JP3647560B2 - センサ装置を有する車輪軸受 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転する軌道輪に配置されたパルスディスクと、静止輪のリング溝内にスナップ係合要素を経て軸線方向にスナップ係合し、且つ周囲方向に摩擦嵌めして挿入された、センサの保持リングとを有しているＡＢＳシステム（滑止めブレーキシステム）のためのセンサ装置を有する車輪軸受に関する。
【０００２】
【従来の技術】
フランス国特許公開公報第２６６０９７５号（特開平５−２６２３３号）によって、コンパクトなユニットを作るため、センサ装置を車輪軸受に接続することは、既に公知である。パルスリングもセンサもこの方式では、既に製造の際に軸受内に一体に組み込むことができる。その場合に、センサは、保持リングを軸受の静止輪の半径方向の溝内に固定するリング状のスナップ係合要素を備えている保持リングに固定される。静止輪が何等かの理由で運転中に、嵌め合い面上を周辺方向にクリープ現象（静止輪が回転輪と逆方向にずれる現象）を生じたときでも、その装置では、センサのケーブルが切れる虞は原則的にない。保持リングは、周囲方向における摩擦嵌めによって、クリープする静止輪に対して静止する可能性を有している。この目的のため、車軸要素内にセンサを収容する窪みが設けられていて、その中に、センサは形状係合される。そのような窪みの製作は、多くの労力を必要とする。更に、車輪軸受の交換の際に、センサを一緒に外す必要がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題
（目的）は、冒頭に挙げた車輪軸受を、安価に製造でき、軸受交換がセンサを取外さずに可能であり、且つ静止輪のクリープの際に、センサに対して一層損傷を生じないように改良することである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
この課題は、保持リング（９）が、軸線方向の当接面（14）で静止輪（１）に当接し、この面により、保持リングが組立のとき、車軸ジャーナル（２）の円筒状の面（17）上の正確な位置に圧力嵌めして取付可能であり、そして車輪軸受の取外しのとき静止輪（１）に対するスナップ係合要素（11）の接続を外すことができることによって解決される。
本発明による解決方法は更に、車輪軸受及びセンサ装置を含むコンパクトな組立構成要素を形成する。その場合、センサは、保持リングに固定され、そして軸受の静止輪の半径方向の溝内にスナップ係合する。センサは更に、組立の際にショルダー要素の円筒状の面への保持リングの押圧を可能にするため、十分な大きさであるこの静止輪の軸線方向の当接面によって支持される。保持リングは、この面上に組立後、軸線方向の正確な位置に圧力嵌めして固定される。従って静止輪のクリープの際且つ軌道輪の取外しの際の共働（一緒に働くこと、とも回り）を防止するように、周辺方向にも軸線方向にも十分しっかりと固定される。この嵌め合いのため、単に円筒状の面、ショルダー面等が車軸要素に設けれているだけである、これ等の面は容易に製作可能であり、或いは、静止内輪の場合、車軸ジャーナルのショルダー面として存在している。
【０００５】
静止輪と保持リングとの接続は、静止輪のクリープの際に付着力に打勝った後、相対旋回が可能であるように設計されている。輸送の際にユニットとしてコンパクトさを維持するため、この形状係合要素は、軸線方向に確実な接続を形成する。保持リングが車軸要素上に固定されいているとき、この接続は、車軸要素上に既に取付けた軸受の取外しの際に、一定の軸線方向の力に打勝った後、容易に外される。
【０００６】
【発明の実施の形態】
これ等の特徴を以下に図１に示す実施例で説明する。
図１は、静止内輪１を有するセンサ装置を備えた車輪軸受の長手方向の部分断面を示している。この車輪軸受は、２列の円錐コロ軸受として、実施されており、そして部分的にのみ示されている。内輪１は、分割されており、車軸ジャーナル２の上に置かれ、そしてその側面３で車軸ジャーナル２のショルダー４に当接している。
【０００７】
軸受スペースを閉じているシーリング５に続いて、パルスディスク６が回転輪の溝７内に装入されている。この溝７に対応する内輪１の溝８内に、センサ１０のための保持リング９が装入されており、このセンサ１０は、間隙をあけてパルスディスク６に対面している。保持リングと内輪との接続は、半径方向に溝８内にスナップ係合し、保持リング９を軸線方向に外れないように保証しているスナップ係合要素１１によって行われている。溝８は十分な半径方向の自由空間１２を備えており、この自由空間１２が、車輪軸受の取付状態においてもスナップ係合要素１１の弾性的取外しを可能にしている。溝８の左に示された側面は、半径方向により高く設けてあり、保持リング９の旋回当接面１４の支持面１５として使用されている。溝８の右に示された側面１３は低い高さを有し、保持リング９のための心合せ面１６を形成している。上記の接続によって、例えば、静止輪が車軸ジャーナル２上を周囲方向にクリープするとき、保持リング９と静止輪１との間の相対旋回を可能にする。
【０００８】
保持リング９は、今までに説明した範囲では、実質的にスリーブ状であり、且つそれに続いて、スリーブ状に内輪１の側面３を超えて図で見て右に延びている。
この領域は、車軸ジャーナル２のショルダー４の円筒状外表面１７上に圧力嵌めで固定されている。
【０００９】
保持リング９のフランジ状領域１８はセンサ１０を収容する窪みを備えている。センサ１０は、ねじ１９によって保持リング９に固定される。
【００１０】
車輪軸受製造後、パルスディスク６とセンサ１０を有する保持リング９とが装入される。このユニットは、最初の組立のとき、車軸ジャーナル２上に置かれる。軸線方向の圧力によって、保持リング９は、ショルダー４の円筒状外表面１７に取付けられる。その場合に、内輪１の支持面１５と保持リング９の当接面１４とが、押圧力を伝える。この押圧は、内輪１の側面３がショルダー４に当接したときに終る。
【００１１】
付着力に打勝った後、溝８の領域における旋回運動が可能であるから、組立後、周辺方向の内輪１のクリープによってセンサ１０又はその接続ケーブルの損傷は生ぜず、円筒状外表面１７上の保持リング９の嵌め込みはより強固となる。
【００１２】
とりわけ、車輪軸受の交換が必要であれ、内輪１は車軸ジャーナル２から引き出される。その場合、スナップ係合要素１１は、弾性的に屈曲して溝８から出る。固定嵌め合いにより保持リング９はそのままであり、従ってセンサ１０は正確にその位置にとどまる。代りの軸受の取付の場合には、スナップ係合要素１１が再び溝８内に係合し、そして軸受もセンサ装置６，１０も、運転準備ができている。
【００１３】
他の実施例として静止内輪を回転内輪に変更する事によってすべての上記の方法及び利点と同様の解決方法が、得られる。その場合、センサは、保持リングにより静止外輪に配置される。
【００１４】
【発明の効果】
本発明によるこの解決方法は、格安に製造でき、簡単に取付けられ、周囲方向の正確な位置を捜す必要がなく、且つ特に有利なことは、車輪軸受が取外され、そして代りの軸受を取付けることができ、その場合にセンサが車軸要素にそのまま残っていることである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
１ 静止内輪
２ 車軸ジャーナル
６ パルスディスク
９ 保持リング
１０ センサ
１１ スナップ係合要素
１２ 半径方向の自由空間
１７ 円筒状外表面

Claims (4)

1. 回転する軌道輪に配置されたパルスディスク（６）と、
   静止内輪（１）のリング溝内にスナップ係合要素（１１）を経て軸線方向にスナップ係合し、且つ周囲方向に摩擦嵌めして挿入されたセンサの保持リング（９）とを有している滑止ブレーキシステムのためのセンサ装置を有する車輪軸受において、
   前記保持リング（９）は、軸線方向の当接面（１４）で静止内輪（１）の支持面（１５）に当接し、この支持面（１５）により車軸ジャーナル（２）の円筒状外表面（１７）上の正確な位置に嵌合して取付てあり、
   かつ、前記保持リング（９）を車軸ジャーナル（２）の円筒状外表面（１７）に嵌合したままスナップ係合要素（１１）と静止内輪（１）との係合を解除して車輪軸受を着脱できることを特徴とする車輪軸受。
2. 保持リング（９）の外周に凸状のスナップ係合要素（１１）が設けられていることを特徴とする請求項１に記載の車輪軸受。
3. 保持リング（９）と車軸要素（２）との間の嵌合力が、静止内輪（１）と保持リング（９）との間の軸線方向のスナップ係合力よりも大きいことを特徴とする請求項１又は２に記載の車輪軸受。
4. 溝（８）がスナップ係合要素（１１）を弾性的に外すための半径方向の自由空間（１２）を備えている請求項１〜３のいずれか１つの項に記載の車輪軸受。

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