JP3644130B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、変圧器などの鉄心材料に用いられる、結晶方位が一方向に揃った方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、エネルギー危機及び環境保全の立場から電気機器の効率向上が望まれ、変圧器や回転機の鉄心の鉄損(50Hzで磁束密度1.7 Tまで磁化したときの損失W17/50で代表される。)がより少ない材料が求められている。
【0003】
近年、鉄心材料としての方向性電磁鋼板に関し、鋼板表面へのレーザー照射あるいはプラズマ照射又は鋼板表面に溝を設ける等の磁区細分化技術によって、鉄損を大幅に低減する技術が開発され、それ以来、磁束密度(800 A/m の磁場の強さでの値B8 で示される。)の高いことが、鉄損低減を図るために益々重要となってきた。
【0004】
方向性電磁鋼板の磁束密度を向上させるためには、製品の結晶粒方位を(110)〔001〕方位、いわゆるゴス方位に高度に集積させる必要がある。ここに、ゴス方位の結晶粒は、最終仕上焼鈍により生起される二次再結晶現象によって得られるのであり、そして、この二次再結晶を起こさせるには、(110)〔001〕方位に近い結晶粒のみを成長させて、他の方位の結晶粒の生成を抑制する、いわゆる選択成長をさせるべく、他の方位の結晶粒の成長を抑制するための抑制剤(インヒビター)が必要である。すなわち、インヒビターは鋼中に析出分散相を形成して、粒成長の抑制という機能を発揮する。
【0005】
かようなインヒビターとして、最も抑制作用が強いものが、最も選択成長効果が強く、磁束密度の高い材料が得られるので、抑制作用の強いインヒビターを見出すためにこれまで多くの研究がなされてきたが、最も効果の得られたものはAlN であった。すなわち、特公昭46−23820号公報に開示されている如く、Alを含有する鋼板において、最終冷延前の焼鈍で急冷処理をし、最終冷延の圧下率を80〜95%の高圧下率とすることにより、0.35mmの板厚でB10が1.981 T(B8 で約1.95T)という高磁束密度の材料が得られている。しかし、この方法では、優れた磁気特性を安定して得られないことが最大の問題となっていた。
【0006】
また、特公昭63−11406号公報には、鋼中にSn及びCuを添加し、冷延1回法により0.15〜0.25mmの方向性電磁鋼板を安定して製造する技術が開示されているが、この技術により得られる製品の磁束密度はB10が1.92T(B8 で約1.90T)であり、高磁束密度の電磁鋼板として未だ十分ではなかった。
【0007】
更に、Alを含有する方向性電磁鋼板のインヒビターの抑制力を強化する方法として、鋼板表層部を窒化する方法が古くから知られており、例えば特開昭49−6455号公報には、脱炭焼鈍工程後に窒化処理を行う技術が、また、特公昭50−19489号公報には、最終冷延前の工程において窒化処理を行う技術が、それぞれ開示されている。しかし、これらの技術によっても得られる製品の磁束密度は高々B10:1.93T(B8 で約1.91T)であり、高磁束密度の材料は得られていない。
【0008】
ところで、良好な二次再結晶を得るためには、上述したインヒビターの強い抑制力ばかりでなく、好適な一次再結晶粒の集合組織を制御することも必要である。すなわち、かかる一次再結晶粒の集合組織においては、(110)〔001〕方位に揃った二次再結晶の核(以後(110)〔001〕粒と称す。)の生成頻度を増すとともに、(110)〔001〕方位の粒が成長し易い{111}〈112〉方位の粒(以後{111}〈112〉粒と称す。)の形成頻度を高めることが重要である。
【0009】
上記の一次再結晶集合組織の結晶粒制御のうち、後者の{111}〈112〉粒の形成頻度を高めることは、最終冷延圧延の圧下率を高めることにより達成されることが知られており、それゆえ一般には80%以上の圧下率が採用される。一方、前者の良好な二次再結晶粒の核となる(110)〔001〕粒の生成に関しては、最終冷延圧延における150 〜250 ℃での温間圧延や、150 〜350 ℃で30秒間〜10時間におけるパス間時効が有効であることは、特公昭54−13846号公報や特公昭54−29182号公報に開示されている如くであるが、この方法のみでは不十分であった。なぜなら、この方法のみでは、(110)〔001〕粒の生成頻度に限界があり、また、{111}〈112〉粒も過剰に存在しているので、(110)〔001〕方位からずれた方位の一次再結晶粒も二次再結晶粒として成長するため、結果的に方位の劣る二次再結晶の比率が増加して、製品の磁束密度を低下させるからである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、AlN をインヒビターとする方向性電磁鋼板において、より高磁束密度の鋼板を安定して得ることのできる製造方法を提案することを目的とする。
【0011】
そして、この目的を達成するため、AlN を主インヒビターとする方向性電磁鋼板の磁束密度の不安定性もしくは磁束密度の低下は、AlN の鋼中への析出分散の方法そのものに内在しているという発明者らの新規知見に基づいて、新しく創案されたAlN の析出分散制御法による方向性電磁鋼板の製造方法を以下提案する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1) Cを0.10wt%以下、Siを2.5〜5.0wt%、Mn 0.005 0.10wt %、Alを0.005〜0.040 wt%及びNを0.0040〜0.0130wt%含有し、残部はFe及び不可避的不純物の組成になる方向性電磁鋼スラブに、粗圧延開始から仕上圧延終了までの時間が 450秒未満である熱間圧延を施したのち、熱延板焼鈍を施し、次いで1回又は中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延により最終板厚とした後、一次再結晶焼鈍及び二次再結晶焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記熱間圧延における仕上圧延の開始温度を1000〜1230℃、終了温度を 800〜1100℃とし、かつ、この仕上圧延終了から 700℃までの冷却速度を10℃/s以上として 650℃以下で巻き取ること、
上記熱延板焼鈍の昇温過程における 600〜800 ℃間の昇温速度を5〜30℃/sとするとともに、この熱延板焼鈍及び最終冷間圧延前の焼鈍の温度を1125℃以下とすること、
最終冷間圧延直前の鋼帯の平均結晶粒径を10〜35μm に調整すること及び
最終冷延圧延の圧下率を80〜95%とすること
の結合を特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法(第1発明)。
【0013】
(2) 第1発明において、最終冷間圧延直前の鋼板の平均結晶粒径を12.5〜27.5μm に調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法(第2発明)。
【0014】
(3) 第1発明又は第2発明において、鋼スラブが、更にS及びSeの1種又は2種を合計で0.005 〜0.030 wt%含有するものであり、
熱間圧延における仕上圧延の開始温度を1000〜1200℃、終了温度を850 〜1000℃とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法(第3発明)。
【0015】
(4) Cを0.10wt%以下、Siを2.5〜5.0wt%、Mn 0.005 0.10wt %、Alを0.005〜0.040 wt%及びNを0.0040〜0.0130wt%含有し、残部はFe及び不可避的不純物の組成になる方向性電磁鋼スラブに、粗圧延開始から仕上圧延終了までの時間が 450秒以上である熱間圧延を施したのち、熱延板焼鈍を施し、次いで1回又は中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延により最終板厚とした後、一次再結晶焼鈍及び二次再結晶焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記鋼スラブが、更にSeを0.005〜0.030wt%含有するものであり、
上記熱間圧延における仕上圧延開始から終了までの時間を 460秒以下に制限したうえで、この仕上圧延終了温度を 850〜1150℃とし、かつ、この仕上圧延終了から 700℃までの冷却速度を10℃/s以上として 650℃以下で巻き取ること、
上記熱延板焼鈍の昇温過程における 600〜800 ℃間の昇温速度を5〜30℃/sとするとともに、この熱延板焼鈍及び最終冷間圧延前の焼鈍の温度を1125℃以下とすること、
最終冷間圧延直前の鋼帯の平均結晶粒径を10〜35μm に調整すること及び
最終冷延圧延の圧下率を80〜95%とすること
の結合を特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法(第4発明)。
【0016】
(5) 第1発明〜第4発明のいずれかにおいて、鋼スラブが、更にSbを0.005〜0.060wt%含有するものであり、熱延板焼鈍工程における冷却速度を5〜60℃/sとし、かつ、二次再結晶焼鈍における昇温時に 800〜890 ℃の間で15〜60時間、一定温度に保持するか、該温度範囲で5℃/hr 以下の昇温速度又は降温速度により昇温又は降温する処理を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法(第5発明)。
(6) 第1発明〜第5発明のいずれかにおいて、鋼スラブが、更に Cu 0.005 0.30wt %含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法(第6発明)。
(7) 第1発明〜第発明のいずれかにおいて、鋼スラブが、更にSn,P,Bi,As,B,Ge,V,Nb,Cr及びTeのうちから選んだ1種又は2種を、Sn,Crはそれぞれ0.03〜0.30wt%、Biは 0.005〜0.020 wt%、P,Ge,V,Nb,As,Teはそれぞれ 0.005〜0.030 wt%、Bは0.0005〜0.0020wt%の範囲で含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法(第発明)。
(8) 第1発明〜第発明のいずれかにおいて、鋼スラブが、更にMoを0.005〜0.020wt%含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法(第発明)。
【0017】
この発明における「最終冷間圧延直前の鋼帯」とは、冷延1回法の場合は熱延板焼鈍を施した後、また、冷延2回法の場合は中間焼鈍を施した後であって、最終的な冷間圧延を施す前の鋼帯をいう。
【0018】
【発明の実施の形態】
さて、発明者らは、一次再結晶粒を前述したような好適な集合組織に制御することを主要観点として、従来技術の問題点を解消するために鋭意研究を重ねた結果、最終冷間圧延直前の鋼帯の結晶粒径を増加させることが特に有効であることを発見した。すなわち、最終冷間圧延直前の鋼帯の結晶粒径を特定の範囲に制御した場合には、圧延・再結晶後の一次再結晶集合組織として(110)〔001〕粒が増加するとともに、{111}〈112〉粒が適正の量まで減少する現象を見いだしたのである。
【0019】
この方法を、最終冷間圧延に圧下率80%以上の強圧下を施すAl含有方向性電磁鋼板の製造工程中に適用させることによって、一次再結晶集合組織の適正に制御することが可能となる。しかし、この新規な方法は、従来の技術にそのまま適用することができない。
【0020】
というのは、従来のAl含有方向性電磁鋼板の製造方法では、特公昭46−23820号公報や特公昭62−56923号公報に開示されているように、最終冷間圧延前の焼鈍は、インヒビターであるAlN を鋼中に微細分散析出させることを目的の一つとしているのであり、したがって、この焼鈍の際の温度及び冷却速度は、上記AlN の鋼中への微細分散析出条件によって定められているから、前記したような集合組織の制御のために焼鈍条件を、かかるAlN の微細分散析出条件とは独立して適正化することができないからである。
【0021】
詳述すると、前述の特公昭46−23820号公報や特公昭62−56923号公報に開示されている従来のAl含有方向性電磁鋼板のインヒビター制御技術でにおいては、AlN の均一微細分散析出のために、高温での熱処理によりAlN を固溶させ、その後、急速冷却によりインヒビターとして好ましい均一微細分散状態を生起させることとしている。しかしながら、かかる高温処理においては、完全α組織である鋼板表層部の結晶粒が過度に粗大化し、最終冷間圧延後の一次再結晶焼鈍において鋼板表層部の{111}〈112〉粒が極端に減少し、二次再結晶焼鈍時の(110)〔001〕粒の成長が阻害され、二次再結晶不良を誘発するという現象が多発するので、集合組織の制御の観点からは必ずしも適切とはいえなかった。
【0022】
また、高温で解離固溶され、冷却時に析出させたAlN は、準安定であるため、オストワルド成長し易く、最終仕上焼鈍中での抑制力を喪失し易いので、この点からも、二次再結晶不良を誘発し易いという問題があった。
【0023】
Al含有方向性電磁鋼板の磁気特性の不安定性は、かかる現象に起因しているもので、従来技術で述べた窒化処理などは、上述のインヒビターの抑制力の喪失現象を防ぐために施される手段である。しかし、この窒化処理は、二次再結晶の核の成長を全般的に促進させる技術であるので、方位の劣る二次再結晶の核も成長させることになり、結局のところ製品の磁束密度の低下を招くことになる。
【0024】
以上、従来の技術においては、インヒビターの制御と集合組織の制御を独立してなし得ないという欠点に、全ての問題が起因していたといえる。
【0025】
また、これまで述べた問題とは別に、熱間圧延の形態による磁気特性の劣化という課題も残されていた。すなわち、熱間圧延は通常、粗圧延と仕上圧延とに分けられた複数の熱間圧延機の配列によって行われる。この粗圧延は圧延間の時間間隔が静的再結晶又は静的回復を生起するに十分な時間を有する圧延であり、一方、仕上圧延は、圧延機の短間隔配列(タンデム圧延機)によって、動的再結晶、動的回復効果を別にすれば、加算的に圧延時の歪が鋼に付与される圧延である。
【0026】
ここに、Al含有方向性電磁鋼板の熱間圧延は、AlN の粗大析出を回避するため、通常の方向性電磁鋼板の熱間圧延よりも短時間での加工処理が必要とされ、例えば、特公昭51−2290号公報において開示された技術では、スラブ加熱抽出後から1000〜1250℃に温度降下するまでの時間を200 秒以下とし、かつ、その時から600 ℃まで温度降下する時間を200 秒以下に冷却制御し、この間に熱間圧延工程を終了させることが必要であるとされている。
【0027】
しかし、方向性電磁鋼板の製造量の増加に伴い、熱間圧延に長時間を要する如き長大な熱間圧延工場によっても、特性の優れた方向性電磁鋼板の熱間圧延を実施することが必要となってきた。例えば、他鋼種との混合圧延を行う熱延工場においては、粗圧延機から仕上圧延機までの距離が長く、そのために粗圧延開始から仕上圧延終了までを400 秒間未満とすることには、しばしば困難を伴う。また、粗圧延を行った後に仕上圧延として一台の圧延機(例えば、ステッケルミル)中を複数回往復圧延し、その各パス間でコイル状の巻取りを行う方法は、必然的に熱間圧延に時間を要するので、これらの熱間圧延の方法では優れた磁気特性の方向性電磁鋼板を安定して製造することはできなかった。
【0028】
この点、この発明の方向性電磁鋼板の製造方法においては、かかる特殊な熱間圧延の形態においても優れた磁気特性を具備する方向性電磁鋼板を製造できるのである。
【0029】
前述したような析出焼鈍により必然的に伴われる不都合、すなわち、インヒビター析出分散制御と一次再結晶集合組織制御を同一の焼鈍において行うことにより、各制御の最適化が困難である問題を解消し、インヒビター分散析出の制御と一次再結晶集合組織の制御とを独立して行うことができ、更には熱間圧延に長時間を要する如き長大な熱間圧延工場においても、特性の優れた方向性電磁鋼板を得ることのできる画期的な技術をこの発明により提案する。
【0030】
すなわち、この発明は、以下の4つの新規知見を基にして研究開発の成果として完成されたものである。
▲1▼ 熱間圧延の諸条件を制御することにより、その後の工程におけるAlN の析出の分散状態を制御できること、
▲2▼ 熱延板焼鈍の1000℃までの昇温過程において、AlN は十分に析出し、かつ、その析出分散状態は600 〜800 ℃間の昇温速度で制御できること、
▲3▼ 最終冷間圧延前の焼鈍(冷延1回法では熱延板焼鈍、冷延2回法では中間焼鈍が相当する。)は、AlN の再固溶又はオストワルド成長を十分に避けるため、1125℃以下の低温とすること、
▲4▼ 一次再結晶集合組織として{111}〈112〉粒の密度には適正範囲が存在し、その制御は最終冷間圧延直前の鋼板の平均結晶粒径を適正値10〜35μm に制御する(すなわち、最終冷間圧延前の焼鈍の均熱温度と均熱時間等を適正に制御する。)ことによってなされること。
【0031】
以下、この発明を完成するに至る動機となった実験について説明する。
C:0.075 wt%(以下、単に「%」と記す。)、Si:3.34%、Mn:0.069 %、P:0.007 %、S:0.003 %、Al:0.025 %、Se:0.019 %、Mo:0.012 %及びN:0.0085%を含有する鋼スラブ3本を1420℃で均熱15分間の加熱をした後、220 〜280 秒間の熱間圧延によって厚み2.2 mmの熱延板とした。このとき、一本のスラブは粗圧延終了後、仕上圧延開始温度を1100〜1180℃とし、かつ,仕上圧延終了温度を870 〜920 ℃とし、仕上圧延終了時からコイル巻き取りまでの冷却速度をジェット水によって16℃/sの急冷とし、550 ℃で巻き取った(条件a)。
【0032】
他の二本のうち、一本のスラブは、熱間圧延の仕上圧延条件は条件aと同一とし、仕上圧延後の冷却速度を8℃/sの徐冷とし、650 ℃で巻き取った(条件b)。
残りの一本は、粗圧延終了後、仕上圧延開始温度を1270〜1290℃とし、仕上圧延終了温度を1150〜1180℃とし、仕上圧延後の冷却速度を8℃/sの徐冷とし、550 ℃の温度で巻き取った(条件c)。
【0033】
これらのコイルを、各々12分割とし、それぞれa1 〜a12、b1 〜b12、c1 〜c12の記号を付け、1000℃で1分間の熱延板焼鈍を施した。
このとき、記号a1 ,a4 ,a7 ,a10,b1 ,b4 ,b7 ,b10,c1 ,c4 ,c7 及びc10については、昇温速度を45℃/sの急速加熱とした。また、記号a2 ,a5 ,a8 ,a11,b2 ,b5 ,b8 ,b11,c2 ,c5 ,c8 及びc11については、昇温速度を12℃/sに制御した。更に、記号a3 ,a6 ,a9 ,a12,b3 ,b6 ,b9 ,b12,c3 ,c6 ,c9 及びc12については、昇温速度を3℃/sの徐冷とした。
【0034】
これらの鋼板は、酸洗後、冷延圧延によって1.50mmの板厚とした後、中間焼鈍を施した。この中間焼鈍の条件として、a1 ,a2 ,a3 ,b1 ,b2 ,b3 ,c1 ,c2 及びc3 については、1050℃で60秒間の均熱処理を施した後、ミスト水で急冷した。a4 ,a5 ,a6 ,b4 ,b5 ,b6 ,c4 ,c5 及びc6 については、1050℃で100 秒間の均熱処理を施した後、ミスト水で急冷した。a10,a11,a12,b10,b11,b12,c10,c11及びc12については、1150℃で60秒間の均熱処理を施した後、ミスト水で急冷した。
【0035】
これらの鋼板は、酸洗後、150 〜230 ℃の温間圧延によって最終板厚0.19mmに仕上げた。この後、脱炭・一次再結晶焼鈍を施し、焼鈍分離剤を塗布してからコイル状に巻き取ったが、この脱炭・一次再結晶焼鈍の条件としては、850 ℃で均熱2分間、露点60℃、H2 55%、残部N2 バランスの雰囲気とした。また、焼鈍分離剤は、10%のTiO2と3%の Sr(OH)2・8H2Oを含有するMgO をコイル両面に塗布したものである。
【0036】
この後、二次再結晶焼鈍及び純化焼鈍を目的として最終仕上焼鈍を施したが、その条件は、850 ℃までは30℃/hr の昇温速度で、N2 雰囲気において昇熱し、850 ℃から1160℃までは25%N2 と75%H2 の混合雰囲気にて12℃/hr の昇温速度で昇温し、その後、H2 中で1160℃、5時間保持した後、降温した。
【0037】
最終仕上焼鈍後のコイルは未反応焼鈍分離剤を除去した後、りん酸マグネシウムとコロイダルシリカを主剤とする張力コーティングを塗布した後、平坦化焼鈍を兼ねて800 ℃で1分間のコーティング熱処理を施し、その後、プラズマジェットの照射による磁区細分化処理を施して製品とした。
各製品コイルの磁気特性を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003644130
【0039】
表1に示されるように、最も優れた磁気特性は、熱間圧延条件aの鋼板で、熱延板焼鈍の昇温速度を12℃/sに制御し、中間焼鈍の均熱条件として1050℃で100 秒間とした場合に得られている。
【0040】
ここで、こうした優れた結果を得た理由を調査するために、熱間圧延条件a,b及びcの熱延板について、それらを実験に合わせて昇温速度を3段階に変えて1000℃まで昇温してから急冷した鋼板について、鋼中の析出物の電子顕微鏡による観察結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 0003644130
【0042】
表2に示されているように、最も磁気特性の優れていた条件(熱間圧延条件a、熱延板焼鈍条件2,5,8(12℃/s) )では、熱延板焼鈍の1000℃までの昇温過程で既に5〜10nmの微細なサイズのMnSe−AlN の複合析出物が極めて高密度に析出していることが分かる。この複合析出物は、熱延板の段階では認められないことから、熱延板焼鈍の昇温過程において生成したことは明らかである。この生成物の析出する密度は、その後の詳細な調査によって、熱間圧延の条件と熱延板焼鈍の600 〜800 ℃間における昇温速度に依存することがわかった。すなわち、熱延板焼鈍の600 〜800 ℃の間における昇温速度が5℃/s未満である場合には、析出核の析出頻度が低下し、析出物のサイズが増大しする。逆に昇温速度が30℃/sを超える場合は、微細、高密度に析出するのではあるが、均一な分散状態とはならない。また、別の調査によって、熱間圧延の条件としては、AlN が析出しない程度に低温であることが好ましく、つまり、低温での熱間圧延で導入される極微細な積層欠陥や析出物、介在物が、微細AlN の析出サイトになることがわかった。
【0043】
ちなみに、Mn及びSeを含有するこの実験の場合、極めて微細なMnSeが熱間圧延の仕上圧延中に析出し、これが微細AlN の析出サイトとなって、5〜10nmの微細MnSe−AlN 複合析出物が生成したものである。なお、熱延板焼鈍の昇温途中に生成する微細AlN は、六方晶Wurtzite (ZnS)構造を有する結晶性析出物であり、熱延板焼鈍の昇温速度よっては多少のSiを有する場合もあるが、抑制力の作用に関しては粒径のみで定まるので、同等に取り扱ってよい。
【0044】
上記熱間圧延において、かかるAlN の析出サイトを多数形成するのに、粗圧延開始から仕上圧延終了までの時間として450 秒間未満の熱間圧延時間で行う場合には、仕上圧延を従来より低温で行うのが良く、仕上圧延の開始温度を1000〜1230℃とし、終了温度を800 〜1100℃とすることが必要で、かような温度制御によって極めて微細な積層欠陥又は介在物あるいは析出物の生成頻度が増加し、熱延板焼鈍の昇温過程における微細AlN の析出サイトを提供できることになる。仕上圧延の温度が上記の温度より高い場合は微細AlN の析出サイトが不足し、表2の熱延条件cの欄に示されるように、熱延板焼鈍の昇温過程で新たに析出するAlN の頻度が低下し、かつサイズも増加して、インヒビターとしての良好な抑制力が得られない。
【0045】
また、かかるAlN の析出サイトを確実に増加させるには、鋼中にS又は/及びSeを添加し、これらの極微細結晶物を熱間圧延において得ることが良い方法である。このためには、S及びSeの1種または2種を合計量で0.005 〜0.30%含有させて、硫化物及び/又はセレン化物を熱間圧延で形成させる。かかる析出物の極微細析出に適した熱間圧延条件は、仕上圧延開始温度として1000〜1200℃、終了温度として850 〜1000℃である。
【0046】
もっとも、鋼中にSeを含有させる場合は、最も低温かつ長時間の熱間圧延によって、鋼中に極微細セレン化物を析出させることが可能であるので、熱間圧延の粗圧延開始から仕上圧延終了までの時間が450 秒間以上の特殊な熱間圧延においても、この発明を適用することが可能となる。
【0047】
すなわち、鋼中にSeを0.005 〜0.030 %含有させた鋼の熱間圧延においては、熱間圧延の仕上圧延開始から終了までの時間を460 秒以下とし、熱間圧延終了温度を850 〜1150℃とすることにより、熱延板焼鈍の昇温過程で析出する微細AlN の析出サイトとなる極微細セレン化物を高密度に析出させることができる。このとき、熱間圧延終了温度が1150℃を超えたり、仕上圧延開始から終了までの時間が460 秒を超えると、熱間圧延で析出するセレン化物が粗大なもののみとなり、逆に熱間圧延終了温度が850 ℃未満の場合は、極微細セレン化物の析出頻度が低下し、いずれの場合も熱延板焼鈍の昇温過程で析出する微細AlN が高密度の分布とならない。
【0048】
次に、表2の熱延条件aとbとの差異について詳細に調査した結果を述べる。熱間圧延終了後の鋼板の冷却速度が遅い場合には、SiリッチのAlとSiとの複合窒化物(Si,Al)Nの安定析出状態となる。この複合窒化物は、結晶質の析出物(六方晶Wurtzite構造)であって熱的に比較的安定であり、表2に示した熱延条件bの熱延板中に認められるように粗大な析出物で、MnSeと複合析出物を形成したり、単独で花弁状析出物を生成している。この析出物は熱延板焼鈍の昇温過程でAlN (Siが鋼中に拡散し、逆にAlが侵入し、SiとAlが置換し、昇温条件にもよるが、Alリッチの(Al,Si)Nから最終的にAlN となる。)に変換するが、熱延板焼鈍後もそのサイズはほぼ維持される。
【0049】
かかるSiリッチのAlとSiとの複合窒化物は、熱間圧延終了後のコイル巻き取り温度が高い場合にも認められ、熱延板焼鈍の昇温過程で析出する微細AlN の析出量と頻度を低下させるので、特に有害な析出物である。
【0050】
ちなみに、熱間圧延終了後に急冷し、かつ低温度でコイル状に巻き取った表2の熱延条件aやcの熱延板中には、不定型(Si,Al)Nは認められても、結晶質の(Si,Al)Nはほとんど認められない。また、この不定型(Si,Al)Nは急冷に伴い生成した準安定なアモルファスであり、熱延板焼鈍の昇温過程の初期の段階で容易に分解、再固溶すると考えられるので、基本的にはこの窒化物は固溶状態にあるものと同一視して取り扱っても良い。
【0051】
表2に示した熱延板及び熱延板昇温過程における1000℃昇温直後の鋼板での窒化物の析出量を測定し、析出程度を(窒化物としてのN)÷(トータルN)の値で算出評価すると、熱延条件aの場合、熱延板で0.42、熱延板焼鈍1000℃昇温直後で、0.95であるのに対し、熱延条件bの場合では熱延板で0.84、熱延板焼鈍1000℃昇温直後で0.98であり、熱間圧延工程終了後で既に窒化物が大量に析出しており、熱延板焼鈍の昇温過程で新たに析出するAlN の量は極めて少ないことがわかる。
【0052】
以上のように粗大かつ安定である理由で有害である結晶質の(Si,Al)Nの熱延板での析出を抑制するためには、熱間圧延終了後、700 ℃までの鋼板の冷却速度を10℃/s以上とすること、及びコイル巻き取り温度を650 ℃以下として、結晶質(Si,Al)Nの析出温度領域での長期滞留を避けることが必要である。
【0053】
次に、この発明においては、熱延条件に関する第1の要件の他に、第2の要件として、熱延板焼鈍の昇温過程において生成した微細AlN を有効に活用するため、冷延圧延工程における焼鈍、すなわち熱延板焼鈍と、これに加えて2回の冷間圧延法においては、中間焼鈍を含めて焼鈍の最高温度を1125℃以下とすることが必要である。
【0054】
実験では、表1の熱間圧延条件aにおいて、かつ熱延板焼鈍の昇温速度が12℃/sの場合において、中間焼鈍の均熱温度が1050℃の場合には極めて優れた磁気特性の製品が得られたが、均熱温度を1150℃に高めると大幅な磁気特性の劣化が生じた。
【0055】
この理由を探究するために、インヒビターの析出粒径分布の変化を調べ、抑制力についての調査を行った。図1は熱間圧延条件aにおいて、熱延板焼鈍の昇温速度が12℃/sで、中間焼鈍条件が1050℃で100 秒間の場合、すなわち、この発明の方法に従う試料について、熱延板と熱延板焼鈍の1000℃昇温直後の鋼板及び脱炭・一次再結晶焼鈍後の析出物の粒径分布の測定結果を示している。一方、図2は、熱間圧延条件cにおいて、熱延板焼鈍の昇温速度が12℃/sで中間焼鈍条件が1150℃で60秒間の場合、すなわち、従来の方法における各鋼板の析出物の粒径分布の測定結果を示している。なお、ここで中間焼鈍後の鋼板には微細カーバイトが多数析出し、インヒビターである析出物との区別が困難であるので、図に示すのは省略してある。
【0056】
図1に示されるように、この発明の方法では、熱延板焼鈍の1000℃までの昇温によって50〜100 Åのサイズの微細な析出物が多数析出し、この状態は脱炭・一次再結晶焼鈍後もほぼ変わらず維持されている。
【0057】
これに対し、図2に示される従来の方法では、熱延板焼鈍によってもさほど微細析出物の量は増加しておらず、脱炭・一次再結晶焼鈍後の鋼板で初めて100 〜200 Åのサイズの微細析出物が増加している。この場合の微細析出物の析出時期と変化について、より詳細に調査したところ、一部は熱延板焼鈍の冷却時に析出し、中間焼鈍の高温時にα相中でオストワルド成長により、やや粗大化し、残りは中間焼鈍の高温時にγ相中で固溶し、冷却時に再析出しているものであった。このように、中間焼鈍でのオストワルド成長と固溶・再結晶過程とで、インヒビターの粒径分布が制御されるため、熱間圧延や熱延板焼鈍など、前工程の影響を受けることが少なく安定した粒径分布が得られる。
【0058】
しかしながら、析出物のサイズとしては、この発明の方法に比べやや大きく、満足のいくサイズではない。これに対し、この発明の方法においては、熱間圧延条件及び熱延板焼鈍の条件を厳しく制御することで、50〜100 Åのサイズの極めて微細な析出物を得ることが可能となった。これは、極めて強い抑制力を有するインヒビターの析出制御が可能になったことを意味する。
【0059】
さらに、この調査に引き続いて、前述の中間焼鈍温度1150℃での磁気特性劣化の原因を調査したところ、50〜100 Åの析出物がオストワルド成長により粗大化していることがわかり、また、かかるオストワルド成長を抑制するためには、中間焼鈍温度を1125℃以下に規制することが必要であることが分かった。
【0060】
したがって、両者の方法において、種々の得失はあるが、熱間圧延条件及び熱延板焼鈍の昇温速度及び冷間圧延工程の最高温度規制に留意している限りにおいては、この発明の方法によって極めて優れた磁気特性の製品が得られる利点がある。
【0061】
次に、この発明の第3の要件である集合組織の制御について述べる。
表1の熱間圧延条件aにおいて、熱延板焼鈍の昇温速度12℃/sの欄において、中間焼鈍条件として均熱温度:1050℃、時間:60秒間と、100 秒間とを比較すると、100 秒間の処理のほうが、磁束密度、鉄損ともに際立って優れている。この原因について詳細に調査したところ、両者において、微細AlN の析出状態に大きな差異はなかったが、脱炭・一次再結晶集合組織を比較したところ、均熱時間:100 秒間の試料(a5 )は、均熱時間:60秒間の試料(a2 )に比較して、(110)〔001〕粒の密度が約1.5 倍に増加し、{111}〈112〉粒の密度は逆に0.8 倍に低下していた。この(110)〔001〕粒の増加は、より方位の優れた結晶粒が二次再結晶の核となる確率を高め、{111}〈112〉粒の密度の低下は、方位の劣る結晶粒が二次再結晶の核となるのを抑制するので、最終的に二次再結晶粒の方位を向上させるのに役立つ。
【0062】
かかる脱炭・一次再結晶集合組織の変化をもたらした原因をさらに追求したとろ、中間焼鈍後の平均結晶粒径が均熱時間の増加によって5μm から18μm へと増加しているためであることがわかった。
【0063】
最終冷間圧延直前の結晶粒径は、このように一次再結晶集合組織に大きな影響をもたらすことは、これまでにも知られていたが、従来の製造方法では、中間焼鈍あるいは熱延板焼鈍温度が高温であるため、結晶粒径を変更するために均熱温度を変えた場合、インヒビターの抑制力も変化することから、中間焼鈍、熱延板焼鈍の際にインヒビターの抑制力を維持しつつ、この最終冷間圧延直前の結晶粒径を適正範囲に独立して制御することができなかった。
【0064】
これに対して、この発明に従う1125℃以下の低温の焼鈍においては、インヒビターの析出状態を変えることなく、結晶粒径を変更できるようになり、これによってはじめて、適正な一次再結晶集合組織に制御することが可能となったものである。なお、最終冷間圧延前の適正な平均結晶粒径は、10〜35μm であり、より好ましくは12.5〜27.5μm であり、これらの平均結晶粒径は、鋼の成分や、焼鈍温度、焼鈍時間、焼鈍雰囲気の変更によって調節することが可能である。
【0065】
なお、集合組織制御の方法に関しては、従来から公知の方法があり、例えば150 〜250 ℃での温間圧延や、パス間時効及び最終冷間圧延前の焼鈍の冷却途中における低温度での温度保持によるカーバイドの析出ないし析出物サイズの制御の技術が挙げられ、この発明の方法と組み合わせることにより、一層効果が高まる。
【0066】
最終的ににAl含有方向性電磁鋼板において、{111}〈112〉粒の形成頻度及び(110)〔001〕粒の形成頻度を高めるには、公知のように最終冷間圧延の圧下率を80〜95%とすることが必要で、この範囲を外れた場合には、{111}〈112〉粒の形成頻度の急激な低下を招き、磁気特性の劣化がもたらされる。
【0067】
更に、この発明の方向性電磁鋼板の磁気特性を向上させるには、公知のように鋼中のSbを添加し、このSbの粒界及び表面への偏析効果を利用して、二次再結晶の制御を行うことが有効であり、このためには、二次再結晶焼鈍の昇温時に800 〜890 ℃の間で15〜60時間、一定温度に保持するか、5℃/hr 以下の昇温速度又は降温速度で昇温又は降温処理を施す。これにより、二次再結晶の結晶方位をより先鋭なものとすることができる。
【0068】
以下、この発明の出発素材となる方向性電磁鋼スラブの成分について述べる。
〔C:0.10%以下〕
Cは、γ変態を利用して熱延組織を改善するために必要であるが、場合によっては脱炭工程を行わずして製造することもあり、これらを勘案して適量を含有させる。一方0.10%を超えると脱炭不良となるので、0.10%以下とする。
【0069】
〔Si:2.5 〜5.0 %〕
Siは、電気抵抗を高めて鉄損を向上させるため2.5 %以上が必要である。一方、5.0 %を超えるとぜい化が激しく、冷間圧延が困難となるので、2.5 〜5.0 %の範囲とする。
Mn 0.005 0.10 %〕
Mn は、熱間圧延時の割れを防止するのに有用であり、また、 MnS MnSe 等の副インヒビターを利用する際には、インヒビター形成成分としても有用となる。このためには 0.005 %以上の含有が必要であり、上限としては副インヒビター形成のために 0.10 %までを含有量とする。すなわち、 0.10 %を超えると析出物として粗大化し、インヒビターとしての抑制力が低下し、磁気特性が劣化する。
【0070】
〔Al:0.005 〜0.04%〕
Alは、この発明で所期した高磁束密度の方向性電磁鋼板を得るために必須の主インヒビターであるところのAlN を析出させるための基本成分であり、0.005 %未満ではAlN の析出量が足りず、逆に0.04%を超えると析出するAlN が粗大化して抑制力が劣化するので、0.005 〜0.04%の範囲とする。
【0071】
〔N:0.0040〜0.0130%〕
Nもこの発明で所期した高磁束密度の方向性電磁鋼板を得るために必須の主インヒビターであるところのAlN を析出させるための基本成分である。このNは、鋼スラブ中に所定量を含有させることは必ずしも必要でなく、製造工程の途中で窒化処理により補給することも可能であるが、鋼スラブ中のN量が0.0040%未満ではこの発明の場合、AlN の量として不十分となる。逆に0.0130%を超えると鋼スラブの加熱の際にガス化して、フクレ等のトラブルの原因になるので、0.0040〜0.0130%の範囲とする。
【0072】
以上、述べたC、Si、Mn Al及びNは、この発明に必須の成分であり、その他の成分は不純物を除けば本質的にFeであっても十分である。
しかしながら、この発明の効果を高めるためには、次に述べる公知の成分を更に含有させることは可能である。
【0074】
Cuは、硫化物、セレン化物などを形成するので有用成分であるが、この目的のためには0.005 %以上が必要である。ただし、0.30%を超えると析出物として粗大化し、インヒビターとしての抑制力が低下してその効力を失う。
【0075】
S、Seは、Mn又はCuと結合して副インヒビターとしてのMnS ,MnSeやCuS ,CuSeを析出させるので有用な成分である。この効果をもたらすためには、合計で0.005 %以上が必要であるが、一方、0.030 %を超えると、析出物の粗大化が生じ、磁気特性の劣化を招くので、0.005 〜0.030 %の範囲が好ましい。
【0076】
Sbは、鋼板表層部の酸化及び窒化を抑え、二次再結晶焼鈍における核の選択性を高めるので有効な成分であり、また、結晶粒界に偏析して抑制力を補強する効果を有する。これらの効果のためには、0.005 %以上の含有が必要であるが、0.060 %を超えると鋼板のぜい化が甚だしくなるので、0.005 〜0.060 %の範囲が好ましい。
【0077】
さらに、他にインヒビター補強成分として公知であるSn、P、Bi、As、B、Ge、V、Nb、Cr、Te等を含有してもよいことは勿論である。この目的のためには、Sn、Crは0.03〜0.30%、Biは0.005 〜0.020 %、P、Ge、V、Nb、As、Teは0.005 〜0.030 %、Bは0.0005〜0.0020%の範囲の含有が好ましい。
加えて、方向性電磁鋼に特有の熱間圧延での割れを防止するために、Moを0.005 〜0.020 %含有させることも可能である。
【0078】
次に、この発明における製造工程の要件について説明する。
上記成分を含有する方向性電磁鋼は、熱間圧延により熱延鋼帯とされる。このとき、SやSeなどの副インヒビター成分を含有する場合は、高温スラブ加熱を施すが、インヒビターとしてAlN のみを利用する場合は、通常の1200℃前後のスラブ加熱や連続鋳造後の高温スラブを直接圧延することも可能である。
【0079】
ここで、粗圧延と仕上圧延からなる熱間圧延において、粗圧延開始から仕上圧延終了までの時間として450 秒間未満からなる通常の方向性電磁鋼の熱間圧延の場合には、熱間圧延の仕上圧延の開始温度を1000〜1230℃とし、終了温度を800 〜1100℃とする。この温度範囲に調整することによって、AlN を高密度に析出分散させることができ、ひいては磁気特性の優れた製品が得られるからである。この理由は、まだ完全に解明されたわけではないが、かかる温度域での仕上圧延によって、極微細な積層欠陥、硫化物、セレン化物、酸化物が高密度に形成され、次工程での熱延板焼鈍の昇温過程で析出する微細AlN の析出サイトが十分に形成されることになるものと推定される。
【0080】
ここで、かかる仕上圧延温度がこの範囲よりも高い場合、微細AlN の析出サイトの形成量が十分でなく、該析出AlN が粗大化し、析出頻度も低下する結果、抑制力の低下をもたらし、製品の磁気特性が劣化する。また、かかる仕上圧延温度がこの範囲よりも低い場合も、析出サイトの形成量が不十分となり、熱延板焼鈍の昇温過程で析出するAlN が粗大化して、抑制力の低下をもたらし、製品の磁気特性が劣化する。
【0081】
また、鋼中にS及び/又はSe並び Cuを含有する場合は、より明確に極微細CuS 、CuSe、MnS 又はMnSeの析出物が形成され、熱延板焼鈍の昇温過程で析出する微細AlN の析出サイトとして特に有効に寄与する。このとき、この効果を顕著に発現させるためには、熱間圧延の仕上圧延の開始温度を1000〜1200℃、終了温度を850 〜1000℃とすることが好ましい。温度の限定理由は、上述と同様である。
【0082】
一方、圧延機配列が長大となったり、仕上圧延機がリバース方式である等の理由により、粗圧延開始から仕上圧延終了までの時間が450 秒間以上となる熱間圧延の場合にも、この発明は極めて効果的である。なお、このときは鋼中にSeを含有させることが必要である。その理由は、Seを含有させることによりCux SeやMnSeが析出するのであるが、このCux SeやMnSeは析出温度が低く、Seの拡散速度が遅いため、低温で長時間の熱間圧延においても、極微細な析出物を十分に得ることが可能となるからである。
【0083】
かかる場合の熱間圧延の適正条件としては、熱間圧延の仕上圧延開始から終了までの時間を460 秒間以下として、仕上圧延終了温度を850 〜1150℃とすることが必要であり、かかる条件によって、次工程の熱延板焼鈍の昇温過程で析出する微細AlN の析出サイトが十分に形成されることになるものと推定される。
【0084】
仕上圧延の開始から終了までの時間が460 秒間を超える場合もしくは熱間圧延終了温度が850 〜1150℃の温度範囲から外れる場合は、この発明の方法をもってしても粗大なCux SeやMnSeに複合析出した粗大結晶質AlN の析出を抑制し得ず、AlN の粗大化をもたらし、よってインヒビターの抑制力の改善効果がなく、製品の磁気特性が劣化する。
【0085】
次に、かかる熱間圧延の終了後は、鋼板の急速冷却により700 ℃までの冷却速度を10℃/s以上とし、コイル巻き取り温度として650 ℃以下とすることが必要である。この条件は、熱間圧延の際に、粗圧延開始から仕上圧延終了までの時間が450 秒未満である場合であっても、450 秒以上である場合であっても同じである。
【0086】
かかる急冷、低温巻取り処理によって、有害な結晶質(Si,Al)Nが鋼中に生成することを防止し、次工程である熱延板焼鈍の昇温過程で、微細なAlN を新たに析出させることができ、これによりインヒビターAlN の抑制力を向上させることができるのである。
【0087】
逆に、700 ℃までの冷却速度が10℃/s未満の場合や、コイル巻き取り温度が650 ℃を超える場合は、熱的に安定な結晶質(Si,Al)Nの析出温度領域に長時間滞留することになるから、熱延板焼鈍の昇温過程で新たに析出する微細AlN の量が不足して、インヒビターAlN の抑制力を向上させることが叶わず、磁気特性が劣化する。なお、ここで析出する結晶質(Si,Al)Nは次工程以降でSiとAlとの置換が進行し、究極にはAlN に転換するとはいえ、そのサイズはおおよそ変化することがないので、初期に析出した粗大なサイズが最後まで保存されてしまい、インヒビター抑制力の向上には寄与しない。
【0088】
熱間圧延後の鋼板は、熱延板焼鈍が施され、1回又は中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延によって最終板厚とされる。
ここに、熱延板焼鈍の昇温過程は、この発明において最も重要な工程の一つであって、600 〜800 ℃の昇温速度を5〜30℃/sとすることが肝要である。かかる昇温速度の制御によって、熱間圧延段階で多量に生起させたAlN の析出サイト上に微細AlN を高密度に生成させる。この微細AlN は600 ℃前後から析出を開始し、800 ℃程度で大部分が析出するので、この温度領域での昇温速度が重要となるである。
【0089】
ここに、かかる温度領域での昇温速度が30℃/sを超える場合は、析出サイトにAlN が高密度かつ微細に析出するが、鋼中の場所によっては析出密度の不十分な領域も存在し、均一微細かつ高密度の析出とはならない。逆に昇温速度が5℃/s未満の場合は、析出頻度が低下し、析出物のサイズが増大する。このように、600 〜800 ℃の昇温速度がこの発明の範囲を外れる場合はいずれもインヒビター抑制力の低下をもたらすので、製品の磁気特性の劣化をもたらす。
【0090】
以上のことから、この発明の主インヒビターである微細AlN の析出のサイズ、析出頻度、均一性等の分散制御は、かかる熱延板焼鈍の昇温過程の600 〜800 ℃での昇温速度の制御によってなされるといえる。
【0091】
かかる昇温速度の制御によって分散析出させた微細AlN は、冷間圧延直前の焼鈍時に、オストワルド成長や固溶・再析出により、分散状態が劣化する可能性が高いので、この発明では、この焼鈍の上限温度を従来より低く、1125℃以下とすることが特に肝要である。すなわち、通常行われている1150℃や1200℃等といった高温の焼鈍では、AlN のオストワルド成長(α−Feの部分)及び固溶・再結晶(γ−Feの部分)をさせることにより、AlN の好適な分散析出状態を得ることを目的としているが、この方法では先に述べた実験結果からも示されるように、この発明の方法と比較して、AlN の微細・均一分散の手法として劣っており、この発明におけるような強い抑制力効果を得ることはできないのである。したがって、この発明における熱延板焼鈍及び最終冷間圧延前の焼鈍の最高温度は、1125℃とする。
【0092】
更に、かかる焼鈍温度の下限値については特に定めないが、AlN の昇温時における析出制御の観点及び実施例でも示されるように、最終冷間圧延直前の平均結晶粒径制御の観点からも1000℃を超えることが望ましい。
【0093】
更に、この発明の第3の技術として、最終冷間圧延直前の鋼板の平均結晶粒径を制御することで、一次再結晶集合組織を制御することがある。すなわち、最終冷間圧延前の鋼板の平均結晶粒径を10〜35μm に制御することが必要であり、より好ましくは12.5〜27.5μm に制御することが望ましい。
このように最終冷間圧延直前の鋼板粒径を10〜35μm の範囲に調整することにより、(110)〔001〕粒の生成頻度を増加させ、かつ{111}〈112〉粒の生成頻度を調整することができ、ひいては(110)〔001〕方位からずれた方位の一次再結晶粒の二次再結晶粒としての成長を抑制して製品の二次再結晶粒の(110)〔001〕方位への集積を高めることができ、磁気特性のさらなる向上をもたらすことができる。
【0094】
ここで、鋼板の平均結晶粒径が10μm 未満の場合には、一次再結晶集合組織において、{111}〈112〉粒の生成頻度が過剰となり、二次再結晶の核として(110)〔001〕方位からずれた方位の結晶粒が多く成長する結果、製品の二次再結晶方位の劣化をもたらし、磁気特性が劣化する。
また、逆に鋼板の平均粒径が35μm を超える場合には、一次再結晶集合組織においても{111}〈112〉粒の生成頻度が低減し、二次再結晶の核としての(110)〔001〕粒の成長さえも抑制される結果、二次再結晶不良が発生し、製品の磁気特性の劣化をもたらす。
【0095】
なお、ここで平均結晶粒径の測定方法は、鋼板の板厚方向の断面であって一方の表層から他方の表層までにわたる領域において、1000個以上の結晶粒の個数を測定し、一個当たりの面積より、円相当径に換算して算出したものである。
【0096】
上記のような最終冷間圧延直前の鋼板における平均結晶粒径の調整は、主として熱延板焼鈍や中間焼鈍での焼鈍温度や時間の変更で行うことができ、これによって平均結晶粒径制御とインヒビターの分散制御を全く独立にできる点がこの発明の優れている点である。すなわち、熱延板焼鈍の昇温速度によりインヒビターの分散制御を行った後は、1125℃以下の温度で焼鈍温度と時間とを変えることにより、平均結晶粒径の適切な制御を行うことが可能である。この平均結晶粒径の制御は、上記の手段の他にも、焼鈍雰囲気や鋼中成分の変更によっても行うことが可能で、これらを併用することも有効である。
【0097】
また、鋼中にCを含有する鋼の場合には、最終冷間圧延直前の焼鈍の冷却過程において、急冷低温保持によって微細カーバイドの析出促進や、析出サイズの調整を行って、一次再結晶集合組織の制御を行うことも有用な手段であり、この発明をこの適用を妨げない。更に、冷間圧延において、150 〜250 ℃の温度での温間圧延や、パス間時効処理によって一次再結晶集合組織の制御を行うことも有効な手段であり、この発明はこの適用を妨げない。
【0098】
次に、この発明で所期するような高磁束密度の方向性電磁鋼板を得るためには最終冷間圧延の圧下率を80〜95%の高圧下とすることが必要であり、この範囲の圧下率を施すことにより、一次再結晶集合組織として、二次再結晶核が成長し易い{111}〈112〉粒の形成頻度を高めることができる。すわなち、圧下率が80%未満や95%を超える場合は、一次再結晶組織における{111}〈112〉粒の生成頻度が急激に低下し、二次再結晶の核の成長が困難となる。
【0099】
上記の最終冷間圧延後のコイルは、次いで一次再結晶焼鈍に供される。この焼鈍は、鋼中にCを含有する場合には脱炭焼鈍を兼ねている。この焼鈍は、750 〜900 ℃、60〜180 秒間で行われる。
【0100】
一次再結晶焼鈍後のコイルは、焼鈍分離剤を塗布した後、コイル状に巻き取ってから二次再結晶焼鈍に供する。この二次再結晶焼鈍は、純化焼鈍を兼ねて最終仕上焼鈍として施すことが一般的である。この最終仕上焼鈍は、公知の方法で行えば良いが、特にこの発明ではSbを鋼中に含有させ、昇温途中で800 〜890 ℃の間で15〜60時間の一定温度保持の処理か、もしくは5℃/hr 以下の昇温速度又は降温速度の昇温処理又は降温処理を施すことが、二次再結晶粒の結晶方位を(110)〔001〕方位に集積させるのに有効である。
【0101】
最終仕上焼鈍後のコイルは、残存する焼鈍分離剤を除去したのち、絶縁抵抗を高める必要のある場合には絶縁コーティング剤を塗布して平坦化焼鈍を施し、製品とされる。また、製品は、プラズマジェット、レーザーもしくは電子ビームの照射や溝形成等の磁区細分化技術を適用することは可能で、この発明の目的とも合致する。
【0102】
【実施例】
(実施例1)
表3に示す成分組成になる鋼塊記号C〜Mのスラブを各2本ずつ準備した。これらのスラブを誘導加熱炉で1400℃に加熱した後、3機直列配置になる粗圧延機及び7スタンドのタンデム圧延機からなる仕上圧延機を用いた熱間圧延により板厚2.20mmの熱延コイルとした。
【0103】
【表3】
Figure 0003644130
【0104】
この熱間圧延においては、粗圧延でのクーラント水量の調整により各鋼種2本のスラブにつき、一方は仕上圧延開始温度を1150〜1220℃とし、仕上圧延終了温度を890 〜970 ℃とし、その後はジェット水を鋼帯に噴射することにより18℃/sの冷却速度で急冷してから、550 ℃でコイル状に巻き取った(適合例)。
【0105】
他方は、仕上圧延開始温度を1250〜1310℃とし、仕上圧延終了温度を1120〜1190℃とし、その後はジェット水を鋼帯に噴射することにより8℃/sで冷却してから、巻き取りは適合例と同じく550 ℃で行った(比較例)。なお、粗圧延開始から仕上圧延終了までの所要時間は、いずれも230 〜290 秒間の範囲であった。
【0106】
熱間圧延終了後は、各鋼板を1000℃で30秒間の熱延板焼鈍を施した、このとき、昇温温度を15〜17℃/s(600 〜800 ℃間の昇温速度13〜16℃/s)とした。この後、酸洗により表面のスケールを除去してから、冷間圧延により中間板厚1.40mmとし、次いで中間焼鈍を施した。この中間焼鈍の条件は、適合例の鋼板については露点50℃、50%H2 、残部N2 バランスの雰囲気中で1080℃で60秒間の熱処理を施したのち、ミスト水を用いて40℃/sの冷却速度で350 ℃まで急冷し、この350 ℃にて20秒間保持した後、冷却し酸洗したものである。一方、比較例の鋼板の中間焼鈍条件については、適合例と同一の雰囲気中で1170℃で60秒間の熱処理を施したのち、ミスト水を用いて40℃/sの冷却速度で室温まで急冷した後、酸洗したものである。
【0107】
これらの鋼板について、中間焼鈍後の鋼板の平均結晶粒径を測定したのち、150 〜220 ℃で温間圧延及びパス間時効を施し、0.19mmの最終板厚に仕上げた。
これらの鋼板は、露点60℃、55%H2 と残部N2 バランスの雰囲気中で840 ℃,120 秒間の脱炭・一次再結晶焼鈍を施し、次いで5%のTiO2と3%のSrSO4 とを含有するMgO を焼鈍分離剤として塗布した後、コイル状に巻き取って最終仕上焼鈍を施した。
【0108】
この最終仕上焼鈍の条件は、以下のとおりである。まず、Sbを含有する記号C,E,H,K,Mのコイルについては、850 ℃までを30℃/hr の昇温速度でN2 中で昇温し、さらにN2 中で850 ℃で35時間保持した後、25%N2 と75%H2 の混合雰囲気中で15℃/hr の昇温速度で1160℃まで昇温し、H2 中で1160℃、8時間保持した後、降温した。
また、記号D,F,G,I,J,Lのコイルについては、850 ℃まで30℃/hr の昇温速度でN2 中で昇温し、さらに25%N2 と75%H2 の混合雰囲気中で15℃/hr の昇温速度で1160℃まで昇温し、H2 中で1160℃、8時間保持した後、降温した。
【0109】
最終仕上焼鈍後は、残像する焼鈍分離剤を除去した後、50%のコロイダルシリカとりん酸マグネシウムからなる張力コーティング剤を塗布した後、800 ℃,1分間のコーティング焼き付けを兼ねる平坦化処理を施し、更に圧延方向に6mmの間隔で線状にプラズマジェットを照射して磁区細分化処理を施して製品とした。これらの製品の磁気特性をを表4に示す。
【0110】
【表4】
Figure 0003644130
【0111】
表4から明らかなように、この発明に従う熱間圧延及び冷間圧延条件を満たす適合例は、比較例に比し極めて優れた磁気特性を有している。
【0112】
(実施例2)
表3に示した鋼塊記号C,D,H,Iのスラブを各2本ずつ準備した。これらのスラブを1350℃に加熱したのち、粗圧延機による粗圧延とステッケル圧延機による仕上圧延とからなる熱間圧延によって2.40mmの板厚の熱延コイルとした。
【0113】
この熱間圧延では、仕上圧延開始温度を980 〜1125℃とし、仕上圧延終了温度を870 〜1020℃とし、粗圧延開始から仕上圧延終了まで490 〜510 秒間を要した。熱間圧延終了後は各鋼種につき、一方のコイルはジェット水を噴射して20℃/sの冷却速度で500 ℃まで急冷した後、コイル状に巻き取り放冷した(適合例)。一方、残るコイルは熱延終了後、5℃/sの冷却速度で500 ℃まで急冷したのち、コイル状に巻き取り放冷した(比較例)。
【0114】
これらの熱延コイルには、次いで1100℃で60秒間の熱延板焼鈍を施したが、このとき、昇温時の加熱制御を行い、600 〜800 ℃間の昇温速度を8.5 〜10.5℃/sの間に制御し、かつ、冷却時にはミスト冷却により冷却速度20℃/sとして鋼中に微細カーバイドを析出させた。この熱延板焼鈍後は鋼板の平均結晶粒径を測定し、酸洗後、150 〜250 ℃での温間圧延とパス間時効により最終板厚0.34mmまで圧延した。
【0115】
最終冷間圧延後は電解脱脂し、次いで露点60℃、H2 55%、残余N2 バランスの雰囲気で脱炭・一次再結晶焼鈍を施した後、8%TiO2を含有するマグネシアを焼鈍分離剤として塗布した後、コイル状に巻き取り最終仕上焼鈍に供した。
この最終仕上焼鈍の条件は、N2 中で800 ℃まで30℃/hr の昇温速度で昇温し、その後20%N2 と80%H2 の雰囲気で1180℃まで15℃/hr の昇温速度で昇温してから、H2 雰囲気中で1180℃、5時間保持した後、降温したものである。
最終仕上焼鈍後は残存する焼鈍分離剤を除去した後、50%のコロイダルシリカとりん酸アルミニウムからなる張力コーティング剤を塗布した後、800 ℃、1分間のコーティング焼き付けを兼ねる平坦化処理を施し、製品とした。
これらの製品の磁気特性を表5に示す。
【0116】
【表5】
Figure 0003644130
【0117】
表5から明らかなように、Seをインヒビター成分として添加した鋼C,Hについて、この発明に従う熱間圧延及び冷間圧延条件を満たす場合に、極めて優れた磁気特性が得られる。
【0118】
(実施例3)
表3に示す鋼塊記号Cのスラブを16本用意し、これらのスラブを誘導加熱炉で1420℃に加熱し、実施例1と同一の熱間圧延機配列で粗圧延及び仕上圧延を施し、2.40mmの板厚の熱延コイルとした。このとき、粗圧延でのロールクーラント及びストリップクーラント水量の調節により、仕上圧延開始温度を1170〜1210℃とし、仕上圧延終了温度を870 〜930 ℃とし、その後、ジェット水を噴射して15℃/sの冷却速度で急冷してから550 ℃でコイル状に巻き取った。このとき、粗圧延開始から仕上圧延終了までの所要時間は350 〜372 秒間であった。
【0119】
熱間圧延後は、各鋼板とも950 ℃で60秒間の熱延板焼鈍を施したが、このとき、昇温速度を調整し、600 〜800 ℃間の昇温速度を12〜15℃/sとした。この後、酸洗により表面スケールを除去し、次いで冷間圧延により1.50mmの板厚に圧延した後、中間焼鈍を施した。この中間焼鈍の条件として、雰囲気を2水準にとり、一つは乾燥雰囲気条件(露点10℃以下、20%N2 と80%H2 )であり、もう一つは湿潤雰囲気条件(露点50℃、50%N2 と残余H2 バランス)とした。また、均熱温度を1080と一定にして均熱時間をそれぞれ5秒間、10秒間、30秒間、60秒間、90秒間、120 秒間、180 秒間、240 秒間とした。この焼鈍後はミスト水で40℃/sの冷却速度で350 ℃まで急冷し、この350 ℃で25秒間保持した後、冷却し酸洗した。次いで、これらの鋼板の平均結晶粒径を測定した後、100 〜230 ℃で温間圧延を施し最終板厚0.22mmに仕上げた。
【0120】
次に脱脂処理を施し、磁区細分化処理の溝を設けるため、鋼板に耐酸性のマスキング処理を選択的に施して、非処理部を電解エッチングし、幅150 μm 、深さ20μm の、圧延方向から85°の方向に伸びる溝を圧延方向における間隔4mmで設けた。
【0121】
次にこれらの鋼板に露点50℃、55%のH2 と残部N2 バランスの雰囲気中で850 ℃、120 秒間の脱炭・一次再結晶焼鈍を施してから、8%のTiO2と3%の Sr(OH)2・8H2O を含有するMgO を焼鈍分離剤として塗布した後、コイル状に巻き取り最終仕上焼鈍を施した。
この最終仕上焼鈍の条件は、N2 中で840 ℃,45時間保持した後、15%N2 と85%H2 との混合雰囲気で20℃/hr の昇温速度で1160℃まで昇温し、H2 中で1160℃、5時間保持してから降温したものである。
【0122】
この最終仕上焼鈍後は、残存する焼鈍分離剤を除去したのち、50%のコロイダルシリカとりん酸マグネシウムからなる張力コーティングを塗布した後、800 ℃、1分間のコーティング焼き付けを兼ねる平坦化処理を施し、製品とした。
これらの製品の磁気特性と中間焼鈍後の鋼板の平均結晶粒径との関係を図3に示す。この図3に示されるように、この発明に従い、鋼板の平均結晶粒径が10〜35μm である範囲において、優れた磁気特性の製品が得られている。
【0123】
(実施例4)
表3に示す鋼塊記号A,Bのスラブを各3本ずつガス炉で1200℃に加熱し、実施例1と同一の熱間圧延機配列により粗圧延及び仕上圧延を施し、A、B共に2本は、板厚2.70mmに、残り1本は板厚2.00mmに熱間圧延して熱延コイルとした。この熱間圧延の際、仕上圧延開始温度を1030〜1090℃とし、仕上圧延終了温度を830 〜890 ℃とした。この仕上圧延終了後はジェット水を噴射して14℃/sの冷却速度で急冷し、550 ℃でコイル状に巻き取った。このときの粗圧延開始から仕上圧延終了までの所要時間は284 〜320 秒であった。
【0124】
熱間圧延後は、均熱温度1000℃の熱延板焼鈍を施したが、このとき、板厚2.70mmの熱延板の一方は600 〜800 ℃間の昇温速度を3℃/sとし、他方は急熱処理により600 〜800 ℃間の昇温速度を14℃/sとした。また、板厚2.00mmの熱延板は600 〜800 ℃間の昇温速度を16℃/sとした。なお、均熱時間は、平均結晶粒径を18〜21μm とするため、50秒間とした。これらの鋼板は、平均結晶粒径を測定した後、250 ℃での温間圧延により0.49mmの最終板厚に仕上げた。
【0125】
この後、脱脂処理を施し、鋼Aについては露点60℃、50%H2 残部N2 バランスの雰囲気下で840 ℃、200 秒間の脱炭・一次再結晶焼鈍を施し、また、鋼Bについては露点40℃、40%H2 、残部N2 バランスの雰囲気下で840 ℃、60秒間の一次再結晶焼鈍を施した。この後は5%のTiO2を含有するMgO 焼鈍分離剤を塗布してコイル状に巻き取り、最終仕上焼鈍を施した。
【0126】
この最終仕上焼鈍の条件は、N2 中900 ℃まで30℃/hr の昇温速度で昇温し、次いで25%N2 と75%H2 との混合雰囲気で1180℃まで15℃/hr の昇温速度で昇温して、引き続きH2 中で1180℃で5時間保持したのち、降温したものである。
【0127】
最終仕上晶緒後は残存する焼鈍分離剤を除去した後、50%のコロイダルシリカとりん酸マグネシウムからなる張力コーティングを塗布した後、800 ℃,1分間のコーティング焼き付けを兼ねる平坦化処理を施して製品とした。これらの経遺品の磁気特性を表6に示す。
【0128】
【表6】
Figure 0003644130
【0129】
表6に示されるように、この発明に従う熱間圧延工程及び冷間圧延工程の条件を満たす製品は、優れた磁気特性を示している。
【0130】
(実施例5)
表3に示した鋼塊記号Kのスラブを8本準備した。これらのスラブを1400℃に加熱し、1機の粗圧延機と6スタンドの仕上圧延機からなる熱間圧延設備によって、往復による3回の粗圧延と仕上圧延を施し、2.20mmの熱延コイルとした。このとき、粗圧延でのクーラント水量を調節して仕上圧延開始温度を1100〜1150℃、仕上圧延終了温度を920 〜970 ℃とし、仕上圧延終了後はジェット水を噴射して16℃/sの冷却速度で急冷し500 ℃でコイル状に巻き取った。このときの粗圧延開始から仕上圧延終了までの所要時間は198 〜216 秒間であった。
【0131】
熱間圧延後、昇温速度10℃/s(600 〜800 ℃間にて12℃/s)で均熱温度1000℃の熱延板焼鈍を施し、酸洗後、冷間圧延により1.50mmの中間板厚とした。引き続く中間焼鈍は、露点45℃、60%H2 、残部N2 バランスの雰囲気で均熱時間60秒間の熱処理であって、引き続きミスト水により40℃/sの冷却速度で急冷処理をするものであるが、この中間焼鈍の均熱時間をそれぞれ1000℃、1050℃、1075℃、1100℃、1125℃、1150℃、1175℃、1200℃に変更した。
【0132】
この中間焼鈍後の鋼板は、平均結晶粒径を測定した後、酸洗を施し、次いで、150 〜230 ℃の温間圧延とパス間時効からなる冷間圧延によって最終板厚0.22mmまで仕上げた。
【0133】
この後、脱脂処理を施し、露点60℃,50%H2 、残部N2 バランスの雰囲気下で840 ℃,120 秒間の脱炭・一次再結晶焼鈍を施し、次いで8%のTiO2を含有するMgO 焼鈍分離剤を塗布してからコイル状に巻き取って最終仕上焼鈍に供した。この最終仕上焼鈍条件は、860 ℃までN2 中で40℃/hr の昇温速度で昇温し、引き続いてこの860 ℃で25時間N2 中で保持した後、25%N2 と75%H2 の雰囲気で12℃/hの昇温速度で1200まで昇温してから、H2 中で1200℃で5時間保持した後、降温したものである。
【0134】
最終仕上照度後は、残存する焼鈍分離剤を除去したのち、磁区細分化処理として突起ロールで幅100 μm 、深さ15μm 、圧延方向から85°に伸びる溝を圧延方向に4mmの間隔で形成し、次いで50%のコロイダルシリカとりん酸マグネシウムからなる張力コーティングを塗布した後、800 ℃、1分間のコーティング焼き付けを兼ねる平坦化処理を施し、製品とした。
これらの製品の磁気特性を表7に示す。
【0135】
【表7】
Figure 0003644130
【0136】
表7に示されるように、中間焼鈍後の平均結晶粒径が8.2 μm と小さい、均熱温度:1000℃の条件の製品及び均熱温度1150℃,1175℃、1200℃とこの発明の均熱温度よりも高い条件の製品については、磁気特性が劣っているが、この発明に従う冷間圧延工程を満たす製品については、極めて良好な磁気特性が得られている。
【0137】
【発明の効果】
かくしてこの発明によれば、Alを含有する方向性電磁鋼板を製造する際、熱間圧延工程の各種条件の制御及び冷間圧延条件の制御によるインヒビターAlN の新しい析出制御の方法によって、極めて優れた磁気特性の方向性電磁鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う熱延板、熱延板焼鈍の1000℃昇温直後の鋼板及び脱炭・一次再結晶焼鈍後の析出物の粒径分布と生成頻度とを示す図である。
【図2】従来の熱延板、熱延板焼鈍の1000℃昇温直後の鋼板及び脱炭・一次再結晶焼鈍後の析出物の粒径分布と生成頻度とを示す図である。
【図3】実施例における中間焼鈍後の鋼板の平均結晶粒径と磁気特性との関係を示す図である。

Claims (8)

  1. Cを0.10wt%以下、Siを2.5〜5.0 wt%、Mn 0.005 0.10wt %、Alを0.005〜0.040wt%及びNを0.0040〜0.0130wt%含有し、残部はFe及び不可避的不純物の組成になる方向性電磁鋼スラブに、粗圧延開始から仕上圧延終了までの時間が 450秒未満である熱間圧延を施したのち、熱延板焼鈍を施し、次いで1回又は中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延により最終板厚とした後、一次再結晶焼鈍及び二次再結晶焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記熱間圧延における仕上圧延の開始温度を1000〜1230℃、終了温度を 800〜1100℃とし、かつ、この仕上圧延終了から 700℃までの冷却速度を10℃/s以上として 650℃以下で巻き取ること、
    上記熱延板焼鈍の昇温過程における 600〜800 ℃間の昇温速度を5〜30℃/sとするとともに、この熱延板焼鈍及び最終冷間圧延前の焼鈍の温度を1125℃以下とすること、
    最終冷間圧延直前の鋼帯の平均結晶粒径を10〜35μm に調整すること及び
    最終冷延圧延の圧下率を80〜95%とすること
    の結合を特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 最終冷間圧延直前の鋼板の平均結晶粒径を12.5〜27.5μm に調整することを特徴とする請求項1記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 鋼スラブが、更にS及びSeの1種又は2種を合計で0.005 〜0.030 wt%含有するものであり、
    熱間圧延における仕上圧延の開始温度を1000〜1200℃、終了温度を 850〜1000℃とすることを特徴とする請求項1又は2記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. Cを0.10wt%以下、Siを2.5〜5.0 wt%、Mn 0.005 0.10wt %、Alを0.005〜0.040wt%及びNを0.0040〜0.0130wt%含有し、残部はFe及び不可避的不純物の組成になる方向性電磁鋼スラブに、粗圧延開始から仕上圧延終了までの時間が 450秒以上である熱間圧延を施したのち、熱延板焼鈍を施し、次いで1回又は中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延により最終板厚とした後、一次再結晶焼鈍及び二次再結晶焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記鋼スラブが、更にSeを0.005〜0.030wt%含有するものであり、
    上記熱間圧延における仕上圧延開始から終了までの時間を 460秒以下に制限したうえで、この仕上圧延終了温度を 850〜1150℃とし、かつ、この仕上圧延終了から 700℃までの冷却速度を10℃/s以上として 650℃以下で巻き取ること、
    上記熱延板焼鈍の昇温過程における 600〜800 ℃間の昇温速度を5〜30℃/sとするとともに、この熱延板焼鈍及び最終冷間圧延前の焼鈍の温度を1125℃以下とすること、
    最終冷間圧延直前の鋼帯の平均結晶粒径を10〜35μm に調整すること及び
    最終冷延圧延の圧下率を80〜95%とすること
    の結合を特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 鋼スラブが、更にSbを 0.005〜0.060 wt%含有するものであり、熱延板焼鈍工程における冷却速度を5〜60℃/sとし、かつ、二次再結晶焼鈍における昇温時に 800〜890 ℃の間で15〜60時間、一定温度に保持するか、該温度範囲で5℃/hr 以下の昇温速度又は降温速度により昇温又は降温する処理を施すことを特徴とする請求項1〜4から選ばれるいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 鋼スラブが、更に Cu 0.005 0.30wt %含有することを特徴とする請求項1〜5から選ばれるいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. 鋼スラブが、更にSn,P,Bi,As,B,Ge,V,Nb,Cr及びTeのうちから選んだ1種又は2種を、Sn,Crはそれぞれ0.03〜0.30wt%、Biは 0.005〜0.020 wt%、P,Ge,V,Nb,As,Teはそれぞれ 0.005〜0.030 wt%、Bは0.0005〜0.0020wt%の範囲で含有することを特徴とする請求項1〜から選ばれるいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  8. 鋼スラブが、更にMoを0.005〜0.020wt%含有することを特徴とする請求項1〜から選ばれるいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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