JP3536304B2 - 表面性状に優れ、磁気特性の安定した方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

表面性状に優れ、磁気特性の安定した方向性けい素鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、表面性状に優れ、か
つ圧延方向に優れた磁気特性を有する方向性けい素鋼板
の製造方法に関し、とくに含けい素鋼スラブに施す高温
加熱に伴う諸問題の有利な解決策についての研究成果を
開示するものである。 【0002】 【従来の技術】方向性けい素鋼板は、仕上げ焼鈍におい
て、2次再結晶粒をゴス方位と呼ばれる(110) 001 方位
に高度に揃えたもので、かかる仕上焼鈍に先立ち、 正常粒の成長を抑制させるために、インヒビターと
呼ばれるMnS, MnSe及びAlNなどの微細な析出物を、鋼
中に均一に分散させておくこと、 (110) 001 方位以外の結晶組織は微粒化しておく、
とくに繊維状組織をつくり易い{100 }<lmn> 組織を破
壊しておくこと、 が必要である。 【0003】上記の要請を満足させるに当っては、熱間
圧延工程の影響を無視することはできず、とくに連続鋳
造により得られた含けい素鋼スラブを用いる場合は、ス
ラブ加熱の影響が極めて大きい。というのはインヒビタ
ーを微細に分散析出させるためには、インヒビターをス
ラブ加熱時に完全に固溶させておかねばならないため、
高温でのスラブ加熱処理を必要とするが、高温度域で長
時間加熱するとスラブの結晶組織が粗大化して、結晶組
織に{100 }<lmn> の繊維組織が出現する不利を招くか
らである。 【0004】このためスラブ加熱に際しては、特開昭60
−190520号公報に開示されているような1300〜1450℃程
度の高温での短時間加熱方式が主流になりつつある。こ
こにスラブ加熱方式としては、実公昭58-24397号公報や
特開昭60−145318号公報に開示されている誘導加熱法や
通電加熱法が、急速加熱及び短時間均熱により結晶組織
の粗大化を抑えることが可能なだけでなく、各スラブを
個別に処理できるため熱間圧延のチャンスの自由度が増
す点で、また効率の面で、さらには設備の建設費や維持
・管理コストの面で有利であるとされている。 【0005】しかしながらこれらの加熱方法では、急速
加熱に伴い、スラブの位置によって加熱にむらが生じ易
く、加熱温度が不均一になること、またインヒビターな
どミクロ偏析し易い成分の均一分散が阻害されることに
より、製品の磁気特性がコイルの幅方向や長手方向で大
きく変動するという問題があった。この点たとえば誘導
加熱法に関しては、スラブ端部における温度低下の防止
策として特公昭52-47179号公報に、スラブ端部の放熱に
よる温度低下を抑え、スラブ温度の均一化を図る方法が
提案されているが、かような手法を試みてもなお、依然
として磁気特性の不均一性が残存していた。 【0006】この点、発明者らは先に、上記の問題を解
決するものとして、スラブの加熱途中において、スラブ
表面温度が1230〜1350℃に到達した時点で、一旦該スラ
ブを表面温度で50〜150 ℃だけ冷却し、しかるのち再加
熱することにより、スラブ温度の均一化及び成分の均一
分散が可能であり、またそれによって磁気特性の均一化
が達成されることを見出し、特願平1−223019号明細書
において、その技術を開示した。 【0007】しかしながら上記の方法を実際に実施する
場合において、50〜150 ℃のスラブ温度低下を在炉状態
のままで行うと、その冷却に時間を有し、高温短時間処
理という誘導加熱法や通電加熱法のメリットが減殺さ
れ、また引続く多数個のスラブの連続的な加熱処理が妨
げられるという不利益が生じた。 【0008】このような不利益を回避するためには、ス
ラブ加熱途中の降温を炉外で行う方法が考えられる。し
かしながら発明者らの実験によれば、この手法によって
も、磁気特性の極めて良好で変動の少ない製品が得られ
たけれども、一方でヘゲ、模様、線状の疵及び点状被膜
欠陥といった表面欠陥が多発し、製品としては全て合格
するには至らなかった。 【0009】ここで方向性けい素鋼板の表面性状の重要
性について述べると、方向性けい素鋼板は、加工後、積
層又は巻かれて、変圧器や発電機の鉄心として使用され
るものであるから、鋼板の表面に上述したヘゲや疵のよ
うな欠陥が存在した場合、鋼板層間の絶縁が不良とな
り、過剰渦電流が流れて機器が焼損するという重大な災
害をもたらす。 【0010】かかる表面欠陥の発生は、スラブ表面の酸
化が原因であることが容易に推察できたので、発明者ら
は高圧水流によるデスケーリングを試みたけれども、通
常の場合と異なり、表面欠陥を容易に解消することはで
きなかった。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、方向性けい素鋼板の製造に
際し、スラブ加熱を誘導加熱や直接通電加熱といった内
部発熱型加熱法で行った場合に従来懸念された、磁気特
性の不均一や表面欠陥の多発といった問題を同時に解消
することができる方向性けい素鋼板の有利な製造方法を
提案することを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】さて発明者らは、上記の
目的を達成すべく、スラブ加熱途中で炉外に取出したス
ラブの炉内再装入前のデスケーリングに関して種々の実
験を行った結果、圧延法の利用が最も効果的であること
の新規知見を得た。この発明は、上記の知見に立脚する
ものである。 【0013】すなわちこの発明は、含けい素鋼スラブ
を、内部発熱型加熱法により1380℃以上の温度に加熱し
た後、熱間圧延し、ついで1回又は中間焼鈍を挟む複数
回の冷間圧延を施した後、脱炭焼鈍を施し、その後鋼板
表面に焼鈍分離剤を塗布してから、仕上げ焼鈍を施す一
連の工程からなる方向性けい素鋼板の製造方法におい
て、上記のスラブ加熱工程が、 a) スラブの表面温度を1230〜1400℃の温度域まで昇温
する段階と、 b) その後、一旦該スラブの表面温度を50〜150 ℃低下
させ、かつ3〜20%の圧延を加えて表面を清浄にする段
階と、 c) 上記段階後1分間以内に再加熱し、スラブ中心温度
で1380℃以上まで昇温させる段階 からなることを特徴とする表面性状に優れ、磁気特性の
安定した方向性けい素鋼板の製造方法である。 【0014】以下、この発明の基礎となった実験結果に
ついて説明する。 C:0.04wt%(以下単に%で示す),Si:3.25%, Mn:
0.08%, Se:0.019 %及びSb:0.025 %を含有し、残部
は実質的にFeの組成からなるけい素鋼スラブ4本を、12
00℃に到達するまでガス燃焼炉で加熱したのち、誘導加
熱炉に移送して1290℃に到達するまで昇温したのち、炉
外に取出し、1220℃まで降温した。 【0015】このうち1本は、自然冷却で表面温度が12
20℃になるまで冷却し、直ちに誘導加熱炉に戻し、再び
加熱を開始し、20分間かけて1440℃まで昇温し、引続き
この温度に20分間保持した後、熱間圧延に供した(条件
A)。他の1本は、高圧水流によりデスケーリングを行
いながら表面温度が1220℃になるまで冷却し、直ちに誘
導加熱炉に戻し、再び加熱を開始し、20分間かけて1440
℃まで昇温し、引続きこの温度に20分間保持した後、熱
間圧延に供した(条件B)。他の1本は、ショットブラ
ストによりデスケーリングを行いながら表面温度が1220
℃になるまで冷却し、直ちに誘導加熱炉に戻し、再び加
熱を開始し、20分間かけて1440℃まで昇温し、引続きこ
の温度に20分間保持した後、熱間圧延に供した (条件
C)。他の1本は表面温度が1260℃まで冷却した後、圧
延ロールによって15%の圧延を行い、10秒後、1220℃に
表面温度が低下した時点で、直ちに誘導加熱炉に戻し、
再び加熱を開始し、20分間かけて1440℃まで昇温し、引
続きこの温度に20分間保持した後、熱間圧延に供した
(条件D)。その後、A〜Dの熱延コイルは、公知の2
回冷延法によって0.30mm厚の冷延コイルに仕上げたの
ち、常法に従って最終製品コイルに仕上げた。かくして
得られた各製品サイルの磁気特性を、コイル長手方向20
ケ所において測定し、かつヘゲ、模様、線状疵、点状欠
陥などの表面欠陥発生率を測定した。得られた結果を比
較して表1に示す。 【0016】 【表1】 【0017】同表から明らかなように、この発明に従っ
た場合には磁気特性の安定性は云うまでもなく、表面欠
陥の発生率が大幅に低下している。 【0018】上記のような結果が得られた原因を調査し
たところ、ガス炉などの外部加熱方式で加熱した場合と
誘導加熱や通電加熱炉などの内部加熱方式で加熱した場
合とでは、スラブ表面酸化物の性状が大きく異なること
が判明した。すなわち外部加熱方式の場合には、雰囲気
の酸化性が高いため、ファイヤライトの低融点酸化物が
スラブ表面に生成し、1200℃以上の高温で溶融状態とな
り、デスケーリングの際に容易に流れ去り、地鉄部が裸
出するのに対し、内部加熱方式の場合は、雰囲気として
2 やAr といった中性ガス雰囲気が使用されるので、
雰囲気の酸化性が低く、鉄の酸化物は生成せず、けい素
鋼特有のシリカの酸化膜が形成されており、この酸化膜
は強固に地鉄に密着していて、容易には剥落しない。こ
の状態で炉外に出たスラブは、再び酸化性の高い大気に
さらされるが、このときシリカの表面にウスタイトの層
が形成される。この酸化膜は、地鉄面とシリカの被膜で
結合されているため、デスケーリングに対して安定で、
容易に破壊されない。その結果、再びスラブを炉中に装
入して加熱すると、ウスタイト層の酸素が、けい素鋼中
のけい素を酸化することにより、ウスタイトがシリカに
変質し、地鉄の上に強固なシリカの層が厚く形成され、
また最表面には還元鉄の層が形成される。 【0019】通常、内部加熱方式で形成されるシリカ膜
は極めて薄いため、通常の熱間圧延で容易に破壊される
のであるが、上述の機構で形成される厚いシリカ層とそ
の表面の還元鉄層は、熱間圧延によっても、完全には破
壊されない。従って、内部加熱方式で加熱するに際し加
熱途中で大気中に取り出したスラブは、その表面酸化膜
とくにシリカ膜を除去しておく必要があり、このため
に、圧延法で密着性の良い膜を破壊し、除去しておくこ
とが必要である。なお圧延を加えることによって磁気特
性も若干向上するが、これは歪が加わることによってイ
ンヒビター成分の均一化がより促進されるためと考えら
れる。 【0020】次に表面欠陥の発生を抑制するために必要
な圧延の圧下率を突き止めるべく、同様の実験を行っ
た。前述の実験で使用した同じスラブを7本を、従来の
加熱方式に従って1200℃に到達するまでガス燃焼炉で加
熱した後、誘導加熱炉に移送して表面温度が1350℃到達
するまで昇温させた後、炉外に取出し、1290℃まで冷却
した。ついでその内の1本はそのまま、他の6本はそれ
ぞれ1%,3%,5%,10%,15%及び20%の圧延を行
ってから、10秒〜45秒後、表面温度が1240℃まで低下し
た時点で直ちに誘導加熱炉に戻し、再び加熱を開始し、
15分間かけて1430℃まで昇温し、引続きこの温度に20分
間保持した後、熱間圧延に供した。 【0021】ついでこれらの熱延コイルを、前実験と同
じ方法で最終製品とし、各コイルの磁気特性と表面欠陥
率を測定した。得られた結果を図1に示す。同図より明
らかなように、3%以上の圧下によって製品の表面欠陥
を解消することができた。 【0022】 【作用】さてこの発明で出発材料とする含けい素鋼スラ
ブは、連続鋳造法又は造塊−分塊圧延法によって得られ
た方向性けい素鋼用のスラブを対象とするが、その成分
組成は、次の組成範囲が好適である。なお連続鋳造法で
得た方向性けい素鋼スラブは、特にスラブ加熱の影響が
大きく熱間圧延で繊維状組織をつくり易いので、1380℃
以上のスラブ加熱による磁気特性の不均一性が問題とな
っている。 【0023】C:0.01〜0.10% Cは、熱間圧延、冷間圧延中の組織の均一微細化のみな
らず、ゴス方位の発達に有用な元素であり、少なくとも
0.01%以上の添加が好ましい。しかしながら、0.10%を
超えて含有されるとかえってゴス方位に乱れが生じるの
で上限は0.10%程度とするのが好ましい。 【0024】Si:2.0 〜4.5 % Siは、鋼板の比抵抗を高め鉄損の低減に有効に寄与する
が、4.5 %を上回ると冷延性が損なわれ、一方 2.0%に
満たないと比抵抗が低下するだけでなく、2次再結晶・
純化のために行われる最終高温焼鈍中にα−γ変態によ
って結晶方位のランダム化を生じ、十分な鉄損改善効果
が得られないので、Si量は 2.0〜4.5 %程度とするのが
好ましい。 【0025】Mn:0.02〜0.12% Mnは、熱間脆化を防止するため少なくとも0.02%程度を
必要とするが、余り多すぎると磁気特性を劣化させるの
で、上限は0.12%程度とするのが好ましい。 【0026】インヒビターとしては、いわゆるMnS, Mn
Se系とAlN系とがある。MnS, MnSe系の場合は、 Se,Sのうちから選ばれる少なくとも1種:0.005 〜0.
06% Se,Sはいずれも、方向性けい素鋼板の2次再結晶を制
御するインヒビターとし有力な元素である。抑制力確保
の観点からは、少なくとも 0.005%程度を必要とする
が、0.06%を超えるとその効果が損なわれるので、その
下限、上限はそれぞれ 0.005%,0.06%程度とするのが
好ましい。AlN系の場合は、 Al:0.005 〜0.10%,N:0.004 〜0.015 % AL及びNの範囲についても、上述したMnS,MnSe系の場
合と同様な理由により、上記の範囲に定めた。ここに上
記したMnS,MnSe系及びAlN系はそれぞれ併用が可能で
ある。インヒビター成分としては上記したS,Se,Alの
他、Cu,Sn,Cr,Ge,Sb,Mo,Te,Bi及びPなども有利
に適合するので、それぞれ少量併せて含有させることも
できる。ここに上記成分の好適添加範囲はそれぞれ、C
u,Sn,Cr:0.01〜0.15%、Ge,Sb,Mo,Te,Bi:0.005
〜0.1 %、P:0.01〜0.2 %程度であり、これらの各
インヒビター成分についても、単独使用及び複合使用い
ずれもが可能である。 【0027】なおスラブは、上述したとおり、連続鋳造
されたものもしくはインゴットより分塊されたものを対
象とするが、連続鋳造された後に、分塊再圧されたスラ
ブも対象に含まれることはいうまでもない。上記の好適
成分組成になるスラブは、通常はまず従来型のガス燃焼
炉で加熱された後、内部発熱型加熱炉に装入され、ここ
で1380〜1470℃の温度まで加熱してこの温度域に10分間
から1時間程度保持されるが、この発明では、かかる昇
温途中、スラブ表面温度が1230℃〜1400℃の温度域に到
達した時点で、炉外に抽出し、表面温度が1230〜1400℃
の温度域に到達した時点で、温度を50〜150 ℃に低下さ
せ、しかるのち内部発熱型加熱炉に再装入し、再加熱す
るのである。この時、スラブの表面温度の降温ととも
に、3〜20%の圧下率の圧延を加えて表面を清浄にした
後、1分間以内に加熱炉に再装入することが必要であ
る。 【0028】ここで、一時的に温度を低下させる前のス
ラブ表面温度到達点が、1230℃に満たない場合は磁気特
性の均一化効果に乏しく、一方1400℃を超えるとインヒ
ビターが固溶し、3〜20%の圧延を付与した後の中心温
度1380℃以上のスラブ加熱処理によってスラブ組織が急
激に粗大化し磁気特性が劣化する。また低下せしめるス
ラブ温度を、表面温度で50〜150 ℃としたのは、50℃未
満の場合は磁気特性の均一化効果に乏しく、一方 150℃
を超えた場合は逆に磁気特性の不均一化を助長する結果
になるからである。さらに表面温度の降温と共に、3〜
20%の圧下率の圧延を加えるのは、これによりスラブ表
面の酸化膜を破壊し、表面を清浄化し、製品の表面欠陥
の発生を解消するためで、圧下率が3%未満の場合は表
面欠陥改善効果が小さく、逆に20%を超える場合はスラ
ブ長が拡大し過ぎて内部発熱型加熱炉での加熱が困難と
なるからである。 【0029】またかかる圧延を行った後、加熱炉への再
装入は、1分以内に行うことが必要で、1分間を超える
場合にはスラブ表面が再び酸化されて、表面欠陥の発生
率の増加を招く。なお圧延に伴なって高圧水でのデスケ
ーリングを行うことは発明の効果をさらに高める上でよ
り好ましい。ここで内部発熱型加熱炉とは、誘導加熱炉
や直接通電炉など、スラブ自身が発熱体となって加熱す
る炉である。さらに圧延の前後における内部発熱型加熱
炉は、異なる炉である方が能率の面で好ましく、例えば
熱間圧延工場において第1の粗圧延機のライン前方及び
後方にそれぞれ誘導加熱炉を設置しておき、前方の誘導
加熱炉で昇温した後抽出し、第1の粗圧延機で3〜20%
の圧延を行った後、後方の誘導加熱炉で直ちにスラブ加
熱を完了し、第2以降の粗圧延機及び引続く仕上げ圧延
機で熱間圧延を行うことが、操業を連続的、能率的に行
う上で好都合である。 【0030】上記のような圧延後に、再装入される内部
発熱型加熱炉では、インヒビターを固溶させるための高
温加熱処理が施される。なおここでの昇温速度は、スラ
ブ内の温度の均一性を保つためにはあまり急速でない方
が有利といえるが、従来ほど昇温速度には大きく影響さ
れない。インヒビターの固溶には1380℃以上の均熱温度
が必要であり、実用的には1380℃〜1470℃の範囲が慣用
される。なお均熱時間は10〜60分が望ましいが、均熱温
度によって決定されるべきものである。 【0031】そして加熱後のスラブに、常法に従う熱間
圧延を施した後、必要に応じて均一化焼鈍を施し、その
後1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して
最終目標の板厚とする。その後、脱炭1次再結晶焼鈍を
施し、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布した後、1200℃近傍
での最終仕上げ焼鈍にて2次再結晶及び純化を行った
後、絶縁コーティングを被成して製品とする。 【0032】 【実施例】 実施例1 連続鋳造によって得たC:0.08%, Si:3.25%, Mn:0.
078 %, Al:0.025 %, Se:0.020 %、Sb:0.025 %及
びNを0.008 %を含有し、残部実質的にFeの組成になる
厚さ 250mmのけい素鋼スラブ25本を、熱間圧延に先立
ち、ガス燃焼式加熱炉にて1200℃まで加熱し、その後、
誘導加熱炉に装入して高温加熱した。その際6グループ
に分け、それぞれ第1グループについては、誘導加熱炉
内でそのまま昇温し、第2グループについては、1200℃
まで表面温度を昇温させた後、炉外へ抽出し、粗圧延機
にて15%の圧下を加えながら1120℃まで冷却し、再び誘
導加熱炉に装入して昇温を開始し、第3グループについ
ては、1230℃まで表面温度を昇温させた後、炉外へ抽出
し、粗圧延機にて15%の圧下を加えながら1150℃まで冷
却し、再び誘導加熱炉に装入して昇温を開始し、第4グ
ループについては、1280℃まで表面温度を昇温させた
後、炉外へ抽出し、粗圧延機にて15%の圧下を加えなが
ら1210℃まで冷却し、再び誘導加熱炉に装入して昇温を
開始し、第5グループについては、1350℃まで表面温度
を昇温させた後、炉外へ抽出し、粗圧延機にて15%の圧
下を加えながら1250℃まで冷却し,再び誘導加熱炉に装
入して昇温を開始し、第6グループについては、1400℃
まで表面温度を昇温させた後、炉外へ抽出し、粗圧延機
にて15%の圧下を加えながら1290℃まで冷却し、再び誘
導加熱炉に装入して昇温を開始した。 【0033】ついで各スラブは、1420℃で20分間の保持
を行った後、常温に従って2.2 mm厚の熱延鋼帯に仕上げ
た。各熱延鋼帯は、1000℃の均一化焼鈍後、冷間圧延で
1.50mmの中間厚とし、ついで窒化促進剤を塗布した後、
1100℃で60秒間の均熱時間とそれに続く 320℃までのミ
スト冷却による40℃/sの急冷及びカーバイド析出処理
を伴う中間焼鈍を施した後、再び0.75mmに冷間圧延した
後、 300℃で2分間の時効処理を施し、0.22mmの最終板
厚に冷間圧延した。その後、湿水素中で 850℃、2分間
の脱炭焼鈍を施した後、5%のTiO2と2%の Sr(OH)2
8H2Oを MgO中に添加した焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し
てから、水素中で1200℃、10時間の仕上げ焼鈍を施し
た。その後張力コーティングを施して最終製品とした。
かくして得られた最終製品の磁気特性について、コイル
をその長手方向に20分割してサンプルを採取し、これら
の平均値と標準偏差を求めた。表面欠陥の発生率と併せ
て、これらの調査結果を表2に示す。 【0034】 【表2】【0035】実施例2 C:0.04%, Si:3.05%, Mn:0.065 %, Se:0.020
%, Sb:0.022 %及びMo:0.012 %を含有し、残部実質
的にFeの組成になるスラブ6本を、分塊圧延によって厚
み:220 mmの厚スラブとした後、第1の誘導加熱炉に装
入して表面温度が1360℃になるまで昇温してから炉外へ
抽出し、放冷した後、第1粗圧延機で200mm厚(圧下
率:9%)とし、10秒以内に第2粗圧延機側に設置した
第2の誘導加熱炉に装入して1430℃まで昇温し、15分間
均熱保持した後、第2粗圧延機以降の設備で熱間圧延を
行い2.0 mmの熱延鋼帯とした。この時、各スラブの第1
粗圧延機入側でのスラブ表面温度及び第2の誘導加熱炉
への装入時のスラブ表面温度をそれぞれ表3に示す。 【0036】ついで、1000℃で均一化焼鈍した後、0.60
mmの厚みに冷間圧延し、ついで950℃で60秒間の均熱と
200℃まで20℃/sの急冷と炭化物析出処理を施す冷却
を伴う中間焼鈍を施した後、0.22mmの最終板厚に冷間圧
延した。その後、湿水素中で 840℃、2分間の脱炭焼鈍
を施した後、MgO を主成分とする焼鈍分離剤を鋼板表面
に塗布してから、水素中で1200℃、5時間の仕上げ焼鈍
を施した。得られた鋼帯に、コロダイルシリカ、無水ク
ロム酸及びりん酸マグネシウムを主成分とするコーティ
ング液を塗布してから、平坦化焼鈍を行った。かくして
得られた最終製品の磁気特性について、コイルの位置に
よる変動を評価するため、コイルをその長手方向に20分
割してサンプルを採取し、これらの平均値と標準偏差及
び表面欠陥発生率について調べた結果を、表3に併記す
る。 【0037】 【表3】 【0038】実施例3 C:0.035 %, Si:2.95%, Mn:0.068 %及びS:0.01
6 %を含有し、残部実質的にFeの組成になる厚み215 mm
のスラブ8 本を、誘導加熱炉に装入して表面温度が1400
℃になるまで昇温した後、炉外へ抽出して1360℃まで自
然放冷し、表4に示す各圧下率で高圧水のデスケーリン
グを伴う圧延を行った後、同じく表4に示す時間待機さ
せ、1250〜1280℃の温度において誘導加熱炉へ再装入し
た。その後、1450℃で30分間均熱した後、熱間圧延によ
って2.4 mmの熱延鋼帯とした。ついで、これらの熱延鋼
帯を、酸洗後、0.75mmの厚さに冷間圧延し、 900℃で60
秒間の中間焼鈍後、再び冷間圧延によって0.30mmの最終
板厚とした。その後、湿水素中で 830℃、2分間の脱炭
焼鈍を施した後、 1.5%の SrSO4と1.5 %のTiO2を添加
した MgOを焼鈍分離剤として塗布してから、水素中で12
00℃, 5時間の仕上げ焼鈍を施した。得られた鋼帯に張
力コーティングを施し最終製品とした。かくして得られ
た最終製品の磁気特性について、コイルの位置による変
動を評価するため、コイルをその長手方向を20分割して
サンプルを採取し、これらの平均値と標準偏差及び表面
欠陥発生率について調べた結果を表4に併記する。 【0039】 【表4】【0040】実施例4 表5に示す種々の組成になる厚み:215 mmのスラブを、
誘導加熱炉に装入して表面温度1290℃になるまで昇温し
た後、炉外へ抽出し、10%の圧下率で圧延したのち直ち
に誘導加熱炉に再装入した。この再装入はスラブ表面温
度が1220〜1240℃の間に実施した。その後、1420℃まで
20〜25分間で昇温してから15分間均熱後、熱間圧延によ
って1.8 mmの厚さの熱延鋼帯とした。各熱延鋼帯は窒化
促進剤を塗布した後、1100℃で60秒間の均熱後、 350℃
までのミスト冷却による40℃/sの急冷及びカーバイド
析出処理を施す冷却を伴う均一化焼鈍を施した後、0.90
mmに冷間圧延し、 300℃で2分間の時効処理を行った
後、0.27mmの最終板厚に冷間圧延した。 【0041】ついで、湿水素中で 840℃、2分間の脱炭
焼鈍を施した後、5%のTiO2と2%の Sr(OH)2・8H2Oを
添加した MgOからなる焼鈍分離剤を塗布してから、N2
にて850 ℃で35時間の保持とH2中にて1200℃で5時間の
最終仕上げ焼鈍を行った。その後、コロイダルシリカと
りん酸マグネシウムを主成分とするコーティングを塗布
してから、平坦化焼鈍を行い最終製品とした。かくして
得られた最終製品の磁気特性について、コイルをその長
手方向に20分割してサンプルを採取し、これらの平均値
と標準偏差を求めた。表面欠陥の発生率と併せて、これ
らの結果を表5に示す。 【0042】 【表5】【0043】表2〜表5より明らかなように、この発明
に従って得られた製品の磁気特性はコイルの位置によら
ず、均一でかつ優れており、また表面欠陥の発生率も極
めて低いものであった。 【0044】 【発明の効果】かくしてこの発明によれば、けい素鋼ス
ラブの内部加熱方式による加熱むらに起因する製品コイ
ルの位置による磁気特性の変動を効果的に抑制すること
ができ、しかも表面性状の良好な高品質の方向性けい素
鋼板を低コストで能率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】スラブ加熱途中における圧延の圧下率と、磁束
密度、鉄損及び表面欠陥発生率との関係を示したグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅 孝宏 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社 技術研究本部内 (72)発明者 下向 央修 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所内 (56)参考文献 特開 昭62−130217(JP,A) 特開 平3−87316(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C21D 9/46 501 B21B 1/26 B21B 3/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 含けい素鋼スラブを、内部発熱型加熱法
    により1380℃以上の温度に加熱した後、熱間圧延し、つ
    いで1回又は中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延を施した
    後、脱炭焼鈍を施し、その後鋼板表面に焼鈍分離剤を塗
    布してから、仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる方向
    性けい素鋼板の製造方法において、上記のスラブ加熱工
    程が、 a) スラブの表面温度を1230〜1400℃の温度域まで昇温
    する段階と、 b) その後、一旦該スラブの表面温度を50〜150 ℃低下
    させ、かつ3〜20%の圧延を加えて表面を清浄にする段
    階と、 c) 上記段階後1分間以内に再加熱し、スラブ中心温度
    で1380℃以上まで昇温させる段階 からなることを特徴とする表面性状に優れ、磁気特性の
    安定した方向性けい素鋼板の製造方法。
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