JP3636903B2 - 誘導電動機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械の主軸駆動などに利用される誘導電動機の出力トルクを任意に制御する誘導電動機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工作機械の主軸駆動などの用途には、すべり周波数型ベクトル制御によって駆動される誘導電動機が多用されている。このすべり周波数型ベクトル制御において、出力トルクを任意に制御するためには、誘導電動機の二次抵抗r2、励磁インダクタンスMおよびトルク電流i1qに応じて正確なすべり周波数を誘導電動機に与える必要がある。
【0003】
しかしながら、二次抵抗r2は、誘導電動機の温度変化等によって2倍程度の範囲で大きく変動する。それにも拘わらず、従来の制御装置においては、この二次抵抗r2の値の変動が考慮されていなかった結果、誘導電動機に与えられるすべり周波数が不正確となり、出力トルクを正確に制御することが困難であった。
【0004】
この問題を解決するべく、本出願人等は既に特願平7−92165号において、誘導電動機の励磁インダクタンスMおよび二次抵抗r2の値が正確に把握できない場合や、これらの値が変動する場合においても常に出力トルクを精度良く制御できる誘導電動機の制御装置を提案している。
【0005】
図4は、特願平7−92165号に開示された誘導電動機の制御装置のシステム構成の一例を示すものである。今、この制御装置に対し外部から二相指令、すなわち、トルク指令T*および磁束密度指令φ*が入力されるものとする。変換器1は、磁束密度指令φ*に応じて必要な励磁電流指令値i1d*を算出し出力する励磁電流指令発生手段として機能するものである。磁束密度と励磁電流の比は、後述するように、励磁インダクタンスMを意味しているので、この変換器1は、励磁インダクタンスMの逆数を磁束密度指令φ*に乗算することにより、励磁電流指令値i1d*を出力する。
【0006】
除算器2は、入力されたトルク指令T*を同じく入力された磁束密度指令φ*で除算するものであり、トルク電流指令発生手段を構成する。誘導電動機の出力トルクは磁束密度とトルク電流値との積に比例するから、除算器2からはトルク電流指令値i1q*が出力される。
【0007】
次に、特願平7−92165号に開示された誘導電動機の制御装置の動作を図7に示す誘導電動機の等価回路に基づいて説明する。誘導電動機の一次電流I1、励磁電流Io、一次電圧E1は、磁束の回転角周波数ωに同期して回転するdq軸座標上の一次電流i1d、i1q、励磁電流iod、ioq、一次電圧e1d、e1qを用いて次のように表される。
【0008】
【数1】
I1=i1d・sinωt+i1q・cosωt ・・・(1)
【数2】
Io=iod・sinωt+ioq・cosωt ・・・(2)
【数3】
E1=e1d・sinωt+e1q・cosωt ・・・(3)
このとき誘導電動機の一次回路についての電圧方程式は次のように表される。
【0009】
【数4】
【数5】
ここでpは微分演算子d/dt、r1は一次巻線抵抗(一次抵抗)、Lσは漏れインダクタンス、Mは励磁インダクタンスである。
【0010】
次に二次回路についても同様に電圧方程式は次のように表される。
【0011】
【数6】
−r2・i1d+(r2+pM)iod−ωs・M・ioq=0 ・・・(6)
【数7】
−r2・i1q+ωs・M・iod+(r2+pM)ioq=0 ・・・(7)
ここでr2は二次巻線抵抗(二次抵抗)、ωsはすべり角周波数である。このすべり角周波数ωsは誘導電動機の回転角周波数ωmを用いて次のように表される。
【0012】
【数8】
ωs=ω−ωm ・・・(8)
磁束方向がd軸に一致していると仮定すると、誘導電動機内部の励磁電流ioは次のように表される。
【0013】
【数9】
io=φ/M=iod,ioq=0 ・・・(9)
(9)式と(6)式よりioとi1dとの関係を求めると次式を得る。
【0014】
【数10】
io/i1d=1/(1+pM/r2) ・・・(10) すなわち、励磁電流ioは一次電流i1dに対して一次遅れで応答し、その時定数はM/r2である。この時定数は一般的な誘導電動機において数100msであり、ioの変化は十分に緩慢であると近似できる。
【0015】
一方、(9)式と(7)式より、次式を得る。
【0016】
【数11】
ωs=r2・i1q/(M・io) ・・・(11)
これがいわゆるベクトル制御条件式と呼ばれるもので、この式を満たすすべり角周波数ωsを誘導電動機に与えるとき、磁束方向がd軸に一致する。このとき一次電流i1qが磁束に直交することから、誘導電動機の発生トルクTは以下のようになる。従って、一次電流i1qを制御することにより任意にトルクを制御することができる。
【0017】
【数12】
T=φ・i1q=M・io・i1q ・・・(12) 前記のように、ioの変化は十分に緩慢であると近似するとき、(9)式などを用いて、(4),(5)式は次のように書き直すことができる。
【0018】
【数13】
e1d=(r1+pLσ)i1d−ωLσ・i1q ・・・(13)
【数14】
e1q=ωLσ・i1d+(r1+pLσ)i1q+ωM・io ・・・(14)
これらの式より、一次電流i1d,i1qを任意に制御するには、誘導電動機に印加する電圧(励磁電流同相電圧指令およびトルク電流同相電圧指令)をそれぞれ次のように制御すればよい。
【0019】
【数15】
e1d*=Gd・Δi1d−ωLσ・i1q*+r1・i1d* ・・・(15)
【数16】
e1q*=ωLσ・i1d*+Gq・Δi1q+r1・i1q*+ωMc・io*・・・(16)
ここで添え字*は指令値であることを意味しており、また、Δi1d,Δi1qは次式で表される電流誤差である。
【0020】
【数17】
Δi1d=i1d*−i1d,Δi1q=i1q*−i1q ・・・(17)
また、Mcは制御装置内で想定した励磁インダクタンスであり、実際の励磁インダクタンスMとは異なるものである。更に、Gd,Gqは十分に大きなゲインであり、pi演算増幅器などを用いて実現する。
【0021】
この(15),(16)式で表される制御動作は、実際には図4のdq軸電圧指令算出部4で演算・実行され、それぞれ、d軸電圧指令算出手段とq軸電圧指令算出手段とに分かれた構成により実行されている。また、ベクトル制御条件を与える(11)式を満たすようにすべり角周波数ωsを決定する処理は、すべり角周波数算出手段を構成する除算器7と乗算器8により実現される。
【0022】
(12)式で表される出力トルクTを正確に制御するには、実際の励磁インダクタンスMが制御装置内で想定されている励磁インダクタンスMcと等しいこと、および(11)式で表されるベクトル制御条件が成立し、磁束位置がd軸に一致していることが必要である。しかしながら、先に述べたように、励磁インダクタンスMおよび(11)式中の二次抵抗r2を正確に把握することは困難であり、その結果、出力トルク精度が低下することは避けられない。そこで、特願平7−92165号においては、まず、励磁インダクタンスMについて同定を行うことにしている。この同定部は図5に示す構成となっており、増幅器21、コンパレータ22、スイッチ23、データテーブル24、加算器35などから構成されている。
【0023】
励磁インダクタンスMの同定は、次式に基づいて行なっている。
【0024】
【数18】
Gq・Δi1q=ω(M−Mc)io= ω・ΔM・io ・・・(18)
ここでΔMは、制御装置側で想定した励磁インダクタンスMcと実際の誘導電動機内部の励磁インダクタンスの真値Mとの間の設定誤差である。なお、(18)式は次のようにして導出される。
【0025】
誘導電動機が無負荷であり、i1q=i1q*=0であるとすると、(14),(16)式は次のように変形できる。
【0026】
【数19】
e1q=ωLσ・i1d+ωM・io ・・・(19)
【数20】
e1q*=ωLσ・i1d*+Gq・Δi1q+ωMc・io* ・・・(20)
電流制御系の働きにより、i1d*=i1d,io*=io,e1q=e1q*として(19),(20)式の差をとることにより、(18)式が導出される。
【0027】
上記のように、励磁インダクタンスの同定は、i1q=i1q*=0の状態において行われる。i1q=i1q*=0の状態のとき、図5に示すコンパレータ22によってトルク電流指令i1q*がトルク電流設定値iqref3に比較して小さいことが検出され、かつ無負荷状態であるときのみスイッチ23が閉となり、増幅器21によりGq・Δi1q(=Δeq)が増幅されて同定が行なわれる。(図4においては、Gq・Δi1qをΔeqで示してある。)
前記増幅器21の出力は、磁束密度指令φ*の値をアドレスとするデータテーブル24に各磁束密度ごとに積分して保持される。この積分値は励磁インダクタンスMの設定誤差ΔMであり、励磁インダクタンス補正値を示す。トルク指令が0でない場合においても、磁束密度指令φ*に応じて保持されている設定誤差ΔMを取り出し、変換器1の係数1/Mを補償するので、常に補正された励磁インダクタンスMの真値を用いて誘導電動機を制御することが可能である。
【0028】
次に、二次抵抗r2の同定について説明する。二次抵抗r2の同定は次式に基づいて行なわれ、また、二次抵抗同定部は、図6に示すように、増幅器25、コンパレータ47、スイッチ48、加算器36などから構成されている。
【0029】
【数21】
Gq・Δi1q=Δr2(ω/ωs)i1q ・・・(21)
ここでΔr2は、制御装置側で想定した二次抵抗の値r2cと実際の誘導電動機の二次抵抗r2との間の設定誤差である。この(21)式は以下のようにして導出される。まず(11)式を変形して次の(22)式を得る。
【0030】
【数22】
ωM・io=(ω/ωs)r2・i1q ・・・(22)
この(22)式を(14)式に代入することにより、実際に誘導電動機に発生するq軸電圧は次のように表すことができる。
【0031】
【数23】
e1q=ωLσ・i1d+(r1+pLσ)i1q+(ω/ωs)r2・i1q・・・(23)
一方、制御装置が出力するトルク電流同相電圧指令e1q*は、(22),(16)式から次のように表すことができる。
【0032】
【数24】
e1q*=Gq・Δi1q+ωLσ・i1d*+(ω/ωs)r2c・i1q*+r1・i1q*・・・(24)
電流制御系の働きにより、i1d*=i1d,i1q*=i1q,e1q=e1q*になるものとして(23),(24)式の差を求めると、次式を得る。
【0033】
【数25】
この式の第1項は他の項に比べて比較的小さいので無視することにより、(21)式が導き出される。
【0034】
(21)式から明らかなように、Gq・Δi1qは二次抵抗r2の設定誤差Δr2を表しており、従って、この設定誤差Δr2はGq・Δi1qを用いて補正することが可能である。ただし、i1q=0の状態(無負荷状態)において(21)式の右辺は0となるので、(21)式は有負荷状態のときのみ成り立つ。よって二次抵抗r2を同定することができるのは有負荷状態のときのみである。
【0035】
図4および図6では、Gq・Δi1qをΔeqで表している。そして、図6において、トルク電流指令i1q*がトルク電流設定値iqref4と比較して大きいことがコンパレータ47によって検出され、しかも有負荷状態のときにだけスイッチ48が閉となる。このとき、増幅器25でΔeqに同定ゲインGr2を乗算し、その出力を制御装置が想定している二次抵抗r2cに加算することにより、図4に示す変換器8の補償後の二次抵抗r2の値を出力する。
【0036】
以上のようにして、特願平7−92165号に示す従来の装置では、制御に用いるパラメータである励磁インダクタンスMと二次抵抗r2について、実際の誘導電動機における真値を同定し、制御パラメータを自動的に適正に追従させているので、鉄心の磁気飽和の影響や誘導電動機の製造上の寸法精度などによる励磁インダクタンスMの変動、および誘導電動機の温度変化等による二次抵抗r2の変動の影響を受けず、精度良く所望の出力トルクを得ることができる。
【0037】
以下、特願平7−92165号に開示された装置における上記以外の構成要素とその動作を簡単に説明する。
【0038】
図4に示した装置のdq軸電圧指令算出部4は、(15)式と(16)式で表される内容の演算を行なう。図中の減算器11は、励磁電流指令値i1d*から励磁電流検出値i1dを減算して励磁電流誤差Δi1dを出力し、増幅器12でこの励磁電流誤差Δi1dを増幅してGd・Δi1d、すなわち励磁電圧誤差Δedを出力する。
【0039】
変換器13、乗算器14では、トルク電流指令値i1q*と磁束の回転角周波数ω、漏れインダクタンスLσを用いて、(15)式の右辺第2項に相当する演算が実行され、その結果が減算器31によってGd・Δi1dから減算されて、d軸電圧指令e1d*が出力される。同様に、減算器15では、トルク電流指令値i1q*からトルク電流検出値i1qを減算してトルク電流誤差Δi1qを求め、これを増幅器16で増幅することにより、(16)式の第2項であるGq・Δi1q(=Δed)が得られる。
【0040】
変換器20は、トルク電流指令i1q*に一次抵抗r1を乗算し、(16)式の第3項を算出する働きをする。変換器13では、励磁電流指令i1d*に漏れインダクタンスLσを乗算し、さらに乗算器19で磁束の回転角周波数ωを乗算することにより、(16)式の第1項ωLσ・i1d*に相当する出力を得ている。
【0041】
(16)式の第4項ωMc・io*は、図4においてはem*/ω=Mc・io*と置き換えて乗算器19により出力されており、前記の第1項、第4項と加算器33、34によって加算され、さらに、前記の第2項と第3項と加算器33、34により加算されて、(16)式のトルク電流同相電圧指令e1q*が出力される。なお、em*/ωは、図4の変換器17によって磁束密度指令φに誘起電圧係数Kemを掛けることにより求められている。
【0042】
励磁電流同相電圧指令e1d*、トルク電流同相電圧指令e1q*は、三相電圧指令発生手段を構成する図5の二相三相変換器3によって三相の交流電圧指令eu*、ev*、ew*に変換され、インバータ26に入力される。インバータ26は、直流電源をエネルギー源として、この三相の交流電圧指令eu*、ev*、ew*に応じた電圧を誘導電動機28に印加し、誘導電動機28に三相交流電流iu,iv,iwを流す。
【0043】
この三相交流電流iu,iv,iwは電流検出器6a、6b、6cにより検出され、三相二相変換器9によって励磁電流検出値i1dおよびトルク電流検出値i1qに変換される。なお、二相三相変換器3と三相二相変換器9とが座標変換に使用する信号sinωt,cosωtは、磁束の回転角周波数指令ωを基に二相正弦波発生器10により出力される。磁束の回転角周波数指令ωは、位置検出器29によって検出された誘導電動機28の回転位置を微分器30で微分することによって得られる回転速度ωmにすべり角周波数ωsを加算する加算器5から構成された角周波数指令算出手段により得ることができる。
【0044】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の従来の装置においては、励磁電流指令i1d*とトルク電流指令i1q*とをそれぞれ電圧値に変換し、誘導電動機の一次抵抗や洩れインダクタンスの値を励磁電流同相電圧指令e1d*とトルク電流同相電圧指令e1q*の算出に反映させるための変換器20と変換器13とをそれぞれ構成する一次抵抗値と洩れインダクタンス値とが固定となっているので、インバータと誘導電動機間の配線が長い場合や、ビルトインモータ等でコイルエンド部近辺に電動機以外の金属部品が取り付けられている場合などに、予め測定した結果等に基づき制御装置が想定し変換器20または変換器13に設定した一次抵抗または漏れインダクタンスと、実際の誘導電動機の一次抵抗または漏れインダクタンスとの間でしばしば大きなずれを生じ、前記(21)式により同定した二次抵抗に大きな誤差を生じるという問題点があった。
【0045】
以下、その理由を数式を用いて説明する。
【0046】
制御装置で想定している漏れインダクタンスと一次抵抗とをそれぞれLσc、r1cとすると、(24)式は次式のようになる。
【0047】
【数26】
e1q*=Gq・Δi1q+ωLσc・i1d*+(ω/ωs)r2c・i1q*+r1c・i1q*・・・(26)
一次抵抗誤差、漏れインダクタンス誤差をそれぞれΔr1、ΔLσとすると、一次抵抗誤差、漏れインダクタンス誤差はそれぞれ次式のようになる。
【0048】
【数27】
Δr1=r1c−r1, ΔLσ=Lσc−Lσ ・・・(27) 次に、(25)式を求めたときと同様に、(23)式と(26)式の差を求めると、次式を得る。
【0049】
【数28】
ここで(21)式を求めたときと同様に、第1項は他の項に比べて比較的小さいので無視することにすると、次式を得る。
【0050】
【数29】
Gq・Δi1q≒Δr2(ω/ωs)i1q+Δr1・i1q+ωΔLσ・i1d=0・・・(29)
以上の結果から明らかなように、従来の誘導電動機の制御装置は、予め制御装置が想定し変換器20,13に設定した一次抵抗および漏れインダクタンスと実際の値との間に大きな誤差がある場合、つまりΔr1やΔLσが大きい場合、(29)式から分かるように、Δr2の絶対値が大きくなるので、二次抵抗同定精度が悪化する。特に、一次抵抗は二次抵抗同様に温度にも影響されるため、誘導電動機使用時の温度変化により一次抵抗に誤差が生じると、その影響を受けて二次抵抗の同定精度が悪化し、その結果、出力トルクの制御精度が低下するという問題点を有していた。
【0051】
そこで、本発明の課題は、インバータと誘導電動機間の配線を長くしたり、ビルトインモータ等においてコイルエンド部近辺に金属部品を取り付ける場合のように、誘導電動機の取り付け時に生じる一次抵抗および漏れインダクタンスの変動や初期値誤差、および、誘導電動機の温度変化による一次抵抗の変動の影響などにより生じる二次抵抗の同定精度の悪化を防止し、常に高精度で安定した所望の出力トルクを得ることができる誘導電動機の制御装置を実現することである。
【0052】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る誘導電動機の制御装置は、トルク指令と磁束密度指令からなる二相指令を前記誘導電動機の1次電流を制御するための三相電圧指令に変換する手段と、前記誘導電動機の三相の1次電流を検出しトルク電流検出値と励磁電流検出値からなる二相の検出値に変換すると共に、この二相の検出値を前記二相指令を三相電圧指令に変換する手段にフィードバックする手段とを備えた誘導電動機の制御装置において、前記磁束密度指令を前記誘導電動機の励磁インダクタンスに基づき励磁電流指令に変換する手段と、前記トルク指令と前記磁束密度指令とからトルク電流指令を出力する手段と、前記励磁電流指令と前記励磁電流検出値とに基づき励磁電流誤差を算出する手段と、前記トルク電流指令と前記トルク電流検出値とに基づきトルク電流誤差を算出する手段と、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値と前記トルク電流誤差とに基づき誘導電動機の二次抵抗補正値を算出する手段と、前記トルク電流指令および前記磁束密度指令と、前記二次抵抗補正値により補正された二次抵抗値とに基づきすべり角周波数を算出するすべり角周波数算出手段と、前記すべり角周波数と実際の誘導電動機の回転角周波数とに基づき角周波数指令を算出する角周波数指令算出手段と、前記トルク電流指令と、前記誘導電動機の漏れインダクタンスと、前記角周波数指令と、前記励磁電流誤差とに基づき、励磁電流と同相の励磁電流同相電圧指令を算出するd軸電圧指令算出手段と、前記トルク電流指令と、前記誘導電動機の一次抵抗と、前記励磁電流指令と、前記漏れインダクタンスと、前記角周波数指令と、前記トルク電流誤差とに基づき、トルク電流と同相のトルク電流同相電圧指令を算出するq軸電圧指令算出手段と、前記励磁電流同相電圧指令および前記トルク電流同相電圧指令と、前記角周波数指令とに基づき前記誘導電動機の1次電流を制御するための前記三相電圧指令を算出する三相電圧指令発生手段と、前記励磁電流誤差と、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値に基づき前記誘導電動機の一次抵抗の値を補正する一次抵抗補正手段と、前記励磁電流誤差と、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値と、前記角周波数指令に基づき前記誘導電動機の漏れインダクタンスの値を補正する漏れインダクタンス補正手段と、を備え、さらに、前記二次抵抗補正値と前記漏れインダクタンス補正値を、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値が予め定められた所定値以上のときに同時に算出し、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値が予め定められた所定値以下のときに算出した前記二次抵抗補正値と前記漏れインダクタンス補正値を同時に保持し、前記一次抵抗補正手段は、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値が予め定められた所定値以下のときに一次抵抗補正値を算出し、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値が予め定められた所定値以上のときに前記一次抵抗補正値を保持する手段を有し、該一次抵抗補正値により誘導電動機の一次抵抗の値を補正することにより、誘導電動機の取り付け時に生じる一次抵抗および漏れインダクタンスの変動や初期値誤差、および、誘導電動機の温度変化による一次抵抗の変動などがあっても、これらを正確な値に同定し、一次抵抗および漏れインダクタンスの変動が二次抵抗の同定精度を悪化させることを防止し、常に高精度で安定した所望の出力トルクを得るという本発明の課題を解決することができる。
【0054】
更に、前記一次抵抗補正手段は、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値の絶対値が予め定められた所定値以下で、かつ、前記励磁電流指令が予め定められた所定値以上であるときに一次抵抗補正値を算出し、前記励磁電流指令が予め定められた所定値以下であり、または、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値が予め定められた所定値以上のときに一次抵抗補正値を保持する手段を有し、該一次抵抗補正値により誘導電動機の一次抵抗の値を補正する構成を有することにより、励磁電流や角周波数の状態をも考慮に入れたより精度の高い一次抵抗の同定を行い、前記本発明の課題をより一層効果的に解決することができる。
【0055】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明に係る誘導電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。図4に示す従来の誘導電動機の制御装置と同一の構成要素には同一の符号を付して示してある。図1に示す本発明に係る誘導電動機の制御装置は、トルク指令T*と磁束密度指令φ*からなる二相指令を三相電圧指令に変換し、直流電源27から変換される三相交流電流を制御することにより、この三相交流電流で駆動される誘導電動機28のトルク制御を行う制御装置である。 図1において、変換器1は、外部からの入力指令として磁束密度指令φ*が入力され、磁束密度指令φ*に応じて必要な励磁電流指令値i1d*を算出し出力する励磁電流指令発生手段である。磁束密度と励磁電流の比は励磁インダクタンスMを意味するから、この変換器1は、励磁インダクタンスMの逆数を磁束密度指令φ*に乗算することにより、励磁電流指令値i1d*を出力する。
【0056】
除算器2は、入力されたトルク指令T*を同じく入力された磁束密度指令φ*で除算するものである。誘導電動機28の出力トルクは誘導電動機の磁束密度とトルク電流値との積に比例するから、除算器2はトルク電流指令値i1q*を出力するトルク電流指令発生手段を構成する。
【0057】
また、誘導電動機28の三相の1次電流をセンサー6a、6b、6cで検出し、この三相の1次電流検出値を、三相二相変換器9により、トルク電流検出値i1qと励磁電流検出値i1dからなる二相の直流量である検出値に変換する。
【0058】
さらに、除算器2,7と、二次抵抗補正手段(図6)により補正された二次抵抗r2からなる変換器8とは、前記トルク電流指令i1q*および前記磁束密度指令φ*とに基づきすべり角周波数ωsを算出するすべり角周波数算出手段を構成し、加算器5は、前記すべり角周波数ωsと実際の誘導電動機の回転角周波数ωmに基づき角周波数指令ωを算出する角周波数指令算出手段を構成している。
【0059】
破線で囲んだ部分はdq軸電圧指令算出部4Aであり、前記励磁電流指令i1d*から前記励磁電流検出値i1dを減算し励磁電流誤差を算出する手段である減算器11と、前記トルク電流指令i1q*から前記トルク電流検出値i1qを減算しトルク電流誤差Δi1qを算出する手段である減算器15とにおいて、磁束密度指令φ*から変換した励磁電流指令i1d*およびトルク指令T*から変換したトルク電流指令i1q*のそれぞれに対して前記トルク電流検出値i1qと励磁電流検出値i1dとを独立にフィードバックし、励磁電流指令i1d*とトルク電流指令i1q*とを制御する。
【0060】
乗算器14と減算器31とは、前記トルク電流指令i1q*と前記漏れインダクタンスLσと角周波数指令ωと前記励磁電流誤差Δi1dに基づき、励磁電流と同相の励磁電流同相電圧指令e1d*を算出するd軸電圧指令算出手段を構成し、また、乗算器19、加算器32,33は、前記トルク電流指令i1q*と、前記一次抵抗r1と、前記励磁電流指令i1q*と、前記漏れインダクタンスLσと、前記角周波数指令ωと、前記トルク電流誤差Δi1qに基づき、トルク電流と同相のトルク電流同相電圧指令e1q*を算出するq軸電圧指令算出手段を構成し、前記励磁電流同相電圧指令e1d*および前記トルク電流同相電圧指令e1q*と前記角周波数指令ωとに基づき、前記誘導電動機28を駆動する三相交流電流を制御するための三相電圧指令を算出する三相電圧指令発生手段3を動作させる。
【0061】
dq軸電圧指令算出部4Aに設けられた変換器13Aと変換器20Aとは、それぞれ、前記誘導電動機28の漏れインダクタンスLσの値と一次抵抗r1の値とを有する信号変換器であり、それぞれの値は、後述する図2または図3に示す漏れインダクタンス補正手段や一次抵抗補正手段などにより、誘導電動機の実際の漏れインダクタンス値Lσと一次抵抗値r1の値に近づけることができるように可変であり、同定可能な構成となっている。つまり、dq軸電圧指令算出部4Aにおける変換器13Aと変換器20Aには、同定済みの漏れインダクタンス値Lσや一次抵抗値r1を用い、前記d軸電圧指令およびq軸電圧指令を高精度に算出することができるようになっている。
【0062】
次に、励磁電流誤差Δi1dと、トルク電流指令i1q*またはトルク電流検出値i1qに基づき、変換器20Aの値を誘導電動機28の一次抵抗の値に等しくなるように補正する一次抵抗補正手段の構成と、励磁電流誤差Δi1dと、トルク電流指令i1q*またはトルク電流検出値i1qと、角周波数指令ωとに基づき、変換器13Aの値を誘導電動機28の洩れインダクタンスの値に等しくなるように補正する漏れインダクタンス補正手段の構成とを図2に基づき説明することにする。
【0063】
まず、図2に示す漏れインダクタンス補正手段と一次抵抗補正手段の動作原理を数式を用いて説明する。
【0064】
(13)式と(15)式は無負荷状態、つまりi1q*=i1q=0のとき、それぞれ次式のようになる。
【0065】
【数30】
e1d=r1・i1d+pLσ・i1d ・・・(30)
【数31】
e1d*=Gd・Δi1d+r1c・i1d* ・・・(31)
ここでr1cは制御装置で想定している一次抵抗である。電流制御系の働きによりi1d*=i1d,e1d=e1d*とし、(27)式で与えられる一次抵抗誤差を用い、かつ、(30)式の第2項は第1項と比較し十分小さいので無視することにして、(30)式と(31)式との差を求めると、次式を得る。
【0066】
【数32】
Gd・Δi1d=−Δr1・i1d ・・・(32)
次に、前記のように無負荷状態で同定した一次抵抗同定値と、(27)式で与えられる漏れインダクタンス誤差を用い、かつ、電流制御系の働きによりi1d*=i1d,e1d=e1d*であるとし、また、(13)式の第2項は他の項と比較し十分小さいので無視することにして、有負荷状態のときの(13)式と(15)式との差を求めると、次式を得る。
【0067】
【数33】
Gd・Δi1d=ω・ΔLσ・i1q* ・・・(33)
図2は、(32)式と(33)式に基づいて一次抵抗および漏れインダクタンスの同定(補正)を行う回路手段を示している。その構成は、予め設定されているトルク電流基準値iqref1とトルク電流指令i1q*の絶対値とをコンパレータ37で比較し、前記トルク電流指令i1q*の絶対値が前記トルク電流基準値iqref1以下になると、前記コンパレータ37の出力がHighになり、スイッチ39をONするようになっている。そして、励磁電流の誤差アンプ出力Δed(=Gd・Δi1d)を演算器41で演算し、該演算器41の出力を制御装置が想定した一次抵抗値r1cから減算器43により減算し補正することにより、一次抵抗が誘導電動機の実際の値になるように同定(補正)して出力する。
【0068】
また、前記コンパレータ37の出力がLowになり、スイッチ39がOFFのときは、スイッチ39がONしていたときに前記演算器41で演算した結果の出力を保持器49で保持し、この保持器49の出力を、制御装置が想定していた一次抵抗値r1cから減算器43により減算することにより、一次抵抗を同定して出力する。
【0069】
以上の動作と並行して、予め設定されているトルク電流基準値iqref2とトルク電流指令i1q*の絶対値とをコンパレータ38で比較し、前記トルク電流指令i1q*の絶対値が前記トルク電流基準値iqref2以上になると、前記コンパレータ38の出力がHighになり、スイッチ40がONするようになっている。また、平均化手段である変換器45で、磁束の回転角周波数ωおよびトルク電流指令i1q*の符号により、励磁電流の誤差アンプ出力Δedの符号を変換する。前記変換器45の出力は、前記スイッチ40がONしたときのみ演算器42により演算され、該演算出力を加算器44において、制御装置で想定した漏れインダクタンスLσcに加算し補正することにより、漏れインダクタンスLσが誘導電動機の実際の値になるように同定して出力する。
【0070】
前記コンパレータ38の出力がLowになり、スイッチ40がOFFになったときには、スイッチ40がONしていたときに前記演算器42で演算した結果の出力を保持器50が保持し、該保持器50の出力を、制御装置で想定した漏れインダクタンスLσcに加算器44により加算し、漏れインダクタンスLσを誘導電動機の実際の値になるように同定して出力する。なお、演算器41、42としてはpi演算増幅器等を用いる。
【0071】
上記一次抵抗補正手段および洩れインダクタンス補正手段は、漏れインダクタンスLσと一次抵抗r1とを、励磁電流の誤差アンプ出力(Gd・Δi1d)とトルク電流指令i1q*とを用いて補正するものであり、トルク電流指令i1q*が小さい無負荷状態の近傍において一次抵抗r1を補正し、トルク電流指令i1q*が大きい有負荷状態において漏れインダクタンスLσを補正する。
【0072】
従って、誘導電動機の取り付け時に生じる一次抵抗および漏れインダクタンスの変動や初期値誤差、および、誘導電動機の温度変化による一次抵抗の変動の影響などによる二次抵抗の同定精度の悪化を防止し、常に高精度で安定した所望の出力トルクを得ることができる。
【0073】
実施の形態2.
図3は、本発明に係る誘導電動機の制御装置に用いられる一次抵抗補正手段の他の実施の形態を示すもので、漏れインダクタンス補正手段の部分を含め、図2と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一部分についての説明を省略する。
【0074】
(32)式より、励磁電流の誤差アンプ出力Δed(=Gd・Δi1d)は励磁電流i1dの関数であり、励磁電流i1dが大きいとき感度が良くなることが分かる。そこで、図3に示した実施例では、予め設定されているトルク電流基準値iqref1とトルク電流指令i1q*の絶対値とをコンパレータ37で比較し、かつ、予め設定してある励磁電流基準値idref1と励磁電流指令i1d*とをコンパレータ46で比較し、両出力をAND器51を介して合成し、スイッチ39の制御信号としている。
【0075】
この実施の形態において、前記トルク電流指令i1q*の絶対値が前記トルク電流基準値iqref1以下になり、かつ、前記励磁電流指令i1d*が励磁電流基準値idref1以上になると、スイッチ39がONし、図2の場合と同様に、演算器41の出力を制御装置が当初想定した一次抵抗値r1cから減算器43において減算することにより補正し、一次抵抗r1を誘導電動機の実際の値になるように同定して出力することができる。
【0076】
なお、誘導電動機の磁束弱め制御では、誘導電動機の基底周波数以上の周波数領域で磁束密度指令を小さくしていくため、励磁電流指令が小さくなる。そこで、図3の左上部に括弧書きで示したように、励磁電流指令i1d*と励磁電流基準値idrefの代わりに、磁束の回転角周波数指令ωと角周波数基準値ωref(例えば基底周波数)を用いることにしても、励磁電流指令i1d*と励磁電流基準値idrefを変化させた場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0077】
以上のように、本実施の形態の構成によれば、制御装置で想定した一次抵抗や漏れインダクタンスに誤差があった場合でも、一次抵抗補正値および漏れインダクタンス補正値を誘導電動機からのフィードバック情報などに基づき演算により求め、その値を予め想定した設定値に加減することにより、誘導電動機の正確な一次抵抗および漏れインダクタンスに同定することができる。
【0078】
そしてこの一次抵抗および漏れインダクタンスの同定値をdq軸電圧指令算出部4Aに用いることにより、一次抵抗および漏れインダクタンスの変動や初期値誤差が二次抵抗の同定に悪影響を及ぼすことをなくし、二次抵抗を正確な値に同定することができる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一次抵抗補正手段により誘導電動機の一次抵抗の補正値を算出して一次抵抗を補正し、漏れインダクタンス補正手段により誘導電動機の漏れインダクタンスの補正値を算出して漏れインダクタンスを補正することにより、誘導電動機の取り付け時に発生する一次抵抗や漏れインダクタンスの変動および初期値の誤差、誘導電動機の温度変化による一次抵抗の変動等があっても、これらを正確な値に同定することができ、二次抵抗値の同定誤差を無くすことができる。
【0080】
その結果、常に精度良く安定した所望の出力トルクを得ることができる。また、従来必要とされていた設置する誘導電動機毎の制御パラメータの測定および調整を不要にし、設置作業を簡素化することができる。
【0081】
また、トルク電流指令を所定の設定値と比較し、トルク電流指令が小さい無負荷状態の近傍において一次抵抗を同定し、トルク電流指令*が大きい有負荷状態において漏れインダクタンスを同定する構成により、一次抵抗および洩れインダクタンスの補正をより正確に行うことができ、より精度の高い誘導電動機のトルク制御を行うことができる。
【0082】
さらに、トルク電流指令と所定の設定値とを比較すると共に、励磁電流指令または角周波数と所定の設定値とを比較した結果に基づき一次抵抗を補正する構成により、励磁電流や角周波数の状態をも考慮に入れたより精度の高い一次抵抗の同定を行い、さらに精度の高い誘導電動機のトルク制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る誘導電動機の制御装置のブロック図である。
【図2】 本発明に係る一次抵抗補正手段および漏れインダクタンス補正手段の一実施例のブロック図である。
【図3】 本発明に係る一次抵抗補正手段および漏れインダクタンス補正手段の別の実施例のブロック図である。
【図4】 従来の誘導電動機の制御装置のブロック図である。
【図5】 励磁インダクタンス同定手段のブロック図である。
【図6】 二次抵抗同定手段のブロック図である。
【図7】 誘導電動機の等価回路図である。
【符号の説明】
1,8,13A,17,20A 変換器、2,7 除算器、3 二相三相変換器、4A dq軸電圧指令算出部、5,32,33,34,35,36,44 加算器、6 電流検出器、9 三相二相変換器、10 二相正弦波発生器、11,15,31,43 減算器、12,16,21,25,41,42 増幅器、14,19 乗算器、22,37,38,46,47 コンパレータ、23,39,40,48 スイッチ、24 データテーブル、26 インバータ、27 直流電源、28 誘導電動機、29 位置検出器、30 微分器、45 変換器(平均化手段)、49,50 保持器、51 AND器、r1 一次抵抗、Lσ洩れインダクタンス。
Claims (2)
- 直流電源から変換された三相交流電流により駆動される誘導電動機の制御装置であって、トルク指令と磁束密度指令からなる二相指令を前記誘導電動機の1次電流を制御するための三相電圧指令に変換する手段と、前記誘導電動機の三相の1次電流を検出しトルク電流検出値と励磁電流検出値からなる二相の検出値に変換すると共に、この二相の検出値を前記二相指令を三相電圧指令に変換する手段にフィードバックする手段とを備えた誘導電動機の制御装置において、
前記磁束密度指令を前記誘導電動機の励磁インダクタンスに基づき励磁電流指令に変換する手段と、
前記トルク指令と前記磁束密度指令とからトルク電流指令を出力する手段と、
前記励磁電流指令と前記励磁電流検出値とに基づき励磁電流誤差を算出する手段と、
前記トルク電流指令と前記トルク電流検出値とに基づきトルク電流誤差を算出する手段と、
前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値と前記トルク電流誤差とに基づき誘導電動機の二次抵抗補正値を算出する手段と、
前記トルク電流指令および前記磁束密度指令と、前記二次抵抗補正値により補正された二次抵抗値とに基づきすべり角周波数を算出するすべり角周波数算出手段と、
前記すべり角周波数と実際の誘導電動機の回転角周波数とに基づき角周波数指令を算出する角周波数指令算出手段と、
前記トルク電流指令と、前記誘導電動機の漏れインダクタンスと、前記角周波数指令と、前記励磁電流誤差とに基づき、励磁電流と同相の励磁電流同相電圧指令を算出するd軸電圧指令算出手段と、
前記トルク電流指令と、前記誘導電動機の一次抵抗と、前記励磁電流指令と、前記漏れインダクタンスと、前記角周波数指令と、前記トルク電流誤差とに基づき、トルク電流と同相のトルク電流同相電圧指令を算出するq軸電圧指令算出手段と、
前記励磁電流同相電圧指令および前記トルク電流同相電圧指令と、前記角周波数指令とに基づき前記誘導電動機の1次電流を制御するための前記三相電圧指令を算出する三相電圧指令発生手段と、
前記励磁電流誤差と、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値に基づき前記誘導電動機の一次抵抗の値を補正する一次抵抗補正手段と、
前記励磁電流誤差と、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値と、前記角周波数指令に基づき前記誘導電動機の漏れインダクタンスの値を補正する漏れインダクタンス補正手段と、
を備え、さらに、
前記二次抵抗補正値と前記漏れインダクタンス補正値を、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値が予め定められた所定値以上のときに同時に算出し、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値が予め定められた所定値以下のときに算出した前記二次抵抗補正値と前記漏れインダクタンス補正値を同時に保持し、
前記一次抵抗補正手段は、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値が予め定められた所定値以下のときに一次抵抗補正値を算出し、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値が予め定められた所定値以上のときに前記一次抵抗補正値を保持する手段を有し、該一次抵抗補正値により誘導電動機の一次抵抗の値を補正することを特徴とする誘導電動機の制御装置。 - 前記一次抵抗補正手段は、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値の絶対値が予め定められた所定値以下で、かつ、前記励磁電流指令が予め定められた所定値以上であるときに一次抵抗補正値を算出し、前記励磁電流指令が予め定められた所定値以下であり、または、前記トルク電流指令または前記トルク電流検出値が予め定められた所定値以上のときに一次抵抗補正値を保持する手段を有し、該一次抵抗補正値により誘導電動機の一次抵抗の値を補正することを特徴とする請求項1記載の誘導電動機の制御装置。
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