JP3724918B2 - 導電性複合プラスチックシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品包装用等に用いられる導電性樹脂シートにおいて基材層にポリスチレン樹脂及びポリカーボネート樹脂よりなる樹脂組成物を使用することにより、機械的強度に優れICなどの内容物にたいして保護性の高い包装容器を安価に提供することを可能にするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からICやICを用いた電子部品の包装形態としてインジェクショントレー、真空成形トレー、マガジン、エンボスキャリアテープなどが使用されている。これらの包装容器には静電気によるIC等の破壊を防止する機能が必要とされ、その方法として、帯電防止剤、導電性塗料、導電性フィラー等を用いる方法が提案されており、特に安定した静電気除去性能を得るために、導電性フィラーであるカーボンブラックを練り込む方法が広く一般に用いられている。
【0003】
従来、カーボンブラックを分散させる樹脂としては、一般用としてポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂が、また100℃以上での耐熱用として変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが用いられている。これらの樹脂のなかで一般用としてはポリスチレン樹脂が、また耐熱用においては変性ポリフェニレンエーテル樹脂が、(1)他の樹脂に比べカーボンブラックを多量に添加しても流動性や成形性の著しい低下がない、(2)結晶性が無い為包装材料として使用した際の寸法安定性に優れる、などの利点を有しており広く使用されているが、更にポリスチレン樹脂はコストの面でも優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらポリスチレン樹脂は他の樹脂に比べ剛性が低く包装容器として使用した際に内容物の保護性が低いという欠点があった。本発明はかかる欠点を解決するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ポリスチレン系樹脂からなるシート基材の片面若しくは両面に導電性樹脂組成物を積層した導電性複合プラスチックシートにおいて基材層にポリスチレン樹脂及びポリカーボネート樹脂よりなる樹脂組成物を使用することで包装容器として使用する際に内容物の保護性に優れた導電性複合プラスチックシートを提供することが可能となることを見出し、本発明をなすに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、(A)ポリスチレン系樹脂シート基材の片面若しくは両面に、(B1)ポリスチレン系樹脂100重量部に対し(B2)カーボンブラック5〜50重量部を含有する(B)導電性樹脂組成物を積層した複合プラスチックシートにおいて、該複合プラスチックシートの表面固有抵抗値が102〜1010Ωであり、且つ、前記(A)ポリスチレン系樹脂がポリスチレン樹脂20〜90重量部及びポリカーボネート樹脂80〜10重量部よりなる樹脂組成物であることを特徴とする導電性複合プラスチックシートに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。本発明のシート基材にはポリスチレン樹脂及びポリカーボネート樹脂よりなる樹脂組成物を使用する。具体的にはポリスチレン樹脂20〜90重量部及びポリカーボネート樹脂80〜10重量部よりなる樹脂組成物を使用するのが好ましい。
【0008】
本発明で使用するポリカーボネート樹脂とは2,2−ビス(4−オキシフェニル)アルカン系、ビス(4−オキシフェニル)エーテル系、ビス(4−オキシフェニル)スルホン系、ビス(4−オキシフェニル)スルフィド系、ビス(4−オキシフェニル)スルホキサド系等のビスフェノール類からなる重合体若しくは共重合体を主成分とするものであり、具体的には芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0009】
本発明で使用するポリスチレン樹脂とは一般のポリスチレン樹脂又は耐衝撃性ポリスチレン樹脂又はこれらの混合物を主成分とするものをいう。
【0010】
(A)ポリスチレン系樹脂中のポリスチレン樹脂とポリカーボネート樹脂の割合は、ポリスチレン樹脂20〜90重量部に対しポリカーボネート樹脂80〜10重量部が好ましく、ポリスチレン樹脂の含有量が20重量部未満でありポリカーボネート樹脂の含有量が80重量部を越えるとポリスチレン樹脂の良好な成形加工性が失われ、一方ポリスチレン樹脂の含有量が90重量部を越えポリカーボネート樹脂の含有量が10重量部未満では力学特性の改善効果が少なく包装容器として使用した際に内容物の十分な保護性が確保されない。
【0011】
本発明で導電性樹脂組成物中に含有するカーボンブラックは、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等であり、好ましくは比表面積が大きく、樹脂への添加量が少量で高度の導電性が得られるものである。例えばS.C.F.(Super Conductive Furnace)、E.C.F.(Electric Conductive Furnace)、ケッチェンブラック(ライオン−AKZO社製商品名)及びアセチレンブラックである。カーボンブラックの添加量は、基材シートに積層した状態で表面固有抵抗値を102〜1010Ωとすることのできる添加量であり、導電性樹脂組成物中のポリスチレン樹脂100重量部に対しカーボンブラック5〜50重量部が好ましい。添加量が5重量部未満では十分な導電性が得られず表面固有抵抗値が上昇してしまい、50重量部を越えると樹脂との均一分散性の悪化、成形加工性の著しい低下、機械的強度等の特性値が低下してしまう。また、表面固有抵抗値が1010Ωを越えると十分な帯電防止効果が得られず、102Ω未満では、導電性が良すぎてICを破壊する恐れがある。
【0012】
本発明の基材層樹脂組成物及び導電性樹脂組成物には、必要に応じて組成物の流動特性及び成形品の力学特性を改善するために、滑剤、可塑剤、加工助剤及び補強剤など各種添加剤や他の樹脂成分を添加することが可能である。
【0013】
本発明の複合プラスチックシートを製造するには、まず基材層及び導電層となる原材料をそれぞれバンバリーミキサー、二軸押出機等公知の方法によって混練しペレットとする。得られた基材層樹脂組成物及び導電性樹脂組成物は単独で押出機などによりシートやフィルム状とし熱ラミネート法、ドライラミネート法、押出ラミネート法等により積層することも可能であるし、フィードブロック法、マルチマニホールド法など公知の共押出法によって一体成形することも可能である。
【0014】
本発明のシートの全体の肉厚は0.1〜3.0mmであり、且つ導電性樹脂組成物層はシート基材の片面若しくは両面に積層することが必要である。全体の肉厚に占める導電性樹脂組成物の厚さの割合は片側それぞれが2%以上であり両面あわせて80%以下であることが好ましい。全体の肉厚が0.1mm未満ではシートを成形して得られる包装容器としての強度が不足し、3.0mmを越えると圧空成形、真空成形、熱板成形などの成形が困難となる。又、全体の肉厚に占める導電性樹脂組成物層の厚さの割合が片面2%未満ではシートを成形して得られる包装容器の表面固有抵抗値が著しく高くなり十分な静電気防止効果が得られなず、両面あわせて80%を越えると複合プラスチックシートとしての機械的強度等の特性が低下してしまう。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したとおり、ポリスチレン系樹脂からなるシート基材の片面若しくは両面に導電性樹脂組成物を積層した導電性複合プラスチックシートにおいて基材層にポリスチレン樹脂及びポリカーボネート樹脂よりなる樹脂組成物を使用することで包装容器として使用する際に内容物の保護性に優れた導電性複合プラスチックシートを提供することが可能となる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
導電層樹脂組成物として耐衝撃性ポリスチレン樹脂HI−E4(電気化学工業株式会社)100重量部に対しデンカブラック粒状(電気化学工業株式会社)24重量部をタンブラーにより均一混合した後、φ45mmベント式二軸押出機を用いて混練し、ストランドカット法により得たペレットを使用した。また基材層樹脂組成物として耐衝撃性ポリスチレン樹脂HI−E4(電気化学工業株式会社)90重量部に対しポリカーボネート樹脂パンライトK−1300(帝人化成株式会社)10重量部をタンブラーにより均一混合した後、φ45mmベント式二軸押出機を用いて混練し、ストランドカット法により得たペレットを使用した。得られた基材層樹脂組成物はφ65mm押出機(L/D=28)から、導電性樹脂組成物はφ40mm押出機(L/D=26)から押出し、500mm幅のTダイを用いたフィードブロック法により成形し全体の肉厚が300μmの積層シートを得た。
【0017】
実施例2
基材層樹脂組成物におけるポリスチレン樹脂とポリカーボネート樹脂の割合を耐衝撃性ポリスチレン樹脂HI−E4(電気化学工業株式会社)50重量部に対しポリカーボネート樹脂パンライトK−1300(帝人化成株式会社)50重量部とした以外は実施例1と同様に行った。
【0018】
実施例3
基材層樹脂組成物におけるポリスチレン樹脂とポリカーボネート樹脂の割合を耐衝撃性ポリスチレン樹脂HI−E4(電気化学工業株式会社)30重量部に対しポリカーボネート樹脂パンライトK−1300(帝人化成株式会社)70重量部とした以外は実施例1と同様に行った。
【0019】
比較例1
基材層樹脂組成物として耐衝撃性ポリスチレン樹脂HI−E4(電気化学工業株式会社)を使用した以外は実施例1と同様に行った。
【0020】
比較例2
基材層樹脂組成物としてポリカーボネート樹脂パンライトK−1300(帝人化成株式会社)を使用した以外は実施例1と同様に行った。
【0021】
評価結果を表1に示す。各評価は次に示す方法によって行った。
(1)表面抵抗値
ロレスター表面抵抗計(三菱油化社製)により電極間を10mmとし得られたシートの表面中任意の10点を測定しそれぞれその対数平均値を表面抵抗値とした。
(2)破断点強度、引張弾性率
得られたシートについてJIS−K−7113に準拠し、2号形試験片を引張速度10mm/minで測定した。
(3)成形加工性
三和PLAVAC社製真空成形機にてヒーター電圧180Vとし簡易エンボス金型(成形部形状:14mm×20mm×5ポケット、金型外寸:150mm×150mm)にて成形し成形可能加熱時間の幅が2秒未満のものを×、2〜5秒のものを○、5秒を越えるものを◎とした。
【0022】
【表1】
Claims (2)
- (A)ポリスチレン系樹脂シート基材の片面若しくは両面に、(B1)ポリスチレン系樹脂100重量部に対し(B2)カーボンブラック5〜50重量部を含有する(B)導電性樹脂組成物を直接に積層した複合プラスチックシートにおいて、該複合プラスチックシートの表面固有抵抗値が102〜1010Ωであり、且つ、前記(A)ポリスチレン系樹脂がポリスチレン樹脂20〜90重量部及びポリカーボネート樹脂80〜10重量部よりなる樹脂組成物であることを特徴とする電子部品包装用の導電性複合プラスチックシート。
- ポリスチレン樹脂が一般のポリスチレン樹脂又は耐衝撃性ポリスチレン樹脂又はこれらの混合物である請求項1の電子部品包装用の導電性複合プラスチックシート。
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