JP3700434B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンコーダ等の回転角検出手段を有するモータ制御装置における回転角検出手段の異常検出と、この検出された各異常状態に最適な異常処理手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレス直流モータ等に取り付けられている回転角センサ(エンコーダ等)の異常を検出するために、ホール素子又は光電素子等からなるロータの位置検出装置を使って、回転角センサからの出力値を常時テストする機構を備えたモータ制御装置がある。
【0003】
一般に知られているこのような従来のモータ制御装置の制御ブロック・ダイアグラムを図15に示す。本従来技術の最も大きな特徴は、制御ブロック500(異常検出処理)により、回転角センサEの検知したモータMの現在の電気角θが上記の位置検出手段の検知した現在の角度領域上に位置するかを判定し、異常が検知された場合には制御ブロック550(異常処理)により、モータMを停止するなどの緊急処置を採るところにある。
【0004】
このようなモータMには、U相、V相、W相の出力値を検出するホール素子がそれぞれ設けられている。図16に、電気角θに対するU相、V相、W相の各ホール素子の出力値u,v,wのグラフ(a)、及び、角度領域信号Sの定義表(b)を示す。
【0005】
上記の従来技術においては、例えば、「S=4」の場合には、「90≦θ≦150」ならば正常であると判断し、そうでない場合には、回転角センサEが異常であると判断して所定の異常処理(図15の制御ブロック550のモータ停止処理)を行っていた。
【0006】
図17に、上記従来技術のモータ停止処理(制御ブロック550)のフローチャートを示す。このように従来は、トルク電流iq* の係数であるトルク電流調整係数Rを0にし(ステップ172)、モータMの駆動電源をOFF状態にし(ステップ175)、所定の警告ランプを点灯(ステップ178)して、モータMを停止するなどの緊急処置を採っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような異常状態には、回転角センサEが異常であると判断できる異常状態と、ホール素子(位置検出装置)が異常であると判断できる異常状態と、この両者が異常であると判断できる異常状態と、これらの何れとも断定できないが異常があると判断できる異常状態などが考えられるため、上記の様な画一的な緊急処置(制御ブロック550の異常処理)が、必ずしも個々の異常状態に対する最適な処置とは言いきれない。
【0008】
例えば、位置検出装置における1つのホール素子だけが異常であった場合には、回転角センサEはこの異常検出後も使用に耐えるため、モータMを停止させる必要はなく、このような場合には、モータMの回転の制御をそのまま継続することが可能である。
【0009】
即ち、上記の従来技術によれば、個々の状況に応じた最適な制御を行うことができない恐れがあった。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、回転角センサや位置検出装置に生じ得る個々の異常状態に応じた最適な異常処理を実施するモータ制御装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
【0012】
即ち、第1の手段は、角度領域単位にモータの回転角を段階的に検出する、ホール素子又は光電素子からなる位置検出手段と、エンコーダ等によりモータの回転角を検出する回転角検出手段と、この位置検出手段の出力値と回転角検出手段の出力値との間の整合性を判定する整合性判定手段とを有するモータ制御装置において、位置検出手段の出力値が規格内のものか否かを判定する規格判定手段と、位置検出手段の前回の出力値から今回の出力値への変化が異常であるか否かを判定する変化異常検出手段と、規格判定手段、変化異常検出手段及び整合性判定手段により、位置検出手段のみの異常が検知された時に実行される位置検出異常処理手段とを備える。
【0013】
更に、規格判定手段、変化異常検出手段及び整合性判定手段により検出された異常が、位置検出手段の異常によるものか回転角検出手段の異常によるものか不明の場合、或いは、位置検出手段及び回転角検出手段の両者の異常によるものと判断される場合に、モータの回転、モータの制御又はモータへの給電を停止するモータ停止処理手段を備える。
【0014】
更に、規格判定手段、変化異常検出手段及び整合性判定手段により、回転角検出手段のみの異常が検知された時に実行される回転角検出異常処理手段を備える。
【0015】
また、第2の手段は、上記の第1の手段において、回転角検出異常処理手段に、モータの通電方法を変更する処理を備えることである。
【0016】
また、第3の手段は、上記の第1又は第2の手段において、位置検出異常処理手段、又は、回転角検出異常処理手段に、モータの出力トルクを徐々に低減する処理を備えることである。
【0017】
また、第4の手段は、上記の第1乃至第3のいずれか1つの手段において、モータを自動車のパワー・ステアリング・シャフト又はパワー・ステアリング・ギヤに対して直接又は間接的にアシスト・トルクを与えるモータとし、位置検出異常処理手段、又は、回転角検出異常処理手段に、音声、ランプ、ブザー、又は、画面表示などにより、運転者に対して異常を警告する異常警告手段を起動する処理を備えることである。
以上の手段により、前記の課題を解決することができる。
【0018】
以上の手段により、前記の課題を解決することができる。
【0019】
【作用及び発明の効果】
本発明の上記の第1乃至第4の手段によれば、位置検出手段の出力値が規格内のものか否かを判定する規格判定手段、及び、位置検出手段の前回の出力値から今回の出力値への変化が異常であるか否かを判定する変化異常検出手段により、位置検出手段(位置検出装置)の異常を単独でテストし、検出することが可能となる。このため、この規格判定手段、変化異常検出手段及び整合性判定手段により、例えば、位置検出手段のみの異常が検知された場合には、この異常状態に見合った最適な位置検出異常処理手段を実行することが可能となる。
【0020】
例えば、このような位置検出異常処理手段としては、回転角センサの継続的使用により、モータMの回転の制御をそのまま継続する処理などが実行できるため、上記のように位置検出手段のみの異常が検知された場合には、モータMを停止しなくてよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
【0022】
図1に、本発明の実施例におけるパワー・ステアリング・システム80のハードウェア構成図を示す。
【0023】
ステアリングシャフト10の一端には、ステアリングホイール11が取り付けられ、他端にはギヤボックス12に軸承されたピニオン軸13が結合されている。ピニオン軸13は、ギヤボックス12に嵌装されたラック軸14に噛合され、このラック軸14の両端は図示していないが、ボールジョイント等を介して操向車輪に連結されている。また、ステアリングシャフト10には、アシストトルクを発生するブラシレス直流モータM(以下、単に「モータM」という)が、歯車17を介して連結されている。この直流モータMには、駆動回路113より電流検出器115を介してU,V,Wの3相に対する各モータ駆動電流iu,iv,iwが供給されている。
【0024】
更に、ステアリングシャフト10には、運転者からステアリングホイール11に加えられたマニュアル操舵力の大きさ及びその方向(操舵トルクτ)を検出するためのトルク検出器15及び、ステアリングシャフト10の操舵角Θを検出するフォトインタラプタ30が設けられている。フォトインタラプタ30の出力はカウンタ32に入力され、操舵角Θに変換されて出力される。この操舵角Θは、入力インターフェイス(IF)114を介してCPU110に入力され、CPU110の演算により操舵角速度(dΘ/dt)が検出される。
【0025】
また、モータ制御装置100には、モータMの回転角を検出する回転角センサ(エンコーダ)Eが設けられており、CPU110は、回転角センサEが出力するモータMの所定微小回転角の回転回数nを入力することにより、モータMの回転角θを検出する。即ち、回転角センサEはこの回転回数nをカウントする図略のカウンタを内蔵しており、nはモータMが所定方向に回転した際には増加し、その逆方向に回転した際には減少する。
【0026】
また、その出力部のみが図示されている位置検出装置16は、上記3相に各々対応するホール素子の出力値u,v,wを検出し、CPU110に入力インターフェイス(IF)114を介して出力する。
【0027】
モータ制御装置100は、CPU110、ROM111、RAM112、駆動回路113、入力インターフェイス(IF)114、電流検出器115等から構成されている。駆動回路113は、図略のバッテリー、PWM変換器、PMOS駆動回路等から構成され、チョッパ制御により駆動電流を正弦波にしてモータMに電力を供給する。
【0028】
モータ制御装置100は、上記の操舵トルクτ、操舵角Θ及び、車速計50により検出される車両速度cを入力インターフェイス(IF)114を介してCPU110に入力し、これらの入力値から所定のトルク計算により、d軸とq軸の各電流指令値(id* ,Riq* )を決定する。ただし、ここで、Rはトルク電流iq* の係数で、以下、トルク電流調整係数という。平常時には、R=1である。
【0029】
図2に、本実施例におけるモータ制御装置100の制御ブロック・ダイアグラムを示す。制御ブロック210(角度検出)では、回転角センサEが出力するモータMの所定微小回転角の回転回数nを入力し、モータMの回転角(電気角)θ〔度〕を算出する。
【0030】
回転角センサEは、出力値nの基準点の設定を適当に行うことによりn>10を保証している。これは、出力値nの出力配線の断線などを検知するためで、断線時にはn≒0となることを利用したものである。即ち、制御ブロック210(角度検出)では、入力値n≒0の場合には、検出した電気角θを規定外値(例えば、θ=400)にして制御ブロック200(異常検出処理)に出力する。
【0031】
制御ブロック200では、後述する図3に示す異常検出処理を実行する。制御ブロック250では、制御ブロック200により異常が検出された際に、その異常状態に従って、後述するモータ停止処理、ホール素子異常処理、又は、回転角センサ異常処理を実行する。
【0032】
図3に、本実施例における異常検出処理のフローチャートを示す。本異常検出処理は、図2の制御ブロック200として実行されるものである。
【0033】
本異常検出処理では、まず最初に、ステップ305により後述するステップ350のホール素子異常検出処理(図6)においてホール素子異常判定コード(図4(a))を設定するフラグ領域F1を0クリアする。次に、ステップ310により後述するステップ355の整合性判定処理(図9)において整合性判定コード(図4(b))を設定するフラグ領域F2を0クリアする。
【0034】
ステップ315では、u,v,wの値を位置検出装置16より入力する。ステップ320では、ホール素子異常検出処理(図6)において参照するB0の値を次式(1)に従って初期化する。
【0035】
【数1】
B0=8+4u+2v+w …(1)
ステップ325では、位置検出装置16のホール素子の異常によりB0の値が規格外である場合(B0=8,15)にはステップ385へ、そうでない場合にはステップ330へ処理を移す。ステップ330では、次回の異常検出処理開始時刻Tを設定する。ただし、ここで、ΔTはu,v,wのサンプリング間隔であり、角度領域信号Sの状態(角度領域)が2区画以上隣へは移動不可能な微小時間である。
【0036】
ステップ335では、現在時刻(タイマ時刻)tが異常検出処理開始時刻Tに達するまで待つ。ステップ340では、θ,u,v,wの値を入力する。ステップ345では、角度領域信号Sの値を図16(b)の定義に従って決定する。
【0037】
ステップ350では、ホール素子異常検出処理(図6)を実行する。ステップ355では、整合性判定処理(図9)を実行する。
【0038】
ステップ360以下の処理では、図4(c)の異常検出処理の判定結果表に従って、正常処理(ステップ370)又は、図2の制御ブロック250において実行されるべき異常処理を選択する。
【0039】
即ち、ステップ360では、上記のフラグ領域F1の値が0ならば、ステップ365へ、そうでない場合にはステップ375へ処理を移す。ステップ365では、上記のフラグ領域F2の値が0ならば、ステップ370(正常時処理)へ、そうでない場合にはステップ390へ処理を移す。ステップ370では、次回の異常検出処理開始時刻Tを設定する。
【0040】
ステップ375では、上記のフラグ領域F2の値が2ならば、ステップ380へ、そうでない場合にはステップ385へ処理を移す。ステップ380では、ホール素子異常処理(図11)を実行する。ステップ385では、前記のモータ停止処理(図17)を実行する。
【0041】
一方、ステップ390では、フラグ領域F2の値が4ならば、ステップ395へ、そうでない場合にはステップ385へ処理を移す。ステップ395では、回転角センサ異常処理(図13)を実行する。
【0042】
以上の処理により、正常時には、サンプリング間隔ΔT毎に回転角センサE及び位置検出装置16のホール素子の出力値(u,v,w)がテストされ、異常が検出された場合には、最適な異常処理が選択・実行される。
【0043】
図5に、本実施例におけるホール素子異常判定基準表を示す。以下、S0は、角度領域信号Sの前回の値である。本表は、前回の角度領域信号S0に対する今回の角度領域信号Sの値が正常であるか、異常であるかを判定するためのものであり、角度領域信号Sの異常値には、規格外のため異常と判定されるもの(規格外値:S=0,7)と、微小なサンプリング間隔ΔTの間には、前回の角度領域からは移動不可能な角度領域を示す角度領域信号Sが今回検出されたことを示す値(変化異常値)とがある。
【0044】
これらの判定基準(図5)に従って、図4(a)のホール素子異常判定コードをフラグ領域F1に設定するホール素子異常検出処理のフローチャートを図6(a)に示す。本ホール素子異常検出処理は、図3のステップ350で呼び出されることにより実行されるものである。
【0045】
本ホール素子異常検出処理では、まず最初に、ステップ620により図6(b)に示すように角度領域信号Sの値を4ビット領域Bに左端ビット(以下「xビット」という)を空けて格納する。この時、xビットには0が格納される。
【0046】
ステップ640では、図3のステップ320又は図6(a)のステップ680により図6(b)に図示する如く設定されたB0と、ステップ620により設定したBの各対応ビット同士の排他的論理和の演算結果を変数Yに格納する。本演算により、変数Yのxビットは必ず1となる。また、変数Yのu,v,wの各ビットは、前回より変化していれば1となり、変化していなければ0となる。
【0047】
ステップ660では、この変数Yと、図7の配列A(S)の定義表により定義されるA(S)の各対応ビット同士の論理積の演算結果をフラグ領域F1に格納する。例えば、「S=4」の場合には「A(S)=<0100>」が選択される。即ち、uビットが選択される。図5の判定基準に従えば、「S=4」の場合にはS0とSとの間では、uビットが不変でなければならないので、ステップ640とステップ660の作用により、uビットが不当に反転した場合には、F1=4となり、図4(a)のホール素子異常判定コード表に規定した通りにフラグ領域F1が設定される。
【0048】
ステップ680では、次式(2)に従って、B0を設定する。
【0049】
【数2】
B0=8+B …(2)
以上の処理により、例外なく、図5の判定基準に従って、図4(a)のホール素子異常判定コード表に規定した通りにフラグ領域F1が設定される。
【0050】
図8に、本実施例における整合性判定基準表を示す。本表は図16(a)に基づいて今回の角度領域信号Sに対する今回の電気角θの適正範囲を示したものである。ただし、ここで、δは位置検出装置16と回転角センサ(エンコーダ)Eとの間の同期をとる初期設定の際に生じる設定誤差の最大値である。
【0051】
この判定基準(図8)に従って、図4(b)の整合性判定コードをフラグ領域F2に設定する整合性判定処理のフローチャートを図9に示す。本整合性判定処理は、図3のステップ355で呼び出されることにより実行されるものである。
【0052】
本整合性判定処理では、まず最初に、ステップ910により電気角θの範囲が所定の規格内のものであるか否かを判定する。例えば、回転角センサEの出力配線が断線したことにより、出力値nが約0を示し続ける場合がある。このような場合(請求項3の「回転角検出手段のみの異常が検知された時」)には、前記の様に図2の制御ブロック210(角度検出)により、電気角θには規定外値(例えば、θ=400°)が設定される。従って、この場合には、「0°<θ≦360°」が成り立たなくなり、ステップ910、ステップ980の作用によって、フラグ領域F2には4(回転角センサ異常(規定外値出力))が設定される。
【0053】
ステップ920では、S=1の時ステップ930へ、そうでなければステップ960へ処理を移す。ステップ930では、次式(3)に従って、θを設定し直す。
【0054】
【数3】
θ=θ+30+δ …(3)
ステップ940では、θ>360°ならばステップ950へ、そうでなければステップ960へ処理を移す。ステップ950では、次式(4)に従って、θを設定し直す。
【0055】
【数4】
θ=θ−360 …(4)
ステップ960では、次式(5)に従って、θが適正範囲に有るか否かを判定し、適正範囲にない場合には、ステップ970により、フラグ領域F2に2を設定する。ただし、S=0または7の場合には、図10の配列C(S)の定義によって、フラグ領域F2に2が設定される。また、例えば、(3)において、δの値が不当に小さく設定されている場合にも、ステップ960の作用によりフラグ領域F2に2が設定される場合が有る。
【0056】
【数5】
C(S)<θ<C(S)+60+2δ …(5)
ここで、C(S)は図10の配列C(S)の定義表によって定義された配列である。
【0057】
以上の処理により、例外なく、図8の判定基準に従って、図4(b)のホール素子異常判定コード表に規定した通りにフラグ領域F2が設定される。
【0058】
従って、以上の処理により、図3のステップ360以降の処理により、例外なく、図4(c)の異常検出処理の判定結果表に規定した通りに、各分岐先が決定される。
【0059】
以下、上記の処理により異常状態が検出された際の、各異常処理について説明する。
【0060】
図11は、本実施例におけるホール素子異常処理のフローチャートである。本処理は、図2の制御ブロック250において実行されるものであり、図3のステップ380によりサブルーチンとして呼び出されることにより実行されるものである。
【0061】
本ホール素子異常処理では、ステップ119において、自動車の運転席のフロントパネルのパワー・ステアリング・システム(ホール素子)の異常を知らせる警告ランプを点灯又は点滅させるための指令をフロントパネルの表示装置に出力する。
【0062】
図12に、この時(ホール素子異常検出時)のモータ制御装置100の制御ブロック・ダイアグラムを示す。以上の様に、制御ブロック200(図3の異常検出処理)によりホール素子(位置検出装置)の異常が検出された際には、図2の制御ブロック250の一部に相当する制御ブロック800(図11のホール素子異常処理)の動作により、上記の警告ランプが点灯又は点滅される。
【0063】
図13は、本実施例における回転角センサ異常処理のフローチャートである。本処理は、図2の制御ブロック250において実行されるものであり、図3のステップ395によりサブルーチンとして呼び出されることにより実行されるものである。
【0064】
本回転角センサ異常処理では、まず最初にステップ131において、モータMの通電方法を矩形波通電方式に変更する。これは、一般に知られている3相ホールモータとしてモータMを駆動する方式であり、回転角センサ(エンコーダ)Eの代わりに、ホール素子(位置検出装置16)を使用するものである。
【0065】
次に、ステップ133では、図11のステップ119と同様に上記の警告ランプを点灯又は点滅させる。ステップ135では、トルク電流調整係数Rの値を所定の値ε(0<ε≦1/2)だけ減少させる。ステップ136では、判定処理を行い、この判定により、Rの値が0以下で有れば、ステップ139によりモータMの駆動電源をOFFとし、R>0ならば、ステップ137により所定時間Δtだけ待った後に、ステップ135に処理を戻す。
【0066】
この処理により、モータMが出力するアシスト・トルクを徐々に低減することができるため、回転角センサ異常時のマニュアル・ステアリングへの移行が違和感なく円滑に実行できる。例えば、矩形波通電方式により10分間パワーステアリングを継続し、その間徐々にアシスト・トルクを低減することによりマニュアル・ステアリングへ移行する場合には、例えば、Δt=1/100〔秒〕ならば、ε=1/60000(六万分の一)なる設定を行えばよい。
【0067】
この時、トルク電流調整係数Rは次式(6)により与えられる。
【0068】
【数6】
R=f(t)≡1−ε(t−t0 )/Δt (t>t0 ) …(6)
ただし、ここで、t0 は、回転角センサ異常が検出された時刻である。
【0069】
図14に、この時(回転角センサ異常検出後)のモータ制御装置100の制御ブロック・ダイアグラムを示す。図14の制御ブロック410の角度領域検出では、図3のステップ345と同様に、角度領域信号Sの値を図16(b)の定義に従って決定する。この信号Sをdq変換、dq逆変換時に利用することにより矩形波通電が実現される。
【0070】
以上の様に、制御ブロック200(図3の異常検出処理)により回転角センサ(エンコーダ)Eの異常が検出された際には、図2の制御ブロック250の一部に相当する制御ブロック400(図13の回転角センサ異常処理)の動作により、通電方法が矩形波通電方式に変更され、警告ランプが点灯又は点滅され、アシスト・トルクが徐々に低減され、円滑にマニュアル・ステアリングへ移行される。
【0071】
尚、上記の実施例においては、モータMにはブラシレス直流モータを用いているが、本発明は、交流同期モータのモータ制御装置に適用することも可能である。
【0072】
また、上記の実施例においては、モータMは3相の電流により駆動されているが、本発明は、N相モータ(N≧2)のモータ制御装置にも適用することができる。
【0073】
また、本発明は、パワー・ステアリング・システムに限らず、切削機、研削盤、EHPS、マニュピュレータなどに用いられるモータ制御装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるパワー・ステアリング・システム80のハードウェア構成図。
【図2】本発明の実施例におけるモータ制御装置100の制御ブロック・ダイアグラム。
【図3】本発明の実施例における異常検出処理のフローチャート。
【図4】本発明の実施例における(a)ホール素子異常判定コード表、(b)整合性判定コード表、及び、(c)異常検出処理の判定結果表。
【図5】本発明の実施例におけるホール素子異常判定基準表。
【図6】本発明の実施例における(a)ホール素子異常検出処理のフローチャート、及び、(b)角度領域信号Sの詳細を示す図。
【図7】本発明の実施例における配列A(S)の定義表。
【図8】本発明の実施例における整合性判定基準表。
【図9】本発明の実施例における整合性判定処理のフローチャート。
【図10】本発明の実施例における配列C(S)の定義表。
【図11】本発明の実施例におけるホール素子異常処理のフローチャート。
【図12】本発明の実施例におけるモータ制御装置100の制御ブロック・ダイアグラム(ホール素子異常検出時)。
【図13】本発明の実施例における回転角センサ異常処理のフローチャート。
【図14】本発明の実施例におけるモータ制御装置100の制御ブロック・ダイアグラム(回転角センサ異常検出後)。
【図15】従来のモータ制御装置の制御ブロック・ダイアグラム。
【図16】(a)電気角θに対する各ホール素子の出力値u,v,wのグラフ、及び、(b)角度領域信号Sの定義表。
【図17】従来技術及び、本発明の実施例におけるモータ停止処理のフローチャート。
【符号の説明】
M … ブラシレス直流モータ
E … 回転角センサ(エンコーダ)
15 … トルク検出器
16 … 位置検出装置
100 … モータ制御装置
113 … 駆動回路
200 … 異常検出処理の制御ブロック
n … モータMのロータの微小回転回数
θ … モータMのロータの回転角(電気角)
τ … 操舵トルク
Θ … 操舵角
c … 車両速度
id* … d軸の指令電流
iq* … q軸の指令電流
idf … d軸の測定電流(フィード・バック電流)
iqf … q軸の測定電流(フィード・バック電流)
ΔId … d軸の電流偏差
ΔIq … q軸の電流偏差
S … 角度領域信号
u … U相のホール素子の出力値
v … V相のホール素子の出力値
w … W相のホール素子の出力値
R … トルク電流調整係数
AND … 論理積演算命令
XOR … 排他的論理和演算命令
Claims (4)
- 角度領域単位にモータの回転角を段階的に検出する、ホール素子又は光電素子からなる位置検出手段と、
エンコーダ等により前記モータの回転角を検出する回転角検出手段と、
前記位置検出手段の出力値と前記回転角検出手段の出力値との間の整合性を判定する整合性判定手段とを有するモータ制御装置において、
前記位置検出手段の出力値が規格内のものか否かを判定する規格判定手段と、
前記位置検出手段の前回の出力値から今回の出力値への変化が異常であるか否かを判定する変化異常検出手段と、
前記規格判定手段、前記変化異常検出手段及び前記整合性判定手段により、前記位置検出手段のみの異常が検知された時に実行される位置検出異常処理手段と、
前記規格判定手段、前記変化異常検出手段及び前記整合性判定手段により検出された異常が、前記位置検出手段の異常によるものか前記回転角検出手段の異常によるものか不明の場合、或いは、前記位置検出手段及び前記回転角検出手段の両者の異常によるものと判断される場合に、前記モータの回転、前記モータの制御又は前記モータへの給電を停止するモータ停止処理手段と、
前記規格判定手段、前記変化異常検出手段及び前記整合性判定手段により、前記回転角検出手段のみの異常が検知された時に実行される回転角検出異常処理手段と
を有することを特徴とするモータ制御装置。 - 前記回転角検出異常処理手段は、前記モータの通電方法を変更する処理を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記位置検出異常処理手段、又は、前記回転角検出異常処理手段は、前記モータの出力トルクを徐々に低減する処理を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置。 - 前記モータは、自動車のパワー・ステアリング・シャフト又はパワー・ステアリング・ギヤに対して直接又は間接的にアシスト・トルクを与えるモータであり、
前記位置検出異常処理手段、又は、前記回転角検出異常処理手段は、音声、ランプ、ブザー、又は、画面表示などにより、運転者に対して異常を警告する異常警告手段を起動する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
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