JP5685889B2 - 吸透湿性クッション材 - Google Patents

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本発明は、高吸湿性を有するクッション材に関するものである。具体的には、吸湿性粒子を高通気性のクッション基材に固着させた素材に関するものである。
従来、ベッド等の寝具、自動車や電車の座席等のクッション材としては、ウレタンフォーム、ポリエステル繊維からなる詰綿、ポリエステル繊維を接着した樹脂綿あるいは固綿等が使用されている。着座時の快適性には、着座時のクッション性もさることながら、クッション材の通気度が強く影響するが、ウレタンフォーム、ポリエステル繊維からなる詰綿、ポリエステル繊維を接着した樹脂綿、又は固綿等の従来のクッション材では、通気性を向上させるには限界があった。また、発泡−架橋型ウレタンは、クッション材としての耐久性は良好であるが、透湿透水性に劣り、蓄熱性があるため蒸れやすいという問題があった。
クッション材のむれ感を低減させるための手法として、例えば、ポリエステル不織布の間にバインダー樹脂と吸湿性微粒子を挟んだ素材(特許文献1(実施例2)参照)が提案されている。しかしながら、この方法では吸湿性微粒子が樹脂に埋没してしまい、本来の吸湿性能が失われてしまう。またバインダー樹脂が非多孔質であるため、素材の通気性や透湿性が低くなってしまうという問題もある。また、バインダー樹脂を挟み、加熱することで不織布と接着させるため、素材が硬くなり、クッション性に劣ってしまう。
特許文献2には、布帛の片方の面から他方の面へ水分を容易に移行させる性能を有する偏在吸水性布帛が提案されている。しかし、この偏在吸水性布帛は、水分を一方の面から他方の面へと移行させるだけであり、吸湿性は充分でない。また、水分の移行を容易にするためには、布帛の厚さを薄くする必要があり、クッション性は得られない。
特許文献3には、繊維組織で構成された表面と裏面の編地及び該表裏両面の編地を接合する糸条で構成されてなる立体構造編地において、立体構造編地を構成する繊維内部にポリアルキレングリコール等の吸湿剤を含有させたり、親水性ビニルモノマー等をグラフト重合することによって吸湿性を付与して、むれ感の低減を図る方法が提案されている(特許文献3(段落[0073])参照)。しかし、この方法では、繊維の原料に吸湿剤を練り込んだり繊維自体を改質しているため、紡糸性が悪くなることが考えられ、作業性や製品の取扱性に問題がある。
特許文献4には、貫通孔を有し、所定の体積充填度を有する繊維構造材に対して、空洞の内側に吸着剤をバインダーで接着した吸着剤担持繊維構造材が提案されている。しかし、この素材では、繊維構造材の透湿性は充分であるが、吸着剤には多孔質の無機系粒子を使用しており、無機系粒子が有する細孔中へと水分が吸着されるのに長時間を要するため、吸湿速度が遅く、短時間使用時のむれ感は充分に低減できない。また、用いられるバインダーは不透湿性のため、無機系粒子のバインダーに接触している部分は吸着能を発揮できず、本来の吸湿性能が失われてしまう。
特開2004−155396号公報 特開昭56−134263号公報 特開2001−98445号公報 特開平4−41753号
従来、むれ感を低減させたクッション材が種々提案されているが、優れた吸湿速度、高通気性及び高クッション性の全てを兼ね備えたものはなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、吸湿速度、通気性及びクッション性に優れた吸透湿性クッション材を提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明の吸透湿性クッション材は、繊維からなるクッション基材と、該繊維からなるクッション基材を構成する繊維表面に固着された吸湿性微粒子とを有する吸透湿性クッション材であって、吸透湿性クッション材自体の単位体積当たりの吸湿速度が50g/m3・min以上、通気度が100cm3/cm2・s以上であることを特徴とする。
前記繊維からなるクッション基材は、表裏二枚の地組織と、該二枚の地組織間を連結する連結糸からなる二重編地が好ましい。前記吸湿性微粒子は、多孔質のバインダー樹脂硬化物により繊維表面に固着されていることが好ましい。前記吸湿性微粒子は、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上含有するものが好ましく、また、吸湿性微粒子の体積平均粒子径は50μm以下が好ましい。
発明の吸透湿性クッション材は、通気度が高く、且つ、吸湿性微粒子の作用によって吸湿速度が非常に早くなっている。そのため、通気性、吸湿性及びクッション性に優れており、且つ、短時間使用時のむれ感も速やかに軽減することができる。
本発明の吸透湿性クッション材は、繊維からなるクッション基材と、該繊維からなるクッション基材を構成する繊維表面に固着された吸湿性微粒子とを有する吸透湿性クッション材であり、吸透湿性クッション材自体の単位体積当たりの吸湿速度が50g/m3・min以上、通気度が100cm3/cm2・s以上であることを特徴とする。
本発明の吸透湿性クッション材は、クッション基材の繊維表面に吸湿性微粒子が付与されており、クッション材自体の通気度が高い。そのため、クッション材内部へと水分が浸透しやすいため、例えば、クッション材と人肌との間に発生した水分が、速やかにクッション材内部へと浸透する。そして、クッション材内部へと浸透した水分は、速やかに吸湿性微粒子に吸着されることとなる。つまり、本発明のクッション材は、高い通気度と吸湿性微粒子の作用によって吸湿速度が非常に早くなっている。そのため、短時間使用時のむれ感も速やかに軽減することができる。
吸透湿性クッション材の単位体積当たりの吸湿速度は50g/m3・min以上である。吸湿速度が50g/m3・min未満では、吸湿速度が遅すぎるため、短時間使用時のむれ感が充分に低減できない。また、短時間使用時のむれ感をより軽減するという観点から、前記吸湿速度は55g/m3・min以上が好ましく、より好ましくは60g/m3・min以上である。なお、吸湿速度の上限は特に限定されないが、通常は100g/m3・minである。なお、吸湿速度の測定方法は後述する。
また、吸透湿性クッション材の通気度は100cm3/cm2・s以上である。通気度が100cm3/cm2・s未満ではクッション材内部に水分が浸透しにくく、吸湿性微粒子の吸湿性が阻害され、むれ感低減効果が発揮されないおそれがある。また、通気度が100m3/cm2・s未満では吸湿性微粒子に吸収された水分が放出されにくくなって、吸湿性微粒子の吸湿性能が飽和しやすくなり、吸透湿性クッション材の吸湿性の持続性に劣る。このような観点から、通気度は200cm3/cm2・s以上が好ましい。通気度の上限は特に限定されないが、通常は500cm3/cm2・sである。なお、通気度とは、JIS L1096(8.26.1 A法)により測定される通気性試験により求められる。
本発明の吸透湿性クッション材の厚さは1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上である。厚さが1mm以上であればクッション性がより良好となる。なお、吸透湿性クッション材があまり厚くなりすぎると、内部の吸湿性微粒子の吸湿性が発揮されにくくなるため、吸透湿性クッション材の厚さの上限は通常20mmである。
本発明の吸透湿性クッション材の目付は300g/m2以上が好ましく、より好ましくは330g/m2以上、さらに好ましくは350g/m2以上であり、550g/m2以下が好ましく、より好ましくは500g/m2以下、さらに好ましくは450g/m2以下である。目付が300g/m2以上であれば、クッション性がより良好となり、550g/m2以下であれば吸透湿性クッション材の通気度が大きくなり、むれ感低減効果がより向上する。
以下、本発明の吸透湿性クッション材を構成する各部材について詳細に説明する。
<クッション基材>
前記クッション基材は繊維からなるものである。繊維からなるクッション基材を構成する繊維は特に限定されず、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維;レーヨン、アセテート等のセルロール系繊維;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12等のポリアミド樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、及びこれらの共重合体、ブレンド体からなる樹脂から形成される合成繊維;等が挙げられる。また、合成樹脂繊維は、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加物を含有していてもよく、また、芯鞘、サイドバイサイドの形態に複合化されていてもよい。これらの繊維は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、汎用性の観点からポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂から形成された合成繊維を用いることが好ましい。
繊維からなるクッション基材を構成する繊維の断面形状も特に限定されず、いずれの形状のものも用いることができる。特に合成繊維の場合には、その断面形状を自由に設計することが可能である。具体的には、繊維の断面形状としては、丸型;扁平型;三角、L字型、T字型、Y字型、W字型、ドッグボーン型等の多角形型;三葉型、八葉型等の多葉型;中空型;不定形;等が挙げられる。繊維の形態も、原糸、紡績糸、有撚糸、仮撚加工糸、流体噴射加工糸等いずれのものを採用してもよく、マルチフィラメント糸でもモノフィラメント糸でも良い。また、これらの素材、断面形状、形態が異なる二種以上の繊維を交絡、交撚、複合仮撚加工、交編等の公知の複合手段で混合してもよい。
前記繊維からなるクッション基材としては、例えば、立体編物、不織布、硬綿、フェルト等が挙げられる。これらの中でも立体編物が好適であり、特に表裏二枚の地組織と、該二枚の地組織間を連結する連結糸からなる二重編地、いわゆるダブルラッセル生地が好ましい。
以下、表裏二枚の地組織と、該二枚の地組織間を連結する連結糸からなる二重編地(以下、単に「二重編地」と称することがある。)について詳細に説明する。
前記二重編地を構成する表面(寝具、座席のクッション材等に用いる場合に人体に接する側)の編地は、肌触りの快適性を向上させるため、吸湿性や吸水性に優れていることが好ましい。よって、表面の編地を構成する繊維には、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維;レーヨン、アセテート等のセルロール系繊維;W字型等の異形断面を有する合成繊維;吸湿性や吸水性を改質した合成繊維;等が好適である。裏面(表面の反対側)の編地については特に制限はなく、裏面の編地を構成する繊維には、クッション基材を構成する繊維として例示した繊維をいずれも好適に使用できる。
表裏の編地を構成する繊維の太さは、モノフィラメント糸の場合もマルチフィラメント糸の場合も繊度(マルチフィラメントの場合は総繊度)が50dtex以上が好ましく、より好ましくは100dtex以上であり、300dtex以下が好ましく、より好ましくは200dtex以下である。マルチフィラメント糸の場合には、単糸繊度が0.1dtex以上が好ましく、より好ましくは0.5dtex以上であり、7dtex以下が好ましく、より好ましくは6dtex以下、さらに好ましくは3dtex以下である。
表裏の編地の編組織は特に限定されず、例えば、平坦な組織(例えば、経編の三原組織であるトリコット編、コード編、アトラス編);四角、六角等のメッシュ編地;マーキゼット編地等が挙げられる。表裏の編地の編組織の組合せとしては、互いに同一であっても、異なっていてもよい。表裏の編組織の組合せとしては、例えば、表面の編地を平坦な組織にして肌触りを良好にし、裏面の編地は四角、六角等のメッシュ編地、マーキゼット編地等複数の開口部を有する編地にして通気性を高める組合せ;表裏とも複数の開口部を有する編地にして通気性を向上させて、むれを改善する組合せ;等が好ましい。
編組織をメッシュ編地とする場合、メッシュ編地のコース方向のメッシュの最大径は1mm以上(より好ましくは1.5mm以上)が好ましく、6mm以下(より好ましくは5mm以下)が好ましい。メッシュの最大径が1mm以上であれば通気性が良好となり、むれ防止性能がより向上し、6mm以下であれば立体編物の外周の縫合部のほつれをより抑制できる。また、メッシュ編地において、メッシュ間を構成するメッシュ間のコース方向の編地幅は0.8mm以上(より好ましくは1mm以上)が好ましく、5mm以下(より好ましくは4mm以下)が好ましい。編地幅が0.8mm以上であれば立体編物が押しつぶされにくく、むれ防止性がより向上し、5mm以下であれば通気性が良好となり、むれ防止性がより向上する。
表裏の編地を連結する連結糸としては、クッション基材を構成する繊維として例示した繊維を用いることができる。これらの中でも、弾力感のあるクッション性を付与することができ、繰返しや長時間圧縮後のクッション性の耐久性が良好となることから、連結糸の少なくとも一部にポリトリメチレンテレフタレート繊維を用いることが好ましい。また、繊維の断面形状については、クッション性の耐久性が良好となることから、丸型断面が好ましい。
前記連結糸は、ズレ力の緩和の観点からモノフィラメント糸が好ましい。また、連結糸はモノフィラメント糸100質量%とすることが好ましいが、マルチフィラメント糸やその仮撚加工糸を混用してもよい。この場合、モノフィラメント糸の使用量を30質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは50質量%以上である。モノフィラメント糸の場合、連結糸の繊度は10dtex以上(より好ましくは30dtex以上)が好ましく、500dtex以下(より好ましくは300dtex以下)が好ましい。マルチフィラメント糸の場合、連結糸の総繊度は20dtex以上(より好ましくは30dtex以上)が好ましく、300dtex以下(より好ましくは200dtex以下)が好ましく、単糸繊度は1dtex以上(より好ましくは2dtex以上)が好ましく、7dtex以下(より好ましくは6dtex以下)が好ましい。
前記連結糸による表裏の編地の連結構造は特に限定されず、例えば、ストレート構造、筋違構造、クロス構造、トラス構造等が挙げられる。
前記二重編地は、相対する2列の針床を有する編機で編成することができ、ダブルラッセル編機、Vベッドを有する横編機等で編成できる。これらの中でも、寸法安定性のよい立体編物を得るには、ダブルラッセル編機を用いるのが好ましい。編機のゲージは9から28ゲージまでが好ましく用いられる。
なお、二重編地は、上記のようにして製造してもよいし、市販されているものの中から、本発明で規定する物性を有するものを選択して、使用してもよい。市販されているダブルラッセル生地の具体例としては、旭化成せんい社のフュージョン(登録商標)、ユニチカテクノス社のキュービックアイ(登録商標)等が挙げられる。
前記クッション基材の通気度は150cm3/cm2・s以上が好ましく、より好ましくは200cm3/cm2・s以上であり、500cm3/cm2・s以下が好ましい。クッション基材の通気度が上記範囲内であれば、得られる吸透湿性クッション材の通気度を好適範囲に制御しやすくなる。
前記クッション基材の透湿度は8000g/m2・24h以上が好ましく、より好ましくは10000g/m2・24h以上、さらに好ましくは12000g/m2・24h以上である。透湿度が8000g/m2・24h以上であれば、クッション基材内部に水分が浸透しやすくなり、吸湿性微粒子の吸湿性が促進され、むれ感低減効果がより向上する。透湿度の上限は特に限定されないが、通常は20000g/m2・24hである。なお、透湿度はJIS L1099(A−1法)により測定される。
前記クッション基材の厚さは1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上である。クッション基材の厚さが1mm以上であればクッション性がより良好となる。なお、クッション基材があまり厚くなりすぎると、内部の吸湿性微粒子の吸湿性が発揮されにくくなるため、クッション基材の厚さの上限は通常20mmである。
前記クッション基材の目付は200g/m2以上が好ましく、より好ましくは250g/m2以上、さらに好ましくは300g/m2以上であり、450g/m2以下が好ましく、より好ましくは400g/m2以下、さらに好ましくは350g/m2以下である。前記目付が200g/m2以上であれば、クッション性がより良好となり、450g/m2以下であれば、通気度、透湿度の低下を抑制でき、むれ防止性能がより向上する。
<吸湿性微粒子>
前記吸湿性微粒子は、本発明の目的を達成できるものであれば特に限定されないが、吸湿速度の観点から、化学的吸着作用により水分子を吸着するものが好ましい。化学的吸着作用を有するものを用いれば、吸透湿性クッション材の吸湿速度を向上させることができ、短時間使用時のむれ感を低減することができる。一方、活性炭のような細孔を有する材料等の物理的吸着作用により水分子を吸着するものでは、水分子の吸着に長時間を要するため、吸湿速度が遅く、短時間使用時のむれ感を充分に低減できないおそれがある。
化学的吸着作用を有する吸湿性粒子としては、例えば、塩型カルボキシル基を有する有機系粒子等が挙げられる。これらの中でも塩型カルボキシル基を有する有機系粒子が好ましい。塩型カルボキシル基による吸着作用は可逆的な作用であり、吸湿後に乾燥させることによって、再度吸湿性能を復元することができる。そのため、このような吸湿性微粒子を用いた場合、吸透湿性クッション材は、吸湿後に乾燥させることによって、繰り返し使用することができる。
以下、吸湿性微粒子の一例として、塩型カルボキシル基を有する有機系粒子(以下、「吸放湿性微粒子」と称する。)について説明する。
吸放湿性微粒子は、塩型カルボキシル基量が、1.0mmol/g以上であることが好ましく、より好ましくは3.0mmol/g以上、さらに好ましくは5.0mmol/g以上である。塩型カルボキシル基量が1.0mmol/g以上であれば、吸透湿性クッション材の吸湿速度がより向上する。
前記吸放湿性微粒子としては、アクリル系架橋重合体を原料として得られるものが挙げられる。この「アクリル系架橋重合体」とは、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸アミド;等のアクリル酸系モノマーや、(メタ)アクリロニトリル等の少なくとも重合性ビニル基とニトリル基を有するアクリロニトリル系モノマーに、必要に応じて他の共重合単量体を加えた共重合単量体組成物を共重合したアクリル系重合体に、架橋構造を導入したものを意味する。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を示す。
上記のアクリル系重合体に用いるアクリル酸系モノマー、あるいはアクリロニトリル系モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を同時に用いてもよい。また、上記の他の共重合単量体としては、最終的に得られる吸放湿性微粒子の作用を損なうものでなければ特に限定されず、例えばハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、p−スチレンスルホン酸塩等のスルホン酸含有モノマー及びその塩、スチレン、酢酸ビニル等のビニル系化合物やビニリデン系化合物等が使用可能である。
架橋構造の導入は、上記の共重合単量体組成物に、さらに架橋構造を形成する共重合成分として2以上の重合性ビニル基を有する化合物を加え、これを共重合する方法が採用できる。2以上の重合性ビニル基を有する化合物としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド等が好ましく用いられる。
また、アクリル系重合体が、アクリロニトリル系モノマーに、必要に応じて他の共重合単量体を加えた共重合単量体組成物を共重合して得られるアクリロニトリル系重合体である場合は、ヒドラジン系化合物処理により、架橋構造を導入することも可能である。この場合に使用できるヒドラジン系化合物としては、ヒドラジン;水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硝酸ヒドラジン、臭素酸ヒドラジン、ヒドラジンカーボネート等のヒドラジン塩類;エチレンジアミン、硫酸グアジニン、塩酸グアジニン、硝酸グアジニン、リン酸グアジニン、メラミン等のヒドラジン誘導体等が挙げられる。上記の他の共重合単量体、2以上の重合性ビニル基を有する化合物、ヒドラジン系化合物は、それぞれ1種単独で、又は2種以上を同時に使用することができる。
上記のアクリル系架橋重合体はいずれも、カルボキシル基を有するか、カルボキシル基に変性できる官能基を有するものであり、該カルボキシル基、あるいはカルボキシル基に変性できる官能基を塩型カルボキシル基に化学変換せしめることで、吸放湿性微粒子が得られる。
このような吸放湿性微粒子としては、例えば、アクリロニトリルを50質量%以上含有する共重合単量体組成物を共重合したアクリロニトリル系重合体にヒドラジン系化合物により架橋構造を導入したアクリロニトリル系架橋重合体、あるいはアクリロニトリルを50質量%以上含有し、さらに2以上の重合性ビニル基を有する化合物等を含有する共重合単量体組成物を共重合したアクリロニトリル系架橋重合体のニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、該塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上含有するもの等が好ましい。
より好ましい態様としては、(A)アクリロニトリルを85質量%以上含有する共重合単量体組成物を共重合したアクリロニトリル系重合体に、窒素含有量の増加が1.0〜15.0質量%となるようにヒドラジン系化合物処理により架橋構造を導入したアクリロニトリル系架橋重合体において、残存しているニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、該塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上有する吸放湿性微粒子;(B)アクリロニトリルを50質量%以上含有し、さらにジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート、及び他の共重合単量体を含有する共重合単量体組成物を共重合して架橋構造を導入したアクリロニトリル系架橋重合体のニトリル基を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、該塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上(好ましくは2.0mmol/g以上)含有する吸放湿性微粒子;等が挙げられる。
なお、(A)の吸放湿性微粒子において「窒素含有量の増加」とは、原料となるアクリロニトリル系重合体中の窒素含有量(質量%)と、該樹脂にヒドラジン系化合物処理による架橋構造を導入した後の窒素含有量(質量%)の差を意味する。この窒素含有量が上記範囲を下回ると、加水分解工程において有機微粒子が溶解し、塩型カルボキシル基を導入することができないおそれがある。他方、上記範囲を超えるとニトリル基の1.0mmol/g以上を塩型カルボキシル基に変換できないおそれがある。また、アクリロニトリル系重合体にヒドラジン系化合物による架橋を導入する方法は、該架橋による窒素含有量の増加が1.0質量%〜15.0質量%となる手段である限り特に限定されないが、ヒドラジン系化合物濃度1質量%〜80質量%の水溶液を用いて、温度50℃〜120℃で0.2時間〜10時間、アクリロニトリル系重合体を処理する手段が工業的に好ましい。
上記のアクリロニトリル系架橋重合体を原料とするものの他、アクリル酸アルキルエステル5質量%以上含有し、さらにジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート、及び他の共重合単量体を含有する共重合単量体組成物を共重合して架橋構造を導入したアクリル酸アルキルエステル系架橋重合体のアルキルエステル部を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめたものであって、該塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上含有する吸湿性微粒子等も好ましく使用できる。
前記吸湿性微粒子の体積平均粒子径は、クッション材の機械的性質等を損なうものでなければ、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択可能である。ただし、粒子径が小さいほど粒子の表面積が大きくなり、吸湿速度も高くなり、また粒子径が大きい場合には、表面のざらざら感が消費者に好まれない場合があるため、体積平均粒子径は50μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下である。
<バインダー>
吸湿性微粒子として有機系粒子を用いる場合、有機系粒子は耐熱性が劣り、繊維原料への溶融練り込みには適さないものが多いため、吸湿性微粒子はバインダー樹脂を用いて繊維表面に固着(接着)させることが好ましい。
バインダーを用いて固着する場合には、バインダー樹脂の種類は特に限定されない。バインダー樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース樹脂等が挙げられる。これらの中でも透湿性、柔軟性、コスト、加工性の観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。
前記ポリウレタン樹脂とは、ウレタン結合を有する樹脂であり、具体的にはポリエステル型ポリウレタン、ポリエーテル型ポリウレタン、ポリカーボネート型ポリウレタン、更には、これらを組合せた複合ポリウレタン等の従来公知のものを用いることができる。これらの中でも、耐加水分解性に優れることから、構成成分としてポリカーボネートポリオールを用いたポリカーボネート型ポリウレタンが好ましい。
吸湿性微粒子をバインダー樹脂を用いて繊維表面に固着させる方法は、特に限定されず、クッション基材にバインダー樹脂を塗布したり、クッション基材をバインダー樹脂溶液中に浸漬したりして、クッション基材を構成する繊維表面にバインダーを付与した後、吸湿性微粒子を吹付け、その後、バインダー樹脂を硬化させる方法;バインダー樹脂と吸湿性微粒子とを混合し、これをクッション基材に吹き付けたり、この混合液中にクッション基材を浸漬したりして、クッション基材を構成する繊維表面にバインダー樹脂及び吸湿性微粒子を付与した後、バインダー樹脂を硬化させる方法;等が挙げられる。
また、吸湿性微粒子をバインダー樹脂を用いて繊維表面に固着させる場合、吸湿性微粒子が、多孔質のバインダー樹脂硬化物により繊維表面に固着されていることが好ましい。バインダー樹脂硬化物が多孔質であれば、バインダー樹脂硬化物が水分子を透過できるため吸湿性微粒子による水分の吸着を阻害せず吸湿速度をより向上させることができる。また、バインダー樹脂硬化物が多孔質であれば、硬化物が柔軟となり、吸湿性微粒子を付与した後のクッション基材の風合いが柔らかく、クッション性がより向上する。
バインダー硬化物を多孔質とするには、湿式凝固法によりバインダー樹脂を硬化させればよい。以下、湿式凝固法について、バインダー樹脂としてポリウレタン樹脂を用いる態様を例に挙げて説明する。
まず、バインダー樹脂としてのポリウレタン樹脂を、ポリウレタン樹脂を溶解し得る有機溶媒(以下、「有機溶媒A」と称する。)に溶解させ、ここに吸湿性微粒子を添加、混合して多孔質用バインダー溶液を調製する。この有機溶媒Aとしては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒;ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒;等が挙げられる。これらの有機溶媒Aは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への影響、湿式凝固法における加工性、簡便性を考慮した場合、非プロトン性の極性溶媒が好ましい。
前記有機溶媒Aに溶解させる際、ポリウレタン樹脂濃度は、好ましくは1質量%〜15質量%であり、ソフト性を考慮した場合、5質量%〜10質量%が特に好ましい。この時、ポリウレタン樹脂濃度が1質量%以上であれば、得られる硬化物多孔質体の強度が良好となり、多孔質構造が潰れてしまうことが抑制され、15質量%以下であれば、後述する溶媒Bに浸漬した際に、有機溶媒Aを容易に溶出させることができ、多孔質層の透湿性がより良好となる。
また、吸湿性微粒子の添加量は、ポリウレタン樹脂100質量部に対して10質量部以上(より好ましくは50質量部以上)が好ましい。吸湿性微粒子の添加量が10質量部以上であれば、繊維表面に吸湿性微粒子を充分付与することができ、吸湿速度がより向上する。
そして、調製した多孔質用バインダー溶液に、クッション基材を浸漬し、過剰なバインダー溶液を絞った後、ポリウレタン樹脂を溶解しない溶媒(以下「溶媒B」と称する。)に浸漬させて湿式凝固させる。この時、溶媒B中に浸漬させると、溶媒Bに有機溶媒Aが溶出するが、ポリウレタン樹脂は溶媒Bに溶解しないため、得られるポリウレタン樹脂硬化物は多孔質体となる。溶媒Bとしては、例えば、水等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、クッション材の各特性の評価方法は以下のとおりである。
1.評価方法
1−1.通気度
JIS L1096(2010) 8.26.1 A法(フラジール法)により測定した。具体的には、200mm×200mmに切り出した試験片を、フラジール型試験機の円筒の一端に取り付けた後、加減抵抗器によって傾斜形気圧計が125Paの圧力を示すように吸込みファン及び空気孔を調整した。このときの垂直形気圧計の示す圧力を測定し、測定した圧力と使用した空気孔(46.5、36.0,25.7,18.3,15.0,12.0,11,8mm)の種類から、試験機に付属の換算表を用いて試験片を通過する空気量を求めた。試験は、異なる試験片について5回行い、その平均値を求めた。
1−2.透湿度
JIS L1099(2006)A−1法により測定した。具体的には、40℃に温めた透湿カップ(深さ22mm、内径60mmの円筒形)に吸湿剤(塩化カルシウム)33gを入れ、吸湿剤と試験片の下面との距離が3mmとなるように調節した。次に、直径70mmの円形に切り出した試験片を、その表面を吸湿剤側に向け、且つ、透湿カップに対して同心円になるように載せて、さらにパッキン及びリングを順次装着し固定した後、装着側面を粘着テープでシールして試験体を作製した。
この試験体を温度40℃、湿度90%RHに設定した恒温恒湿槽内で1時間放置した後の質量を測定し、さらに高温恒湿槽内で1時間放置した後の質量を測定した。試験体の質量変化量から、試験片単位面積当たりの24時間当たりの透湿度を求めた。
1−3.立体編地の厚み及び見かけ密度
試料を15cm×15cmの大きさに切断し、温度20℃、湿度65%RHで無荷重で24時間放置した後、4箇所の高さを測定し、その平均値を厚みとした。
また、24時間放置した後の試料質量を測定し、その質量を試料面積(=0.0225m2)×厚みから得られる試料体積で割った値を見掛け密度とした。
1−4.体積平均粒子径
レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD(登録商標)−200V)を用い、水を分散媒として測定し、体積基準で表した粒子径分布から、体積平均粒子径を求めた。
1−5.塩型カルボキシル基量
十分乾燥した試料を精秤し(X(g))、これに200mlの水を加えた後、50℃に加温しながら1mol/l塩酸水溶液を添加してpH2とすることで、試料に含まれるカルボキシル基を全てH型カルボキシル基とした。次いで、0.1mol/lNaOH水溶液で常法に従って滴定曲線を求めた。該滴定曲線からH型カルボキシル基に消費されたNaOH水溶液消費量(Y(ml))を求め、次式によって試料中に含まれる全カルボキシル基量を算出した。
全カルボキシル基量(mmol/g)=0.1×Y/X
別途、上述の全カルボキシル基量測定操作中の1mol/l塩酸水溶液添加によるpH2への調整をすることなく同様に滴定曲線を求め、試料中に含まれるH型カルボキシル基量を求めた。これらの結果から次式により塩型カルボキシル基量を算出した。
塩型カルボキシル基量(mmol/g)=(全カルボキシル基量)−(H型カルボキシル基量)
1−6.吸湿速度
試料を15cm×15cmの大きさに切断して試験片を作製した。この試験片を、温度33℃、湿度40%RHの環境下で24時間放置して調湿した後、調湿した試験片を温度33℃、湿度80%RH環境下で30分間放置して吸湿させた。調湿直後の試験片の質量と吸湿させた後の試験片の質量の差及び吸湿時間(30分間)から単位時間当たりの吸質量を求め、この単位時間当たりの吸質量を試験片の体積で除することにより吸湿速度を算出した。
なお、試験片の体積は、温度20℃、湿度65%RHで無荷重で24時間放置した後、4箇所の高さを測定し、その平均値を厚み×試料面積(=0.0225m2)により求めた。
1−7.発汗シミュレータによるむれ感評価
発汗シミュレータ スキンモデルを使い、熱板温度を37℃、発汗量を200g/m2・h、試料と熱板を密着させて、試料と熱板の間の絶対湿度を測定した。具体的には、発汗量なしで温度の安定を10分間行ったのち、発汗を20分間行い、20分後の絶対湿度を測定した。
試料のむれ感低減効果は、20分後の絶対湿度が、20mmHgより小さい場合に「○」と、20mmHg以上25mmHg未満の場合に「△」と、25mmHg以上の場合に「×」と評価した。
なお、発汗シミュレータは、発汗孔を有する基体及び産熱体からなる産熱発汗機構、発汗孔に水を供給するための送水機構、産熱体の温度を制御する産熱制御機構、温湿度センサーから構成されている。基体は黄銅製で面積120cm2であり、発汗孔が6個設けられており、面状ヒーターからなる産熱体により一定温度に制御される。送水機構はチューブポンプを用いており、一定水量を基体の発汗孔に送り出す。基体表面には、ポリエステルマルチフィラメント織物からなる模擬皮膚が貼り付けられており、これにより発汗孔から吐出された水が基体表面に広げられ、発汗状態が作り出される。この基体表面に模擬皮膚を貼り付けたものを熱板とし、厚さ2mmのケース内で保護された温湿度センサーは、熱板と試料との間に設置され、熱板が発汗状態の時の「熱板と試料とケースで囲まれた空間」の湿度を測定する。
1−8.モニター試験によるクッション性評価
モニター10名に、クッション材上に5分間仰臥した際のクッション性を評価させた。モニター10名の評価結果を総合して、クッション性が優れるものを「○」、クッション性がやや劣るものを「△」、クッション性が劣るものを「×」と評価した。
2.クッション基材の作製
2−1.ダブルラッセル生地
フロントオサ1,2として、常法にしたがって製造された167dtex/48フィラメントのポリエステル糸を1イン3アウトの糸入れで配置し、連結糸となるミドルオサ3,4に330dtex/1フィラメントのポリエステル系繊維(東洋紡績社製、ダイヤフローラ(登録商標)CS0330)を1イン3アウトの糸入れで配置し、バックオサ糸5,6に常法にしたがって製造された167dtex/48フィラメントのポリエステル糸を1イン1アウトで配置し、22ゲージの6枚オサダブルラッセル編機を使用し、機上コース35コース/インチとし、表裏がメッシュとなるダブルラッセル編地を作成した。
この時の編ランナー(480コース編むのに必要な糸量)は下記の通りであった。
フロントオサ1:198cm/ラック
フロントオサ2:198cm/ラック
ミドルオサ3:850cm/ラック
ミドルオサ4:850cm/ラック
バックオサ5:170cm/ラック
バックオサ6:108cm/ラック
この生機を用い仕上げ加工することで仕上げコース37コース/インチ、23ウェール/インチで巾148cm、目付333g/m2のダブルラッセル生地を得た。表裏のメッシュ編地は、メッシュ形状が六角形、メッシュの最大径が4.1mm、メッシュ間の編地幅が1.7mmである。
2−2.ポリエステルスパンボンド不織布
ポリエステル短繊維(東洋紡績社製、繊度2.4dtex、繊維長38mm)100質量%からなるステープルを用いて、ニードルパンチ法によって目付130g/m2、厚さ1.7mmのポリステルスパンボンド不織布を作製した。
3.吸湿性微粒子の作製
3−1.アクリル系架橋重合体吸湿性微粒子A
アクリロニトリル450質量部、アクリル酸メチル50質量部及び水1181質量部を2リットルのオートクレーブ内に仕込み、更に重合開始剤としてジ−tert−ブチルパーオキサイドを2.5質量部(単量体全量100質量部に対して0.5質量部)添加した。オートクレーブを密閉し、攪拌下において120℃の温度にて30分間重合した。反応終了後、攪拌を継続しながら90℃まで冷却することにより体積平均粒子径が2μmの重合体粒子を得た。
次いで、得られた重合体粒子100質量部に60%水加ヒドラジン60質量部及び水850質量部を混合し、90℃、3時間の条件でヒドラジン処理を行うことにより架橋構造を導入した。さらに、112質量部の水酸化ナトリウムを添加し、120℃、2時間反応を行った。得られた粒子を水洗、洗浄、乾燥後、分級し、体積平均粒子径4μmのアクリル系架橋重合体吸湿性微粒子Aを得た。該粒子の塩型カルボキシル基量は7.0mmol/gであった。
3−2.アクリル系架橋重合体吸湿性微粒子B
アクリロニトリル55質量部、アクリル酸メチル10質量部、ジビニルベンゼン35質量部からなるモノマー混合物を、0.5質量部の過硫酸アンモニウムを含む水溶液300質量部に添加し、次いでピロ亜硫酸ナトリウム0.6質量部を加え、攪拌機つきの重合槽で65℃、2時間重合した。得られた粒子15質量部を水85質量部中に分散し、これに水酸化ナトリウム10質量部を添加し、90℃で2時間加水分解反応を行った後、洗浄、脱水、乾燥を行い、アクリル系架橋重合体吸湿性微粒子Bを得た。該粒子の体積平均粒子径は50μm、塩型カルボキシル基量は6.3mmol/gであった。
3−3.シリカゲル
ガラス製で、上部に大気開放の水冷コンデンサが取り付けてある5Lセパラブルフラスコ(ジャケット付き)に、純水1000gを仕込んだ。80rpmで攪拌しながら、これにテトラメトキシシラン1400gを3分間かけて仕込んだ。水/テトラメトキシシランのモル比は約6/1である。セパラブルフラスコのジャケットには50℃の温水を通水した。引き続き攪拌を継続し、内容物が沸点に到達した時点で、攪拌を停止した。引き続き約0.5時間、ジャケットに50℃の温水を通水して、精製したゾルをゲル化させた。
その後、速やかにゲルを取り出し、目開き600μmのナイロン製網を通してゲルを粉砕し、粉体状のウェットゲル(シリカヒドロゲル)を得た。このヒドロゲル450gと純水450gとを1Lのガラス製オートクレーブに仕込み、180℃で3時間、水熱処理を実施した。その後、目開き100μmのナイロン製網を通して液を切り、濾滓を水洗いすることなく160℃で恒量となるまで減圧乾燥した。
得られたシリカゲルを粉砕機(ホソカワミクロン社製、AFG−200型)で粉砕し、更に気流分級を行うことによって、体積平均粒子径5μmのシリカゲルを得た。
4.吸透湿性クッション材
4−1.実施例1
アクリル系架橋重合体吸湿性微粒子A10質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート系ポリウレタン10質量部、ジメチルホルムアミド(有機溶媒A)90質量部を混合して、多孔質用バインダー溶液を調製した。
上記で作製したバインダー溶液にダブルラッセル生地を浸漬し、加圧力を0.3MPaに調整したマングルにて絞った後、25℃の水(溶媒B)に4分間浸漬して、バインダー樹脂を硬化させ、多孔質のバインダー硬化物とした。更に、40℃の温水中に15分間浸漬し、余剰の有機溶媒A(ジメチルホルムアミド)を洗い流し、加圧力を0.3MPaに調整したマングルにて、余剰の溶媒B(水)を絞った後、130℃の乾燥機にて5分間乾燥させ吸透湿性クッション材を作製した。得られた吸透湿性クッション材は、クッション基材を構成する繊維表面に、多孔質のバインダー硬化物によって吸湿性微粒子が固着されていた。
4−2.実施例2
吸湿性微粒子をアクリル系架橋重合体吸湿性微粒子B10質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして吸透湿性クッション材を作製した。得られた吸透湿性クッション材は、クッション基材を構成する繊維表面に、多孔質のバインダー硬化物によって吸湿性微粒子が固着されていた。
4−3.比較例1
シリカゲル35質量部、バインダーとしてのポリカーボネート型ポリウレタンエマルジョン(固形分濃度35質量%)100質量部、水250質量部、カルボジイミド系架橋剤2質量部、シリコーン系消泡剤0.1質量部を混合してポリウレタン樹脂溶液を調製した。
上記のように調製したポリウレタン樹脂溶液にダブルラッセル生地を浸漬し、加圧力を0.3MPaに調整したマングルにて絞った後、130℃の乾燥機にて乾燥させ吸透湿性クッション材を作製した。得られた吸透湿性クッション材は、クッション基材を構成する繊維表面に、バインダー硬化物によって吸湿性微粒子が固着されていたが、バインダー硬化物は多孔質ではなかった。
4−4.比較例2
ダブルラッセル生地をそのまま吸透湿性クッション材とした。
4−5.比較例3
吸湿性微粒子をアクリル系架橋重合体吸湿性微粒子A35質量部に変更したこと以外は比較例1と同様にして吸透湿性クッション材を作製した。得られた吸透湿性クッション材は、クッション基材を構成する繊維表面に、バインダー硬化物によって吸湿性微粒子が固着されていたが、バインダー硬化物は多孔質ではなかった。
4−6.比較例4
アクリル系架橋重合体吸湿性微粒子Aとエチレン―アクリル共重合体粒子(融点106℃、体積平均粒子径10μm)の混合物(質量比=85/15)を、パウダー塗布機を用いてポリエステルスパンボンド不織布に塗布量が1000g/m2となるように塗布した後、更に上からポリエステルスパンボンド不織布を積層し、150℃でラミネート加工機を用いて、接着積層を行った。
4−7.比較例5
クッション基材を厚さ10mm、目付け245g/m2のスラブウレタンに変更したこと以外は実施例1と同様にして吸透湿性クッション剤を作製した。
実施例及び比較例で作製した吸透湿性クッション材を評価し、結果を表1に示した。
Figure 0005685889
実施例1、2と比較例1の比較より、化学的吸着作用を有する有機系の吸湿性微粒子A、Bを用いた実施例1、2では、物理的吸着作用を有する無機系の吸湿性微粒子を用いた比較例1に対し、単位体積当たりの吸湿速度が非常に高くなり、むれ感低減効果に優れることがわかる。これは化学的吸着作用を有する有機系吸湿性微粒子の方が、物理的吸着作用を有する無機系の吸湿性微粒子よりも、吸湿速度が高いためである。
実施例1、2と比較例2の比較より、ダブルラッセル生地に吸湿性微粒子を付与した実施例1、2は、未加工のダブルラッセル生地である比較例2よりも、単位体積当たりの吸湿速度が非常に高くなり、むれ感低減効果に優れていることがわかる。
実施例1と比較例3の比較より、バインダー硬化物が多孔質である実施例1は、バインダー硬化物が非多孔質である比較例3よりも、単位体積当たりの吸湿速度が高くなり、むれ感低減効果に優れることがわかる。これは湿式処理により形成された多孔質のバインダー硬化物層は水分透過性が高いことから、吸湿性微粒子の吸湿性能を妨ぎにくいためである。
また、多孔質のバインダー硬化物は、非多孔質の場合よりも柔軟であり、クッション基材の風合いを損ねることなく、吸透湿性クッション材のクッション性にも優れるという効果が得られた。
実施例1、2と比較例4の比較より、ダブルラッセル生地に吸湿性微粒子を付与した実施例1、2は、吸湿性微粒子をポリエステルスパンボンド不織布で挟み込んだ比較例4よりも、単位体積当たりの吸湿速度が非常に高く、むれ感低減効果に優れることがわかる。
実施例1、2の吸透湿性クッション材は、透湿性の高いダブルラッセル生地に吸湿性微粒子を付与することにより、クッション基材内部の吸湿性微粒子の吸湿性能も充分に発揮させることができる。これに対して、比較例4では不織布の透湿度が低いため、クッション基材に近接する吸湿性微粒子のみが吸湿に寄与し、内部の吸湿性粒子の吸湿性能が充分に発揮されなかったために、むれ感低減効果に違いが見られた。またポリエステルスパンボンド不織布は厚みが薄くクッション性に劣った。
実施例1、2と比較例5の比較より、ダブルラッセル生地に吸湿性微粒子を付与した実施例1、2は、スラブウレタンに吸湿性微粒子を付与した比較例5に対し、単位体積当たりの吸湿速度が非常に高く、むれ感低減効果に優れることがわかる。スラブウレタンは通気度及び透湿度が低く、水分がクッション基材内を透過しにくいため、吸湿性微粒子の吸湿性能が阻害されたと考えられる。また、スラブウレタンは通気度が低いため、吸湿性微粒子を付与する際に、処理液がクッション基材内部まで充分に浸透せず、吸湿性微粒子がクッション基材内部にほとんど付与されなかったことも吸湿速度が低い原因と考えられる。
本発明の吸透湿性クッション材は、吸湿速度、通気性、透湿性及びクッション性に優れているため、ベッド等の寝具、自動車や電車の座席等のクッション材に有用である。

Claims (5)

  1. 繊維からなるクッション基材と、該クッション基材を構成する繊維表面に固着された吸湿性微粒子とを有する吸透湿性クッション材であって、
    前記繊維からなるクッション基材が、表裏二枚の地組織と、該二枚の地組織間を連結する連結糸からなる二重編地であり、
    吸透湿性クッション材自体の単位体積当たりの吸湿速度が50g/m3・min以上、通気度が100cm3/cm2・s以上であることを特徴とする吸透湿性クッション材。
  2. 前記吸湿性微粒子が、多孔質のバインダー樹脂硬化物により繊維表面に固着されている請求項1に記載の吸透湿性クッション材。
  3. 前記吸湿性微粒子が、塩型カルボキシル基を1.0mmol/g以上含有するものである請求項1又は2に記載の吸透湿性クッション材。
  4. 前記吸湿性微粒子の体積平均粒子径が50μm以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の吸透湿性クッション材。
  5. 前記クッション基材をバインダー樹脂溶液中に浸漬してクッション基材を構成する繊維表面にバインダー樹脂を付与した後、吸湿性微粒子を吹付け、その後、バインダー樹脂を硬化させるか、又は
    バインダー樹脂と吸湿性微粒子とを混合し、この混合液中に前記クッション基材を浸漬して、クッション基材を構成する繊維表面にバインダー樹脂及び吸湿性微粒子を付与した後、バインダー樹脂を硬化させる、
    ことにより、前記吸湿性微粒子が、前記クッション基材を構成する繊維表面に固着されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸透湿性クッション材。
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