JP3849146B2 - 一方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

一方向性けい素鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、一方向性けい素鋼板の製造方法に関し、特に粗圧延後段におけるスラブ表面温度およびパス間時間を規制することによって適正なシートバー組織とすることにより、磁気特性の向上を、圧延効率の向上に併せて実現しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
一方向性けい素鋼板は、主として変圧器その他の電気機器の鉄心材料として使用され、磁束密度および鉄損などの磁気特性に優れることが基本的に要求される。
このような一方向性けい素鋼板の製造に当たって特に重要なことは、いわゆる仕上げ焼鈍工程において一次再結晶粒を{110}<001>方位の結晶粒に優先的に二次再結晶させることである。
【0003】
このような二次再結晶を効果的に促進させるためには、まず一次再結晶粒の正常成長を抑制するインヒビターと呼ばれる分散相を、均一かつ適正なサイズで鋼中に分散させることが重要である。
かかるインヒビターとしては、鋼中への溶解度が極めて小さい物質が用いられるため、従来から熱間圧延前にスラブを高温に加熱してインヒビター成分を完全に固溶させる方法が採用されていて、その後の熱間圧延工程以降、二次再結晶工程までの間で析出状態を制御している。
【0004】
熱間圧延工程におけるインヒビター析出は、その後の工程での析出に大きく影響するため、均一微細に析出させるべく、適切な制御が必要となる。
かような技術として、例えば特公昭50-32059号公報では、連続鋳造鋳片を連続熱間圧延工程において、1200℃以下、 950℃以上の温度範囲に30〜200 秒間保持する方法を提示しており、このような徐冷却を仕上げ圧延前で行うとしている。また、特公昭53-39852号公報でも、連続熱延工程通板中に被圧延材を1200℃以下、 850℃以上の温度範囲に60〜360 秒という長い時間保持する方法を提示している。これらの技術はいずれも、連続熱延工程を従来より徐冷方式で行うことにより、熱延板において密に分散した析出相を得ることを目的としている。
【0005】
さらに発展した手法として、特公昭56-18656号公報では、鋼塊あるいはスラブを1260℃以上の温度に加熱後、熱間圧延するに際し、分塊圧延ないし粗圧延後、仕上げ圧延までの段階で、スラブもしくはシートバーの中心温度が1150℃以上である間に該スラブもしくはシートバーの表面温度を 900〜1100℃の範囲まで降下させ、その温度域に10〜200 s保持し、さらにその後内部からの復熱によって、表面温度を1100℃以上に回復させてその温度に2〜300 s保持する方法を開示している。
この方法では、インヒビターのサイズ分布が、鋼板表面層で大きく、中心部で細かくなるようにコントロールすることによって磁気特性の向上を図ろうとするものであるが、冷却することから、鋼板の先後端部や幅方向端部では温度が低下しすぎて特性不良が生じ易いという工程生産上の問題があった。
また、熱延ラインにおいて、かような長時間の保持は、生産性の著しい低下を招く不利もある。
【0006】
その後、特開昭59−208021号公報では、粗圧延における最終パスの圧下率を30%以上にすると共に、粗圧延終了温度を 950〜1150℃の範囲内とし、かつ粗圧延開始から仕上げ圧延終了までの所要時間を4分以内に制御する方法を提示している。この方法は、上記の処理により、大型スラブ後端部におけるインヒビターの粗大化を抑制しようとするものである。
【0007】
また、特公昭58-13606号公報では、熱間圧延前にけい素鋼素材を1230℃以上の温度に加熱して鋼中に含有されるSやSeをすべて固溶させておき、その後の熱間圧延に際し、鋼板温度が 950〜1200℃の間を圧下率10%以上で連続して圧延しつつ、3℃/s以上の速度で冷却する方法を提案している。
この方法は、MnSやMnSeは冷却過程で鋼板温度が 950〜1200℃の温度範囲にあるとき最も析出速度が速く、この間を熱間変形を加えながら冷却させるとより一層均一微細なインヒビターの分散相が得られるという知見に基づいたものであり、このような条件をとり易いのはタンデム式圧延機等によって連続的に圧延される仕上げ圧延段階であると述べられている。
【0008】
上述した方法はいずれも、インヒビターの析出制御を圧延温度や冷却速度等で行うものである。
しかしながら、インヒビターの析出にとって、析出サイトとなるマトリックス(組織)の影響を無視することはできず、特にインヒビターが析出する直前の組織における歪の有無は非常に重要な因子となることが、発明者らの研究によって明らかとなった。
【0009】
ところが、従来、高温における粗圧延の組織制御について考察しているものは少なく、特に圧延時間に関係したものは、特開平3-10020号公報のみである。この公報に開示の技術は、粗圧延1パス目の圧延温度を1280℃以上とし、かつ圧下率を1パス目の圧延温度からある範囲内に規制し、ついで次パスまでに30秒以上保持し、さらに該粗圧延最終パスにおける圧延温度を1200℃以上とし、かつ圧下率を最終パスの圧延温度からある範囲内に規制するものであり、特に第1パス目で完全な再結晶組織を得ることの重要性を提言している。
この技術は、3%Si鋼で1300℃以上の温度域で圧延する場合、すなわちα単相域で圧延する際の再結晶機構について述べたもので、この際、再結晶粒径は比較的大きくなり易いが、粗圧延では再結晶組織を微細化するよりも未再結晶部を残さない方が重要であるという考えに立っている。これにより、かなり高温域での組織制御だ可能と考えられる。
【0010】
ところが実際の粗圧延工程においては、必ずしも1300℃以上の温度で全パスの圧延を行っているわけではなく、例えば図1に示すように、粗圧延後段では1150〜1300℃の範囲までスラブ温度が低下することがある。特に、スラブ表層部と中心部とでは温度差が著しく、表層部ではかなり温度が低下している。
従って、粗圧延組織の最適化のためには、1300℃以上の温度域だけでなく、1300℃以下の圧延温度域にも注目した組織制御が重要であると考えられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述したとおり、現在までのところ、高温粗圧延で、時間規制による組織制御を行っているものは皆無に近い。
この発明は、かような熱間粗圧延において、粗圧延最終スタンドとその1パス前の圧延スタンドにおけるスラブ表面温度、さらには両スタンド間に要する時間すなわちパス間時間を制御することにより、シートバー組織を効果的に改善し、もって磁束密度および鉄損を併せて改善することができる一方向性けい素鋼板の新規な製造方法を提案することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以下、この発明の解明経緯について説明する。
さて発明者らは、上記の目的を達成すべく、まず最適組織(再結晶組織)を得ることについて検討した。
例えばC:0.06wt%のけい素鋼では、図2に示す状態図によれば、Si含有量が2.0 〜4.0 wt%の場合には、1300℃以下ではほぼ(α+γ)2相組織となっている。
実際、1300℃以上の高温に加熱したスラブを圧延した場合、1300℃以上ではα相特有の再結晶が起こっているが、1300℃以下ではγ相が析出してくるため、α相で起こった再結晶粒の成長が止められることが、実験により確認された。
つまり、γ相が析出する温度域では、いったんα相の再結晶が開始した段階で等温保持を行ったとしても、未再結晶組織が残留してしまい完全な再結晶組織を得るこはできないといえる。
【0013】
従って、この(α+γ)2相領域における再結晶挙動を有効に利用することによって、未再結晶粒をなくしていくことが重要なポイントになる。
というのは、粗圧延後に未再結晶粒が残留していると、仕上げ圧延中に亜粒界上へのインヒビターの優先析出が起こり易く、インヒビターが不均一に粗大化するため、磁性不良が生じ易くなるからである。
【0014】
そこで、この(α+γ)2相域に注目し、この領域での再結晶挙動を詳細に調査した。この領域での再結晶は、α単相域で起こる再結晶挙動とは異なり、歪みを加えた後に等温保持してもそれほど顕著に再結晶粒は成長しない。つまり、変形中に再結晶が起こる動的再結晶に近いといえる。
【0015】
さて、発明者らは、再結晶挙動を利用してより最適組織を得るべく多くの研究実験を行った。
実験は、C:0.04wt%、Si:3.25wt%、Mn:0.08wt%およびSe:0.020 wt%を含有し、残部は実質的にFeの組成からなる 100mm厚のけい素鋼スラブを、1300℃に加熱した後、第1パスにより70mmに圧延し、ついでパス間時間を10〜50sの範囲で種々に変化させて2パス目の圧延を行い、40mm厚とした。
このときの再結晶率について調べた結果を、図3に示す。
同図に示したとおり、パス間時間が30sを超えると再結晶率は急激に低下することが判明した。
【0016】
また、図4(a),(b)に、その時の圧延組織を模式で示すが、(a)の従来法(パス間時間:40s)では全幅にわたって粗大な未再結晶粒が残留していたのに対し、(b)の発明法(パス間時間:20s)では未再結晶粒は大幅に減少していた。
この理由は、まだ明確に解明されたわけではないが、発明者らは、次のとおりと考えている。
2パス目の圧延を考えた場合、再結晶の核は粒界およびγ相周辺から生成していることから、圧延前粒径は小さい方が、またγ相を多く析出させた方が再結晶は進行し易いと考えられる。この実験の場合、パス間時間が長い場合には再結晶粒の成長(圧延前粒径の粗大化)を招くが、γ相の析出は促進されるという相反する効果を併せもち、またパス間時間が短時間の場合にはその逆となる。
従って、パス間時間に影響される両者のバランスが極めて重要となってくるが、パス間時間が30sを超えると何らかの理由でそのバランスがくずれるため、前掲図3に示したような結果になったものと考えられる。
【0017】
また、粗圧延後段におけるスラブ温度は、図1に示したように、一般にエッジ部以外は1150℃以上であると推定される。ここで、粗圧延におけるスラブ厚み方向には温度むらがあるため、同一パスにおいて、厚み中心部ではα相の再結晶が、スラブ表層部では (α+γ)2相の再結晶が起こっており、その中間領域では2つの異なる形態の再結晶が相互に関連して起こっていると考えられる。
従って、粗圧延前段ではスラブ組織にα相が比較的多いためパス間時間を長めにし、逆に後段ではγ相が析出するためにパス間時間を短めにすることが好ましいといえるが、その際、完全な再結晶組織を得ることは極めて困難であるといえる。
なお、1300℃以下のパス回数が1パスでは、未再結晶粒がかなり残留しているため、最適組織を得ることは難しい。
【0018】
上記実験結果に立脚して、C:0.07wt%、Si:3.24wt%、Mn:0.079 wt%およびSe:0.015 wt%を含有し、残部は実質的にFeの組成からなる 215mm厚のけい素鋼スラブを、1350℃に加熱した後、粗圧延最終スタンドとその1パス前の圧延スタンドにおける圧延前スラブ表面温度を1250℃とし、かつパス間時間は15〜45sとして、インヒビターの析出に大きく影響するマトリックス (組織) を制御し、その後は通常の工程どおり熱間仕上げ圧延で 2.7mm厚とし、ついで中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して最終板厚:0.27mmに仕上げた後、脱炭焼鈍を施し、ついで鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してから、仕上げ焼鈍を施して製造板とした。かくして得られた製品板の磁気特性およびシートバーの再結晶率について調べた結果を、図5に示す。各調査は、鋼板の幅方向3点位置(エッジより50mm位置、1/4幅位置、センター)について行ったものである。
同図より明らかなように、パス間時間が30s以内では、シートバーの再結晶率は高く、良好な磁気特性が得られた。しかも、幅方向における数値変動も小さく、幅方向での不均一も改善されることが判明した。
【0019】
上述したとおり、この発明は、熱間粗圧延の最終2スタンドにおける圧延温度ならびにパス間時間を制御することによって、シートバー組織の改善を実現し、もって良好な磁気特性を得るものである。
【0020】
すなわち、この発明は、C: 0.01 0.10wt %および Si 2.0 4.0 wt %を含有するスラブを、熱間粗圧延ついで仕上げ圧延により熱延板としたのち、1回または中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、ついで脱炭焼鈍後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してから、仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる一方向性けい素鋼板の製造方法において、
上記スラブを 900〜1450℃の温度範囲に加熱後、熱間粗圧延を行うに際し、
粗圧延最終スタンドとその前段スタンドにおける圧延前スラブ表面温度を1300℃以下とし、かつ当該スタンド間のパス間時間を30s以内とすることにより、シートバーの再結晶率を60%以上とすることを特徴とする一方向性けい素鋼板の製造方法である。
【0021】
【作用】
この発明の素材鋼板の成分組成範囲は、Cおよび Si 以外は特に限定されるものではなく、従来公知のけい素鋼素材であればいずれもが適合するが、中でも好適な代表組成をあげると次のとおりである。
C:0.01〜0.10wt%
Cが0.01wt%に満たないとγ相を生じないので熱間圧延による組織改善が望み得ず、一方0.10wt%を超えるとその後の脱炭処理における限界能力を超えてしまうため、Cは0.01〜0.10wt%の範囲に限定した
【0022】
Si:2.0 〜4.0 wt%
Siは、鋼鈑の比抵抗を高め、鉄損の低減に有効に寄与するが、含有量が 4.0wt%を上回ると冷延性が損なわれ、一方 2.0wt%に満たないと比抵抗が低下するだけでなく、2次再結晶・化のために行われる最終高温焼鈍中にα−γ変態によって結晶方位のランダム化を生じ、十分な鉄損改善効果が得られないので、Siは 2.0〜4.0 wt%の範囲に限定した
【0023】
Mn:0.02〜0.12wt%
Mnは、熱間脆性による割れを防止するため少なくとも0.02wt%以上含有させることが望ましいが、あまり多すぎると磁気特性の劣化を招くため上限は0.12wt%程度とすることが好ましい。
【0024】
Sおよび/またはSe:0.005 〜0.06wt%
SおよびSeはいずれも、方向性けい素鋼板の2次再結晶を抑制するインヒビターとして有効な成分である。抑制力の観点から含有量は 0.005wt%以上が好ましいが、0.06wt%を超えるとその効果はかえって損なわれるので、 0.005〜0.006 wt%程度とするのが好ましい。
【0025】
Al:0.005 〜0.10wt%、N:0.004 〜0.015wt %
AlとNは、AlNの形でインヒビターとして作用するが、それぞれ含有量が上記の下限に満たないとインヒビター抑制力が不足し、一方上限を超えると結晶粒の粗大化を招きやはり抑制力が損なわれるので、それぞれ上記の範囲で含有させることが好ましい。
【0026】
なお、インヒビターとしては、上記元素の他に、SbやSn, Cu, Mo, Bi, As, Pb, B,P等の粒界偏析元素を併用することも可能である。
【0027】
次に、この発明の製造条件について述べる。
上記のような好適成分組成からなるけい素鋼スラブを、公知の方法で加熱する。その際、加熱温度が1450℃を超えるとスラブが溶解し始め、非常に危険であり、一方 900℃未満では鋼の熱間強度が高くなり変形のために多大のエネルギーが必要となるので、スラブ加熱温度は 900〜1450℃の範囲に限定した。
【0028】
上記のスラブ加熱後、熱間圧延を施すわけであるが、この発明ではこの熱間圧延における粗圧延工程が特に重要である。
すなわち、この熱間粗圧延において、最終スタンドとその1パス前の圧延スタンドにおけるスラブ表面温度を1300℃以下にすると共に、両スタンド間のパス間時間を30s以内に制限することが肝要である。
【0029】
スラブ表面温度が1300℃超では、α単相で見られる静的再結晶が優先的に起こるため、再結晶組織を得るにはパス間時間は長い方が効果的であり、従ってパス間時間の規制を必要としない。
この点、スラブ温度が1300℃以下では、(α+γ)相で起こる動的再結晶が支配的となるので、パス間時間の規制が必要となるのである。
ここに、パス間時間が30s以内では高い再結晶率のシートバー組織が得られるのに対し、30sを超えると組織改善効果が低下してくるので、パス間時間は30s以内とした。そして、この時間内では、磁気特性の改善に不可欠とするシートバーの再結晶率≧60%を効果的に達成することができる。
なお、スラブ表面温度の下限値は特に限定されることはないが、仕上げ圧延に支障のない温度以上(たとえば1100℃以上)とすることが望ましい。
また、その後の仕上げ圧延を始めとして、冷間圧延処理、脱炭焼鈍処理および仕上げ圧延処理等は、常法に従って行えば良い。
【0030】
【実施例】
実施例1
C:0.06wt%, Si:3.25wt%, Mn:0.071 wt%, Se:0.019 wt%, Al:0.028 wt%およびN:0.0075wt%を含有し、残部は実質的にFeの組成よりなる250mm 厚の連鋳スラブ9本を、熱間圧延に先立ち、ガス燃焼式加熱炉にて1200℃まで加熱したのち、誘導加熱炉に装入して1350℃まで加熱し、その温度に20分間保持した。
ついで、3パスの熱間粗圧延に際し、1パス目はスラブ表面温度:1180℃、圧下率:36%の条件で圧延し、160mm 厚とした。その後の2パスはいずれも、スラブ表面温度:1300℃以下(2パス目:1170℃,3パス目はパス間時間に応じて種々に変化する)で圧下スケジュールは同一とし、パス間時間を10〜50sの範囲で種々に変化させて圧延を行い、40mm厚のシートバーとした。このとき、シートバーにおける再結晶率を測定した。
その後、仕上げ圧延を施して 2.2mm厚の熱延コイルとしたのち、1回目の冷間圧延で0.60mm厚としてから、1100℃,1分間の中間焼鈍を挟む2回目の冷間圧延で0.23mmの製品板厚に仕上げた。ついで、湿水素中にて 840℃、3分間の脱炭焼鈍を施したのち、 MgOを塗布してから、N2中での 850℃の2次再結晶焼鈍とH2中での化焼鈍からなる仕上げ焼鈍を施した。
【0031】
かくして得られた製品板の磁気特性について調べた結果を、シートバーの再結晶率と共に、図6に示す。
同図から明らかなように、パス間時間を30s以内とした場合にはシートバー組織の再結晶率が高く、しかも磁束密度および鉄損とも良好な製品を得ることができた。
【0032】
実施例2
C:0.08wt%, Si:3.30wt%, Mn:0.078 wt%, Se:0.020 wt%, Al:0.025 wt%およびN:0.0080wt%を含有し、残部は実質的にFeの組成よりなる 215mm厚の連鋳スラブ12本を、熱間圧延に先立ち、ガス燃焼式加熱炉にて1200℃まで加熱した後、誘導加熱炉に装入して1400℃まで加熱し、その温度で10分間保持した。 ついで、4パスの熱間粗圧延に際し、前段2パスはスラブ表面温度がそれぞれ1230℃,1220℃、パス間時間:40sで、70〜90mm厚まで圧延し、後段2パスはスラブ表面温度が1300℃以下の時に、パス間時間および圧下率を種々に変更して圧延し、いずれも35mm厚のシートバーとした。このとき、シートバーにおける再結晶率を測定した。
その後、仕上げ圧延を施して2.2mm 厚の熱延コイルとした後、1次冷延で0.60mm厚としてから、1100℃1分間の中間焼鈍後、2次冷延で0.23mmの製品板厚に仕上げた。ついで湿水素中にて 840℃, 3分間の脱炭焼鈍を施したのち、MgO を塗布してから、N2中での 850℃の2次再結晶焼鈍とH2中での化焼鈍からなる仕上げ焼鈍を施した。
かくして得られた製品板の磁気特性について調べた結果を、シートバーの再結晶率と共に、表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003849146
【0034】
同表から明らかなように、後段2パスのスラブ表面温度が1300℃以下で、かつパス間時間が30s以内であれば、圧下スケジュールの如何にかかわらず良好な磁気特性が得られている。
【0035】
【発明の効果】
かくしてこの発明に従い、熱間粗圧延に際し、粗圧延最終スタンドとその前段スタンドにおけるスラブ表面温度を1300℃以下にすると共に、その間のパス間時間を30s以内に規制することにより、高い再結晶率のシートバー組織ひいては優れた磁気特性の一方向性けい素鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】含けい素鋼スラブの熱間粗圧延3パス時におけるスラブ中心温度およびスラブ表層温度を示した図である。
【図2】C濃度:0.06wt%のけい素鋼の状態図である。
【図3】熱間2パス粗圧延におけるパス間時間とシートバー再結晶率との関係を示したグラフである。
【図4】熱間2パス粗圧延における従来組織(図a)と発明組織(図b)を示す模式図である。
【図5】熱間粗圧延最終2パスのパス間時間とシートバーの再結晶率ならびに製品板の磁束密度および鉄損との関係を示したグラフである。
【図6】熱間3パス粗圧延における最終2パスのパス間時間とシートバーの再結晶率ならびに製品板の磁束密度および鉄損との関係を示したグラフである。

Claims (1)

  1. C: 0.01 0.10wt %および Si 2.0 4.0 wt %を含有するスラブを、熱間粗圧延ついで仕上げ圧延により熱延板としたのち、1回または中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、ついで脱炭焼鈍後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してから、仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる一方向性けい素鋼板の製造方法において、
    上記スラブを 900〜1450℃の温度範囲に加熱後、熱間粗圧延を行うに際し、
    粗圧延最終スタンドとその前段スタンドにおける圧延前スラブ表面温度を1300℃以下とし、かつ当該スタンド間のパス間時間を30s以内とすることにより、シートバーの再結晶率を60%以上とすることを特徴とする一方向性けい素鋼板の製造方法。
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