JP3697600B2 - 真空積層装置および真空積層方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空積層装置および真空積層方法に関し、さらに詳しくは、凹部を有する被積層部材と、該被積層部材に対して加圧されると共に加熱されることにより貼着される積層部材と、からなる積層材を、真空雰囲気下において加圧・加熱することにより積層するための真空積層装置および真空積層方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、磁気ヘッドやICチップなどの電子部品を製造する場合に、ウエハ(被積層部材)の表面にフィルム状のホトレジスト形成層(積層部材)を積層することが行われる。また、ディスプレイを製造する場合に、ガラス基板(被積層部材)に誘電体層あるいは保護層(積層部材)を積層することが行われる。
【0003】
これらの被積層部材に積層部材を積層するための従来の技術としては、特開昭63−295218号公報に開示されているように、内外に開口する2つの搬送口を有する加熱容器と、この加熱容器の内部に収容されかつ前記両搬送口の開口周縁に設けられその内部で2種のステージ材料を一体化する筒状のラバーとを備え、このラバーに管体を介して真空源を接続した成形プレスが知られている。そして、このものにおいては、筒状のラバーが積層材を直接加圧するよう構成されている。
【0004】
また、別の従来の技術としては、特開昭63−299895号公報に開示されているように、被成形物を移送する移送手段と、この移送手段の中間部に開閉駆動可能に配置され、上記被成形物をその移送過程で加熱・加圧して一体成形する真空チャンバーと、この真空チャンバーを開閉駆動するチャンバー開閉手段と、上記真空チャンバーを加熱する加熱機構とを備えた真空プレス装置が知られている。そして、このものにおいては、真空チャンバーを構成する可動側チャンバーと固定側チャンバーとの内部にそれぞれ耐熱性のラバーシートが張設されており、両ラバーシートの間で密閉された真空室が形成され、この真空室には真空ポンプで負圧が作用し、かつ、可動側チャンバーと固定側チャンバーが加熱機構で加熱されていることにより、ステージ材料が加熱・加圧され一体成形されるなどと記載されている。また、このものにおいても、上述した従来の技術と同様に、ラバーシートが積層材を直接加圧するよう構成されている。
【0005】
上述した従来の技術に用いられている筒状のラバーあるいはラバーシートなど(膜体)は、一般に、その硬度や厚さが積層材を加圧するための所定の強度を確保することができるように設定されている。
【0006】
ところで、積層材の被積層部材のなかには、例えば、上述した磁気ヘッドやICチップなど、後にダイシングされる各電子部品の大きさにウエハを区分するように、凹部が形成されたものがある。図5は、トレーT上に形成された磁気ヘッドを製造するためのウエハH1を示したものであり、図6は、このウエハH1を拡大して示したものである。後にダイシングされて磁気ヘッドとなるウエハの一の区分は、例えば、一辺W1が1.00(mm)で他辺W2が1.20(mm)の大きさに設定され、各区分の間には、幅が0.18(mm)で深さ0.30(mm)の溝状の凹部H1aが形成されている。そして、このような被積層部材としてのウエハH1には、その凹部H1aの側面および底面に沿って密着するように積層部材としてのホトレジスト形成層H2を埋め込み積層する必要がある(図8を参照)。
【0007】
また、積層材のなかには、被積層部材として絶縁層の表面に回路パターンが形成された回路基板に、積層部材としてさらに絶縁層を介して導電層が積層される多層回路基板がある。この場合の被積層部材の表面は、回路基板に回路パターンが形成されていることにより凹凸となっている。そして、このような被積層部材としての回路基板も、ボイドを発生させないように、絶縁層を介して導電層を回路基板の表面に形成された回路パターンの凹凸に対して密着させるように埋め込み積層する必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術にあっては、いずれのものも、図6に示したような幅が0.18(mm)と比較的狭い凹部H1aに対してホトレジスト形成層H2を筒状のラバーまたはラバーシート(膜体4)によって直接加圧しようとすると、この膜体4が所定の強度を確保することができるように硬度や厚さが設定されているために、例えば図7に示すように、凹部H1aの側面および底面に沿ってホトレジスト形成層H2を埋め込み積層するように弾性変形することができないという問題があった。このような問題は、凹部H1aが比較的深い場合にも発生する。なお、図6に示されたウエハH1を上述したような寸法に形成した場合において、このウエハH1にホトレジスト形成層H2を膜体4によって実際に直接加圧して積層したところ、図7に示した例では、膜体4が凹部H1a内に突出するように弾性変形することによりホトレジスト形成層H2を埋め込むことができたのは、ウエハH1の表面からの深さが0.05(mm)にすぎなかった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、簡単な構成で、被積層部材の凹部の幅が比較的狭いあるいは深さが深い場合であっても、かかる凹部に対しても積層部材を確実に埋め込み性よく積層することができる真空積層装置および真空積層方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の真空積層装置に係る発明は、上記目的を達成するため、積層材が、凹部を有する被積層部材と、該被積層部材に対して加圧されると共に加熱されることにより貼着される積層部材とからなり、積層材が収容される密閉チャンバと、該密閉チャンバ内の少なくとも一面を構成し、被積層部材に対して積層部材を押圧する膜体と、密閉チャンバ内を真空引きする減圧手段と、真空引きされた密閉チャンバ内の積層材が加圧されないように膜体の膨出を阻止することと、膜体を膨出させてその表面により積層材を加圧させることと、を切り替え可能に操作する膜体操作手段と、積層材を加熱する加熱手段と、を備えた真空積層装置であって、被積層部材と膜体との間に介装され、膜体により積層部材を被積層部材に加圧したときに積層部材を介して被積層部材の凹部内に流入する流動性部材を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の真空積層方法に係る発明は、上記目的を達成するため、積層材が、凹部を有する被積層部材と、該被積層部材に対して加圧されると共に加熱されることにより貼着される積層部材とからなり、積層材を少なくとも一面が膜体によって形成されたチャンバに収容して密閉する工程と、積層材が加圧されないように膜体の膨出を阻止した状態で密閉されたチャンバ内を減圧する工程と、この減圧を維持しつつ膜体を膨出させてその表面により積層部材を被積層部材に対して加圧すると共に加熱手段により積層材を加熱する工程と、を含む真空積層方法であって、積層材をチャンバに収容する工程において、積層部材を介して被積層部材の凹部内に流入可能な流動性部材を、被積層部材と膜体との間に配置し、膜体の表面により積層部材を被積層部材に加圧する工程において、積層部材を介して被積層部材の凹部内に流動性部材を流入させることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項1に係る真空積層装置では、積層材の被積層部材と膜体との間に流動性部材を介装した状態で、積層材を収容して密閉チャンバを形成し、膜体が膨出して積層材を不用意に加圧しないように、膜体操作手段により膜体をその設けられた対向面に密着させ、密閉チャンバ内を減圧する。その後、膜体操作手段により膜体をその設けられた対向面から離間させるようにして膨出させて、積層材を加圧する。このとき、流動性部材が膜体によって加圧される。その結果、積層部材が被積層部材に対して加圧され、加熱手段に加熱されて積層される。そして、被積層部材の凹部には、流動性部材が積層部材を介して流入することにより、積層部材が埋め込み積層されることとなる。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る真空積層方法では、積層材の被積層部材と膜体との間に流動性部材を介装配置し、この積層材を、少なくとも一面が膜体によって形成されたチャンバに収容して密閉し、積層材が加圧されないように膜体の膨出を阻止した状態で密閉されたチャンバ内を減圧し、この減圧を維持しつつ膜体を膨出させてその表面で積層材を加圧すると共に加熱手段により積層材を加熱する。膜体は、流動性部材を介して積層部材を被積層部材に対して加圧する。流動性部材が積層部材を介して被積層部材の凹部に流入して加圧するため、積層部材が被積層部材の凹部に埋め込み積層されることとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明の真空積層装置の実施の一形態を図1および図2に基づいて詳細に説明する。なお、図において同一符号は同一部分または相当部分とする。
【0015】
この実施の形態において、本発明の真空積層装置により積層される積層材Hは、図5および図6に示したように、被積層部材H1としての、溝状の凹部H1aにより後にダイシングされる各電子部品の大きさに区分されたウエハH1と、積層部材H2としての、ウエハH1の凹部H1aの側面および底面に沿って密着するように埋め込み積層されるホトレジスト形成層H2とにより構成され、ホトレジスト形成層H2は、加熱されることにより粘着性を有するようになり、この状態で加圧されることにより、ウエハH1に対して貼着され積層されるものである。
【0016】
この実施の形態における本発明の真空積層装置は、図1および図2に示すように、概略、相対向して相対的に近接遠退可能に設けられた上板1および下板2と、上板1と下板2とが相対的に近接移動されたときに互いの対向面の間で挟持されることによって積層材Hが収容された密閉されえたチャンバCを形成する枠体3と、上板1または下板2の少なくとも一方の対向面に配設されて密閉されたチャンバCの一面を構成し、その設けられた対向面から膨出することにより積層材Hを加圧する膜体4と、密閉されたチャンバ内を真空引きする減圧手段(後述する)と、真空引きされた密閉チャンバC内に収容された積層材Hが加圧されないように膜体4の膨出を阻止することと、膜体4を膨出させてその表面により積層材Hを加圧させることと、を切り替え可能に操作する膜体操作手段(後述する)と、積層材Hを加熱する加熱手段6と、を備え、さらに、被積層部材H1と膜体4との間に介装され、膜体4により積層部材H2を被積層部材H1に加圧したときに積層部材H2を介して被積層部材H1の凹部H1a内に流入することができるような流動性を有する流動性部材7を設けたものである。
【0017】
上板1は、略矩形の平板状体からなるもので、この実施の形態の場合、支持台(図示を省略した)などにより所定の高さに固定保持されている。上板1の下面には収容部10が形成されており、この収容部10内には断熱材11と、積層材Hを加熱する加熱手段としてのヒータ6と、上板1の対向面(すなわち、チャンバCの一面)を構成する定盤12と、が順次積重され収容されている。ヒータ6は、この実施の形態では、電流を供給することにより所定の温度に発熱する板状の電気ヒータが採用されているが、本発明ではこれに限定されることはない。断熱材11、ヒータ6、および定盤12の周側面と収容部10の側壁面との間には、チャンバC内に開口するような間隙13が形成されている。上板1のほぼ中央には、後述する減圧手段に接続されるポートを有する脱気通路14が収容部10に貫通するように穿設されている。断熱材11の上板1と接する面には、間隙13と脱気通路14とを連通する溝11aが格子状に複数形成されている。なお、この溝11aに代えて、上板1の断熱材11と接する面に溝を形成することもできる。また、図示は省略するが、上板1内に冷却水を循環供給するための流通路をなどの冷却手段を設けてもよい。
【0018】
下板2は、上板1と略同じ大きさの矩形の平板状体からなるもので、この実施の形態の場合、所定の高さに固定保持された上板1に対して近接遠退可能に支持され、昇降駆動手段(図示を省略した)が接続されている。昇降駆動手段により下板2を上板1に対して近接させるよう上昇させると、枠体3が上板1と下板2との互いの対向面の間に挟持されて密閉されたチャンバCが形成され、下板2を上板1から離間させるよう下降させると、チャンバCが開放されることとなる。
【0019】
下板2は、枠体3の内周開口と略同じ大きさの収容部20が形成されている。そして、この実施の形態では、収容部20内に断熱材21が収容され、断熱材21の上面にヒータ6と通気性部材22が順次積重されている。また、下板2の略中央には、後述する膜体操作手段が接続される通路24が収容部20内に貫通するように穿設されている。さらにまた、断熱材21とヒータ6には通路24と整合するように孔21b,6aがそれぞれ形成されている。通気性部材22は、例えばパンチングメタルのように平板状の多孔板からなるもので、膜体4とヒータ6との間に配置され、下板2の対向面を構成する。さらに、少なくとも、断熱材21およびヒータ6の周側面と収容部20の側壁面との間には間隙23が形成されており、断熱材21の下板2と接する面には、間隙23と通路24とを連通する溝21aが格子状に複数形成されている。なお、溝21aに代えて下板2の断熱材21と接する面に溝を形成することもでき、また、下板2内に冷却手段を設けることもできることは上板と同様である。また、ヒータ6は、上板1と同様に、電流を供給することにより所定の温度に発熱する板状の電気ヒータが採用されているが、本発明ではこれに限定されることはない。
【0020】
枠体3は上板1の収容部10とほぼ同じ大きさの開口を有するもので、チャンバCの周囲を構成する。枠体3の一方の面には、その開口を全面にわたって気密に塞ぐように、チャンバCの一面を構成する膜体4の外周縁が焼き付け加工等により固着されている。枠体3は、この実施の形態の場合、固着された膜体4の外周縁が下板2の上面に接すると共に中央部が下板2の収容部20を気密に覆うように、下板2の上面に対してボルトなど(図示は省略する)により取付けられている。さらに、図示は省略するが、枠体3の上面にはOリングなどのシール部材が設けられており、上板1と下板2とを相対的に近接移動させたときに、形成されたチャンバCの気密性を確保することができるよう構成されている。枠体3の高さ(厚さ)を変更することにより、積層材Hの厚さに応じてチャンバCの高さを変更することができる。
【0021】
膜体4は、伸縮性、可撓性、弾性、耐熱性等を有する、例えばシリコンゴムやフッ素ゴム等の素材が用いられている。膜体4の厚さや硬度などの諸条件は、積層材Hを加圧するために必要な強度などに応じて設定することができる。
【0022】
減圧手段は、この実施の形態の場合、上板1に形成された脱気通路14と接続される真空ポンプ(図示は省略する)を備えている。上板1と下板2を相対的に近接移動させて互いの対向面の間で枠体3を挟持し、密閉されたチャンバCを形成した状態で減圧手段を駆動すると、積層材Hを収容したチャンバC内の空気が断熱材11、ヒータ6、および定盤12の周側面と収容部10の側壁面との間の間隙13および断熱材11の溝11aを通って、脱気通路14から吸引されて、チャンバC内が確実に真空引きされることとなる。
【0023】
膜体操作手段は、この実施の形態では作動流体として空気が用いられ、上述したように減圧手段を駆動して積層材Hを収容したチャンバC内を真空引きしたときであって、積層材Hを加圧しないときに、膜体4が不用意にチャンバC内に膨出しないように、膜体4と下板2の収容部20との間の空間の空気を吸引して膜体4を通気性部材22に密着させ、また、真空引きされたチャンバC内の積層材Hを加圧するときに、膜体4と下板2の収容部20との間の空間を大気に連通させてチャンバC内の真空引きにより膜体4をチャンバC内に膨出させ、または必要に応じて膜体4と下板2の収容部との間の空間に圧縮空気を供給するもので、下板2に形成された通路24と切り替え可能に接続される真空ポンプおよび必要に応じてエアコンプレッサ(図示は省略する)を備えている。積層材Hを加圧しないときには、真空ポンプを駆動することにより、膜体4と下板2の収容部20との間の空間の空気は、膜体4に接するように設けられた通気性部材22から断熱材21およびヒータ6の周側面と収容部20の側壁面との間の間隙23と断熱材21の溝21aとを通って、また、通気性部材22から断熱材21およびヒータ6に形成された孔6a,21bを通って、通路24から吸引されるため、膜体4は確実に通気性部材22の全面にわたって密着されることとなる。一方、積層材Hを加圧するときには、大気または圧縮空気は、通路24から断熱材21の溝21aと断熱材21およびヒータ6の周側面と収容部20の側壁面との間の間隙とを通って、また、断熱材21およびヒータ6に形成された孔6a,21bを通って通気性部材22から膜体4の裏面全面にわたって確実に供給されて、膜体4をチャンバC内に膨出させることとなる。
【0024】
流動性部材7は、この実施の形態においては、例えば、JIS−A硬度1程度のゲル状のもので、後述するように膜体4によって積層材Hを加圧したときにホトレジスト形成層H2を介してウエハH1の凹部H1aに流入し得るような流動性を有する材質からなるものである。この実施の形態の場合、膜体4上に流動性部材7が載置され、この流動性部材7上にホトレジスト形成層H2が接するような配置で積層材Hが載置され、積層材Hと共にチャンバC内に収容される。そして、後述するように、膜体4を通気性部材22に密着させた状態で密閉されたチャンバC内を真空引きし、次いで、膜体4をチャンバC内に膨出させると共にヒータ6,6を発熱させて加熱して、膜体4が流動性部材7を介して積層材Hを定盤12(この実施の形態の場合)に対して押圧する。このとき、ゲル状の流動性部材7は積層材Hと共に加熱されており、図2および図8に示すように、ウエハH1の凹部H1a内にホトレジスト形成層H2を埋め込むようにして流入し加圧する。そして、ホトレジスト形成層H2は、流動性部材7と共に膜体4によって定盤12との間で包まれるように周囲が密閉された状態で加圧されるため、ホトレジスト形成層H2がウエハH1からはみ出るように流動することがない。
【0025】
次に、本発明の真空積層装置の第2の実施の形態を図3に基づいて説明する。なお、上述した実施の形態と同様または相当する部分については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0026】
この実施の形態においては、膜体4および枠体3や、膜体操作手段の通路24が上板1に設けられている。また、定盤12や減圧手段の脱気通路14が下板2に設けられている。そして、定盤12上にウエハH1が接するように積層材Hを載置し、積層材H上にゲル状の流動性部材7を載置するものである。なお、この実施の形態においては、図8に参照されるように、トレーT上にウエハH1を形成し支持した状態で定盤12上に載置することもできる。
【0027】
ここで、上述した第1および第2の実施の形態では、ウエハH1の一方の面に凹部H1aが形成され、その凹部H1aが形成された一方の面のみにホトレジスト形成層H2を積層する場合を説明した。しかしながら、本発明の真空積層装置は上述した実施の形態に限定されることなく、ウエハH1の両方の面に凹部H1aが形成され、その凹部H1aが形成された両方の面にホトレジスト形成層H2を積層する場合にも適用することができる。以下に、かかる場合を第3の実施の形態として、図4に基づいて説明する。なお、上述した実施の形態と同様または相当する部分については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0028】
この実施の形態においては、上板1および下板2の双方に膜体4および枠体3や、膜体操作手段の通路24が設けられている。また、減圧手段の脱気通路14は、枠体3の内外に連通するように形成されている。そして、積層材Hは、ウエハの凹部H1aが形成された両方の面にホトレジスト形成層H2が接するように配置され、さらに、ホトレジスト形成層H2は流動性部材7,7によって挟まれるように配置された状態でチャンバC内に収容される。
【0029】
次に、本発明の真空積層方法の実施の一形態を、主に、図7に示したように従来の膜体により積層材を直接加圧した場合と、図8に示したように本発明の膜体4と積層材Hとに間に流動性部材7を介在させて加圧した場合とで比較しながら、上述した真空積層装置を使用した場合により説明する。なお、この実施の形態においては、図3に示したように、第2の実施の形態における真空積層装置を用いて、ウエハH1の凹部H1aが形成された一方の面にホトレジスト形成層H2を積層する場合で説明する。
【0030】
本発明の真空積層方法は、概略、流動性部材7を積層部材H2と膜体4との間に配置する工程と、この流動性部材7が配置された状態の積層材HをチャンバC内に配置して上板1と下板2とを相対的に近接移動させることにより、積層材Hが収容された密閉されたチャンバCを形成する工程と、積層材Hが加圧されないように膜体4の膨出を阻止した状態で密閉されたチャンバC内を減圧する工程と、この減圧を維持しつつ膜体4を膨出させてその表面により積層部材H2を被積層部材H1に対して加圧して、積層部材H2を介して被積層部材H1の凹部H1a内に流動性部材7を流入させると共に加熱手段6により積層材Hを加熱する工程と、を含むものである。
【0031】
積層材Hを積層するにあたっては、最初に、流動性部材7が積層部材としてのホトレジスト形成層H2と膜体4との間に位置するようにして、積層材Hを流動性部材7と共にチャンバCの一面を構成する定盤12上に配置させる。このとき、先にホトレジスト形成層H2を上にして被積層部材としてのウエハH1を下にした状態の積層材Hを定盤12上に載置してから、この積層材H上に流動性部材7を載置してもよく、また、ホトレジスト形成層H2に接するように流動性部材7を載置した状態で、積層材Hを定盤12上に載置することもできる。
【0032】
次いで、上板1と下板2とを相対的に近接移動させると、上板1と下板2との互いの対向面の間に枠体3が挟持されて定盤12および膜体4と枠体3により囲まれ、被積層材Hが収容された、密閉されたチャンバCが形成される。
【0033】
続いて、膜体操作手段により膜体4を上板1の通気性部材22に密着させ、この状態で、減圧手段を駆動して密閉されたチャンバC内の空気を脱気して真空引きを行う。したがって、チャンバC内の真空引きにより、膜体4がチャンバC内に膨出することが阻止された状態となるため、この時点で積層材Hが膜体4によって加圧されることがない。
【0034】
密閉されたチャンバC内が充分減圧されると、膜体4の通気性部材22に対する密着を解除して、膜体4と下板2の収容部20との間の空間を大気に連通させ、あるいは、必要に応じて膜体4と下板2の収容部20との間の空間に圧縮空気を供給して、膜体4を膨出させてチャンバCの容積を収縮させるように膜体操作手段を切り替え、流動性部材7を介して積層材Hが全面にわたって定盤12に対して均等に押圧されるように加圧する。また、このときにはヒータ6,6にそれぞれ電流が供給されて発熱している。そのため、ホトレジスト形成層H2が粘着性を有するようになり、流動性部材7を介して膜体4によって加圧されることにより、ホトレジスト形成層H2がウエハH1に積層されることとなる。
【0035】
ホトレジスト形成層H2がウエハH1に積層されるときには、図8に示すように、流動性部材7を介して膜体4が加圧することにより、ウエハH1の凹部H1a内にホトレジスト形成層H2を介して流動性部材7が流入するため、ホトレジスト形成層H2はウエハH1の凹部H1aの底面および側面に密着するように押圧されて埋め込まれることとなる。
【0036】
一方、図7に示すように、膜体4によって積層材Hを直接加圧した場合には、上述したように、膜体4が所定の強度を確保することができるように硬度や厚さが設定されているために、ウエハH1の凹部H1aの側面および底面に沿ってホトレジスト形成層を埋め込み積層するように弾性変形することができない。
【0037】
また、既述したように、積層部材H1として表面に所定のパターンで導電層が形成された回路基板に対して、積層部材H2としての絶縁層を介して導電層をさらに積層するような場合にも、表面に形成された回路パターンによる凹凸(凹部H1a)に絶縁層および導電層H2を介して流動性部材7が流入するため、回路基板H1の回路パターンH1aに絶縁層および導電層H2が密着するように押圧されて埋め込まれることとなる。
【0038】
さらに、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、ディスプレーを構成するガラス基板H1に誘電体層あるいは保護層H2を積層する場合など、他の目的に使用される積層品を積層する場合にも適用することができる。
【0039】
被積層材Hの積層成形が完了したら、膜体4と下板2の収容部20との間の空間に圧縮空気を供給している場合にはその供給を停止し、必要に応じて膜体4と下板2の収容部20との間の空間の空気を吸引して膜体4を通気性部材22に密着させ、減圧手段の駆動を停止して密閉されたチャンバC内に大気を導入し、上板1と下板2とを相対的に離間移動させてチャンバCを解放し積層品を取り出す。
【0040】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、被積層部材と膜体との間に介装され、膜体により積層部材を被積層部材に加圧したときに積層部材を介して被積層部材の凹部内に流入する流動性部材を設けたという簡単な構成で、被積層部材の凹部の幅が比較的狭いあるいは深さが深い場合であっても、かかる凹部に対しても積層部材を確実に埋め込み性よく積層することができる真空積層装置を提供することができる。
【0041】
請求項2の発明によれば、積層部材を介して被積層部材の凹部内に流入可能な流動性部材を被積層部材と膜体との間に配置し、膜体の表面により積層部材を被積層部材に加圧する工程において、積層部材を介して被積層部材の凹部内に流動性部材を流入させるという簡単な構成で、被積層部材の凹部の幅が比較的狭いあるいは深さが深い場合であっても、かかる凹部に対しても積層部材を確実に埋め込み性よく積層することができる真空積層方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空積層装置の実施の一形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示した真空積層装置において、チャンバ内に収容された被積層材を加熱・加圧する状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の真空積層装置の第2の実施の形態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の真空積層装置の第3の実施の形態を示す縦断面図である。
【図5】本発明が適用される積層材としてトレー上に支持され形成されたウエハを示す平面図である。
【図6】後にダイシングされる各電子部品の大きさに区分するように、凹部が形成されたウエハの、部分拡大平面図である。
【図7】従来の技術により、膜体が直接積層材を加圧する様子を説明するための部分拡大縦断面図である。
【図8】本発明により、流動性部材を介して膜体が積層材を加圧する様子を説明するための部分拡大縦断面図である。
【符号の説明】
H 積層材
H1 ウエハ(被積層部材)
H1a 凹部
H2 ホトレジスト形成層(積層部材)
C チャンバ
1 上板
2 下板
3 枠体
4 膜体
6 ヒータ(加熱手段)
7 流動性部材
Claims (2)
- 積層材が、凹部を有する被積層部材と、該被積層部材に対して加圧されると共に加熱されることにより貼着される積層部材とからなり、
積層材が収容される密閉チャンバと、
該密閉チャンバ内の少なくとも一面を構成し、被積層部材に対して積層部材を押圧する膜体と、
密閉チャンバ内を真空引きする減圧手段と、
真空引きされた密閉チャンバ内の積層材が加圧されないように膜体の膨出を阻止することと、膜体を膨出させてその表面により積層材を加圧させることと、を切り替え可能に操作する膜体操作手段と、
積層材を加熱する加熱手段と、
を備えた真空積層装置であって、
被積層部材と膜体との間に介装され、膜体により積層部材を被積層部材に加圧したときに積層部材を介して被積層部材の凹部内に流入する流動性部材を設けたことを特徴とする真空積層装置。 - 積層材が、凹部を有する被積層部材と、該被積層部材に対して加圧されると共に加熱されることにより貼着される積層部材とからなり、
積層材を少なくとも一面が膜体によって形成されたチャンバに収容して密閉する工程と、
積層材が加圧されないように膜体の膨出を阻止した状態で密閉されたチャンバ内を減圧する工程と、
この減圧を維持しつつ膜体を膨出させてその表面により積層部材を被積層部材に対して加圧すると共に加熱手段により積層材を加熱する工程と、
を含む真空積層方法であって、
積層材をチャンバに収容する工程において、積層部材を介して被積層部材の凹部内に流入可能な流動性部材を、被積層部材と膜体との間に配置し、
膜体の表面により積層部材を被積層部材に加圧する工程において、積層部材を介して被積層部材の凹部内に流動性部材を流入させることを特徴とする真空積層方法。
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