JP3611968B2 - 金属vベルトの厚さ設定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Vベルト式無段変速機等に動力伝達用として用いられる金属Vベルトに関し、特に、これを構成する無端ベルト状の金属リング部材の構成に特徴を有する金属Vベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
このような金属Vベルトは従来から公知となっており、例えば、実開昭62−131143号公報、特開平2−225840号公報、特開平7−12177号公報等に開示されている。このような従来から用いられている金属Vベルトは、無端ベルト状の金属リング部材と、この金属リング部材に沿って支持された多数の金属エレメント部材(金属コマとも称される)とから構成され、ドライブプーリおよびドリブンプーリ間に掛け渡されて動力伝達を行う。これら両プーリはそのV溝幅が可変制御できるようになっており、このV溝幅を可変制御することにより両プーリにおけるVベルトの巻き掛け半径を変化させ、変速比を無段階に変化させることができるようになっている。
【0003】
このような金属Vベルトにより両プーリ間で動力伝達を行うときに、金属エレメント部材が押されながら動力伝達がなされ、金属エレメント部材に作用する圧縮力により動力を伝達する。但し、このときに多数の金属エレメント部材をリング状に繋げる金属リング部材には引っ張り力が作用するとともに、両プーリに巻き掛けられて回転する間において回転に伴って変化する曲げ応力が作用し、これら引っ張りおよび曲げは両プーリ間での金属Vベルトの回転周期に応じて繰り返し作用する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このため、金属リング部材はこのように繰り返し作用する引っ張りおよび曲げ応力を考慮し、これら繰り返し応力に対して十分な強度および寿命を有するようにその材質、形状等を最適に設定する必要がある。この場合、金属リング部材は一般的に薄い無端ベルト状の金属リングシートを複数枚重ねて構成されており、最内周の金属リングシートは金属エレメント部材と接触した状態で動力伝達がなされるため、金属リングシート同士の摩擦力と金属リングシートおよび金属エレメント間での摩擦力とを考慮して考える必要がある。
【0005】
ここで曲げ応力については両プーリの巻き掛け半径により一義的に決まるが、引っ張り応力については上記摩擦力により各金属リングシート毎に異なる。一般的に、金属リングシート同士の摩擦係数(リング−リング間摩擦係数)は、金属リングシートおよび金属エレメント(のサドル面)の間の摩擦係数(リング−エレメント間摩擦係数)より小さいため、最内周の金属リングシートの張力変化が最も大きく、金属リングシート厚さが全て等しい場合には、最内周の金属リングシートの引っ張り応力変化が最大となる。従来において、金属リングは同一材質で同一厚さの複数枚の金属リングシートを径方向に重ねて構成されていたため、上記の理由から最内周金属リングシートの応力条件が最も厳しく、最内周金属リングシートが強度および寿命の点で最も問題となっていた。
【0006】
本発明はこのようなことに鑑み、引っ張り応力条件が厳しい最内周金属リングシートの厚さを薄くして曲げ応力を小さくすることにより、トータルとしての寿命をできるかぎり高め、寿命の高い金属Vベルトを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的達成のため、本発明は、無端ベルト状の金属リング部材(例えば、実施例の金属リング31)と、この金属リング部材に沿って支持された多数の金属エレメント部材(例えば、実施例の金属エレメント32)とからなり、金属リング部材が複数の薄い無端ベルト状の金属製のリングシート(例えば、実施例の金属リングシート33(1)〜33(n))を径方向に重ねて構成され、ドライブプーリおよびドリブンプーリ間に掛け渡されて動力を伝達する金属Vベルトにおいて、金属リングシートの厚さを設定する方法であって、最内周の金属リングシートの厚さt1およびその他の金属リングシートの厚さtnの比Rt(=t1/tn)が、最内周の金属リングシート(例えば、実施例の金属リングシート33(1))と金属エレメント部材との間の摩擦係数μsおよびその他の金属リングシート(例えば、実施例の金属リングシート33(2)〜33(n))の間の摩擦係数μssの比Mr(=μs/μss)に基づいて設定され、この摩擦係数比Mr>1.0であり、厚さ比Rt<1.0に設定され、摩擦係数比1.0<Mr<1.3の場合には、最内周の金属リングシートの寿命とその他の金属リングシートの疲労寿命が等しくなるように、摩擦係数比Mrが大きくなるに従って厚さ比Rtが小さくなるように設定され、摩擦係数比Mr≧1.3の場合には、その他の金属リングシートの疲労寿命を上回らない範囲で最内周の金属リングシートの疲労寿命を最大にするように、摩擦係数比Mrが大きくなるに従って厚さ比Rtが大きくなるように設定されていることを特徴とする。
【0008】
このように厚さ比Rt<1.0として最内周の金属リングシート厚さを薄くすると、この金属リングシートの曲げ応力は小さくなる。但し、上記のように最内周の金属リングシートと金属エレメントの間の摩擦係数が大きいため、但し、上記のように最内周の金属リングシートと金属エレメントの間の摩擦係数が大きいため、張力変化に対する負担割合は内周金属リングシートが最も大きく、最内周の金属リングシートを薄くすることにより引っ張り応力変化が増加することを考慮する必要がある。このため、本発明においては、最内周の金属リングシートの厚さを薄くすることにより発生する、曲げ応力の低下と引っ張り応力の増加とを勘案して最適な厚さ比Rtを設定する。このとき、曲げ応力は単純に厚さの変化に対応して低下するが、引っ張り応力の増加は最内周の金属リングシートと金属エレメント部材との間の摩擦係数(リング−エレメント間摩擦係数)およびその他の金属リングシートの間の摩擦係数(リング−リング間摩擦係数)に応じて変動するため、これら両摩擦係数の比に基づいて最適となるように厚さ比Rtが設定される。
【0009】
この場合に、この金属Vベルトがドライブプーリおよびドリブンプーリ間に掛け渡されて動力伝達を行うときに最内周の金属リングシートに加わる繰り返し応力振幅σaと平均応力σmとを考慮し、これら応力振幅σaと平均応力σmとを繰り返して受けるときの最内周の金属リングシートの疲労寿命が最大となるように厚さ比Rtを設定するのが好ましい。なお、これら応力振幅σaおよび平均応力σmは曲げ応力と引っ張り応力とを合算した応力であり、これにより、金属リングシートの厚さを薄くした場合の曲げ応力低減効果と引っ張り応力増加効果とをともに加味した最適な条件の下で厚さ設定を行うことができる。
【0010】
但し、ドライブプーリおよびドリブンプーリ間に掛け渡されて動力伝達を行うときに作用する繰り返し荷重による最内周の金属リングシートの疲労寿命がその他の金属リングシートの疲労寿命以下となる範囲において、最内周の金属リングシートの疲労寿命が最大となるように厚さ比Rtを設定するのが好ましい。最内周の金属リングシートを薄くすることによりその疲労寿命を高めることができるが、摩擦係数条件によっては、最内周金属リングシートの疲労寿命の方がその他の金属リングシートの疲労寿命より大きくなることがあるが、このような場合には、その他の金属リングシートの疲労寿命を上回らない範囲で最内周の金属リングシートの疲労寿命を最大にするような厚さ比Rtの設定を行うのが最も好ましい。これにより、全ての金属リングシートの厚さを最適にして金属ベルト全体としての疲労寿命を最大にすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1に本発明に係る金属Vベルトを有する金属ベルト式無段変速機Tの動力伝達経路を示している。エンジンEのクランクシャフト1にダンパー2を介して接続されたインプットシャフト3は発進用クラッチ4を介して無段変速機Tのドライブシャフト5に接続される。ドライブシャフト5に設けられたドライブプーリ6は、ドライブシャフト5に固着された固定側プーリ半体7と、この固定側プーリ半体7に対向するとともに軸方向に移動可能で且つドライブシャフト5と一体回転するように設けられた可動側プーリ半体8とを備えており、可動側プーリ半体8は油室9に作用する油圧で固定側プーリ半体7に向けて付勢される。このため、両プーリ半体7,8の間にV溝が形成され、油室9に作用する油圧を受けて可動側プーリ半体8を軸方向に移動させることによりV溝幅が可変設定可能である。
【0012】
ドライブシャフト5と平行にドリブンシャフト10が配置され、このドリブンシャフト10に設けられたドリブンプーリ11は、ドリブンシャフト10に固着された固定側プーリ半体12と、この固定側プーリ半体12に対向するとともに軸方向に移動可能で且つドリブンシャフト10と一体回転するように設けられた可動側プーリ半体13とを備えており、可動側プーリ半体13は油室14に作用する油圧で固定側プーリ半体12に向けて付勢される。このため、両プーリ半体12,13の間にV溝が形成され、油室14に作用する油圧を受けて可動側プーリ半体13を軸方向に移動させることによりV溝幅が可変設定可能である。
【0013】
ドライブプーリ6およびドリブンプーリ11間に金属ベルト15が巻き掛けられる。この状態を図2に示しており、金属Vベルト15は、無端ベルト状の金属リング31と、この金属リング31に沿って支持された多数の金属エレメント(金属コマ)32とから構成され、それぞれV溝幅が可変となったドライブプーリ6とドリブンプーリ11とに掛け渡されて駆動力を伝達する。
【0014】
金属Vベルト15がドライブプーリ6に巻き掛けられた状態を図3に示しており、固定プーリ半体7と可動プーリ半体8とから構成されるドライブプーリ6のV溝内に金属エレメント32が入り込んだ状態となる。可動プーリ半体8を軸方向(X方向)に移動させる制御を行うことにより、金属エレメント32を径方向(Y方向)に移動させ、金属Vベルト15のドライブプーリ6に対する巻き掛け半径を可変させることができる。ドリブンプーリ11についても同様にして金属Vベルトの巻き掛け半径を可変させることができ、両巻き掛け半径を制御することにより、両プーリ6,11間での変速比を無段階に調節可能である。
【0015】
この金属Vベルト15を図4および図5に詳しく示しており、金属エレメント32は、左右両端にV面32a,32aを有したボディ部と、このボディ部の中央から上方に延びて左右に拡がったイヤー部32bとを有した形状に作られている。ボディ部の左右上面には平らなサドル面32cが形成されており、左右イヤー部32bの下面にはそれぞれ平らな保持面32dが形成されており、サドル面32cと保持面32dとに挟まれて左右一対のスロットが形成されている。このスロットル内に左右一対の金属リング31が挿入されるようにして、金属リング31に沿って多数の金属エレメント32が配設されて金属Vベルト15が構成されている。
【0016】
ここで金属リング31は、複数(例えば、12枚)の薄い無端ベルト状の金属製のリングシート33(1),33(2)・・・32(n)を径方向に重ねて構成されている。これら金属リングシートのうち、最内周金属リングシート32(1)の厚さは他の金属リングシート32(2)〜32(n)より薄く形成されている。なお、他の金属リングシート32(2)〜32(n)は同一厚さを有している。
【0017】
図1に戻り、以上のようにして金属Vベルト15により動力が伝達されるドリブンシャフト10には前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ17が相対回転自在に支持されており、これら前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ17はセレクタ18により選択的にドリブンシャフトに結合可能である。ドリブンシャフ10ト平行に配置されたアウトプットシャフト19には、前進用ドライブギヤ16に噛合する前進用ドリブンギヤ20と、後進用ドライブギヤ17に後進用アイドルギヤ21を介して噛合する後進用ドリブンギヤ22とが固着されている。
【0018】
アウトプットシャフト19の回転はファイナルドライブギヤ23およびファイナルドリブンギヤ24を介してディファレンシャル23に入力され、そこから左右のアクスル26,26を介して駆動輪W,Wに伝達される。
【0019】
以上のように、エンジンEの駆動力はクランクシャフト1、ダンパー2、インプットシャフト3、発進用クラッチ4、ドライブシャフト5、ドライブプーリ6、金属Vベルト15およびドリブンプーリ11を介してドリブンシャフト10に伝達される。前進走行レンジが選択されているときは、ドリブンシャフト10の駆動力は前進用ドライブギヤ16および前進用ドリブンギヤ20を介してアウトプットシャフト19に伝達され、車両を前進走行させる。また、後進用走行レンジが選択されているとき、ドリブンシャフト10の駆動力は後進用ドライブギヤ17、後進用アイドルギヤ21および後進用ドリブンギヤ22を介してアウトプットシャフト19に伝達され、車両を後進走行させる。
【0020】
このとき、金属ベルト式無段変速機Tのドライブプーリ6の油室9およびドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧を、電子制御ユニットU1からの指令で作動する油圧制御ユニットU2で制御することにより、その変速比が無段階に調整される。すなわち、ドライブプーリ6の油室9に作用する油圧に対してドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧を相対的に増加させれば、ドリブンプーリ11の溝幅が減少して巻き掛け半径(有効半径)が増加し、これに伴ってドライブプーリ6の溝幅が増加して巻き掛け半径が減少するため、金属ベルト式無段変速機Tの変速比はLOWに向かって無段階に変化する。逆に、ドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧に対してドライブプーリ6の油室9に作用する油圧を相対的に増加させれば、ドライブプーリ6の溝幅が減少して巻き掛け半径が増加し、これに伴ってドリブンプーリ11の溝幅が増加して巻き掛け半径が減少するため、金属ベルト式無段変速機Tの変速比はTOPに向かって無段階に変化する。
【0021】
図6は、車両が最高速度走行状態(TOP状態)にあって、ドライブプーリ6の巻き掛け半径がドリブンプーリ11の巻き掛け半径より大きくなった状態を示しており、この図における金属ベルト15の厚さは金属リング31に作用する引っ張り力の大小関係を模式的に示している。この図に示すように、金属ベルト15がドリブンプーリ11からドライブプーリ6に戻る戻り部の弦部(A領域)において引っ張り力は一定値TLOWであり、金属ベルト15がドライブプーリ6からドリブンプーリ11に送り出される往き側の弦部(C領域)において引っ張り力は一定値THIGHである。ここで、A領域の引っ張り力TLOWはC領域の引っ張り力THIGHよりも小さく、金属ベルト15がドライブプーリ6に巻き付く部分(B領域)において、その入口側から出口側にかけて引っ張り力はTLOWからTHIGHまで徐々に増加し、金属ベルト15がドリブンプーリ11に巻き付く部分(D領域)において、その入口側から出口側にかけて引っ張り力はTHIGHからTLOWまで徐々に減少する。
【0022】
金属ベルト15に作用する上記引っ張り力は左右の金属リング31によって均等に分担され、且つ金属リング31の張力はこれを構成する各金属リングシート33(1)〜33(n)(なお、本例ではn=12)により分担される。このとき金属エレメント32のサドル面32cに接触する最内周の金属リングシート33(1)を除く内側から第2枚目〜n枚目(n=12)の金属リングシート33(2)〜33(n)の引っ張り応力は相互に等しくなるが、最内周の金属リングシート33(1)の引っ張り応力は第2枚目〜n枚目(n=12)の金属リングシート33(2)〜33(n)の引っ張り応力と異なった値になる。以下、その理由を図7を参照しながら説明する。
【0023】
まず簡易モデルとして、図7に示すように、金属リングが三層の金属リングシートから構成される場合を考える。プーリ巻き付き部における最外周の第3層金属リングシートおよびその内側の第2層金属リングシートに作用する垂直抗力をNとすると、第2層金属リングシートおよび第1層金属リングシート間に作用する垂直抗力は2Nとなり、さらに、第1層金属リングシートおよび金属エレメントのサドル面間に作用する垂直抗力は3Nとなる。ここで相互に接触する金属リング間の摩擦係数(以下、リング−リング間摩擦係数という)μssとし、金属リングシートおよび金属エレメント間の摩擦係数(以下、リング−エレメント間摩擦係数という)μsとし、第1層金属リングシート、第2層金属リングシートおよび第3層金属リングシートの分担引っ張り荷重をそれぞれF1,F2,F3とすると、各層の金属リングの張力変化量であるΔT1,ΔT2,ΔT3は、以下の式(1)〜(3)で与えられる。
【0024】
【数1】
ΔT3=F3=μss・N ・・・(1)
ΔT2=F2−F3=2μss・N−μss・N=μss・N ・・・(2)
ΔT1=F1−F2=3μs・N−2μss・N ・・・(3)
【0025】
これらの式から分かるように、内周面の摩擦係数μssが等しい第2層金属リングシートおよび第3層金属リングシートの張力変化量ΔT2,ΔT3はいずれもμss・Nに等しくなるが、内周面の摩擦係数がμsである第1層金属リングシートに作用する張力変化量ΔT1は、上記変化量ΔT2,ΔT3と異なる(3μs・N−2μss・N)となる。ΔT1とΔT2との比(ΔT1/ΔT2)は、下記式(4)で与えられ、この式(4)を金属リングシートの積層枚数がnの場合に拡張すると下記式(5)となる。
【0026】
【数2】
ΔT1/ΔT2=(3μs・N−2μss・N)/(μss・N)・・・(4)
ΔT1/ΔT2={n・μs−(n−1)・μss}/μss ・・・(5)
【0027】
ここで、リング−エレメント間摩擦係数μsとリング−リング間摩擦係数μssとの比である摩擦係数比をMr(=μs/μss)とすると、上記式(5)は次の式(6)のように書き換えられる。
【0028】
【数3】
ΔT1/ΔT2=n・Mr−(n−1)=n(Mr−1)+1 ・・・(6)
【0029】
金属リングを構成するn枚の金属リングシートの張力変化量ΔT1〜ΔTnの総和ΔTALLは、下記式(7)で与えられ、この式(7)と上記式(6)とからΔT2を消去すると、下記式(8)が得られる。
【0030】
【数4】
Figure 0003611968
【0031】
上記式(8)によれば、金属リングに含まれる金属リングシートの積層枚数nが決まり、且つ、リング−エレメント間摩擦係数μsとリング−リング間摩擦係数μssとの比である摩擦係数比Mrが決まれば、金属リング全体の張力変化ΔTALL に対する最内周金属リングシートの張力変化量ΔT1の比率が決まることが分かる。
【0032】
図8のグラフは、金属リングが12枚の金属リングシートから構成される場合におけるΔT1/ΔTALL の値を、種々の摩擦係数比Mrについて計算した結果を示すものである。過去の経験および実験結果によれば、最内周の金属リングシートとその他の金属リングシートとを同一材料から作れば、リング−エレメント間摩擦係数μsはリング−リング間摩擦係数μssよりも大きな値になるため、摩擦係数比Mr=μs/μssは1.0よりも大きな値となる。
【0033】
仮に、リング−エレメント間摩擦係数μsおよびリング−リング間摩擦係数μssを一致させたとすると、摩擦係数比Mr=1.0になってΔT1/ΔTALL =0.08になり、最内周の金属リングシートは他の11枚の金属リングシートと同じ変化量、すなわち、金属リング全体の張力変化量の総和ΔTALL の約8%(すなわち1/12)を受け持つことになる。しかしながら、実際には摩擦係数比Mrは1.0よりも大きいため、最内周の金属リングシートの張力変化量ΔT1は、他の11枚の金属リングシートのそれぞれの張力変化量ΔTn(11枚の金属リングシートについて一定)よりも大きくなる。
【0034】
図9のグラフは、車両が図6で示した最高速度走行状態にあるときの、最内周の金属リングシートの引っ張り応力σT1の変化と、他の11枚の金属リングシートの引っ張り応力σTnの変化とを示すものである。この図における二点鎖線A1は最内周の金属リングシートの引っ張り応力σT1の変化を示し、一点鎖線Anは最内周以外の11枚の金属リングシートの引っ張り応力σTnの変化を示している。上述したリング−エレメント間摩擦係数μsとリング−リング間摩擦係数μssとの不一致により、最内周の金属リングシートの張力変化量ΔT1(つまり応力変化量ΔσT1)は他の金属リングの張力変化量ΔTn(つまり応力変化量ΔσTn)よりも大きくなる。この結果、戻り側弦部(A領域)における最内周の金属リングシートの最小引っ張り応力σT1(LOW)は、他の金属リングシートの最小引っ張り応力σTn(LOW)より小さくなり、往き側弦部(C領域)における最内周の金属リングシートの最大引っ張り応力σT1(HIGH)は、他の金属リングシートの最大引っ張り応力σTn(HIGH)より大きくなる。
【0035】
金属リングには上記のような張力に基づく引っ張り応力に加えて、金属リングシートに曲げに基づく応力が作用する。図10に示すように、自由状態の金属リングシート33は円形であるが、使用状態の金属リングシート33は前記A領域〜D領域を有する形状に変形する。戻り側弦部(A領域)および往き側弦部(C領域)では自由状態でR0であった曲率半径が∞に増加し、ドライブプーリに巻き付くB領域では曲率半径がRDR(<R0)に減少し、ドリブンプーリに巻き付くD領域では曲率半径がRDN(<R0)に減少する。
【0036】
このように金属リングシートの曲率半径が増加するA領域およびC領域では、金属リングシートの内周面に引っ張り曲げ応力が作用し、外周面に圧縮曲げ応力が作用する。一方、金属リングの曲率半径が減少するB領域およびD領域では、金属リングシートの内周面に圧縮曲げ応力が作用し、外周面に引っ張り曲げ応力が作用する。これら曲げに基づく圧縮および引っ張り曲げ応力は、最内周の金属リングシートを含め全金属リングシートについて同一である。
【0037】
図11のグラフは、車両が図6で説明した最高速度走行状態にあるときの、12枚の金属リングシートのそれぞれの内周面に作用する曲げ応力を示すものである。このグラフから明らかなように、各金属リングシートの内周面には弦部(A領域およびC領域)に一定の引っ張り曲げ応力σVSTが作用し、曲率半径が大きい方のドライブプーリに巻き付くB領域では比較的小さな圧縮曲げ応力σVDRが作用し、曲率半径が小さい方のドリブンプーリに巻き付くD領域では比較的大きな圧縮曲げ応力σVDNが作用する。
【0038】
図12のグラフは、図9に示す金属リングシートの張力に基づいて作用する応力と、図11に示す金属リングシートの曲げに基づいてこれら金属リングシートの内周面に作用する応力とを加算したもので、太い破線は最内周の金属リングシートの内周面に作用するトータルの応力変化を示しており、実線は他の金属リングシートの内周面に作用するトータルの応力の変化を示している。この図から明らかなように、最内周の金属リングシートの応力振幅の中心値σm1と、他の金属リングシートの応力振幅の中心値σmnとは一致しているが、最内周の金属リングシートの応力振幅σa1は、他の金属リングシートの応力振幅σanよりも大きくなっている。これら応力振幅σa1、σanの偏差は、図9で説明した最内周の金属リングシートの引っ張り応力変化量ΔσT1と他の金属リングシートの引っ張り応力変化量ΔσTnとの偏差に起因している。
【0039】
金属リングシートには図12に示すようなパターンで繰り返し荷重が作用するため、応力振幅が大きな最内周の金属リングシートの疲労寿命が他の金属リングシートの疲労寿命より短くなる。これを図13に示す疲労限線図により示しており、平均応力(応力中心値)σm1=σmnであるが、大きな応力振幅(σa1)が作用する最内周金属リングシートの疲労寿命L1は小さな応力振幅(σan)が作用するその他の金属リングシートの疲労寿命Lnより小さくなる。
【0040】
以上においては、全ての金属リングシートの厚さが等しいものとして説明したが、本発明では最内周の金属リングシート33(1)の厚さのみを薄くしている。但し、その他の金属リングシート33(2)〜33(n)の厚さを全て等しくするとともに、金属リング31のトータル厚さは変更しないように各厚さを設定している。このようにすることにより、最内周金属リングシートの曲げ応力を小さくして応力振幅σa1を小さくしてその疲労寿命を増加させることができる。これについて以下に説明する。
【0041】
ここで、前述したように摩擦係数比Mrは通常は1.0より大きいため、最内周の金属リングシート33(1)が負担する張力変化はその他の金属リングシート33(2)〜33(n)より大きい(図8参照)。このため、最内周の金属リングシート33(1)の厚さを薄くすると張力変化により生じる引っ張り応力変化量ΔσT1は増加する。このように最内周の金属リングシート33(1)の厚さを薄くすると、曲げ応力は小さくなるが引っ張り応力変化量は大きくなるため、両者を勘案した上で金属リング全体としての疲労寿命を増加できるような厚さ設定を行う必要がある。例えば、図13において、点P1の応力条件から点P1’で示すような応力条件となるように最内周の金属リングシートの厚さを薄くし、疲労寿命をL1からL1’まで増加させるような厚さ設定を行う必要がある。
【0042】
そこで、まず摩擦係数比Mr=1.1の場合に、所定条件で駆動した場合での金属Vベルトの各金属リングシートに作用する平均応力(σm)および応力振幅(σa)を、最内周の金属リングシート33(1)の厚さを変化させて演算した。その結果をまとめて図14のグラフに示している。なお、この演算に用いた駆動条件は、ドライブプーリ6において、回転速度6000rpm、駆動トルク14.3kg−mである。このグラフにおいて、縦軸左側スケールが応力振幅σaを示し、横軸が平均応力σmを示し、縦軸右側スケールが金属リングシートの厚さ比Rt(=t1/tn 但し、t1:最内周の金属リングシートの厚さ、tn:その他の金属リングシートの厚さ)を示す。
【0043】
厚さ比Rtを変化させたときに、最内周の金属リングシート33(1)に発生する応力振幅σaおよび平均応力σmの変化の計算結果をプロットしたのが破線B1であり、同様にその他の金属リングシート33(n)に発生する応力振幅σaおよび平均応力σmの変化の計算結果をプロットしたのが実線Bnである。なお、正確にはその他の金属リングシートを代表して内側から二番目の金属リングシート33(2)について計算を行った。そして、厚さ比Rtと破線B1の各点との関係を鎖線C1により示しており、厚さ比Rtと実線Bnの各点との関係を鎖線Cnにより示している。このため、破線B1上の点P1から下ろした垂線と鎖線C1との交点P2の位置が厚さ比Rtを示しており、この場合にはRt=0.36である。さらに、この厚さ比Rt=0.36を示す線と鎖線Cnとの交点P3がその他の金属リングシートの応力と厚さ比との関係を示しており、この点P3を通る垂線と実線Bnとの交点P4がその他の金属リングシートの応力を示す。
【0044】
本例では金属リングシートを全てマレージング鋼で作っており、この場合において、図13に示した疲労限線図における等寿命直線L1,Lnの傾きは(−1/4)である。そこで、この等寿命直線と同一の傾きを有するとともに破線B1の下部と接する等寿命曲線L11を引くと、この接点P1の応力条件で最内周の金属リングシート33(1)の疲労寿命が最大になる。上述のようにこの時の厚さ比Rt=0.36であるので、この厚さ比を設定すれば最内周の金属リングシートの疲労寿命は最大となる。
【0045】
但し、このときのその他の金属リングシートの応力条件は点P4で示す条件であり、この点P4を通る等寿命直線Ln1がその他の金属リングシートの疲労寿命である。これら等寿命直線L11とLn1を比較すれば分かるように、厚さ比Rt=0.36とすると、その他の金属リングシートの疲労寿命が最内周の金属リングシートの疲労寿命より短くなり、この厚さ比設定は好ましくない。そこで、ほぼ同一の疲労寿命となる点を試行錯誤して求めると、図に示す等寿命直線L11’が求まり、この場合には各点P11,P12,P13,P14を追えば分かるように、厚さ比Rt=0.85となる。すなわち、摩擦係数比Mr=1.1の場合には、厚さ比Rt=0.85に設定すれば、金属リング31全体としての寿命を最大にすることができる。
【0046】
次に、摩擦係数比Mr=1.3の場合での、上記と同様な演算結果を図15に示す。この図においても、厚さ比Rtを変化させたときに、最内周の金属リングシート33(1)に発生する応力振幅σaおよび平均応力σmの変化の計算結果をプロットしたのが破線B1であり、その他の金属リングシート33(n)に発生する応力振幅σaおよび平均応力σmの変化の計算結果をプロットしたのが実線Bnである。さらに、厚さ比Rtと破線B1の各点との関係を鎖線C1により示し、厚さ比Rtと実線Bnの各点との関係を鎖線Cnにより示している。
【0047】
ここでも、図13に示した疲労限線図における等寿命直線L1,Lnの傾き(−1/4)と同一の傾きを有するとともに破線B1の下部と接する等寿命曲線L12を引くと、この接点P1の応力条件で最内周の金属リングシート33(1)の疲労寿命が最大になる。図示のようにこの時の厚さ比Rt=0.51であり、この厚さ比を設定すれば最内周の金属リングシートの疲労寿命は最大となる。
【0048】
なお、このときのその他の金属リングシートの応力条件は点P4で示す条件であり、上記等寿命直線L12の上に位置する(点P4を通る等寿命直線Ln2が等寿命直線L12と重なる)。すなわち、摩擦係数比Mr=1.3の場合には、厚さ比Rt=0.51に設定すれば、最内周の金属リングシートの疲労寿命は最大となり、その他の金属リングシートの疲労寿命もこれと同一の寿命となる。
【0049】
さらに、摩擦係数比Mr=1.6の場合での、上記と同様な演算結果を図16に示す。ここでも、図13に示した疲労限線図における等寿命直線L1,Lnの傾き(−1/4)と同一の傾きを有するとともに破線B1の下部と接する等寿命曲線L13を引くと、この接点P1の応力条件で最内周の金属リングシート33(1)の疲労寿命が最大になる。図示のようにこの時の厚さ比Rt=0.74であり、この厚さ比を設定すれば最内周の金属リングシートの疲労寿命は最大とすることができる。
【0050】
なお、このときのその他の金属リングシートの応力条件は点P4で示す条件であり、この点P4を通る等寿命直線Ln3がその他の金属リングシートの疲労寿命を示す。これら等寿命直線L13,Ln3を比較すれば良く分かるように、この条件ではその他の金属リングシートの寿命の方が大きい。一方、最内周の金属リングシートは最大寿命が得られる厚さ比設定であるため、この場合には、厚さ比Rt=0.74が最適な厚さ比設定となる。
【0051】
以上のようにして、摩擦係数比Mr毎に最適な厚さ比Rtを計算した結果をまとめると図17のようになる。摩擦係数比Mr<1.3の場合には、最内周の金属リングシートの寿命が最大となる厚さ比設定ではその他の金属リングシートの寿命が最内周の金属リングシートの寿命より小さくなるため、これを阻止するような厚さ設定が必要であり、線D1で示すような厚さ比Rtの設定が行われる。一方、摩擦係数比Mr≧1.3の場合には、最内周の金属リングシートの寿命が最大となる厚さ比設定でその他の金属リングシートの寿命はこれより大きくなるため、最内周の金属リングシートの寿命が最大となる厚さ比設定がなされ、これは線D2で示すように設定される。なお、最内周の金属リングシートを含め全金属リングシートの厚さを等しくする場合(すなわち、従来の厚さ設定の場合)を、線Eで示している。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、最内周の金属リングシート厚さを、最内周の金属リングシートと金属エレメント部材との間の摩擦係数およびその他の金属リングシートの間の摩擦係数の比に基づいて薄くなるように設定しており、このように最内周の金属リングシート厚さを薄くすると、この金属リングシートの曲げ応力は小さくなり、最内周の金属リングシートの疲労寿命を増大させることが可能となる。なお、本発明においては、最内周の金属リングシートの厚さを薄くすることにより発生する、曲げ応力の低下と引っ張り応力の増加とを勘案して最も最適な厚さを設定するため、最内周の金属リングシートと金属エレメント部材との間の摩擦係数(リング−エレメント間摩擦係数)およびその他の金属リングシートの間の摩擦係数(リング−リング間摩擦係数)の比に基づいて最適厚さが設定される。
【0053】
この場合に、この金属Vベルトがドライブプーリおよびドリブンプーリ間に掛け渡されて動力伝達を行うときに最内周の金属リングシートに加わる繰り返し応力振幅σaと平均応力σmとを考慮し、これら応力振幅σaと平均応力σmとを繰り返して受けるときでの最内周の金属リングシートの疲労寿命が最大となるように最内周の金属リングシート厚さを設定するのが好ましい。なお、これら応力振幅σaおよび平均応力σmは曲げ応力と引っ張り応力とを合算した応力であり、これにより、金属リングシートの厚さを薄くした場合の曲げ応力低減効果と引っ張り応力増加効果とをともに加味した最適な条件の下で厚さ設定を行うことができる。
【0054】
但し、ドライブプーリおよびドリブンプーリ間に掛け渡されて動力伝達を行うときに作用する繰り返し荷重による最内周の金属リングシートの疲労寿命がその他の金属リングシートの疲労寿命以下となる範囲において、最内周の金属リングシートの疲労寿命が最大となるように最内周の金属リングシート厚さを設定するのが好ましい。最内周の金属リングシートを薄くすることによりその疲労寿命を高めることができるが、摩擦係数条件によっては、最内周金属リングシートの疲労寿命の方がその他の金属リングシートの疲労寿命より大きくなることがあるが、このような場合には、その他の金属リングシートの疲労寿命を上回らない範囲で最内周の金属リングシートの疲労寿命を最大にするような厚さ設定を行うのが最も好ましい。これにより、全ての金属リングシートの厚さを最適にして金属ベルト全体としての疲労寿命を最大にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属Vベルトを用いたベルト式無段変速機の動力伝達系路を示す模式図である。
【図2】この金属Vベルトをドライブおよびドリブンプーリ間に掛け渡した状態を示す概略図である。
【図3】ドライブプーリに巻き掛けた状態の金属Vベルトを示す断面図である。
【図4】金属Vベルトの正面断面図である。
【図5】金属Vベルトの斜視図である。
【図6】金属リングに作用する引っ張り応力の説明図である。
【図7】金属リングに作用する力の釣合を示す説明図である。
【図8】摩擦係数比Mrに対するΔT1/ΔTALLの変化を示すグラフである。
【図9】金属リングシートの内周面に作用する引っ張り応力の変化を示すグラフである。
【図10】金属リングシートの自由状態および使用状態の形状の説明図である。
【図11】金属リングシートの内周面に作用する曲げ応力の変化を示すグラフである。
【図12】金属リングシートの内周面に作用する全応力の変化を示すグラフである。
【図13】金属リングシートの疲労限線図である。
【図14】摩擦係数比Mr=1.1のときの疲労限線図と厚さ比Rtの関係を示すグラフである。
【図15】摩擦係数比Mr=1.3のときの疲労限線図と厚さ比Rtの関係を示すグラフである。
【図16】摩擦係数比Mr=1.6のときの疲労限線図と厚さ比Rtの関係を示すグラフである。
【図17】厚さ比Rtと摩擦係数比Mrとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
6 ドライブプーリ
11 ドリブンプーリ
15 金属Vベルト
31 金属リング
32 金属エレメント
33 金属リングシート

Claims (3)

  1. 無端ベルト状の金属リング部材と、この金属リング部材に沿って支持された多数の金属エレメント部材とからなり、前記金属リング部材が複数の薄い無端ベルト状の金属製のリングシートを径方向に重ねて構成され、ドライブプーリおよびドリブンプーリ間に掛け渡されて動力を伝達する金属Vベルトにおいて、前記金属リングシートの厚さを設定する方法であって、
    前記最内周の金属リングシートの厚さt1およびその他の金属リングシートの厚さtnの比Rt(=t1/tn)が、前記最内周の金属リングシートと前記金属エレメント部材との間の摩擦係数μsおよびその他の金属リングシートの間の摩擦係数μssの比Mr(=μs/μss)に基づいて設定され、
    前記摩擦係数比Mr>1.0であり、前記厚さ比Rt<1.0に設定され、
    前記摩擦係数比1.0<Mr<1.3の場合には、前記最内周の金属リングシートの寿命と前記その他の金属リングシートの寿命が等しくなるように、前記摩擦係数比Mrが大きくなるにしたがって前記厚さ比Rtが小さくなるように設定され、
    前記摩擦係数比Mr≧1.3の場合には、前記最内周の金属リングシートの寿命が最大となるように、前記摩擦係数比Mrが大きくなるに従って前記厚さ比Rtが大きくなるように設定されることを特徴とする金属Vベルトの厚さ設定方法。
  2. 前記ドライブプーリおよび前記ドリブンプーリ間に掛け渡されて動力伝達を行うときに前記最内周の金属リングシートに加わる繰り返し応力振幅σaと平均応力σmとを考慮し、これら応力振幅σaと平均応力σmとを繰り返して受けるときにおける前記最内周の金属リングシートの疲労寿命が最大となるように前記厚さ比Rtが設定されることを特徴とする請求項1に記載の金属Vベルトの厚さ設定方法。
  3. 前記ドライブプーリおよび前記ドリブンプーリ間に掛け渡されて動力伝達を行うときに作用する繰り返し荷重による前記最内周の金属リングシートの疲労寿命が前記その他の金属リングシートの疲労寿命以下となる範囲で前記最内周の金属リングシートの疲労寿命が最大となるように前記厚さ比Rtが設定されることを特徴とする請求項2に記載の金属Vベルトの厚さ設定方法。
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