JP3529506B2 - 原子炉格納容器 - Google Patents
原子炉格納容器Info
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E30/00—Energy generation of nuclear origin
- Y02E30/30—Nuclear fission reactors
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- Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は原子炉格納容器に係
り、特に原子炉格納容器の上部に設置されるトップヘッ
ド部の製作性を向上した原子炉格納容器に関する。 【０００２】 【従来の技術】原子力発電所においては図５の断面図に
示すように、原子炉である原子炉圧力容器１を収納した
一次格納施設として原子炉格納容器２が構築されてい
る。この原子炉格納容器２内で、鉄筋コンクリート製原
子炉格納容器２については、トップヘッド部３として図
６の要部断面図に示すように、鋼製のトップヘッド４と
円筒状のトップスリーブ５が、互いに主フランジ６で結
合されている。 【０００３】また、前記トップスリーブ５の上端周及び
下端周には、これを取り巻いて設置された上部フランジ
プレート７による上部フランジと、下部フランジプレー
ト８による下部フランジが形成されている。さらに、前
記上部フランジプレート７と前記トップスリーブ５の外
周、及び下部フランジプレート８と前記トップスリーブ
５の外周には、相互を溶接して固定された上部ガセット
プレート９による上部ガセットと、下部ガセットプレー
ト10による下部ガセットが形成されて構成している。 【０００４】なお、これらが設けてあるトップスリーブ
５の外周部分は、鉄筋コンクリート製のトップスラブ11
に埋設される構造となっており、下部フランジプレート
８は、トップスラブ11の下面に設置されるライナプレー
ト12と接続されている。また、図７の要部斜視図は下部
ガセット部を示したものである。 【０００５】ここで内径が約30ｍ、高さが約36ｍでトッ
プヘッド部３の内径が約10ｍ、さらに、最高使用圧力が
310kpaの原子炉格納容器を一例として、ヘッドスリーブ
５における上部フランジ部と下部フランジ部、及び上部
ガセットと下部ガセットの詳細について図８の拡大断面
図により説明する。なお図８（ａ）は上部フランジ部、
図８（ｂ）は下部フランジ部を示す。 【０００６】前記原子炉格納容器のトップスリーブ５
で、上部フランジ部における上部フランジプレート７の
板厚Ｔ1 は38mmで、上部ガセットプレート９の寸法はＬ
1 が 200mmで、Ｌ2 も 200mmであり、板厚Ｔ2 は38mm
で、全周に 120枚設置されてる。また、下部フランジ部
における下部フランジプレート８の板厚Ｔ3 は38mmで、
下部ガセットプレート10の寸法はＬ3 が 200mmで、Ｌ4
も 200mmであり、板厚Ｔ4 は38mmで、全周に 120枚設置
されいる。 【０００７】さらに、上部ガセットプレート９において
は前記ヘッドスリーブ５と上部フランジプレート７と
の、また、下部ガセットプレート10においては前記ヘッ
ドスリーブ５と下部フランジプレート８との溶接部を避
けるように円弧上のスカラップ部13があけられていて、
上部フランジ部と下部フランジ部は同一構造である。 【０００８】この場合の上部フランジプレート７と上部
ガセットプレート９、及び下部フランジプレートと下部
ガセットプレート10における応力状態としては、最も厳
しい下部フランジプレート８と下部ガセットプレート10
における発生応力／許容応力の比が0.66である。これに
比べて上部フランジプレート７と上部ガセットプレート
９における状態は、この比が 0.1以下となっており、上
部フランジ部においては大巾な設計余裕を有している。 【０００９】 【発明が解決しようとする課題】鉄筋コンクリート製原
子炉格納容器２のトップヘッド部３におけるヘッドスリ
ーブ５の外周には、機械的強度確保とトップスラブ11と
の結合のために多数の上部ガセットプレート９と下部ガ
セットプレート10が設けられている。 【００１０】従って、ヘッドスリーブ５としての製作性
及び溶接作業性が悪く、また検査性等多くの面で手間が
かかり、現地作業としても前記トップスラブ11における
配筋作業は、前記多数の上部ガセットプレート９と下部
ガセットプレート10を避けて実施しなければならないこ
とから、工程的にも日数のかかる作業となる不具合があ
った。 【００１１】さらに、ヘッドスリーブ５において、上部
ガセット廻りは応力的に十分な余裕があるにもかかわら
ず、その構造は応力的に最も厳しい下部ガセット廻りの
構造に合わせて、上部ガセットも下部ガセットと同一の
構造であり、ガセット枚数も同じになっている。 【００１２】本発明の目的とするところは、鉄筋コンク
リート製原子炉格納容器のヘッドスリーブにおいて、フ
ランジ及びガセットの簡素化と枚数削減により資材量の
削減と共に、製作性と現地作業の効率を向上した原子炉
格納容器を提供することにある。 【００１３】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項１記載の発明に係る原子炉格納容器は、原子炉圧
力容器を内部に収める鉄筋コンクリート製の原子炉格納
容器において、上部に位置するトップヘッド部でコンク
リート製のトップスラブと結合するヘッドスリーブが、
円筒状のヘッドスリーブとこの上下端に設けたフランジ
と、このフランジ及び前記ヘッドスリーブの外周に固定
する複数のガセットから構成すると共に、ガセットのせ
ん断応力τと許容応力τａの比をτ／τａとした時に１
２０×３８×１３５×τ／τａで求めれられる規定値
と、前記ガセットの寸法と枚数とが、ガセット板厚およ
びガセットのフランジ溶接部寸法をｍｍ単位で表した時
に、ガセット板厚×ガセットのフランジ溶接部寸法×ガ
セット枚数≧規定値の関係にあり、しかも、前記ヘッド
スリーブに設けたフランジ構造とガセット構造及びガセ
ット枚数が、上部フランジと下部フランジで異なること
を特徴とする。 【００１４】ガセット板厚とフランジとの溶接部寸法及
びガセット枚数との関係から、原子炉格納容器のヘッド
スリーブとして必要な許容応力から誘導した計算式によ
り効果的な設計を行なう。しかも、フランジプレートの
寸法や、ガセットプレートの寸法及び枚数を、それぞれ
適切な構造設計することにより互いに異なる構造及び数
値にできる。 【００１５】 【００１６】 【００１７】 【００１８】 【００１９】 【００２０】 【００２１】 【００２２】 【発明の実施の形態】本発明の一実施例について図面を
参照して説明する。なお、上記した従来技術と同じ構成
部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。第１
実施例は、図１の要部断面図に示すように、鋼製のトッ
プヘッド４と円筒状のトップスリーブ５は、互いに主フ
ランジ６で結合されている。 【００２３】前記トップスリーブ５の上端周及び下端周
には、これを取り巻いて設置された上部フランジプレー
ト14による上部フランジと、下部フランジプレート15に
よる下部フランジが形成されている。また、前記上部フ
ランジプレート14と前記トップスリーブ５の外周、及び
下部フランジプレート15と前記トップスリーブ５の外周
には、相互を溶接して固定された上部ガセットプレート
16による上部ガセットと、下部ガセットプレート17によ
る下部ガセットが形成されている。 【００２４】なお、これらが設けてあるトップスリーブ
５の外周部分は、鉄筋コンクリート製のトップスラブ11
に埋設される構造となっていて、下部フランジプレート
15は、トップスラブ11の下面に設置されるライナプレー
ト12と接続されている。 【００２５】図２の拡大断面図で（ａ）は上部フランジ
部、（ｂ）は下部フランジ部を示し、ヘッドスリーブ５
に設けた上部フランジプレート14と下部フランジプレー
ト15には、それぞれ上部ガセットプレート16と下部ガセ
ットプレート17がヘッドスリーブ５と共に溶接により固
定して構成されている。 【００２６】本発明では、資材量の低減及び製作性の向
上を主目的として、ガセット枚数を低減するものであ
り、このガセット枚数の低減に際して設計余裕の見直し
を行い、基本的方針として発生応力は許容応力の大きさ
まで許されるものとして検討を行った。 【００２７】この結果から、（ガセット板厚：単位m
m），（ガセットのフランジ溶接部寸法：単位mm），
（ガセット枚数）の各項目の積が下記に示すような一定
の関係を保持することにより、適切な構造の鉄筋コンク
リート製原子炉格納容器が提供することができる。 【００２８】先ず下部ガセットについては、（ガセット
板厚：単位mm）×（ガセットのフランジ溶接部寸法：単
位mm）×（ガセット枚数）が３３２４２４以上とする。
また、上部ガセットについては、（ガセット板厚：単位
mm）×（ガセットのフランジ溶接部寸法：単位mm）×
（ガセット枚数）が４３０９２以上とする。 【００２９】これらの関係は以下のような考え方に基づ
き設定したものである。上部ガセットプレート９及び下
部ガセットプレート10に発生するせん断応力τは次の式
(1) で表される。 【００３０】 τ＝（Ｄ0 ＋２Ｔ0 ） 2Ｐπ／（４Ｎ×Ｔg ×ｌg ）…(1) 【００３１】ここで、Ｄ0 はヘッドスリーブの内径（m
m），Ｔ0 はヘッドスリーブの板厚（mm），Ｔg はガセ
ットプレートの板厚（mm），Ｐは原子炉格納容器の最高
使用圧力（kg／cm2 ），Ｎはガセット枚数（枚），ｌg
はガセット寸法からスカラップ寸法を引いた値（mm）
（即ちガセットプレートとフランジプレートとの溶接部
長さ）。 【００３２】上記式(1) は分子を定数Ｋに、また分母を
変数とみなすことができる。従って式(1) は次の式(2)
のように書き換えることができる。 τ＝Ｋ／（Ｎ×Ｔg ×ｌg ）…(2) 【００３３】ここで、応力条件の厳しい下部ガセットプ
レート10を例にして現設計におけるせん断応力τと許容
応力τａとの比τ／τａは0.54である。また、この時の
式(2) における各値の、ガセット枚数Ｎ＝ 120，下部ガ
セットプレート板厚Ｔ4 ＝38，溶接部長さｌ2 ＝ 135を
代入することにより、下部ガセットプレート10に発生す
るせん断応力を許容値一杯までとった場合のガセット枚
数Ｎ，下部ガセットプレート板厚Ｔ4 ，溶接部長さｌ2
の関係が次の式(3) により得られる。 【００３４】 Ｎ×Ｔ4 ×ｌ2 ≧ 120×38× 135×0.54＝332424…(3) 【００３５】さらに、上部ガセットプレート９について
も同様の考え方を適用すると次の式(4) のようになる。 Ｎ×Ｔ2 ×ｌ1 ≧ 120×38× 135×0.07＝43092 …(4) 【００３６】この条件のもとで本発明による具体的な設
計を実施すると、図１及び図２に示すように、先ず下部
フランジ部で下部ガセットプレート17については、寸法
Ｌ7を 200mmで寸法Ｌ8 も 200mmとして板厚Ｔ8 が38mm
の場合は、ガセット枚数を最少65枚にできる。また、下
部ガセットプレート17の寸法Ｌ7 が 300mm，寸法Ｌ8 も
300mmで板厚Ｔ8 が38mmの場合には、ガセット枚数は最
少38枚で良いこととなり、従来のガセット枚数 120枚に
比べると大巾に低減することができる。 【００３７】これにより、資材量が削減されるばかりで
なく、製作性の向上やトップスラブ11の構築に際しての
工数も低減される。なお、この時の下部フランジプレー
ト15の板厚Ｔ7 について、同様の考え方にのっとり検討
を行った結果から、30mm以上であれば良いとの結果が得
られた。 【００３８】次に、上部ガセット部については従来から
余裕が十分にあるため、下部ガセットプレート17の場合
と同様の検討を行った結果、ガセット枚数を大巾に削減
することが可能となった。 【００３９】具体的には上部ガセットプレート16の寸法
Ｌ5 が 200mm，Ｌ6 も 200mmで、板厚Ｔ6 30mmの場合
は、ガセット枚数は最少11枚で良く、また、上部ガセッ
トプレート16の寸法Ｌ5 を 300mm，Ｌ6 も 300mmとし
て、板厚Ｔ6 が30mmの場合は、ガセット枚数は最少７枚
でよいこととなる。従来の下部ガセットプレート17と同
一枚数の 120枚であったことを考えると、大幅な物量低
減及び製作性の向上ができることになる。 【００４０】第２実施例は、上記図２と同様の構成で上
部ガセットと下部のガセットを上記の関係を保てる範囲
として試算すると、上部ガセットプレート16の寸法Ｌ5
が 200mm，寸法Ｌ6 が 200mmで、板厚Ｔ6 を30mmとする
と、ガセット枚数は40枚である。 【００４１】また、下部ガセットプレート17の寸法Ｌ7
が 200mm，寸法Ｌ8 が 200mmで、板厚Ｔ8 を38mmとする
と、ガセット枚数は80枚とすることができる。即ち、上
部ガセットプレート16と、下部ガセットプレート17の寸
法及び枚数は、それぞれの許容応力に見合ってさらに異
なる数値及び構造とすることができる。 【００４２】なお、ヘッドスリーブ５の下端と下部フラ
ンジプレート15との溶接部18について、従来は開先を切
って溶接を行っていたが、図２（ｂ）に示すように、下
部フランジプレート15上にヘッドスリーブ５を乗せる状
態にして、隅肉溶接とすることにより溶接作業性が向上
する。 【００４３】第３実施例は、図３の要部断面図に示すよ
うに、原子炉格納容器２のトップヘッド部３におけるヘ
ッドスリーブ５で、外周に複数のスタッド19を設置によ
るアンカ構造とした構成とする。 【００４４】上記構成による作用としては、ヘッドスリ
ーブ５の外周は、トップスラブ11のコンクリートとの定
着性を強化する必要があるが、ヘッドスリーブ５の外周
は複数のスタッド19がアンカ機能を奏し、トップスラブ
11における配筋と打設したコンクリートと密着して、堅
固なトップスラブ11を構築する。また、ガセットプレー
トを使用しないことから、資材量の低減と、製作性及び
現地作業性を向上することができる。 【００４５】第４実施例は、図４の要部断面図に示すよ
うに、原子炉格納容器２におけるヘッドスリーブ５の外
周に、複数のカットティ鋼20を設置してアンカ構造とし
た構成としている。 【００４６】上記構成による作用としては、ヘッドスリ
ーブ５の外周に設置された複数のカットティ鋼20がアン
カ機能となり、トップスラブ11における配筋と打設した
コンクリートと密着して、堅固なトップスラブ11を構築
することができる。また、ガセットプレートを使用しな
いことから、資材量の低減と、製作性及び現地作業の効
率を向上することができる。 【００４７】 【発明の効果】以上本発明によれば、原子炉格納容器の
ヘッドスリーブにおいて、機械的強度を損なわずに、ガ
セット枚数の大幅削減と構造の簡素化が可能となり、資
材量の低減と共に溶接作業等の作業効率向上をはかるこ
とができる。また、ガセット枚数が低減したことにより
現地における配筋作業性が向上する効果もある。
り、特に原子炉格納容器の上部に設置されるトップヘッ
ド部の製作性を向上した原子炉格納容器に関する。 【０００２】 【従来の技術】原子力発電所においては図５の断面図に
示すように、原子炉である原子炉圧力容器１を収納した
一次格納施設として原子炉格納容器２が構築されてい
る。この原子炉格納容器２内で、鉄筋コンクリート製原
子炉格納容器２については、トップヘッド部３として図
６の要部断面図に示すように、鋼製のトップヘッド４と
円筒状のトップスリーブ５が、互いに主フランジ６で結
合されている。 【０００３】また、前記トップスリーブ５の上端周及び
下端周には、これを取り巻いて設置された上部フランジ
プレート７による上部フランジと、下部フランジプレー
ト８による下部フランジが形成されている。さらに、前
記上部フランジプレート７と前記トップスリーブ５の外
周、及び下部フランジプレート８と前記トップスリーブ
５の外周には、相互を溶接して固定された上部ガセット
プレート９による上部ガセットと、下部ガセットプレー
ト10による下部ガセットが形成されて構成している。 【０００４】なお、これらが設けてあるトップスリーブ
５の外周部分は、鉄筋コンクリート製のトップスラブ11
に埋設される構造となっており、下部フランジプレート
８は、トップスラブ11の下面に設置されるライナプレー
ト12と接続されている。また、図７の要部斜視図は下部
ガセット部を示したものである。 【０００５】ここで内径が約30ｍ、高さが約36ｍでトッ
プヘッド部３の内径が約10ｍ、さらに、最高使用圧力が
310kpaの原子炉格納容器を一例として、ヘッドスリーブ
５における上部フランジ部と下部フランジ部、及び上部
ガセットと下部ガセットの詳細について図８の拡大断面
図により説明する。なお図８（ａ）は上部フランジ部、
図８（ｂ）は下部フランジ部を示す。 【０００６】前記原子炉格納容器のトップスリーブ５
で、上部フランジ部における上部フランジプレート７の
板厚Ｔ1 は38mmで、上部ガセットプレート９の寸法はＬ
1 が 200mmで、Ｌ2 も 200mmであり、板厚Ｔ2 は38mm
で、全周に 120枚設置されてる。また、下部フランジ部
における下部フランジプレート８の板厚Ｔ3 は38mmで、
下部ガセットプレート10の寸法はＬ3 が 200mmで、Ｌ4
も 200mmであり、板厚Ｔ4 は38mmで、全周に 120枚設置
されいる。 【０００７】さらに、上部ガセットプレート９において
は前記ヘッドスリーブ５と上部フランジプレート７と
の、また、下部ガセットプレート10においては前記ヘッ
ドスリーブ５と下部フランジプレート８との溶接部を避
けるように円弧上のスカラップ部13があけられていて、
上部フランジ部と下部フランジ部は同一構造である。 【０００８】この場合の上部フランジプレート７と上部
ガセットプレート９、及び下部フランジプレートと下部
ガセットプレート10における応力状態としては、最も厳
しい下部フランジプレート８と下部ガセットプレート10
における発生応力／許容応力の比が0.66である。これに
比べて上部フランジプレート７と上部ガセットプレート
９における状態は、この比が 0.1以下となっており、上
部フランジ部においては大巾な設計余裕を有している。 【０００９】 【発明が解決しようとする課題】鉄筋コンクリート製原
子炉格納容器２のトップヘッド部３におけるヘッドスリ
ーブ５の外周には、機械的強度確保とトップスラブ11と
の結合のために多数の上部ガセットプレート９と下部ガ
セットプレート10が設けられている。 【００１０】従って、ヘッドスリーブ５としての製作性
及び溶接作業性が悪く、また検査性等多くの面で手間が
かかり、現地作業としても前記トップスラブ11における
配筋作業は、前記多数の上部ガセットプレート９と下部
ガセットプレート10を避けて実施しなければならないこ
とから、工程的にも日数のかかる作業となる不具合があ
った。 【００１１】さらに、ヘッドスリーブ５において、上部
ガセット廻りは応力的に十分な余裕があるにもかかわら
ず、その構造は応力的に最も厳しい下部ガセット廻りの
構造に合わせて、上部ガセットも下部ガセットと同一の
構造であり、ガセット枚数も同じになっている。 【００１２】本発明の目的とするところは、鉄筋コンク
リート製原子炉格納容器のヘッドスリーブにおいて、フ
ランジ及びガセットの簡素化と枚数削減により資材量の
削減と共に、製作性と現地作業の効率を向上した原子炉
格納容器を提供することにある。 【００１３】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項１記載の発明に係る原子炉格納容器は、原子炉圧
力容器を内部に収める鉄筋コンクリート製の原子炉格納
容器において、上部に位置するトップヘッド部でコンク
リート製のトップスラブと結合するヘッドスリーブが、
円筒状のヘッドスリーブとこの上下端に設けたフランジ
と、このフランジ及び前記ヘッドスリーブの外周に固定
する複数のガセットから構成すると共に、ガセットのせ
ん断応力τと許容応力τａの比をτ／τａとした時に１
２０×３８×１３５×τ／τａで求めれられる規定値
と、前記ガセットの寸法と枚数とが、ガセット板厚およ
びガセットのフランジ溶接部寸法をｍｍ単位で表した時
に、ガセット板厚×ガセットのフランジ溶接部寸法×ガ
セット枚数≧規定値の関係にあり、しかも、前記ヘッド
スリーブに設けたフランジ構造とガセット構造及びガセ
ット枚数が、上部フランジと下部フランジで異なること
を特徴とする。 【００１４】ガセット板厚とフランジとの溶接部寸法及
びガセット枚数との関係から、原子炉格納容器のヘッド
スリーブとして必要な許容応力から誘導した計算式によ
り効果的な設計を行なう。しかも、フランジプレートの
寸法や、ガセットプレートの寸法及び枚数を、それぞれ
適切な構造設計することにより互いに異なる構造及び数
値にできる。 【００１５】 【００１６】 【００１７】 【００１８】 【００１９】 【００２０】 【００２１】 【００２２】 【発明の実施の形態】本発明の一実施例について図面を
参照して説明する。なお、上記した従来技術と同じ構成
部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。第１
実施例は、図１の要部断面図に示すように、鋼製のトッ
プヘッド４と円筒状のトップスリーブ５は、互いに主フ
ランジ６で結合されている。 【００２３】前記トップスリーブ５の上端周及び下端周
には、これを取り巻いて設置された上部フランジプレー
ト14による上部フランジと、下部フランジプレート15に
よる下部フランジが形成されている。また、前記上部フ
ランジプレート14と前記トップスリーブ５の外周、及び
下部フランジプレート15と前記トップスリーブ５の外周
には、相互を溶接して固定された上部ガセットプレート
16による上部ガセットと、下部ガセットプレート17によ
る下部ガセットが形成されている。 【００２４】なお、これらが設けてあるトップスリーブ
５の外周部分は、鉄筋コンクリート製のトップスラブ11
に埋設される構造となっていて、下部フランジプレート
15は、トップスラブ11の下面に設置されるライナプレー
ト12と接続されている。 【００２５】図２の拡大断面図で（ａ）は上部フランジ
部、（ｂ）は下部フランジ部を示し、ヘッドスリーブ５
に設けた上部フランジプレート14と下部フランジプレー
ト15には、それぞれ上部ガセットプレート16と下部ガセ
ットプレート17がヘッドスリーブ５と共に溶接により固
定して構成されている。 【００２６】本発明では、資材量の低減及び製作性の向
上を主目的として、ガセット枚数を低減するものであ
り、このガセット枚数の低減に際して設計余裕の見直し
を行い、基本的方針として発生応力は許容応力の大きさ
まで許されるものとして検討を行った。 【００２７】この結果から、（ガセット板厚：単位m
m），（ガセットのフランジ溶接部寸法：単位mm），
（ガセット枚数）の各項目の積が下記に示すような一定
の関係を保持することにより、適切な構造の鉄筋コンク
リート製原子炉格納容器が提供することができる。 【００２８】先ず下部ガセットについては、（ガセット
板厚：単位mm）×（ガセットのフランジ溶接部寸法：単
位mm）×（ガセット枚数）が３３２４２４以上とする。
また、上部ガセットについては、（ガセット板厚：単位
mm）×（ガセットのフランジ溶接部寸法：単位mm）×
（ガセット枚数）が４３０９２以上とする。 【００２９】これらの関係は以下のような考え方に基づ
き設定したものである。上部ガセットプレート９及び下
部ガセットプレート10に発生するせん断応力τは次の式
(1) で表される。 【００３０】 τ＝（Ｄ0 ＋２Ｔ0 ） 2Ｐπ／（４Ｎ×Ｔg ×ｌg ）…(1) 【００３１】ここで、Ｄ0 はヘッドスリーブの内径（m
m），Ｔ0 はヘッドスリーブの板厚（mm），Ｔg はガセ
ットプレートの板厚（mm），Ｐは原子炉格納容器の最高
使用圧力（kg／cm2 ），Ｎはガセット枚数（枚），ｌg
はガセット寸法からスカラップ寸法を引いた値（mm）
（即ちガセットプレートとフランジプレートとの溶接部
長さ）。 【００３２】上記式(1) は分子を定数Ｋに、また分母を
変数とみなすことができる。従って式(1) は次の式(2)
のように書き換えることができる。 τ＝Ｋ／（Ｎ×Ｔg ×ｌg ）…(2) 【００３３】ここで、応力条件の厳しい下部ガセットプ
レート10を例にして現設計におけるせん断応力τと許容
応力τａとの比τ／τａは0.54である。また、この時の
式(2) における各値の、ガセット枚数Ｎ＝ 120，下部ガ
セットプレート板厚Ｔ4 ＝38，溶接部長さｌ2 ＝ 135を
代入することにより、下部ガセットプレート10に発生す
るせん断応力を許容値一杯までとった場合のガセット枚
数Ｎ，下部ガセットプレート板厚Ｔ4 ，溶接部長さｌ2
の関係が次の式(3) により得られる。 【００３４】 Ｎ×Ｔ4 ×ｌ2 ≧ 120×38× 135×0.54＝332424…(3) 【００３５】さらに、上部ガセットプレート９について
も同様の考え方を適用すると次の式(4) のようになる。 Ｎ×Ｔ2 ×ｌ1 ≧ 120×38× 135×0.07＝43092 …(4) 【００３６】この条件のもとで本発明による具体的な設
計を実施すると、図１及び図２に示すように、先ず下部
フランジ部で下部ガセットプレート17については、寸法
Ｌ7を 200mmで寸法Ｌ8 も 200mmとして板厚Ｔ8 が38mm
の場合は、ガセット枚数を最少65枚にできる。また、下
部ガセットプレート17の寸法Ｌ7 が 300mm，寸法Ｌ8 も
300mmで板厚Ｔ8 が38mmの場合には、ガセット枚数は最
少38枚で良いこととなり、従来のガセット枚数 120枚に
比べると大巾に低減することができる。 【００３７】これにより、資材量が削減されるばかりで
なく、製作性の向上やトップスラブ11の構築に際しての
工数も低減される。なお、この時の下部フランジプレー
ト15の板厚Ｔ7 について、同様の考え方にのっとり検討
を行った結果から、30mm以上であれば良いとの結果が得
られた。 【００３８】次に、上部ガセット部については従来から
余裕が十分にあるため、下部ガセットプレート17の場合
と同様の検討を行った結果、ガセット枚数を大巾に削減
することが可能となった。 【００３９】具体的には上部ガセットプレート16の寸法
Ｌ5 が 200mm，Ｌ6 も 200mmで、板厚Ｔ6 30mmの場合
は、ガセット枚数は最少11枚で良く、また、上部ガセッ
トプレート16の寸法Ｌ5 を 300mm，Ｌ6 も 300mmとし
て、板厚Ｔ6 が30mmの場合は、ガセット枚数は最少７枚
でよいこととなる。従来の下部ガセットプレート17と同
一枚数の 120枚であったことを考えると、大幅な物量低
減及び製作性の向上ができることになる。 【００４０】第２実施例は、上記図２と同様の構成で上
部ガセットと下部のガセットを上記の関係を保てる範囲
として試算すると、上部ガセットプレート16の寸法Ｌ5
が 200mm，寸法Ｌ6 が 200mmで、板厚Ｔ6 を30mmとする
と、ガセット枚数は40枚である。 【００４１】また、下部ガセットプレート17の寸法Ｌ7
が 200mm，寸法Ｌ8 が 200mmで、板厚Ｔ8 を38mmとする
と、ガセット枚数は80枚とすることができる。即ち、上
部ガセットプレート16と、下部ガセットプレート17の寸
法及び枚数は、それぞれの許容応力に見合ってさらに異
なる数値及び構造とすることができる。 【００４２】なお、ヘッドスリーブ５の下端と下部フラ
ンジプレート15との溶接部18について、従来は開先を切
って溶接を行っていたが、図２（ｂ）に示すように、下
部フランジプレート15上にヘッドスリーブ５を乗せる状
態にして、隅肉溶接とすることにより溶接作業性が向上
する。 【００４３】第３実施例は、図３の要部断面図に示すよ
うに、原子炉格納容器２のトップヘッド部３におけるヘ
ッドスリーブ５で、外周に複数のスタッド19を設置によ
るアンカ構造とした構成とする。 【００４４】上記構成による作用としては、ヘッドスリ
ーブ５の外周は、トップスラブ11のコンクリートとの定
着性を強化する必要があるが、ヘッドスリーブ５の外周
は複数のスタッド19がアンカ機能を奏し、トップスラブ
11における配筋と打設したコンクリートと密着して、堅
固なトップスラブ11を構築する。また、ガセットプレー
トを使用しないことから、資材量の低減と、製作性及び
現地作業性を向上することができる。 【００４５】第４実施例は、図４の要部断面図に示すよ
うに、原子炉格納容器２におけるヘッドスリーブ５の外
周に、複数のカットティ鋼20を設置してアンカ構造とし
た構成としている。 【００４６】上記構成による作用としては、ヘッドスリ
ーブ５の外周に設置された複数のカットティ鋼20がアン
カ機能となり、トップスラブ11における配筋と打設した
コンクリートと密着して、堅固なトップスラブ11を構築
することができる。また、ガセットプレートを使用しな
いことから、資材量の低減と、製作性及び現地作業の効
率を向上することができる。 【００４７】 【発明の効果】以上本発明によれば、原子炉格納容器の
ヘッドスリーブにおいて、機械的強度を損なわずに、ガ
セット枚数の大幅削減と構造の簡素化が可能となり、資
材量の低減と共に溶接作業等の作業効率向上をはかるこ
とができる。また、ガセット枚数が低減したことにより
現地における配筋作業性が向上する効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る第１実施例のヘッドスリーブ要部
断面図。 【図２】本発明に係る第１実施例のヘッドスリーブにお
ける拡大断面図で、（ａ）は上部フランジ部、（ｂ）は
下部フランジ部を示す。 【図３】本発明に係る第３実施例のトップヘッド部の要
部断面図。 【図４】本発明に係る第４実施例のトップヘッド部の要
部断面図。 【図５】原子炉格納容器の断面図。 【図６】従来の原子炉格納容器のトップヘッド部の要部
断面図。 【図７】従来の下部フランジ部の要部斜視図。 【図８】従来のヘッドスリーブにおける拡大断面図で、
（ａ）は上部フランジ部、（ｂ）は下部フランジ部を示
す。 【符号の説明】 １…原子炉圧力容器、２…原子炉格納容器、３…トップ
ヘッド部、４…トップヘッド、５…ヘッドスリーブ、６
…主フランジ、７，14…上部フランジプレート、８，15
…下部フランジプレート、９，16…上部ガセットプレー
ト、10，17…下部ガセットプレート、11…トップスラ
ブ、12…ライナプレート、13…スカラップ部、18…ヘッ
ドスリーブと下部フランジプレートとの溶接部、19…ス
タッド、20…カットティ鋼。
断面図。 【図２】本発明に係る第１実施例のヘッドスリーブにお
ける拡大断面図で、（ａ）は上部フランジ部、（ｂ）は
下部フランジ部を示す。 【図３】本発明に係る第３実施例のトップヘッド部の要
部断面図。 【図４】本発明に係る第４実施例のトップヘッド部の要
部断面図。 【図５】原子炉格納容器の断面図。 【図６】従来の原子炉格納容器のトップヘッド部の要部
断面図。 【図７】従来の下部フランジ部の要部斜視図。 【図８】従来のヘッドスリーブにおける拡大断面図で、
（ａ）は上部フランジ部、（ｂ）は下部フランジ部を示
す。 【符号の説明】 １…原子炉圧力容器、２…原子炉格納容器、３…トップ
ヘッド部、４…トップヘッド、５…ヘッドスリーブ、６
…主フランジ、７，14…上部フランジプレート、８，15
…下部フランジプレート、９，16…上部ガセットプレー
ト、10，17…下部ガセットプレート、11…トップスラ
ブ、12…ライナプレート、13…スカラップ部、18…ヘッ
ドスリーブと下部フランジプレートとの溶接部、19…ス
タッド、20…カットティ鋼。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 原子炉圧力容器を内部に収める鉄筋コン
クリート製の原子炉格納容器において、上部に位置する
トップヘッド部でコンクリート製のトップスラブと結合
するヘッドスリーブが、円筒状のヘッドスリーブとこの
上下端に設けたフランジと、このフランジ及び前記ヘッ
ドスリーブの外周に固定する複数のガセットから構成す
ると共に、ガセットのせん断応力τと許容応力τａの比
をτ／τａとした時に１２０×３８×１３５×τ／τａ
で求めれられる規定値と、前記ガセットの寸法と枚数と
が、ガセット板厚およびガセットのフランジ溶接部寸法
をｍｍ単位で表した時に、ガセット板厚×ガセットのフ
ランジ溶接部寸法×ガセット枚数≧規定値の関係にあ
り、しかも、前記ヘッドスリーブに設けたフランジ構造
とガセット構造及びガセット枚数が、上部フランジと下
部フランジで異なることを特徴とする原子炉格納容器。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22284895A JP3529506B2 (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 原子炉格納容器 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22284895A JP3529506B2 (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 原子炉格納容器 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0968587A JPH0968587A (ja) | 1997-03-11 |
| JP3529506B2 true JP3529506B2 (ja) | 2004-05-24 |
Family
ID=16788857
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP22284895A Expired - Fee Related JP3529506B2 (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 原子炉格納容器 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3529506B2 (ja) |
-
1995
- 1995-08-31 JP JP22284895A patent/JP3529506B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0968587A (ja) | 1997-03-11 |
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