JP3586753B2 - 紡績機におけるピーシング方法及び同装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は紡績装置における切断糸のピーシング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気紡績ノズルを用いた紡績装置においては、繊維束を3線乃至はそれ以上のドラフトローラ対によりなるドラフト装置でドラフトした後、空気紡績ノズル内で圧空噴射により発生している旋回気流により加撚し、紡績糸を製造している。
【0003】
このような紡績装置において、紡績糸に糸切れを生じた場合、或いは、紡績糸にスラブ等の糸欠点が検出され糸を強制的に切断した場合等においては、巻取側より引き出した下糸と空気紡績ノズルで新たに紡績され下流側に送出された上糸とをメカノッタやスプライサ等により糸継ぎしていた。これらの方法は、糸同士を継ぎ合わせるものであるため、継目の組成及び外観を向上する上で自ずと限界があった。そこで、巻取側の糸端を空気紡績ノズルに逆通した後、紡績を再開することによって紡績過程にある糸と巻取側糸端とをピーシングする方法が提案されているが、このようなピーシング方法では、ピーシング時における巻取側糸端の位置が不安定であるため、継目部分から繊維が飛び出したりする場合があり、更には、継目長が必ずしも一定とならず、継目の強度及び外観にばらつきを生じるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術のこのような点に鑑みて、継目の強度及び外観が良好なピーシングを安定的に行うことができるピーシング方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
紡績済の糸端を加撚手段を通過させ、ドラフト装置の基準ローラ上流側に引き出し、該糸端をドラフト装置を通過する繊維束の軌跡上の幅方向中央部に案内した状態で、ドラフト装置及び加撚手段を作動させる。これを行う装置として、紡績済の糸端を加撚手段の下流側からドラフト装置の基準ローラの上流側へ通す手段(糸端誘導装置)と、ドラフト装置の基準ローラの上流側に通された糸端を捕捉するサクションノスルよりなる糸端捕捉手段と、該サクションノズル内所定位置に設けた糸端検出手段と、糸端検出手段の糸端検出に基づき紡績ユニットの運動を再開する制御装置と、該糸端捕捉手段に捕捉された糸端をドラフト装置の基準ローラ上流側で該ドラフト装置を通過する繊維束の軌跡上の幅方向中央部に案内する糸ガイドとを備えた。そして、上記糸端捕捉手段が糸端を吸引捕捉するサクションノズルであって、該サクションノズルの吸引口が糸ガイドを兼用するよう幅方向に狭くなった偏平形状に形成され、糸ガイドがドラフト装置に対して固定して設けられている。
【0006】
【作用】
ピーシング動作時、パッケージから引き出した糸を加撚手段の下流側から上流側に通過させてドラフトローラの基準ローラの上流に引き出し、上記引き出した糸の端部を糸保持手段のサクションノズルに保持させておき、紡績再開時バッケージの正回転による前記サクションノズルからの糸端の引き出し時に該糸端を糸端検出手段が検知したときに、紡績ユニットの運転を再開し、ドラフト装置,加撚手段を作動させることにより、糸端と繊維束とを一定長重なりあはせた状態でピーシングを行なう。
ドラフト装置の作動時、サクションノズルから引き出された紡績済の糸端がドラフトされた繊維束の幅方向中央部に案内され繊維束の幅方向中央部に載った状態で繊維束と共にドラフトされる。そして、ドラフト装置を出た繊維束及び糸端は加撚手段によって撚り込まれる。このとき、糸端が繊維束の幅方向中央部に位置しているため、糸端を芯としてその廻りを繊維束が包み込むようにして撚り込まれ、その結果、糸端が新たな繊維束で包み込まれた、外観上、他の部分と見分けがつきにくい継ぎ目が形成される。
【0007】
【実施例】
実施例について図面と共に説明する。
【0008】
図1及び図2は、本発明方法を実施する紡績機1を示す正面図及び側断面図である。図において、紡績機1は、ドラフト装置2,加撚手段である空気紡績ノズル3、及び仮撚装置4,デリベリローラ5,ヤーンクリアラ6,巻取装置7を上流側より下流側に向けて一連に設けた紡績ユニット1uを多数並設してなり、該各紡績ユニット1uに沿って紡績機1の機台長手方向に往復移動する自走式の作業台車8を備えている。
【0009】
ドラフト装置2は、バックローラ対21,サードローラ対22,エプロンベルト23eを装架したミドルローラ対23,フロントローラ対24の4線のドラフトローラ対よりなり、25は繊維束Sをバックローラ対21に導入するトランペットガイド、26は繊維束Sの幅を規制するコンデンサである。各ドラフトローラ対の内、フロントローラ対24はそのボトムローラを各ユニット共通のラインシャフト上に設けて全ユニット一斉に駆動されるが、その他の各ローラは、各ユニット毎に駆動停止可能になっている。
【0010】
上記ドラフト装置2の各トップローラは、夫々ドラフトクレードル29に回転自在に支持されると共に、該ドラフトクレードル29に設けた図示しない付勢部材により各ボトムローラに圧接されているが、このうち、フロントローラ対24のトップローラ24tは、ピーシング時においては作業台車8側からの操作により、他のローラと独立して個別にボトムローラ24bから上挙離反可能となっている。
【0011】
空気紡績ノズル3は、図3に示す如く、フロントローラ対24の下流側に配置され、ノズル内側面接線方向に圧空噴射孔33を開口して、該圧空噴射孔33より圧縮空気を噴射することにより空気紡績ノズル3内に後述する加撚装置4の加撚方向と反対方向の旋回気流を発生可能である。尚、上記圧空噴射孔33は糸走行方向に向けて傾斜して設けてあるので、空気紡績ノズル3の導入口31付近では吸引気流を生じ易くなっている。
【0012】
34は、上記空気紡績ノズル3に圧縮空気を送るエア供給管であり、該エア供給管34は図示しない圧力源に接続され、ピーシング時に所定位置に停止した作業台車8側からの操作により、空気紡績ノズル3への圧縮空気の供給が停止されるようになっている。
【0013】
そして、空気紡績ノズル3は、図1に示す如く揺動アーム35の先端に固定され、ピーシング時に作業台車8側からの操作により、紡績位置を外れて上方に移動するようになっている。
【0014】
仮撚装置4は、図3及び図8に示す如く互いに軸方向を交差して接触状態に支持されている一対のローラ41,42よりなる。各ローラ41,42はゴム等の可撓性弾性材からなる薄肉のローラをローラ芯体に外嵌してなる中空ローラであり、且つ、その周面両端部に対して中央部が断面弧状に膨らんだ樽形の外形状をなしている。そして、各ローラ41,42はブラケット43,44にベアリングを介して回転自在に支持され、且つ、各回転軸の端部に設けたプーリ45,46とモータ50の回転軸に固定したプーリ49との間に、夫々、ベルト47,48を巻掛け、該モータ50により等周速で同期して回転されるようになっている。
【0015】
デリベリローラ5は、通常の紡績時には図示しないスプリングの付勢によりニップローラ51を圧接して紡績糸Yを送出可能であるが、ピーシング時に、作業台車8側からの操作により前記スプリングの付勢力に抗してニップローラ51がデリベリローラ5より離反して、紡績糸Yの送出を停止するようになっている。
【0016】
ヤーンクリアラ6は紡績糸Yに生じるスラブ,細糸,太糸等の糸欠点、及び、糸切れを検出する検出装置であり、それらを検出した場合は制御信号を出力して紡績を停止すると共に、ピーシングを行うために作業台車8を当該紡績ユニット1uに停止させる。
【0017】
巻取装置7は、トラバースガイド71で糸Yを綾振りしながら、クレードルアーム73に回転自在に支持され、且つ、フリクションローラ72に圧接されて回転するパッケージPに巻取るものである。
【0018】
作業台車8は、図1及び図2に示す如く紡績機1の機台全長に亘って設けたレール81,82に沿って、上記紡績機1の多数並設された各紡績ユニット1u間を往復移動可能であり、該作業台車8には、ピーシング時に巻取パッケージPに巻取られた紡績済の糸端を吸引して引き出すサクションマウス9、該サクションマウス9により引き出された糸端を糸端誘導装置11に案内する糸案内装置10、上記糸端を空気紡績ノズル3まで誘導する糸端誘導装置11とそれに付設された糸逆送ノズル12、カッタ13、及びクランプ14、巻取側の糸を予め弛ませておくスラックチューブ15、上記糸逆送ノズル12により空気紡績ノズル3に挿通した糸端を吸引捕捉してドラフト装置2のフロントローラ24(基準ローラ)上流側に引き出す糸端捕捉手段としてサクションノズル16を設けている。
【0019】
また、作業台車8には巻取装置7のクレードルアーム73と一体のクレードルボス74に当接し、クレードルアーム73を任意の振れ角で位置決めするグリップレバー83、巻取パッケージPを逆回転させるためのリバースローラ84及び、該リバースローラ84をパッケージPに圧接する旋回アーム85、パッケージPを押圧してフリクションローラ72より離すパッケージ押圧プレート86、巻取側の糸をトラバースガイド71から離しておく糸外しガイド87を設けると共に、これらの作動及びタイミングを制御する複数よりなるカム88を備えている。
【0020】
糸案内装置10は図1に示す如く、垂直軸回りに回動自在に支持されている糸係止アーム101、及び、水平軸回りに回動自在に支持されている糸ガイドアーム102より構成され、ピーシング時において、図1中実線で示された各位置と、同図中2点鎖線で示される各位置との間を約180°往復揺動するようになっている。
【0021】
糸端誘導装置11は、図1に示す如く作業台車8のフレーム上端部にブラケット111で回動可能に支持されているアーム112の先端に図5に示す糸逆送ノズル12を設けると共に、該糸逆送ノズル12の両側にカッタ13及びクランプ14を付設している。そして、糸端誘導装置11のアーム112の回動軸に一体に設けたギア113には、セグルメントギア114が噛合しており、該セグメントギア114をピーシングの各動作を司るカム88で回動することにより、糸端誘導装置11は上下に旋回揺動するようになっており、旋回軌道の下行端においては糸逆送ノズル12部分を糸案内装置10の側方に位置させると共に、旋回軌道の上行端においては図5に示す如く上記糸逆送ノズル12を空気紡績ノズル3と仮撚装置4との間の糸道上方に位置させることができる。
【0022】
サクションノズル16は、図1に示す如く、その基端部において作業台車8のフレーム上端部にブラケット161で回動可能に支持されると共に、その回動軸をなす管に固定された一体のギア162にはセグメントギア163が噛合しており、該セグメントギア163を先述したカム88で回動することにより、上下方向に旋回揺動すると共に、図4に示す如くその先端側部分16aが、基端側部分16bに対して折り畳み可能となっている。即ち、先端側部分16aはヒンジ165で基端側部分16bに揺動自在に連結されると共に、上記各部分16a,16bと共に四節リンクを形成し、且つ、先端部分16aを伸ばす方向に付勢するスプリング166の各腕を、上記16a,16bに回動可能に連結している。更に、スプリング166のサクションノズル基端側部分16b側の腕の延長部分先端にはピン167を設けると共に、作業台車8には、サクションノズル16の旋回軌道の下行端において、上記ピン167に当接し、その位置を規制するカム168を設けている。
【0023】
これにより、サクションノズル16は、図4中16´で示す如く上方に旋回した際には、スプリング166の付勢によって、先端側部分16aは基端側部分16bと一直線に伸ばされ、互いに接合されるが、サクションノズル16が下方に旋回して作業台車8内に格納される際には、旋回と共に、ピン167がカム168に規制されて、スプリング166の基端側部分16b側の腕が図8中時計方向に旋回揺動し、それに伴ないスプリング166は自体の付勢力に抗してV字状に屈折され、サクションノズル16の先端側部分16aは図示の如く折り畳まれる。
【0024】
上記サクションノズル16の先端は、図7及び図8に示す如く、フロントボトムローラ24bより上挙離反した位置にあるフロントトップローラ24tの周面に沿って図中下向きに屈曲すると共に、先端に向かうにつれてその幅が両側から狭まった漏斗状をなし、且つ、吸入口164は、吸入された糸Yを繊維束Sの幅方向(走行方向に直交する方向)の中央部に案内しつつも、最大限に吸気量(吸気面積)を確保できるように繊維束Sの走行方向に幅広で、該走行方向に直交する方向に幅狭になった偏平な長穴形状となっている。すなわち、サクションノズル16の吸引口164は、サクションノズル16に捕捉された糸端をドラフト装置2のフロントローラ(基準ローラ)24上流側で該ドラフト装置2を通過する繊維束Sの軌跡上の幅方向中央部に案内する糸ガイドも兼ねている。
【0025】
また、上記サクションノズル16の旋回軌道の上行端では吸入口164は、フロントトップローラ24tの上流側、即ち、ミドルトップエプロン23e先端上方に位置するが、該ミドルトップエプロン23eの上方にはサクションノズル16で吸入された糸Yを更に確実に繊維束Sの幅方向の中央部に案内するための糸ガイド30が設けられており、サクションノズル16の吸入口164は、該糸ガイド30の内側に位置するようになっている。
【0026】
糸ガイド30は、図8に示す如く、逆二等辺三角形状をなし、ミドルトップエプロン23eに近接して設けた底板302の両側、即ち、二等辺上に側板301,301を立設した樋状をなし、図示しないブラケットによりドラフトクレードル29に固定されている。
【0027】
上記各側板301先端側、即ち、フロントローラ24側は、フロントトップローラ24tと接触することなく、ミドルエプロン23eの先端に可能な限り近接するように、楔形をなしている。
【0028】
一方サクションノズル16の基端側は、図1に示す如くジョイント169を介してサクションパイプ17に回動可能な状態で連結され、更にサクションパイプ17の他端は、図示しないブロワにより減圧されているダストボックス20に連結されている。
【0029】
サクションパイプ17は、後述する理由により所定の管路長が必要であるため、作業台車8の背面に沿ってU字状に配管されている。そして、サクションパイプ17のサクションノズル16との接合部近くには、該部分を通過する糸Yの終端を検出するめの糸検出センサ18を設け、また、サクションパイプ17のダストボックス20近くの管路上には、吸引された糸Yを切断する糸切断装置19を設けている。
【0030】
次に上述の実施例に基づいてピーシング過程を説明する。尚、該ピーシング過程は、前段階として巻取側の糸端Yをドラフト装置2まで導く準備過程を経て、紡績再開により上記糸端Yと繊維束Sとを継ぎ合わせるピーシング過程に移行する。
【0031】
先ず、ヤーンクリアラ6が糸欠点、或いは糸切れを検出すると(糸欠点検出の場合は加撚装置4とデリベリローラ5との間に設けた図示しないカッタにより糸が強制切断される)、該ヤーンクリアラ6より出力される制御信号によりドラフト装置2のバックローラ対21,サードローラ対22,ミドルローラ対23は停止され、繊維束Sの供給は停止される。このとき、フロントローラ対24は依然として駆動しているので繊維束Sはミドルエプロン23eの先端部において引き千切られて、切断部と引き千切られた部分との間の糸は図示しないダクトに吸引除去されると共に、切断部より下流側の紡績糸Yは巻取装置7のパッケージPに巻取られる。この間、ヤーンクリアラ6より出力された別の制御信号により作業台車8が当該紡績ユニット1uに停止する。
【0032】
そして、作業台車8により、空気紡績ノズル3でのエア噴射が停止され、フロントトップローラ24tがボトムローラ24bより上挙離され、且つ、空気紡績ノズル3自体も上挙され、更に、ニップローラ51がデリベリローラ5より離反される。
【0033】
次いで、作業台車8よりカム88の作動に基づいてパッケージ押圧プレート86が突出しパッケージPとフリクションローラ72との間に進出して、該パッケージPをフリクションローラ72より離し巻取りを停止した後、グリップレバー83がクレードルボス74に当接し、クレードルアーム73及び該クレードルアーム73に支持されているパッケージPをフリクションローラ72より離反した位置に位置決めする。この状態においてサクションマウス9が回動してその先端をパッケージPに近接させ糸端の吸引を行う。
【0034】
これと共に、旋回アーム85が旋回してリバースローラ84をパッケージPに圧接した後、該リバースローラ84でパッケージPを逆回転しながら、サクションマウス9はパッケージPに巻取られた紡績糸Yの切断糸端を吸引して、該糸Yを上方に引き出す。このとき、糸外しガイド87が突出して上記糸Yがトラバースガイド71に掛からないようにして置く。
【0035】
続いて、図1に示す如く、糸案内装置10の糸係止アーム101と糸ガイドアーム102とが夫々回動し、サクションマウス9により引出された糸Yを、糸係止アーム101によって係止すると共に、該糸係止アーム101とサクションマウス9との間の糸Yを、糸ガイドアーム102に係止して、旋回軌道の下行端に位置している糸端誘導装置11の糸逆送ノズル12内に挿入する。次いで、クランプ14(図5に示す)により該糸Yを把持した後、カッタ13を作動させ、サクションマウス9側の糸Yを切断すると共にサクションマウス9により吸引除去する。
【0036】
この間、リバースローラ84の回転によりパッケージPの糸Yは継続的に巻戻されており、それによりクランプ14とパッケージPとの間で余剰する糸Yはスラックチューブ15に一旦吸引されている。
【0037】
そして、このような状態から、糸端誘導装置11を上方に旋回動して巻取側の糸端Yを把持したクランプ14及び糸逆送ノズル12を、先述の如く上挙されている空気紡績ノズル3の送出口32に位置させ、該糸端Yをその位置まで案内する。この際、スラックチューブ15に予め吸引されていた糸Yが引出される。
【0038】
これと並行して、サクションノズル16が上方に旋回すると共に、その先端側部分16aを伸長して図5に示す如く吸入口164を、ボトムローラ24bより上挙離反しているフロントトップローラ24tの上流側、ミドルトップエプロン23e上方の糸ガイド30内に位置させ、その部分での吸引を開始する。
【0039】
そして、このような状態から、糸逆送ノズル12内でエア噴射を行えば、図5に示す如く、該糸逆送ノズル12から空気紡績ノズル3を経てミドルエプロン23e側に至る空気流が発生し、続いて、クランプ14を開くと、糸端Yは上記空気流に沿って空気紡績ノズル3に挿通される。この際、糸切れの原因が空気紡績ノズル3のノズル詰まりによる場合、ノズルに詰まった繊維塊等は上記空気流により吹き飛ばされ除去される。そして、空気紡績ノズル3に挿通された巻取側の糸Yはサクションノズル16に吸入され、更に吸入された糸Yは図6に示す如くサクションパイプ17を通じてダストボックス20に達する。そして、リバースローラ84は所定長の糸Yを巻戻した後、元位置に復帰し、糸Yの巻き戻しを停止すると共に、糸切断装置19がサクションパイプ17内で糸Yを切断し、切断された糸端はダストボックス20内に回収される。
【0040】
次いで、空気紡績ノズル3を下降させ、元の紡績位置に戻す。この動作により巻取側の糸Yが糸逆送ノズル12から外れる(糸逆送ノズル12には糸を外すためのスリットが形成されている)と共に、仮撚装置4の一対のローラ41,42間に導入される。これと並行して、グリップレバー83がクレードルボス74より離反することにより、パッケージPがフリクションローラ72に圧接され、パッケージPは糸Yの巻取を再開し、これに伴ないサクションパイプ17に吸入されていた糸Yが引き出され、該糸端が糸検出センサ18に達する間に通常の巻取速度まで加速される。
【0041】
そして、サクションパイプ17のサクションノズル16に連なる終端部に設けた糸検出センサ18が糸端の通過を検出すると、検出信号が発せられ、それにより制御装置89は次の順序で紡績ユニット1uの運転を再開すると共に、ピーシングを行う。
【0042】
即ち、糸検出センサ18が糸端通過を検出すると同時にバックローラ21,サードローラ22,及び、ミドルローラ23のクラッチを閉じて繊維束Sのドラフトを再開すると共に、ニップローラ51をデリベリローラ5に圧接して糸Yの送出を再開し、その直後にフロントトップローラ24tをフロントボトムローラ24bに圧接する。更に、その直後に空気紡績ノズル3への圧縮空気の供給を再開する。
【0043】
すると、ミドルトップエプロン23eの先端で停止していた繊維束Sが、図8に示される如くフロントローラ対24に到達する間に、サクションノズル16の吸入口164に達した巻取側糸端Yは、吸引口164及び糸ガイド30により偏平に押し拡げられた繊維束Sの幅方向中央部に案内されると共に、該繊維束S先端と巻取側の糸端Yとは一定長重なり合った状態でフロントローラ対24より送出され、仮撚装置4により巻取側の糸Yに付与されている仮撚で、上記重合状態の糸端Yと繊維束Sとが撚り込まれ、このとき、糸端Yが繊維束Sの幅方向中央部に位置しているため、糸端Yを繊維束Sが包み込むようにして集束し継ぎ合わされ一体となる。
【0044】
一方、繊維束S先端の両側部分の繊維は、集束せずにフリー状態のまま、空気紡績ノズル3に吸入され、該空気紡績ノズル3内での上記仮撚と反対方向の旋回気流の作用により、上記継ぎ合わされた部分と、それに連なる集束繊維束を芯にして、その周囲に巻き付けられ巻付繊維を形成する。
【0045】
更に、仮撚装置4を経て上記集束繊維束の仮撚が解撚される過程で巻付繊維が芯繊維束により強く巻き付けられる結果、巻取側の糸端Yと繊維束Sとは一本の結束紡績糸Yとしてピーシングされると共に、以後、連続的に結束紡績糸Yが紡出される。
【0046】
上述の過程を通じてピーシングされた部分は、結束紡績糸Yの本源的な糸形成過程を経て一体化されているため、該紡績糸Yの他の部分と構造的にも、また外見上にも何ら変わるところが無い。しかも、巻取側の糸端Yが繊維束Sによりその芯部に包み込まれるため、糸端Yが外に飛び出さず、外見上、美しい継ぎ目を形成できる。
【0047】
尚、上記実施例においては繊維束がスライバSである場合について示したが、繊維束はスライバ以外の篠等であってもよい。また、上記実施例では、サクションノズル16に捕捉された糸端をドラフト装置の基準ローラ上流側で該ドラフト装置を通過する繊維束の軌跡上の幅方向中央部に案内する糸ガイドとして、サクションノズル16の吸引口164と糸ガイド30とを両方備えていたが、いずれか一方だけを備えるようにしてもよい。
【0048】
また、上述の実施例においては、ドラフト装置2のフロントローラ対24をピーシングの基準ローラとして、その上流側のバックローラ対21,サードローラ対22、及びミドルローラ対23を駆動停止する場合を示したが、バックローラ対21のみを、或いはバックローラ対21とサードローラ対22とを、駆動停止することも可能であり、その場合は、繊維束Sがドラフトされ、その先端が基準ローラであるフロントローラ対24に到達する時間分だけ、それらの駆動開始タイミングを早める必要がある。また基準ローラをミドルローラ対23、或いはサードローラ対22とすることもでき、その場合には、それらにもフロントローラ対24と同様の離反機構を設けるようにする。更に、上記実施例では、加撚手段が空気紡績ノズル3と一対のローラ41,42からなる仮撚装置4である場合を示したが、本発明は、これに限定されず、仮撚手段はこれ以外であっても良く、例えば、空気紡績ノズル内の導糸管を配置したものや、2個の空気紡績ノズルを直列配置したもの、更には、ベルト式のものや、ベルトとローラによるもの、ディスク式のもの及び、それらと空気ノズルとを組合せたもの等である各場合にも実施可能である。
【0049】
【発明の効果】
本発明ピーシング方法は、上述の通り紡績済の糸端を加撚手段を通過させ、ドラフト装置の基準ローラ上流側に引き出し、該糸端をドラフト装置を通過する繊維束の軌跡上の幅方向中央部に案内した状態で、ドラフト装置及び加撚手段を作動させるため、継ぎ目部分においては巻取側糸端が繊維束で包まれるようにして撚り合わされ、外見上は他の部分と変わることがなく、且つ、継ぎ合わされた繊維端が継目から飛び出すことが無く外見上優れているのみならず充分な継目強度が得られる。
【0050】
そして、ピーシングを行う装置として、紡績済の糸端を加撚手段の下流側からドラフト装置の基準ローラの上流側へ通す手段と、ドラフト装置の基準ローラの上流側に通された糸端を捕捉する糸端捕捉手段と、該糸端捕捉手段に捕捉された糸端をドラフト装置の基準ローラ上流側で該ドラフト装置を通過する繊維束の軌跡上の幅方向中央部に案内する糸ガイドとを備えたので、紡績済の糸端を繊維束の幅方向中央部に確実に案内でき、継目外観,強度共に良好なピーシングを安定的に行うことができる。
【0051】
更に、糸端捕捉手段が糸端を吸引捕捉するサクションノズルであって、該サクションノズルの吸引口が糸ガイドを兼用するよう幅方向に狭くなった偏平形状に形成されているので、ピーシングの際に、紡績済の糸端を確実に繊維束の幅方向中央部に供給できると共に、吸入口に必要充分な吸気面積が確保され、加撚手段を通過させた糸端を確実に吸入して基準ローラ上流側に引き出すことができる。
【0052】
糸ガイドがドラフト装置に対して固定して設けられているので、糸ガイドはその位置がドラフト装置の基準ローラに対して一定であり、且つ、紡績済糸端が基準ローラのニップ点に達する直前において、該糸端が糸走行の反動で左右に振られるのを阻止して糸端を繊維束の中央に確実に案内でき、外観,強度共に良好なピーシングを安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施する紡績機の一例を示す正面図である。
【図2】本発明方法を実施する紡績機の一例を示す側断面図である。
【図3】本発明方法を実施する紡績機の加撚装置の一例を示す要部側断面図である。
【図4】サクションノズル及びその吸入管路を示す側面図である。
【図5】空気紡績ノズルに糸を挿通した状態を示す要部断面図である。
【図6】サクションノズルにより糸を吸入した状態を示す側面図である。
【図7】ピーシング時における紡績機にの要部側断面図である。
【図8】ピーシング時における紡績機にの要部斜視図である。
【符号の説明】
1 紡績機
2 ドラフト装置
3 空気紡績ノズル
4 仮撚装置
5 デリベリローラ
6 ヤーンクリアラ
7 巻取装置
8 作業台車
9 サクションマウス
10 糸案内装置
11 糸端誘導装置
12 糸逆送ノズル
13 カッタ
14 クランプ
15 スラックチューブ
16 サクションノズル
17 サクションパイプ
18 糸検出センサ
19 糸切断装置
20 ダストボックス
24 フロントローラ対(基準ローラ)
30 糸ガイド
S 繊維束
Y 紡績糸
P パッケージ
Claims (4)
- パッケージから引き出した糸を、加撚手段を上流側に通過させ、ドラフト装置の基準ローラ上流に引き出した糸を、糸端捕捉手段に保持し、紡績再開時パッケージの正回転による前記糸の糸端捕捉手段からの引き出し時に糸端捕捉手段内所定位置の糸端検出手段により糸端の通過を検知することで、紡績ユニットの運転を再開し、ドラフト装置加撚手段を作動させることにより、糸端と繊維束とを一定長重なり合わせた状態でピーシングを行なうことを特徴とする紡績機におけるピーシング方法。
- 紡績済の糸端を加撚手段の下流側からドラフト装置の基準ローラの上流側へ通す手段と、ドラフト装置の基準ローラの上流側に通された糸端を捕捉し、捕捉した糸端の所定長位置に糸端検出手段を有する糸端捕捉手段と、該糸端捕捉手段に捕捉された糸端をドラフト装置の基準ローラ上流側で該ドラフト装置を通過する繊維束の軌跡上の幅方向中央部に案内する糸ガイドとを備え、前記糸端検出手段による糸端検知結果に基づいてドラフト装置,加撚手段を制御する制御装置を設けたことを特徴とする紡績機におけるピーシング装置。
- 糸端捕捉手段が糸端を吸引捕捉するサクションノズルであって、該サクションノズルの吸引口が糸ガイドを兼用するよう幅方向に狭くなった偏平形状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の紡績機におけるピーシング装置。
- 糸ガイドがドラフト装置に対して固定して設けられていることを特徴とする請求項2記載の紡績機におけるピーシング装置。
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JP07732195A JP3586753B2 (ja) | 1995-03-07 | 1995-03-07 | 紡績機におけるピーシング方法及び同装置 |
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