JP3669117B2 - ヘリカルアンテナ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として携帯電話やＰＨＳ等の移動体通信用の無線機に使用されるヘリカルアンテナ及びその製造方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、携帯電話やＰＨＳ等の移動体通信用の無線機が広く普及しているが、これらの無線機には電波を送受信するためのアンテナが備えられており、このアンテナは携帯に便利なように無線機の筐体内に収納した際に動作するヘリカルアンテナと、伸長した際に動作するホイップアンテナから構成されたトップヘリカル形アンテナが多く使用されている。
【０００３】
このような従来のトップヘリカル形アンテナについて。図１０及び図１１を用いて説明する。
【０００４】
図１０は従来のトップヘリカル形アンテナの断面図であり、同図において、１は銅や銅合金等の導電金属線をコイル状に巻回したヘリカルアンテナエレメント、２は絶縁樹脂製のボビン、３は導電金属製の給電金具で、ヘリカルアンテナエレメント１はボビン２に巻き付けられると共に、下端が給電金具３に電気的に接続され、この外周を絶縁樹脂製のカバー４が覆って、ヘリカルアンテナ５が構成されている。
【０００５】
そして、６は導電金属製の導体、７は導体６の外周を覆う絶縁樹脂製のチューブで、導体６の下端が導電金属製のストッパ８に電気的に接続されて、ホイップアンテナ９が構成され、ヘリカルアンテナ５の下端がホイップアンテナ９の上端に絶縁体１０を介して固着されている。
【０００６】
また、１１は導電金属製のアンテナホルダーで、中央に貫通孔１１Ａと外周にねじ部１１Ｂが形成されており、この貫通孔１１Ａ内にホイップアンテナ９が挿入され、ストッパ８の外周が貫通孔１１Ａに収納されたばね１２を介して貫通孔１１Ａの内周に接触すると共に、アンテナホルダー１１のねじ部１１Ｂに給電ナット１３がねじ込まれて、トップヘリカル形アンテナ１４が無線機１５の筐体１６に装着されている。
【０００７】
そして、上記のトップヘリカル形アンテナ１４が伸長した状態の電波の送受信は、無線機１５に装着されたアンテナホルダー１１にストッパ８が接触し電気的に接続されたホイップアンテナ９によって行われるが、図１１に示すようにホイップアンテナ９が無線機１５の筐体１６内に収納された状態では、ホイップアンテナ９のストッパ８は無線機１５内に押し込まれてアンテナホルダー１１から離れ、ヘリカルアンテナ５の給電金具３がアンテナホルダー１１に接触し、電気的に接続されたヘリカルアンテナ５によって送受信が行われるように構成されている。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来のトップヘリカル形アンテナにおいては、ヘリカルアンテナ５のヘリカルアンテナエレメント１が導電金属線をコイル状に巻回して形成されているため、ボビン２に巻き付ける際に巻径や巻ピッチに変形が生じ易く、この結果目的とする電波の周波数帯域に対応したインピーダンス特性が得づらいという課題があった。
【０００９】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、ヘリカルアンテナエレメントの変形が生じにくく、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを提供することを目的とするものである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のヘリカルアンテナ及びその製造方法は、導電金属板によってコイル状のヘリカルアンテナエレメントを形成し、このヘリカルアンテナエレメントの一部を露出状態にして外周を覆うと共に、上記ヘリカルアンテナエレメントの各巻をつなぐ絶縁樹脂製のボビンと、上記ヘリカルアンテナエレメントの下端に接続された給電金具と、上記ヘリカルアンテナエレメントの外周を覆う絶縁樹脂製のカバーとからヘリカルアンテナを構成するようにしたものである。
【００１１】
この本発明により、ヘリカルアンテナエレメントの変形が生じにくく、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の発明は、帯状の導電金属板から形成されたコイル状のヘリカルアンテナエレメントと、そのヘリカルアンテナエレメントの一部を露出状態にして外周を覆うと共に、上記ヘリカルアンテナエレメントの各巻をつなぐ絶縁樹脂製のボビンと、上記ヘリカルアンテナエレメントの下端に接続された給電金具と、上記ヘリカルアンテナエレメントの外周を上記ボビンと共に覆う絶縁樹脂製のカバーとからなるヘリカルアンテナとした構成のものであり、コイル状のヘリカルアンテナエレメントの一部を露出状態にして各巻をつなぐようにボビンが形成されているため、ヘリカルアンテナエレメントの変形が生じにくく安定したインピーダンスの周波数特性が得られ、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができるという作用を有する。
【００１３】
請求項２に記載の発明は、請求項１記載の発明において、ヘリカルアンテナエレメント下端に接続された給電金具に替わり、給電部が上記ヘリカルアンテナエレメントから一体に設けられ、その給電部に繋がる絶縁樹脂製の絶縁部を備えた構成のものであり、アンテナが無線機に収納された際のアンテナホルダーとの電気的接続用の給電部を一体に備えると共に、下方のホイップアンテナとの絶縁を確保する絶縁部も備えることにより、給電金具等のアンテナホルダーとの電気的接続を行うための部品やホイップアンテナとの絶縁用部品が不要となるため、構成部品数が少なく、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができるという作用を有する。
【００１４】
請求項３に記載の発明は、帯状の導電金属板に交互に略コの字状または略Ｖ字状に並んだ平板状部分を連続して打ち抜き加工し、次にこの平板状部分をプレス加工により上下に突出させて上記導電金属板と連結部で繋がったコイル状のヘリカルアンテナエレメントを形成した後、上記ヘリカルアンテナエレメントの一部を露出状態にして外周を覆うように絶縁樹脂でインサート或いはアウトサート成形して、上記ヘリカルアンテナエレメントの各巻をつなぐボビンを形成し、上記連結部を切断した後、上記ヘリカルアンテナエレメントの外周を上記ボビンと共に覆う絶縁樹脂成形により覆ってカバーを形成する請求項１記載のヘリカルアンテナの製造方法としたものであり、帯状の導電金属板に連続して形成したヘリカルアンテナエレメントにボビンを形成した後、導電金属板との連結部を切断して一体の個片としているため、ヘリカルアンテナエレメントの変形が生じ難くなると共に、アンテナ組立て時の取扱いも容易なものとすることができるという作用を有する。
【００１５】
請求項４に記載の発明は、帯状の導電金属板に交互に略コの字状に並んだ平板状部分を連続して打ち抜き加工し、次にこの平板状部分をプレス加工により上下に突出させて上記導電金属板と連結部で繋がったコイル状のヘリカルアンテナエレメントとそのヘリカルアンテナエレメントの下端に筒状の給電部を一体に形成した後、絶縁樹脂を成形して上記ヘリカルアンテナエレメントを覆うカバーと上記給電部に繋がる絶縁部とを同時に形成し、上記連結部を切断する請求項２記載のヘリカルアンテナの製造方法としたものであり、帯状の導電金属板に連続して形成したヘリカルアンテナエレメントに絶縁部を同時に形成した後、導電金属板との連結部を切断して、カバーや絶縁部が形成されたヘリカルアンテナまでを一貫して製作することができるため、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができるという作用を有する。
【００１７】
以下、本発明の実施の形態について、図１〜図９を用いて説明する。
なお、従来の技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【００１８】
（実施の形態１）
図１は本発明の第１の実施の形態によるヘリカルアンテナを用いたトップヘリカル形アンテナの断面図であり、同図において、ストッパ８に電気的に接続された導体６の外周をチューブ７が覆ってホイップアンテナ９が構成され、この上端に絶縁体１０を介してヘリカルアンテナ２１の下端が結合されていることや、アンテナホルダー１１の貫通孔１１Ａ内に挿入されたホイップアンテナ９のストッパ８外周が貫通孔１１Ａ内周に接触し、アンテナホルダー１１がねじ部１１Ｂによって無線機１５の筐体１６に装着されていることは従来の技術と同様であるが、ヘリカルアンテナ２１のヘリカルアンテナエレメント２２は導電金属板によって形成されている。
【００１９】
そして、この銅や銅合金等の導電金属板によって形成されたコイル状のヘリカルアンテナエレメント２２は、接続部２２Ａが給電金具３に電気的に接続されると共に、内周には絶縁樹脂製のボビン２３がアウトサート成形され、外周はインサート成形された絶縁樹脂製のカバー２４によって覆われている。
【００２０】
このように構成された本実施の形態のトップヘリカル形アンテナ２５のヘリカルアンテナ２１の製造方法について説明すると、先ず図２（ａ）に示すように、帯状の導電金属板２６に交互に略コの字状に並んだ平板状のヘリカルアンテナエレメント２２Ｂを連続して打抜き加工し、次にこれをプレス加工によって上下に突出させて図２（ｂ）のようなコイル状のヘリカルアンテナエレメント２２Ｃと接続部２２Ａを形成した後、図２（ｃ）のように各ヘリカルアンテナエレメント２２Ｃの一部を露出し外周を覆うように絶縁樹脂をアウトサート成形して、ヘリカルアンテナエレメント２２Ｃの各巻をつなぐボビン２３を形成する。
【００２１】
そして、最後に図２（ｄ）に示すように、導電金属板２６との連結部２６Ａを切断すると、ボビン２３を一体形成したヘリカルアンテナエレメント２２が完成し、これに給電金具３を接続した後、絶縁樹脂をインサート成形して外周を覆うカバー２４を形成すれば、ヘリカルアンテナ２１が完成する。
【００２２】
このように構成されたトップヘリカル形アンテナ２５の電波の送受信が、トップヘリカル形アンテナ２５を伸長した図１の状態では、無線機１５に装着されたアンテナホルダー１１にストッパ８が接触して電気的に接続されたホイップアンテナ９によって行われ、図３に示すようにホイップアンテナ９が無線機１５内に収納された状態では、給電金具３がアンテナホルダー１１に接触して電気的に接続されたヘリカルアンテナ２１によって送受信が行われることは従来の技術と同様である。
【００２３】
このように本実施の形態によれば、導電金属板によってコイル状のヘリカルアンテナエレメント２２を形成し、この外周を絶縁樹脂製のカバー２４で覆ってヘリカルアンテナ２１を構成しているため、ヘリカルアンテナエレメント２２の変形が生じにくく安定したインピーダンスの周波数特性が得られ、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができる。
【００２４】
また、帯状の導電金属板２６に打抜き加工及びプレス加工によって連続したヘリカルアンテナエレメント２２を形成し、これに絶縁樹脂をアウトサート成形してボビン２３を形成した後、導電金属板２６の連結部２６Ａを切断し、ヘリカルアンテナエレメント２２とボビン２３を一体の個片としているため、ヘリカルアンテナエレメント２２の加工が容易で変形が生じにくくなると共に、アンテナ組立て時の取扱いも容易なものとすることができる。
【００２５】
なお、上記の説明では、図２（ａ）のように帯状の導電金属板２６へのヘリカルアンテナエレメント２２Ｂの打抜き加工を略コの字状の形状とし、図２（ｃ）のようにボビン２３をヘリカルアンテナエレメント２２の外周に形成した場合について説明したが、図４に示すようにヘリカルアンテナエレメント２２Ｄを略Ｖ字状としたり、図５に示すようにヘリカルアンテナエレメント２２のコイル部各巻の一部をつないでボビン２３Ａを形成しても、同様の効果が得られることは勿論である。
【００２６】
（実施の形態２）
図６は本発明の第２の実施の形態によるヘリカルアンテナを用いたトップヘリカル形アンテナの断面図であり、同図において、ホイップアンテナ９の上端にヘリカルアンテナ３１の下端が結合され、無線機１５の筐体１６に装着されたアンテナホルダー１１の貫通孔１１Ａにホイップアンテナ９が挿入されていることや、コイル状のヘリカルアンテナエレメント３２が導電金属板によって形成されていることは実施の形態１と同様であるが、ヘリカルアンテナエレメント３２下端には給電部３３が設けられている。
【００２７】
そして、このヘリカルアンテナエレメント３２に一体に設けられた給電部３３が、インサート成形されヘリカルアンテナエレメント３２の外周を覆う絶縁樹脂製のカバー３４端部から軸線方向に突出すると共に、ヘリカルアンテナ３１とホイップアンテナ９の結合部には、絶縁樹脂によって形成された絶縁部３５が設けられている。
【００２８】
このように構成された本実施の形態のトップヘリカル形アンテナ３６のヘリカルアンテナ３１の製造方法について説明すると、先ず図７（ａ）に示すように、帯状の導電金属板３７に交互に略コの字状に並んだヘリカルアンテナエレメント３２Ａと給電部３３Ａを打抜き加工し、次にこれをプレス加工によって図７（ｂ）のようなコイル状のヘリカルアンテナエレメント３２Ｂと筒状の給電部３３に形成した後、図７（ｃ）のように、絶縁樹脂をアウトサート成形してヘリカルアンテナエレメント３２Ｂを覆うカバー３４と給電部３３に連結した絶縁部３５を形成し、最後に図７（ｄ）に示すように、導電金属板３７との連結部３７Ａを切断すると、ヘリカルアンテナエレメント３２をカバー３４で覆ったヘリカルアンテナ３１が完成する。
【００２９】
このように構成されたトップヘリカル形アンテナ３６の電波の送受信が、アンテナ３６を伸長した図６の状態では、無線機１５に装着されたアンテナホルダー１１にストッパ８が接触して電気的に接続されたホイップアンテナ９によって行われることは実施の形態１と同様であるが、図８に示すようにホイップアンテナ９が無線機１５内に収納された状態では、ヘリカルアンテナ３１の給電部３３がアンテナホルダー１１の貫通孔１１Ａ内周に直接接触して、電気的に接続されたヘリカルアンテナ３１によって行われる。
【００３０】
このように本実施の形態によれば、ヘリカルアンテナエレメント３２の下端に、カバー３４端部から軸線方向に突出する給電部３３を一体に設け、ホイップアンテナ９を無線機１５内に収納した際のアンテナホルダー１１との電気的接続を、この給電部３３によって行うように構成しているため、給電金具等のアンテナホルダー１１との電気的接続を行うための部品が不要となり、構成部品数が少なく、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができる。
【００３１】
また、帯状の導電金属板３７にプレス加工によってヘリカルアンテナエレメント３２と給電部３３を形成した後、絶縁樹脂をアウトサート成形してカバー３４と絶縁部３５を同時に形成しているため、ヘリカルアンテナエレメント３２を製作する過程で、カバー３４や絶縁部３５が形成されたヘリカルアンテナ３１までを一貫して製作することができ、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができる。
【００３２】
なお、以上の説明ではホイップアンテナ９の上端にホイップアンテナ９から絶縁してヘリカルアンテナ２１や３１の下端を結合したタイプのトップヘリカル形アンテナについて説明したが、図９（ａ）に示すようなホイップアンテナ９の導体６とヘリカルアンテナ４０の給電金具３Ａが電気的に接続されたものや、図９（ｂ）や図９（ｃ）のような無線機１５の外部や内部にヘリカルアンテナ４１だけが装着された固定ヘリカル形アンテナ、或いは図９（ｄ）のようにヘリカルアンテナ４２が固定され、ホイップアンテナ４３が無線機１５内を伸縮するボトムヘリカル形アンテナ等のアンテナにおいても、本発明の実施が可能なことは勿論である。
【００３３】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、導電金属板からなるコイル状のヘリカルアンテナエレメントの一部を露出状態にして外周を覆うと共に、上記ヘリカルアンテナエレメントのコイル状の各巻をつなぐボビンを備えた構成としたので、ヘリカルアンテナエレメントの変形が生じにくく、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施の形態によるトップヘリカル形アンテナの断面図
【図２】同ヘリカルアンテナの製造方法を示す斜視図
【図３】同断面図
【図４】同ヘリカルアンテナエレメントの平面図
【図５】同ヘリカルアンテナエレメントの斜視図
【図６】本発明の第２の実施の形態によるトップヘリカル形アンテナの断面図
【図７】同ヘリカルアンテナの製造方法を示す斜視図
【図８】同断面図
【図９】同他の実施の形態を示すヘリカルアンテナの断面図
【図１０】従来のトップヘリカル形アンテナの断面図
【図１１】同断面図
【符号の説明】
３，３Ａ 給電金具
６ 導体
７ チューブ
８ ストッパ
９，４３ ホイップアンテナ
１０ 絶縁体
１１ アンテナホルダー
１１Ａ 貫通孔
１１Ｂ ねじ部
１２ ばね
１５ 無線機
１６ 筐体
２１，３１，４０，４１，４２ ヘリカルアンテナ
２２，２２Ｂ，２２Ｃ，２２Ｄ，３２，３２Ａ，３２Ｂ ヘリカルアンテナエレメント
２２Ａ 接続部
２３，２３Ａ ボビン
２４，３４ カバー
２５，３６ トップヘリカル形アンテナ
２６，３７ 導電金属板
２６Ａ，３７Ａ 連結部
３３，３３Ａ 給電部
３５ 絶縁部
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として携帯電話やＰＨＳ等の移動体通信用の無線機に使用されるヘリカルアンテナ及びその製造方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、携帯電話やＰＨＳ等の移動体通信用の無線機が広く普及しているが、これらの無線機には電波を送受信するためのアンテナが備えられており、このアンテナは携帯に便利なように無線機の筐体内に収納した際に動作するヘリカルアンテナと、伸長した際に動作するホイップアンテナから構成されたトップヘリカル形アンテナが多く使用されている。
【０００３】
このような従来のトップヘリカル形アンテナについて。図１０及び図１１を用いて説明する。
【０００４】
図１０は従来のトップヘリカル形アンテナの断面図であり、同図において、１は銅や銅合金等の導電金属線をコイル状に巻回したヘリカルアンテナエレメント、２は絶縁樹脂製のボビン、３は導電金属製の給電金具で、ヘリカルアンテナエレメント１はボビン２に巻き付けられると共に、下端が給電金具３に電気的に接続され、この外周を絶縁樹脂製のカバー４が覆って、ヘリカルアンテナ５が構成されている。
【０００５】
そして、６は導電金属製の導体、７は導体６の外周を覆う絶縁樹脂製のチューブで、導体６の下端が導電金属製のストッパ８に電気的に接続されて、ホイップアンテナ９が構成され、ヘリカルアンテナ５の下端がホイップアンテナ９の上端に絶縁体１０を介して固着されている。
【０００６】
また、１１は導電金属製のアンテナホルダーで、中央に貫通孔１１Ａと外周にねじ部１１Ｂが形成されており、この貫通孔１１Ａ内にホイップアンテナ９が挿入され、ストッパ８の外周が貫通孔１１Ａに収納されたばね１２を介して貫通孔１１Ａの内周に接触すると共に、アンテナホルダー１１のねじ部１１Ｂに給電ナット１３がねじ込まれて、トップヘリカル形アンテナ１４が無線機１５の筐体１６に装着されている。
【０００７】
そして、上記のトップヘリカル形アンテナ１４が伸長した状態の電波の送受信は、無線機１５に装着されたアンテナホルダー１１にストッパ８が接触し電気的に接続されたホイップアンテナ９によって行われるが、図１１に示すようにホイップアンテナ９が無線機１５の筐体１６内に収納された状態では、ホイップアンテナ９のストッパ８は無線機１５内に押し込まれてアンテナホルダー１１から離れ、ヘリカルアンテナ５の給電金具３がアンテナホルダー１１に接触し、電気的に接続されたヘリカルアンテナ５によって送受信が行われるように構成されている。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来のトップヘリカル形アンテナにおいては、ヘリカルアンテナ５のヘリカルアンテナエレメント１が導電金属線をコイル状に巻回して形成されているため、ボビン２に巻き付ける際に巻径や巻ピッチに変形が生じ易く、この結果目的とする電波の周波数帯域に対応したインピーダンス特性が得づらいという課題があった。
【０００９】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、ヘリカルアンテナエレメントの変形が生じにくく、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを提供することを目的とするものである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のヘリカルアンテナ及びその製造方法は、導電金属板によってコイル状のヘリカルアンテナエレメントを形成し、このヘリカルアンテナエレメントの一部を露出状態にして外周を覆うと共に、上記ヘリカルアンテナエレメントの各巻をつなぐ絶縁樹脂製のボビンと、上記ヘリカルアンテナエレメントの下端に接続された給電金具と、上記ヘリカルアンテナエレメントの外周を覆う絶縁樹脂製のカバーとからヘリカルアンテナを構成するようにしたものである。
【００１１】
この本発明により、ヘリカルアンテナエレメントの変形が生じにくく、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の発明は、帯状の導電金属板から形成されたコイル状のヘリカルアンテナエレメントと、そのヘリカルアンテナエレメントの一部を露出状態にして外周を覆うと共に、上記ヘリカルアンテナエレメントの各巻をつなぐ絶縁樹脂製のボビンと、上記ヘリカルアンテナエレメントの下端に接続された給電金具と、上記ヘリカルアンテナエレメントの外周を上記ボビンと共に覆う絶縁樹脂製のカバーとからなるヘリカルアンテナとした構成のものであり、コイル状のヘリカルアンテナエレメントの一部を露出状態にして各巻をつなぐようにボビンが形成されているため、ヘリカルアンテナエレメントの変形が生じにくく安定したインピーダンスの周波数特性が得られ、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができるという作用を有する。
【００１３】
請求項２に記載の発明は、請求項１記載の発明において、ヘリカルアンテナエレメント下端に接続された給電金具に替わり、給電部が上記ヘリカルアンテナエレメントから一体に設けられ、その給電部に繋がる絶縁樹脂製の絶縁部を備えた構成のものであり、アンテナが無線機に収納された際のアンテナホルダーとの電気的接続用の給電部を一体に備えると共に、下方のホイップアンテナとの絶縁を確保する絶縁部も備えることにより、給電金具等のアンテナホルダーとの電気的接続を行うための部品やホイップアンテナとの絶縁用部品が不要となるため、構成部品数が少なく、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができるという作用を有する。
【００１４】
請求項３に記載の発明は、帯状の導電金属板に交互に略コの字状または略Ｖ字状に並んだ平板状部分を連続して打ち抜き加工し、次にこの平板状部分をプレス加工により上下に突出させて上記導電金属板と連結部で繋がったコイル状のヘリカルアンテナエレメントを形成した後、上記ヘリカルアンテナエレメントの一部を露出状態にして外周を覆うように絶縁樹脂でインサート或いはアウトサート成形して、上記ヘリカルアンテナエレメントの各巻をつなぐボビンを形成し、上記連結部を切断した後、上記ヘリカルアンテナエレメントの外周を上記ボビンと共に覆う絶縁樹脂成形により覆ってカバーを形成する請求項１記載のヘリカルアンテナの製造方法としたものであり、帯状の導電金属板に連続して形成したヘリカルアンテナエレメントにボビンを形成した後、導電金属板との連結部を切断して一体の個片としているため、ヘリカルアンテナエレメントの変形が生じ難くなると共に、アンテナ組立て時の取扱いも容易なものとすることができるという作用を有する。
【００１５】
請求項４に記載の発明は、帯状の導電金属板に交互に略コの字状に並んだ平板状部分を連続して打ち抜き加工し、次にこの平板状部分をプレス加工により上下に突出させて上記導電金属板と連結部で繋がったコイル状のヘリカルアンテナエレメントとそのヘリカルアンテナエレメントの下端に筒状の給電部を一体に形成した後、絶縁樹脂を成形して上記ヘリカルアンテナエレメントを覆うカバーと上記給電部に繋がる絶縁部とを同時に形成し、上記連結部を切断する請求項２記載のヘリカルアンテナの製造方法としたものであり、帯状の導電金属板に連続して形成したヘリカルアンテナエレメントに絶縁部を同時に形成した後、導電金属板との連結部を切断して、カバーや絶縁部が形成されたヘリカルアンテナまでを一貫して製作することができるため、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができるという作用を有する。
【００１７】
以下、本発明の実施の形態について、図１〜図９を用いて説明する。
なお、従来の技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【００１８】
（実施の形態１）
図１は本発明の第１の実施の形態によるヘリカルアンテナを用いたトップヘリカル形アンテナの断面図であり、同図において、ストッパ８に電気的に接続された導体６の外周をチューブ７が覆ってホイップアンテナ９が構成され、この上端に絶縁体１０を介してヘリカルアンテナ２１の下端が結合されていることや、アンテナホルダー１１の貫通孔１１Ａ内に挿入されたホイップアンテナ９のストッパ８外周が貫通孔１１Ａ内周に接触し、アンテナホルダー１１がねじ部１１Ｂによって無線機１５の筐体１６に装着されていることは従来の技術と同様であるが、ヘリカルアンテナ２１のヘリカルアンテナエレメント２２は導電金属板によって形成されている。
【００１９】
そして、この銅や銅合金等の導電金属板によって形成されたコイル状のヘリカルアンテナエレメント２２は、接続部２２Ａが給電金具３に電気的に接続されると共に、内周には絶縁樹脂製のボビン２３がアウトサート成形され、外周はインサート成形された絶縁樹脂製のカバー２４によって覆われている。
【００２０】
このように構成された本実施の形態のトップヘリカル形アンテナ２５のヘリカルアンテナ２１の製造方法について説明すると、先ず図２（ａ）に示すように、帯状の導電金属板２６に交互に略コの字状に並んだ平板状のヘリカルアンテナエレメント２２Ｂを連続して打抜き加工し、次にこれをプレス加工によって上下に突出させて図２（ｂ）のようなコイル状のヘリカルアンテナエレメント２２Ｃと接続部２２Ａを形成した後、図２（ｃ）のように各ヘリカルアンテナエレメント２２Ｃの一部を露出し外周を覆うように絶縁樹脂をアウトサート成形して、ヘリカルアンテナエレメント２２Ｃの各巻をつなぐボビン２３を形成する。
【００２１】
そして、最後に図２（ｄ）に示すように、導電金属板２６との連結部２６Ａを切断すると、ボビン２３を一体形成したヘリカルアンテナエレメント２２が完成し、これに給電金具３を接続した後、絶縁樹脂をインサート成形して外周を覆うカバー２４を形成すれば、ヘリカルアンテナ２１が完成する。
【００２２】
このように構成されたトップヘリカル形アンテナ２５の電波の送受信が、トップヘリカル形アンテナ２５を伸長した図１の状態では、無線機１５に装着されたアンテナホルダー１１にストッパ８が接触して電気的に接続されたホイップアンテナ９によって行われ、図３に示すようにホイップアンテナ９が無線機１５内に収納された状態では、給電金具３がアンテナホルダー１１に接触して電気的に接続されたヘリカルアンテナ２１によって送受信が行われることは従来の技術と同様である。
【００２３】
このように本実施の形態によれば、導電金属板によってコイル状のヘリカルアンテナエレメント２２を形成し、この外周を絶縁樹脂製のカバー２４で覆ってヘリカルアンテナ２１を構成しているため、ヘリカルアンテナエレメント２２の変形が生じにくく安定したインピーダンスの周波数特性が得られ、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができる。
【００２４】
また、帯状の導電金属板２６に打抜き加工及びプレス加工によって連続したヘリカルアンテナエレメント２２を形成し、これに絶縁樹脂をアウトサート成形してボビン２３を形成した後、導電金属板２６の連結部２６Ａを切断し、ヘリカルアンテナエレメント２２とボビン２３を一体の個片としているため、ヘリカルアンテナエレメント２２の加工が容易で変形が生じにくくなると共に、アンテナ組立て時の取扱いも容易なものとすることができる。
【００２５】
なお、上記の説明では、図２（ａ）のように帯状の導電金属板２６へのヘリカルアンテナエレメント２２Ｂの打抜き加工を略コの字状の形状とし、図２（ｃ）のようにボビン２３をヘリカルアンテナエレメント２２の外周に形成した場合について説明したが、図４に示すようにヘリカルアンテナエレメント２２Ｄを略Ｖ字状としたり、図５に示すようにヘリカルアンテナエレメント２２のコイル部各巻の一部をつないでボビン２３Ａを形成しても、同様の効果が得られることは勿論である。
【００２６】
（実施の形態２）
図６は本発明の第２の実施の形態によるヘリカルアンテナを用いたトップヘリカル形アンテナの断面図であり、同図において、ホイップアンテナ９の上端にヘリカルアンテナ３１の下端が結合され、無線機１５の筐体１６に装着されたアンテナホルダー１１の貫通孔１１Ａにホイップアンテナ９が挿入されていることや、コイル状のヘリカルアンテナエレメント３２が導電金属板によって形成されていることは実施の形態１と同様であるが、ヘリカルアンテナエレメント３２下端には給電部３３が設けられている。
【００２７】
そして、このヘリカルアンテナエレメント３２に一体に設けられた給電部３３が、インサート成形されヘリカルアンテナエレメント３２の外周を覆う絶縁樹脂製のカバー３４端部から軸線方向に突出すると共に、ヘリカルアンテナ３１とホイップアンテナ９の結合部には、絶縁樹脂によって形成された絶縁部３５が設けられている。
【００２８】
このように構成された本実施の形態のトップヘリカル形アンテナ３６のヘリカルアンテナ３１の製造方法について説明すると、先ず図７（ａ）に示すように、帯状の導電金属板３７に交互に略コの字状に並んだヘリカルアンテナエレメント３２Ａと給電部３３Ａを打抜き加工し、次にこれをプレス加工によって図７（ｂ）のようなコイル状のヘリカルアンテナエレメント３２Ｂと筒状の給電部３３に形成した後、図７（ｃ）のように、絶縁樹脂をアウトサート成形してヘリカルアンテナエレメント３２Ｂを覆うカバー３４と給電部３３に連結した絶縁部３５を形成し、最後に図７（ｄ）に示すように、導電金属板３７との連結部３７Ａを切断すると、ヘリカルアンテナエレメント３２をカバー３４で覆ったヘリカルアンテナ３１が完成する。
【００２９】
このように構成されたトップヘリカル形アンテナ３６の電波の送受信が、アンテナ３６を伸長した図６の状態では、無線機１５に装着されたアンテナホルダー１１にストッパ８が接触して電気的に接続されたホイップアンテナ９によって行われることは実施の形態１と同様であるが、図８に示すようにホイップアンテナ９が無線機１５内に収納された状態では、ヘリカルアンテナ３１の給電部３３がアンテナホルダー１１の貫通孔１１Ａ内周に直接接触して、電気的に接続されたヘリカルアンテナ３１によって行われる。
【００３０】
このように本実施の形態によれば、ヘリカルアンテナエレメント３２の下端に、カバー３４端部から軸線方向に突出する給電部３３を一体に設け、ホイップアンテナ９を無線機１５内に収納した際のアンテナホルダー１１との電気的接続を、この給電部３３によって行うように構成しているため、給電金具等のアンテナホルダー１１との電気的接続を行うための部品が不要となり、構成部品数が少なく、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができる。
【００３１】
また、帯状の導電金属板３７にプレス加工によってヘリカルアンテナエレメント３２と給電部３３を形成した後、絶縁樹脂をアウトサート成形してカバー３４と絶縁部３５を同時に形成しているため、ヘリカルアンテナエレメント３２を製作する過程で、カバー３４や絶縁部３５が形成されたヘリカルアンテナ３１までを一貫して製作することができ、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができる。
【００３２】
なお、以上の説明ではホイップアンテナ９の上端にホイップアンテナ９から絶縁してヘリカルアンテナ２１や３１の下端を結合したタイプのトップヘリカル形アンテナについて説明したが、図９（ａ）に示すようなホイップアンテナ９の導体６とヘリカルアンテナ４０の給電金具３Ａが電気的に接続されたものや、図９（ｂ）や図９（ｃ）のような無線機１５の外部や内部にヘリカルアンテナ４１だけが装着された固定ヘリカル形アンテナ、或いは図９（ｄ）のようにヘリカルアンテナ４２が固定され、ホイップアンテナ４３が無線機１５内を伸縮するボトムヘリカル形アンテナ等のアンテナにおいても、本発明の実施が可能なことは勿論である。
【００３３】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、導電金属板からなるコイル状のヘリカルアンテナエレメントの一部を露出状態にして外周を覆うと共に、上記ヘリカルアンテナエレメントのコイル状の各巻をつなぐボビンを備えた構成としたので、ヘリカルアンテナエレメントの変形が生じにくく、組立てが容易で安価なヘリカルアンテナを得ることができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施の形態によるトップヘリカル形アンテナの断面図
【図２】同ヘリカルアンテナの製造方法を示す斜視図
【図３】同断面図
【図４】同ヘリカルアンテナエレメントの平面図
【図５】同ヘリカルアンテナエレメントの斜視図
【図６】本発明の第２の実施の形態によるトップヘリカル形アンテナの断面図
【図７】同ヘリカルアンテナの製造方法を示す斜視図
【図８】同断面図
【図９】同他の実施の形態を示すヘリカルアンテナの断面図
【図１０】従来のトップヘリカル形アンテナの断面図
【図１１】同断面図
【符号の説明】
３，３Ａ 給電金具
６ 導体
７ チューブ
８ ストッパ
９，４３ ホイップアンテナ
１０ 絶縁体
１１ アンテナホルダー
１１Ａ 貫通孔
１１Ｂ ねじ部
１２ ばね
１５ 無線機
１６ 筐体
２１，３１，４０，４１，４２ ヘリカルアンテナ
２２，２２Ｂ，２２Ｃ，２２Ｄ，３２，３２Ａ，３２Ｂ ヘリカルアンテナエレメント
２２Ａ 接続部
２３，２３Ａ ボビン
２４，３４ カバー
２５，３６ トップヘリカル形アンテナ
２６，３７ 導電金属板
２６Ａ，３７Ａ 連結部
３３，３３Ａ 給電部
３５ 絶縁部
Claims (4)
- 帯状の導電金属板から形成されたコイル状のヘリカルアンテナエレメントと、そのヘリカルアンテナエレメントの一部を露出状態にして外周を覆うと共に、上記ヘリカルアンテナエレメントの各巻をつなぐ絶縁樹脂製のボビンと、上記ヘリカルアンテナエレメントの下端に接続された給電金具と、上記ヘリカルアンテナエレメントの外周を上記ボビンと共に覆う絶縁樹脂製のカバーとからなるヘリカルアンテナ。
- ヘリカルアンテナエレメント下端に接続された給電金具に替わり、給電部が上記ヘリカルアンテナエレメントから一体に設けられ、その給電部に繋がる絶縁樹脂製の絶縁部を備えた請求項１記載のヘリカルアンテナ。
- 帯状の導電金属板に交互に略コの字状または略Ｖ字状に並んだ平板状部分を連続して打ち抜き加工し、次にこの平板状部分をプレス加工により上下に突出させて上記導電金属板と連結部で繋がったコイル状のヘリカルアンテナエレメントを形成した後、上記ヘリカルアンテナエレメントの一部を露出状態にして外周を覆うように絶縁樹脂でインサート或いはアウトサート成形して、上記ヘリカルアンテナエレメントの各巻をつなぐボビンを形成し、上記連結部を切断した後、上記ヘリカルアンテナエレメントの外周を上記ボビンと共に絶縁樹脂成形により覆ってカバーを形成する請求項１記載のヘリカルアンテナの製造方法。
- 帯状の導電金属板に交互に略コの字状に並んだ平板状部分を連続して打ち抜き加工し、次にこの平板状部分をプレス加工により上下に突出させて上記導電金属板と連結部で繋がったコイル状のヘリカルアンテナエレメントとそのヘリカルアンテナエレメントの下端に筒状の給電部を一体に形成した後、絶縁樹脂を成形して上記ヘリカルアンテナエレメントを覆うカバーと上記給電部に繋がる絶縁部とを同時に形成し、上記連結部を切断する請求項２記載のヘリカルアンテナの製造方法。
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