JP3646942B2 - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性、耐水性に優れ、しかも機械強度に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来、工業的に最も使用されているエポキシ樹脂としてビスフェノ−ルAにエピクロルヒドリンを反応させて得られる液状および固形のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂がある。その他液状のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂にテトラブロムビスフェノ−ルAを反応させて得られる難燃性臭素含有エポキシ樹脂などが汎用エポキシ樹脂として工業的に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したような汎用エポキシ樹脂は分子量が大きくなるにつれて、それを使用して得られる硬化物の耐熱性は低下するという欠点がある。また、汎用エポキシ樹脂にオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂を添加した場合、その硬化物の耐熱性は向上するものの、耐水性及び機械強度等の靭性が低下するという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこうした実状に鑑み、耐熱性、耐水性及び靭性に優れる硬化物を与えるエポキシ樹脂を求めて鋭意研究した結果、下記の特定のエポキシ樹脂がその硬化物に対して優れた耐熱性、耐水性及び機械強度等の靭性を付与するものであることを見い出して本発明を完成させるに到った。
【0005】
すなわち本発明は
(1)式(1)
【0006】
【化2】
【0007】
(式中、nは平均値を示し正数を表す。個々のP、Qは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基のいずれかを表し個々のP、Qは互いに同一であっても異なっていてもよい。Gはグリシジル基を表す。またn個存在するXは水素原子あるいはグリシジル基を表し、個々のXは互いに同一であっても異なっていてもよいが、n個あるXのうち0%以上95%以下はグリシジル基である。)
で表されるエポキシ樹脂、
【0008】
(2)上記(1)記載のエポキシ樹脂、硬化剤、必要により硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物、
(3)上記(2)記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物
を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
式(1)で表されるエポキシ樹脂のうち全てのXが水素原子であるものは、例えば、下記式(2)
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、P、Qは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
【0012】
で表される化合物とエピハロヒドリンとの反応をアルカリ金属水酸化物の共存化に行うことにより得ることが出来る。
【0013】
また、更に上記のようにして得られたエポキシ樹脂と式(2)で表される化合物とを、特定の割合で反応させることにより、式(1)におけるnの値がより大きな高分子化物を得ることも出来る。式(1)におけるnは平均値を示し正数を表すが、好ましくはn=0.001〜0.5、特に好ましくはn=0.01〜4である。
【0014】
更に、式(1)においてn個あるXがグリシジル基である割合(以下グリシジル化率という)が0%より大きく、95%以下であるものは、前述の方法で得られたエポキシ樹脂とエピハロヒドリンとの反応をジメチルスルホキシド、4級アンモニウム塩または1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとアルカリ金属水酸化物の共存下に行うことにより得ることが出来る。
本発明者らはこれらの方法で得られたエポキシ樹脂のアルコール性水酸基は一般のアルコール類のそれより反応性に富んでおり、例えばジメチルスルホキシド、4級アンモニウム塩または1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとアルカリ金属水酸化物を共存させることにより驚くべきことに該アルコール性水酸基と反応混合物中に存在するエポキシ基との反応において、あらたに加えたエピハロヒドリン由来のエポキシ基のみとの反応を選択的に行え、さらにアルカリ金属水酸化物の量を調節することにより式(1)で表されるエポキシ樹脂のアルコール性水酸基を所望の割合にエポキシ化出来ることを見いだし本発明を完成させるに至った。
【0015】
以下、本発明の詳細を説明する。
式(2)で表される化合物の一般的な製法としては下記式(3)で表される
【0016】
【化4】
【0017】
(式中、Rは水酸基、或はハロゲン、或はメトキシ基、エトキシ基を表す。またQは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
【0018】
化合物とフェノール類とを酸触媒下で縮合反応させることが例示されるが、この限りではない。
【0019】
ここでフェノール類とはフェノール性水酸基を少なくとも1個有する化合物が挙げられ、具体的に例示するとフェノール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソブチルフェノール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール、メチルブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール等のアルキルフェノールの各種o−、m−、p−異性体、またはモノブロモフェノール、ジブロモフェノール、トリブロモフェノール等のハロゲン置換フェノール、またはビニルフェノール、アリルフェノール、プロペニルフェノール、エチニルフェノール等の各種o−、m−、p−異性体、またはシクロペンチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、シクロヘキシルクレゾール、シクロヘキシルクレゾール等のシクロアルキルフェノールの置換フェノール等が挙げられる。
【0020】
上記縮合反応を行う場合、フェノール類の使用量は式(3)で表される化合物1モルに対して通常1.5〜20モル、好ましくは2〜10モルである。
【0021】
上記縮合反応においては酸触媒を用いるのが好ましく、酸触媒としては種々のものが使用できるが塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の無機あるいは有機酸、三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸が好ましく、特に塩酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。これら酸触媒の使用量は特に限定されるものではないが式(3)で表される化合物1モルに対して通常0.01〜50モルである。
【0022】
上記縮合反応の後、反応生成物を有機溶剤に溶解して中和或は水洗により酸触媒を除去する。この場合用いうる有機溶剤の具体例としてはトルエン、キシレン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられるが、トルエンが好ましい。有機溶剤の使用量は仕込んだ原料の総重量に対して通常50〜300重量%、好ましくは100〜250重量%である。
【0023】
次に加熱減圧下で油層を濃縮し、未反応のフェノール類及び有機溶剤を除去することによりガラス状固体を得る。得られたガラス状固体をトルエン、キシレン、メチルイソブチルケトンなどの有機溶剤に溶解し、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の貧溶媒を加えて、再結晶させることにより式(2)で表される化合物を得ることができる。
【0024】
式(1)で表されるエポキシ樹脂のうちXが全て水素原子であるものを得る方法としては公知の方法が採用できる。例えば式(2)で表される化合物と過剰のエピハロヒドリンの溶解混合物にアルカリ金属水酸化物を添加し、または添加しながら20〜120℃の温度で1〜20時間反応させることにより得ることが出来る。用いうるアルカリ金属水酸化物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられるが、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
【0025】
上記反応において、アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。
【0026】
又、式(2)で表される化合物とエピハロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩を触媒として添加し50〜150℃で反応させて得られるハロヒドリンエーテル化物に前記アルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、20〜120℃の温度で1〜20時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよい。第4級アンモニウム塩の使用量は、式(2)で表される化合物中のフェノール性水酸基1個に対して通常0.1〜10g、好ましくは0.5〜8gである。
【0027】
通常これらの反応において使用されるエピハロヒドリンの量は式(2)で表される化合物の水酸基1当量に対し、通常1〜20モル、好ましくは1.5〜10モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量は式(2)で表される化合物の水酸基1当量に対し0.8〜1.5モル、好ましくは0.9〜1.1モルである。更に反応を円滑に進行させるためにメタノール、エタノール等のアルコール類の他、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが好ましい。
【0028】
アルコール類を添加する場合、その使用量はエピハロヒドリンの使用量に対して通常2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%である。また非プロトン性極性溶媒を添加する場合、その使用量はエピハロヒドリンの使用量に対して通常5〜100重量%、好ましくは10〜90重量%である。
【0029】
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下、エピハロヒドリンや、他の添加溶媒などを除去することにより式(1)のエポキシ樹脂のうち全てのXが水素原子であるエポキシ樹脂を得ることができる。
【0030】
またこのようにして得られたエポキシ樹脂と式(2)で表される化合物とを塩基性触媒の存在下反応させることにより、式(1)においてnの値がより大きい高分子量のエポキシ樹脂を得ることができる。この高分子化反応において、各成分の仕込比は、上記反応で得られたエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し式(2)で表される化合物の水酸基0〜0.9当量が好ましく、特に0〜0.85当量が好ましい。
【0031】
用いうる塩基性触媒の具体例としては、トリフェノルホスフィン、水酸化ナトリウム、4級アンモニウム塩、イミダゾール類などが挙げられ、その使用量は上記エポキシ樹脂1当量に対して通常0.001〜1.0重量%、好ましくは0.005〜0.5重量%である。また溶剤を用いる場合は、メチルイソブチルケトン、トルエンなどが挙げられる。反応温度は通常60〜200℃、好ましくは70〜190℃である。また反応時間は通常0.5〜20時間、好ましくは1〜15時間である。このようにして式(1)における全てのXが水素原子である(グリシジル化率が0%である)エポキシ樹脂を得ることができる。
【0032】
式(1)においてグリシジル化率が0%であるエポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピハロヒドリンとの反応はジメチルスルホキシドまたは4級アンモニウム塩または1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンと水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物の共存下、アルカリ金属水酸化物の量を調節することにより行うことができる。その際溶剤としてメタノールやエタノール等のアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン等の環状及びエーテル化合物などを併用しても構わない。
【0033】
ジメチルスルホキシドあるいは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの使用量は原料として使用するエポキシ樹脂に対して5〜300重量%が好ましい。原料のエポキシ樹脂に対して300重量%を超えると増量した効果は殆どなくなる一方容積効率も悪くなり好ましくない。
【0034】
用いうる4級アンモニウム塩の具体例としてはテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられ、その使用量は原料として使用するエポキシ樹脂のエポキシ化させたいアルコール性水酸基1当量に対して通常0.3〜50gである。エポキシ化させたい水酸基1当量に対して0.3g未満であると原料として使用するエポキシ樹脂の水酸基とエピハロヒドリンとの反応が遅くなり長時間の反応が必要となり好ましくない。エポキシ化させたいアルコール性水酸基1当量に対して50gを超えると増量した効果は殆どなくなる一方コストが高くなり好ましくない。
【0035】
エピハロヒドリンの使用量は原料として使用するエポキシ樹脂のエポキシ化させたいアルコール性水酸基1当量に対して当量以上使用すればよい。しかしながらエポキシ化させたい水酸基1当量に対して20倍当量を超えると増量した効果は殆どなくなる一方、容積効率も悪くなり好ましくない。
【0036】
アルカリ金属水酸化物の使用量は原料として使用するエポキシ樹脂のエポキシ化させたいアルコール性水酸基1当量に対して1〜2倍当量使用すればよい。アルカリ金属水酸化物は固形でも水溶液でも構わない。また水溶液を使用する場合は反応中、反応系内の水は常圧下、または減圧下において反応系外に留去しながら反応を行うこともできる。
【0037】
反応温度は通常20〜100℃、反応時間は通常1〜20時間である。反応温度が20℃未満であると反応が遅くなり長時間の反応が必要となる。反応温度が100℃を超えると副反応が多く起こり好ましくない。
【0038】
本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂との併用で通常のエポキシ樹脂の場合と同様に硬化剤、さらに必要により硬化促進剤等を添加することにより硬化させることができる。
本発明で用いる硬化剤はとしてはアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノ−ルノボラック、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF3 −アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられる。これらの硬化剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0039】
これらの硬化剤の使用量は、エポキシ基に対して通常0.7〜1.2当量である。エポキシ基に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0040】
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の有機金属化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要により用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、さらに、必要に応じて無機または有機の充填剤等の種々の配合剤を添加することができる。
【0041】
本発明のエポキシ樹脂、硬化剤更に必要により硬化促進剤の配合された本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば本発明のエポキシ樹脂と硬化剤、必要により硬化促進剤及び種々の配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合してエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を溶融後注型あるいはトランスファ−成形機などを用いて成形し、さらに80〜200℃に加熱することにより硬化物を得ることができる。
【0042】
また本発明のエポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して硬化物を得ることなどもできる。
【0043】
この際用いうる希釈溶剤の具体例としてはメチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、エポキシ樹脂組成物と該希釈溶剤の混合物において通常10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%を占める量が使用される。
【0044】
【実施例】
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。尚、ガラス転移温度、吸水率、曲げ強度の測定条件は次の通りである。
ガラス転移温度
熱機械測定装置(TMA):真空理工(株)製 TM−7000
昇温速度:2℃/min
100℃の水中で20時間煮沸した後の重量増加率(%)
曲げ強度
JIS K−6911に準じて測定
【0045】
実施例1
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコにフェノール3760部、下記式(4)
【0046】
【化5】
【0047】
で表される化合物350部、p−トルエンスルホン酸(1水和物)7.6部を仕込み130℃で5時間反応させた。反応終了後30%水酸化ナトリウム水溶液5.4部を加えた後、水洗を行った。次いで未反応物を加熱減圧下に除去し、ガラス状固体を得た。次いでトルエン/n−ヘプタン中で再結晶を行った後、結晶を冷トルエンで洗浄し、減圧乾燥することにより下記式(5)
【0048】
【化6】
【0049】
で表される化合物406部を得た。
【0050】
次いで、温度計、冷却官、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら前記式(5)で表される化合物290部、エピクロルヒドリン740部、ジメチルスルホキシド185部を仕込み溶解させた。更に45度に加熱しフレーク状水酸化ナトリウム80部を100分かけて分割添加し、その後、更に45℃で2時間、70℃で1時間反応させた。反応終了後ロータリエバポレーターを使用し130℃、5mHgの加熱減圧下で、過剰のエピクロルヒドリン及びジメチルスルホキシドを留去し、残留物に800部のメチルイソブチルケトンを加え、溶解した。
【0051】
更に、このメチルイソブチルケトンの溶液を70℃に加熱し30重量%の水酸化ナトリウム水溶液20部を添加し1時間反応させた後、水洗を繰り返しpHを中性とした。更に水層は分離除去し、ロータリーエバポレーターを使用して油層から加熱減圧下メチルイソブチルケトンを留去し下記式(6)
【0052】
【化7】
【0053】
(式中nは0.06(平均値)であり、Gはグリシジル基、Xは水素原子をそれぞれ表す。)
【0054】
で表される本発明のエポキシ樹脂(A)390部を得た。得られたエポキシ樹脂(液状)のエポキシ当量は211g/eqであった。
【0055】
実施例2
実施例1においてフェノールの代わりにo−クレゾール4320部を用いて同様に反応を行い、下記式(7)
【0056】
【化8】
【0057】
で表される化合物421部を得た。
【0058】
次いで前記式(7)で表される化合物318部を用いた以外は実施例1と同様に反応を行い、下記式(8)
【0059】
【化9】
【0060】
(式中、nは0.08(平均値)であり、Gはグリシジル基、Xは水素原子をそれぞれ表す。)
【0061】
で表される本発明のエポキシ樹脂404部を得た。得られたエポキシ樹脂(B)(液状)のエポキシ当量は230g/eqであった。
【0062】
実施例3〜4、比較例1
エポキシ樹脂(A)、(B)、比較としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、エポキシ当量186g/eq、油化シェルエポキシ(株)製)硬化剤としてジアミノジフェニルメタン(DDM)を用い、表1の配合物の組成の欄に示す組成で配合して、70℃で15分ロールで混練し、150℃、180秒でトランスファー成形して、その後160℃で2時間、更に180℃で8時間硬化せしめて試験片を作成し、ガラス転移温度、吸水率及び曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。尚、表1において配合物の組成の欄の数値は部を表す。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例5
実施例1で得られたエポキシ樹脂(A)211部と式(5)で表される化合物61部、及びメチルイソブチルケトン80部をフラスコに仕込み、撹拌溶解した後、トリフェニルホスフィン0.2部を添加し、撹拌下120℃でメチルイソブチルケトンを減圧留去し、更に150℃で2時間反応を行い前記式(6)においてXが全て水素原子でありnの値が1.55(平均値)である、エポキシ当量470g/eq、軟化点82.3℃の本発明のエポキシ樹脂(C)273部を得た。
【0065】
実施例6
実施例5で得られたエポキシ樹脂(C)121部をエピクロルヒドリン259部に撹拌溶解させた後、撹拌下40℃でテトラメチルアンモニウムクロライド1部を添加した。その後フレーク状水酸化ナトリウム10.4部を添加し、更に3時間反応を行った。反応終了後水120部を加え水洗を行った。油水分離後、油層より未反応のエピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、本発明のエポキシ樹脂(D)122部を得た。得られたエポキシ樹脂は式(6)においてnの値が1.55、エポキシ当量が311g/eq、軟化点は65.2℃であった。また得られたエポキシ樹脂はエポキシ当量から計算するとグリシジル化率は80%であった。
【0066】
実施例7
フレーク状水酸化ナトリウムの使用量を8部に変えたほかは実施例6と同様にしてエポキシ樹脂(E)119部を得た。得られたエポキシ樹脂は式(6)においてnの値が1.55、エポキシ当量が339g/eq、軟化点68.3℃であった。また得られたエポキシ樹脂は、エポキシ当量から計算するとグリシジル化率は60%であった。
【0067】
実施例8
実施例2で得られたエポキシ樹脂(B)230部と式(7)で表される化合物65部、及びメチルイソブチルケトン90部をフラスコに仕込み、撹拌溶解した後、トリフェニルホスフィン0.2部を添加し、撹拌下120℃でメチルイソブチルケトンを減圧留去し、更に150℃で2時間反応を行い前記式(8)においてXが全て水素原子でありnの値が1.53(平均値)である、エポキシ当量502g/eq、軟化点88.6℃の本発明のエポキシ樹脂(F)286部を得た。
【0068】
実施例9
実施例8で得られたエポキシ樹脂(F)131部をエピクロルヒドリン259部に撹拌溶解させた後、撹拌下40℃でテトラメチルアンモニウムクロライド1部を添加した。その後フレーク状水酸化ナトリウム9.3部を添加し、更に3時間反応を行った。反応終了後水120部を加え水洗を行った。油水分離後、油層より未反応のエピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、本発明のエポキシ樹脂(G)133部を得た。得られたエポキシ樹脂は式(8)においてnの値が1.53、エポキシ当量が346g/eq、軟化点は72.3℃であった。また得られたエポキシ樹脂はエポキシ当量から計算するとグリシジル化率は70%であった。
【0069】
実施例10
フレーク状水酸化ナトリウムの使用量を6.7部に変えたほかは実施例9と同様にして本発明のエポキシ樹脂(H)129部を得た。得られたエポキシ樹脂は式(8)においてnの値が1.53、エポキシ当量が379g/eq、軟化点78.6℃であった。また得られたエポキシ樹脂は、エポキシ当量から計算するとグリシジル化率が50%であった。
【0070】
実施例11〜16、比較例2
エポキシ樹脂(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、比較としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポミックR−301、エポキシ当量468g/eq、三井石油化学(株)製)、硬化剤としてフェノールノボラック(水酸基当量106g/eq、軟化点80℃)を用い、表2の配合物の組成の欄に示す組成で配合して、70℃で15分ロールで混練し、150℃、180秒でトランスファー成形して、その後160℃で2時間、更に180℃で8時間硬化せしめて試験片を作成し、ガラス転移温度、吸水率及び曲げ強度を測定した。結果を表2に示す。尚、表2において配合物の組成の欄の数値は部を表す。
【0071】
【表2】
【0072】
本発明のエポキシ樹脂を用いて得られる硬化物は、従来使用されてきた汎用エポキシ樹脂のそれと比較して、表1〜2より明かなように耐熱性、耐水性及び機械強度に優れるという特性を兼ね備えている。
【0073】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂は耐熱性、耐水性及び機械強度に優れた硬化物を与えることができ、成形材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジストなどの広範囲の用途に極めて有用である。
Claims (3)
- 請求項1記載のエポキシ樹脂、硬化剤、必要により硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物。
- 請求項2記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25205395A JP3646942B2 (ja) | 1994-09-06 | 1995-09-06 | エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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