JP3630535B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリスルホン樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、流動性に優れ、均一な外観を示し、ウェルド強度が良好であり、耐熱性および熱安定性に優れた芳香族ポリスルホン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリスルホン樹脂は耐熱性、機械的強度、難燃性などの特徴に優れ、エンジニアリングプラスチックとして金属代替分野に幅広く用いられている。
近年、該樹脂は電気・電子部品の分野、例えばバーンインソケットやPGAソケットなどのソケット関連材料としての用途が多くなってきている。この種の用途では、その製品形状が複雑な為、良好な成形品を得る為に樹脂の良好な流動性が重要である。
当該樹脂の一般的な流動性を向上する目的で当該樹脂よりも耐熱性の低い樹脂とのアロイ化が広く検討されており、例えば特公昭46−37896号公報には芳香族ポリスルホン樹脂とABSとのアロイ、また特開昭53−129248号公報にはポリアミド樹脂とのアロイに関する技術が開示されている。しかしこれらの系では流動性は向上するもののウェルド強度、耐熱性及び熱安定性に劣る問題がある。
また、芳香族ポリスルホン樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂とのアロイも検討されている。例えば特公昭60−11063号公報が挙げられる。しかし、従来よりポルスルホン樹脂の成形温度の様な高温での成形で、ポリフェニレンスルフィド樹脂の熱安定性が悪い為、流動性が悪化する等の現象があり、実用的ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に対し、熱安定性、ウェルド強度及び耐熱性を保持した、流動性が改良された芳香族ポリスルホン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、芳香族ポリスルホン樹脂と、オリゴマー含有量が1重量%以下のポリフェニレンスルフィド樹脂とを配合することにより、上記目的を達成することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち本発明は、次の1)〜5)の樹脂組成物に関する。
1)式(1)(化3)で表される構造単位を有する芳香族ポリスルホン樹脂99〜80重量部と、式()(化4)で表される構造単位を有し、重量平均分子量1万〜3万、オリゴマー含有率が1重量%以下のポリフェニレンスルフィド樹脂1〜20重量部よりなる樹脂組成物。
【化3】
【化4】
Figure 0003630535
Figure 0003630535
(式中、−Ph−はフェニレン基を表す。)
【0006】
)ポリフェニレンスルフィド樹脂がリニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂であり、かつ、末端のSX基(Xはアルカリ金属もしくは水素)に対してSH基を30%以上含むポリフェニレンスルフィド樹脂である上記1)記載の樹脂組成物。
)上記1)または2)のいずれか1項に記載の樹脂組成物100重量部及び繊維状補強材1〜60重量部とからなる樹脂組成物。
4)上記1)〜3)のいずれかに記載の樹脂組成物である電気・電子部品。
5)上記1)〜3)のいずれかに記載の樹脂組成物であるバーインソケット。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する芳香族ポリスルホン樹脂は、式(1)の様な構造単位を有するポリマーでる。芳香族ポリスルホン樹脂は、二官能性フェノールにアルカリを作用させジフェノラートとしたモノマーと電子吸引性スルホンで活性化された二官能性の芳香族ハロゲン基を有するモノマーとを非プロトン性極性溶媒中で縮合反応させることにより得られる重合体であり、例えば特公昭40−10067号公報、特公昭42−7799号公報および特公昭47−617号公報などに記載の方法で容易に製造できる。本発明に用いられる芳香族ポリスルホン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5千〜10万の範囲のもの、さらに好ましくは1万〜8万の範囲のものが好適に用いられる。本発明に使用するポリフェニレンスルフィド樹脂は前記の式()の構造単位を有するオリゴマー含有量が1重量%以下の樹脂である。ポリフェニレンスルフィド樹脂は一般に、架橋型とリニア型の二つに大別され、本願発明ではいずれかを単独で用いても、両方を任意の割合で混ぜて用いてもよいが、熱安定性が良好なリニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂が好ましい。本発明に用いられるポリフェニレンスルフィド樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5千〜6万の範囲のもの、さらに好ましくは1万〜3万の範囲のものが好適に用いられる。更に、末端のSX基(Xはアルカリ金属もしくは水素)に対してSH基を30%以上含むポリフェニレンスルフィド樹脂がより好ましく、重量平均分子量5千〜6万であるポリフェニレンスルフィド樹脂が最も好ましい。架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂としては、ハロゲン置換芳香族化合物と硫化アルカリとの反応による方法(米国特許第2513188号、特公昭45−3368号公報)等で重合した後、架橋して高分子量化するものである。架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂の具体例としては、ライトンPR−6(フィリップスペトローリアム社製)が挙げられる。
【0008】
リニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂とは、重合段階で高分子量化された直鎖状重合体のポリフェニレンスルフィド樹脂である。リニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法は、重合の際にアルカリ金属の酸化物あるいは水酸化物を共存させる方法(特開昭60−55029号公報、特開昭60−5030号公報)及び一定量の水分量下で反応缶の気相部分を冷却し気相の一部を凝縮させ液相に還流せしめる方法(特開平5−222196号公報)等が挙げられる。リニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂の具体例としては、LN−01G((株)トープレン製)が挙げられる。
【0009】
本発明に用いるリニア型のポリフェニレンスルフィド樹脂は、一定量の水分量下で反応缶の気相部分を冷却し気相の一部を凝縮させ液相に還流せしめる方法(特開平5−222196号公報)によって得られるポリフェニレンスルフィド樹脂がより好ましい。
【0010】
特開平5−222196号公報に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法において概略を以下に記載する。不活性ガス雰囲気下で、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒中の硫化ソーダ等のアルカリ金属硫化物の水分量が所定の量となるよう、必要に応じて脱水または水添加する。水分量が0.5〜2.5モル(アルカリ金属硫化物1モル当たり)であることが好ましい。0.5モル未満では、反応速度が速すぎ、副反応等の好ましくない反応が生じるし、2.5モルを越えると反応速度が小さくなり、しかも反応終了後の濾過中にフェノール等の副生成物量が増大し、重合度も上がらない。ハロゲン置換芳香族化合物は最初から反応系に入れておいても良いし、脱水終了後に加えても良い。使用量はアルカリ金属硫化物1モルに対して、0.9〜1.1モルの範囲が高分子量のポリフェニレンスルフィド樹脂を得るには望ましい。反応時の気相部の冷却は、一定温度での1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望ましいが、少なくとも250℃以下の昇温途中から行わなければならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水分量、ハロゲン置換芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却しない場合に比べて、反応缶圧力が低下すれば、リフラックス量が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下していることを意味しており、その相対的な低下の度合いが水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合いを示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行わなければならない。冷却の程度は、都度の使用する装置、運転条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
【0011】
ポリフェニレンスルフィドのオリゴマー含有量は1重量%以下であり、さらに好ましくは0.7重量%以下のものが好適である。オリゴマー含有量が1重量%を大幅に超えると得られる樹脂組成物の熱安定性及び荷重たわみ温度に劣る場合がある。
【0012】
オリゴマー含有量とは、塩化メチレンの抽出を受けて溶出する低分子量のポリフェニレンスルフィド樹脂を主とする物質の、抽出前のポリフェニレンスルフィド樹脂に対する重量%で示される物質量である。具体的なオリゴマー量の定量方法は、以下の様に求めた値である。ポリフェニレンスルフィド樹脂粉末4gを塩化メチレン80gに加え、4時間ソックスレー抽出を実施した後、室温まで冷却し、抽出後の塩化メチレン溶液を秤量ビンに移す。さらに、上記の抽出に使用した容器を塩化メチレン合計60gを用いて、3回に分けて洗浄し、該洗浄液を回収後、上記秤量ビン中にまとめる。次に、約80℃に加熱して、該秤量ビン中の塩化メチレンを蒸発させて除去した。該秤量ビンの重量から秤量ビンの風袋をさし引いた値をポリフェニレンスルフィド樹脂の重量4gで割り、100を乗じた値がオリゴマー含有量(重量%)である。
オリゴマー含有量を1重量%以下に抑える為には、ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造工程において、十分に高分子量化したスラリー状のポリフェニレンスルフィド樹脂(好ましくは重量平均分子量が5千〜6万の範囲もの、さらに好ましくは1万〜3万の範囲のもの)を、有機溶媒中での洗浄、続いて水洗浄を行うのが好ましい。本発明においては、有機溶媒中での洗浄と水洗浄を両方おこなっても良いし、オリゴマー含有量が1重量%以下に低減できるのであれば有機溶媒中での洗浄か水洗浄かどちらか片方の洗浄方法のみの洗浄をおこなうのでもかまわない。
【0013】
有機溶媒中での洗浄は以下に示す様に行うのが好ましい。上記工程で生成したポリフェニレンスルフィド樹脂のスラリーを濾過した後、重量で好ましくは、0.5〜10倍の有機溶媒中に投入して、好ましくは10分間〜10時間攪拌混合した後、濾過する。該攪拌混合及び濾過操作を好ましくは1〜10回繰り返す。該洗浄に使用する有機溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルカプロラクタム等の有機アミド系溶媒、あるいはキシレン等が挙げられる。特に好ましくは、N−メチルピロリドンが使用される。
【0014】
水洗浄は以下に示す様に行うのが好ましい。上記有機溶媒中で洗浄した後に得られたポリフェニレンスルフィド樹脂の濾過ケーキを、重量で好ましくは1〜5倍の水中に投入して、好ましくは常温〜90℃で、好ましくは5分間〜10時間攪拌混合した後、濾過する。該攪拌混合及び濾過操作を好ましくは2回〜10回繰り返すことにより、ポリフェニレンスルフィド樹脂に付着した溶媒及び副生成塩の除去を行うことができる。
【0015】
本発明において用いられるポリフェニレンスルフィド樹脂は、末端のSX基(XはNa、K、Li、RbまたはCsなどのアルカリ金属もしくは水素)に対してSH基を30%以上含むポリフェニレンスルフィド樹脂が好ましく、さらに50%以上のものが好ましい。ポリフェニレンスルフィド樹脂の末端が、SX基(XはNa、K、Li、RbまたはCsなどのアルカリ金属もしくは水素)に対してSH基が30%未満の場合は、ポリフェニレンスルフィド樹脂中に分岐構造が生じ易く熱安定性が劣る場合がある。
【0016】
本発明においては、上記の様にして得られたポリフェニレンスルフィド樹脂に、さらに酸処理を施すのがより好ましい。この酸処理によって、ポリフェニレンスルフィド樹脂のSY末端(Yはアルカリ金属を示す)をSH末端に転化することができる。
【0017】
酸処理方法は以下に示す様な方法が好ましい。該酸処理は、100℃以下の温度、好ましくは40℃〜80℃の温度で実施される。該温度が上記上限を超えると、酸処理のポリフェニレンスルフィド樹脂の分子量が低下するため好ましくない。また、40℃以下では、残存している無機塩が析出してスラリーの流動性を低下させ、連続処理のプロセスを阻害するため好ましくない。該酸処理に使用する酸溶液の濃度は、好ましくは0.01〜5.0重量%である。また、該酸溶液のpHは、酸処理後において、好ましくは4.0〜5.0である。上記のpHを採用することにより、被処理物であるSY(Yはアルカリ金属を示す)末端の大部分をSH末端に転化することができるとともに、プラント設備等の腐食を防止し得るため好ましい。該酸処理に要する時間は、上記酸処理温度及び酸溶液の濃度に依存するが、好ましくは5分間以上、特に好ましくは10分間以上である。上記未満ではポリフェニレンスルフィド樹脂中のSY末端をSH末端に十分に転化できず好ましくない。
【0018】
上記酸処理には、例えば酢酸、ギ酸、シュウ酸、フタル酸、塩酸、リン酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸等が使用され、酢酸が特に好ましい。
【0019】
本発明の樹脂組成物では芳香族ポリスルホン樹脂99〜60重量部に対しポリフェニレンスルフィド樹脂1〜40重量部の範囲で添加することが好ましい。さらに好ましくは、芳香族ポリスルホン樹脂99〜80重量部に対しポリフェニレンスルフィド樹脂を1〜20重量部の範囲で添加する。ポリフェニレンスルフィド樹脂が1重量部未満の場合は本発明の目的である流動性の改良効果は小さく、40重量部を越える場合には、成形品のウェルド強度及び耐熱性に劣る為、好ましくない。
【0020】
本願発明の樹脂組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において他の熱可塑性樹脂、各種エラストマー、各種添加剤、また各種のフィラー等を目的、用途に応じ使用することができる。
特に、繊維状補強材を添加した本発明の樹脂組成物は有用である。
【0021】
本発明に用いられる繊維状補強材は、繊維状の物質であれば特に限定はしないが、ガラス繊維、炭素繊維、セラミックファイバー、アラミド繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウィスカ、ほう酸アルミニウムウィスカ、珪酸カルシウムウィスカ、炭酸カルシウムウィスカおよび酸化亜鉛ウィスカが好適に用いられ、特にガラス繊維が好ましい。繊維状補強材の添加量は、樹脂組成物100重量部に対して1〜60重量部であるのが好ましく、より好ましくは樹脂組成物100重量部に対して5〜40重量部である。繊維状補強材の添加量が1重量部未満では繊維状強化材の補強効果が発現せず、60重量部以上では成形性に劣るため好ましくない場合がある。
【0022】
本樹脂組成物の製造方法については特に制限がなく、通常公知の方法を採用することができるが、芳香族ポリスルホン樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂を均一混合した後、一軸あるいは多軸の押出機、混合ロール、ニーダー、ブラベンダー等で溶融混練する方法等で製造できる。
また、上記した芳香族ポリスルホン樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂よりなる樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、トランスファー成形法等の公知の成形法により種々の形状の製品に成形することができる。
このようにして成形された本発明の樹脂組成物は、良好な流動性を有し、かつ芳香族ポリスルホン樹脂の特徴である高い耐熱性、熱安定性およびウェルド強度を保持しているため、電気・電子部品、機械部品、自動車部品等の成形品形状が複雑であり、高度な耐熱性を要求される分野にも使用でき、大変有用である。
【0023】
【実施例】
以下実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例における樹脂の物性測定、評価は以下の要領で実施した。
(1)スパイラルフロー
金型温度150℃、幅10mm×厚さ1mmのスパイラルフロー金型を用いて樹脂温度330℃、350℃及び370℃、射出圧力1500Kg/cm の条件で射出成形を行い、流動長を測定した。流動長が長い程、成形加工性が良好であることを意味する。
(2)MI滞留試験
JIS−K7210に準拠し、荷重2.16kgf、温度400℃でのMIを 測定した。また、通常の測定では樹脂をシリンダーに投入後6分後に測定開始するが、測定開始時間を30分に延長した測定も行った。また、両者の値の比を取って、MI保持率とした(MI保持率=30分滞留時MI値/6分滞留時MI値×100)。MI保持率が100に近い程、熱安定性が良好であることを意味する。MI保持率が100を大幅に下回る場合は、樹脂組成物のゲル化が進行している可能性が高く、射出成形時に樹脂の粘度が増加する傾向があり、好ましくない。また、MI保持率が100を大幅に上回る場合は、樹脂組成物の分解が進んでいる可能性があり、射出成形時にガスが多く、充填不足やシルバーの原因となる場合があり、好ましくない。
(3)引張強度
JIS−K7113に準拠した。ここでは試験片の中央部にウェルドを持つものと持たないものの両者を評価した。また、両者の値の比を取って、引張強度保持率とした(引張強度保持率=ウェルドあり試験片の引張強度/ウェルドなし試験片の引張強度×100)。引張強度保持率が100に近い程、ウェルド強度が良好であることを意味する。
(4)荷重たわみ温度
JIS−K7110に準拠した。曲げ応力は18.56Kg/cm とした。荷重たわみ温度が高い程、耐熱性が良好であることを意味する。
【0024】
実施例1〜3、参考例4
前記式(1)で表される構造単位を有する芳香族ポリスルホン樹脂(BASF社製、商品名ウルトラゾーンE−1010、以下『芳香族ポリスルホン樹脂1』、重量平均分子量29000)とオリゴマーを0.5重量%含み、重量平均分子量が18000〜20000であり、SX基(Xはアルカリ金属もしくは水素)に対して100%SH末端を有するリニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂((株)トープレン製、商品名LN−01G、以下『ポリフェニレンスルフィド樹脂1』)を表1に示す割合で配合したのちタンブラーミキサーで十分に混合して、スクリュー径37mm、L/D=32の二軸押出機にて320℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混合し、押出してペレット状の樹脂組成物を得た。このペレットを320〜340℃に設定した射出成型機で試験片に成型し、引張破断強度および荷重たわみ温度を評価した。また、このペレットを用いてスパイラルフロー及びMI滞留試験を行った。結果を表1に示す。いずれの樹脂組成物も良好な流動性、熱安定性、耐熱性、ウェルド強度を示す。
【0025】
【表1】
Figure 0003630535
【0026】
実施例5〜7、参考例8
芳香族ポリスルホン樹脂1とポリフェニレンスルフィド樹脂1とガラスファイバーTP78(日本板ガラス(株)製)を表2に示す割合で配合したのちタンブラーミキサーで十分に混合して、スクリュー径37mm、L/D=32の二軸押出機にて360℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混合し、押出してペレット状の樹脂組成物を得た。このペレットを340〜360℃に設定した射出成型機で試験片に成型し、引張破断強度および荷重たわみ温度を評価した。また、このペレットを用いてスパイラルフロー及びMI滞留試験を行った。結果を表2に示す。いずれの樹脂組成物も良好な流動性、熱安定性、耐熱性、ウェルド強度を示す。
【0027】
【表2】
Figure 0003630535
【0028】
実施例9〜10
ポリフェニレンスルフィド樹脂としてオリゴマーを0.5重量%含み、重量平均分子量が18000〜20000であり、SX基(Xはアルカリ金属もしくは水素)に対して70%SH末端を有するリニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂((株)トープレン製、商品名LR−01、以下『ポリフェニレンスルフィド樹脂2』)を表3に示す割合で配合した他は実施例5同様として評価した。結果を表3に示す。いずれの樹脂組成物も良好な流動性、熱安定性、耐熱性、ウェルド強度を示す。
【0029】
実施例11〜12
ポリフェニレンスルフィド樹脂としてオリゴマーを0.5重量%含み、重量平均分子量が18000〜20000であり、SH末端を有しない架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂((株)トープレン製、商品名H−1、以下『ポリフェニレンスルフィド樹脂3』)を表3に示す割合で配合した他は実施例5同様として評価した。結果を表3に示す。いずれの樹脂組成物も良好な流動性、熱安定性、耐熱性、ウェルド強度を示す。
【0030】
【表3】
Figure 0003630535
【0031】
参考例13〜14
ポリフェニレンスルフィド樹脂としてオリゴマーを0.5重量%含み、重量平均分子量が36000であり、SH末端を70%有するリニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂((株)トープレン製、商品名LC−5、以下『ポリフェニレンスルフィド樹脂4』)を表4に示す割合で配合した他は実施例5同様として評価した。結果を表4に示す。いずれの樹脂組成物も良好な流動性、熱安定性、耐熱性、ウェルド強度を示す。
【0032】
参考例15〜16
ポリフェニレンスルフィド樹脂としてオリゴマーを0.5重量%含み、重量平均分子量が35000であり、SH末端を有しない架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂((株)トープレン製、商品名K−4、以下『ポリフェニレンスルフィド樹脂5』)を表4に示す割合で配合した他は実施例5同様として評価した。結果を表4に示す。いずれの樹脂組成物も良好な流動性、熱安定性、耐熱性、ウェルド強度を示す。
【0033】
【表4】
Figure 0003630535
【0037】
比較例1
実施例5のポリフェニレンスルフィド樹脂の添加量を好適な範囲を超えたものとし、その他の条件は実施例4同様として評価した。結果を表6に示す。荷重たわみ温度が低下し耐熱性に劣り、またウェルド強度が低下する為好ましくない。
【0038】
比較例2
実施例5のポリフェニレンスルフィド樹脂の添加量を好適な範囲未満とし、その他の条件は実施例4同様として評価した。結果を表6に示す。スパイラルフロー値が低く成形加工性に劣る為、好ましくない。
【0039】
比較例3
ポリフェニレンスルフィド樹脂として、オリゴマーを1.2重量%含み、重量平均分子量が18000〜20000であり、SH末端を有しない架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂((株)トープレン製、商品名H−1、以下『ポリフェニレンスルフィド樹脂6』)を表6に示す割合で配合した他は実施例5同様とした。結果を表6に示す。MI保持率が低く熱安定性に劣り、好ましくない。
【0040】
比較例4
芳香族ポリスルホン樹脂1とポリアミド樹脂(三井石油化学(株)製、商品名アーレンA3000、以下『ポリアミド樹脂1』とガラスファイバーTP78(日本板ガラス(株)製)を表6に示す割合で配合し、その他の条件は実施例5と同様とした。結果を表6に示す。荷重たわみ温度が低く耐熱性に劣り、またMI保持率が高く熱安定性に劣り、好ましくない。
【0041】
【表6】
表6
Figure 0003630535
【0042】
比較例5
芳香族ポリスルホン樹脂1単独での評価を行った。結果を表7に示す。スパイラルフロー値が低く成形加工性に劣る為、好ましくない。
【0044】
比較例7
実施例5においてポリフェニレンスルフィド樹脂を添加しないこと以外は実施例5と同様として評価した。結果を表7に示す。スパイラルフロー値が低く成形加工性に劣る為、好ましくない。
【0046】
【表7】
Figure 0003630535
【0047】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、良好な流動性を有し、かつ芳香族ポリスルホン樹脂の特徴である高い耐熱性、熱安定性およびウェルド強度を保持しているため、電気・電子部品、機械部品、自動車部品等の成形品形状が複雑であり、高度な耐熱性を要求される分野にも使用でき、大変有用である。

Claims (5)

  1. 式(1)(化1)で表される構造単位を有する芳香族ポリスルホン樹脂99〜80重量部と、式()(化2)で表される構造単位を有し、重量平均分子量1万〜3万、オリゴマー含有率が1重量%以下のポリフェニレンスルフィド樹脂1〜20重量部よりなる樹脂組成物。
    Figure 0003630535
    Figure 0003630535
    (式中、−Ph−はフェニレン基を表す。)
  2. ポリフェニレンスルフィド樹脂がリニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂であり、かつ、末端のSX基(Xはアルカリ金属もしくは水素)に対してSH基を30%以上含むポリフェニレンスルフィド樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2のいずれか1項に記載の樹脂組成物100重量部及び繊維状補強材1〜60重量部とからなる樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物である電気・電子部品。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物であるバーインソケット。
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