JP3601196B2 - 傾斜配置型の流体封入式筒形マウント - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、受圧室と平衡室の間での流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式筒形マウントに係り、特に受圧室の中心部を主たる入力荷重の入力方向に対して周方向にずらせて傾斜配置される流体封入式筒形マウントに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来から、振動伝達系を構成する被連結体間に介装されて、それらの被連結体を防振連結せしめる防振装置の一種として、特公平5−55739号公報や特開平1−116329号公報、米国特許第4690389号等に記載されているように、軸金具とその外方に離隔配置された金属スリーブの間において、軸金具を軸直角方向に挟んで位置する一方の側に支持ゴム弾性体を介装し、他方の側に軸方向に貫通して周方向に広がるスリットを設けることにより、それら軸金具と金属スリーブを支持ゴム弾性体により実質的に一方の側でだけ連結せしめる一方、支持ゴム弾性体にポケット部を設けて金属スリーブに設けた第一の窓部を通じて外周面に開口せしめ、金属スリーブに外筒金具を外嵌固定してポケット部の開口を閉塞することにより、非圧縮性流体が封入されて振動が入力される受圧室を形成すると共に、軸金具と外筒金具の間におけるスリットの形成部側に、非圧縮性流体が封入されて容積変化が許容される平衡室を形成し、更にそれら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた構造の流体封入式筒形マウントが知られている。
【0003】
かかる筒形マウントは、内筒金具と外筒金具が防振連結される被連結体の各一方に取り付けられて被連結体間に装着せしめられるが、主たる入力荷重によって軸金具が外筒金具に対して支持ゴム弾性体側に変位せしめられるように装着されることにより、スリットによって支持ゴム弾性体における引張応力の発生が軽減乃至は防止されて優れた耐久性が得られると共に、受圧室と平衡室の間でオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて有効な防振効果が発揮されることとなる。
【0004】
また、かくの如き流体封入式筒形マウントは、例えば自動車用エンジンロールマウントとして採用する場合等において、振動入力時における発生応力の分散や流体流動量の確保等の目的で、荷重入力方向に対して受圧室の中心部を周方向にずらせて傾斜配置せしめられる場合がある。
【0005】
ところが、このような傾斜配置型の流体封入式筒形マウントにおいては、入力荷重が支持ゴム弾性体に対して周方向に偏倚して及ぼされるために、一般に、支持ゴム弾性体にて構成された流体室の周方向両側の側壁部のうち、その一方の側壁部には圧縮応力だけが生ぜしめられるが、他方の側壁部では部分的に引張応力が発生するおそれがあった。そのために、かかる他方の側壁部における外周面の金属スリーブに対する接着部位、なかでも特に応力が集中し易いスリット側において亀裂等が発生し易く、支持ゴム弾性体ひいてはマウントの耐久性を十分に確保することが難しいという問題があった。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、請求項1乃至4に記載の発明は、何れも、支持ゴム弾性体における引張応力の発生が軽減されて、優れた耐久性を得ることの出来る傾斜配置型の流体封入式筒形マウントを提供することを、目的とする。
【0007】
【解決手段】
そして、このような課題を解決するために、請求項1に記載の発明の特徴とするところは、軸金具と該軸金具の外方に離隔配置された金属スリーブの間において、該軸金具を軸直角方向に挟んで位置する一方の側に支持ゴム弾性体を介装し、他方の側に軸方向に貫通して周方向に広がるスリットを設けることにより、それら軸金具と金属スリーブを該支持ゴム弾性体により実質的に前記一方の側でだけ連結せしめる一方、該支持ゴム弾性体にポケット部を設けて該金属スリーブに設けた第一の窓部を通じて外周面に開口せしめ、該金属スリーブに外筒金具を外嵌固定して該ポケット部の開口を閉塞することにより、非圧縮性流体が封入されて振動が入力される受圧室を形成すると共に、前記軸金具と前記外筒金具の間における前記スリットの形成部側に、非圧縮性流体が封入されて容積変化が許容される平衡室を形成し、更にそれら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けてなり、前記軸金具と前記外筒金具が防振連結される被連結体の各一方に取り付けられることにより、荷重入力によって該軸金具が該外筒金具に対して前記支持ゴム弾性体側に変位せしめられる状態で、且つ該荷重入力方向に対して前記受圧室の中心部を周方向にずらせて傾斜配置される流体封入式筒形マウントにおいて、前記金属スリーブにおける、前記支持ゴム弾性体にて構成された前記ポケット部の周方向両側の側壁部のうち前記荷重入力方向に対して周方向に接近して位置せしめられる一方の側壁部の外周面が接着される部分を、他方の側壁部の外周面が接着される部分よりも内方に突出する内方突部として、該一方の側壁部で連結された前記軸部材と前記金属スリーブの対向面間距離を、該他方の側壁部で連結された該軸部材と該金属スリーブの対向面間距離よりも小さくすると共に、該内方突部と前記外筒部材の間に、前記オリフィス通路を形成したことにある。なお、入力荷重は、エンジンマウントにおけるパワーユニット重量等のような略一定の大きさの外的荷重の他、大きさの変化する振動荷重等であっても良い。
【0008】
このような請求項1に記載の発明に従う構造とされた傾斜配置型の流体封入式筒形マウントにおいては、荷重入力による軸金具の外筒金具に対する変位方向が、流体室を形成するポケット部の周方向両側の側壁部のうち荷重入力方向に対して周方向に接近して位置せしめられる一方の側壁部側に偏倚することから、他方の側壁部側に引張応力が発生するおそれがあるが、この他方の側壁部は、その外周面に接着された金属スリーブに対してオリフィス通路形成用の内方突部が設けられておらず、金属スリーブの内方突部に接着された方の側壁部(一方の側壁部)よりも、自由長が大きく設定されている。
【0009】
それ故、かかる他方の側壁部において、仮に、荷重入力によって引張応力が発生した場合でも、該他方の側壁部の自由長が大きくされていることにより、生ぜしめられる引張歪の量、即ち単位長さ当たりの引張変形量および引張応力が小さくされるのであり、その結果、他方の側壁部、ひいてはマウントの耐久性の向上が達成され得るのである。
【0010】
また、このことから明らかなように、本発明は、軸金具と該軸金具の外方に離隔配置された金属スリーブの間において、該軸金具を軸直角方向に挟んで位置する一方の側に支持ゴム弾性体を介装し、他方の側に軸方向に貫通して周方向に広がるスリットを設けることにより、それら軸金具と金属スリーブを該支持ゴム弾性体により実質的に前記一方の側でだけ連結せしめる一方、該支持ゴム弾性体にポケット部を設けて該金属スリーブに設けた第一の窓部を通じて外周面に開口せしめ、該金属スリーブに外筒金具を外嵌固定して該ポケット部の開口を閉塞することにより、非圧縮性流体が封入されて振動が入力される受圧室を形成すると共に、前記軸金具と前記外筒金具の間における前記スリットの形成部側に、非圧縮性流体が封入されて容積変化が許容される平衡室を形成し、更にそれら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けてなる流体封入式筒形マウントにおいて、前記金属スリーブにおける、前記支持ゴム弾性体にて構成された前記ポケット部の周方向両側の側壁部のうちの一方の側壁部の外周面が接着される部分を、他方の側壁部の外周面が接着される部分よりも内方に突出する内方突部として、該一方の側壁部で連結された前記軸部材と前記金属スリーブの対向面間距離を、該他方の側壁部で連結された該軸部材と該金属スリーブの対向面間距離よりも小さくすると共に、該内方突出部と前記外筒部材の間に、前記オリフィス通路を形成せしめる一方、前記軸金具と前記外筒金具を防振連結される被連結体の一方に取り付けることにより、入力荷重によって該軸金具が該外筒金具に対して前記支持ゴム弾性体側に変位せしめられる状態で、且つ該荷重入力方向に対して前記受圧室の中心部を周方向にずらせて、該荷重入力方向に対して前記ポケット部の一方の側壁部が周方向に接近して位置するように傾斜配置せしめることを特徴とする流体封入式筒形マウントの装着構造として、把握することも可能である。
【0011】
そして、このように特定構造の流体封入式筒形マウントを、特定方向に傾斜配置して被連結体間に介装せしめることにより、支持ゴム弾性体における引張応力の発生が軽減されて、耐久性の向上効果が発揮されるのである。
【0012】
また、請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された傾斜配置型の流体封入式筒形マウントにおいて、前記内方突部によって、外周面に開口して周方向に延びる凹溝が形成されており、該凹溝の外周面開口部が前記外筒金具で覆蓋されることによって、前記オリフィス通路が形成されていることを、特徴とする。
【0013】
かかる請求項2に記載の発明に従う構造とされた筒形マウントにおいては、内方突部と外筒金具の間に、オリフィス通路を容易に且つ有利に形成することが可能となる。なお、内方突部における凹溝は、例えば、金属スリーブの軸方向中間部分を、ポケット部の周方向一方の側壁部の外周面が接着される部位において、プレス加工等により内方に凹陥せしめることによって、内方突部の成形と同時に形成することが出来る。
【0014】
また、請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された傾斜配置型の流体封入式筒形マウントにおいて、前記金属スリーブにおける前記スリットの形成部側に袋状ゴム弾性体を配設固着して、該袋状ゴム弾性体の袋部を該金属スリーブに設けた第二の窓部を通じて外周面に開口せしめると共に、該袋部の開口を前記外筒金具で閉塞することにより、前記平衡室が形成されていることを、特徴とする。
【0015】
かかる請求項3に記載の発明に従う構造とされた筒形マウントにおいては、容積変化が容易に許容される平衡室を、簡単な構造をもって有利に形成することが出来る。なお、袋状ゴム弾性体は、支持ゴム弾性体と一体的に形成しても、或いは別体形成しても良い。
【0016】
また、請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3の何れかに記載された傾斜配置型の流体封入式筒形マウントにおいて、前記支持ゴム弾性体にて構成された前記ポケット部の周方向両側の側壁部における、前記ポケット部を挟む側の交角が180度より小さくされていることを、特徴とする。
【0017】
かかる請求項4に記載の本発明に従う構造とされた筒形マウントにおいては、荷重入力時に、ポケット部の周方向両側の側壁部における引張変形の発生が有利に軽減乃至は防止されるのであり、特に、荷重入力方向に対して周方向に接近して位置せしめられる一方の側壁部だけでなく、荷重入力方向に対して周方向に離れて位置せしめられて引張変形が生ぜしめられ易い他方の側壁部においても、引張変形の発生が軽減されることから、耐久性の向上効果がより一層効果的に達成され得るのである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態の一具体例について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0019】
先ず、図1〜3には、本発明に従う構造とされた自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、軸金具としての内筒金具12と、その外方に所定距離を隔てて配設された外筒金具14が、それら内外筒金具12,14間に介装された支持ゴム弾性体16によって弾性的に連結された構造とされている。そして、内筒金具12がパワーユニット側に、外筒金具14がボデー側に、それぞれ取り付けられることにより、パワーユニットとボデーの間に介装されて、パワ−ユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。
【0020】
より詳細には、内筒金具12は、ストレートな円筒形状を有しており、図示はされていないが、内孔18に挿通されるボルト等により、自動車のパワーユニット側に固定されるようになっている。
【0021】
また、内筒金具12の径方向外方には、全体として大径の薄肉円筒形状を有する金属スリーブ20が配設されており、この金属スリーブ20が、内筒金具12の周りを所定距離を隔てて囲むようにして、且つ内筒金具12に対して径方向に僅かに偏心して位置せしめられている。かかる金属スリーブ20には、その周壁部の軸方向中央部分において、それぞれ半周には至らない周方向長さで開口する第一の窓部22と第二の窓部24が、径方向に対向位置して形成されている。なお、第一の窓部22は、第二の窓部24よりも、僅かに周方向長さが短く設定されている。換言すれば、金属スリーブ20は、互いに軸方向に所定距離を隔てて同一軸上に配設された円環形状乃至は円筒形状を有する一対のリング状部26,26が、それらの軸方向対向面間に跨がって延びる第一及び第二の軸方向連結部28,30によって一体的に連結されており、リング部26,26の軸方向対向面間の開口が、第一及び第二の軸方向連結部28,30で仕切られることにより、径方向で対向位置する第一の窓部22と第二の窓部24が形成されているのである。
【0022】
更にまた、金属スリーブ20では、第一の軸方向連結部28が径方向内方に凹陥せしめられており、それによって、金属スリーブ20の外周面上に開口し、第一の窓部22と第二の窓部24の間に跨がって周方向に延びる凹溝31が形成されている。このことから明らかなように、本実施例では、第一の軸方向連結部28によって、他方の軸方向連結部(第二の軸方向連結部)30よりも径方向内方に突出する内方突部が構成されている。
【0023】
そして、かかる金属スリーブ20は、内筒金具12に外挿されて、内筒金具12に対して、第一の窓部22と第二の窓部24が対向位置する径方向において、第一の窓部22側で離隔し第二の窓部24側で接近して位置せしめられる状態で、偏心して配設されている。
【0024】
また、金属スリーブ20における第二の窓部24の周方向略中央部分には、溝形のストッパ金具32が両リング状部26,26間に跨がって配設されて、それらリング状部26,26の内周面に固着されている。そして、このストッパ金具32が、金属スリーブ20の内周面から内筒金具12側に向かって溝底部が突出する状態で、換言すれば金属スリーブ20の第二の窓部24を通じて溝内部が開口する状態で位置せしめられており、該ストッパ金具32の溝底部が内筒金具12に対して、径方向に所定距離を隔てて対向せしめられている。
【0025】
さらに、内筒金具12と金属スリーブ20の径方向対向面間には、それら両部材12,20の偏心方向における離隔距離が大なる側において、支持ゴム弾性体16が介装されて、内筒金具12および金属スリーブ20に対して加硫接着されており、この支持ゴム弾性体16によって、内筒金具12と金属スリーブ20が弾性的に連結されている。この支持ゴム弾性体16は、内筒金具12が金属スリーブ20に対して第二の窓部24側に偏心位置せしめられていることに加えて、第一の窓部22が第二の窓部24よりも周方向開口幅が小さくされており、略扇形の断面形状をもって形成されているが、実質的には、かかる支持ゴム弾性体16は、内筒金具12と金属スリーブ20の間において、それら両部材12,20の偏心方向における離隔距離が大なる側にだけ介装されている。
【0026】
また、支持ゴム弾性体16には、その内部をくり抜くようにしてポケット部38が形成されており、このポケット部38が、金属スリーブ20の第一の窓部22を通じて、外周面に開口せしめられている。要するに、このポケット部38は、周壁部が支持ゴム弾性体16によって構成されているのである。
【0027】
ここにおいて、ポケット部38の周壁部のうち、周方向両側に位置せしめられる第一の側壁部40および第二の側壁部42は、内筒金具12と第一の軸方向連結部28の径方向対向面間および内筒金具12と第二の軸方向連結部30の径方向対向面間に、それぞれ介装されている。また、第一の側壁部40の外周面が接着された第一の軸方向連結部28は、第二の側壁部42の外周面が接着された第二の軸方向連結部30よりも径方向内方に凹陥されており、内筒金具12との径方向の対向面間距離が小さくされていることから、内筒金具12と第一の軸方向連結部28の間に介装された第一の側壁部40よりも、内筒金具12と第二の軸方向連結部30の間に介装された第二の側壁部42の方が、径方向の有効自由長が大きく設定され、図1中、L1<L2とされている。
【0028】
一方、内筒金具12と金属スリーブ20の径方向対向面間における、それら両部材12,20の偏心方向での離隔距離が小なる側には、支持ゴム弾性体16の外周面に沿って周方向略半周に亘って広がるスリット34が、軸方向に貫通して形成されている。即ち、このスリット34が形成されていることにより、内筒金具12と金属スリーブ20の偏心方向における離隔距離が小なる側では、支持ゴム弾性体16によるそれら両部材12,20の連結が分断されており、実質的に両部材12,20の支持ゴム弾性体16による連結が為されていない状態とされているのである。なお、内筒金具12の外周面上には、スリット34側に突出する第一の緩衝ゴム突起36が、支持ゴム弾性体16によって一体形成されており、この第一の緩衝ゴム突起36を介して、内筒金具12がストッパ金具32に当接せしめられることにより、リバウンド方向のストッパ機能が発揮されるようになっている。
【0029】
また、金属スリーブ20において、スリット34側に位置せしめられた第二の窓部24の形成部分には、浅底袋形状を有する袋状ゴム弾性体44が配設されており、この袋状ゴム弾性体44が、金属スリーブ20に対して、第二の窓部24を内周側から覆蓋するようにして加硫接着されていることにより、袋状ゴム弾性体44の袋部46が、第二の窓部24を通じて、金属スリーブ20の外周面上に開口せしめられている。更に、この袋部46は、その周方向一方の端部において、金属スリーブ20の第一の軸方向連結部28に設けられた凹溝31により、支持ゴム弾性体16に形成されたポケット部38に接続されている。
【0030】
なお、袋部46の中央部分には、ストッパ金具32の底部中央から第二の窓部24に向かって突出する当接部48が、袋状ゴム弾性体44に一体形成されている。また、袋状ゴム弾性体44は、支持ゴム弾性体16と一体的に形成されており、例えば、内筒金具12と金属スリーブ20をセットせしめたゴムの加硫成形型内にゴム材料を充填し、支持ゴム弾性体16と袋状ゴム弾性体44を一体加硫成形すること等によって、有利に形成され得る。
【0031】
そして、このような一体加硫成形品に対して、外筒金具14が外挿され、八方絞り加工等により金属スリーブ20の外周面に嵌着固定されて組み付けられている。これにより、ポケット部38と袋部46の開口が外筒金具14で覆蓋されて、内部に所定の非圧縮性流体が封入された受圧室50と平衡室52が形成されていると共に、凹溝31が外筒金具14で覆蓋されて、受圧室50と平衡室52を相互に連通するオリフィス通路54が形成されている。なお、外筒金具14の内周面には、略全面に亘って、薄肉のシールゴム層56が形成されており、このシールゴム層56が、金属スリーブ20と外筒金具14の間で挟圧されることにより、封入流体の流体密性が確保されるようになっている。また、封入流体としては、水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が好適に採用され得、特に流体の共振作用に基づく防振効果を有利に得るために、0.1Pa・s以下の低粘性流体が有利に採用される。
【0032】
そこにおいて、受圧室50は、周壁部が支持ゴム弾性体16で構成されており、内外筒金具12,14間への振動入力時に、支持ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて内圧変動が惹起されるようになっている。一方、平衡室52は、袋状ゴム弾性体によって構成された底壁部と周壁部の弾性変形に基づいて、容積変化が容易に許容されるようになっている。これにより、内外筒金具12,14間に、受圧室50と平衡室52の略対向方向となる径方向に振動が入力されると、受圧室50と平衡室52の相対的内圧差に基づいて、それら両室50,52間でオリフィス通路54を通じての流体流動が生ぜしめられることとなり、以て、流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようになっているのである。
【0033】
なお、受圧室50には、ストッパブロック58が収容されており、金属スリーブ20の第一の窓部22に嵌め込まれて、外周面を外筒金具14によって支持されることにより、かかるストッパブロック58が、受圧室50内に突出し、突出先端面が受圧室50の底面に対して所定距離を隔てて対向位置せしめられた状態で、固定的に支持されている。そして、このストッパブロック58が、受圧室50の側面に形成された第二の緩衝ゴム突起60を介して、内筒金具12に当接せしめられることにより、バウンド方向のストッパ機能が発揮されるようになっている。
【0034】
そうして、このような構造とされたエンジンマウント10は、図1に示されている如く、エンジンロール振動の入力時における内外筒金具12,14の相対的変位方向が受圧室50と平衡室52の略対向方向となるように、パワーユニット荷重:Pが入力される鉛直方向に対して、受圧室50と平衡室52の対向方向に略相当するマウント中心と受圧室50の中心を結ぶ線分方向:Qを、周方向に所定角度:θだけずらせた状態で、パワーユニットとボデーの間に装着されて傾斜配置される。
【0035】
また、このように傾斜配置されることにより、受圧室50の周方向一方の側壁部40が、パワーユニット荷重:Pの入力方向である鉛直方向に対して周方向に接近して位置せしめられる一方、受圧室50の周方向他方の側壁部42が、鉛直方向に対して周方向に離隔して位置せしめられる。換言すれば、受圧室50の周方向一方の側壁部40の傾斜が鉛直方向に近づき、他方の側壁部42の傾斜が水平方向に近づく。ここにおいて、上述の如きエンジンマウント10では、径方向の有効自由長の小さい第一の側壁部40が、鉛直方向に対して周方向に接近して位置せしめられる一方、径方向の有効自由長の大きい第二の側壁部42が、鉛直方向に対して周方向に離隔して位置せしめられる。
【0036】
このように傾斜配置されたエンジンマウント10においては、有効自由長の小さい第一の側壁部40とパワーユニット荷重:Pの入力方向との為す角度が、有効自由長の大きい第二の側壁部42とパワーユニット荷重:Pの入力方向との為す角度よりも小さくなる。その結果、パワーユニット荷重:Pの入力時に内筒金具12が外筒金具14に対して略鉛直下方に相対変位せしめられると、第一の側壁部40には、主に圧縮変形が生ぜしめられることとなる一方、第二の側壁部42には、剪断および引張変形が生ぜしめられ易い。
【0037】
ところが、かかる第二の側壁部42は、外周面に接着された金属スリーブ20における第二の軸方向連結部30が、外筒金具14の内周面に密接されて、内筒金具12との対向面間距離が大きく設定されることにより、その有効自由長:L2が、第一の側壁部40に比して十分に確保されていることから、内外筒金具12,14の相対的変位量に対する歪量が小さく抑えられる。それ故、仮に、第二の側壁部42に引張変形や剪断変形が発生した場合でも、歪量ひいては引張応力や剪断応力が抑えられて、亀裂等の発生が効果的に軽減乃至は防止され得るのである。そして、特に、従来から問題となっていた、第二の側壁部42の金属スリーブ20に対する接着部位付近における応力集中が軽減されて、亀裂等の発生が防止される結果、支持ゴム弾性体16ひいてはエンジンマウント10の耐久性の向上が達成され得るのである。
【0038】
また、本実施例では、第一の側壁部40と第二の側壁部42の交角(中心角):αが、180度より小さく設定されており、それによって、エンジンマウント10を傾斜配置せしめた際、第一の側壁部40の傾斜がより鉛直方向に近づけられていると共に、第二の側壁部42の傾斜が略水平方向に近くなるようにされて、径方向外方に向かって水平方向よりも上向きとなる傾斜が抑えられていることから、パワーユニット支持荷重が入力された際、第一の側壁部40における引張変形の発生がより有効に防止されると共に、第二の側壁部42における引張変形の発生が低減されて、更なる耐久性の向上が図られている。
【0039】
加えて、本実施例では、バウンドおよびリバウンドの両方向のストッパ機構が設けられて、内外筒金具12,14の過大な相対的変位ひいては支持ゴム弾性体16の過大な弾性変形が防止されていることから、それによっても、支持ゴム弾性体16における引張変形の発生が低減されて、耐久性の向上が図られている。
【0040】
また、パワーユニット支持荷重の分担が大きくなる第一の側壁部40の方が、分担が小さい第二の側壁部42よりも、有効自由長が小さくされていることから、第一の側壁部40によって、支持ゴム弾性体16におけるパワーユニット支持剛性が有利に確保されるといった利点もある。
【0041】
しかも、上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、引張変形が発生し易い第二の側壁部42側にはオリフィス通路が形成されていないが、引張変形が発生し難い第一の側壁部40側において、第一の軸方向連結部28と外筒金具14の間に、オリフィス通路54の形成スペースが有利に確保され得るのであり、オリフィス通路が有効なスペース効率と簡単な構造で形成される得るといった利点もある。
【0042】
以上、本発明の一具体例について詳述してきたが、これは文字通りの例示であって、本発明は、かかる具体例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0043】
例えば、マウントを傾斜配置するに際して、受圧室は、荷重入力時に内筒金具が外筒金具に対して接近方向に変位せしめられる側に位置せしめられるものであり、マウントの傾斜配置方向は、荷重入力方向に応じて適宜に決定されることとなる。具体的には、前記実施例のエンジンマウント10では、その装着状態下、内筒金具12の下方に受圧室50が位置せしめられていたが、内筒金具12をボデー側に外筒金具14をパワーユニット側にそれぞれ取り付ける場合には、逆に、内筒金具12の上方に受圧室50が位置せしめられる状態で、装着されることとなる。
【0044】
また、平衡室は、容積変化が容易に許容されるものであれば良く、その構造は何等限定されるものでない。
【0045】
更にまた、オリフィス通路54の形状や構造は、マウントに要求される防振特性等に応じて適宜に設定されるものであり、例えば、第一の軸方向連結部28に設けられた凹溝31に対して別体のオリフィス部材を嵌め込んで、より長いオリフィス通路を形成すること等も可能である。
【0046】
加えて、前記実施例では、本発明を自動車用エンジンマウントに適用したものの一具体例を示したが、本発明は、その他、荷重入力方向に対して受圧室の中心部を周方向にずらせて傾斜配置される各種の流体封入式筒形マウントに対して、何れも、有利に適用され得ることは、勿論である。
【0047】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、請求項1乃至4に記載の発明に従う構造とされた傾斜配置型の流体封入式筒形マウントにおいては、何れも、支持ゴム弾性体により形成された受圧室の周方向両側の側壁部のうち、荷重入力時に引張変形が生ぜしめられ難い方の側壁部側にだけ、その外周面上にオリフィス通路が形成されており、荷重入力時に引張変形が生ぜしめられ易い方の側壁部は、その外周面が外筒金具に至る長さで形成されていることから、かかる引張変形が生ぜしめられ易い側壁部における径方向の有効自由長が有利に確保されて、引張変形が発生した際の引張歪ひいては引張応力が効果的に低減され得る。
【0048】
それ故、支持ゴム弾性体における亀裂等の発生が軽減乃至は防止され得て、支持ゴム弾性体ひいてはマウントの耐久性が有利に確保され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一具体例としての自動車用エンジンマウントを示す横断面図であって、図2におけるI−I断面に相当する。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図2における右側面図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 内筒金具
14 外筒金具
16 支持ゴム弾性体
20 金属スリーブ
22 第一の窓部
24 第二の窓部
28 第一の軸方向連結部
30 第二の軸方向連結部
38 ポケット部
40 第一の側壁部
42 第二の側壁部
44 袋状ゴム弾性体
50 受圧室
52 平衡室
54 オリフィス通路

Claims (4)

  1. 軸金具と該軸金具の外方に離隔配置された金属スリーブの間において、該軸金具を軸直角方向に挟んで位置する一方の側に支持ゴム弾性体を介装し、他方の側に軸方向に貫通して周方向に広がるスリットを設けることにより、それら軸金具と金属スリーブを該支持ゴム弾性体により実質的に前記一方の側でだけ連結せしめる一方、該支持ゴム弾性体にポケット部を設けて該金属スリーブに設けた第一の窓部を通じて外周面に開口せしめ、該金属スリーブに外筒金具を外嵌固定して該ポケット部の開口を閉塞することにより、非圧縮性流体が封入されて振動が入力される受圧室を形成すると共に、前記軸金具と前記外筒金具の間における前記スリットの形成部側に、非圧縮性流体が封入されて容積変化が許容される平衡室を形成し、更にそれら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けてなり、前記軸金具と前記外筒金具が防振連結される被連結体の各一方に取り付けられることにより、荷重入力によって該軸金具が該外筒金具に対して前記支持ゴム弾性体側に変位せしめられる状態で、且つ該荷重入力方向に対して前記受圧室の中心部を周方向にずらせて傾斜配置される流体封入式筒形マウントにおいて、
    前記金属スリーブにおける、前記支持ゴム弾性体にて構成された前記ポケット部の周方向両側の側壁部のうち前記荷重入力方向に対して周方向に接近して位置せしめられる一方の側壁部の外周面が接着される部分を、他方の側壁部の外周面が接着される部分よりも内方に突出する内方突部として、該一方の側壁部で連結された前記軸部材と前記金属スリーブの対向面間距離を、該他方の側壁部で連結された該軸部材と該金属スリーブの対向面間距離よりも小さくすると共に、該内方突部と前記外筒部材の間に、前記オリフィス通路を形成したことを特徴とする傾斜配置型の流体封入式筒形マウント。
  2. 前記内方突部によって、外周面に開口して周方向に延びる凹溝が形成されており、該凹溝の外周面開口部が前記外筒金具で覆蓋されることによって、前記オリフィス通路が形成されている請求項1に記載の傾斜配置型の流体封入式筒形マウント。
  3. 前記金属スリーブにおける前記スリットの形成部側に袋状ゴム弾性体を配設固着して、該袋状ゴム弾性体の袋部を該金属スリーブに設けた第二の窓部を通じて外周面に開口せしめると共に、該袋部の開口を前記外筒金具で閉塞することにより、前記平衡室が形成されている請求項1又は2に記載の傾斜配置型の流体封入式筒形マウント。
  4. 前記支持ゴム弾性体にて構成された前記ポケット部の周方向両側の側壁部における、前記ポケット部を挟む側の交角が180度より小さくされている請求項1乃至3の何れかに記載の傾斜配置型の流体封入式筒形マウント。
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