程度のものとなる。これは比速度でいうと、24〜28(単位:m、m3/分、rpm)程度のポンプであって、従来のポンプとはまったく隔絶した大きさの小型薄型のポンプである。また、羽根2、ローターマグネット3、回転軸を一体化することで、構造が簡単で低コスト化が実現できる。
【0030】
また、スラスト板8でスラスト荷重を受けることで、ポンプの負荷変動やポンプ自体の設置状態によりスラスト荷重が変化してもポンプを安定して運転できる。そして、リング状羽根車1の側面のスラスト荷重をローターマグネット3とモーターステーター4との間の磁力で受けることで、スラスト磁気軸受けを構成させれば、スラスト荷重を磁気軸受けで受けるので、リング状羽根車1の側面をポンプケーシング5のスラスト板8と非接触で回転させることができ摩擦部を少なくできるため、さらなるポンプの高効率化、超寿命化が可能になる。
【0031】
さらに、リング状羽根車1を磁性材料で構成してローターマグネット3及び羽根2とを一体化することで、構造が簡単で低コスト化が実現できるとともにマグネット部を大きくできるのでモーター性能、すなわちポンプ性能を向上できる。そして、ポンプを高揚程が可能で気泡の排出能力の高い渦流ポンプにすることで、管路抵抗の大きい循環系でも必要流量を確保できるとともに、流入した気泡を滞留させることなく連続的に排出できる。
【0032】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における超薄型ポンプについて図4に基づき説明する。図4は本発明の実施の形態2における超薄型ポンプの分解斜視図である。なお、実施の形態1と同一符号を付したものは同一の部材であるから、詳細な説明は実施の形態1に譲ってここでは省略する。
【0033】
図4において、11は実施の形態2のリング状羽根車であり、外周に多数の羽根2が形成され、内周にローターマグネット3が設けられている。そして、このリング状羽根車11は、内周に複数の内周突起12が設けられているとともに、両側面にも複数の側面突起13が設けられている。ここで、リング状羽根車11は、ローターマグネット3と羽根2および内周突起12、側面突起13を違う材料で構成してはめ合わせて一体化しても良いし、磁性樹脂材で構成してローターマグネット3と羽根2および内周突起12、側面突起13を同一材料で一体化させてもよい。また、内周突起12および側面突起13は摩擦係数が小さく耐磨耗性のよい材料で構成することが望ましい。4はモーターステーター、5はポンプケーシング、6はポンプ室を密閉するためのケーシングカバーである。ポンプケーシング5には円筒部7が形成されるとともに、リング状羽根車11の側面のスラスト荷重を受けるためのスラスト板8が形成されている。スラスト板8はケーシングカバー6側にも形成されている。9は吸込口、10は吐出口である。
【0034】
次に、本実施の形態2の超薄型ポンプの作用を説明すると、外部電源から電力を供給されると、超薄型ポンプに設けられた電気回路により制御された電流がモーターステーター4のコイルに流れ、回転磁界が発生する。この回転磁界がローターマグネット3に作用するとローターマグネット3に物理力が発生する。ところで、このローターマグネット3はリング状羽根車11と一体化されており、リング状羽根車11はポンプケーシング5の円筒部7に回転自在に軸支されているため、リング状羽根車11に回転トルクが作用し、この回転トルクによりリング状羽根車11が回転を始める。リング状羽根車11の外周に設けられた羽根2はリング状羽根車11の回転によって吸込口9から流入した流体に運動エネルギーを与え、その運動エネルギーによりポンプケーシング5内の流体の圧力が徐々に高められ吐出口10から吐き出される。
【0035】
実施の形態2においては、リング状羽根車11の回転による羽根車内周とポンプケーシング5の円筒部7の摺動摩擦を内周突起12で受ける。このため摺動面積は小さく摩擦損失が少ない。また、ポンプの負荷変動やポンプ自体の設置状態によりスラスト荷重が変化してもスラスト板8でリング状羽根車11のスラスト荷重を受けることができるため、ポンプは安定して運転される。そして、リング状羽根車11の回転による羽根車側面とポンプケーシング5のスラスト板8の摺動は側面突起13で受けるため、摺動面積は小さく摩擦損失も少ない。
【0036】
以上説明したように本実施の形態2によれば、リング状羽根車11の回転による羽根車内周とポンプケーシング5の円筒部7の摺動摩擦をを内周突起12で受けることで摺動面積を減らし摩擦部を少なくできるため、ポンプの高効率化、超寿命化が可能になる。
【0037】
また、リング状羽根車11の回転による羽根車側面とポンプケーシング5のスラスト板8の摺動を側面突起13で受けることで摺動面積を減らし摩擦部を少なくできるため、ポンプの高効率化、超寿命化が可能になる。
【0038】
次に、本発明の実施の形態3における超薄型ポンプを備えた冷却システムについて図5に基づいて説明する。図5は本発明の実施の形態3における超薄型ポンプを備えた冷却システムの構成図である。
【0039】
図5において、21は基板22に実装された発熱部品、23は発熱部品21と冷媒とで熱交換を行ない発熱部品21を冷却する冷却器、24は冷媒から熱を取り除く放熱器、25は冷媒を貯めておくリザーブタンク、26は冷媒を循環させる超薄型ポンプ、27はこれらを接続する配管である。実施の形態3における超薄型ポンプを備えた冷却システムは、小型パーソナルコンピューターの中の発熱部品21となる電子部品を冷却するためのものである。また、実施の形態3における超薄型ポンプ26は実施の形態1または実施の形態2の超薄型ポンプである。本発明の超薄型ポンプであれば他の実施の形態のポンプでもよい。
【0040】
実施の形態3の冷却システムの動作について説明すると、リザーブタンク25内の冷媒は、超薄型ポンプ26から吐出され、配管27を通って冷却器23に送られ、発熱部品21の熱を奪うことでその温度が上昇して放熱器24に送られ、放熱器24で冷されてその温度が降下してリザーブタンク25へ戻る。このように、超薄型ポンプ26で冷媒を循環させて発熱部品21を冷却するものである。これにより、小型パーソナルコンピューター等の電子部品は冷却され、安定して使用することができる。
【0041】
以上説明したように本実施の形態3によれば、冷媒を循環させるために超薄型ポンプ26を用いることでシステム全体の薄型化が可能になる。また、小型パーソナルコンピューターの電子部品を冷却するために本冷却システムを用いれば、製品の薄型化を達成しながら効率の良い冷却を実現できる。そして、冷媒を不凍液にすれば、寒冷地においても冷媒が凍結して冷却システムが故障することを防止できる。さらに、不凍液をフッ素系不活性液体にすれば、万が一冷媒が漏れた場合でも電子部品の故障を防ぐことが可能になる。
【0042】
そして、超薄型ポンプ26を高揚程が可能で気泡の排出能力の高い渦流ポンプにすることで、管路抵抗の大きい循環系でも必要流量を確保できるので、冷却器23や放熱器24を薄くできるし配管27も小さくできるため冷却システムのさらなる小型化、薄型化が可能となる。また、配管内に空気が入ったとしても、超薄型ポンプ26内に流入した気泡を滞留させることなく連続的にリザーブタンク25側へ排出できるので、ポンプ性能、即ち、冷却性能を損なうことがない。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、羽根とローターマグネットおよび回転軸を一体化してリング状に形成しその中にモーターステーターを挿入することでポンプ全体の回転軸方向の長さを極力小さくでき、ポンプの超薄型化が可能となる。また、羽根、ローターマグネット、回転軸を一体化することで、構造が簡単で低コスト化を実現することができる。
【0044】
また、羽根車の回転による羽根車内周とポンプケーシング円筒部の摺動摩擦を突起部で受けることで、摺動面積を減らし摩擦部を少なくできるため、ポンプの高効率化、超寿命化を可能にすることができる。そして、スラスト板でスラスト荷重を受けることで、ポンプの負荷変動やポンプ自体の設置状態によりスラスト荷重が変化してもポンプを安定して運転することができる。また、羽根車の回転による羽根車側面とポンプケーシングのスラスト板の摺動摩擦を突起部で受けることで摺動面積を減らし摩擦部を少なくできるため、ポンプの高効率化、超寿命化が可能になる。また、スラスト荷重を磁気軸受けで受けることで、羽根車の側面をポンプケーシングと非接触で回転させることができ摩擦部を少なくできるため、さらなるポンプの高効率化、超寿命化が可能になる。
【0045】
さらに、羽根車を磁性樹脂材で構成してローターマグネットと羽根を一体化することで、構造が簡単で低コスト化が実現できるとともにマグネット部を大きくできるのでモーター性能、即ちポンプ性能を向上できるという有効な効果が得られる。
【0046】
また、ポンプを高揚程が可能で気泡の排出能力の高い渦流ポンプにすることで、管路抵抗の大きい循環系でも必要流量を確保できるとともに、流入した気泡を滞留させることなく連続的に排出することができる。
【0047】
さらに、冷媒を循環させるために超薄型ポンプを用いることで、システム全体の薄型化が可能になる。そして、超薄型ポンプを用いた冷却システムで小型パーソナルコンピューターの電子部品を冷却させれば、製品の薄型化を達成しながら効率の良い冷却を実現できる。また、冷却システムの冷媒を不凍液にすることで、寒冷地においても冷媒が凍結して冷却システムが故障することを防止できる。そして、冷却システムの冷媒をフッ素系不活性液体とすることで、万が一冷媒が漏れた場合でも電子部品の故障を防ぐことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における超薄型ポンプの側面の断面図
【図2】本発明の実施の形態1における超薄型ポンプを回転軸方向から見た断面図
【図3】本発明の実施の形態1における超薄型ポンプの分解斜視図
【図4】本発明の実施の形態2における超薄型ポンプの分解斜視図
【図5】本発明の実施の形態3における超薄型ポンプを備えた冷却システムの構成図
【図6】従来の小型遠心ポンプの構造図
【符号の説明】
1,11 リング状羽根車
2 羽根
3 ローターマグネット
4 モーターステーター
5 ポンプケーシング
6 ケーシングカバー
7 円筒部
8 スラスト板
9 吸込口
10 吐出口
12 内周突起
13 側面突起
21 発熱部品
22 基板
23 冷却器
24 放熱器
25 リザーブタンク
26 超薄型ポンプ
27 配管
Claims (12)
- 外周に多数の羽根が形成され、内周にローターマグネットが設けられたリング状羽根車と、
前記ローターマグネットの内周側に設けられたモーターステーターと、
吸込口と吐出口が形成され内部に前記リング状羽根車を収容するとともに、前記モーターステーターと前記ローターマグネットの間に配設するための円筒部が形成されたポンプケーシングとを備え、
前記円筒部が前記リング状羽根車を回転自在に軸支したことを特徴とする超薄型ポンプ。 - 前記ポンプケーシングの回転軸方向の厚さが3〜15mm、半径方向の代表寸法が10〜70mmであることを特徴とする請求項1に記載の超薄型ポンプ。
- 前記リング状羽根車の内周または前記ポンプケーシングの円筒部に複数の突起を設けたことを特徴とする請求項1に記載の超薄型ポンプ。
- 前記リング状羽根車の側面のスラスト荷重を受けるスラスト板が前記ポンプケーシングに設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超薄型ポンプ。
- 前記リング状羽根車の側面または前記ポンプケーシングのスラスト板に複数の突起を設けたことを特徴とする請求項4に記載の超薄型ポンプ。
- 前記リング状羽根車の側面のスラスト荷重を受けるスラスト磁気軸受けが、前記ローターマグネットと前記モーターステーターとで構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超薄型ポンプ。
- 前記リング状羽根車の少なくともローターマグネット及び羽根が磁性樹脂材で一体に構成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の超薄型ポンプ。
- ポンプが渦流ポンプであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の超薄型ポンプ。
- 冷媒により熱交換を行なって発熱部品を冷却する冷却器と、該冷媒から熱を取り除くための放熱器とを備え、前記冷媒を循環させるために請求項1〜8のいずれかに記載の超薄型ポンプが配設されたことを特徴とする冷却システム。
- 請求項9記載の冷却システムであって、小型パーソナルコンピューターの電子部品を冷却することを特徴とする冷却システム。
- 前記冷媒が不凍液であることを特徴とする請求項9〜10のいずれかに記載の冷却システム。
- 前記不凍液がフッ素系不活性液体であることを特徴とする請求項11記載の冷却システム。
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