JP2006225784A - 異方的な吸水拡散性を有する編地および衣料 - Google Patents
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Abstract
【課題】汗などの水分を異方的に拡散することにより、スポーツ用衣料やインナー用衣料として用いた際、汗によるぬれ感やベトツキ感を低減することができる、着用快適性に優れた編地および衣料を提供する。
【解決手段】水との接触角が80度未満の繊維からなる糸条Aと、水との接触角が80度以上の撥水性繊維からなる糸条Bとで構成される編地であって、該編地の表面に前記糸条Aのみからなる領域SAと前記糸条Bのみからなる領域SBが存在し、かつ領域SBが縞状のパターンで存在していることを特徴とする異方的な吸水拡散性を有する編地を編成し、該編地を用いて衣料を得る。
【選択図】図1
【解決手段】水との接触角が80度未満の繊維からなる糸条Aと、水との接触角が80度以上の撥水性繊維からなる糸条Bとで構成される編地であって、該編地の表面に前記糸条Aのみからなる領域SAと前記糸条Bのみからなる領域SBが存在し、かつ領域SBが縞状のパターンで存在していることを特徴とする異方的な吸水拡散性を有する編地を編成し、該編地を用いて衣料を得る。
【選択図】図1
Description
本発明は、汗などの水分を異方的に拡散することにより、スポーツ用衣料やインナー用衣料として用いた際、汗によるぬれ感やベトツキ感を低減することができる、着用快適性に優れた編地および衣料に関するものである。
従来、合成繊維や天然繊維などからなる編地を、スポーツ用衣料やインナー用衣料などとして使用すると、肌からの発汗によりムレやベトツキが発生するという問題があった。
かかる対策として、異形断面形状の合成繊維を用いて、織編物の吸水量を向上させる方法や、汗を肌面から表面に素早く移行させ、肌面をドライな状態に保つことができる特殊多層構造の編地が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
しかしながら、これらの編地では、発汗初期に見られるような少量の発汗に対しては有効であるものの、多量に発汗した場合にはあまり効果が発現されなかった。
かかる対策として、異形断面形状の合成繊維を用いて、織編物の吸水量を向上させる方法や、汗を肌面から表面に素早く移行させ、肌面をドライな状態に保つことができる特殊多層構造の編地が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
しかしながら、これらの編地では、発汗初期に見られるような少量の発汗に対しては有効であるものの、多量に発汗した場合にはあまり効果が発現されなかった。
本発明は前記従来技術に鑑みなされたものであり、その課題は、汗などの水分を異方的に拡散することにより、スポーツ用衣料やインナー用衣料として用いた際、汗によるぬれ感やベトツキ感を低減することができる、着用快適性に優れた編地および衣料を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため、スポーツシャツやインナーウエアーの着用テストを行い、発汗時のぬれ感やベトツキ感の発生原因を調べたところ、運動により発汗した際、吸収される汗の量が衣服の部位によって異なり、局所的に生地の飽和吸水量を超えている個所があり、その個所でぬれ感やベトツキ感を感じていることを見出した。
具体的には、半そでのスポーツシャツを着用し運動した場合、首、胸、背中(上部)といった上半身の中でも特に上部位において生地が汗をよく吸っており、ぬれ感やベトツキ感が強いことが分った。
この原因の一つは、スポーツシャツの場合、特に胸や背中(上部)は生地が体に沿って接触しているが、腹や背中(下部)は離れているためと考えられる。
さらに大きい原因としては、汗は頭や顔で特に多くかき、その汗は首筋を伝わって、胸や背中(上部)に移動するため、シャツの中でも特に胸や背中(上部)に飽和吸水量を越えた量の汗が存在するためと考えられる。
さらに大きい原因としては、汗は頭や顔で特に多くかき、その汗は首筋を伝わって、胸や背中(上部)に移動するため、シャツの中でも特に胸や背中(上部)に飽和吸水量を越えた量の汗が存在するためと考えられる。
以上のことから、ぬれ感やベトツキ感を低減させるためには、衣服の体幹上部(胸や背中上部)で吸った汗をいかにして衣服の体幹下部(腹や背中下部)に移動させるかが重要であることが分った。
かくして、本発明によれば「水との接触角が80度未満の繊維からなる糸条Aと、水との接触角が80度以上の撥水性繊維からなる糸条Bとで構成される編地であって、該編地の表面に前記糸条Aのみからなる領域SAと前記糸条Bのみからなる領域SBが存在し、かつ領域SBが縞状のパターンで存在していることを特徴とする異方的な吸水拡散性を有する編地。」が提供される。
ここで、領域SBの巾wが0.1〜5mmの範囲内であることが好ましい。また、領域SBにおいて、長さlと巾wとの比l/wが100以上であることが好ましい。また、隣りあう領域SBの間隔dが0.2〜10mmの範囲内であることが好ましい。領域SBの面積割合としては、編地全体の10〜50%の範囲内であることが好ましい。また、前記の糸条Aが、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、綿、絹からなる群より選択されるいずれかの繊維からなることが好ましい。一方、前記の糸条Bが、フッ素樹脂繊維またはポリオレフィン繊維であることが好ましい。
本発明の編地において、経方向および緯方向のうち、どちらか一方向の吸水拡散性が他方向の2倍以上であることが好ましい。
ただし、吸水拡散性とは、JISL1907−5.1.1(滴下法)により編地に水滴1滴を摘下し3分経過した後の、経方向または緯方向の拡散距離(mm)のことである。
ただし、吸水拡散性とは、JISL1907−5.1.1(滴下法)により編地に水滴1滴を摘下し3分経過した後の、経方向または緯方向の拡散距離(mm)のことである。
また本発明によれば、前記の編地を用いてなり、領域SBのパターンの連続する方向が上下方向となるよう縫製してなる衣料が提供される。
本発明によれば、汗などの水分を異方的に拡散することにより、スポーツ用衣料やインナー用衣料として用いた際、汗によるぬれ感やベトツキ感を低減することができる、着用快適性に優れた編地および衣料が得られる。
まず、本発明の編物は、水との接触角が80度未満の繊維からなる糸条Aと、水との接触角が80度以上の撥水性繊維からなる糸条Bとで構成される。
ここで、糸条Aを形成する、水との接触角が80度未満の繊維としては、綿や絹などの天然繊維、レーヨン繊維やアセテート繊維などの半合成繊維、ポリエステル繊維やナイロン繊維などが例示される。なかでも、繊維強度などの点でポリエステル繊維が好ましい。
ここで、糸条Aを形成する、水との接触角が80度未満の繊維としては、綿や絹などの天然繊維、レーヨン繊維やアセテート繊維などの半合成繊維、ポリエステル繊維やナイロン繊維などが例示される。なかでも、繊維強度などの点でポリエステル繊維が好ましい。
一方、糸条Bを形成する撥水性繊維としては、フッ素樹脂繊維、ポリオレフィン繊維、撥水加工を施したポリエステル繊維などが例示される。
これらの繊維中には、本発明の主目的が損なわれない範囲内であれば、微細孔形成剤、カチオン可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、帯電防止剤、吸湿剤、無機微粒子等が1種又は2種以上含まれていてもよい。
これらの繊維中には、本発明の主目的が損なわれない範囲内であれば、微細孔形成剤、カチオン可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、帯電防止剤、吸湿剤、無機微粒子等が1種又は2種以上含まれていてもよい。
また、前記糸条Aや糸条Bを形成する繊維の繊維形態は特に限定されず、短繊維でもよいし長繊維でもよい。繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状が採用できる。糸条の総繊度、単糸繊度、フィラメント数も特に限定されないが、風合いや生産性の点で総繊度30〜300dtex、単糸繊度0.6〜10dtex、フィラメント数10〜300本の範囲が好ましい。
次に、本発明の編物において、編地表面に前記糸条Aのみからなる領域SAと前記糸条Bのみから領域SBが存在し、かつ領域SBが縞状のパターンで存在している。
かかるパターンの具体的な例としては、図1に模式的に示す経縞(ストライプ)状パターン、図2に模式的に示す緯縞状パターン、および斜め縞状パターンなど、経方向または緯方向のどちらか一方に連続するパターンが例示される。格子パターンや市松パターンでは十分な異方的拡散性が得られず好ましくない。かかるパターンにおいて、吸汗した汗は、糸条Aのみからなる領域SAに沿って異方的に拡散するため、汗によるぬれ感やベトツキ感を低減することができる。
かかるパターンの具体的な例としては、図1に模式的に示す経縞(ストライプ)状パターン、図2に模式的に示す緯縞状パターン、および斜め縞状パターンなど、経方向または緯方向のどちらか一方に連続するパターンが例示される。格子パターンや市松パターンでは十分な異方的拡散性が得られず好ましくない。かかるパターンにおいて、吸汗した汗は、糸条Aのみからなる領域SAに沿って異方的に拡散するため、汗によるぬれ感やベトツキ感を低減することができる。
前記の領域SBの巾wとしては、0.1〜5mm(より好ましくは0.2〜4mm)の範囲内であることが好ましい。かかる領域SBの巾wが5mmよりも大きいと、編地の吸水性が低下し、編地を衣料として着用した際、汗が肌に残り易くなるおそれがある。
また、領域SBにおいて、長さlと巾wとの比l/wが100以上(より好ましくは1000以上)であることが好ましい。
また、隣りあう領域SBの間隔dとしては、0.2〜10mm(より好ましくは0.5〜5mm)の範囲内であることが好ましい。
また、隣りあう領域SBの間隔dとしては、0.2〜10mm(より好ましくは0.5〜5mm)の範囲内であることが好ましい。
本発明の編地において、領域SBの面積割合は編地全体の10〜50%の範囲内であることが好ましい。また、該編地の表面が前記糸条Aのみからなる領域SAと前記糸条Bのみから領域SBが存在し、かつ領域SBが縞状のパターンで存在している限り、糸条Aと糸条Bとで構成される領域SCが存在していてもさしつかえない。なお、領域SBは、編地の経方向または緯方向のどちらか一方の方向に編地の端から端まで連続していることが好ましいが、本発明の主目的である異方的な吸水拡散性が得られる限り、不連続な個所があってもさしつかえない。
本発明の編地を製造方法としては、以下の製造方法が例示される。すなわち、まず通常の経編機を使用して、糸条Aをフルセットでフロント筬に通し、糸条Bをフルセットでバック筬に通し、フロント10−01、バック22−00の編組織で編成する方法や、フロント筬およびバック筬に糸条Aと糸条Bとを複数本交互のボーダー配列でセットし、フロント10−23、バック12−10の編組織で編成する方法、さらには、丸編機を用いて、糸条Aと糸条Bとを複数本交互のボーダー配列でセットし天竺やスムースの編組織で編成する方法などが例示される。
製編された編地には、常法の染色仕上げ加工が施されてもよい。さらには、本発明の主目的が損なわれない範囲であれば、常法の吸水加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
本発明の編地において、編地中に前記糸条Aのみからなる領域SAと前記糸条Bのみから領域SBが存在し、かつ領域SBが縞状のパターンを形成しているので、吸汗した汗は領域SAに沿って拡散し、異方的な吸水拡散性を呈することとなる。
かかる吸水分散性としては、経方向および緯方向のうち、どちらか一方向の吸水拡散性が他方向の2倍以上(より好ましくは5〜50倍)であることが好ましい。どちらか一方向の水拡散性が他方向の2倍未満であると、該編地を用いて衣服を縫製し着用した際、汗が多く溜まる体幹上部から体幹下部への移動が十分に起こらず、体幹上部で肌に汗が残り、ぬれ感やベトツキ感を感じるやすくなるおそれがある。
ただし、吸水拡散性とは、JISL1907−5.1.1(滴下法)により編地に水滴1滴を摘下し3分経過した後の、経方向または緯方向の拡散距離(mm)のことである。
次に本発明の繊維製品は、前記の編地を用いてなり、領域SBのパターンの連続する方向が上下方向となるよう縫製してなる衣料である。かかる衣料において、汗が多く溜まる体幹上部から体幹下部への移動が十分に起こるため、体幹上部に汗が残らず、汗によるぬれ感やベトツキ感を低減することができるため、スポーツ用衣料やインナー用衣料として好適に使用することができる。
次に本発明の繊維製品は、前記の編地を用いてなり、領域SBのパターンの連続する方向が上下方向となるよう縫製してなる衣料である。かかる衣料において、汗が多く溜まる体幹上部から体幹下部への移動が十分に起こるため、体幹上部に汗が残らず、汗によるぬれ感やベトツキ感を低減することができるため、スポーツ用衣料やインナー用衣料として好適に使用することができる。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<繊維と水との接触角>
試料となる繊維を、撚り係数が15000となるよう撚りをかけ、該撚糸12cmをカットし、輪を作り端を結ぶ。このサンプルを接触角測定機(レスカ社製WET6000)を用いて、水中に上げ下げして、水の中に引き込まれる力(濡れ応力)を測定し、下記式より接触角を算出する。
試料となる繊維を、撚り係数が15000となるよう撚りをかけ、該撚糸12cmをカットし、輪を作り端を結ぶ。このサンプルを接触角測定機(レスカ社製WET6000)を用いて、水中に上げ下げして、水の中に引き込まれる力(濡れ応力)を測定し、下記式より接触角を算出する。
<吸水拡散性>JISL1907−5.1.1(滴下法)により編地に水滴1滴を摘下し3分経過した後の、経方向および緯方向の拡散距離(mm)を測定した。そして、経方向および緯方向のうち、拡散距離の大きい方(Lmax)と小さい方(Lmin)との比(Lmax/Lmin)を算出した。なお、n数は5とし、平均値を求めた。
<ベトツキ感>実施例および比較例の編物を用いて半そでTシャツを縫製し、温度28℃、湿度50%RHに調節された室内にて、被験者3人が下記の運動工程を行った際の着用快適性をベトツキ感大、ベトツキ感小(着用快適性に優れる)の2段階に評価した。
運動工程:安静5分、ランニング15分(10km/h)、安静20分
運動工程:安静5分、ランニング15分(10km/h)、安静20分
[実施例1]
28ゲージのトリコット編機を用いて、糸条Aとして通常のポリエチレンテレフタレート捲縮加工糸条(総繊度56dtex/36fil、捲縮率:30%、水との接触角が80度未満、帝人ファイバー(株)製)をフルセットでフロント筬に通し、一方、糸条Bとして四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂マルチフィラメント(総繊度79dtex/12fil、水との接触角が115度、東洋ポリマー(株)製)をフルセットでバック筬に通し、フロント10−01、バック22−00の編組織、機上密度100コース/2.54cmの編条件で編地を編成し、この編地に通常の染色仕上げ加工を施し、密度68コース/2.54cm、49ウエール/2.54cmの編地を得た。その際、吸水加工剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)を染液に対し2ml/lの割合にて、染色加工時に同浴処理を行うことにより、吸水加工を施した。
28ゲージのトリコット編機を用いて、糸条Aとして通常のポリエチレンテレフタレート捲縮加工糸条(総繊度56dtex/36fil、捲縮率:30%、水との接触角が80度未満、帝人ファイバー(株)製)をフルセットでフロント筬に通し、一方、糸条Bとして四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂マルチフィラメント(総繊度79dtex/12fil、水との接触角が115度、東洋ポリマー(株)製)をフルセットでバック筬に通し、フロント10−01、バック22−00の編組織、機上密度100コース/2.54cmの編条件で編地を編成し、この編地に通常の染色仕上げ加工を施し、密度68コース/2.54cm、49ウエール/2.54cmの編地を得た。その際、吸水加工剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)を染液に対し2ml/lの割合にて、染色加工時に同浴処理を行うことにより、吸水加工を施した。
得られた編地において、前記糸条Aのみからなる領域SAと前記糸条Bのみから領域SBが存在し、領域SAと領域SBが図1に模式的に示すように経縞状のパターンを形成していた。また、領域SBの巾wが0.3mm、隣りあう領域SBの間隔dが0.4mm、領域SBの面積割合が編地全体の30%であった。
かかる編地の吸水拡散性を測定したところ、経方向100mm、緯方向5mm、両者の比20倍で異方的な吸水拡散性を有するものであった。
次いで、該編地を用いて経縞状のパターンが連続する方向が衣料の上下方向となるように半そでTシャツ(経縞のTシャツ、スポーツ用衣料)を縫製し、ベトツキ感を評価したところ、ベトツキ感大が0人、ベトツキ感小が3人と着用快適性に優れるものであった。
次いで、該編地を用いて経縞状のパターンが連続する方向が衣料の上下方向となるように半そでTシャツ(経縞のTシャツ、スポーツ用衣料)を縫製し、ベトツキ感を評価したところ、ベトツキ感大が0人、ベトツキ感小が3人と着用快適性に優れるものであった。
[実施例2]
28ゲージのトリコット編機を用いて、実施例1で使用したのと同じポリエチレンテレフタレート捲縮加工糸条および四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂マルチフィラメントを、フロント筬およびバック筬のそれぞれに前者:後者で30本:3本のボーダー配列でセットし、フロント10−23、バック12−10の編組織で、機上密度60コース/2.54cmの編条件にて編地を編成し、実施例1と同様に、該編地に染色加工および吸水加工を施し、密度52コース/2.54cm、45ウエール/2.54cmの編地を得た。
28ゲージのトリコット編機を用いて、実施例1で使用したのと同じポリエチレンテレフタレート捲縮加工糸条および四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂マルチフィラメントを、フロント筬およびバック筬のそれぞれに前者:後者で30本:3本のボーダー配列でセットし、フロント10−23、バック12−10の編組織で、機上密度60コース/2.54cmの編条件にて編地を編成し、実施例1と同様に、該編地に染色加工および吸水加工を施し、密度52コース/2.54cm、45ウエール/2.54cmの編地を得た。
得られた編地において、前記糸条Aのみからなる領域SAと前記糸条Bのみから領域SBが存在し、領域SAと領域SBが図1に模式的に示すように経縞状のパターンを形成していた。また、領域SBの巾wが0.2mm、隣りあう領域SBの間隔dが2mm、領域SBの面積割合が編地全体の15%であった。
かかる編地の吸水拡散性を測定したところ、経方向60mm、緯方向7mm、両者の比8.6倍で異方的な吸水拡散性を有するものであった。
次いで、該編地を用いて経縞状のパターンが連続する方向が衣料の上下方向となるように半そでTシャツ(経縞のTシャツ、スポーツ用衣料)を縫製し、ベトツキ感を評価したところ、ベトツキ感大が0人、ベトツキ感小が3人と着用快適性に優れるものであった。
次いで、該編地を用いて経縞状のパターンが連続する方向が衣料の上下方向となるように半そでTシャツ(経縞のTシャツ、スポーツ用衣料)を縫製し、ベトツキ感を評価したところ、ベトツキ感大が0人、ベトツキ感小が3人と着用快適性に優れるものであった。
[比較例1]
実施例1において、バック筬にポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(総繊度84dtex/24fil、水との接触角が80度未満、帝人ファイバー(株)製)を用いること以外は、実施例1と同様に、製編、染色加工、吸水加工を行い、密度70コース/2.54cm、51ウエール/2.54cmの編地を得た。
実施例1において、バック筬にポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(総繊度84dtex/24fil、水との接触角が80度未満、帝人ファイバー(株)製)を用いること以外は、実施例1と同様に、製編、染色加工、吸水加工を行い、密度70コース/2.54cm、51ウエール/2.54cmの編地を得た。
かかる編地の吸水拡散性を測定したところ、経方向50mm、緯方向28mm、両者の比1.8倍で異方的な吸水拡散性の点で不十分なものであった。
次いで、該編地を用いて半そでTシャツ(スポーツ用衣料)を縫製し、ベトツキ感を評価したところ、ベトツキ感大が3人、ベトツキ感小が0人と着用快適性に劣るものであった。
次いで、該編地を用いて半そでTシャツ(スポーツ用衣料)を縫製し、ベトツキ感を評価したところ、ベトツキ感大が3人、ベトツキ感小が0人と着用快適性に劣るものであった。
本発明によれば、汗などの水分を異方的に拡散することにより、スポーツ用衣料やインナー用衣料として用いた際、汗によるぬれ感やベトツキ感を低減することができる、快適性に優れた編地および繊維製品が得られ、その工業的価値は極めて大である。
1 領域SA
2 領域SB
3 領域SA
4 領域SB
2 領域SB
3 領域SA
4 領域SB
Claims (9)
- 水との接触角が80度未満の繊維からなる糸条Aと、水との接触角が80度以上の撥水性繊維からなる糸条Bとで構成される編地であって、該編地の表面に前記糸条Aのみからなる領域SAと前記糸条Bのみからなる領域SBが存在し、かつ領域SBが縞状のパターンで存在していることを特徴とする異方的な吸水拡散性を有する編地。
- 領域SBの巾wが0.1〜5mmの範囲内である、請求項1に記載の異方的な吸水拡散性を有する編地。
- 領域SBにおいて、長さlと巾wとの比l/wが100以上である、請求項1または請求項2に記載の異方的な吸水拡散性を有する編地。
- 隣りあう領域SBの間隔dが0.2〜10mmの範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載の異方的な吸水拡散性を有する編地。
- 領域SBの面積割合が編地全体の10〜50%の範囲内である、請求項1〜4のいずれかに記載の異方的な吸水拡散性を有する編地。
- 糸条Aが、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、綿、絹からなる群より選択されるいずれかの繊維からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の異方的な吸水拡散性を有する編地。
- 糸条Bが、フッ素樹脂繊維またはポリオレフィン繊維である、請求項1〜6のいずれかに記載の異方的な吸水拡散性を有する編地。
- 編地において、経方向および緯方向のうち、どちらか一方向の吸水拡散性が他方向の2倍以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の異方的な吸水拡散性を有する編地。
ただし、吸水拡散性とは、JISL1907−5.1.1(滴下法)により編地に水滴1滴を摘下し3分経過した後の、経方向または緯方向の拡散距離(mm)のことである。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の編地を用いてなり、領域SBのパターンの連続する方向が上下方向となるよう縫製してなる衣料。
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