JP3698475B2 - メータフード取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のメータフード取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車のインストルメントパネル本体には、メータフード挿入用の開口が設けられ、該開口にメータフードがインストルメントパネル本体の正面側から挿入されて取り付けられている。例えば実開平6−83456号公報には、メータフードをインストルメントパネル本体の当該開口の上縁部にねじ部材によって結合するようにしたメータフード取付構造が記載されている。その構造は基本的には図4に示すようなものであり、同図において、aはインストルメントパネル本体、bは該インストルメントパネル本体aの開口に挿入されたメータフードの上部であり、該メータフードの上部bはインストルメントパネル本体aの開口の上縁部に対してスプリングナットcとねじdとによって結合されている。
【0003】
また、同じく自動車のメータフードに関し、実開昭59−131322号公報には、樹脂製インストルメントパネル本体の開口部にメータフード部を薄肉ヒンジを介して一体的に連ねたものが記載されている。このものは、メータフード部にインストルメントパネル本体の型抜き方向に対してアンダカットになる凹部があるときに、該メータフード部を当該凹部がアンダカットにならないようにインストルメントパネル本体に対し折り曲げられた状態に一体成形し、しかる後に上記凹部がアンダカットになるようにメータフードを正規の位置に戻すようにしている。すなわち、上記薄肉ヒンジは、メータフード部をインストルメントパネル本体に対し正規の位置とは異なる位置関係で成形することによって成形性を向上させるべく採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、メータフードをインストルメントパネル本体に対してねじ部材によって固定するようにした場合、メータフードの取付安定性を高めるためには多くのねじ部材を用いる必要があって、部品点数が多くなるとともに、それだけメータフードの組付にも手数がかかることになる。一方、メータフードを薄肉ヒンジによってインストルメントパネル本体に一体的に連ねた場合には、部品点数自体は少なくなるが、薄肉ヒンジによってインストルメントパネル本体に連ねることができるようなメータフードは、その形状が限られたものになる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる点に鑑み、インストルメントパネル本体に係合舌を薄肉ヒンジによって一体的に連ね、該係合舌にメータフードを係合させ、薄肉ヒンジを利用した係合舌の回転移動によってメータフードを動かないように位置決め保持することができるようにして、部品点数の削減など期待する効果を得ることができるようにしたものである。
【0006】
すなわち、請求項1に係る発明は、自動車の樹脂製インストルメントパネル本体にメータフード挿入用の開口が設けられ、該開口にメータフードがインストルメントパネル本体の正面側から挿入されて該インストルメントパネル本体に取り付けられるメータフード取付構造において、
上記インストルメントパネル本体における上記開口の上縁部に、係合口を有する係合舌が、上記開口にメータフードが挿入されていないときに当該上縁部から垂れ下がった状態になり、メータフードが挿入されたときに該メータフードに押されてインストルメントパネル本体の内側へ回転上昇した状態となるように、薄肉ヒンジを介して上下揺動可能に一体的に連なっている一方、
上記メータフードの裏面には、上記係合舌が上記開口の上縁部から垂れ下がった状態にあるときに上記係合口に対して該インストルメントパネル本体の正面側から挿入され、上記係合舌が回転上昇した状態になったときに該係合口において該係合舌に抜き差し不能に係合する係合突起が一体的に成形されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載されているメータフード取付構造において、
上記メータフードには、上記インストルメントパネル本体の薄肉ヒンジが設けられている部位を正面側から覆うように、上記係合突起が設けられている部位よりも上方へ延びた上縁部を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、上記請求項1に記載されているメータフード取付構造において、
上記係合突起が、上記係合舌の係合口に対して上記インストルメントパネル本体の正面側から挿入され該係合舌が回転上昇した状態になったときに該係合舌の内面に当接する先部を有し、
上記メータフードの裏面には、上記係合舌が回転上昇した状態になったときに該係合舌の外面に当接して上記係合突起の先部と共に該係合舌を挟持する当てリブが一体的に形成されていることを特徴とする。
【0009】
(作用)
上記請求項1に係る発明においては、メータフードをインストルメントパネル本体の開口に挿入する前は、係合舌がインストルメントパネル本体の開口の上縁部から薄肉ヒンジを介して垂れ下がっているから、該係合舌の係合口に対してメータフードの係合突起をインストルメントパネル本体の正面側から簡単に挿入することが許容される。
【0010】
そして、上記係合突起を係合舌の係合口に挿入しながらメータフードを上記開口に挿入していって上記係合舌を押すと、該係合舌はインストルメントパネル本体の内側へ回転上昇し上記係合口の向きが下向きになるように変化する。このため、上記メータフードの係合突起は上記係合舌に対してその係合口において抜き差し不能に係合することになる。これにより、メータフードはインストルメントパネル本体の開口の上縁部に対して動かないように位置決めされた状態になり、インストルメントパネル本体の当該上縁部とメータフードとのねじ結合は不要になる。
【0011】
仮に上記係合舌が回転上昇しないものであるとすると、該係合舌に対してメータフードの係合突起を抜き差し不能に係合するには、例えば係合突起を鉤状に形成してメータフード側を回転させる、というような構成をとる必要がある。しかし、それでは、インストルメントパネル本体の開口をメータフードの回転が可能になるように大きくする必要があり、スペースの有効利用の観点からは不利になる。本発明は、そうではなく、上記係合舌を回転させるようにしたから、該係合舌と係合突起との抜き差し不能な係合のためにメータフード側を回転させることが必要でなくなり、スペース的にも有利になっているものである。
【0012】
上記メータフードをインストルメントパネル本体に対して固定するには、該メータフードの上記係合突起が設けられていない他の一箇所を、又は必要に応じて二箇所以上をねじ部材その他の結合手段によってインストルメントパネル本体に結合すればよく、この結合と上記係合舌・係合突起の係合とによって当該メータフードはインストルメントパネル本体に対して完全に固定された状態になる。このように、メータフードの固定に上記係合舌と係合突起との係合が有効に寄与するから、ねじ部材等の結合手段の必要数、従って、部品点数を減らすことができる。
【0013】
上記請求項2に係る発明においては、上記インストルメントパネル本体の薄肉ヒンジが設けられている部位が上記メータフードの上縁部によって覆われて見えなくなる。
【0014】
上記請求項3に係る発明においては、メータフードがインストルメントパネル本体の開口に挿入されて上記係合舌が回転上昇した状態になったとき、該係合舌は上記メータフードの係合突起と当てリブとによって挟持された状態になるから、自動車の振動によってガタつくことが防止される。
【0015】
【発明の効果】
従って、請求項1に係る発明によれば、インストルメントパネル本体の開口の上縁部に、係合口を有する係合舌を薄肉ヒンジによって上下揺動可能に一体的に連ねる一方、メータフードの裏面に、上記係合舌にその係合口において係合する係合突起を一体的に設け、該係合突起を上記係合口に挿入して係合舌を押し上げることによって該係合突起と係合舌とを抜き差し不能に係合させるようにしたから、メータフードの取付安定性を損なうことなく部品点数を削減し、しかもメータフードの取付を簡単なものにすることができ、コストの低減が図れるとともに、スペースの有効利用という面でも有利になる、という格別な効果が得られる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、上記請求項1に記載されているメータフード取付構造において、上記メータフードが、上記インストルメントパネル本体の薄肉ヒンジが設けられている部位を正面側から覆うように、上記係合突起が設けられている部位よりも上方へ延びた上縁部を備えているから、インストルメントパネル本体の上記薄肉ヒンジ部分を隠して見栄えを良くすることが簡単にできる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、上記請求項1に記載されているメータフード取付構造において、上記係合舌が回転上昇した状態になったときに係合突起と当てリブとによって挟持されるから、該係合舌の自動車の振動によるガタつきが防止される。
【0018】
【発明の実施の形態】
<自動車のインストルメントパネルの全体構成>
図1に示す自動車のインストルメントパネル1において、2はインストルメントパネル本体であり、その運転席に向かった正面にメータフード3が設けられているとともに、該面の中央及び両端、並びに上面には空調用エアの吹出孔4が形成されている。このインストルメントパネル本体2及びメータフード3の各々は合成樹脂によって形成されている。
【0019】
<メータフードの取付構造>
図2において、5はインストルメントパネル本体2に形成されたメータフード挿入用の開口、6は各種の計器類が組み込まれるメータ本体、7はステアリングコラムである。
【0020】
インストルメントパネル本体2の上記開口5を形成する上縁部2aには、図3にも示すように下方へ突出した係合舌8が設けられており、該係合舌8には矩形状の係合口9が開設されている。この係合舌8は、上記インストルメントパネル本体2の開口5にメータフード3が挿入されていないときに当該上縁部2aから垂れ下がった状態(図2の右側に示す状態)になり、メータフード3が挿入されたときに該メータフード3に押されてインストルメントパネル本体2の内側へ回転上昇した状態(図2の左側の状態)になるように、上記インストルメントパネル本体2の上縁部2aに対して左右方向に延びる薄肉ヒンジ11を介して上下揺動可能に一体的に連なっている。
【0021】
図3には1個の係合舌8を表わしているが、上記上縁部2aには複数の係合舌8が左右方向に間隔をおいて設けられている。また、インストルメントパネル本体2の上記上縁部2aには上記薄肉ヒンジ11よりも上方位置を上記開口5に沿って左右方向に延びる段部12が形成されている。
【0022】
また、上記インストルメントパネル本体2の上記開口5を形成する下縁部2bには、上記メータフード3を結合するためのインストルメントパネル正面側に開口した複数のねじ孔が左右方向に間隔をおいて形成されている。
【0023】
一方、上記メータフード3の上壁の裏面には図2に示すように上記係合舌8の係合口9に対応する係合突起15が設けられている。この係合突起15は、メータフード3の上部裏面より斜め前方(車体前方)に突出し且つ先部が少し斜め下方を向くように曲がったフック状に形成されている。このメータフード3は、上記係合突起15が突出した部位よりもさらに上方へ延びて上記インストルメントパネル本体2の段部12にかかるように前方へ曲がった上縁部3aを備えている。さらに、このメータフード3の上縁部3aの裏面には、上記係合舌8を押し上げてそのガタつきを阻止するための当てリブ16が一体的に形成されている。
【0024】
また、上記メータフード3は、下壁の前端より下方へ延びさらに前方にオフセットして下方へ延びる下縁部3bを備えていて、該下縁部3bが上記インストルメントパネル本体2の下縁部2bにねじ部材17によって結合されるようになっている。また、メータフード3の下縁部3bの上記オフセット部には上下方向の孔18が形成されていて、該孔18より上部を挿入した可撓性のブラインド19が当該下縁部3bの裏面に結合されている。
【0025】
<メータフードの取付>
メータフード3をインストルメントパネル本体2の開口5に挿入する前は、図2の右側に示すように、係合舌8がインストルメントパネル本体2の上縁部2aから垂れ下がった状態にあり、該係合舌8の係合口9は、上記メータフード3の係合突起15のインストルメントパネル正面側からの挿入を許容するように、斜め下方を向いている。
【0026】
この状態において、上記係合突起15を上記係合舌8の係合口9に挿入しながら、メータフード3をインストルメントパネル本体2の開口5に挿入し必要に応じて若干持ち上げると、上記係合舌8は、メータフード3の当てリブ16によって押し上げられ、図2の左側に示すように、該係合舌8の係合口9はほとんど下方を向いた状態に変化する。これにより、上記係合突起15の先部が係合舌8の内面に当接し、また、当てリブ16が係合舌8の外面に当接した状態になり、係合突起15は上記係合口9に対して水平方向の抜き差しができなくなるとともに、係合舌8は係合突起15と当てリブ16とによって挟持された状態になる。また、インストルメントパネル本体2の薄肉ヒンジ11は上記メータフード3の上縁部3aによってインストルメントパネル正面側から覆われた状態になる。
【0027】
しかる後に、メータフード3の下縁部3bをインストルメントパネル本体2の下縁部2bに対してねじ部材17によって結合する。
【0028】
従って、上記メータフード3は、上記係合突起15と係合舌8との抜き差し不能な係合があるために、該メータフード3の下縁部3bのねじ結合のみでも、インストルメントパネル本体2に対して強固に固定された状態になる。また、上記係合舌8は上記係合突起15と当てリブ16とによって挟持されているため、自動車の振動によってガタつくことがない。
【0029】
また、上記実施形態の場合、上記係合舌8と係合突起11とによる係合部が複数箇所あり、それが、インストルメントパネル本体2の開口5の上縁部に沿って左右方向に間隔をおいて配設されているから、個々の係合舌8がメータフード3から受ける荷重、ないしはこれらの係合舌8が連なるインストルメントパネル本体上縁部2aの各連設部がメータフード3から受ける荷重が小さくなる。このため、係合舌8ないしはインストルメントパネル本体上縁部2aの撓み変形が小さくなるとともに、そのことによってメータフード3の取付け・取り外しも容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車のインストルメントパネルの斜視図。
【図2】メータフードの取付構造及びメータフード取付前の係合舌と係合突起の状態を示す縦断面図。
【図3】インストルメントパネル本体の係合舌を示す斜視図。
【図4】従来例を示す縱断面図。
【符号の説明】
1 自動車のインストルメントパネル
2 インストルメントパネル本体
2a 上縁部
2b 下縁部
3 メータフード
3a 上縁部
3b 下縁部
5 メータフード挿入用の開口
6 メータ本体
8 係合舌
9 係合口
11 薄肉ヒンジ
15 係合突起
16 当てリブ
17 ねじ部材(結合手段)
Claims (3)
- 自動車の樹脂製インストルメントパネル本体にメータフード挿入用の開口が設けられ、該開口にメータフードがインストルメントパネル本体の正面側から挿入されて該インストルメントパネル本体に取り付けられるメータフード取付構造において、
上記インストルメントパネル本体における上記開口の上縁部に、係合口を有する係合舌が、上記開口にメータフードが挿入されていないときに当該上縁部から垂れ下がった状態になり、メータフードが挿入されたときに該メータフードに押されてインストルメントパネル本体の内側へ回転上昇した状態となるように、薄肉ヒンジを介して上下揺動可能に一体的に連なっている一方、
上記メータフードの裏面には、上記係合舌が上記開口の上縁部から垂れ下がった状態にあるときに上記係合口に対して該インストルメントパネル本体の正面側から挿入され、上記係合舌が回転上昇した状態になったときに該係合口において該係合舌に抜き差し不能に係合する係合突起が一体的に成形されていることを特徴とするメータフード取付構造。 - 請求項1に記載されているメータフード取付構造において、
上記メータフードには、上記インストルメントパネル本体の薄肉ヒンジが設けられている部位を正面側から覆うように、上記係合突起が設けられている部位よりも上方へ延びた上縁部を備えていることを特徴とするメータフード取付構造。 - 請求項1に記載されているメータフード取付構造において、
上記係合突起が、上記係合舌の係合口に対して上記インストルメントパネル本体の正面側から挿入され該係合舌が回転上昇した状態になったときに該係合舌の内面に当接する先部を有し、
上記メータフードの裏面には、上記係合舌が回転上昇した状態になったときに該係合舌の外面に当接して上記係合突起の先部と共に該係合舌を挟持する当てリブが一体的に形成されていることを特徴とするメータフード取付構造。
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