JP3600548B2 - 光フィルター用ガラスセラミックスおよび光フイルター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光フイルター用ガラスセラミックスおよび該ガラスセラミックスを用いた光フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
光フィルターには、特定の波長をカットしたり透過するもの、波長によらず光強度を落とすものなどがある。前者の光フィルターには、特定の波長のみを透過するバンドパスフィルター、特定の波長のみをカットするノッチパスフィルター、特定の波長より短波長や長波長のみを透過するハイパスフィルター、ローパスフィルターなどがあり、後者の光フィルターには、NDフィルターがある。
【0003】
また、光フィルターには吸収型と干渉型等がある。吸収型光フィルターには代表的なものとしてNDフィルター等があり、干渉型光フィルターには、代表的なものとしてバンドパスフィルターが挙げられる。写真用等の吸収型光フィルターには基体としてプラスチックが用いられているが、強いレーザーが用いられる光フィルターの基板には、耐久性・耐熱性が要求されるので、もっぱらアモルファスガラスが用いられている。
【0004】
バンドパスフィルターは、ガラスなどの基板材上に例えば、高い屈折率を持つ誘電体薄膜(H層)と低い屈折率を持つ誘電体薄膜(L層)を交互に積層した構造の誘電体多層膜を形成したものが用いられる。
【0005】
WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重方式)光通信システムに用いられるバンドパスフィルターにおいては、通過波長のバンド幅を狭く設定し、より高密度波長に適用しようとする場合、バンドの中心波長の温度安定性が問題となっている。すなわち、わずかな温度変化に対してもバンドの中心波長が変動してしまう敏感な素子であるため、その使用においては温度コントローラーで温度補償を行うべきであるが、用いる際のスペース的な問題により事実上温度コントローラーをつけることができない。この中心波長の温度安定性は、光情報量が増加するに従いバンド幅を狭くする必要があるため、その重要さを増すものである。
【0006】
従来、バンドパスフィルターの基板材には、アモルファスガラスが使用されているが、熱膨張特性が十分高くなく、機械的強度も低いため、膜に与える圧縮応力および耐久性の面でも充分なものでなかった。更に、アモルファスガラスは表面硬度が低く、しかも高膨張特性を得るにはアルカリ成分を多量に含有させる必要があり、成膜時のアルカリ溶出や経時的なアルカリ溶出等の問題を有し、将来の光フィルター用基板材、特にバンドパスフィルター用基板材としての要求に十分対応できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術に見られる諸欠点を解消しつつ、バンドパスフィルターの高精度化に合わせ、単層もしくは多層膜形成したフィルター部材の使用温度における屈折率変動を回避する(基板材料を高熱膨張係数として、これにより膜に圧縮応力を与え、膜の屈折率温度安定性を向上させる。)ための熱膨張特性と、耐久性を考慮した機械的特性を兼ね備えた光フイルター用ガラスセラミックスおよび光フィルターを提供することにある。
【0008】
【課題を解消するための手段】
本発明者は、鋭意試験研究を重ねた結果、上記課題を解決するには、特定の熱膨張係数範囲や機械的強度、光線透過率を有するガラスセラミックスが好適であることを見い出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、−20〜+70℃における熱膨張係数が95×10−7/℃〜140×10−7/℃で、ヤング率が85GPa以上であり、主結晶相として(a)2珪酸リチウムおよび(b)α−クオーツ、α−クオーツ固溶体、α−クリストバライト、α−クリストバライト固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする光フイルター用ガラスセラミックスであり、請求項2記載の発明は、ガラスセラミックスの組成において、SiOを70〜77質量%含有することを特徴とする請求項1記載の光フイルター用ガラスセラミックスであり、請求項3記載の発明は、ガラスセラミックスの組成において、LiOを8〜12質量%含有することを特徴とする請求項1または2記載の光フイルター用ガラスセラミックスであり、請求項4記載の発明は、ガラスセラミックスの組成において、LiOを8.5〜9.9質量%含有することを特徴とする請求項1または2記載の光フイルター用ガラスセラミックスである。
また、請求項5記載の発明は、ガラスセラミックスの組成において、Alを3〜9質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックスであり、請求項6記載の発明は、ガラスセラミックスの組成において、Alを4.0〜7.0質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックスであり、請求項7記載の発明は、ガラスセラミックスの組成において、ZrOを2〜9質量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックスであり、請求項8記載の発明は、ガラスセラミックスの組成において、Pを1.5〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックスである。
また、請求項9記載の発明は、ガラスセラミックスの組成において、MgO、ZnO、SrO、BaO成分の合計量を1〜5質量%含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックスであり、請求項10記載の発明は、ガラスセラミックスの組成において、KOを0.5〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックスであり、請求項11記載の発明は、ガラスセラミックスの組成において、KOを0.6〜2.0質量%含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックスであり、請求項12記載の発明は、ガラスセラミックスの組成において、NOおよび/またはPbOを実質的に含まないことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックスであり、請求項13記載の発明は、曲げ強度が10kg/mm以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックスである。
また、請求項14記載の発明は、請求項2記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルターであり、請求項15記載の発明は、請求項3記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルターであり、請求項16記載の発明は、請求項5記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルターであり、請求項17記載の発明は、請求項7記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルターであり、請求項18記載の発明は、請求項8記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルターであり、請求項19記載の発明は、請求項9記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルターであり、請求項20記載の発明は、請求項10記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルターであり、請求項21記載の発明は、請求項12記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルターであり、請求項22記載の発明は、請求項13記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルターである。
また、請求項23記載の発明は、請求項1〜13のいずれかに記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなるバンドパスフイルターであり、請求項24記載の発明は、請求項14〜22のいずれかに記載の光フイルターを用いることを特徴とするバンドパスフイルターである。
【0010】
本発明の光フィルターに用いられるガラスセラミックスの熱膨張特性、ヤング率、曲げ強度、光線透過率、組成および主結晶相について以下に述べる。尚、組成は原ガラスと同様、酸化物基準の質量%で表示する。
【0011】
まず、熱膨張特性であるが、前述のようにバンドの中心波長の温度安定性は非常に重要であり、膜構成物質の熱膨張係数より大きいものが必要である。本発明者が試験研究を行った結果、−20℃〜+70℃における熱膨張係数が95×10−7/℃以上とすると、バンドパスフィルターとして使用する温度範囲において、膜に十分な圧縮応力を与えることができることが判明した。しかしその一方で140×10−7/℃を越えると、膜との熱膨張係数差が大きくなりすぎて、膜の剥離等の問題を生じやすくなる。より好ましい範囲は110×10−7〜130×10−7/℃、更に好ましい範囲は120±5×10−7/℃の範囲である。
【0012】
バンドパスフィルターにおいて中心波長の温度安定性は当然、薄膜を構成する誘電体の屈折率温度係数に依存するが、それ以上に基板材の熱膨張係数に大きく影響を受ける。これは屈折率が薄膜の充填率によっても決定されることに起因する。すなわち、薄膜の充填率が高いほど中心波長の温度による変化は小さくなる。そして薄膜の充填率はこれを成膜している光フィルター基板材の熱膨張係数に大きく影響を受けるものである。つまり、成膜時の基板材は約200℃となるが、その熱によって基板材自体は大きく膨張しており、薄膜はその膨張した基板材につけられ、次いで基板材が冷却されるにしたがって、それらの熱膨張係数の差により薄膜は圧縮応力を受ける。その結果、薄膜の充填率が高くなり屈折率が高くなる。基板材の熱膨張係数が大きければ大きいほど成膜された誘電体薄膜にかかる圧縮応力は大きくなり、その使用温度における屈折率の温度による変化率が少なくなる。この理由により、誘電体薄膜の熱膨張係数よりもガラスセラミックスの熱膨張係数を大きく設定することが望ましい。
【0013】
その他、過酷な使用条件を考慮すると、前記以外の特性の他にも、機械的な変形等に対する強度、すなわち、曲げ強度やヤング率も無視できない。
【0014】
次いでヤング率についてであるが、これら基板材は、成膜後に微小なチップ状(2mm以下×2mm以下×2mm以下)に加工するため、高ヤング率、高強度が求められる。以上のように後の加工工程を考慮すると、ヤング率は85GPa以上、曲げ強度は10kg/mm以上であることが好ましい。
【0015】
次いで光線透過率についてであるが、光線透過率が低ければ当然信号の取り出しに不都合(S/N比の低下)を生じるので、その値は大きい方が好ましく、最低でも光線透過率は60%以上である必要がある。更にバンドパスフィルターの使用波長は950nm〜1600nmであり、板厚10mm材におけるこの波長の光線透過率は60%以上であることが必要となる。尚、前記波長における光線透過率については、好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上である。
【0016】
次いで析出結晶相についてであるが、本発明の光フィルターに用いられるガラスセラミックスは、「(a)二珪酸リチウム」および、「(b)α−クォーツ、α−クォーツ固溶体、α−クリストバライト、α−クリストバライト固溶体の中から選ばれる少なくとも一種以上」を含むことが好ましい。前記これらの結晶相を析出させることによって、曲げ強度、ヤング率を格段に高くすることができ、かつ、温度範囲−20℃〜+70℃における熱膨張係数が95×10−7〜140×10−7/℃とすることができる。さらに、バンドフィルターの使用波長である950nm〜1600nmに対して、板厚10mm材における光線透過率(%)を60%以上とする事ができる。
【0017】
次に原ガラスの組成範囲を限定する理由について以下に述べる。SiO成分は、原ガラスの熱処理により、主結晶相として析出する二珪酸リチウム、α−クォーツ、α−クォーツ固溶体、α−クリストバライト、α−クリストバライト固溶体を生成するきわめて重要な成分であるが、その量が70%未満では、得られたガラスセラミックスの析出結晶が不安定で組織が粗大化しやすく、また77%を超えると原ガラスの溶融・成形性が困難になる。
【0018】
LiO成分は、原ガラスの熱処理により、主結晶相として析出する二珪酸リチウムを生成するきわめて重要な成分であるが、その量が8%未満では、上記結晶の析出が困難となると同時に、原ガラスの溶融が困難となる。また12%を超えると、得られる結晶が不安定で組織が粗大化しやすいうえ、化学的耐久性が悪化する。
【0019】
O成分は、ガラスの溶融性を向上させると同時に析出結晶の粗大化を防止する。そしてその量は0.5%以上が好ましい。但し、過剰に含まれると析出結晶の粗大化、結晶相変化および化学的耐久性が悪化する為、その量は3%以下が好ましい。
【0020】
MgO、ZnO、SrO、BaO成分は、ガラスの溶融性を向上させると同時に析出結晶の粗大化を防止し、且つマトリックスであるガラス相の屈折率を調整することで、光線透過率を調整する事を可能とする成分であるが、それぞれの合計量が1%未満ではこれらの効果が得られず、5%を超えると得られる結晶が不安定で組織が粗大化しやすくなる。
【0021】
成分は本発明において、析出結晶の核形成剤として不可欠であるが、その効果を得るには1.5%以上が好ましい。また、原ガラスの失透を防ぎ、量産安定性を保つために3%以下が好ましい。
【0022】
ZrO成分はP成分と同様に、析出結晶の核形成剤として機能する上に、析出結晶の微細化と材料の機械的強度向上および化学的耐久性の向上に顕著な効果を有することが見出された極めて重要な成分である。これらの効果を得るためにはZrOは2%以上が好ましい。但し、過剰に加えると原ガラスの溶融が困難となると同時にZrSiO等の溶け残りが発生してしまうため、9%以下が好ましい。
【0023】
Al成分は、ガラスセラミックスの化学的耐久性および機械的強度、特に曲げ強度を向上させる成分であり、本発明の目的を達成するために、その量は3%以上であることが必要であり、4%以上であることがより好ましい。またAl成分が過剰であると、溶融性、耐失透性が悪化し、更に析出結晶相としてβ−スポジューメン、β−クリストバライトを析出するようになってしまう。β−スポジューメン、β−クリストバライトは熱膨張係数が著しく小さい結晶相であり、これら結晶の析出は得られるガラスセラミックスの熱膨張係数を著しく低下させる。したがって、Al成分は9%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
【0024】
SbおよびAs成分はガラス溶融の際の清澄剤として添加しうるが、それらの成分の和は2%以下で十分であり、より好ましくは1%以下である。
【0025】
次にNaO、PbOを実質的に含まないことが好ましい多層膜の形成において、材料中のNaOは問題となる成分である。これはNaイオンが多層膜に溶出し膜特性の悪化をもたらすためであり、PbOについては、環境上好ましくない成分であるので、使用は極力避けるべきである。
【0026】
つぎに本発明にかかる光フィルターに用いられるガラスセラミックスを製造するについては、上記の組成を有するガラスを溶解し、熱間成形および/または冷間加工を行った後、500〜600℃の範囲の温度で1〜7時間熱処理して結晶核を形成し、続いて700〜780℃の範囲の温度で1〜7時間熱処理して結晶化を行う。
【0027】
こうして熱処理により結晶化されたガラスセラミックスの主結晶相は、「(a)二珪酸リチウム」および、「(b)α−クォーツ、α−クォーツ固溶体、α−クリストバライト、α−クリストバライト固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上」を含有するものであった。
【0028】
この熱処理結晶化したガラスセラミックスを常法によりラッピングした後、ポリシングすることにより、表面粗度Ra(算術平均粗さ)が1.0Å以上、5.0Å以下の範囲内の光フィルター用ガラスセラミックス基板が得られる。これらのガラスセラミックスは、該基板表面に誘電体多層膜を成膜した干渉型光フィルター用に好適であり、特に、誘電体多層膜として、高い屈折率を持つ誘電体薄膜(H層)と低い屈折率を持つ誘電体薄膜(L層)を交互に積層した構造の、バンドパスフィルター用に好適である。
【0029】
上記誘電体としては、TiO、Ta、Nb、SiO等の無機酸化物が好ましい。更に、波長範囲950nm〜1600nmに用いるバンドパスフィルターにおいては、誘電体層としてH層/L層の組合せとして、TiO/SiO、Ta/SiO、Nb/SiOが好ましい。
本発明の光フィルターは、ガラスセラミックス基板の表面に誘電体薄膜を成膜して得ることができる。成膜方法としては、蒸着法、RFイオンプレーティング法、マグネトロンスパッタリング法、プラズマイオンプレーティング法等がある。中でも蒸着法が好適である。
【0030】
次に本発明の好適な実施例について説明する。表1、2、3は本発明の光フィルターに用いられるガラスセラミックスの実施例(No.1〜8)および従来から用いられている光フィルター用ガラス基板(比較例)について、組成の他に、析出結晶相、熱膨張係数、ヤング率、曲げ強度、光線透過率を示したものである。
【発明の実施の形態】
【0031】
【表1】
Figure 0003600548
【0032】
【表2】
Figure 0003600548
【0033】
【表3】
Figure 0003600548
【0034】
上記実施例のガラスセラミックスの製造方法を説明する。酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の原料を混合し、これを通常の溶解装置を用いて約1350〜1450℃の温度で溶解し攪拌均質化した後、成形・冷却工程を経てガラス成形体を得た。その後これを500〜600℃で1〜7時間熱処理して結晶核形成後、700〜780℃で1〜7時間熱処理結晶化して、所望のガラスセラミックスを得た。ついで上記ガラスセラミックスを800#〜2000#のダイヤモンドペレットにて5〜30分ラッピングし、次いで粒子径(平均)0.02〜3μmの研磨剤酸化セリュームにて30〜60分間研磨し仕上げた。これらのガラスセラミックスの表面粗度Ra(中心線粗さ)は5Å以下であった。
【0035】
析出結晶相はX線回折(XRD)装置およびEDS(エネルギー分散型分析装置)で同定した。
【0036】
本発明の実施例1〜8と比較例1を比較すると、従来から用いられている光フィルター用ガラス基板は熱膨張係数が93×10−7/℃と、成膜された膜に圧縮応力を与えるには十分な数値ではなく、更にヤング率=75GPa、曲げ強度=5kg/mmと低強度材であった。これに対し、本発明の光フィルターに用いられるガラスセラミックスは成膜された膜に圧縮応力を与えるに十分な熱膨張係数を有しており、ヤング率や曲げ強度においても十分な数値を有しているため、光フィルター用の基板材料として好適であった。
【0037】
また上記の実施例により得られたガラスセラミックス基板に、TiO/SiO、Ta/SiO、Nb/SiOの多層膜をそれぞれ成膜してなる干渉型光フィルターは、その中心波長の温度安定性が非常に良好なものであり、光通信用のバンドパスフィルターとして非常に良好なものであった。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、上記従来技術に見られる諸欠点を解消しつつ、中心波長の温度安定性の優れた光フィルターを提供することができる。この特徴(高い光線透過率、高い熱膨張特性、高いヤング率、高い曲げ強度)は干渉型光フィルター、特にバンドパスフィルター用として好適であり、特に光通信システムにおけるWDM、DWDM(高密度波長分割多重方式)の用途に最適である。更にこの光フィルター用ガラスセラミックス基板にTiO/SiO、Ta/SiO、Nb/SiOの誘電体膜を複数層成膜してなるバンドパスフィルター部材は、従来のバンドパスフィルター部材にない、中心波長の温度安定性を有するものであり、地上の光通信システムだけでなくspace−based−satellite等でも使用される可能性がある。

Claims (24)

  1. −20〜+70℃における熱膨張係数が95×10−7/℃〜140×10−7/℃で、ヤング率が85GPa以上であり、主結晶相として(a)2珪酸リチウムおよび(b)α−クオーツ、α−クオーツ固溶体、α−クリストバライト、α−クリストバライト固溶体の中から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする光フイルター用ガラスセラミックス。
  2. ガラスセラミックスの組成において、SiOを70〜77質量%含有することを特徴とする請求項1記載の光フイルター用ガラスセラミックス。
  3. ガラスセラミックスの組成において、LiOを8〜12質量%含有することを特徴とする請求項1または2記載の光フイルター用ガラスセラミックス。
  4. ガラスセラミックスの組成において、LiOを8.5〜9.9質量%含有することを特徴とする請求項1または2記載の光フイルター用ガラスセラミックス。
  5. ガラスセラミックスの組成において、Alを3〜9質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックス。
  6. ガラスセラミックスの組成において、Alを4.0〜7.0質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックス。
  7. ガラスセラミックスの組成において、ZrOを2〜9質量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックス。
  8. ガラスセラミックスの組成において、Pを1.5〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックス。
  9. ガラスセラミックスの組成において、MgO、ZnO、SrO、BaO成分の合計量を1〜5質量%含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックス。
  10. ガラスセラミックスの組成において、KOを0.5〜3質量%含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックス。
  11. ガラスセラミックスの組成において、KOを0.6〜2.0質量%含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックス。
  12. ガラスセラミックスの組成において、NOおよび/またはPbOを実質的に含まないことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックス。
  13. 曲げ強度が10kg/mm以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の光フイルター用ガラスセラミックス。
  14. 請求項2記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルター。
  15. 請求項3記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルター。
  16. 請求項5記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルター。
  17. 請求項7記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルター。
  18. 請求項8記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルター。
  19. 請求項9記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルター。
  20. 請求項10記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルター。
  21. 請求項12記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルター。
  22. 請求項13記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなる光フイルター。
  23. 請求項1〜13のいずれかに記載のガラスセラミックス上に誘電体を成膜してなるバンドパスフイルター。
  24. 請求項14〜22のいずれかに記載の光フイルターを用いることを特徴とするバンドパスフイルター。
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