JP3646004B2 - 無段変速機用ベルト - Google Patents

無段変速機用ベルト Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無端状の金属リングを複数枚積層した金属リング集合体に多数の金属エレメントを支持してなる無段変速機用ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
無段変速機の金属ベルトがドライブプーリおよびドリブンプーリのV面に挟圧されると該金属ベルトに張力が発生し、その張力は両プーリから受ける駆動力および制動力により変化するため、各金属リングの引張応力は金属ベルトの循環に伴って周期的に変化する。また循環する金属ベルトはプーリ巻付部で曲げられ、かつプーリ間の弦部で引き延ばされるため、各金属リングの曲げ応力も周期的に変化する。その結果、各金属リングに作用するトータルの応力(前記引張応力および前記曲げ応力の和)は金属ベルトの1回転を1周期として周期的に変化する。
【0003】
そこで、金属リング集合体の各金属リングの外周面に圧縮残留応力を付与し、内周面に引張残留応力を付与することにより、周期的に変化する各金属リングの応力振幅の中心値(応力中心値)を可能な限り0に近付けて疲労寿命の延長を図るものが特開昭57−57938号公報により提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかる金属リング集合体の最内層の金属リングは金属エレメントのサドル面に当接するのに対し、それ以外の金属リングの内周面は他の金属リングの外周面に当接するため、両者の当接部の摩擦係数は異なった値になる。具体的には、金属エレメントのサドル面に当接する最内層の金属リングの内周面の摩擦係数は、それ以外の金属リングの内周面の摩擦係数よりも大きいことが実測により判明している。その結果、後から実施例において詳述するように、最内層の金属リングの張力変化量(1周期における張力の最大値と最小値との差)は他の金属リングの張力変化量よりも大きくなってしまう。
【0005】
しかしながら、上記従来のものは最内層の金属リングと他の金属リングとを区別せずに、全ての金属リングの外周面に圧縮残留応力を付与し、内周面に引張残留応力を付与しているので、張力変化量の大きい厳しい条件で使用される最内層の金属リングの耐久性によって金属ベルト全体の耐久性が制限されてしまう問題がある。また実際の破損開始点は最内層の金属リングの内周面であるため、金属リングの外周面ではなく内周面の応力振幅σaおよび応力中心値σmに着目しなければならず、前記応力中心値σmは正(引張)であるために金属リングの内周面に引張残留応力を付与すると応力中心値σmが増大して寿命を縮めてしまう問題がある。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、最も破断し易い最内層の金属リングの内周面の疲労寿命を延長して金属リング集合体全体としての耐久性を向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、無端状の金属リングを複数枚積層した金属リング集合体に多数の金属エレメントを支持してなる無段変速機用ベルトにおいて、金属エレメントのサドル面に接触する最内層の金属リングの少なくとも内周面に、最内層以外の金属リングの圧縮残留応力よりも大きい圧縮残留応力を付与したことを特徴とする。
【0008】
また請求項2に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、最内層の金属リングの内周面の応力振幅σa1 および応力中心値σm1 により規定される疲労寿命が、最内層以外の金属リングの内周面の応力振幅σan および応力中心値σmn により規定される疲労寿命と等しくなるように、最内層の金属リングの少なくとも内周面に圧縮残留応力を付与したことを特徴とする。
【0009】
【作用】
金属エレメントのサドル面に接触する最内層の金属リングの内周面の摩擦係数が、相互に接触する金属リング間の摩擦係数よりも大きくなるため、最内層の金属リングの張力変化量はそれ以外の金属リングの張力変化量よりも大きくなり、前記張力変化に伴う最内層の金属リングの応力振幅が他の金属リングの応力振幅よりも大きくなる。その結果、前記金属リングの引張応力に金属リングの曲げ応力を加えたトータルの応力を考えた場合、最内層の金属リングの内周面のトータルの応力振幅は他の金属リングの内周面のトータルの応力振幅よりも大きくなり、かつ最内層の金属リングの内周面の応力中心値は他の金属リングの内周面の応力中心値よりも大きくなる。
【0010】
そこで、使用条件の最も厳しい前記最内層の金属リングの内周面に圧縮残留応力を付与し、最内層リングの応力振幅の応力中心値を0に接近させ、あるいは0に一致させることにより最内層の金属リングの耐久性を高め、金属リング集合体全体としての寿命を延長することができる。
【0011】
特に、最内層の金属リングの疲労寿命が他の金属リングの疲労寿命と等しくなるように前記圧縮残留応力の大きさを設定することにより、金属リング集合体全体としての寿命を最も有効に延長することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図10は本発明の一実施例を示すもので、図1は無段変速機を搭載した車両の動力伝達系のスケルトン図、図2は金属ベルトの部分斜視図、図3は金属リングに作用する引張応力の説明図、図4は金属リングに作用する力の釣合いを示す図、図5は摩擦係数比ξに対するΔT1 /ΔTALL の変化を示すグラフ、図6は金属リングの自由状態および使用状態の形状の説明図、図7は金属リングの内周面に作用する引張応力の変化を示すグラフ、図8は金属リングの内周面に作用する曲げ応力の変化を示すグラフ、図9は金属リングの内周面に作用する全応力の変化を示すグラフ、図10は金属リングの等寿命線を示す図である。
【0014】
図1は自動車に搭載された金属ベルト式無段変速機Tの概略構造を示すもので、エンジンEのクランクシャフト1にダンパー2を介して接続されたインプットシャフト3は発進用クラッチ4を介して金属ベルト式無段変速機Tのドライブシャフト5に接続される。ドライブシャフト5に設けられたドライブプーリ6は、ドライブシャフト5に固着された固定側プーリ半体7と、この固定側プーリ半体7に対して接離可能な可動側プーリ半体8とを備えており、可動側プーリ半体8は油室9に作用する油圧で固定側プーリ半体7に向けて付勢される。
【0015】
ドライブシャフト5と平行に配置されたドリブンシャフト10に設けられたドリブンプーリ11は、ドリブンシャフト10に固着された固定側プーリ半体12と、この固定側プーリ半体12に対して接離可能な可動側プーリ半体13とを備えており、可動側プーリ半体13は油室14に作用する油圧で固定側プーリ半体12に向けて付勢される。ドライブプーリ6およびドリブンプーリ11間に、左右の一対の金属リング集合体31,31に多数の金属エレメント32…を支持してなる金属ベルト15が巻き掛けられる(図2参照)。それぞれの金属リング集合体31は、12枚の金属リング33…を積層してなる。
【0016】
ドリブンシャフト10には前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ17が相対回転自在に支持されており、これら前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ17はセレクタ18により選択的にドリブンシャフト10に結合可能である。ドリブンシャフト10と平行に配置されたアウトプットシャフト19には、前記前進用ドライブギヤ16に噛合する前進用ドリブンギヤ20と、前記後進用ドライブギヤ17に後進用アイドルギヤ21を介して噛合する後進用ドリブンギヤ22とが固着される。
【0017】
アウトプットシャフト19の回転はファイナルドライブギヤ23およびファイナルドリブンギヤ24を介してディファレンシャル25に入力され、そこから左右のアクスル26,26を介して駆動輪W,Wに伝達される。
【0018】
而して、エンジンEの駆動力はクランクシャフト1、ダンパー2、インプットシャフト3、発進用クラッチ4、ドライブシャフト5、ドライブプーリ6、金属ベルト15およびドリブンプーリ11を介してドリブンシャフト10に伝達される。前進走行レンジが選択されているとき、ドリブンシャフト10の駆動力は前進用ドライブギヤ16および前進用ドリブンギヤ20を介してアウトプットシャフト19に伝達され、車両を前進走行させる。また後進走行レンジが選択されているとき、ドリブンシャフト10の駆動力は後進用ドライブギヤ17、後進用アイドルギヤ21および後進用ドリブンギヤ22を介してアウトプットシャフト19に伝達され、車両を後進走行させる。
【0019】
このとき、金属ベルト式無段変速機Tのドライブプーリ6の油室9およびドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧を、電子制御ユニットU1 からの指令で作動する油圧制御ユニットU2 で制御することにより、その変速比が無段階に調整される。即ち、ドライブプーリ6の油室9に作用する油圧に対してドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧を相対的に増加させれば、ドリブンプーリ11の溝幅が減少して有効半径が増加し、これに伴ってドライブプーリ6の溝幅が増加して有効半径が減少するため、金属ベルト式無段変速機Tの変速比はLOWに向かって無段階に変化する。逆にドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧に対してドライブプーリ6の油室9に作用する油圧を相対的に増加させれば、ドライブプーリ6の溝幅が減少して有効半径が増加し、これに伴ってドリブンプーリ11の溝幅が増加して有効半径が減少するため、金属ベルト式無段変速機Tの変速比はTOPに向かって無段階に変化する。
【0020】
図3は、車両が最高速度走行状態(TOP状態)にあって、ドライブプーリ6の有効半径がドリブンプーリ11の有効半径よりも大きくなった状態を示しており、同図における金属ベルト15の厚さは該金属ベルト15の張力に起因する各金属リング33…の引張応力の大小を模式的に表している。金属ベルト15がドリブンプーリ11からドライブプーリ6に戻る戻り側の弦部(A領域)において前記応力は一定値σTLOW であり、金属ベルト15がドライブプーリ6からドリブンプーリ11に送り出される往き側の弦部(C領域)において前記応力は一定値σTHIGHである。A領域の応力σTLOW はC領域の応力σTHIGHよりも小さく、金属ベルト15がドライブプーリ6に巻き付く部分(B領域)において、その入口側から出口側にかけて応力はσTLOW からσTHIGHまで増加し、金属ベルト15がドリブンプーリ11に巻き付く部分(D領域)において、その入口側から出口側にかけて応力はσTHIGHからσTLOW まで減少する。
【0021】
金属ベルト15の張力は一対の金属リング集合体31,31によって均等に分担され、かつ各金属リング集合体31の張力は、その金属リング集合体31を構成する12枚の金属リング33…により分担される。そのとき、金属エレメント32のサドル面321 に接触する最内層の金属リング33を除く内側から2層目〜12層目の11枚の金属リング33の応力は相互に等しくなるが、前記最内層の金属リング33の応力は前記2層目〜12層目の金属リング33の応力と異なった値になる。以下、その理由を図4を参照しながら説明する。
【0022】
先ず、簡易モデルとして、金属リング集合体が3層の金属リングから構成される場合を考える。プーリ巻き付き部における最外層の第3層リングおよびその内側の第2層リング間に作用する垂直抗力をNとすると、第2層リングおよび第1層リング間に作用する垂直抗力は2Nとなり、更に第1層リングおよび金属エレメントのサドル面間に作用する垂直抗力は3Nとなる。ここで相互に接触する金属リング間の摩擦係数(以下、リング−リング間摩擦係数という)をμSSとし、金属リングおよび金属エレメント間の摩擦係数(以下、リング−エレメント間摩擦係数という)をμS とし、第1層リング、第2層リングおよび第3層リングの荷重をそれぞれF1 ,F2 ,F3 とすると、各層の金属リングの張力変化量であるΔT1 ,ΔT2 ,ΔT3 は、以下の(1)〜(3)式で与えられる。
【0023】
ΔT3 =F3 =μSSN …(1)
ΔT2 =F2 −F3 =2μSSN−μSSN=μSSN …(2)
ΔT1 =F1 −F2 =3μS N−2μSSN …(3)
即ち、内周面の摩擦係数がμSSが等しい第2層リングおよび第3層リングの張力変化量ΔT2 ,ΔT3 は何れもμSSNに等しくなるが、内周面の摩擦係数がμS である第1層リングに作用する張力変化量ΔT1 は、前記ΔT2 ,ΔT3 と異なる3μS N−2μSSNとなる。
【0024】
ΔT1 とΔT2 との比は、
ΔT1 /ΔT2 =(3μS N−2μSSN)/μSSN …(4)
で与えられ、この(4)式を金属リングの積層枚数がnの場合に拡張すると、
ΔT1 /ΔT2 ={nμS −(n−1)μSS}/μSS …(8)
が得られる。
【0025】
ここで、リング−エレメント間摩擦係数μS とリング−リング間摩擦係数μSSとの比である摩擦係数比をξ(=μS /μSS)とすると、前記(8)式は次のように書き換えられる。
【0026】
ΔT1 /ΔT2 =nξ−(n−1)=n(ξ−1)+1 …(9)
金属リング集合体を構成するn枚の金属リングの張力変化量ΔT1 〜ΔTnの総和ΔTALL は、
Figure 0003646004
で与えられ、従って前記(9)式および(10)式からΔT2 を消去すると、
ΔT1 /ΔTALL ={n(ξ−1)+1}/nξ …(11)が得られる。前記(11)式は、金属リング集合体に含まれる金属リングの積層枚数nが決まり、且つリング−エレメント間摩擦係数μS とリング−リング間摩擦係数μSSとの比である摩擦係数比ξが決まれば、金属リング集合体全体の張力変化量ΔTALL に対する最内層金属リングの張力変化量ΔT1 の比率が決まることを示している。
【0027】
図5のグラフは、金属リング集合体が12枚の金属リングから構成される場合(即ち、n=12)における、ΔT1 /ΔTALL の値を、種々の摩擦係数比ξについて計算した結果を示すものである。過去の経験および実測した結果によれば、最内層の金属リングと、その他の金属リングとに同じものを採用すると、リング−エレメント間摩擦係数μS はリング−リング間摩擦係数μSSよりも大きな値になるため、摩擦係数比ξ=μS /μSSは1.0よりも大きくなる。
【0028】
仮に、リング−リング間摩擦係数μSSおよびリング−エレメント間摩擦係数μS を一致させたとすると、摩擦係数比ξ=1.0になってΔT1 /ΔTALL =0.08になり、最内層の金属リングは他の11枚の金属リングと同じ張力変化量、即ち金属リング集合体全体の張力変化量の総和ΔTALL の12分の1の約8%を受け持つことになる。しかしながら、実際には摩擦係数比ξは1.0よりも大きな値を持つため、最内層の金属リングの張力変化量ΔT1 は、他の11枚の金属リングのそれぞれの張力変化量ΔTn (該11枚の金属リングについて一定)よりも大きくなる。
【0029】
図7のグラフは、車両が図3で説明した最高速度走行状態にあるときの、最内層の金属リングの引張応力σT1 の変化と、他の11枚の金属リングの引張応力σTn の変化とを示すものである。同図における二点鎖線は最内層の金属リングの引張応力σT1 の変化を示し、一点鎖線は最内層以外の11枚の金属リングの引張応力σTn の変化を示している。上述したリング−エレメント間摩擦係数μS とリング−リング間摩擦係数μSSとの不一致により、最内層の金属リングの張力変化量ΔT1 (つまり応力変化量ΔσT1 )は他の金属リングの張力変化量ΔTn (つまり応力変化量ΔσTn )よりも大きくなり、戻り側弦部(A領域)における最内層の金属リングの最小引張応力σT1-LOW は他の金属リングの最小引張応力σTn-LOW よりも小さくなり、往き側弦部(C領域)における最内層の金属リングの最大引張応力σT1-HIGHは他の金属リングの最大引張応力σTn-HIGHよりも大きくなる。
【0030】
金属リングには前記張力に基づく引張応力に加えて、金属リングに曲げに基づく引張応力および圧縮応力が作用する。図6に示すように自由状態の金属リングは円形であるが、使用状態の金属リングは前記A領域〜D領域を有する形状に変形する。戻り側弦部(A領域)および往き側弦部(C領域)では自由状態でR0 であった曲率半径が∞に増加し、大径側のドライブプーリに巻き付くB領域では自由状態でR0 であった曲率半径がRDRに減少し、小径側のドリブンプーリに巻き付くD領域では自由状態でR0 であった曲率半径がRDNに減少する。
【0031】
このように金属リングの曲率半径が増加するA領域およびC領域では、該金属リングの内周面に引張曲げ応力が作用し、外周面に圧縮曲げ応力が作用する。一方、金属リングの曲率半径が減少するB領域およびD領域では、該金属リングの内周面に圧縮曲げ応力が作用し、外周面に引張曲げ応力が作用する。これら圧縮曲げ応力および引張曲げ応力は、最内層の金属リングおよび他の金属リングの両方について同一である。
【0032】
図8のグラフは、車両が図3で説明した最高速度走行状態にあるときの、12枚の金属リングのそれぞれの内周面に作用する曲げ応力を示すものである。同図から明らかなように、各金属リングの内周面には、その2つの弦部(A領域およびC領域)に一定の引張曲げ応力σVSTが作用し、曲率半径が大きい方のドライブプーリに巻き付くB領域では比較的に小さな圧縮曲げ応力σVDRが作用し、曲率半径が小さい方のドリブンプーリに巻き付くD領域では比較的に大きな圧縮曲げ応力σVDNが作用する。
【0033】
図9のグラフは、図7に示す金属リングの張力に基づいて作用する応力と、図8に示す金属リングの曲げに基づいて該金属リングの内周面に作用する応力とを加算したもので、太い破線は最内層の金属リングの内周面に作用するトータルの応力の変化を示しており、実線は他の金属リングの内周面に作用するトータルの応力の変化を示している。同図から明らかなように、最内層の金属リングの応力中心値σm1 と、他の金属リングの応力中心値σmn とは一致しているが、最内層の金属リングの応力振幅σa1 は、他の金属リングの応力振幅σan よりも大きくなっている。両応力振幅σa1 ,σan の偏差は、図7で説明した最内層の金属リングの応力変化量ΔσT1 と他の金属リングの応力変化量ΔσTn との偏差に起因している。
【0034】
その結果、最内層の金属リングの疲労寿命が他の金属リングの疲労寿命よりも短くなり、最内層の金属リングの破断によって金属ベルトの寿命が尽きる可能性が高くなる。そこで、図9に細い破線で示すように、最内層の金属リングの振幅中心値σm1 を0に近づければ、つまり最内層の金属リングの振幅中心値σm 1 ′=0とすれば、最内層の金属リングの疲労寿命が延長されて他の金属リングの疲労寿命に接近あるいは一致し、金属ベルト全体としての寿命を延長することができる。最内層の金属リングの振幅中心値σm1 は0よりも引張側にずれているため、該最内層の金属リングの少なくとも内周面に圧縮残留応力を付与しておけば、その応力中心値σm1 を0に近づけることができる。
【0035】
図10は横軸に応力中心値σmを取り、縦軸に応力振幅σaを取ったもので、同一の等寿命線上の各点は疲労寿命が等しくなる応力中心値σmおよび応力振幅σaの組み合わせを示しており、等寿命線L上のP1 点は最内層の金属リングの応力状態に対応し、等寿命線L′上のPn 点は他の金属リングの応力状態に対応している。P1 で示される最内層の金属リングは、その応力振幅σa1 が他の金属リングの応力振幅σan よりも大きい分だけ疲労寿命が小さくなっている。このとき、最内層の金属リングの応力中心値をσm1 から0に向けて減少させてσm1 ′に一致させれば、最内層の金属リングの応力状態P1 は等寿命線L上から他の金属リングの等寿命線であるL′上のP1 ′に移動し、その結果、12枚の全ての金属リングが同一の等寿命線L′に乗って疲労寿命が同一になり、金属ベルト全体としての耐久性が向上する。
【0036】
また最内層の金属リングの応力中心値をσm1 から0まで減少させれば、最内層の金属リングの応力状態P1 は等寿命線L上から更に疲労寿命の大きい等寿命線であるL″上のP1 ″に移動し、その結果、最内層の金属リングの疲労寿命は更に延長される。これと同時に、他の金属リングの応力中心値をσmn を0に向けて減少させて前記等寿命線L″上に乗せれば、金属ベルト全体としての耐久性を一層効果的に高めることができる。
【0037】
金属リングの応力中心値σm1 ,σmn を減少させるには該金属リングの少なくとも内周面に圧縮残留応力を付与すれば良く、圧縮残留応力を付与する具体的手段としては、ショットブラストやウオータジェットにより金属リングの表面に微小な粒子を衝突させる方法がある。特に、ウオータジェットを施す場合に水に小径のガラス球を混合すれば、衝突の衝撃でガラス球が破砕することにより、金属リングの表面に深い傷を生じさせることなく圧縮残留応力を付与することができる。
【0038】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0039】
例えば、金属リングに圧縮残留応力を付与する手段として、圧延や熱処理等の他の手段を用いることができる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、応力振幅が最も大きくなる最内層の金属リングの少なくとも内周面に圧縮残留応力を付与して該最内層リングの応力中心値を0に接近させることにより、最内層の金属リングの疲労寿命を高め、全ての金属リングの疲労寿命を均一化して金属リング集合体全体としての耐久性を高めることができる。
【0041】
また請求項2に記載された発明によれば、最内層の金属リングの疲労寿命が他の金属リングの疲労寿命と等しくなるように前記圧縮残留応力の大きさを設定することにより、金属リング集合体全体としての寿命を最も有効に延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルト式無段変速機を搭載した車両の動力伝達系のスケルトン図
【図2】金属ベルト部分斜視図
【図3】金属リングに作用する引張応力の説明図
【図4】金属リングに作用する力の釣合いを示す図
【図5】摩擦係数比ξに対するΔT1 /ΔTALL の変化を示すグラフ
【図6】金属リングの自由状態および使用状態の形状の説明図
【図7】金属リングの内周面に作用する引張応力の変化を示すグラフ
【図8】金属リングの内周面に作用する曲げ応力の変化を示すグラフ
【図9】金属リングの内周面に作用する全応力の変化を示すグラフ
【図10】金属リングの等寿命線を示す図
【符号の説明】
31 金属リング集合体
32 金属エレメント
321 サドル面
33 金属リング

Claims (2)

  1. 無端状の金属リング(33)を複数枚積層した金属リング集合体(31)に多数の金属エレメント(32)を支持してなる無段変速機用ベルトにおいて、
    金属エレメント(32)のサドル面(321 )に接触する最内層の金属リング(33)の少なくとも内周面に、最内層以外の金属リング(33)の圧縮残留応力よりも大きい圧縮残留応力を付与したことを特徴とする無段変速機用ベルト。
  2. 最内層の金属リング(33)の内周面の応力振幅σa1 および応力中心値σm1 により規定される疲労寿命が、最内層以外の金属リング(33)の内周面の応力振幅σan および応力中心値σmn により規定される疲労寿命と等しくなるように、最内層の金属リング(33)の少なくとも内周面に圧縮残留応力を付与したことを特徴とする、請求項1に記載の無段変速機用ベルト。
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