JP3740670B2 - ステレオ音像拡大装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子楽器、ゲーム機、音響機器(例えばミキサー)等に適用されるものであり、再生時のステレオ音像を拡大するステレオ音像拡大装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、左右両チャンネル用のステレオ信号を生成し、これらを左右両スピーカにそれぞれ供給して同時に発音することにより音像を定位させる技術が知られている。この音像定位技術は、主として左右の音量のバランスを変えることにより音像を定位させるもので、両スピーカの間にしか音像を定位させることかできなかった。
【0003】
ところが、近年、再生音に逆相の音を混合することによって音像を左右のスピーカの外側に定位させる技術が開発されている。このような技術として、例えば、WO94/16538(PCT/US93/12688)号に、「音像操作装置及び音像拡大方法(SOUND IMAGE MANIPULATION APPARATUS AND METHOD FOR SOUND IMAGE ENHANCEMENT)」が開示されている。
【0004】
この音像操作装置及び音像拡大方法では、左入力信号と右入力信号との差信号が生成される。この差信号は、その大きさが適宜調整されてバンドパスフィルタに供給される。そして、例えば左入力信号にバンドパスフィルタからの差信号が加算され、左チャンネル用のステレオ出力信号が生成される。同様に、右入力信号からバンドパスフィルタからの差信号が減算され、右チャンネル用のステレオ出力信号が生成される。この左右両チャンネル用のステレオ出力信号は、それぞれ左右のスピーカに供給される。この音像操作装置及び音像拡大方法によれば、音像を左右のスピーカの外側に定位させることができるのでステレオ音像を拡大でき、サウンドステージの大幅な拡大が可能である。
【0005】
また、左右両スピーカの外側に音像を定位させる技術の1つとして、シュレーダー方式と呼ばれる音像定位技術が知られている。このシュレーダー方式は、左スピーカから右耳に到達する音及び右スピーカから左耳に到達する音(これらを「クロストーク音」という)をキャンセルし、恰もヘッドホン受聴のような状況を作り出す。これにより、両スピーカの間のみならず、例えば受聴者の真横、その他の任意の位置に音像を定位させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した音像操作装置及び音像拡大方法では、差信号の大きさを調整してステレオ音像拡大効果を大きくしようとすると、音質が劣化するという問題がある。この音質の劣化は、甚だしい場合は、入力ソースを再生できない程度に至ることもある。
【0007】
また、上記シュレーダー方式を用いてクロストークキャンセルの理論を厳密に適用し、アナログ回路で音像定位装置を構成しようとすれば膨大な量のハードウエアが必要となり、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)等のソフトウエアで音像定位装置を構成しようとすれば膨大な処理量が必要となる。従って、従来の電子楽器、音響機器等においては、シュレーダー方式を用いた音像定位装置は高級機種にしか適用できなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、2チャンネルのスピーカ再生において、音質劣化が少なく、しかも簡単且つ安価な構成でステレオ音像を拡大できるステレオ音像拡大装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のステレオ音像拡大装置は、図1に示すように、
左入力信号Linの周波数に応じて該左入力信号Linの位相を制御する第1のオールパスフィルタ10aと、
右入力信号Linの周波数に応じて該右入力信号Linの位相を制御する第2のオールパスフィルタ10bと、
該第2のオールパスフィルタ10bからの信号と該左入力信号Linとの差をとり、その結果を左出力信号Loutとして出力する第1の演算手段11aと、
該第1のオールパスフィルタ10aからの信号と該右入力信号Linとの差をとり、その結果を右出力信号Routとして出力する第2の演算手段11b、とを備えている。
【0010】
上記第1及び第2のオールパスフィルタ10a及び10bとしては、1次のオールパスフィルタを用いることができる。この1次のオールパスフィルタは、例えば図2に示すように、振幅特性は変化せず、位相だけが周波数の関数となっているフィルタである。
【0011】
上記第1及び第2の演算手段11a及び11bは、それぞれ例えば演算増幅器で構成することができる。第1の演算手段11aは、例えば第2のオールパスフィルタ10bからの信号から左入力信号Linを減算し、これを左出力信号Loutとして出力する。同様に、第2の演算手段11bは、例えば第1のオールパスフィルタ10aからの信号から右入力信号Linを減算し、これを右出力信号Routとして出力する。
【0012】
今、仮に第1及び第2のオールパスフィルタ10a及び10bが存在しない場合を考える。この場合、第1の演算手段11aからは、例えば右入力信号Linから左入力信号Linを減算した信号が出力される。同様に、第2の演算手段11bからは、例えば左入力信号Linから右入力信号Linを減算した信号が出力される。これらの信号を左右両スピーカに供給することにより音を発生させると、低音域が減衰した「シャリシャリ」した音になる。
【0013】
これは以下の理由による。即ち、左入力信号Lin及び右入力信号Linとして供給される一般のオーディオ信号は、ベース、ドラム等といった低音域を受け持つ楽器の音が左右両スピーカの中心から聞こえるように加工されている。このことは、オーディオ信号に含まれる低音域成分は左右両チャンネルとも略同様の特性を有することを意味する。従って、左入力信号Linと右入力信号Linとの差をとると低音域成分の音は殆ど消えてしまうので、上述したような低音域が減衰した「シャリシャリ」した音が発生する。
【0014】
これに対し、本発明のように、一方の入力信号と、他方の入力信号をオールパスフィルタでフィルタリングした信号との差をとれば、低音域の減衰が防止される。これは以下の理由による。即ち、1次オールパスフィルタは、図2に示すように、カットオフ周波数fcで位相が90度ずれ、周波数が低くなるに連れて逆位相(180度)に近づき、高くなるに連れて正位相(0度)に近づく。このことは、カットオフ周波数fcを中心に見れば、このカットオフ周波数fcより低い周波数では位相反転の傾向にあり、入力信号は負の値として出力され、逆に、高い周波数では位相正転の傾向にあり、入力信号は正の値として出力されると言うことができる。
【0015】
従って、第1及び第2の演算手段11a及び11bでは、カットオフ周波数fcより低い周波数帯域では実質的に加算が行われ、高い周波数では実質的に減算が行われることになる。従って、左入力信号Lin及び右入力信号Linの各低音域成分の信号が減算により相殺されることはない。このため、低音域の音の減衰が防止され、良好な音質が得られる。
【0016】
なお、1次オールパスフィルタの伝達関数は、以下の式(1)で表される。
【数1】
Figure 0003740670
但し、ωa=2πf、sはラプラス演算子であり、位相角θ=−2tan-1(ω/ωa)である。
【0017】
これら第1の演算手段11aからの左出力信号Lout及び上記第2の演算手段11bからの右出力信号Routをそれぞれ左及び右の2つのスピーカで再生すれば、左右両スピーカの間のみならず、受聴者の周囲の広い範囲に拡がった音像を得ることができる。
【0018】
本発明のステレオ音像拡大装置は、
前記第1の演算手段11からの信号を遅延させる第1の遅延手段12aと、
該第1の遅延手段12からの信号と前記左入力信号Linとの差をとり、その結果を左出力信号Loutとして出力する第3の演算手段14aと、
前記第2の演算手段11からの出力を遅延させる第2の遅延手段12bと、
該第2の遅延手段12からの信号と前記右入力信号Linとの差をとり、その結果を右出力信号Routとして出力する第4の演算手段14b、を更に備えて構成できる。
【0019】
第1及び第2の遅延手段12a及び12bは、両耳間時間差を生成する。これら第1及び第2の遅延手段12a及び12bをデジタル回路で構成する場合は、周知の遅延バッファで構成することができる。この遅延バッファは、所定領域を巡回しながらデータを書き込むことができる巡回バッファで構成できる。この巡回バッファは、データが入力された場合に、そのデータを該巡回バッファのトップ位置に書き込むと共に、過去に書き込まれたデータを該巡回バッファの遅延量に対応した位置から読み出して出力する。これにより、入力されたデータを遅延させる機能が実現される。
【0020】
一方、アナログ回路で構成する場合は、第1及び第2の遅延手段12a及び12bは、群遅延等価器としての1次又は2次のオールパスフィルタで構成することができる。この群遅延等価器は、周波数に依存しない群遅延を有する関数が理想的である。しかし、アナログ回路では、高い周波数ほど大きな群遅延を得ることが困難である。一方、本発明では、群遅延は、例えば2kHz程度まで等価すれば十分な効果が得られることが、本発明者等の試行により知得された。従って、群遅延は、両耳間時間差に相当する例えば180μs程度の群遅延等価器で実現できる。
【0021】
一例として、180μsの群遅延等価器を表す式(2)を以下に示す。
【数2】
Figure 0003740670
ここで、ω0は位相が180゜になる角振動数、ζは減衰率(ζ=1/2Q)及びsはラプラス演算子(jω)である。
【0022】
上記式(2)で、ω0を約3kHz、減衰率ζ=1に設定した時の第1及び第2の遅延手段の群遅延特性を図3に実線で示す。図3から明らかなように、2kHz近辺までは理想に近い群遅延特性を示している。
【0023】
この第1及び第2の遅延手段12a及び12bによって生成される両耳間時間差は、音の広がり感を得るために重要な働きをする。仮に、これら第1及び第2の遅延手段12a及び12bが存在しないとしても、或る程度の広がり感は得られる。しかし、この第1及び第2の遅延手段12a及び12bを備えることにより、非常に良好な広がり感を得ることができる。なお、第1及び第2の遅延手段12a及び12bによって生成される両耳間時間差を利用して音像定位及び音像拡大を行う技術については、本願出願人が先に出願した、例えば特願平8−298081号を参照されたい。
【0024】
上記第3及び第4の演算手段14a及び14bは、それぞれ例えば演算増幅器で構成することができる。第3の演算手段14aは、第1の遅延手段12aからの信号から左入力信号Linを減算し、これを左出力信号Loutとして出力する。同様に、第4の演算手段14bは、第4の演算手段14bからの信号から右入力信号Linを減算し、これを右出力信号Routとして出力する。これら第3及び第4の演算手段14a及び14bにより、それぞれ左入力信号Lin及び右入力信号Rinからクロストーク音成分が除去される。
【0025】
これら第3の演算手段14aからの左出力信号Lout及び上記第4の演算手段14bからの右出力信号Routをそれぞれ左及び右の2つのスピーカで再生すれば、左右両スピーカの間のみならず、上述した第1及び第2の遅延手段12a及び12bを有しないステレオ音像拡大装置よりも、受聴者の周囲の広い範囲に更に拡がった音像を得ることができる。
【0026】
また、本発明のステレオ音像拡大装置は、
前記第1の遅延手段12aからの信号を減衰させて前記第3の減算器14aに供給する第1の減衰手段13aと、
前記第2の遅延手段12bからの信号を減衰させて前記第2の減算器に供給する第2の減衰手段13bと、を更に備えて構成できる。
【0027】
上記減衰手段12a及び12bは、例えば可変抵抗器で構成できる。この構成によれば、第1及び第2の減衰手段13a及び13bにおける減衰率が変更できるので、ステレオ音像の広がり感の程度を変更できる。
【0028】
また、本ステレオ音像拡大装置を例えばパート毎に複数設け、各ステレオ音像拡大装置からの左出力信号Lout及び右出力信号Routを各チャンネル毎にミキシングして出力するように構成すれば、パート毎の複数のステレオ音像を拡大できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のステレオ音像拡大装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図4は、本発明の実施の形態に係るステレオ音像拡大装置の構成を示すブロック図である。この本ステレオ音像拡大装置には、外部からステレオ入力信号(左入力信号Lin及び右入力信号Rin)が入力される。このステレオ音像拡大装置には、図示しない直流電源装置、電池等から直流の電源電圧Vccが供給される。この電源電圧Vccは、抵抗R1及びR2により分割されてバイアス電圧BIASとして回路の各部に供給される。
【0031】
抵抗R3及び演算増幅器OP1で成る回路は、左入力信号Linを受信するバッファ回路である。同様に、抵抗R4及び演算増幅器OP2で成る回路は、右入力信号Rinを受信するバッファ回路である。これらのバッファ回路により、左入力信号Lin及び右入力信号Rinに含まれるノイズが除去される。演算増幅器OP1からの信号は1次オールパスフィルタ10a、加算器11a及び加算器14aに供給される。また、演算増幅器OP2からの信号は1次オールパスフィルタ10b、加算器11b及び加算器14bに供給される。
【0032】
1次オールパスフィルタ10a及び10bは、それぞれ本発明の第1及び第2のオールパスフィルタに対応する。1次オールパスフィルタ10a及び10bは同一の構成であり、その詳細は図5に示す。1次オールパスフィルタ10a及び10bは、抵抗R10〜R12、キャパシタC10及びC11並びに演算増幅器OP3により構成されている。入力信号INは、抵抗R10を介して演算増幅器OP3の反転入力端子(−)に供給されるとともに、キャパシタC10を介して演算増幅器OP3の非反転入力端子(+)に供給される。また、この非反転入力端子は、抵抗R12を介してバイアス電圧BIASに接続されている。また、演算増幅器OP3からの信号は、出力信号OUTとして外部に出力されると共に、抵抗R11及びキャパシタC11を介して反転入力端子にフィードバックされるようになっている。この1次オールパスフィルタの動作は周知であるので説明は省略する。1次オールパスフィルタ10aからの信号は加算器11bに、1次オールパスフィルタ10bからの信号は加算器11aにそれぞれ供給される。
【0033】
加算器11a及び11bは、それぞれ本発明の第1及び第2の演算手段に対応する。加算器11aは、1次オールパスフィルタ10bからの信号から、演算増幅器OP1からの信号を減算する。加算器11bは、1次オールパスフィルタ10aからの信号から、演算増幅器OP2からの信号を減算する。
【0034】
加算器11a及び11bは同一の構成であり、その詳細は図6に示す。加算器11a及び11bは、抵抗R20〜R22、キャパシタC20及び演算増幅器OP4により構成されている。一方の入力信号IN1は、抵抗R20を介して演算増幅器OP4の反転入力端子(−)に供給される。他方の入力信号IN2は、キャパシタC20を介して演算増幅器OP4の非反転入力端子(+)に供給される。また、演算増幅器OP4からの信号は、出力信号OUTとして外部に出力されると共に、抵抗R22及びキャパシタC20を介して反転入力端子にフィードバックされるようになっている。この加算器の動作は周知であるので説明は省略する。加算器11aからの信号は遅延器12aに供給される。加算器11bからの信号は遅延器12bに供給される。
【0035】
遅延器12a及び12bは、それぞれ本発明の第1及び第2の遅延手段に対応する。遅延器12aは、加算器11aからの信号を所定時間だけ遅延させて出力する。遅延器12bは、加算器11bからの信号を所定時間だけ遅延させて出力する。遅延器12a及び12bは、群遅延等価器としての1次のオールパスフィルタで構成されている。
【0036】
遅延器12a及び12bは同一の構成であり、その詳細は図7に示す。遅延器12a及び12bは、抵抗R30〜R33、キャパシタC30及びC31並びに演算増幅器OP5により構成されている。入力信号INは、抵抗R30並びにキャパシタ30抵抗R32及びキャパシタC31の直並列回路(詳細接続は図7を参照されたい)を介して演算増幅器OP5の反転入力端子(−)に供給されるとともに、抵抗R31を介して演算増幅器OP5の非反転入力端子(+)に供給される。また、この非反転入力端子は、抵抗R33を介してバイアス電圧BIASに接続されている。また、演算増幅器OP5からの信号は、出力信号OUTとして外部に出力されると共に、抵抗R32を介して反転入力端子にフィードバックされるようになっている。この遅延器の動作は周知であるので説明は省略する。遅延器12aからの信号は減衰器13aに供給される。遅延器12bからの信号は減衰器13bに供給される。
【0037】
減衰器13a及び13bは、それぞれ本発明の第1及び第2の減衰手段に対応する。減衰器13aは、遅延器12aからの信号を減衰させて出力する。減衰器13bは、遅延器12bからの信号を減衰させて出力する。減衰器13a及び13bは同一の構成であり、その詳細を図8に示す。これら減衰器13a及び13bとしては、例えば抵抗素子と摺動子とで成る可変抵抗器VRを用いることができる。この可変抵抗器VRの摺動子の一端には遅延器12a及び12bからの信号が、他端にはバイアス電圧BIASがそれぞれ供給される。そして、摺動子から減衰された信号が取り出される。減衰器13aからの信号は加算器14aに供給される。また、減衰器13bからの信号は加算器14bに供給される。
【0038】
この構成によれば、例えば可変抵抗器VRを操作することによって減衰器13a及び13bの減衰率を変更することにより、ステレオ拡大効果を変更することができる。
【0039】
加算器14a及び14bは、それぞれ本発明の第3及び第4の演算手段に対応する。加算器14aは、減衰器14aからの信号から、演算増幅器OP1からの信号を減算する。加算器14bは、減衰器14bからの信号から、演算増幅器OP2からの信号を減算する。
【0040】
加算器14a及び14bは同一の構成であり、その詳細は図9に示す。加算器11a及び11bは同一の構成であり、その詳細は図6に示す。加算器14a及び14bは、抵抗R40〜R42及び演算増幅器OP6により構成されている。一方の入力信号IN1は、抵抗R40を介して演算増幅器OP6の反転入力端子(−)に供給される。他方の入力信号IN2は、抵抗R41を介して演算増幅器OP6の非反転入力端子(+)に供給される。また、演算増幅器OP6からの信号は、出力信号OUTとして外部に出力されると共に、抵抗R42を介して反転入力端子にフィードバックされるようになっている。この加算器の動作は周知であるので説明は省略する。加算器14aからの信号はキャパシタC2及び抵抗R5で成るフィルタ回路を介して、左出力信号Loutとして外部に出力される。また、加算器14bからの信号はキャパシタC3及び抵抗R6で成るフィルタ回路を介して、右出力信号Routとして外部に出力される。
【0041】
これら左出力信号Lout及び右出力信号Routをそれぞれ左右の2つのスピーカで再生すれば、左右両スピーカの間のみならず、受聴者の周囲の広い範囲に音像を定位させることができると共に、ステレオ音像が大幅に拡大されるという効果が生じる。
【0042】
以上のように、この実施の形態によれば、2チャンネルのスピーカ再生において、音質劣化が少なく、入力ソースの信号を聴感上問題なく再現できる。本発明者等が、図4に示した回路構成のステレオ音像拡大装置で実際に試聴したところ、管楽器やストリングス等の持続音では十分な広がり感が得られ、音に包み込まれるように聞こえた。また、このステレオ音像拡大装置の回路は、図4〜図9に示したように、演算増幅器、キャパシタ及び抵抗器により構成できるので、簡単且つ安価なステレオ音像拡大装置を実現できる。
【0043】
なお、この実施の形態に係るステレオ音像拡大装置は、図11のブロック図に示すように変形することができる。この変形されたステレオ音像拡大装置は、図4に示したブロック図に、スイッチSWが追加されている。即ち、減衰器13aからの信号はスイッチSWを経由して加算器14aに供給され、減衰器13bからの信号はスイッチSWを経由して加算器14bに供給される。スイッチSWとしては、図示しない1つのつまみを操作することにより連動して開閉する2つの接点を有するスイッチを用いることができる。
【0044】
このスイッチSWをオフにすれば、加算器14a及び14bの非反転入力端子(+)にはバイアス電圧BIASが供給されるので、左入力信号Lin及び右入力信号Rinは何らの処理も施されずに、それぞれ左出力信号Lout及び右出力信号Routとして外部に出力される。従って、ステレオ拡大効果は付与されない。一方、スイッチSWをオンにすれば、加算器14a及び14bの被反転入力端子(+)には減衰器13a及び13Bからの信号が供給されるので、上述したと同様の処理が施され、それぞれ左出力信号Lout及び右出力信号Routとして外部に出力される。この場合、上述したように、ステレオ拡大効果が付与される。
【0045】
この構成によれば、スイッチSWを切り換えるだけでステレオ拡大効果を付与するかどうかを制御できるので、リスナーの好みやソースの種類に応じてステレオ拡大効果を付与できる。
【0046】
また、上述した実施の形態では、第1及び第2のオールパスフィルタ10a及び10bとして1次のオールパスフィルタを用いたが、2次のオールパスフィルタを用いてもよい。この場合も、上記と同様の作用・効果が得られる。
【0047】
また、上述した実施の形態では、アナログ回路を用いてステレオ音像拡大装置を構成した例を説明したが、デジタル回路で構成することもできる。この場合、例えばDSPやCPUを用いたソフトウェア処理によって実現できる。
【0048】
次に、上述したステレオ音像拡大装置を利用した音像拡大システムの例について、図10を参照しながら説明する。この音像拡大システムはコンピュータ1、音源モジュール2、ステレオ拡大装置3並びにスピーカ4及び5により構成されている。コンピュータ1はMIDIデータを音源モジュール2に送る。音源モジュール2は、受信したMIDIデータに従って、左入力信号Lin及び右入力信号Rinを生成する。これら左入力信号Lin及び右入力信号Rinは、本発明のステレオ音像拡大装置3に供給される。そして、本ステレオ音像拡大装置3において、上述したような処理が行われることにより、左出力信号Lout及び右出力信号Routが生成される。これら左及び右出力信号Lout及びRoutは、それぞれ左チャンネル用スピーカ4及び右チャンネル用スピーカ5に供給される。この両スピーカ4及び5から発生された音によって形成される音像は左右のスピーカ4及び5の外側に定位し、且つステレオ音像が拡大される。
【0049】
なお、この音像拡大システムでは、コンピュータ1から音源モジュール2にMIDIデータを送信する構成としたが、MIDIデータに限定されず、楽音を制御できるデータであれば種々のタイプの楽音制御データを用いることができる。また、コンピュータの代わりに、楽音制御データを発生可能な装置、例えば電子楽器、シーケンサ、その他の種々の装置を用いることができる。更に、左入力信号Linび右入力信号Rinを生成する装置も音源モジュールに限定されない。音源モジュールの代わりに、例えば電子楽器、ゲーム機、音響機器等を用いることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のステレオ音像拡大装置によれば、2チャンネルのスピーカ再生において、音質劣化が少なく、しかも簡単且つ安価な構成でステレオ音像を拡大できるステレオ音像拡大装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステレオ音像拡大装置を原理的に示すブロック図である。
【図2】本発明のステレオ音像拡大装置の第1及び第2のオールパスフィルタの特性を説明するための図である。
【図3】本発明のステレオ音像拡大装置の第1及び第2の遅延手段の周波数特性を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るステレオ音像拡大装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図4における1次オールパスフィルタ10a及び10bの構成を示す回路図である。
【図6】図4における加算器11a及び11bの構成を示す回路図である。
【図7】図4における遅延器12a及び12bの構成を示す回路図である。
【図8】図4における減衰器13a及び13bの構成を示す回路図である。
【図9】図4における加算器14a及び14bの構成を示す回路図である。
【図10】本発明のステレオ音像拡大装置の応用例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るステレオ音像拡大装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 コンピュータ
2 音源モジュール
3 ステレオ音像拡大装置
4、5 スピーカ
10a、10b 1次オールパスフィルタ
11a、11b 加算器
12a、12b 遅延器
13a、13b 減衰器
14a、14b 加算器

Claims (2)

  1. 左入力信号の周波数に応じて該左入力信号の位相を制御する第1のオールパスフィルタと、
    右入力信号の周波数に応じて該右入力信号の位相を制御する第2のオールパスフィルタと、
    該第2のオールパスフィルタからの信号と該左入力信号との差をとり、その結果を左出力信号として出力する第1の演算手段と、
    該第1のオールパスフィルタからの信号と該右入力信号との差をとり、その結果を右出力信号として出力する第2の演算手段と、
    前記第1の演算手段からの信号を遅延させる第1の遅延手段と、
    該第1の遅延手段からの信号と前記左入力信号との差をとり、その結果を左出力信号として出力する第3の演算手段と、
    前記第2の演算手段からの出力を遅延させる第2の遅延手段と、
    該第2の遅延手段からの信号と前記右入力信号との差をとり、その結果を右出力信号として出力する第4の演算手段、とを備たステレオ音像拡大装置。
  2. 前記第1の遅延手段からの信号を減衰させて前記第3の演算手段に供給する第1の減衰手段と、
    前記第2の遅延手段からの信号を減衰させて前記第4の演算手段に供給する第2の減衰手段と、を更に備えた請求項1に記載のステレオ音像拡大装置。
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