JP3617324B2 - ポリエステル及びそれからなる延伸ブロー成形体 - Google Patents

ポリエステル及びそれからなる延伸ブロー成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンチモン元素を含む粒子を含有するポリエステルに関する。詳細には、アンチモン金属の粒子を単位重量当たりに特定範囲個数含有し、しかもそれらの粒子のうち比較的微小な粒子の数の比率が高いポリエステルであり、各種成形品や包装材料の予備成形体を再加熱する際に、温度上昇速度が非常に速いため短時間で必要温度に加熱することができ、成形品や包装材料とした場合の透明性や色調にも優れたポリエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートをはじめとするポリエステルは、機械的強度、化学的安定性、ガスバリア性、衛生性などに優れ、また比較的安価で軽量であるため各種食品、飲料包装容器等として幅広く用いられている。
これらの包装容器の製造にあたっては、先ず予備成形体を成形し、これを再加熱して軟化させたのち所望の形状に再成形する方法がある。例えば、延伸ブロー成形体を製造するにあたっては、先ず有底管状のプリフォームを射出成形によって製造し、このプリフォームを通常近赤外線ヒーターにより再加熱して軟化させたのちブロー成形して所定形状の金型に密着させ製造するが、再加熱するのに時間がかかるため生産性が悪いという問題点があった。
【0003】
このような問題に対して、特開平3−230933号公報では、「ポリマーの再加熱時間がその量の粒子を含まないポリマーの再加熱時間より短いような量の、500〜2000nmの波長領域の電磁線を本質的に吸収する、金属粒子を含むポリマーを含む熱可塑性ポリマー組成物を含む包装材料」が提案されている。ここで500〜2000nmの波長領域の電磁線とは一般的な近赤外線ヒーターが発生する電磁線の波長範囲である。該公報の実施例では、還元剤として3価のリン化合物をポリエチレンテレフタレートプレポリマーに添加し、その10分後に還元可能な金属化合物として三酸化アンチモンを添加した後重合を行い、金属化合物と還元剤を反応させ金属の微粒子を発生させる方法が開示されている。
【0004】
しかしながら本発明者らが詳細に検討した結果、この方法では、発生する粒子の大きさのばらつきが大きく、また粗大粒子がかなり多いことが分った。粗大粒子は同体積の微小粒子に比べ表面積が少いために、電磁線の吸収効率が不十分であり、そのため包装材料とした場合の透明性が悪く、またこの粗大粒子は、金属粒子で黒みを帯びているため、包装材料とした場合に黒みが強くかかったり包装材料中に黒色異物として見えたりするなど色調外観上の問題点があった。
【0005】
他方、特公昭49−20638号公報には、「重縮合触媒としてアンチモン化合物の溶液または懸濁液に亜リン酸または次亜リン酸あるいはそのエステルまたは塩を作用させて金属アンチモンを析出させた反応液を用いるポリエステルの製法」が開示されている。しかしながら、本発明者らがこの方法について詳細に検討したところ、この方法では得られたポリエステル中の析出粒子のうち、粗大粒子の占める割合が多く、電磁線の吸収効率が不十分であり、そのため包装材料とした場合の透明性や色調に問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような問題点を解決するためのものであって、アンチモン金属の粒子を単位重量当たりに特定範囲個数含有し、しかもそれらの粒子のうち比較的微小な粒子の数の比率が高いことにより、各種成形品や包装材料の予備成形体を再加熱する際に、温度上昇速度が非常に速く、短時間で必要温度に加熱することができ、成形品や包装材料とした場合の透明性や色調にも優れ、更に生産性や成形性にも優れたポリエステルを提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、酸成分として芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル誘導体を主成分とし、ジオール成分として脂肪族ジオール成分を主成分とするポリエステルにおいて、該ポリエステル中のアンチモン元素の含有量が50〜350ppm、また、ポリエステル100mg中の直径0.5μm以上のアンチモン金属の粒子数が3万個以上で、このうち直径0.5μm以上0.6μm未満の微小粒子数の比率が70%以上であり、かつ、色相L値が80以上であるポリエステルに関するものであり、また、請求項6は、該ポリエステルからなる延伸ブロー成形体に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステルは、酸成分として芳香族ジカルボン酸、ジオール成分として脂肪族ジオールを主成分とするポリエステルである。芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、これらは全酸成分の90モル%以上が好ましく、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは97モル%以上である。脂肪族ジオール成分としては、エチレングリコールが好ましく、これは全ジオール成分の90モル%以上が好ましく、より好ましくは95モル%以上である。その他のジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、オルトフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルエーテルジカルボン酸、ビフェニルスルフォンジカルボン酸、ビフェニルケトンジカルボン酸、ビフェノキシエタンジカルボン酸、フェニレンジオキシジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、またアジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられるが、特にイソフタル酸がテレフタル酸の共重合成分として好ましく、全酸成分に対してイソフタル酸が3モル%以下であることがより好ましい。
【0009】
また、その他のジオール成分としては、例えばブチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂環式グリコール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の分岐型脂肪族グリコール、キシリレングリコール等の芳香族グリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。このうちジエチレングリコールは、原料として最初から添加してもよいが、ポリエチレンテレフタレートの製造の際に一般に副生成分として生成されるものである。
【0010】
さらに、これらの芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオール以外に、本発明の効果を逸脱しない範囲でその他のモノマーを添加することができる。その他のモノマーとしては、ステアリン酸、安息香酸等の単官能成分、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、没食子酸、トリメチロールプロパン、トリエチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどの3官能以上の多官能成分が挙げられる。
【0011】
本発明のポリエステルには、アンチモン元素が50〜350ppm含有されていることが必要であり、好ましくは100〜300ppm、より好ましくは150〜250ppmである。この場合アンチモン元素の定量には、ICP発光分光分析法を用いる。アンチモン元素の量が50ppm未満であると、アンチモン元素を含む粒子の数が不十分となり、予備成形体を再加熱する際に、必要温度までに加熱する時間が長くかかるため好ましくなく、他方、350ppmを越えると、微小粒子の比率が低下し、成形品や包装材料とした場合の透明性や色調も悪化するので好ましくない。
【0012】
ポリエステル中のアンチモン元素は、アンチモン金属またはアンチモン化合物として含有されるもので、例えば、製造の際に触媒として添加するアンチモン化合物から由来したアンチモン元素である。この際に触媒として用いられるアンチモン化合物とは、アンチモンの酸化物、脂肪族または芳香族のカルボン酸の塩、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコラート等が挙げられ、この内三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモントリスエチレングリコキシド等のグリコール可溶性アンチモン化合物が触媒溶液のヘーズや本発明の効果の点で好ましい。
【0013】
また、本発明のポリエステルは、ポリエステル100mg中の直径0.5μm以上のアンチモン金属の粒子数が3万個以上含んでいることが必要であり、好ましくは10万個以上100万個以下である。アンチモン金属の粒子数が3万個未満であると、予備成形体を再加熱する際に、必要温度までに加熱する時間が長くかかるため好ましくない。100万個を越えると、成形品や包装材料とした場合の透明性や色調が悪化する傾向がある。
【0014】
更に、本発明のポリエステルは、100mg中の直径0.5μm以上のアンチモン金属の粒子数が3万個以上のうち、直径0.5μm以上0.6μm未満の微小粒子数の比率が70%以上であることが必要である。微小粒子数の比率が70%未満であると予備成形体を再加熱する際に、必要温度までに加熱する時間が長くかかり、また成形品や包装材料とした場合の透明性や色調も悪化するので好ましくない。好ましくは90%以上、より好ましくは98%以上である。
【0015】
ここで、直径0.5μm以上の粒子の数は、次のようにして測定する。即ち、ポリエステルを凍結粉砕したもの100mgを精秤し、これをO−クロロフェノール10mlに、100℃2時間の条件下で溶解した。この溶液中の粒子数と直径を、パシフィック・サイエンティフィック社製HIAC PC−320型微粒子測定装置にて測定する。これにより粒径0.5μm以上の粒子数とその粒径分布が得られる。得られた粒子数を測定したポリエステルの重量で徐して、ポリエステル100mg当たりの粒子数が求められる。
【0016】
測定された粒子がアンチモン金属の粒子であるとの確認は、次のようにして判定することができる。即ち、ポリエステル30gを379gのO−クロロフェノール中で100℃で2時間撹拌して溶解し、次いで高速遠心分離機で12000回転/分で溶け残った粒子を60分間遠心沈降させる。この遠心沈降物を洗浄、真空乾燥させた後、X線回折法によりアンチモン金属かどうかを確認する。
【0017】
また、本発明のポリエステルは、色相L値が80以上であることが必要である。80未満であると、成形品にした際の黒みが目だつので好ましくない。この場合のL値は、日本電色工業株式会社製300A型測色色差計を用いて、反射法で測定した値である。
測定は、予め装置を電源投入後4時間以上放置して十分安定させたのち、ペレットを内径36mm×深さ15mmの測定セル(受光部は石英ガラス製)に摺り切りで充填し、測定セルの向きを90度ずつ4方向に変えて計4回L値を測定し、その平均値をもって本発明のL値とした。
【0018】
本発明のポリエステルには、0.5μm以上0.6μm未満の微小粒子数の比率を70%以上にするために、リン元素を含有することが好ましい。リン元素の含有量としては2〜100ppm、より好ましくは5〜50ppmである。リン元素はポリエステルの重合中にリン化合物として添加することができる。リン化合物としては、3価のリン化合物が好ましく、また必要に応じて5価のリン化合物が使用できる。3価のリン化合物としては、亜リン酸や次亜リン酸、またはそれらのエステル類(例えば、ジエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイトなど)、またはそれらのリチウム、ナトリウム、カリウム等の金属塩等が挙げられる。また5価のリン化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステル類、およびリン酸、ポリリン酸などのリン化合物が挙げられる。
この内、0.5μm以上0.6μm未満の微小粒子数の比率を多くするうえで、亜リン酸を使用することが好ましい。
【0019】
本発明のポリエステルの固有粘度は、例えばテレフタル酸とエチレングリコールを主成分とするポリエステルでは、0.50〜1.50dl/gのものであり、好ましくは0.55〜1.0dl/g、より好ましくは0.60〜0.90dl/g、特に好ましくは0.65〜0.85dl/gである。固有粘度の値は、溶融重合時間・温度や固相重合時間・温度により調節することができる。固有粘度が0.50dl/g未満の場合は得られる成形品の強度が不足する傾向にあり、また1.50dl/gを越えると成形性が悪くなる傾向がある。
【0020】
また、本発明のポリエステルは、微小粒子数の比率が高いため、透明性に優れているので成形品強度と成形性のバランスが最も良好な固有粘度の範囲である0.65〜0.85dl/gでも、優れた透明性を示すことができ、特に好ましい。
なお、固有粘度は、ポリエステルを凍結粉砕したのち、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に溶解して、濃度0.1、0.2、0.5、1g/dlの4種の溶液とし、各溶液の粘度をウベローデ型毛細粘度管にて温度30℃で測定し、定法により求めたものである。
【0021】
本発明のポリエステルは、直径0.5μm以上のアンチモン金属の粒子数が3万個以上であり、かつ、このうち直径0.5μm以上0.6μm未満の微小粒子数の比率が70%以上含有するようにアンチモン金属またはアンチモン化合物をポリエステルの製造工程中に添加方法を調整したり、重合条件を調整したりして製造することにより得られる。
【0022】
通常、アンチモン化合物は、ポリエステルの重縮合触媒として使用されているので、本発明のポリエステルの製造においても重縮合触媒として使用するのが好ましい。以下に、本発明のポリエステルの製造方法を具体的に説明するが、この方法に限定されるものではない。
まず、重縮合触媒として、アンチモン化合物と3価のリン化合物との予備混合溶液を用いる。
【0023】
この予備混合溶液は、アンチモン化合物と3価のリン化合物と溶媒を、特定の添加順序や条件下で混合撹拌することにより得られる。ここで溶媒とは、エチレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、水、またはその他の有機または無機溶媒を用いることができるが、このうちエチレングリコールおよび水が好ましい。具体的には、例えば、予めアンチモン化合物とエチレングリコールを混合してヘーズ10%以下のアンチモン溶液とし、この溶液に60〜140℃の温度範囲下、3価のリン化合物を添加し溶解して触媒溶液を調製する。
【0024】
これは、触媒として添加したアンチモン化合物が予備混合した3価のリン化合物により重合中になんらかの変性を受け、本発明のような特定の数および粒径比率を持つ粒子として析出することによるものと推定される。
この触媒溶液を用いてポリエステルを重合する。ポリエステルの製造工程は、従来公知の方法が採用できる。例えば、酸成分として芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル誘導体と、ジオール成分として脂肪族ジオール成分とをエステル化、溶融重合および必要ならそれに続く固相重合により製造することができる。まず、エステル化については、例えばテレフタル酸、エチレングリコール、その他の共重合モノマーを用いて、常圧から加圧下で直接エステル化反応を行い、ポリエステルの低量体を得る。この場合エステル化反応の温度は、通常240〜280℃、好ましくは250〜270℃、圧力は0〜3kg/cm・G、好ましくは0〜2kg/cm・Gで1〜10時間撹拌して得ることができる。これで得られるポリエステルの低量体は、通常酸価が300〜1200eq/tonのものである。
【0025】
次に、溶融重合は、エステル化により得られたポリエステルの低量体を前記に調整した触媒溶液の存在下、更に昇温するとともに次第に減圧として重縮合反応を行う。
溶融重合の温度は、通常260〜290℃、好ましくは265〜285℃であり、圧力は常圧から漸次減圧され、最終的には通常0.1〜10Torr、好ましくは0.5〜5Torrで重合を行う。このようにして得られる溶融重合ポリエステルの固有粘度は、例えばテレフタル酸とエチレングリコールを主原料として製造した場合には0.50〜0.70dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.55〜0.65dl/g、更に好ましくは0.57〜0.63dl/gである。固有粘度が0.50〜0.70dl/gの範囲外では、恐らく前記に調整した触媒溶液のアンチモン化合物と3価のリン化合物との反応が最適に進行しないため、溶融重合段階で析出する粒子の大きさがばらついたり、粗大粒子が増加してしまう傾向がある。
【0026】
また調整した触媒溶液を添加する時期は、溶融重合開始以前で、酸価が1000eq/tonの段階で添加することが好ましい。この場合の酸価の測定は、溶融重合開始以前のポリエステル0.1gをベンジルアルコール3mlに溶解後、クロロホルム5mlを加え、この溶液をフェノールレッドを指示薬として0.1NのNaOHベンジルアルコール溶液で滴定して求めたものである。
【0027】
溶融重合で得られたポリエステルは、通常ストランド状に溶融押出した後、カッターにより粒状体(チップ)にカットされる。さらにこのポリエステル粒状体に加熱処理を施して、結晶化および固相重合による高重合度化を行うのが好ましい。
その際結晶化および固相重合は、通常乾燥状態の窒素、アルゴン及び二酸化炭素等の不活性ガス下、水蒸気下、または水蒸気含有不活性ガス下で、通常60〜180℃、好ましくは150〜170℃の温度でポリエステル粒状体表面を結晶化させた後、減圧下または不活性ガス下で該ポリエステルの粘着温度直下〜80℃低い温度、好ましくは該ポリエステルの粘着温度より10〜60℃低い温度で、ポリエステル重合体同士が膠着しないように転動法、気体流動床法などの方法でポリエステル粒状体を流動させながら、数十時間以下の範囲内で実施される。
【0028】
固相重合は溶融重合に比べて重合温度が低いため、恐らく前記に調整した触媒溶液のアンチモン化合物と3価のリン化合物との反応を比較的マイルドなものとしながら重合度を上昇させることができるので、本発明の要件であるアンチモン金属の粒子数及び微小粒子数の比率を満足するポリエステルを得やすい。また、固相重合することにより、アセトアルデヒドやポリエステル低量体の量も低下するという利点がある。
【0029】
また、ポリエステルの製造の際に、前記に調整した触媒溶液以外に、エステル化触媒、その他の重縮合触媒を用いることができ、更にポリエステルの劣化を防止する助剤、安定剤を用いることができる。エステル化触媒は、テレフタル酸が自己触媒となるので無添加でも良いが、少量の無機酸などを使用してもよいし、その他の重縮合触媒、またナトリウム、リチウム等のアルカリ金属塩やマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、亜鉛、マンガン等の金属化合物を使用しても良い。
【0030】
その他の重縮合触媒としては、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、テトラ−n−ブトキシチタン等のチタン化合物、コバルト化合物、錫化合物等が挙げられる。
また触媒、助剤および安定剤は、原料スラリー調整時やエステル化工程の任意の段階および溶融工程の初期に供給することができ、前記に調整した触媒溶液に添加することもできる。ポリエステルの製造は、回分式または連続式のどちらで行っても良いが、本発明の要件を満たす粒子数及び微小粒子数の比率を満足すること、また透明性や色調などの総合的な物性の点で連続式が好ましい。
【0031】
本発明のポリエステルは、従来のポリエチレンテレフタレートと同様な方法により、様々な押出成型品、射出成型品、ブロー容器及び絞り容器等を製造することができる。また、本発明のポリエステルは、アンチモン金属の粒子数のうち微小粒子数の比率が高いことによる利点を生かす用途として、一度、射出成形したプリフォームを再加熱してブロー成形した中空容器や、一度、押出成形により得られたシートを再加熱して絞り成形した容器の用途に好ましく用いられる。
【0032】
例えば延伸ブロー中空容器を製造するにあたっては、まず200〜350℃の樹脂温度、0〜30℃の金型温度で射出成形により有底管状のプリフォームを製造し、このプリフォームを70〜130℃に再加熱して軟化させたのちブローして所定形状の金型にブロー金型温度、常温〜200℃で密着させて製造することができる。この場合、耐熱性向上などの目的で、得られた中空容器に従来から公知の方法で、70〜200℃の範囲でヒートセットを施してもよい。
【0033】
また、例えば絞り容器を製造するにあたっては、まず、原料ポリエステルを、一軸または二軸の押出機にホッパーからスクリューにてシリンダー内に供給し溶融可塑化し、スクリューせん断下シリンダ内を移動させながら一定の滞留時間を経たのち、ダイを通して押出し、内部に冷媒を循環させて、0〜30℃に設定したキャスティングロールによって冷却して、厚さ100〜800μmのシートを得る。このシートを押出シートのガラス転移点以上、通常70〜150℃に再加熱した後、所定形状を有する金型温度0〜30℃の金型に接触させて、成形品を製造することができる。
【0034】
またこれらの成型品や容器を製造する際に、原料ポリエステルに必要に応じて従来から公知の核剤、無機充填剤、滑材、スリップ剤、アンチブロッキング剤、安定剤、帯電防止剤、防曇剤及び顔料などの各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合してもよい。
【0035】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例における種々の測定法および評価法は次のとおりである。
<アンチモン元素及びリン元素の定量法>
実施例及び比較例で得られたポリエステル2.0gを硫酸存在下、灰化し、完全分解後、蒸留水にて100mlに定容したものについて、ICP発光分光分析法により定量した。
【0036】
<ポリエステルの組成分析>
実施例及び比較例で得られたポリエステルを、重水素化トリフルオロ酢酸に常温で溶解して3重量%溶液とした。この溶液を日本電子株式会社製JNM−EX270型核磁気共鳴装置にてH−NMRを測定して各ピークを帰属し、その積分比からテレフタル酸以外のジカルボン酸成分及びエチレングリコール以外のジオール成分を算出した。
【0037】
<酸価>
エステル化直後のポリエステルを粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥し、テシケーター内で室温まで冷却し、この粉砕試料0.1gを精秤後試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解した。その後クロロホルム5mlを徐々に加え室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込み撹拌しながら、力価既知の0.1NのNaOHベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点を終点とした。またブランクとしてポリエステル抜きで上記の操作を行い、以下の計算式によって酸価を算出した。
【0038】
酸価(eq/ton)=(A−B)×0.1×f/W
【0039】
ここで略号は、以下の通りである。
A:滴定に要した0.1NのNaOHの量(μl)
B:ブランクの滴定量(μl)
W:ポリエステル試料の量(g)
f:0.1NのNaOHベンジルアルコールの力価
【0040】
<固有粘度>
実施例及び比較例で得られたポリエステルを凍結粉砕した後、粉砕品をフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に100〜110℃、20分間の条件で溶解して濃度0.1、0.2、0.5、1g/dlの4種の溶液とした。この溶液の粘度をウベローデ型毛細粘度管にて温度30℃で測定して、定法により固有粘度を求めた。
【0041】
<粒子数及び微小粒子数の比率の測定>
実施例及び比較例で得られたポリエステルを凍結粉砕したもの100mgを精秤し、これをO−クロロフェノール10mlに100℃、2時間の条件で溶解した。この溶液中の粒子径0.5μm以上の粒子数と粒子径をパシフィック・サイエンティフィック社製HIAC PC−320型微粒子測定装置にて測定した。得られた粒子径0.5μm以上の粒子数のうち、粒子径0.5μm以上0.6μm未満の微小粒子数の割合を微小粒子数の比率(%)として求めた。
【0042】
<色相L値の測定>
実施例及び比較例で得られたポリエステルペレットの色相L値(黒み)を日本電色工業株式会社製300A型測色色差計を用いて、反射法で測定した。測定の際は、予め装置を電源投入後4時間以上放置して十分安定させたのち、ペレットを内径36mm×深さ15mmの測定セル(受光部は石英ガラス製)に摺り切りで充填し、各サンプルごとに測定セルの向きを90度ずつ4方向に変えて計4回L値を測定し、その平均値をもって本発明のL値とした。
【0043】
<ボトル成形評価>
▲1▼再加熱効率と透明性の評価
実施例及び比較例で得られたポリエステルを、十分乾燥し、東芝機械製射出成形機「IS−60B」を用い、樹脂温280℃、背圧5kg/cm前後、射出圧力100kg/cm程度、保圧力50kg/cm程度、金型温度20℃で、40秒前後の成形サイクルで、高さ165mm、管外径29.0mm、平均肉厚3.7mm、目付60gの試験管状のプリフォームを射出成形した。
【0044】
このプリフォームを石英ヒーターよりなる近赤外線照射炉で一定の出力で55秒間加熱したのち、25秒間室温で放置し、予備成形体内部の温度分布を緩和した。その後直ちに20℃に調節した所定形状の金型内に挟み込み、ブロー圧20kg/cm程度でブローして、胴部平均肉厚350μm、容量1.5Lのボトルを20本製造した。
20本のボトルの胴部の同一個所のヘーズを日本電色株式会社製NDH−300Aヘーズメーターにて測定し、その平均値をヘーズ(%)とした。ヘーズが高いのは曇ったボトルしかできないことを意味する。逆にヘーズが低いのは透明性良好なボトルが得られることを意味する。
また、得られたボトルの透明性を目視でも評価した。透明性良好な場合を「○」、透明性が特に良好な場合を「◎」、やや曇ってみえる場合を「△」、パール調に曇っている場合を「×」で示した。
【0045】
▲2▼黒色異物の評価
▲1▼で得られたボトル20本中に存在する黒色異物を目視観察により評価した。すべてのボトルに黒色異物が存在せず良好な外観である場合を「○」、1〜10本のボトルに黒色異物が存在する場合を「△」、11本以上のボトルに黒色異物が存在する場合を「×」で示した。
【0046】
実施例1
常温の触媒調製槽に、三酸化アンチモンが1.34重量%となるようにエチレングリコール中に仕込み1時間撹拌した後、5時間で165℃に昇温し、更に1時間撹拌溶解し、次いで3時間で100℃に降温した。また、亜リン酸の1重量%エチレングリコール溶液を調製し、これを先程調製した三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液中に、アンチモン元素量/リン元素量が重量比210/10となるように、100℃で、撹拌下徐々に滴下しながら添加した。更にこの溶液を3時間撹拌したのち、60℃の貯槽に移動して保持した。これを触媒溶液Aとした。
【0047】
この触媒溶液Aと、スラリー槽1段、エステル化槽1段、溶融重合槽1段の回分式重合設備を用いて、以下のとおり操作してポリエステルを製造した。
スラリー槽に、あらかじめ、テレフタル酸279kg(1686モル)、イソフタル酸5.2kg(31モル)、エチレングリコール125kg(2020モル)の原料スラリーを調製した。
【0048】
この原料スラリーを260℃に保持したエステル化槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後、更に1時間エステル化反応を進行させ、このエステル化物を溶融重合槽に移した。このエステル化物の酸価は450eq/tであった。続いて、溶融重合槽に接続した配管より、まず正リン酸の1重量%エチレングリコール溶液を重合後にポリマーに対してリン元素量が23ppmとなるように添加し、その10分後に助剤として酢酸コバルトの1重量%エチレングリコール溶液を重合後にポリマーに対してコバルト元素量が10ppmとなるように添加し、直後に触媒溶液Aを重合後にポリマーに対してSb元素量/リン元素量が210ppm/10ppmとなるように添加した。ポリマー中のリン元素の合計量は、33.0ppmであった。
【0049】
続いて、系内を260℃から280℃まで1時間20分で昇温するとともに、常圧から60分で減圧し、1mmHgに保持し、所定時間の反応を行った後、生成したポリマーを重縮合槽の底部に設けた抜出口よりストランド状に抜き出し、水冷後、チップ状にカットし、約300kgの固有粘度0.63dl/gの溶融重合ポリマーチップを得た。
【0050】
続いて、溶融重合ポリマーチップ表面を撹拌結晶化機(Bepex社式)にて160℃にて結晶化させた後、静置固相重合塔に移し、20L/kg・hrの窒素流通下、約160℃で3時間乾燥後、205℃で所定時間固相重合し、固有粘度0.79dl/gのポリエステルを得た。
得られたポリエステルの分析評価結果及びボトル成形評価した結果を表1に示す。
得られたポリエステルは、微小粒子数の比率が大きく、また透明性の低下もなく、ボトルとした場合に外観上黒色異物も見られず良好であった。
【0051】
比較例1
常温の触媒調製槽に三酸化アンチモンおよびエチレングリコールを、三酸化アンチモンが1.80重量%となるように仕込み1時間撹拌した後、5時間で165℃に昇温し、更に1時間撹拌溶解した。次いで3時間で100℃に降温してそのままの温度で3時間撹拌保持した後、これを60℃の貯槽に移動して保持した。これを触媒溶液Bとした。
【0052】
エステル化反応までは実施例1と同様に行った。このエステル化物を溶融重合槽に移した。続いて、溶融重合槽に接続した配管より、まず正リン酸の1重量%エチレングリコール溶液を重合後にポリマーに対してリン元素量が23ppmとなるように添加し、つづいて亜リン酸の1.0重量%エチレングリコール溶液を重合後にポリマーに対してリン元素量が10ppmとなるように添加し(ポリマー中のリン元素の合計量は、33.0ppmである)、更にその10分後に酢酸コバルトの1重量%エチレングリコール溶液を重合後にポリマーに対してコバルト元素量が10ppmとなるように添加し、直後に触媒溶液Bを重合後にポリマーに対してアンチモン元素量が210ppmとなるように添加した。以後の操作は実施例1と同様な方法で固有粘度0.61dl/gの溶融重合ポリエステルチップを固相重合して固有粘度0.80dl/gのポリエステルを得た。
得られたポリエステルの分析評価結果及びボトル成形評価の結果を表1に示す。
得られたポリエステルは、微小粒子数の比率が小さく、またボトルとした場合に外観上黒色異物が多かった。
【0053】
比較例2
比較例1において、固相重合後の固有粘度が0.90dl/gである以外は、比較例1と同様な方法によりポリエステルを得た。
得られたポリエステルの分析評価結果及びボトル成形評価の結果を表1に示す。得られたポリエステルは、固有粘度が大きいことにより比較例1で得られたポリエステルより、透明性は若干よいものであるが、微小粒子数の比率が小さく、またボトルとした場合に外観上黒色異物が多かった。
【0054】
比較例3
エステル化反応までは実施例1と同様に行った。このエステル化物を溶融重合槽に移した。続いて、溶融重合槽に接続した配管より、まず正リン酸の1重量%エチレングリコール溶液を重合後にポリマーに対してリン元素量が33.0ppmとなるように添加し、その10分後に助剤として酢酸コバルトの1重量%エチレングリコール溶液を重合後にポリマーに対してコバルト元素量が10ppmとなるように添加し、直後に比較例1で使用した触媒溶液Bを重合後にポリマーに対してSb元素量が210ppmとなるように添加した。以後の操作は実施例1と同様な方法で固有粘度0.62dl/gの溶融重合ポリエステルチップを固相重合して固有粘度0.79dl/gのポリエステルを得た。
得られたポリエステルの分析評価結果及びボトル成形評価した結果を表1に示す。
得られたポリエステルは、粒子数が少なく、微小粒子数の比率も小さかった。
【0055】
比較例4
三塩化アンチモン0.05重量部と水1重量部および亜リン酸0.05重量部を混合し、100℃で20時間加熱し、黒色の粒子が析出した溶液をボールミルで分散させて懸濁した。これを触媒溶液Cとした。
この触媒溶液Cを用いること、及び固相重合を実施しないこと以外は実施例1と同様な方法で、固有粘度0.61dl/gの溶融重合ポリエステルチップを得た。
得られたポリエステルの分析評価結果及びボトル成形評価の結果を表1に示す。
得られたポリエステルは、微小粒子数の比率が非常に小さく、またボトルとした場合に外観上黒色異物も多かった。
【0056】
実施例2
常温の触媒調製槽に、三酸化アンチモンが1.34重量%となるようにエチレングリコール中に仕込み1時間撹拌した後、5時間で165℃に昇温し、更に1時間撹拌溶解し、次いで3時間で100℃に降温した。また、亜リン酸の1重量%エチレングリコール溶液を調製し、これを先程調製した三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液中に、アンチモン元素量/リン元素量が重量比210/10となるように、100℃で、撹拌下徐々に滴下しながら添加した。更にこの溶液を3時間撹拌したのち、60℃の貯槽に移動して保持した。これを触媒溶液Dとした。
【0057】
スラリー槽1段、エステル化槽2段、溶融重合槽3段の多段式連続重合設備を用いて、以下のとおり操作してポリエステルを製造した。
あらかじめ、3627重量部の反応液が滞留された第1エステル化槽に、毎時高純度テレフタル酸1941重量部およびエチレングリコール676重量部を混合して調製したスラリーと、別途調製した正リン酸のエチレングリコール溶液(濃度1.0重量%)を重合後にポリマーに対してリン元素量が23ppmとなるように連続的に供給し、第1段目のエステル化反応を行った。第1段目のエステル化では、撹拌下260℃で窒素雰囲気下に0.5kg/cm・Gの条件下に維持し、平均滞留時間は4時間になるように制御して、反応物は連続的に第2エステル化槽に送られた。
【0058】
第2エステル化槽では、撹拌下260℃で0.05kg/cm・Gの条件下に維持し、平均滞留時間が1.5時間となるよう制御して、第2段目のエステル化反応を行った。この時、第2エステル化槽の底部に接続した配管を通して、酢酸コバルトのエチレングリコール溶液(濃度1重量%)を重合後にポリマーに対してコバルト元素量が10ppmとなるように、また触媒溶液Dを重合後にポリマーに対してアンチモン元素量/リン元素量が210ppm/10ppmとなるように連続的に供給した(ポリマー中のリン元素の合計量は33.0ppmである)。第2エステル化槽での平均的な酸価は450eq/tonであった。このエステル化反応物は配管を通して、連続的に第1溶融重合槽に送られた。
【0059】
第1溶融重合槽は、撹拌下272℃で25mmHgの条件下に維持し、平均滞留時間が1.2時間となるように制御して、第1段目の溶融重合反応を行った。この第1段目の溶融重合反応の反応物は、連続的に第2溶融重合槽に送られた。
第2溶融重合槽は、撹拌下275℃で6mmHgの条件下に維持し、平均滞留時間が1.2時間となるように制御して、第2段目の溶融重合反応を行った。この第2段目の溶融重合反応の反応物は、連続的に第3溶融重合槽に送られた。
第3溶融重合槽は、撹拌下277℃で2mmHgの条件下に維持し、平均滞留時間が1.2時間となるように制御して、第3段目の溶融重合反応を行った。この第3段目の溶融重合反応の反応物は、連続的にポリエステル抜き出し装置によって、反応器外にストランド状で抜き出され、水中に浸漬して冷却したのち、ストランドカッターによってチップ状に細断し、固有粘度0.61dl/gの溶融重合ポリエステルチップを得た。
【0060】
これらの第1、第2エステル化槽および第1、第2、第3溶融重合槽においては水とエチレングリコールとの混合液を連続的に留去した。
更に、溶融重合により得られたポリエステルチップは、窒素雰囲気下約160℃に維持した撹拌結晶化器内に滞留時間約5分となるように連続的に供給し、結晶化を行った。更に、これを連続的に塔型の固相重合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下205℃で15時間固相重合を行い、固有粘度0.80dl/gのポリエステルを得た。
得られたポリエステルの分析評価結果及びボトル成形評価の結果を表1に示す。
得られたポリエステルは、微小粒子数の比率が大きく、ボトルとした場合の透明性も良好で黒色異物も見られず良好であった。
【0061】
【表1】
Figure 0003617324
【0062】
【発明の効果】
本発明のポリエステルは、一度、成形したプリフォームやシート等の予備成形体を再加熱して、ブロー成形や絞り成形等の成形を行う際の再加熱が、温度上昇速度が非常に速いため短時間で必要温度に加熱することができ、最終成形体や容器とした場合の透明性や色調に優れており、また、生産性や成形性にも優れているので、各種成形体や包装材料及び容器の原料ポリエステルとして好適である。

Claims (6)

  1. 酸成分として芳香族ジカルボン酸を主成分とし、ジオール成分として脂肪族ジオール成分を主成分とするポリエステルにおいて、該ポリエステル中のアンチモン元素の含有量が50〜350ppm、また、ポリエステル100mg中の直径0.5μm以上のアンチモン金属の粒子数が3万個以上で、このうち直径0.5μm以上0.6μm未満の微小粒子数の比率が70%以上であり、かつ、色相L値が80以上であることを特徴とするポリエステル。
  2. 微小粒子数の比率が98%以上である請求項1に記載のポリエステル。
  3. ポリエステル100mg中の直径0.5μm以上のアンチモン金属の粒子数が10万個以上100万個以下である請求項1または2に記載のポリエステル。
  4. リン元素の含有量が2〜100ppmである請求項1ないし3のいずれかに記載のポリエステル。
  5. 固有粘度が0.65〜0.85dl/gである請求項1ないし4のいずれかに記載のポリエステル。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載のポリエステルからなることを特徴とする延伸ブロー成形体。
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