JP3704827B2 - 編織物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境湿度変化により通気量差を生じる編織物に関する。さらに詳しくは、吸湿することにより編織物を形成する糸形状の変化で編織物の表面密度が変化し通気量を高め、内部の湿度を効率よく外部に放散することを特徴とする環境湿度対応型の編織物に関する。
【0002】
用途として次のように幅広い分野に展開可能である。衣料用としては、スポーツウェア類であるトレーニングウェア、スポーツシャツ、野球ユニフォーム、レオタード、サイクルパンツ、スキーウェア、ウィンドブレーカー、カッパ、ゴルフパンツなどに使用され得る。ユニフォーム類としては、ワーキングユニフォーム、オフィスユニフォーム、白衣、防塵衣、学生服などに使用され得る。インナーウェア類としては、ランジェリー、ショーツ、ガードル、ボディスーツ、肌着などに使用され得る。靴下類としては、パンティーストッキング、タイツ、ソックスなどに使用され得る。衣料用資材類としては、裏地、芯地などに使用され得る。その他の用途としては、帽子、靴材、手袋、布団側地、シュラフ、カーシートなどに使用され得る。
【0003】
【従来の技術】
合成繊維であるポリエステル系繊維やポリアミド系繊維は、形態安定性、機械強度、耐薬品性、耐熱性、洗濯耐久性、発色性、光沢感などに優れるため、衣料用途や産業用途などを主体に幅広く使用されている。しかしながら、その反面で天然繊維である綿、羊毛、絹、麻またはセルロース系合成繊維であるレーヨン、キュプラなどに比べて極めて吸湿率が低いため、スポーツウェア類、インナーウェア類、ユニフォーム類、靴下類のように直接肌に触れて、あるいは肌側に近い状態で着用される用途には、肌からの発汗によるムレやベトツキなどを生じる欠点がある。
【0004】
このような点で快適性においては、綿に代表される天然繊維やレーヨンに代表されるセルロース系合成繊維よりも劣り、特に夏場の着用にあたつて強い改善要望が出されているのが実情である。このため天然繊維やセルロース系合成繊維を交編・交織などにより混入させて編織物を作製することが通常よく行なわれている。しかし、これらに代表される繊維は、ポリエステル系繊維やポリアミド系繊維よりも吸湿率が高いため快適性が得られるものの、夏場の体の動きに伴う多くの発汗に対してはムレやベトツキを十分に解消することは不可能である。
【0005】
また、冬場におけるスキーウェア、ウィンドブレーカーや防寒作業衣も、その下に何枚もの重ね着をするため動きに伴うムレやベトツキを感じることになる。
【0006】
綿やレーヨンなどに代表される繊維は、吸湿性には優れているものの、強度が低く、洗濯耐久性が劣り、さらにしわが起こり易く形態安定性にも欠けるという基本的な問題点も併せ持っている。
【0007】
前記した多くの発汗によって生じるムレやベトツキを解消する方法として、従来いくつかの提案がなされている。例えば、特開昭62−162043号公報に記載された「織物の製造方法」や特開平3−213518号公報に記載された「調湿性繊維」がある。これらの2件に共通しているのはポリエステル層とポリアミド層の異質ポリマを貼り合わせたサイドバイサイド型複合繊維を用いた編編物であり、この異質ポリマの吸湿差を利用して高吸湿時に繊維自体を変形させ、ムレやベトツキを解消させようとする考え方である。しかし、サイドバイサイド型複合繊維のみでは高吸湿時における繊維形状変化は小さく、かつ、編織物構造における組織拘束力により十分な効果が得られるものではなかった。
【0008】
また、2種の異質ポリマ層が貼り合わされているため二層の剥離が起こり易く、この剥離による白化現象あるいは染色における色差や光沢差によりイラツキ現象が発生し品位低下の原因となるなど基本的に大きな問題を有していた。
【0009】
一方、製造面においては、異質の2ポリマを同時に紡糸するための特別製造設備が必要でありコスト的にも高くなることが避けられないという問題点もあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の編織物の目的は、前記した従来技術の問題点を克服し、ポリエステル系繊維やポリアミド系繊維の特徴である形態安定性や強度保持性を維持しながら高吸湿時の衣服内湿度を高放散することでムレやベトツキを解消し、快適な着用感を有する衣料用や資材用の編織物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の編織物は、前記課題を解決するため、以下の構成を有する。
【0012】
すなわち、構成糸が主として吸湿性ポリマから形成され、かつ加撚されて、撚係数Kが6800≦K≦26000の範囲にある30℃×90%RH時における吸湿率が3%以上であるポリエステル系合成繊維マルチフィラメント糸、もしくは30℃×90%RH時における吸湿率が7%以上であるポリアミド系合成繊維マルチフィラメント糸を30重量%以上含み、かつ、20℃×65%RH時と30℃×90%RH時における通気量差が10%以上40%以下の範囲にあることを特徴とする編織物である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の編織物を主として構成する構成糸は吸湿性ポリマから形成されたものである。
【0014】
本発明で用いる吸湿性ポリマは、ポリエステル系ポリマとして親水性化合物を共重合した共重合ポリエステル系ポリマであって、極性基含有化合物および架橋剤のうち少なくともいずれかを含有するものを好ましく用い得る。
【0015】
かかる共重合ポリエステル系ポリマは繊維中で共重合ポリエステルとして5重量%以上含有されるように用いられるのが好ましい。また、吸湿性ポリマとして繊維中でポリエーテルエステルアミドまたはポリエーテルエステルアミドと他の熱可塑性樹脂との混合物を5重量%以上含有されるように用いられるのが好ましい。
【0016】
また、ポリアミド系ポリマとしてポリアミドに対し1重量%以上15重量%以下のポリビニルピロリドンおよびポリアミドに対し0.01重量%以上10重量%以下の還元剤を含有するものを好ましく用い得る。
【0017】
かかるポリアミド系繊維は特開平7−150415号公報に記載されたように、ポリアミドに対し0.01重量%以上10重量%以下の還元剤をポリアミド重合時に添加し、ポリアミドに対し1重量%以上15重量%以下のポリビニルピロリドンをポリアミドの紡糸時以前に添加してポリビニルピロリドンおよび還元剤を含有するポリアミド組成物とし、該ポリアミド組成物を溶融紡糸して得ることができる。
【0018】
本発明者らは、天然繊維において綿を代表的な繊維とする吸湿性繊維は吸湿することにより膨潤すること、例えば、20℃×65%RH時の吸湿率が8%程度の吸湿性繊維の場合では、30℃×90%RH時には直径で20〜30%、断面積で40〜42%も膨潤するという知見を得ている。
【0019】
本発明者らは、かかる知見に基づき、この吸湿性繊維の吸湿による膨潤特性と撚トルクの相乗効果により編織物に表面密度変化を生じさせて通気量を変化せしめることによって従来にない快適性素材として好適に使用され得るものを得た。すなわち、本発明における通気量の変化は、以下の現象により発現していると考えられる。吸湿性繊維が吸湿すると膨潤し、その繊維直径が大きくなる。繊維直径が大きくなることにより加撚による撚密度が変化し、撚トルクが発生し得る。この撚トルクの発生により、編織物の平面的な組織形状が立体的な組織形状となり表面密度変化が生じ、通気量を大きくすることができると考えられる。
【0020】
以下、さらに詳細に本発明の編織物について説明する。
【0021】
本発明の編織物は、編織物を構成する構成糸が主として吸湿性ポリマから形成され、かつ加撚されて撚係数Kが6800≦K≦26000の範囲にある30℃×90%RH時における吸湿率が3%以上であるポリエステル系合成繊維マルチフィラメント糸、もしくは30℃×90%RH時における吸湿率が7%以上であるポリアミド系合成繊維マルチフィラメント糸を30重量%以上含むものである。加撚されたポリエステル系、もしくはポリアミド系合成繊維マルチフィラメント糸(以下、これらを総称して単に合成繊維マルチフィラメント糸ということがある)の含有量は100%であってもよい。
【0022】
合成繊維マルチフィラメント糸の含有量は50重量%以上100%以下がより好ましい。含有量が30重量%に満たない場合は編織物の密度変化が少なく、肌からの発汗による湿度が十分に放散できずムレやベトツキを解消することができない問題がある。
【0023】
本発明の編織物は、20℃×65%RH時と30℃×90%RH時における通気量差が10%以上40%以下の範囲にある。
【0024】
通気量差が10%に満たない場合、肌からの発汗による湿度が十分に放散できずムレやベトツキを解消することができない問題がある。また、本発明の編織物においては、通気量差が40%を越えると真夏以外の春、秋、冬場における環境温度条件下では、かえって寒くなり体を冷やすという問題があった。
【0025】
本発明の編織物は、ポリエステル系等の合成繊維マルチフィラメント糸のみを用いた場合であってもよく、他に、天然繊維やセルロース系合成繊維との混繊繊維を使用したものや、天然繊維やセルロース系合成繊維あるいはスパンデックスと交編・交織したものなどであってもよい。
【0026】
また、マルチフィラメント糸を構成する単繊維の単繊維繊度は0.1〜10デニールの範囲が好ましく、構成フィラメント数は3〜100フィラメントの範囲が好ましく、総繊度は15〜300デニールの範囲が好ましい。編織物組織としては、編物の場合は丸編である天竺、鹿の子、インターロック、モックミラノリブ等、経編であるハーフ、サテン、逆ハーフ等、靴下編であるソックス編、パンティストッキング編等の編組織のいずれであってもよく、織物である平織、綾織、サテン織等の織組織、一重織、二重織などいずれであってもよい。
【0027】
さらに本発明においては加撚された合成繊維マルチフィラメント糸の撚係数Kは6800≦K≦26000の範囲とするものである。この撚係数Kとは次の式で表される値のことをいう。
【0028】
K=T(D)1/2
ここで、K:撚係数、T:撚数(T/m)、D:デニールを示す。
【0029】
本発明において撚係数Kが6800に満たない場合は、吸湿による原糸膨潤からの撚トルクが小さく十分な編織物組織密度変化が得られない問題がある。逆に、撚係数Kが26000を越える場合は、撚トルクは十分なものの加撚数が非常に大きくなることから、加撚工程での取り扱い性、および、加撚時間の増大、後工程である編成、織布工程での取り扱い性が困難となる。また、コストも高くなるという問題がある。
【0030】
この加撚を行なうには、通常使用されるダブルツイスターなどの撚糸機でよく、特に限定されるものではない。また、加撚後は後工程での取り扱い性を考え、撚止めセットをすることが好ましく、通常のスチームセッターを用い、真空状態で70〜80℃×30分間程度の撚止めセットを行なえばよい。
【0031】
本発明で用いるポリエステル系合成繊維マルチフィラメント糸の30℃×90%RH時における吸湿率は3%以上であるものである。通常のポリエステル系マルチフィラメント糸の吸湿率は20℃×65%RH時で約0.4%、30℃×90%RH時で1%程度である。これに対し、本発明で用いるポリエステル系合成繊維マルチフィラメント糸では20℃×65%RH時で約2%以上であるのが好ましく、30℃×90%RH時で3%以上であり、30℃×90%RH時で3.5%以上8%以下であることがより好ましい。
【0032】
この30℃×90%RH時における吸湿率が3%に満たない場合は、吸湿時における原糸断面方向への膨潤力が十分でない傾向にある。また、吸湿率が8%以上のポリエステル系合成繊維マルチフィラメント糸を得ることは製造上困難である。
【0033】
繊維断面形状は図1〜5に示すモデル図のような丸断面、楕円断面、三角断面、扁平断面、中空断面など特に限定されるものではない。別の形状として、合成繊維マルチフィラメント糸の30℃×90%RH時における吸湿率が1%以下の層と2%以上の層とがサイドバイサイドに複合されたポリエステル系マルチフィラメント糸であってもよい。
【0034】
高吸湿性の層が膨潤することにより、繊維の長さ方向に沿って凹凸形状となり、より実施形態として好ましい。このサイドバイサイドにされた複合形状としては、図6〜10に示すモデル図のような丸断面、楕円断面、三角断面、扁平断面、中空断面など特に限定されるものではない。
【0035】
また、高吸湿性ポリマと低吸湿性ポリマの重量比は、高吸湿性ポリマ層が30〜90%、低吸湿ポリマ層が70〜10%の範囲がよく、高吸湿ポリマ層が50〜70%の範囲になることがより好ましい。
【0036】
このサイドバイサイド型原糸は従来技術と異なり、同質ポリマのため剥離問題、染差によるイラツキ問題もなく品質上極めてよいものが得られる。
【0037】
本発明の編織物において用いるポリアミド系合成繊維マルチフィラメント糸は、30℃×90%RH時における吸湿率が7%以上であるものである。
【0038】
通常のポリアミド系マルチフィラメント糸の吸湿率は、20℃×65%RH時で約4.5%、30℃×90%RH時で約6%程度である。これに対して、本発明の編織物で用いるポリアミド系合成繊維マルチフィラメント糸は20℃×65%RH時で5%以上であることが好ましく、30℃×90%RH時で7%以上であり、30℃×90%RH時で7.5%以上12%以下の範囲であるのがより好ましい。
【0039】
この30℃×90%RH時における吸湿率が7%に満たない場合は、吸湿時における原糸断面方向への膨潤力がポリアミド系マルチフィラメント糸として十分でない傾向にある。また、12%以上を有するポリアミド系マルチフィラメント糸を得ることは製造上困難である。
【0040】
繊維断面形状は前記ポリエステルの場合と同様、図1〜5に示すモデル図のような丸断面、楕円断面、三角断面、扁平断面、中空断面など特に限定されるものではない。別の形状として、合成繊維マルチフィラメント糸が30℃×90%RH時における吸湿率が5%以下の層と7%以上の層とがサイドバイサイドに複合されたポリアミド系マルチフィラメント糸であってもよい。
【0041】
高吸湿性の層サイドが膨潤することにより、繊維の長さ方向に沿って凹凸形状となり、より実施形態として好ましい。このサイドバイサイドにされた複合形状としては、前記ポリエステルの場合と同様、図6〜10に示すモデル図のような丸断面、楕円断面、三角断面、扁平断面、中空断面など特に限定されるものではない。
【0042】
また、高吸湿ポリマ層と低吸湿ポリマ層の重量比は、高吸湿ポリマ層が30〜90%、低吸湿ポリマ層が70〜10%の範囲がよく、高吸湿ポリマ層が50〜70%にすることがより好ましい。
【0043】
このサイドバイサイド型原糸は従来技術と異なり、同質ポリマのため剥離問題、染差によるイラツキ問題もなく品質上極めてよいものが得られる。
【0044】
本発明の編織物は、ポリエステル系マルチフィラメント糸またはポリアミド系マルチフィラメント糸の加撚工程、編成工程または織布工程、染色工程によって得ることができる。編成工程または織布工程および染色工程は、通常のポリエステル系またはポリアミド系編織物の工程でよい。他に、染色加工工程における機能性付与加工としては、帯電防止、消臭、撥水、防汚、吸汗加工および防カビ加工などいずれの加工を用いてもよい。
【0045】
また、吸湿加工の機能性付与を行なうことは、編織物の吸湿率が向上する観点から、より好ましい。
【0046】
編織物の生地構造設計において、肌側になる生地裏面に通常の合成繊維、外側にあたる生地表面に前記高吸湿性原糸がより多く配置されるように編織物を形成することにより、肌から出る汗を肌側から外側に素早く移動させる毛細管原理が働くと考えられ、好ましい。
【0047】
本発明の編織物は、目的とする衣服などの全体に使用しても、または、部分的に使用してもよく、何等限定されることなく使用することができる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明の編織物を実施例および比較例を用いて説明する。特性値などの評価方法を下記に示す。
【0049】
[吸湿性]
原糸または編織物1〜3gを用い、絶乾時の重量と、それぞれ20℃×65%RH時および30℃×90%RH時の雰囲気下で市販の恒温恒湿器中に24時間放置後の重量との重量変化から、次式の吸湿率を計算して求めた。
【0050】
吸湿率(%)=[(吸湿後の重量−絶乾時の重量)/絶乾時の重量]×100
[通気量]
一般的に使用されるJIS L−1096のフラジール形法により評価した。単位はcc/cm2 /secで示す。また、通気量差(%)は、次式の計算によって求めた。
【0051】
通気量差(%)=[(30℃×90%RH時における通気量−20℃×65%RH時における通気量)÷(20℃×65%RH時における通気量)]×100
[着用評価]
それぞれの生地をトレーニングウェア上下として作製し、20℃×65%RHの恒温恒湿室内でこのトレーニングウェアを着用した状態でトレッドミルを使い、時速12km/hrのジョギング運動を20分間行なった後、被験者の官能試験により快適性の評価を行ない、次のように表示した。
【0052】
(ムレ) ×:ムレる △:ややムレる ○:ムレない
(ベトツキ) ×:ベトツク △:ややベトツク ○:ベトツカない
[原糸および後加工工程の生産性]
原糸および後加工工程である加撚工程および編成・織布工程の生産性を次のように表示した。
【0053】
×:生産性悪い △:生産性やや悪い ○:生産性問題なし
[実施例1]
原糸吸湿率が20℃×65%RH時2.2%、30℃×90%RH時3.4%のポリエステル75デニール36フィラメントの原糸に800T/mの加撚を行ない、撚係数K=6900の糸を得た。この糸を用い28G両面丸編機でインターロック組織の生機を作製し、通常のポリエステル編物染色法に基づき加工を行ない目付220g/m2 の生地を得た。この生地の20℃×65%RH時における通気量は110cc/cm2 /sec、30℃×90%RH時における通気量は131cc/cm2 /secであり、その通気量差は19%であった。
【0054】
この生地でトレーニングウェア上下を作り、男子5名、女子3名の計8名による着用評価を行なった結果、ムレおよびベトツキもなく良好なものであった。また、原糸生産および後加工工程の通過性も問題のないものであった。
【0055】
評価結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
[実施例2]
実施例1と同一の原糸を用い、2900T/mの加撚を行ない、撚係数K=25000の糸を得た。この糸を用い実施例1と同一方法で目付207g/m2 の生地を得た。この生地の20℃×65%RH時における通気量は121cc/cm2 /sec、30℃×90%RH時における通気量は163cc/cm2 /secであり、その通気量差は35%であった。実施例1と同様に着用評価および生産性も問題なく良好なものであった。
【0057】
評価結果を表1に併せて示す。
【0058】
[実施例3]
原糸断面片面を30℃×90%RH時における吸湿率が1%以下の層と他面が2%以上の層とが複合比で50%/50%になるようなポリエステル75デニール36フィラメントのサイドバイサイド型複合糸を得た。この原糸の吸湿率は、20℃×65%RH時2%、30℃×90%RH時3.1%であった。この原糸に2900T/mの加撚を行ない、撚係数K=25000の糸を得た。
【0059】
この糸を用い2/1ツイル組織の織物生機を作製し、通常のポリエステル織物染色法に基づき加工を行ない、目付91g/m2 の生地を得た。
【0060】
この生地の20℃×65%RH時における通気量は40cc/cm2 /sec、30℃×90%RH時における通気量は53cc/cm2 /secであり、その通気量差は33%であった。この生地により実施例1と同様にトレーニングウェアを作り着用評価を行なった結果、ムレもベトツキもなく良好なものであった。また、生産性も問題のないものであった。
評価結果を表1に併せて示す。
【0061】
[実施例4]
原糸吸湿率が20℃×65%RH時5.2%、30℃×90%RH時7.4%のナイロン70デニール24フィラメントの原糸に800T/mの加撚を行ない、撚係数K=6800の糸を得た。この糸を用い28G両面丸編機でインターロック組織の生機を作製し、通常のナイロン編物染色法に基づき加工を行ない目付200g/m2 の生地を得た。
【0062】
この生地の20℃×65%RH時における通気量は120cc/cm2 /sec、30℃×90%RH時における通気量は140cc/cm2 /secであり、その通気量差は17%であった。実施例1と同様に着用評価および生産性も問題なく良好なものであった。
評価結果を表1に併せて示す。
【0063】
[実施例5]
原糸吸湿率が20℃×65%RH時5.2%、30℃×90%RH時7.4%のナイロン70デニール24フィラメントの原糸に3100T/mの加撚を行ない、撚係数K=26000の糸を得た。一方、30℃×90%RH時6%以下の通常のナイロンの原糸に同じ撚数を加撚した。この両者を用い、28G両面丸編機にて交編率50%/50%になるようなリバーシブル組織にて生機を作成し、通常のナイロン編物染色法に基づき加工を行ない目付207g/m2 の生地を得た。この生地の20℃×65%RH時における通気量は127cc/cm2 /sec、30℃×90%RH時における通気量は174cc/cm2 /secであり、その通気量差は37%であった。実施例1と同様に着用評価および生産性も問題なく良好なものであった。
【0064】
評価結果を表1に併せて示す。
【0065】
[比較例1]
原糸吸湿率が20℃×65%RH時0.4%、30℃×90%RH時1%のポリエステル75デニール36フィラメントの原糸に800T/mの加撚を行ない、撚係数K=6900の糸を得た。この糸を用い実施例1と同一方法で目付221g/m2 の生地を得た。
【0066】
この生地の20℃×65%RH時における通気量は112cc/cm2 /sec、30℃×90%RH時における通気量も変化がなく112cc/cm2 /secであり、その通気量差は0%であった。実施例1と同様に着用評価を行った結果、ムレおよびベトツキがあり不快なものであった。
【0067】
評価結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
[比較例2]
原糸吸湿率が実施例1と同一のものに750T/mの加撚を行い、撚係数K=6500の糸を得た。この糸を用い実施例1と同一方法で目付219g/m2 の生地を得た。この生地の20℃×65%RH時における通気量は115cc/cm2 /sec、30℃×90%RH時における通気量は123cc/cm2 /secであり、その通気量差は7%であった。実施例1と同様に着用評価を行った結果、ムレおよびベトツキがあり不快なものであった。
【0069】
評価結果を表2に併せて示す。
【0070】
[比較例3]
原糸吸湿率が20℃×65%RH時6.5%、30℃×90%RH時9%のポリエステル75デニール36フィラメントの原糸に3100T/mの加撚を行ない、撚係数K=27000の糸を得た。この糸を用い実施例1と同一方法で目付224g/m2 の生地を得た。
【0071】
この生地の20℃×65%RH時における通気量は113cc/cm2 /sec、30℃×90%RH時における通気量は157cc/cm2 /secであり、その通気量差は39%であった。実施例1と同様に着用評価を行った結果、ムレおよびベトツキもなく良好なものであった。しかし、原糸の生産において糸切れが発生するなど原糸生産性が悪く、かつ、後工程において加撚数が多いため、撚止めセットをする前にトルクビリが多発するなど生産性に劣るものであった。
【0072】
評価結果を表2に併せて示す。
【0073】
[比較例4]
実施例2で用いたと同一な撚係数K=25000の糸と原糸吸湿率が20℃×65%RH時0.4%、30℃×90%RH時1%のポリエステル75デニール36フィラメントの原糸に2900T/mの加撚を行ない、撚係数K=25000の糸を得た。この両者を用い、28G両面丸編機にて交編率25%/75%になるようなリバーシブル組織にて生機を作製し、実施例1と同一方法で目付215g/m2 の生地を得た。
【0074】
この生地の20℃×65%RH時における通気量は119cc/cm2 /sec、30℃×90%RH時における通気量は126cc/cm2 /secであり、その通気量差は6%であった。実施例1と同様に着用評価を行った結果、ムレおよびベトツキがあり不快なものであった。
【0075】
評価結果を表2に併せて示す。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリエステル系繊維およびポリアミド系繊維よりなる編織物の欠点である低い吸湿率から発生するムレやベトツキを解消し、運動などに伴い発生する汗による湿度を高放散させることで、より快適性に優れた編織物を得ることができる。しかも、合成繊維が本来有する固有の形態安定性、機械強度、耐薬品性、耐熱性、洗濯耐久性、発色性、光沢感を具備することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の編織物に用いるマルチフィラメント糸の一例の断面形状をモデル的に示す概略図である。
【図2】本発明の編織物に用いるマルチフィラメント糸の他の一例の断面形状をモデル的に示す概略図である。
【図3】本発明の編織物に用いるマルチフィラメント糸の他の一例の断面形状をモデル的に示す概略図である。
【図4】本発明の編織物に用いるマルチフィラメント糸の他の一例の断面形状をモデル的に示す概略図である。
【図5】本発明の編織物に用いるマルチフィラメント糸の他の一例の断面形状をモデル的に示す概略図である。
【図6】本発明の編織物に用いるマルチフィラメント糸の他の一例の断面形状をモデル的に示す概略図である。
【図7】本発明の編織物に用いるマルチフィラメント糸の他の一例の断面形状をモデル的に示す概略図である。
【図8】本発明の編織物に用いるマルチフィラメント糸の他の一例の断面形状をモデル的に示す概略図である。
【図9】本発明の編織物に用いるマルチフィラメント糸の他の一例の断面形状をモデル的に示す概略図である。
【図10】本発明の編織物に用いるマルチフィラメント糸の他の一例の断面形状をモデル的に示す概略図である。
【符号の説明】
a:高吸湿ポリエステル層または高吸湿ポリアミド層
b:低吸湿ポリエステル層または低吸湿ポリアミド層
Claims (3)
- 構成糸が主として吸湿性ポリマから形成され、かつ加撚されて、撚係数Kが6800≦K≦26000の範囲にある30℃×90%RH時における吸湿率が3%以上であるポリエステル系合成繊維マルチフィラメント糸、もしくは30℃×90%RH時における吸湿率が7%以上であるポリアミド系合成繊維マルチフィラメント糸を30重量%以上含み、かつ、20℃×65%RH時と30℃×90%RH時における通気量差が10%以上40%以下の範囲にあることを特徴とする編織物。
- 前記ポリエステル系合成繊維マルチフィラメント糸が複合繊維であって、30℃×90%RH時における吸湿率が1%以下の層と30℃×90%RH時における吸湿率が2%以上の層とがサイドバイサイドに複合されてなるものであることを特徴とする請求項1記載の編織物。
- 前記ポリアミド系合成繊維マルチフィラメント糸が複合繊維であって、30℃×90%RH時における吸湿率が6%以下の層と30℃×90%RH時における吸湿率が7%以上の層とがサイドバイサイドに複合されてなるものであることを特徴とする請求項1記載の編織物。
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