JP3617339B2 - ポリエステル重合用触媒溶液およびその調製方法 - Google Patents

ポリエステル重合用触媒溶液およびその調製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルを重合するための触媒溶液およびその調製方法に関する。更に詳しくは、アンチモン化合物と3価のリン化合物が反応して析出する金属微粒子の発生効率、微小粒子率が高いため、得られるポリエステルの予備成形体を再加熱する際の近赤外線吸収効率が非常に高く、かつ包装材料等とした場合の透明性や色調に優れたポリエステルを重合するための触媒溶液およびその調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートをはじめとするポリエステルは、機械的強度、化学的安定性、ガスバリア性、衛生性などに優れ、また比較的安価で軽量であるため各種食品、飲料包装容器等として幅広く用いられている。
これらの包装容器の製造にあたっては、先ず予備成形体を成形し、これを再加熱して軟化させたのち所望の形状に再成形する方法がある。例えば、延伸ブロー中空容器を製造するにあたっては、先ず有底管状の予備成形体を射出成形によって製造し、この予備成形体を通常近赤外線ヒーターにより再加熱して軟化させたのちブロー成形して所定形状の金型に密着させ製造するが、再加熱するのに時間がかかるため生産性が悪いという問題点があった。
【0003】
このような問題に対して、特開平3−230933号公報では、「ポリマーの再加熱時間がその量の粒子を含まないポリマーの再加熱時間より短いような量の、500〜2000nmの波長領域の電磁線を本質的に吸収する、金属粒子を含むポリマーを含む熱可塑性ポリマー組成物を含む包装材料」が開示されている。ここで500〜2000nmの波長領域の電磁線とは一般的な近赤外線ヒーターが発生する電磁線の波長範囲である。該公報の実施例では、還元剤として3価のリン化合物をポリエチレンテレフタレートプレポリマーに添加し、その10分後に還元可能な金属化合物として三酸化アンチモンを添加したのち重合を行い、金属化合物と還元剤を反応させ金属の微粒子を発生させる方法が開示されている。
【0004】
しかしながら本発明者らが詳細に検討した結果、該公報記載の方法では、発生する金属粒子の大きさのばらつきが大きく粗大粒子がかなり多い。粗大粒子は同体積の微小粒子に比べ表面積が小さく、電磁線の吸収効率が不十分であるため、発生粒子数を増やしてこの点をカバーしようとすると、透明性が極端に悪くなったり、容器が黒みがかって見えたり、包装材料中にこの金属粒子が黒色異物として見えたりするなど色調、外観上の問題が生ずる。このため発生させうる金属粒子の量には限界があり、よって再加熱の時間を短縮する効果も不十分なものであった。更に、恐らく3価のリン化合物が重合中に5価のリン化合物に変質する割合が多いため、当初の目的である電磁線を本質的に吸収する金属粒子の発生効率も悪く、比較的高価な3価のリン化合物を過剰に添加しなければならないという問題がある。
【0005】
また特公昭49−20638号公報では、「還元剤として亜リン酸または次亜リン酸あるいはそのエステルまたは塩を用いてアンチモン化合物を金属アンチモンにまで還元した反応液をポリエステルの重縮合触媒として用いることにより、金属アンチモンがポリマーに不溶であるにもかかわらず重合速度は大となり、短時間のうちに高重合度のポリエステルが得られる。」ことが開示されている。
【0006】
しかしながら、該公報の方法では該公報中に記載されているように「黒色のアンチモン金属が析出した」状態の触媒溶液であり、該公報の方法で得られるポリエステルは、析出粒子の大きさのばらつきも大きく粗大粒子が多いため、透明性や色調が劣り、再加熱時間を短縮するという効果も不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような問題点を解決する触媒溶液およびその調製方法に関するものである。即ち、予備成形体を再加熱する際の近赤外線吸収効率が非常に高く、かつ包装材料とした場合の透明性や色調が損なわれないようなポリエステルを重合するための触媒溶液およびその調製方法に関する。
【0008】
また本発明の触媒溶液によれば、恐らくこれに含まれる3価のリン化合物が重合中に5価のリン化合物に変質する割合が少ないため、電磁線を吸収する微小粒子の発生効率が高く、3価のリン化合物の使用量を低減できる。さらに本発明の触媒溶液によれば、ポリエステルの重合に際し比較的大きな重合速度が得られ、かつ黄色系の着色やアセトアルデヒドの生成が少ない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の発明は、アンチモン化合物、3価のリン化合物及び溶媒からなるヘーズが10%以下であるポリエステル重合用触媒溶液に関し、また請求項7の発明は、アンチモン化合物を溶媒に溶解してヘーズ10%以下のアンチモン溶液とし、この溶液に60〜140℃の温度範囲下で3価のリン化合物を添加、溶解してヘーズ10%以下の触媒溶液とする調製方法に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いるアンチモン化合物は、アンチモンの酸化物、脂肪族または芳香族のカルボン酸の塩、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコラート等が挙げられ、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモントリスエチレングリコキシドなどのグリコールに可溶性のアンチモン化合物が好ましい。
【0011】
また、3価のリン化合物とは、亜リン酸や次亜リン酸、またはそれらのエステル類(例えば、ジエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイトなど)、またはそれらのリチウム、ナトリウム、カリウム等の金属塩等が挙げられ、亜リン酸、ジエチルホスファイトが好ましく、特にジエチルホスファイトが好ましい。
【0012】
さらに、これらを混合する際の溶媒としては、エチレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、水等が挙げられ、エチレングリコールおよび水が好ましい。
【0013】
本発明において、アンチモン化合物中に含まれるアンチモン元素と3価のリン化合物中に含まれるリン元素との重量比率は1〜200の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜50、さらに好ましくは5〜20である。重量比率が1未満では相対的に3価のリン化合物の使用割合が増えるため、コストアップとなり、200を超えると電子線を吸収する微小粒子の発生効率が低下する傾向にある。また、該アンチモン元素と溶媒との重量比率の好ましい範囲は0.001〜0.05であり、より好ましくは0.005〜0.03、さらに好ましくは0.01〜0.02である。0.001未満ではポリエステルの重合性が低下し、0.05を超えるとアンチモン化合物が溶解しにくく、触媒溶液の調製が困難となる傾向がある。
【0014】
本発明の触媒溶液は、ヘーズが10%以下であることが必要であり、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。ヘーズが10%を超えると、この触媒溶液を用いて得られるポリエステルの再加熱時間の短縮効果が不十分となるほか、透明性や色調も悪くなる。
【0015】
本発明の触媒溶液は、アンチモン化合物を溶媒に溶解してヘーズ10%以下のアンチモン溶液とし、この溶液に60〜140℃の温度範囲下で3価のリン化合物を添加して溶解することにより、好適に調製することができる。
本発明の触媒溶液の調製方法では、アンチモン化合物を溶媒に溶解することが必要であり、またアンチモン溶液のヘーズは10%以下であることが好ましい。予めアンチモン化合物を溶媒に溶解しないと、最終的に得られる触媒溶液のヘーズが10%以下にならず、またアンチモン溶液のヘーズが10%を越えると最終的に得られる触媒溶液のヘーズも10%以下になりにくい。なお、ヘーズの測定は、23℃、50%Rhの条件で、日本電色株式会社製NDH−300A型ヘーズメータにて、対照セルにエチレングリコールを入れて測定する。
【0016】
さらに本発明の触媒溶液の調製方法では、アンチモン溶液を60〜140℃の温度範囲に保ち3価のリン化合物を添加して溶解するが、この場合アンチモン化合物を十分溶解させるために、アンチモン化合物と溶媒とのスラリーを好ましくは140〜180℃、より好ましくは150〜170℃の温度に昇温したのち、アンチモン溶液を60〜140℃の温度に保つのが好ましい。アンチモン溶液の温度が60℃未満では3価のリン化合物を添加したときに白沈が生じて触媒溶液のヘーズが高くなり、140℃を越えると3価のリン化合物とアンチモン化合物の反応が過剰に進行して黒色のアンチモン金属の微粒子が生成し、やはり触媒溶液のヘーズが高くなる。
【0017】
3価のリン化合物は、エチレングリコール溶液として添加されることが好ましく、またアンチモン溶液中に徐々に滴下するのが好ましい、更に最も好ましい滴下方法は、滴下した瞬間に生じる白濁が消えるのを待って次の滴下を行う方法である。このようにして得られた本発明の触媒溶液は、50〜70℃の温度範囲下に保持して貯蔵されることが好ましい。
【0018】
本発明の触媒溶液は、従来より公知のポリエステルのエステル化、溶融重合及び必要に応じて固相重合によるポリエステルの製造方法に用いることができる。エステル化としては、ジカルボン酸成分とジオール成分、必要によりその他のモノマー成分を用いて加圧下で直接エステル化を行い、ポリエステルの低量体を得る方法、あるいはジカルボン酸のエステル化物を原料として、エステル交換反応を行う方法等が挙げられる。
【0019】
また溶融重合としては、エステル化により得られたポリエステルの低量体を触媒の存在下、昇温するとともに次第に減圧として重縮合反応させる方法等が挙げられる。さらに固相重合としては、溶融重合によって得られたポリエステルを反応槽より抜きだし、カットして粒状体(チップ)としたのち、これを乾燥、結晶化し、引き続き融点以下の温度で減圧下または不活性ガス気流中で重縮合反応させる方法等が挙げられる。上記エステル化、溶融重合、固相重合は、回分式で行っても良いし、連続式で行っても良い。また本発明の触媒溶液は、上記各製造工程中任意の段階で用いることができるが、エステル化工程終了後から溶融重合開始までの間の段階で添加するのが好ましい。
【0020】
本発明の触媒溶液を用いたポリエステルの製造において用いられるジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルエーテルジカルボン酸、ビフェニルスルフォンジカルボン酸、ビフェニルケトンジカルボン酸、ビフェノキシエタンジカルボン酸、フェニレンオキシジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ピペリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0021】
またジオール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等の脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂環式グリコール;ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の分岐型脂肪族グリコール;キシレングリコール等の芳香族グリコール;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。このうちジエチレングリコールは、本発明の製造法の原料として最初から添加してよいことはもちろんであるが、ポリエチレンテレフタレートの製造の際には一般に副生成分として生成する。
【0022】
さらに本発明においては、本発明の効果を逸脱しない範囲でその他のモノマーを添加することができる。その他のモノマーとしては、ステアリン酸、安息香酸等の単官能成分;トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、没食子酸、トリメチロールプロパン、トリエチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン、テトラキス[メチレン−3−(3,5,ージーtーブチルー4ーヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどの3官能以上の多官能成分が挙げられる。
【0023】
本発明の触媒溶液を用いたポリエステルの製造においては、前記の触媒溶液、ジカルボン酸成分、ジオール成分、その他のモノマーの他に必要に応じて本発明の触媒以外のエステル化触媒、重縮合触媒、ポリエステルの劣化等を防止する助剤、安定剤などを用いることができる。
エステル化触媒としては、無機酸;ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩;亜鉛、マンガン等の金属化合物及び後述する重縮合触媒等が挙げられる。
【0024】
重縮合触媒としては、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、テトラ−n−ブトキシチタン等のチタン化合物、コバルト化合物、錫化合物等が挙げられ、これらは単独、または併用して用いることができる。
【0025】
助剤、安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類;メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステル類;およびリン酸、ポリリン酸などのリン化合物が挙げられる。
【0026】
上記触媒、助剤および安定剤は、原料スラリー調製時やエステル化工程の任意の段階および溶融工程の初期に供給することができ、また本発明の触媒溶液に添加することもできる。触媒の使用割合は、触媒中の金属の重量として、全重合原料に対して通常1〜2000ppmの範囲で用いられ、助剤、安定剤の場合は、助剤、安定剤のリン原子の重量として、全重合原料に対して通常1〜1000ppmの範囲で用いられる。
【0027】
本発明の触媒溶液を用いて製造したポリエステルは、従来から一般的に行われている様々な方法により成形品とすることができる。例えば延伸ブロー中空容器を製造する場合は、先ず、有底管状の予備成形体を射出成形によって成形し、この予備成形体を再加熱して軟化させたのちブローして所定形状の金型に密着させ成形品とする。この場合、射出成形時の樹脂温度は通常200〜350℃、好ましくは250〜320℃で、金型温度は通常0〜30℃である。また予備成形体の再加熱温度は通常70〜130℃、好ましくは80〜125℃、ブロー金型温度は、通常常温〜200℃、好ましくは40〜180℃である。
【0028】
この場合、耐熱性向上などの目的で公知の方法によりヒートセットを施しても良く、ヒートセットを施す場合のブロー金型温度は、通常70〜200℃、好ましくは90〜180℃、より好ましくは120〜180℃の範囲である。
【0029】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、ここで行った評価方法を以下に示す。
<触媒溶液のヘーズの測定>
60℃の温度で貯蔵されている触媒溶液をサンプリングして23℃、50%Rhに維持された室内に3時間放置した。この触媒溶液を沈殿が認められる場合は十分攪拌したのち、日本電色株式会社製NDH−300A型ヘーズメーターにて23℃、50%Rhの条件で測定した。対照セルにはエチレングリコールを入れた。
【0030】
<ポリエステルの組成分析>
ポリエステルを、重水素化トリフルオロ酢酸に常温で溶解して3重量%溶液とした。この溶液を日本電子株式会社製JNM−EX270型核磁気共鳴装置にてH−NMRを測定して各ピークを帰属し、その積分比からジカルボン酸成分、ジオール成分を算出した。なお、各実施例、比較例ともイソフタル酸成分は1.8モル%であった。
<固有粘度>
ポリエステルを凍結粉砕したのち、粉砕品をフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に100〜110℃、20分間の条件で溶解して濃度0.1、0.2、0.5、1g/dlの溶液とした。この溶液の粘度をウベローデ型毛細粘度管にて温度30℃で測定して、定法により固有粘度を求めた。
【0031】
<アセトアルデヒド量の測定>
ポリエステルを凍結粉砕したもの5.0gを精秤し、純水10.0mlとともにミクロボンベ中に密封し、160℃で2時間加熱して、アセトアルデヒドの水中への抽出を行った。この抽出液中のアセトアルデヒド量を、イソブチルアルコールを内部標準として、島津製作所株式会社製GC−14A型ガスクロマトグラフィを用いて定量した。
<ポリエステル溶液ヘーズの測定>
ポリエステルを凍結粉砕したもの2.7gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒20mlに110℃、30分間の条件で溶解した。この溶液を30℃に冷却し、日本電色株式会社製NDH−300A型ヘーズメーターにて測定した。対照セルには純水を入れた。
【0032】
<微小粒子率、微小粒子発生効率の測定>
溶融重合で得られたポリエステルを凍結粉砕したもの2.0gを精秤し、これをフェノール/テトラクロロエタン(重量比2/3)の混合溶媒200mlに120℃、60分間の条件で溶解した。この溶液中の粒径0.5μm以上の粒子の数と粒子径をパシフィック・サイエンティフィック社製HIAC PC−320型微粒子測定装置にて測定した。測定された粒子のうち、粒子径0.5μm以上0.6μm未満の微小粒子の割合を微小粒子率(%)として求めた。またポリエステル1g当たりの微小粒子(0.5μm以上0.6μm未満の粒子)の数を添加した3価のリン化合物中のリン元素量(ppm)で除して、添加した3価のリン化合物単位重量当たりの微小粒子数を、微小粒子発生効率として求めた。
【0033】
<色相の測定>
固相重合ポリエステルチップの色相b値を日本電色工業株式会社製300A型測色色差計を用いて、反射法で測定した。測定の際は、予め装置を電源投入後4時間以上放置して十分安定させたのち、ペレットを内径36mm×深さ15mmの測定セル(受光部は石英ガラス製)に摺り切りで充填し、各サンプルごとに測定セルの向きを90度ずつ4方向に変えて計4回b値を測定し、その平均値をもって本発明のb値とした。
<固相重合速度>
固相重合により得られたポリエステルの固有粘度と溶融重合で得られたポリエステルの固有粘度の差を求め、この差を固相重合の重合時間(Hr)で除して、固相重合速度とした。
【0034】
<ボトル成形性評価>
固相重合で得られたポリエステルを十分乾燥し、東芝機械株式会社製射出成形機IS−60Bを用い、樹脂温280℃、背圧、射出圧力、保圧力をそれぞれ5、100、50kg/cm程度、金型温度20℃で、40秒前後の成形サイクルで、高さ165mm、管外径29.0mm、平均肉厚3.7mm、目付60gの試験管状の予備成形体を射出成形した。この予備成形体を石英ヒーターよりなる近赤外線照射炉にて55秒間加熱したのち、25秒間室温で放置し、予備成形体内部の温度分布を緩和した。その後直ちに20℃に調節した所定形状の金型内に挟み、ブロー圧20kg/cmでブローして、胴部平均肉厚350μm、容量1.5リットルのボトルを得た。
【0035】
得られたボトルの胴部の一定個所のヘーズを日本電色株式会社製NDH−300A型ヘーズメーターにて測定した。ヘーズが高いのは再加熱効率が低く、再加熱が不十分であるために、曇ったボトルしかできないことを意味する。逆にヘーズが低いのは再加熱効率が高く、再加熱が十分であることを意味する。
また目視観察にて透明性、黒色異物の評価を行った。
【0036】
<実施例1>
(1)触媒溶液の調製
20℃の触媒調製槽にアンチモン元素が1.34重量%となるように三酸化アンチモンおよびエチレングリコールを仕込んだ。このスラリーを1時間攪拌したのち、5時間かけて165℃に昇温し、さらに1時間攪拌して三酸化アンチモンを溶解させ、次いで3時間かけて100℃に降温した。また3価のリン化合物として亜リン酸の1重量%エチレングリコール溶液を調製し、これを先程調製した三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液中に、アンチモン元素量/リン元素量が重量比で12.7となるように100℃で、攪拌下徐々に滴下しながら添加し、添加終了後さらにこの溶液を3時間攪拌して触媒溶液を得、60℃にて保持した。
【0037】
(2)ポリエステルの製造
スラリー槽1段、エステル化槽1段、溶融重合槽1段の回分式重合設備を用いて、以下の通りにしてポリエステルを製造した。
スラリー槽に予めテレフタル酸254kg(1533モル)、イソフタル酸4.7kg(28モル)、エチレングリコール114kg(1836モル)のスラリーを調製し、これに3.8kg(15モル)のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを添加して原料スラリーを調製した。
【0038】
この原料スラリーを260℃に保持したエステル化槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後さらに1時間エステル化反応を進行させ、所定のエステル化率としたのち、このエステル化物を溶融重合槽に移した。続いて、溶融重合槽に接続された配管を通じて触媒溶液投入口より、先ず正リン酸をリン元素量が重量基準で対ポリマー16.5ppmとなるように添加し、その10分後に助剤として酢酸コバルトの1重量%エチレングリコール溶液をコバルト元素量が重量基準で対ポリマー10ppmとなるように添加し、直後に上記触媒溶液をアンチモン元素量が重量基準で対ポリマー210ppmとなるように添加した。
【0039】
続いて、系内を260℃から280℃まで1時間20分で昇温するとともに、常圧から60分で減圧し、1mmHgに保持した。所定時間の反応を行ったのち、生成したポリマーを溶融重合槽の底部に設けた抜き出し口よりストランド状に抜き出し、水冷後チップ上にカットし、約270kgの固有粘度0.623dl/gの溶融重合ポリマーチップを得た。
【0040】
続いて、該溶融重合ポリマーチップ表面を攪拌結晶化機(Bepex社式)にて160℃で結晶化させたのち、静置固相重合塔に移し、20リットル/kg・hrの窒素流量下、約160℃で3時間乾燥後205℃で所定時間固相重合し、固有粘度0.806dl/gのポリエステルを得た。溶融重合および固相重合で得たポリエステルの分析評価結果を表1に示す。さらに固相重合で得たポリエステルのボトル成形評価結果も表1に示す。
【0041】
<実施例2>
3価のリン化合物としてジエチルホスファイトを用いる以外は、実施例1と同様に操作して触媒溶液を得た。また、この触媒溶液を用いる以外は、実施例1と同様に操作してポリエステルを製造した。結果を表1に示す。
【0042】
<比較例1>
(1)触媒溶液の調製
20℃の触媒調製槽にアンチモン元素が1.80重量%となるように三酸化アンチモンおよびエチレングリコールを仕込んだ。このスラリーを1時間攪拌したのち、5時間かけて165℃に昇温し、さらに1時間攪拌して三酸化アンチモンを溶解させ、次いで3時間かけて100℃に降温してそのままの温度で3時間攪拌保持して触媒溶液を得、60℃にて保持した。
【0043】
(2)ポリエステルの製造
エステル化反応までは実施例1と同様に行い、このエステル化物を溶融重合槽に移した。続いて、触媒溶液投入口より、先ず正リン酸をリン元素量が重量基準で対ポリマー16.5ppmとなるように添加し、直後に亜リン酸をリン元素量が重量基準で対ポリマー16.5ppmになるように添加し、さらにその10分後に酢酸コバルトの1重量%エチレングリコール溶液をコバルト元素量が重量基準で対ポリマー10ppmとなるように添加し、直後に上記触媒溶液をアンチモン元素量が重量基準で対ポリマー210ppmとなるように添加した。以後の操作は実施例1と同様に行いポリエステルを製造した。結果を表1に示す。
【0044】
<比較例2>
三塩化アンチモン0.05重量部と水1重量部および亜リン酸0.01重量部を混合し、100℃で20時間加熱し、黒色の粒子が析出したスラリーをボールミルで分散させて触媒懸濁液を得、60℃に保持した。この触媒懸濁液を用いる以外は実施例1と同様にして溶融重合まで行った(固相重合は実施せず。)。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003617339
【0046】
表1中の各略号は、以下の通りである。
DEP:ジエチルホスファイト
EG:エチレングリコール
Sb/P:アンチモン元素と3価のリン化合物中に含まれるリン元素との重量比率
Sb/溶媒:アンチモン元素と溶媒との重量比率
DEG:ジエチレングリコール
AA:アセトアルデヒド
【0047】
【発明の効果】
本発明の触媒溶液によれば、予備成形体を再加熱する際の近赤外線吸収効率が非常に高く、かつ包装材料とした場合の透明性や色調を損なわれないポリエステルが得られる。更に、3価のリン化合物が重合中に5価のリン化合物に変質する割合が少ないため、比較的高価な3価のリン化合物の使用量を低減でき、またポリエステルの重合速度も大きく、得られるポリエステルの黄色系の着色やアセトアルデヒドの生成が少ない。

Claims (8)

  1. アンチモン化合物、3価のリン化合物及び溶媒からなるヘーズが10%以下であることを特徴とするポリエステル重合用触媒溶液。
  2. アンチモン化合物が三酸化アンチモン、酢酸アンチモン及びアンチモントリスエチレングリコキシドより選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1に記載の触媒溶液。
  3. 3価のリン化合物が亜リン酸及びジエチルホスファイトより選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1または2に記載の触媒溶液。
  4. 溶媒がエチレングリコール及び水より選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1ないし3のいずれかに記載の触媒溶液。
  5. アンチモン化合物中に含まれるアンチモン元素と3価のリン化合物中に含まれるリン元素との重量比率が1〜200であり、かつ該アンチモン元素と溶媒との重量比率が0.001〜0.05である、請求項1ないし4のいずれかに記載の触媒溶液。
  6. ジカルボン酸成分とジオール成分よりポリエステルを重合する際に使用することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の触媒溶液。
  7. アンチモン化合物を溶媒に溶解してヘーズ10%以下のアンチモン溶液とし、この溶液に60〜140℃の温度範囲下で3価のリン化合物を添加、溶解してヘーズ10%以下の触媒溶液とすることを特徴とする触媒溶液の調製方法。
  8. アンチモン化合物と溶媒との混合物を140〜180℃の温度に昇温し、溶解してヘーズ10%以下のアンチモン溶液とする、請求項7に記載の触媒溶液の調製方法。
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