JP3680379B2 - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各車輪の制動用シリンダに作用する液圧を最適状態に制御して、車輪のロックを防止するアンチブレーキロックシステム(以下ABSと記す)やトラクションコントロール装置等のブレーキ液圧制御装置に関するものであって、特に、電磁弁のコイル温度の変化(コイル電流による発熱や環境温度による)に起因するコイル電流の変動による制御結果の変動を抑制できるブレーキ液圧制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このようなブレーキ液圧制御装置のうち、車両の制動時における車輪のロックを防止するABSは、一般に、制御対象車輪の回転数の負の加速度を検出して、この負の加速度の絶対値が、舵取り効果や制動距離の確保に有効とされる基準スリップ率を満足する目標としての負の加速度の絶対値よりも大きい場合には、制動用シリンダへの液圧を減圧し、この減圧によって当該車輪回転数の負の加速度の絶対値が目標としての負の加速度の絶対値よりも小さくなると、再び当該車輪の制動用シリンダへの液圧を増圧し、いわゆるポンピングブレーキ的な操作を自動的に行わせることによって、制御対象車輪のスリップ率が基準スリップ率以下に維持されるように制動力を調節制御する。
【0003】
なお、このABS制御中の作動流体の増圧調整制御は、所定時間毎に制限された増圧を繰返して、マクロ的には各車輪の制動用シリンダの液圧が比較的緩やかに増圧される(以下緩増圧とも記す)ようにしている。
また、昨今では、前記ABS制御中の液圧減圧調整制御にも、所定時間ごとに制限された減圧を繰返して、当該車輪の制動用シリンダの液圧が比較的緩やかに減圧される(以下、緩減圧とも記す)ようにしたものもある。
【0004】
このような制動用シリンダの作動流体圧(以下、ホイールシリンダ圧とも記す)の緩増圧或いは緩減圧時にあって、当該ホイールシリンダ圧に対して、所定時間ごとに制限された増減圧を繰返すために、例えば図18に示すような電磁弁8(この場合は流入用電磁弁である)が用いられている。この電磁弁8の吐出孔51は図示されないホイールシリンダ側に接続され、流入孔53は図示されないマスタシリンダ側に接続されている。
【0005】
上記流入孔53と吐出孔51との間に形成した弁座面54には、ニードル55の前端(図18では下端)が対向配置されており、このニードル55の後端(図18では上端)にアーマチュア56が形成されていて、このアーマチュア56の外周にコイル57が配設されている。
【0006】
また、前記ニードル55と弁座面54との間にリターンスプリング58を介装して、ニードル55を弁座面54から離間する方向に付勢している。また、弁座面54と流入孔53との間に絞り52を形成している。従って、コイル57に通電のないときはリターンスプリング58の付勢力によってニードル55が弁座面54から離間し、流入孔53と吐出孔51とが連通状態となり、マスタシリンダ圧は絞り52の影響を受けながらホイールシリンダ圧を増圧する。
【0007】
また、コイル57に通電があると、アーマチュア56が前記リターンスプリング58の付勢力に抗して前記流入孔53側に変位して、ニードル55の前端が弁座面54に当接し、前記流入孔53と吐出孔51とが遮断されてホイールシリンダ圧が保持される。
【0008】
従って、この電磁弁8を用いて前述のようにホイールシリンダ圧を緩増圧する際には、前記コイル57に通電し続けて流入孔53と吐出孔51間を閉状態とするホイールシリンダ圧の保持状態から、前記所定時間毎に、例えばデューティ比制御された短い矩形波(パルス)形状に前記コイル57への通電を解除して、前記流入孔53と吐出孔51間を開状態とするホイールシリンダ圧の増圧状態とし、これを前記所定時間ごとに繰返して当該ホイールシリンダ圧がステップ状に増圧されるようにしている。
【0009】
なお、このホイールシリンダ圧の緩増圧制御では、前記短いパルス形状のコイルへの通電解除信号は、当該緩増圧制御の全体的な増圧速度を制御するための信号であるということができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような電磁弁のコイルに電流を流すと、コイルの電気抵抗によってコイルが発熱し、更にPWM駆動の場合は交流的な誘導抵抗も加わるため、直流駆動の場合に比べて発熱量が大きくなり、そのため、コイルの温度が上昇する。コイルの温度が上昇するとコイルの抵抗値が変動して、PWM制御信号のデューティ比と電磁弁の開閉動作量との対応にずれが生ずる。
【0011】
また、バッテリ電圧の変動等によって、ABS制御装置への電源電圧が変動するとPWM制御信号のデューティ比と電磁弁の開閉動作量との対応にずれが生じ、これらの対応のずれのため、図19に示すように、PWM制御信号のデューティ比とホイールシリンダ圧(図19ではW/C圧と記す)との関係が一定せず、そのため、ABS制御性能に悪影響を及ぼし、精密なABS制御に支障を来すという問題がある。
【0012】
また、PWM制御のように、作動流体圧或いはその流量を小刻みに制御する場合には、その流体圧の脈動に伴って流体路系に振動が生じる。既知のように、ABS制御中の緩増圧或いは緩減圧時に発生する車体の振動は、本来、流体圧の脈動によって制動力に脈動が生じ、これがサスペンション系を介して車体に伝達されるのであるが、電磁弁とホイールシリンダとの間の流体路系を構成する配管系から配管系の取付け部材を介して直接車体に伝達される振動もある。
【0013】
つまり、前記電磁弁からホイールシリンダまでの間は閉鎖された流体圧系となり、これを構成する流体路系、主として配管系の共振周波数と同一周期の作動流体の圧力変動が発達する。その状態を、単一パルスの増減圧信号(開弁信号)を与えた場合の圧力変動として図20に示す。
【0014】
なお、開弁信号が継続して電磁弁が開弁しているにも拘らず、ホイールシリンダ圧が一旦低下するのは、上記作動流体の脈動によるものである。そして、上記脈動の振幅が次第に小さくなるのは、主として前記絞り52の粘性抵抗によるものである。
また、弁開閉時にも、配管系の共振に起因する圧力変動が発生する。ちなみに、配管系の振動は、開弁時と閉弁時とでは、閉弁時に発生する方が大きい。
【0015】
このようなホイールシリンダ圧の脈動を抑制するために、一般的には前記電磁弁を含むアクチュエータ内にオリフィスやダンパ等の流体圧ディバイスを付加しているが、これらの流体圧ディバイスの付加によって通常ブレーキ時(非ABS制動時)の制動力発生の応答性が低下する虞れがある。
【0016】
また、このような流体圧ディバイスを付加する分だけコスト高になるという問題もある。
また、これらの流体圧ディバイスによる脈圧抑制は、粘性抵抗によって収束を速めるというものであり、根本的な脈圧発生のきっかけとなるパルスを抑制するものではない。
【0017】
本発明は、これらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、コイルの温度変化や電源電圧の変動によるPWM制御信号のデューティ比と電磁弁の開閉動作量との対応のずれを補償して、精密なABS制御を実行できる制御装置等のブレーキ液圧制御装置を提供することを目的とするものである。
【0018】
また、電磁弁の開閉制御を司る制御信号の立上がりや立下がりに傾きを与えて当該電磁弁が緩やかに開閉動作するようにすることで、制動用シリンダ圧の脈動そのものを抑制防止し、流体路系に発生する振動及びそれに起因する騒音を低減可能にすると共に、コストの低廉化をはかれるアンチスキッド制御装置等のブレーキ液圧制御装置を提供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記諸問題を解決するために、本発明のうち請求項1に係るブレーキ液圧制御装置は、図1の基本構成図に示すように、制御信号により開閉動作する電磁弁から構成されて、各車輪の制動用シリンダの流体圧を制御信号に応じて各々増減圧調整するアクチュエータと、前記車輪のスリップ状態に基づいて前記アクチュエータの電磁弁の開閉動作を制御する制御信号を出力するアクチュエータ制御手段とを備えたブレーキ液圧制御装置において、前記アクチュエータ制御手段が、ブレーキ液圧制御時に前記電磁弁への電流値を制御する制御信号をPWM制御するPWM制御手段と、電磁弁のコイルの電流値を検出するコイル電流検出手段とを備え、前記PWM制御手段は、オンデューティ比100%のときのコイル電流検出値と、予め設定した基準電流値との比に応じて前記PWM制御のデューティ比を設定することを特徴とするものである。
【0020】
さらに、前記オンデューティ比100%のコイル電流検出値を、ABS作動時の減圧動作又は液圧保持動作時のコイル電流値とし、これに基づいて減圧又は液圧保持動作毎に次回増圧時のPWM制御信号のデューティ比を設定することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明のうち請求項に係るブレーキ液圧制御装置は、ABS作動時の減圧動作時又は減圧直後の液圧保持動作時のコイル電流検出値に応じて、次回の緩増圧時のPWM制御信号のデューティ比を設定し、緩増圧時には開側デューティ比と閉側デューティ比との平均値である中間デューティ比を起点として、その後、増圧速度を遅くして緩やかに増圧させる緩増圧を行うことを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明のうち請求項に係るブレーキ液圧制御装置は、前記アクチュエータ制御手段が、前記電磁弁が開方向及び閉方向の少なくとも一方に次第に移行して緩やかに増減圧するように、PWM制御信号のデューティ比を次第に増減設定するデューティ比設定手段を備えて、緩増圧動作中の液圧保持動作時に設定したオンデューティ比100%時のコイル電流検出値に応じて、次回の増減圧信号出力時のPWM制御信号のデューティ比を設定することを特徴とするものである。
【0023】
このため、上記構成を有する請求項1記載のブレーキ液圧制御装置では、ブレーキ液圧制御時に、アクチュエータ制御手段が具備するPWM制御手段で電磁弁への電流値をPWM制御して、制動用シリンダへ送給する作動流体圧を、制動及び操向性維持に最適の車輪のスリップ率に見合う圧力に維持させることができる。
特に、電磁弁のコイル電流検出手段によって、オンデューティ比100%のときに実際に電磁弁に送給される電流値を検出し、これと予め設定した基準電流値との比に応じて前記PWM制御手段がPWM制御のデューティ比を設定することによって、電磁弁のコイルの温度変化や電源電圧の変動による励磁電流の変化が補償されて、電磁弁作動量とデューティ比とのずれが解消されるので、制御信号と実際の作動流体圧とのずれが解消される。
【0024】
また、前記オンデューティ比100%のコイル電流検出値を、ABS作動時の減圧動作又は液圧保持動作時のコイル電流値とし、これに基づいて減圧又は液圧保持動作毎に次回増圧時のPWM制御信号のデューティ比を設定することによって、常に最新のコイル電流値に基づいたデューティ比の設定が行われることになり、より精密な温度と電源電圧の変動に対する補償が行われて、制御信号と実際の作動流体圧とのずれを、より小さくすることができる。
【0025】
なお、ABS制御において、減圧及び液圧保持状態では、流入用の電磁弁を完全に閉弁するために、オンデューティ比100%の電流を同電磁弁に送給するようになっている。
【0026】
また、請求項記載のブレーキ液圧制御装置では、ABS作動時の減圧動作時又は減圧直後の液圧保持動作時のコイル電流検出値に応じて、次回の緩増圧時のPWM制御信号のデューティ比を設定することによって、特に精密さを要する緩増圧時の制御信号と実際の作動流体圧とのずれを、より小さくすることができる。
また、開側デューティ比DHと閉側デューティ比DLとの平均値を中間デューティ比DMとする演算を行い、増圧時に同中間デューティ比DMを起点として、その後、増圧速度を遅くして緩やかに増圧させる緩増圧を行うことにより、急激な増圧に伴う急激な制動力の立上りによってスリップ率が大きくなったり、車体に振動が発生するのを防止する。
【0027】
また、請求項4記載のブレーキ液圧制御装置では、前記アクチュエータ制御手段が具備するデューティ比設定手段によって、ABS制御時における前記制動用シリンダへの液圧の時間変化率を、前記電磁弁が許容できる範囲内で緩やかに増減圧させて、電磁弁が次第に開方向又は閉方向に移行させることにより、急激な弁の開閉が行われず、従って、制動用シリンダへの液圧の脈動が抑制され、前述したABS制御時に発生する車体や配管系等の振動を防止する。
【0028】
また、請求項記載のブレーキ液圧制御装置では、前記アクチュエータ制御手段が具備するデューティ比設定手段によって、ABS制御時における前記制動用シリンダへの液圧の時間変化率を、前記電磁弁が許容できる範囲内で緩やかに増減圧させて、電磁弁が次第に開方向又は閉方向に移行させることにより、急激な弁の開閉が行われず、従って、制動用シリンダへの液圧の脈動が抑制され、前述したABS制御時に発生する車体や配管系等の振動を防止する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るブレーキ液圧制御装置の第1の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
なお、上記説明の内容は、大別すれば、PWM制御と、電磁弁のコイル抵抗の変動及び電源電圧変動の補償と、制動用シリンダへの液圧の脈動の抑制とを目的とした構成及び作用に関する詳細な説明であり、請求項1〜請求項4に対応するものである。
【0030】
図2は、本発明のブレーキ液圧制御装置を、FR(フロントエンジン・リアドライブ)方式をベースにした後輪駆動車のアンチスキッド制御装置に適用した実施の形態を示している。
図中、1FL,1FRは前左右車輪、1RL,1RRは後左右車輪であって、後左右車輪1RL,1RRには、エンジンEGからの回転駆動力が、変速機T、プロペラシャフトPS及びディファレンシャルギヤDGを介して伝達されるようにしている。また、各車輪1FL〜1RRには、それぞれ制動用シリンダとしてのホイールシリンダ2FL〜2RRが取付けられている。
【0031】
更に、前左右車輪1FL,1FRには、これらの車輪の回転数に応じたパルス信号PSFL、PSFRを出力する車輪速度(以下、単に車輪速とも記す)検出手段としての車輪速センサ3FL、3FRが取付けられており、プロペラシャフトPSには、後左右車輪の1RL,1RR平均回転数に応じたパルス信号PSRを出力する車輪速検出手段としての車輪速センサ3Rが取付けられている。また、車両に車体の前後方向に発生する前後加速度Xgを検出出力する前後加速度センサ16が設けられている。
【0032】
各前車輪側ホイールシリンダ2FL,2FRには、ブレーキペダル4の踏込みに応じて前車輪側及び後車輪側の2系統のマスタシリンダ圧を発生するマスタシリンダ5からの一方のマスタシリンダ圧PMCFが、前車輪側アクチュエータ6FL,6FRを介して個別に供給されると共に、後車輪側ホイールシリンダ2RL,2RRには、前記マスタシリンダ5からの他方のマスタシリンダ圧PMCRが共通の後車輪側アクチュエータ6Rを介して供給され、全体として3センサ3チャンネルシステムに構成されている。
【0033】
なお、前記マスタシリンダ5には、前記二系統のマスタシリンダ圧PMCF、PMCRを検出出力する圧力センサ13F,13Rが設けられている。
また、前記各アクチュエータ6FL〜6Rに対応するホイールシリンダ2FL〜2RRとの間の流体路には、各ホイールシリンダ2FL〜2RRの作動流体圧(以下、ホイールシリンダ圧とも記す)PFL,PRを検出する圧力センサ18FL〜18Rが設けられている。
【0034】
前記アクチュエータ6FL〜6Rは、それぞれ図3で示すように、マスタシリンダ5に接続される油圧配管7とホイールシリンダ2FL〜2RRとの間に介装された電磁流入弁8と、同電磁流入弁8と並列に接続された電磁流出弁9、油圧ポンプ10及び図示しない逆止弁の直列回路と、電磁流出弁9及び電磁ポンプ10間の油圧配管に接続されたアキュムレータを兼ねるリザーバ12とを備えている。なお、10aはポンプモータである。
【0035】
この電磁流入弁8と及び電磁流出弁9を構成する電磁弁は、前記図20に示す従来のものと同様又はほぼ同様であり、またその接続構成や作用についても前述の内容と同様又はほぼ同様であるから、その詳細な説明を省略する。
【0036】
なお、異常時の作動補償、いわゆるフェールセーフの関係から、前記電磁流入弁8は通電のないノーマル位置では常時開状態(増圧状態)、通電による切換位置で閉状態(圧力保持状態)に移行し、前記電磁流出弁9は通電のないノーマル位置では常時閉状態(圧力保持状態)、通電による切換位置で開状態(減圧状態)に移行する。そして、これらの電磁弁8,9の開状態への移行を開動作、閉状態への移行を閉動作という。
【0037】
また、実質的な各電磁弁8,9の開閉動作を調整するための電流値制御は、後述するPWM制御におけるデューティ比制御によって行われており、したがって、後述するアンチスキッド制御中の増圧モードでは、電磁流入弁8による増圧状態と圧力保持状態とを所定時間毎に繰返して選択設定することにより、当該ホイールシリンダ圧の増圧傾きを制御し、減圧モードでは、前記電磁流出弁9による減圧状態と圧力保持状態とを所定時間毎に繰返して選択設定することにより、当該ホイールシリンダ圧の減圧傾きを制御する。
【0038】
そして、各アクチュエータ6FL〜6Rの電磁流入弁8、電磁流出弁9及び油圧ポンプ10は、車輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号PSFL〜PSR及び前後加速度センサ16からの前後加速度Xg及び圧力センサ13F,13Rからのマスタシリンダ圧PMCF,PMCR及び圧力センサ18FL〜18Rからのホイールシリンダ圧PFL〜PR及びブレーキペダル4の踏込みを検出するブレーキスイッチ14からのブレーキペダル踏込時にオン状態となるブレーキスイッチ信号BSが入力する、コントロールユニットCRからの液圧制御信号EV,AV及びMRによって制御される。
【0039】
上記コントロールユニットCRは、車輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号PSFL〜PSRが入力し、これらと各車輪1FL〜1RRのタイヤ転がり動半径とから各車輪の周速度でなる車輪速VwFL〜VwRを演算する車輪速度演算回路15FL〜15Rと、これら車輪速度演算回路15FL〜15Rの車輪速VwFL〜VwRに基づいて推定車体速度(以下、疑似車速とも記す)Vi を算出し、かつ、目標ホイールシリンダ圧PFL*〜PR*を算出し、この目標ホイールシリンダ圧PFL*〜PR*と前記圧力センサ18FL〜18Rで検出されたホイールシリンダ圧PFL〜PRとが一致するようにアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EV,AV及びMRを出力する制御手段としてのマイクロコンピュータ20とを備えており、マイクロコンピュータ20から出力する制御信号EVFL〜EVR,AVFL〜AVR及びMRFL〜MRRがPWM駆動回路22aFL〜22aR,22bFL〜22bR及び22cFL〜22cRを介してアクチュエータ6FL〜6Rに供給される。
【0040】
そして、前記マイクロコンピュータ20は、前記各車輪速度演算回路15FL〜15Rからの出力値である車輪速VwFL〜VwRや前後加速度センサ16からの前後加速度Xgなどを読込むためのA/D変換機能を有する入力インタフェース回路20aと、マイクロプロセッサ等の演算処理装置20bと、ROM,RAM等の記憶装置20cと、前記演算処理装置20bで得られた制御信号EVFL〜EVR,AVFL〜AVR及びMRFL〜MRRをアナログ信号として出力するためのD/A変換機能を有する出力インタフェース回路20dとを備えている。
【0041】
このマイクロコンピュータ20では、前記車輪速VwFL〜VwRを用いて最大車輪速VwH等から車体速度検出値としての疑似車速Viを算出し、この疑似車速Viに基づいて目標車輪速Vw*を算出すると共に、車輪速VwFL〜VwRを微分して車輪加減速度V´wFL〜V´wRを算出し、前記車輪速VwFL〜VwR及び車輪加減速度V´wFL〜V´wR及び目標車輪速Vw*等に基づいて目標ホイールシリンダ圧PFL*〜PR*を算出し、前記ホイールシリンダ圧PFL〜PRと目標ホイールシリンダ圧PFL*〜PR*とが一致するように、各アクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EVFL〜EVR,AVFL〜AVR,MRFL〜MRRを出力する。
【0042】
次に、上記実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の動作を、マイクロコンピュータ20の演算処理を示す図4〜図9を参照して説明する。
図4で示す演算処理は、所定時間(例えば10msec)毎のメインプログラムへの割込処理として実行される。
なお、このフローチャートでは、特に情報の入出力ステップを設けていないが、演算処理装置20bで演算処理算出されたり設定されたりした情報は、随時前記記憶装置20cにおいて記憶され、また記憶装置20cに記憶されている情報は随時演算処理装置20bのバッファ等に伝達され記憶される。
【0043】
この演算処理では、まず、ステップS1で、圧力センサ13F及び13Rのマスタシリンダ圧(図ではM/C圧)PMCF及びPMCRと、前後加速度センサ16の前後加速度Xgとを読込む。
次に、ステップS2に移行して、各車輪速度演算回路15FL〜15Rの車輪速VwFL〜VwR(図ではVwi)を読込む。
【0044】
次いで、ステップS3に移行して、前記ステップS2で読込んだ車輪速VwFL〜VwRを時間に関し微分して車輪加減速度V´wFL〜V´wR(図ではV´wi)を算出し、これらを記憶装置20cの所定記憶領域に記憶する。
次に、ステップS4に移行して、前記ステップS2で読込んだ車輪速VwFL〜VwRに基づいて疑似車速Viを算出する車体速度演算処理を実行する。
【0045】
次いで、ステップS5に移行して、前記圧力センサ18FL〜18Rのホイールシリンダ圧PFL〜PR(図ではPi)を読込む。
次いで、ステップS6に移行して、下記の式(1)の演算を行って目標車輪速Vw*を算出して、これを記憶装置20cに設定した目標車輪速記憶領域に記憶する。
Vw*=0.8Vi………(1)
【0046】
次いで、ステップS7に移行して、車輪速Vwiが目標車輪速Vw*よりも小さいか否かを判定し、Vw*>VwiであるときはステップS8に移行し、そうでないときはステップS9に移行する。
前記ステップS8では、目標車輪加減速度V´w*を“0”に設定してこれを記憶装置20cに設定した目標車輪減速度記憶領域に記憶し、ステップS10に移行する。
【0047】
一方ステップS9では、下記の式(2)の演算を行って目標車輪加減速度V´w*を算出してから、前記ステップS10に移行する。
V´w*=V´wo………(2)
ここで、V´woは予め設定した負値の設定値である。
【0048】
前記ステップS10では、各ホイールシリンダ2FL〜2Rに対する目標ホイールシリンダ圧PFL*〜PR*を算出する目標ホイールシリンダ圧演算処理を実行する。
次いで、ステップS11に移行して、ホイールシリンダ圧PFL〜PRと目標ホイールシリンダ圧PFL*〜PR*との偏差に応じたアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EV,AV,MRを決定し、これを出力するアクチュエータ制御処理を実行してからタイマ割込処理を終了した後所定のメインプログラムに復帰する。
【0049】
なお、前記図4の演算処理のステップS4で実行されるサブルーチンとしての疑似車速演算処理は、具体的には本出願人が先に出願した特開平4−27650号公報記載のハード構成されたものをソフト化したものであると考えればよく、その具体的な演算処理の説明を省略する。
そして、前記図4の演算処理のステップS10では、目標ホイールシリンダ圧演算処理が、図5のフローチャートに従ってサブルーチンとして実行される。
【0050】
次に、前記図4の演算処理のステップS11では、アクチュエータ制御演算処理が、図6のフローチャートに従ってサブルーチンとして実行される。
次に、前記マイクロコンピュータ20で実行される電磁流入弁8に対するアクチュエータ制御信号出力演算処理について、図7(a)で示すフローチャートを参照して説明する。
【0051】
この演算処理は、前記図4の演算処理の実行時間ΔTよりも充分に短い時間(例えば1msec)ΔTEVi毎にフリーランタイマ割込処理として実行される。なお、図7(a)のフローチャート中、前出のフラグ符号やタイマ符号、デューティ比符号等は前記図6の演算処理の説明と同様である。
【0052】
ここで、電磁流入弁8のデューティ比DEViの閉側所定デューティ比DHEVi及び後述する開側所定デューティ比DLEViについて簡潔に説明する。
前述のように、前記電磁流出弁9は通常開状態であり、通電によって閉状態となり、その電流値が前記デューティ比DLEViによって制御される。このデューティ比DLEViの可変範囲は勿論0〜100%であるが、図8(a)に示すように、ホイールシリンダ圧(図ではW/C圧)をマスタシリンダ圧まで増圧制御可能なデューティ比DEViは、比較的大きい閉側所定デューティ比DHでほぼ全閉状態となり、比較的小さい開側所定デューティ比DLでほぼ全開状態となってしまう。
【0053】
これをバルブ変位に置換したものが図8(b)である。ここでバルブ変位を調整制御可能なデューティ比の可変有効範囲(図では有効duty範囲)は、全可変範囲の僅か10〜15%に過ぎない。従って、このデューティ比可変有効範囲の閉側デューティ比DEViを電磁流入弁8の閉側所定デューティ比DHEViとし、開側デューティ比DEViを開側所定デューティ比DLEViとする。
【0054】
そして、前記図7(a)の電磁流入弁8に対するアクチュエータ制御信号出力演算処理では、まず、ステップS101で前記図6の演算処理による流入弁PWM制御許可フラグFPWMEViが“1”のセット状態である場合には、ステップS102に移行し、そうでない場合にはステップS103に移行する。
【0055】
ステップS103では、前記電磁流入弁8を完全開状態に維持するように流入弁デューティ比DEViを“0”に設定し、これを記憶装置20cに記憶させると共に、電磁流入弁8に向けて出力してからメインプログラムに復帰する。
一方、ステップS102では、前記図6の演算処理による流入弁保持圧制御フラグFHOLDEViが“0”であるか否かを判定し、当該流入弁保持圧制御フラグFHOLDEViが“0”のリセット状態である場合には、ステップS104に移行し、そうでない場合はステップS105に移行する。
【0056】
前記ステップS105では電磁流入弁8を完全閉状態に維持するように流入弁デューティ比DEViを“100”%に設定し、これを記憶装置20cに記憶させると共に、電磁流入弁8に向けて出力してから、メインプログラムに復帰する。また、前記ステップS104では、増圧サイクルタイマTPEViをインクリメントする。
【0057】
次に、ステップS106に移行して、前記流入弁デューティ比減少許可フラグFDEViが“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該デューティ比減少許可フラグFDEViが“1”のセット状態である場合にはステップS107に移行し、そうでない場合にはステップS108に移行する。
【0058】
前記ステップS107では、記憶装置20cに記憶されている流入弁デューティ比DEViが前記開側所定デューティ比DLEVi以下であるか否かを判定し、当該流入弁デューティ比DEViが開側所定デューティ比DLEVi以下である場合にはステップS109に移行し、そうでない場合はステップS110に移行する。
【0059】
前記ステップS110では、前回の流入弁デューティ比DEViから、比較的大きい正値のデューティ比所定減少量ΔDEV1iを減じて今回の流入弁デューティ比DEViを算出設定し、これを記憶装置20cに記憶させると共に、電磁流入弁8に向けて出力してから、メインプログラムに復帰する。
【0060】
一方、前記ステップS109では流入弁デューティ比DEViを前記開側所定デューティ比DLEViに設定し、これを記憶装置20cに更新記憶すると共に、流入弁8に向けて出力してからステップS111に移行する。
【0061】
ステップS111では、増圧タイマTEViが、前記図7(a)の演算処理で説明した増圧時間TLEViに等しくないか否かを判定し、両者が等しくない場合にはステップS112に移行し、両者が等しい場合にはステップS113に移行する。
【0062】
前記ステップS112では、増圧タイマTEViをインクリメントしてからメインプログラムに復帰する。
また、前記ステップS113では、流入弁デューティ比減少許可フラグFDEViを“0”にリセットしてからメインプログラムに復帰する。
【0063】
一方、前記ステップS108では、流入弁デューティ比DEViが前記閉側所定デューティ比DHEVi以上であるか否かを判定し、当該流入弁デューティ比DEViが前記閉側所定デューティ比DHEVi以上である場合にはステップS114に移行し、そうでない場合にはステップS115に移行する。
【0064】
前記ステップS115では、前回の流入弁デューティ比DEViに、前記デューティ比所定減少量ΔDEV1iと比較して小さい正値のデューティ比所定増加量ΔDEV2iを加えて今回の流入弁デューティ比DEViを算出設定し、これを記憶装置20cに記憶させると共に、電磁流入弁8に向けて出力してから、メインプログラムに復帰する。
【0065】
一方、前記ステップS114では、流入弁デューティ比DEViを前記閉側所定デューティ比DHEViに設定し、これを記憶装置20cに記憶させると共に、電磁流入弁8に向けて出力してからステップS116に移行する。
【0066】
前記ステップS116では、前記増圧サイクルタイマTPEViが前記所定増圧カウントアップ値TdEVi以上であるか否かを判定し、当該増圧サイクルタイマTPEViが所定増圧カウントアップ値TdEVi以上である場合にはステップS117に移行し、そうでない場合にはステップS118に移行する。
【0067】
前記ステップS117では、流入弁デューティ比減少許可フラグFDEViを“1”にセットしてからステップS119に移行する。
ステップS119では、増圧サイクルタイマTPEViを“0”にクリアしてから前記ステップS118に移行する。
ステップS118では、前記増圧タイマTEViを“0”にクリアしてから、メインプログラムに復帰する。
【0068】
次に、前記マイクロコンピュータ20で実行される前記電磁流出弁8に対するアクチュエータ制御信号演算処理について、図9(a)のフローチャートを参照して説明する。
この演算処理は、一見して明らかなように、前記図7(a)の演算処理に類似しているため、各ステップを追っての説明は省略し、異なる点についてのみ詳述する。
【0069】
まず、前記図7(a)の演算処理の説明で記述された流入弁の記載は、基本的に図9(a)の演算処理では流出弁に置換される。また、前記図7(a)の演算処理でそれぞれ流入の意味で添えられた添字EVは、図9(a)の演算処理でそれぞれ流出の意味で沿えられる添字AVに変更されている。
【0070】
また、図9(a)の演算処理の実行時間は、実質的には前記所定実行時間ΔTEViと同じであっても良いが、ここでは個別に設定された前記図4の演算処理が実行される実行時間ΔTよりも充分に短い所定実行時間(例えば1msec)ΔTAVi毎にフリーランタイマ割込処理として実行される。
【0071】
なお、図9(a)のフローチャート中前出のフラグ符号やタイマ符号、デューティ比符号等は、前記図7(a)の演算処理の説明と同様である。また、FDAViは“1”のセット状態で流出弁デューティ比DAViの増加を許可する。即ち、電磁流出弁9を開動作させてホイールシリンダ圧の減圧を許可する流出弁デューティ比増加許可フラグであり、そのリセット状態は“0”とする。また、TAViは減圧タイマであり、流出弁デューティ比DAViが前記開側所定デューティ比DHAViに維持されて、実質的なホイールシリンダ圧の減圧時間を計測するものである。
【0072】
かかる演算処理によって、図7(b)及び図9(b)に示すように、弁開閉の状態変化に際し、アクチュエータ制御手段から出力されるPWM制御出力を、ディーティ比可変有効範囲内において、小刻みな階段状に変化させてマクロ的には滑らかな直線上の傾きを持たせることができる。
【0073】
また、常時閉状態で通電時にのみ開状態となる電磁流出弁9では、制御信号としての流出弁デューティ比DAViの大きい状態が開状態、小さい状態が閉状態となるため、前記図8(a)及び図8(b)を用いた電磁流入弁8の説明とは逆になるが、当該電磁流出弁9によるホイールシリンダ圧Piの減圧制御可能な、或いはバルブ変位を調整制御可能なデューティ比の可変有効範囲は基本的に同一であるため、ここでは、このデューティ比可変有効範囲において当該電磁流出弁9をほぼ全閉状態とする比較的大きい開側デューティ比DAViを開側所定デューティ比DHAViとする。
【0074】
また、演算処理のステップ上では、前記図7(a)のステップS105に相当するステップが削除されており、図9(a)の演算処理のステップS202で流出弁保持圧制御フラグFHOLDAViが“0”のリセット状態でない場合には、前記図7(a)のステップS103に相当するステップS203に移行するように設定されている。
【0075】
また、前記閉側所定デューティ比DLAVi及び開側所定デューティ比DHAViの設定変更から、図7(a)のステップS107が図9(a)の演算処理ではステップS207に、同じくステップS108がステップS208に、ステップS110がステップS210に、ステップS115がステップS215に変更設定されていて、その他のステップについては、前述の条件及びステップ符号の100番台が200番台に変更されていることを除いて同等である。
【0076】
このうち、前記ステップS207では、記憶装置20cに記憶されている流出弁デューティ比DAViが前記開側所定デューティ比DHAVi以上である場合には、ステップS209に移行し、そうでない場合はステップS210に移行する。
【0077】
また、前記ステップS210では、前回の流出弁デューティ比DAViに比較的大きい正値のデューティ比所定増加量△DAV1iを加えて今回の流出弁デューティ比DAViを算出設定し、これを記憶装置20cに記憶を更新させると共に、電磁流出弁9に向けて出力してから、メインプログラムに復帰する。
【0078】
一方、前記ステップS208では、流出弁デューティ比DAViが前記閉側所定デューティ比DLAVi以下であるか否かを判定し、当該流出弁デューティ比DAViが、前記閉側所定デューティ比DLAVi以下である場合には、ステップS214に移行しそうでない場合にはステップS215に移行する。
【0079】
そして、前記ステップS215では、前回の流出弁デューティ比DAViから、前記デューティ比所定増加量△DAV1iと比較して、小さい正値のデューティ比所定減少量△DAV2iを減じて今回の流出弁デューティ比DAViを算出設定し、これを記憶装置20cに記憶させると共に、電磁流出弁9に向けて出力してからメインプログラムに復帰する。
【0080】
次に、本実施例のABS制御装置の作用について、図10(a)〜(d)のタイミングチャートを参照して説明する。このタイミングチャートでは、時刻t0以前から乾燥した舗装路等の充分な高摩擦係数路面を車両が非制動状態で、かつ、高速で定速走行しており、時刻t1でブレーキを踏込んで制動を開始した時の状態をシミュレートしたものである。
【0081】
前記各演算処理によれば、前記時刻t1でブレーキを踏込んで制動状態になると、前記図4のステップS4で算出される疑似車速Viに基づき、同ステップS6でこの疑似車速Viに0.8を乗じて算出した目標車輪速Vw*が、図10(a)に破線で示すように設定されることになる。
また、前記時刻t1から時刻tにかけては、未だABS制動は行われない通常制動状態であることから、各ホイールシリンダ圧Piはマスタシリンダ圧PMCに一致している。
【0082】
このため、図7(a)の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、車輪加減速度V´wiが負の領域で減少するが、前記図5のステップS51で下記の式(3)に従って算出される目標ホイールシリンダ増減量△Pi*は、図10(c)に示すように7は依然として正の値を継続し、かつ、ホイールシリンダ圧Piが増加したことにより、算出される目標ホイールシリンダ圧Pi*がマスタシリンダ圧PMCよりも大きい値となるが、ステップS56で下記の式(4)に従ってマスタシリンダ圧PMCが目標ホイールシリンダ圧Pi*として決定される。
【0083】
△Pi*=KP×(Vwi−Vw*)+KD×(V´wi−V´w*)…(3)
Pi*=min(PMC,Pi*) ……(4)
上記式(3)において、右辺第1項が比例制御項、右辺第2項が微分制御項であり、KPは比例ゲイン、KDは微分ゲインである。
【0084】
従って、図6のアクチュエータ制御の演算処理が実行されたときに、目標ホイールシリンダ圧Pi*とマスタシリンダ圧PMCとが一致するので、同ステップS14からステップS16に移行してPWM制御許可フラグFPWMAVi,FPWMEViが共に“0”となり、同じくステップS34で流出弁デューティ比DAVi及び流入弁デューティ比DEViが共に“0”となり、マスタシリンダ圧PMCをホイールシリンダ圧Piとして供給するようにアクチュエータ6iに対する増圧状態を継続する。
このため、各車輪1iの車輪速Vwiは、図10(a)に示すように、時刻t1から減少し始める。
【0085】
このときは、前記図7(a)及び図9(a)のアクチュエータ制御信号出力演算処理において、流入弁デューティ比DEViが“0”%に設定出力されるために、当該電磁流入弁8は完全開状態となり、合わせて流出弁保持制御フラグFHOLDAViが、“1”セットされているから、流出弁デューティ比DAViが“0”%に設定出力されるために、当該電磁流出弁9は完全閉状態となり、ホイールシリンダ圧Piはマスタシリンダ圧PMCに等しい、いわゆる通常制動状態となる。
【0086】
やがて、前記疑似車輪速Viが、図10(a)で破線図示のように減少し続けると、これに応じて目標車輪速Vw*も減少し、更に車輪速加減速度V´wiも図10(b)に示すように負の領域で減少する。
【0087】
従って、図6の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、そのステップS51で算出される目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*が、図10(c)に示すように減少し始め、時刻t3 で零となり、その後、負の領域で減少する。
【0088】
従って、その後の図5の演算処理のステップS56では、増加し続けるマスタシリンダ圧PMCに対して、目標ホイールシリンダ増減圧量△Pi*が“0”となって、目標ホイールシリンダ圧Pi*はそれ以前のホイールシリンダ圧Piに維持される。
【0089】
このように、目標ホイールシリンダ圧Pi*の増加が停止されるが、マスタシリンダ圧PMCは、図10(d)で破線図示のように増加を継続するので、図5のアクチュエータ制御の演算処理が実行されたときに、目標ホイールシリンダ圧Pi*とマスタシリンダ圧PMCとが不一致となり、このためステップS14からステップS15に移行し、目標ホイールシリンダ圧Pi*とホイールシリンダ圧Piとのホイールシリンダ圧誤差Perriを算出したときに、この時刻t3またはその直後では、目標ホイールシリンダ圧Pi*とホイールシリンダ圧Piとが等しいので、ホイールシリンダ圧誤差Perriは“0”となるため、ステップS17からステップS18に移行して、下記の式(5)の演算を行うことにより、増圧時間TLEViが“0”に算出設定され、合わせて減圧時間THAViも“0”に設定され、次いでステップS20で、流出弁及び流入弁PWM制御許可フラグFPWMAVi,FPWMEViが共に“1”にセットされ、ステップ21からステップS22を経てステップS24で、ホイールシリンダ圧保持モードとなるため、流出弁及び流入弁保持圧制御フラグFHOLDAVi,FHOLDEViが共に“1”にセットされ、次いで、ステップS29で増減圧サイクルタイマTPAVi,TPEViが共に“0”にクリアされ、ホイールシリンダ2iとマスタシリンダ5との間を遮断する保持圧モードとなる。
LEVi=INT(Perri/PEV0i)……(5)
なお、上記の式(5)中、INTは小数点以下四捨五入を表す。
【0090】
また、ホイールシリンダ増圧量基準値PEV0iは、前記電磁流入弁8への開度制御量として算出される流入弁デューティ比DEViが、完全開状態を示す“0”%であるときに、この図4の演算処理の実行時間△T中、当該電磁流入弁8のPWM制御が継続された場合のホイールシリンダ圧Piの増加量である。
【0091】
このときは、前記図7(a)及び図9(a)のアクチュエータ制御信号出力演算処理において、前記流入弁保持圧制御フラグFHOLDEViが“1”にセットされているから、流入弁デューティ比DEViが“100”%に設定出力されるために、当該電磁流入弁8は完全閉状態となり、合わせて流出弁保持圧フラグFHOLDAViが“1”にセットされているから、流出弁デューティ比DAViが“0”%に設定出力されるために、当該電磁流出弁9は完全閉状態となり、ホイールシリンダ圧Piはその直前の状態に保持される。
【0092】
このように、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧が一定値に保持される保持圧モードとなると、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、そのステップS51で算出される目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*が、負の領域で減少することになるが、目標車輪速Vw*が車輪速Vwi以下の状態を継続しているので、ステップS52からステップS54に移行して、目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*が“0”に制限され、ステップS55で下記の式(6)に従って前回のホイールシリンダ圧Piを保持する現在のホイールシリンダ圧Piをそのまま目標ホイールシリンダ圧Pi*として設定し、かつ、ステップS56ではマスタシリンダ圧PMCが増加状態を継続していることから設定された目標ホイールシリンダ圧Pi*がそのまま記憶される。
Pi*=max(0,Pi+△Pi*)……(6)
このため、図6のアクチュエータ制御の演算処理が実行されたときに、前回の処理時と同様に、アクチュエータ6iの保持圧モードが継続される。
【0093】
その後、車輪速Vwiが減少して、時刻t4で目標車輪速Vw*よりも小さい値となると、図4の処理が実行されたときには、そのステップS7からステップS9に移行して、目標車輪速Vw*が“0”に設定される。この状態で、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されると、そのステップS51で算出される目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*は、負の領域での減少を継続しており、目標車輪速Vw*が車輪速Vwiよりも大きくなるので、ステップS52,S53,S55を経てステップS56に移行し、目標ホイールシリンダ圧Pi*は、ホイールシリンダ圧Piに目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*を加算した値に設定される(目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*そのものが負値であるから、実質的な目標ホイールシリンダ圧Pi*は小さくなる)。
【0094】
このため、図6のアクチュエータ制御の演算処理が実行されたときに、ステップS15算出されるホイールシリンダ圧誤差Perriが負値となるため、ステップ17からステップS19に移行して、下記の式(7)の演算を行って或る減圧時間THAViが設定され、合わせて増圧時間TLEViが“0”に設定され、次いでステップS20では、流出弁及び流入弁PWM制御許可フラグFPWMAVi,FPWMEViが共に“1”にセットされ続け、ステップS21からステップS23に移行して、ホイールシリンダ減圧モードになるため、流入弁保持圧制御フラグFHOLDEViは“1”にセットされ続けるが、流出弁保持圧制御フラグFHOLDAViは“0”にリセットされ、次いでステップS27で増圧サイクルタイマTPEViは”0”にクリアされ続けるが、減圧サイクルタイマTPAViは所定減圧カウントアップ値TdAViに設定され、次いでステップS28で流入弁デューティ比DEViは“0”%に設定され続けるが、流出弁デューティ比DAViは閉側所定デューティ比DLAViに設定されるから、これに応じて制御信号EVi,AVi,MRiを減圧信号としてアクチュエータ6iに出力することになる。
HAVi=INT(Perri/PAV0i)……(7)
【0095】
なお、前記ホイールシリンダ圧減圧量基準値PAV0iは、前記電磁流出弁9への開度制御量として算出される流出弁デューティ比DAViが、完全開状態を示す“100”%であるときに、この図4の演算処理の実行時間△T中、当該電磁流出弁9のPWM制御が継続された場合のホイールシリンダ圧Pwiの減圧量である。
【0096】
このとき、前記図9(a)の演算処理によれば、デューティ比制御信号は前記閉側所定デューティ比DLAViから開側所定デューティ比DHAViまで、前記所定実行時間△TAVi毎に前記デューティ比所定増加量△DAV1iづつ大きくなって、前記デューティ比可変有効範囲内で閉状態から開方向へと次第に移行される。なお、このときの傾き、即ち開弁動作速度は比較的大きく、当該電磁流出弁9はその開動作時に急峻ではないが比較的速やかに開かれることになる。
【0097】
一方前記増加される流出弁デューティ比DAViが開側所定デューティ比DHAViまで大きくなると、図9(a)のステップS207からステップS209に移行して、当該流出弁デューティ比DAViを開側所定デューティ比DHAViに設定出力し、次いでステップS211で減圧タイマTAViが前記減圧時間THAViでカウントアップするまで、ステップS212で当該減圧TAViをインクリメントするフローが繰返される。
【0098】
従って、図9(b)に示すように、この減圧時間THAViが経過するまで、流出弁デューティ比DAViは開側所定デューティ比DHAViに維持されるから、電磁流出弁9は開又は略開状態に維持されてホイールシリンダ圧Piは当該減圧時間THAViに見合った分だけ減圧される。
【0099】
そして、減圧タイマTAViが前記減圧時間THAViでカウントアップすると、図9(b)に示すように、この間に出力されるデューティ比制御信号は前記開側所定デューティ比DHAViから閉側所定デューティ比DLAViまで、前記所定実行時間△TAVi毎に前記デューティ比所定減少量△DAV2iずつ小さくなり、前記デューティ比可変有効範囲内で開状態から閉状態へと次第に移行される。なお、このときの傾き、即ち開弁動作速度は比較的小さく、当該電磁流出弁9はその閉動作時に、前記開動作よりも更にゆっくりと閉じられることになる。
【0100】
やがて、増加される流出弁デューティ比DAViが前記閉側所定デューティ比DLAViまで小さくなると、図9(b)に示すように、前記流出弁デューティ比DAViの増加を開始してから前記所定減圧カウントアップ値TdAViが経過するまで、流出弁デューティ比DAViは閉側所定デューティ比DLAViに維持されるから、電磁流出弁9は閉又は略閉状態に維持されてホイールシリンダ圧Piは保持される。
【0101】
そして、前記減圧サイクルタイマTPAViが前記所定減圧カウントアップ値TdAViでカウントアップまでの時間毎に、前記流出弁デューティ比DAViの増減或いは保持設定が繰返され、当該ホイールシリンダ圧Piは前記目標ホイールシリンダ圧Pi*に向けて次第に減圧設定される。
【0102】
このため、アクチュエータ6iの電磁流入弁8が閉状態を維持するが、電磁流出弁9は前記図9(a)のアクチュエータ制御信号出力演算処理によって通常は閉状態に維持され、かつ、所定時間毎に前記減圧時間THAViだけ開状態となると共に、図示されない演算処理による制御信号MRiによって油圧ポンプ10が駆動されて、ホイールシリンダ2i内の作動流体がマスタシリンダ5側に排出され、これによってホイールシリンダ2iのシリンダ圧が、図7(b)に示すように減圧を開始し、その後は、前記所定カウントアップ値TdAViに相当する時間毎に保持圧と減圧とを繰返してステップ状に減圧されてゆく。
【0103】
この減圧状態を継続することにより、図10(a)に示すように、車輪速Vwiが実際の車体速に向けて増速回復することになり、時刻t5で、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、目標ホイールシリンダ増減圧量△Pi*が、再度“0”となり、これに応じて目標ホイールシリンダ圧Pi*とホイールシリンダ圧Piとが一致することになるため、図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS15で算出されるホイールシリンダ圧誤差Perriが“0”となるため、ステップS17からステップS18に移行して、前記した式11の演算を行うことにより、増圧時間TLEViが“0”に設定され、合わせて減圧時間THAViも“0”に設定され、次いでステップS20で流出弁及び流入弁PWM制御許可フラグFPWMAVi,FPWMEViを共に“1”にセットした後、ステップS21からステップS22を経てステップS24でホイールシリンダ保持圧モードとなるため、前記時刻t3以後と同様に、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧が一定値に保持される。
【0104】
このホイールシリンダ保持圧モードとなると、前述したように、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理では、目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*が、正方向に増加しているが、目標車輪速Vw*が車輪速Vwiよりも大きいので、ステップS52からステップS54に移行して、目標ホイールシリンダ圧増減量△Pi*が“0”に制限され、これによって目標ホイールシリンダ圧Pi*が前回の値に保持される。
【0105】
その後、時刻t6で、目標車輪速Vw*と車輪速Vwiとが一致すると、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS52からステップS53,S55を経てステップS56に移行し、このときの目標ホイールシリンダ増減量△Pi*が正方向の大きな値となっているので、目標ホイールシリンダ圧Pi*がホイールシリンダ圧Piよりも大きな値に設定され、これが記憶される。
【0106】
従って、図6のアクチュエータ制御の演算処理が実行されたときに、そのステップS15で算出されるホイールシリンダ圧誤差Perriが正値となることにより、ステップS17からステップS18に移行して、式(5)の演算を行い或る増圧時間TLEViが設定され、合わせて減圧時間THAViが“0”に設定され、次いでステップS20では流出弁及び流入弁PWM制御許可フラグFPWMAVi,FPWMEViが共に“1”にセットされ続け、ステップS21からステップS22を経てステップS25に移行してホイールシリンダ増圧モードとなるため、流出弁保持圧制御フラグFHOLDAViは“1”にセットされ続けるが、流入弁保持圧制御フラグFHOLDEViは“0”にリセットされ、次いでステップS31で減圧サイクルタイマTPAViは“0”にクリアされ続けるが、増圧サイクルタイマTPEViは所定増圧カウントアップ値TdEViに設定され、次いでステップS32で流出弁デューティ比DEViは閉側所定デューティ比DHEViに設定されるから、これに応じて制御信号EVi,AVi,MRiを減圧信号としてアクチュエータ6iに出力する。
【0107】
このように、増圧モードが選択されると、前記図7(a)の演算処理において、この増圧モードが選択された直後から、図7(b)に示すように、デューティ比制御信号は前記閉側所定デューティ比DHEViから開側所定デューティ比DLEViまで、ミクロ的には前記所定実行時間△TEV1毎に前記デューティ比所定減少量△DEV1iずつ小さくなり、マクロ的には前記デューティ比可変有効範囲内で閉状態から開状態へと次第に移行する。なお、このときの傾き、即ち開弁動作速度は比較的大きく、当該電磁流入弁8はその開動作時に、急峻ではないが比較的速やかに開かれることになる。
【0108】
一方、前記減少される流入弁デューティ比DEViが開側所定デューティ比DLEViまで小さくなると、図7(b)に示すように、この増圧時間TLEViが経過するまで、流入弁デューティ比DEViは開側所定デューティ比DLEViに維持されるから、電磁流入弁8は開又は略開状態に維持されてホイールシリンダ圧Piは当該増圧時間TLEViに見合った分だけ増圧される。
【0109】
そして、増圧タイマTEViが前記増圧時間TLEViでカウントアップすると、図7(b)に示すように、この間に出力されるデューティ比制御信号は前記開側所定デューティ比DLEViから閉側所定デューティ比DHEViまで、前記所定実行時間△TEV1毎に前記デューティ比所定増加量6DEV1iずつ大きくなり、前記デューティ比可変有効範囲内で開状態から閉方向へと次第に移行される。なお、このときの傾き、即ち閉弁動作速度は比較的小さく、当該電磁流入弁8は、その閉動作時に、前記開動作時よりも更にゆっくりと閉じられることになる。
【0110】
やがて、増加される流入弁デューティ比DEViが前記閉側所定デューティ比DHEViまで大きくなると、図7(b)に示すように、前記流入弁デューティ比DEViの減少を開始してから前記所定増圧カウントアップ値TdEViが経過するまで、流入弁デューティ比DEViは閉側所定デューティ比DHEViに維持されるから、電磁流入弁8は閉又は略閉状態に維持されて、ホイールシリンダ圧Piは保持され、前記増圧サイクルタイマTPEViが前記所定増圧カウントアップ値TdEViでカウントアップまでの時間毎に、前記流入弁デューティ比DEViの増減或いは保持設定が繰返されて、当該ホイールシリンダ圧Piは前記目標ホイールシリンダ圧Pi*に向けて次第に増圧設定される。
【0111】
このため、アクチュエータ6iの電磁流出弁9が閉状態を維持するが、電磁流入弁8は前記図7(a)のアクチュエータ制御信号出力演算処理によって、通常は閉状態に維持され、かつ、所定時間毎に前記増圧時間TLEViだけ開状態となり、マスタシリンダ5側の作動流体がホイールシリンダ2i内に供給され、これによってホイルシリンダ2iのシリンダ圧が図7(b)に示すように増圧開始され、その後は、前記所定増圧カウントアップ値TdEViに相当する時間毎に保持圧と増圧とを繰返してステップ状に増圧されてゆく。
【0112】
そして、車輪速Vwiの回復により、時刻T7で車輪速演算回路15iから出力される車輪速Vwiのセレクトハイ車輪速VwHが疑似車速Viと略一致すると、急激に減速する当該セレクトハイ車輪速VwHが疑似車速Viから離間する時刻t8までの間、当該セレクトハイ車輪速VwHに疑似車速Viが一致して設定され、また、それに合わせて目標車輪速Vw*は、図10(a)に破線で示すように設定されたものとする。
【0113】
一方、ホイールシリンダ2iの増圧によって車輪速Vwiは、図10(a)に示すように、再度減少し始め、前記時刻t8以後は各実行時間△T毎に図10(a)に破線で示すように疑似車速Viが算出設定され、それに合わせて目標車輪速Vw*も破線図示のように設定される。
【0114】
やがて、時刻t9で図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたとき、そのステップS51で算出される目標ホイールシリンダ増減圧量△Pi*が“0”となることにより、前述した時刻t3と同様に保持圧状態となり、次に図5の処理が実行されたときにステップS52からステップS54に移行して、目標増減圧量△Pi*を“0”の状態に保持する。
【0115】
その後、時刻t10で、目標車輪速Vw*が小さくなると、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS53からステップS55を経てステップS56に移行し、前述した時刻t4と同様に減圧状態となり、以後時刻t11で保持圧状態、時刻t12で増圧状態、時刻t13で保持圧状態、時刻t14で減圧状態が繰返されて、疑似車速Viが減少する。
【0116】
以上は本発明のうち請求項1のブレーキ液圧制御装置の構成のうち、PWM制御手段及びアクチュエータ制御手段の制動用シリンダへの液圧の脈動抑制に関する説明であり、図7(a)のフローチャートのステップS104、S114、S116及び/又は図9(a)のフローチャートのステップS204、S214、S216が液圧保持手段に相当し、以下同様に、図4のフローチャートのステップS11で実行される図6のフローチャートのステップS18又はS19が開弁時間設定手段に相当し、図7(a)のフローチャートのステップS110又はS115及び/又は図9(a)のフローチャートのステップS210又はS215がデューティ比設定手段に相当し、図4のフローチャートのステップS11で実行される図6のフローチャート全体及び図7(a)及び/又は図9(a)のフローチャート全体がPWM制御手段に相当し、図4のフローチャート及び/又は図9(a)のフローチャート全体がアクチュエータ制御手段に相当する。
【0117】
なお、この実施例では、増減圧制御のきめ細かさの要求に基づいて設定された増減圧サイクルタイムに相当する増減圧カウントアップ値TdEVi,TdAViのもとで、上記増減圧カウントアップ値TdEVi,TdAViのみを変数とし、その他の例えば各開側所定デューティ比DHAVi,DLEViや閉側所定デューティ比DLAVi,DHEViやデューティ比所定増減圧量△DAV1i,△DAV2i,△DEV1i,△DEV2iなどは、定数として適宜設定又は選択可能としている。
このようにしたことで、前記演算処理のアルゴリズムが簡単になり、演算処理の実行速度を高めることができる。
【0118】
また、デューティ比所定増減圧量△DAV1i,△DAV2i,△DEV1i,△DEV2iはその絶対量を小さく設定するほど、ホイールシリンダ圧の脈動抑制効果が高い。しかし、これを小さくし過ぎると、電磁弁の開状態から閉状態へ、又は、閉状態から開状態への移行時間が長くなり、充分な増減圧時間がとれなくなる。
【0119】
よって設計的には、ホイールシリンダ圧の制御の応答性と、ホイールシリンダ圧の脈動抑制効果(例えば振動音の抑制効果等)という車両に要求される条件を勘案して、デューティ比所定増減圧量を大きくするか、小さくするかという相反する数値の最適の妥協点に、上記デューティ比所定増減圧量を設定する必要がある。
【0120】
また、前記閉弁作動速度に相当するデューティ比所定増減圧量△DAV2i,△DEV2iの脈動への影響が、開弁作動速度に相当するデューティ比所定増減圧量△DAV1i,△DEV1iの脈動への影響に比して大きいので、前者を後者よりも小さく設定し、電磁弁の開状態から閉状態への移行時間の方を長くとることは勿論であるが、前記開側所定デューティ比DHAVi,DLEVi、閉側所定デューティ比DLAVi,DHEViやデューティ比所定増減圧量△DAV1i,△DAV2i,△DEV1i,△DEV2iを総合的に考慮して増減圧時間THAVi,TLEViを設定すべきである。
【0121】
また、実車にあっては、当該ホイールシリンダ圧Piの増減圧量を設定するに当たっても、車体速や路面の摩擦係数などを考慮すべきである。更に、前記デューティ比の増減変化率に関与するフリーランタイマ割込みの時期や、各プログラムの演算処理の実行に要する時間等についても充分に考慮する必要がある。
【0122】
また、前述のように一般に電磁弁のデューティ比可変有効範囲や、温度等の動作環境によるデューティ比と弁動作量との対応等には、個別的なバラツキがあるため、少なくとも各開側所定デューティ比DHAVi,DLEViや閉側所定デューティ比DLAVi,DHEViを各車両に応じて設定する必要がある。
【0123】
かかるブレーキ液圧制御装置において、本発明では、図1及び図2に示すようにコイル電流検出手段DICを設けて、デューティ比100%時においてコイルCEMを流れる電流を検出し、これを入力インターフェース回路20aを介して演算処理装置20bと記憶装置20cとに入力するようにしている。
【0124】
即ち、コイル電流検出手段DICは、図11に示すように、電磁流入弁8のコイル(ソレノイドバルブ)CEMの一端に電源としてのバッテリBATTを接続し、上記コイルCEMの他端を、シャント抵抗RSと、PWM信号によって高速でスイッチングする電界効果型トランジスタFETとを介して接地GNDに接続して、シャント抵抗RSの両端に電流に比例した電位差を発生させ、同シャント抵抗RSの両端を入力抵抗Riを介して演算増幅器OAMPの反転入力端子と非反転入力端子とに接続し、上記演算増幅器OAMPの反転入力端子と出力端子とをフィードバック抵抗Rfを介して接続し、非反転入力端子と接地GNDとを接地抵抗Rbを介して接続している。
コイルCEMにはフライホイールダイオードFLDが並列に接続されている。
【0125】
このようにコイル電流検出手段DICを構成したことで、上記電位差に正確に比例した電圧を電流検出値として、A/D変換機能を有する入力インターフェース回路20aを介し、ホイールシリンダ圧の減圧動作時又は液圧保持動作時にタイミングを合わせてマイクロコンピュータ20に入力することができる。
【0126】
次に、図12〜図15を参照して、デューティ比100%時のコイル電流検出値を用いての演算処理について説明する。
マイクロコンピュータ20に取込んだコイル電流検出値は、図12に示すフローチャートに従って処理される。即ち、ステップS301でABS制御が行われているか否かを判定し、ABS制御が行われていない場合、ステップS302でPWM制御出力を禁止し、ステップS303でノーマルモード(増圧モード)にセットしてからメインプログラムに復帰する。
【0127】
また、ステップS301でABS制御が行われていると判定した場合は、ステップS304で、現在、減圧状態、液圧保持状態、増圧状態のいずれであるかを判定し、減圧状態であれば、ステップS305でPWM制御出力を禁止してからステップS306に移行する。
ステップS306では減圧時間をフリーランタイマAにセットして、ステップS307で減圧モードにセットしてからメインプログラムに復帰する。
【0128】
また、ステップS304で液圧保持状態であると判定されたときは、ステップS308に移行する。
ステップS308では、PWM制御出力を禁止してからステップS309に移行し、ステップS309では、液圧保持モードにセットしてからステップS310に移行する。
ステップS310では、前記コイル電流検出手段DICで検出したコイル電流値をA/D変換した値をR0として記憶を更新してからステップS311に移行する。
【0129】
ステップS311では、予め設定した設定電流値(流出弁の開側)IHに100を乗じた値を前記の値ROで除した値を流出弁の開側デューティ比DHとして記憶を更新してからステップS312に移行する。
ステップS312では、予め設定した設定電流値(流出弁の閉側)ILに100を乗じた値を前記の値ROで除した値を流出弁の閉側デューティ比DLとして記憶を更新してからステップS313に移行する。
ステップS313では、上記開側デューティ比DHと閉側デューティ比DLとの平均値を中間デューティ比DMとして記憶を更新してからメインプログラムに復帰する。
【0130】
また、ステップS304で増圧状態であると判定されたときは、ステップS314に移行する。ステップS314では、増減圧時間をフリーランタイマAにセットしてからステップS315に移行する。
ステップS315では、演算処理装置20bに設定したデューティ比用のレジスタに、前記流出弁の開側デューティ比DHを記憶させてからステップS316に移行する。
ステップS316では、PWM出力を許可してからメインプログラムに復帰する。
【0131】
なお、上記フリーランタイマAは、メインプログラムへの割込み時期を決定するものであり、図13に示すように、この割込みが発生すると、ステップS320で、ABS制御が減圧状態であるか増圧状態であるかを判定し、減圧状態であればステップS321に移行する。ステップS321では、液圧保持モードにセットしてからメインプログラムに復帰する。
【0132】
また、ステップS320で増圧状態であると判定されたときは、ステップS322に移行する。ステップS322では、デューティ比用のレジスタに中間デューティ比DMを記憶させてからステップS323に移行する。ステップS323では、フリーランタイマBに減圧カウントアップ値Tdを記憶させてからメインプログラムに復帰する。
【0133】
また、上記フリーランタイマBは、メインプログラムへの割込み時期を決定するものであり、図14に示すように、この割込みが発生すると、ステップS330で、デューティ比用のレジスタが今まで記憶している閉側デューティ比DLよりも、今回の閉側デューティ比DLが小さいか否かを判定し、今回の閉側デューティ比DLの方の方が小さくない場合は、ステップS331で、上記レジスタに今回の閉側デューティ比DLを記憶させてからメインプログラムに復帰する。
【0134】
また、ステップS330で今回の閉側デューティ比DLの方が小さい場合は、ステップS332に移行する。ステップS332では、上記レジスタに他のレジスタが記憶している制御の基準となる所定閉側デューティ比DLを記憶させてからメインプログラムに復帰する。
【0135】
かかる演算処理を行った結果、図15に示すように、温度変化によるコイル抵抗値の変化や、電源電圧の変化によって、PWM制御されたデューティ比と励磁電流の実効値(図15ではコイル電流と記す)との対応が、PWM制御のデューティ比と上記励磁電流の実効値とが正確に対応した同図中央のグラフMから、上側のグラフH又は下側のグラフLで示すようにずれた場合でも、上記演算処理によってデューティ比を修正することにより、デューティ比と励磁電流の実効値とが正確に対応した中央のグラフMと等価の実効値の励磁電流を出力することができる。
【0136】
つまり、一例としてコイルの抵抗が大きくなるか及び/又は電源電圧が低下して励磁電流の実効値が低下し、デューティ比と上記励磁電流の実効値との対応が中央のグラフMから下側に変位した場合について説明すると、上記演算処理を行わず、D1で示すデューティ比で出力した場合は、下側のグラフLとD1からの垂直延長線との交点が示すI1´の実効値の励磁電流しか出力しないことになる。
【0137】
これに対し、本実施例では、 D1´=D1×100×I0/I0´ の演算処理を行い、D1´%のPWM制御信号を出力することにより、下側のグラフLと同デューティ比D1´からの垂直延長線との交点が示すI1の実効値(デューティ比と励磁電流の実効値とが正確に対応した中央のグラフMと等価の実効値と等しい)の励磁電流を出力することができる。
【0138】
なお、D1は上記演算処理による補正を行わないときのデューティ比、I0は基準電流値であって、デューティ比と励磁電流の実効値とが正確に対応した中央のグラフMのデューティ比100%における励磁電流の実効値、I0´はコイル電流検出値であって、その時点でのデューティ比100%における励磁電流の実効値、D1´は電磁弁に出力されるPWM制御信号するデューティ比である。
【0139】
かかる演算処理によりPWM制御出力の修正を行うことによって、図16(a)及び図16(b)のタイミングチャートに示すように、電磁弁のコイル抵抗の変化に関係なく正確に意図したコイル電流のパターンを描かせることができ、ひいては、ホイールシリンダ圧に意図した通りのパターンを描かせることができる。
なお、図16(a)はオフデューティパターンで描かれているが、縦軸を上下反転して、0%を100%とし、100%を0%として考えることにより、これをオンデューティパターンとして理解することができる。
【0140】
その結果、電磁弁のコイル温度の変化に関係なく、図17(c)の(2)及び(4)で示すように、制御目的に細部まで忠実に対応したデューティ比の制御を行うことができ、その結果、図17(d)の(1)(3)及び(1)(3)間の微小な電流変化とに示されるように、制御目的に細部まで忠実に対応した実効値を有するコイル電流を電磁弁のコイルに作用させることができるので、図17(b)に示すような制御目的に細部まで忠実に対応したホイールシリンダ圧を実現できることから、図17(a)に示すように、ABS制御時のブレーキ作動時において、車輪速が、予め設定した設定スリップ量になる速度を示す線とクロスした時点で正確に減圧動作を開始して、過大な制動力が原因の車輪のスリップによる制動距離の延長や操向性の悪化を防止することができる。
なお、図17(a)において、車体速と車輪速との縦方向の間隔がスリップ量を示すものである。
【0141】
また、図12のステップS313で、開側デューティ比DHと閉側デューティ比DLとの平均値を中間デューティ比DMとする演算を行い、増圧時に同中間デューティ比DMを起点として、その後、増圧速度を遅くして緩やかに増圧させる緩増圧を行うことにより、急激な増圧に伴う急激な制動力の立上りによってスリップ率が大きくなったり、車体に振動が発生するのを防止するようにしている(図17(c)参照)。
【0142】
また、前述したように、本発明ではコイル温度変動や電源電圧変動に対するデューティ比の補償を行っているので、従来のように、このような変動を見越して前記設定スリップ量を小さく設定する必要がない。
【0143】
従って、本発明では、設定スリップ量を従来よりも大きく設定したり、設定スリップ量を越えて車輪速を過剰に低下させる量を従来よりも小さく設定して、安全性を確保しながらより強力な制動力を発揮させて、制動距離を短縮することができる。
【0144】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明請求項1記載のブレーキ液圧制御装置によれば、ブレーキ液圧制御時に、アクチュエータ制御手段が具備するPWM制御手段で電磁弁への電流値をPWM制御して、制動用シリンダへ送給する作動流体圧を、制動及び操向性維持に最適の車輪のスリップ率に見合う圧力に維持させることができる。
特に、電磁弁のコイル電流検出手段によって、オンデューティ比100%のときに実際に電磁弁に送給される電流値を検出し、これと予め設定した基準電流値との比に応じて前記PWM制御手段がPWM制御のデューティ比を設定することによって、電磁弁のコイルの温度変化や電源電圧の変動による励磁電流の変化が補償されて、電磁弁作動量とデューティ比とのずれが解消されるので、制御信号と実際の作動流体圧とのずれが解消される。
【0145】
また、コイル温度変動や電源電圧変動に対するデューティ比の補償を行っているので、設定スリップ量を摩擦係数で定まる限界の近くまで大きく設定することにより、設定スリップ量を越えて車輪速を過剰に低下させる量を可及的に小さくして制動時間を長く取り、より強力な制動力を発揮させると共に、安全性を損なう設定スリップ量を越えての車輪速の過剰な低下を可及的に小さくして、制動距離を短縮すると共に操向性を確保して安全性を向上することができる。
なお、従来は、上記変動を見越して前記設定スリップ量を小さく設定したために、制動時間が短くなり制動性能が低下するという不具合があった。
【0146】
また、本発明請求項2記載のブレーキ液圧制御装置によれば、前記オンデューティ比100%のコイル電流検出値を、ABS作動時の減圧動作又は液圧保持動作時のコイル電流値とし、これに基づいて減圧又は液圧保持動作毎に次回増圧時のPWM制御信号のデューティ比を設定することによって、常に最新のコイル電流値に基づいたデューティ比の設定が行われることになり、より精密な温度と電源電圧の変動に対する補償が行われて、制御信号と実際の作動流体圧とのずれを、より小さくすることができる。
【0147】
また、本発明請求項3記載のブレーキ液圧制御装置によれば、ABS作動時の減圧動作時又は減圧直後の液圧保持動作時のコイル電流値のコイル電流検出値に応じて、次回の緩増圧時のPWM制御信号のデューティ比を設定することによって、特に精密さを要する緩増圧時の制御信号と実際の作動流体圧とのずれを、より小さくすることができる。
【0148】
また、本発明請求項4記載のブレーキ液圧制御装置によれば、前記アクチュエータ制御手段が具備するデューティ比設定手段によって、ABS制御時における前記制動用シリンダへの液圧の時間変化率を、前記電磁弁が許容できる範囲内で緩やかに増減圧させて、電磁弁が次第に開方向又は閉方向に移行させることにより、急激な弁の開閉が行われず、したがって、制動用シリンダへの液圧の脈動が抑制され、前述したABS制御時に発生する車体や配管系等の振動を防止することができる。
【0149】
更に、緩増圧動作中の液圧保持動作時に設定したオンデューティ比100%時のコイル電流検出値に応じて、次回の増圧信号出力時のPWM制御信号のデューティ比を設定することによって、電磁弁が開方向又は閉方向に次第に移行して緩やかに増圧するような、比較的長い時間デューティ比100%の状態が現出しない場合でも、可及的に最新のコイル電流値に基づくコイル温度と電源電圧の変化の補償が可能になり、精密なABS制御が可能になり、ホイールシリンダ圧制御の応答性を低下させるオリフィスやダンパ等のデバイスを要しないので、上記応答性を高く保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブレーキ液圧制御装置の基本構成図である。
【図2】本発明のブレーキ液圧制御装置を具備する車両の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るアクチュエータの構成図である。
【図4】ホイールシリンダ圧制御処理のフローチャートである。
【図5】目標ホイールシリンダ圧演算処理サブルーチンのフローチャートである。
【図6】アクチュエータ制御演算処理サブルーチンのフローチャートである。
【図7】図7(a)は流入弁制御信号出力演算処理のフローチャート、図7(b)は流入弁制御信号出力パターンを示すグラフである。
【図8】図8(a)は時間に対するホイールシリンダ圧の変化と電磁弁のデューティ比との関係を示すグラフ、図8(b)は電磁弁のデューティ比可変有効範囲及び入力パターンの説明図である。
【図9】図9(a)は流出弁制御信号出力演算処理のフローチャート、図9(b)は流出弁制御信号出力パターンを示すグラフである。
【図10】本発明の制動動作を示すタイムチャートである。
【図11】コイル電流検出手段DICの構成を示す回路図である。
【図12】温度・電源電圧変動補償演算処理サブルーチンのフローチャートである。
【図13】温度・電源電圧変動補償に係る液圧保持モード及び割込み時期設定サブルーチンのフローチャートである。
【図14】温度・電源電圧変動補償に係るレジスタ記憶更新サブルーチンのフローチャートである。
【図15】上記補償演算処理の説明のためのグラフである。
【図16】PWM出力パターン(a)とコイル電流(b)との関係を示すタイムチャートである。
【図17】車体速及び車輪速(a)、ホイールシリンダ圧(b)、PWM出力パターン(c)、コイル電流(d)の関係を示すタイムチャートである。
【図18】図18(a)は電磁弁の構造説明図、図18(b)は弁座面54周辺の拡大図である。
【図19】ホイールシリンダ圧の変化とコイル抵抗及び電源電圧との関係を示すタイムチャートである。
【図20】開弁に起因する作動流体圧変動の説明図である。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪
2FL〜2RR ホイールシリンダ(制動用シリンダ)
3FL〜3R 車輪速センサ
4 ブレーキペダル
5 マスタシリンダ
6FL〜6R アクチュエータ
8 電磁流入弁
9 電磁流出弁
10 油圧ポンプ
10a ポンプモータ
12 リザーバ
13F,13R 圧力センサ
15FL〜15R 車輪速度演算回路
16 前後加速度センサ
18FL〜18R 圧力センサ
20 マイクロコンピュータ
20a 入力インターフェース回路
20b 演算処理装置
20c 記憶装置
20d 出力インターフェース回路
22aFL〜22aR,22bFL〜22bR,22cFL〜22cR
PWM駆動回路
CR コントロールユニット
DIC コイル電流検出手段
PS プロペラシャフト
EG エンジン
T 変速機
DG ディファレンシャルギヤ

Claims (3)

  1. 制御信号により開閉動作する電磁弁から構成されて、各車輪の制動用シリンダの流体圧を制御信号に応じて各々増減圧調整するアクチュエータと、前記車輪のスリップ状態に基づいて前記アクチュエータの電磁弁の開閉動作を制御する制御信号を出力するアクチュエータ制御手段とを備えたブレーキ液圧制御装置において、
    前記アクチュエータ制御手段が、
    ブレーキ液圧制御時に前記電磁弁への電流値を制御する制御信号をPWM制御するPWM制御手段と、
    電磁弁のコイルの電流値を検出するコイル電流検出手段とを備え、
    前記PWM制御手段は、オンデューティ比100%のときのコイル電流検出値と、予め設定した基準電流値との比に応じて前記PWM制御のデューティ比を設定し、
    前記オンデューティ比100%のコイル電流検出値は、アンチブレーキロックシステム作動時の減圧動作又は液圧保持動作時のコイル電流値とし、これに基いて減圧又は液圧保持動作毎に次回増圧時のPWM制御信号のデューティ比を設定することを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  2. アンチブレーキロックシステム作動時の減圧動作時又は減圧直後の液圧保持動作時のコイル電流検出値に応じて、次回の緩増圧時のPWM制御信号のデューティ比を設定し、緩増圧時には開側デューティ比と閉側デューティ比との平均値である中間デューティ比を起点として、その後、増圧速度を遅くして緩やかに増圧させる緩増圧を行うことを特徴とする請求項記載のブレーキ液圧制御装置。
  3. 前記アクチュエータ制御手段が、前記電磁弁が開方向及び閉方向の少なくとも一方に次第に移行して緩やかに増減圧するように、PWM制御信号のデューティ比を次第に増減設定するデューティ比設定手段を備えて、緩増圧動作中の液圧保持動作時に設定したオンデューティ比100%時のコイル電流検出値に応じて、次回の増圧信号出力時のPWM制御信号のデューティ比を設定することを特徴とする請求項記載のブレーキ液圧制御装置。
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