JP3487395B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物

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JP3487395B2 JP29152796A JP29152796A JP3487395B2 JP 3487395 B2 JP3487395 B2 JP 3487395B2 JP 29152796 A JP29152796 A JP 29152796A JP 29152796 A JP29152796 A JP 29152796A JP 3487395 B2 JP3487395 B2 JP 3487395B2
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    • A61K6/884Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth comprising natural or synthetic resins
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用複合修復材
として好適な硬化性組成物に関する。さらに詳しくは機
械的強度、特に破壊靱性値、曲げ強度が極めて高い硬化
体を与える硬化性組成物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】複合修復材は、天然歯牙色と同等の色調
を付与できることや操作が容易なことから、修復材料と
して歯科分野で近年多用されている。その使用方法は、
歯の窩洞に直接充填し、光照射等の重合手段により重合
硬化させて歯の修復を行う方法が一般的である。上記方
法により得られる修復部は、機械的強度が比較的低く、
かかる修復は、機械的強度があまり要求されない部分に
対して一般に行われていた。
【0003】ところが、近年、当該複合修復材が咬合圧
がかかる臼歯部等の修復にも使用されるようになった。
例えば、予め歯の窩洞部の型をとった型枠中に硬化性組
成物を充填し、光照射時間又は加熱時間を十分かけて重
合させた後、該窩洞に接着する方法が行われている。
【0004】しかしながら、上記方法によって得られた
硬化性組成物を重合して得られる硬化体よりなる修復部
は、天然歯牙と比較して強度が低いため、強い咬合圧に
よってその辺縁において破折が起こるという問題を有し
ていた。
【0005】この問題に対して異なる粒子径を有する無
機粉体を特定の混合割合で使用することにより、充填材
の充填密度を単に高めた硬化性組成物の検討や、特定の
粒子径及び性状を有する不定形無機粒子と特定の粒子径
を有する球状無機粒子とをそれぞれ特定の割合で重合性
単量体に配合する技術(特開平3−132102号)お
よび、サブミクロンの粒子径を有する球状の無機粒子と
粒子径が0.01〜0.1μmの無機微粒子とを混合
し、しかも高分散させた混合粒子を充填材として配合
し、高い機械的強度を得る方法(特開平08−1230
5号)等が報告されているが、これらより得られる硬化
体の曲げ強度は250MPaに及ばず、歯牙の象牙質が
有する270MPa以上の曲げ強度を有する硬化体を得
ることのできる硬化性組成物は皆無であった。
【0006】また、複合修復材料の破折に関する重要な
物性値である破壊靱性値(K1C)は、歯科材料・器機Vo
l.13 No.4 P375-380(1994)の藤島らの報告によれば、せ
いぜい2.28MPa・m1/2という低い値であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
で製造された歯科用複合修復材料では達成することので
きなかった、高い破壊靱性値と曲げ強度を有する硬化体
を与える硬化性組成物を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
克服すべく鋭意検討を重ねたところ、重合性単量体に特
定の粒子径を有する不定形無機粒子と、サブミクロンか
ら数μmの粒子径を有する球形状無機粒子と0.01〜
0.1μmの無機微粒子とを混合し、しかも高分散させ
た混合粒子を充填材としてそれぞれ特定の割合で配合す
ることにより、上記の目的を達成し得ることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、 ア)重合性単量体 イ)平均粒子径1〜9μmで且つ粒子径10μm以上の
粒子が3重量%以下の不定形無機粒子(A) ウ)平均粒子径が0.1〜5μmの範囲にある球形状無
機粒子(B) エ)平均粒子径が0.01〜0.1μmの範囲にある無
機微粒子(C) オ)重合開始剤 を含み、不定形無機粒子(A)、球形状無機粒子(B)
および無機微粒子(C)は、重合性単量体100重量部
に対して合計量で300〜1900重量部の範囲で配合
され、球形状無機粒子(B)および無機微粒子(C)の
配合割合は、これらの合計量を100重量%としたと
き、球形状無機粒子(B)が50〜99重量%、無機微
粒子(C)が50〜1重量%であり、不定形無機粒子
(A)の配合量と球形状無機粒子(B)および無機微粒
子(C)の合計量との割合は、重量比〔(A)/
{(B)+(C)}〕で0.3〜3で配合され、さらに、
重合開始剤は重合性単量体100重量部に対して0.0
1〜5重量部の範囲で配合されてなる硬化性組成物であ
る。
【0010】本発明に用いられる重合性単量体は特に限
定的でなく、一般に歯科用モノマーとして使用される公
知のものが使用できる。一般に好適に使用される代表的
なものを例示すれば、アクリロイル基及び/またはメタ
クリロイル基を有する重合可能なモノマーである。具体
的に例示すれば次の通りである。
【0011】イ)単官能性ビニルモノマー メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプ
ロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジ
ルメタクリレート等のメタクリレート、およびこれらの
メタクリレートに対応するアクリレート;あるいはアク
リル酸、メタクリル酸、p−メタクリロイルオキシ安息
香酸、N−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ
プロピル−N−フェニルグリシン、4−メタクリロイル
オキシエチルトリメリット酸、及びその無水物、6−メ
タクリロイルオキシヘキサメチレンマロン酸、10−メ
タクリロイルオキシデカメチレンマロン酸、2−メタク
リロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェー
ト、10−メタクリロイルオキシデカメチレンジハイド
ロジェンフォスフェート、2−ヒドロキシエチルハイド
ロジェンフェニルフォスフォネート ロ)ニ官能性ビニルモノマー (I)芳香族化合物系のもの 2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)
−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(以
下、bis−GMAと略記する)、2,2−ビス(4−
メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)
プロパン(以下、D−26Eと略記する)、2,2−ビ
ス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プ
ロパン)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテ
トラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポ
キシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキ
シジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキ
シジエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロ
イルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロ
イルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4
−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−
(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロ
ポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタク
リロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパンおよ
びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2
−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれ
らのメタクリレートに対応するアクリレートのような−
OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメ
チルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合
物との付加から得られるジアダクト (II)脂肪族化合物系のもの エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメ
タクリレート(以下、3Gと略記する)、ブチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、プロピレングリコールジメタクリレー
ト、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4
−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサン
ジオールジメタクリレートおよびこれらのメタクリレー
トに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等
のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対
応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモ
ノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネート
メチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネー
ト、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネー
ト)のようなジイソシアネート化合物との付加から得ら
れるジアダクト;無水アクリル酸、無水メタクリル酸、
1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロ
キシプロポキシ)エチル、ジ(2−メタクリロイルオキ
シプロピル)フォスフェート ハ)三官能性ビニルモノマー トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチ
ロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタ
クリレート等のメタクリレートおよびこれらのメタクリ
レートに対応するアクリレート ニ)四官能性ビニルモノマー ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラアクリレート及びジイソシアネート
メチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサ
ン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネ
ート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、
トリレン−2,4−ジイソシアネートのようなジイソシ
アネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付
加から得られるジアダクト これらの重合性単量体は単独で用いることもあるが、2
種類以上を混合して使用することもできる。本発明の硬
化性組成物を構成する成分の一つは、平均粒子径が1〜
9μm、好ましくは1.5〜5μmで且つ粒子径10μ
m以上の粒子が3重量%以下、好ましくは1重量%以下
の不定形無機粒子(A)である。前記要件を満たす不定
形無機粒子であれば公知のものが特に制限なく使用され
る。不定形無機粒子(A)の平均粒子径が1〜9μmの
範囲を外れると、高い機械的強度を有する硬化体を得る
事ができない。また、粒子径10μm以上の粒子が3重
量%を超える場合は、粒子径10μm以上の粒子が破壊
の開始点となり、機械的強度が低いものとなる。
【0012】上記不定形無機粒子(A)の材質は、水に
対して不溶である無機物が特に制限なく使用される。例
えばホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、重金属(例えば
バリウム、ストロンチウム、ジルコニウム)を含むガラ
ス、アルミノシリケート、ガラスセラミックス、シリカ
や、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア、シリカ・
アルミナ等の複合無機酸化物等が好適である。
【0013】本発明の硬化性組成物を構成する成分の一
つである(B)成分は、平均粒子径が0.1〜5μmの
範囲にある球形状無機粒子である。平均粒子径が上記範
囲にある球形状無機粒子であれば公知のものを特に制限
なく使用可能である。球形状無機粒子(B)の平均粒子
径が0.1μmよりも小さいときは、硬化性組成物中の
無機充填材の充填率が低下し、機械的強度が低いものと
なる。また、5μmよりも大きいときは硬化性組成物の
単位体積当たりの球形状無機粒子の表面積が低下し、高
い機械的強度を有する硬化体を得る事ができない。更
に、形状が球形でない場合は充填量を目的とする範囲ま
で上げることが困難となり、高い機械的強度を有する硬
化体を得る事ができない。
【0014】上記の球形状無機粒子(B)は、完全な真
球である必要はない。一般には、走査型電子顕微鏡(以
下、SEMと略す)で粉体の写真を撮り、その単位視野
内に観察される粒子の最大径に直交する方向の粒子径を
その最大径で除した平均均斉度が0.6以上のものであ
れば充分使用することができる。
【0015】一般に好適に使用される球形状無機粒子
(B)を具体的に例示すると、例えば非晶質シリカ、シ
リカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、シリカ−チタニ
ア−酸化バリウム、石英、アルミナ等の無機酸化物であ
る。さらに、前記具体例にある無機酸化物を高温で焼成
する際に緻密な前記無機酸化物を得やすくする等の目的
で、少量の周期律表第I族の金属の酸化物を無機酸化物
中に存在させた複合酸化物も用いることもできる。本発
明の硬化性組成物を歯科用の用途に使用する場合は、シ
リカとジルコニアとを主な構成成分とする複合酸化物
が、X線造影性を有し、より耐摩耗性に優れた硬化体が
得られることから、特に好適に用いられる。
【0016】本発明で用いる球形状無機粒子(B)とし
ては、平均粒子径が上記範囲内にある限り必ずしも単一
の群からなる無機粒子である必要はなく、例えば特公平
3−10603号において公知のような、平均粒子径が
異なる2つあるいはそれ以上の群からなる原料粉を混合
したものであってよく、その際の平均粒子径は複数の群
の混合粒子の平均体積粒子径が採用される。
【0017】また、上記無機粒子の粒子径分布は特に限
定されないが、粒子径の変動係数が0.3以内にあるよ
うな単分散性に優れたものである場合に硬化性組成物の
操作性が良好となる。
【0018】上記の球形状無機粒子(B)の製造方法は
特に限定されないが、前記粒子径および形状を有するも
のを製造できる方法であればどのような製法であっても
よい。工業的には金属アルコキシドの加水分解によって
製造する方法が好適に採用される。また、球形状無機粒
子(B)の表面安定性を保持するために表面のシラノー
ル基を減ずるのが好ましい。そのために、球形状無機粒
子(B)を乾燥後、更に500〜1000℃の温度で焼
成する手段がしばしば好適に採用される。
【0019】本発明で使用される(C)成分は、平均粒
子径が0.01〜0.1μmの範囲である無機微粒子で
ある。平均粒子径が上記範囲にある無機微粒子であれば
公知のものが特に制限なく使用可能である。無機微粒子
(C)の平均粒子径が上記の範囲外にあるときは硬化性
組成物中の無機充填材の充填率が低下し、本発明の効果
が十分に発揮されにくい。
【0020】無機微粒子(C)は、平均粒子径が上記範
囲にある限り必ずしも単一の群からなるものである必要
はなく、異なる2つあるいはそれ以上の群れからなる混
合粒子であってもよい。その場合の平均粒子径は複数の
群の混合物の平均体積粒子径が採用される。また、粒子
の形状についても球形状の粒子をはじめ不定形状の粒子
も使用可能であるが、特に球形状の粒子を用いた方が曲
げ強度、破壊靭性値を高める上で好ましい。
【0021】一般に好適に使用される無機微粒子(C)
を具体的に例示すると、例えば超微粉末シリカ、超微粉
末アルミナ、超微粉末ジルコニア、超微粉末チタニア、
非晶質シリカ、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニ
ア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、石英、アルミナ
等の無機酸化物である。さらに、上記無機酸化物を高温
で焼成する際に緻密なものを得やすくする等の目的で、
少量の周期律表第I族の金属の酸化物を無機酸化物中に
存在させた複合酸化物も用いることができる。
【0022】本発明の硬化性組成物において、不定形無
機粒子(A)、球形状無機粒子(B)、及び、無機微粒
子(C)からなる無機充填材は、重合性単量体への分散
性を改良する目的でその表面を疎水化することことが好
ましい。かかる疎水化処理は特に限定されるものではな
く、公知の方法が制限なく採用される。代表的な疎水化
処理方法を例示すれば、疎水化剤としてシランカップリ
ング剤、例えばγ−メタクリロイルオキシアルキルトリ
メトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等の有機珪素
化合物による処理や、チタネート系カップリング剤を用
いる方法、粒子表面に前記重合性単量体をグラフト重合
させる方法がある。
【0023】本発明は、上記した不定形無機粒子
(A)、球形状無機粒子(B)、及び、無機微粒子
(C)の三成分の無機充填材を併用するところに最大の
特徴がある。不定形無機粒子(A)のみの使用や、球形
状無機粒子(B)と無機微粒子(C)のみを併用した例
はそれぞれ公知である。特に、球形状無機粒子(B)と
無機微粒子(C)のみを併用した例は、良好な曲げ強度
を示すことが特開平08−12305号公報に開示され
ている。しかし、上記硬化性組成物では曲げ強度は高く
ても、破壊靱性値は十分ではなかった。これは破壊の伝
播が起こり易いためと思われる。これに不定形無機粒子
(A)を加えることにより、破壊の伝播が起こりにくく
なり、予想以上に破壊靱性値が向上したものと考えられ
る。
【0024】本発明の硬化性組成物において、不定形無
機粒子(A)、球形状無機粒子(B)および無機微粒子
(C)は、これらを混合した状態において0.08μm
以上の細孔径を有する強凝集細孔の積算容積が0.1cc
/g以下であることが、械的強度に優れる硬化体を与え
る硬化性組成物を得ることができるために好ましい。
【0025】細孔径および強凝集細孔の測定は、特開平
8−12305号公報にある水銀圧入法によって測定さ
れる。凝集細孔は粒子内部ではなく粒子間に存在する細
孔である。水銀圧入法では一般に100MPa以上の高
圧になるまで水銀を昇圧して細孔分布が測定されるが、
凝集力の弱い粒子間に形成されていた細孔は高圧の水銀
の浸入により崩壊し、減圧時に水銀を細孔外に排出しな
いため細孔が消失したように観測される。このような加
圧時に得られた細孔分布の中で減圧時に消失する細孔を
弱凝集細孔と称する。また、粒子内部に存在する細孔や
凝集力の強い粒子間に形成されていた細孔は高圧の水銀
の浸入によっても崩壊することがなく、減圧時に水銀を
細孔外に排出するため細孔は消失しない。したがって、
加圧時に得られた細孔分布の中で減圧時に消失しない細
孔を強凝集細孔と称す。ただし、一次粒子内部に細孔が
存在する場合は、強凝集細孔と一次粒子内部の細孔との
区別が困難であり、また、本発明の効果が発現し難いた
めに、本発明においては一次粒子内部の細孔が存在しな
いことが好ましい。ここで、一次粒子内部の細孔が存在
しないものであることは、試料の表面積がSEM観察か
ら求めた粒子径より計算される表面積と一致することに
より判断できる。その際の表面積は後述のBET法によ
って測定する。
【0026】強凝集細孔の積算容積を上記範囲とする方
法は、特に限定されるものではないが、一般には粒子の
凝集の解砕と混合を十分に行うことができる方法が好適
に採用できる。具体的には、超高圧衝撃型乳化分散装
置、ホモジナイザー等の装置を用いて各粒子を解砕およ
び混合する方法を好適に使用できる。試料の量、濃度、
処理時間等の条件を選択することにより、所望の強凝集
細孔の容積を得ることが可能である。
【0027】次に、本発明に用いる重合開始剤は特に限
定されず、公知のものが特に制限なく使用される。一般
に、重合開始剤は重合性単量体の重合手段によって異な
る種類のものが使用される。重合手段には、紫外線、可
視光線等の光エネルギーによるもの、過酸化物と促進剤
との反応によるもの、加熱によるもの等があり、必要に
応じてその重合手段を選ぶことができる。例えば、光エ
ネルギーによる反応(以下、光重合という)の場合に
は、重合開始剤としてはα-ジケトン−還元剤、ケター
ル−還元剤、チオキサントン−還元剤などの公知の開始
剤系が好ましく用いられる。α−ジケトンとしてはカン
ファーキノン、べンジル、2,3−ペンタジオン、3,
4−ヘプタジオンなどを挙げることができる。ケタール
としてはベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチル
ケタール、ベンジル(2−メトキシエチルケタール)な
どを挙げることができる。チオキサントンとしてはチオ
キサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4
−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン
などを挙げることができる。
【0028】光重合開始剤の一成分としての還元剤は、
2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、4−ジ
メチルアミノ安息香酸エチル、N−メチルジエタノール
アミンなどの第3級アミン類、ラウリルアルデヒド、ジ
メチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド
などのアルデヒド類、2−メルカプトベンゾオキサゾー
ル、1−デカンチオール、チオサルチル酸、チオ安息香
酸などの含イオウ化合物などを挙げることができる。
【0029】また、熱重合の場合には、重合開始剤とし
ては、一般の過酸化物、あるいはアゾ化合物を使用する
ことができる。具体的にはジクミルパーオキサイド、ジ
−P−クロロベンゾイルパーオキサイド、べンゾイルパ
ーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等の有機過
酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,
4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合
物等の公知の重合開始剤を使用することができる。
【0030】上記重合開始剤の配合量は、公知の添加範
囲が特に制限なく採用される。一般に重合性単量体10
0重量部に対して0.01〜5重量部の割合で使用され
る。
【0031】本発明の硬化性組成物において、上記不定
形無機粒子(A)、球形状無機粒子(B)、および無機
微粒子(C)からなる無機充填材の量は、重合性単量体
100重量部に対して、300〜1900重量部でなけ
ればならず、好ましくは500〜1200重量部であ
る。また、上記不定形無機粒子(A)、球形状無機粒子
(B)、および無機微粒子(C)それぞれの配合割合は
以下のとおりである。まず、球形状無機粒子(B)およ
び無機微粒子(C)の配合割合は、これらの合計量を1
00重量%としたとき、球形状無機粒子(B)が50〜
99重量%、好ましくは60〜90重量%であり、無機
微粒子(C)が50〜1重量%、好ましくは40〜10
重量%である。そして、不定形無機粒子(A)の配合量
と球形状無機粒子(B)および無機微粒子(C)の合計
量との割合は、重量比〔(A)/{(B)+(C)}〕で
0.3〜3、好ましくは0.4〜2.3の範囲である。
【0032】重合性単量体100重量部に対する上記不
定形無機粒子(A)、球形状無機粒子(B)、および無
機微粒子(C)からなる無機充填材の量が上記範囲より
小さい場合は、充填率が充分でないために高い機械的強
度を有する硬化体を得る事が困難となる。また、上記範
囲より多い場合は、重合性単量体中に無機充填材が均一
に分散し得なくなり、機械的強度が低いものとなる。
【0033】また、上記球形状無機粒子(B)と無機微
粒子(C)の混合割合において、球形状無機粒子(B)
が50重量%よりも小さい場合には無機微粒子(C)が
50重量%よりも大きくなり、硬化性組成物の重合硬化
後の機械的強度が低下する。逆に、球形状無機粒子
(B)が99重量%よりも大きい場合にも、硬化性組成
物の重合硬化後の機械的強度が低下する。
【0034】さらに、球形状無機粒子(B)および無機
微粒子(C)の合計量と不定形無機粒子(A)との割合
が前記した重量比〔(A)/{(B)+(C)}〕が0.
3より小さい場合及び3より大きい場合には、合計量が
前記範囲を満足したとしても高い機械的強度を有する硬
化体を得る事が困難となる。
【0035】本発明の硬化性組成物は、その効果を著し
く阻害しない範囲で、公知の添加剤を配合することがで
きる。かかる添加剤としては、重合禁止剤、顔料、紫外
線吸収剤等が挙げられる。
【0036】本発明の硬化性組成物の硬化方法は重合開
始剤の種類に応じて最適な方法を選べばよい。例えば、
光重合用の重合開始剤を使用した場合は、一般に10秒
以上、好ましくは30秒間〜1時間、光を照射すること
が好ましく、更に、その後80〜120℃の温度で10
分間〜20時間加熱することが、高い機械的強度を有す
る硬化体を得るために好ましい。
【0037】また、熱重合用の重合開始剤を使用した場
合には、60〜200℃、特に80〜120℃の温度
で、10分間〜20時間、特に15分〜1時間加熱する
方法が好ましい。この場合、重合は窒素、ヘリウム等の
不活性ガス、水蒸気等の雰囲気下で行うことが好まし
い。
【0038】本発明は、特に重合性単量体、平均粒子径
が1〜9μmで且つ粒子径10μm以上が3重量%以下
のシリカ・ジルコニアを主な構成成分とする不定形無機
粒子(A)、平均粒子径が0.1〜5μmの範囲にある
シリカ・ジルコニアを主な構成成分とする球形状無機粒
子(B)、および、平均粒子径が0.01〜0.1μm
の範囲にあるシリカ、アルミナ、シリカ・ジルコニア、
シリカ・チタニアよりなる群から選ばれた少なくとも1
種の無機酸化物を主な構成成分とする無機微粒子(C)
を含み、重合性単量体100重量部に対して不定形無機
粒子(A)、球形状無機粒子(B)および無機微粒子
(C)の合計量が500〜1200重量部であり、球形
状無機粒子(B)および無機微粒子(C)の合計量を1
00重量%としたときに球形状無機粒子(B)が60〜
90重量%、無機微粒子(C)が40〜10重量%であ
り、不定形無機粒子(A)の配合量と球形状無機粒子
(B)および無機微粒子(C)の合計量との割合が、重
量比〔(A)/{(B)+(C)}〕で0.67〜1.5
であり、不定形無機粒子(A)、球形状無機粒子(B)
および無機微粒子(C)は、これらを混合した状態にお
いて0.08μm以上の細孔径を有する強凝集細孔の積
算容積が0.1cc/g以下であることが好ましい。この
ような硬化性組成物は操作性が良好で、その硬化体は破
壊靱性値、曲げ強度に極めて優れ、更に、色調も良好で
ある。
【0039】
【発明の効果】本発明の硬化性組成物は、高い破壊靱性
値および天然歯牙と同等の高い曲げ強度を有する硬化体
を得ることができる。従って、歯科用修復材の用途にお
いて、従来は高い咬合圧のかかる部位にインレー修復や
クラウン修復等の金属修復材を使用していたが、これら
の金属修復材に代えて使用することが可能となり、よっ
て天然歯と色差のない修復が可能となる。また、本発明
の硬化性組成物は、上記歯科用修復材以外の用途におい
ても特に制限なく使用される。
【0040】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものでは
ない。なお、以下の実施例、比較例に示した無機粒子の
諸特性の測定、および硬化性組成物のペーストの調製お
よび硬化方法、ならびに硬化後の硬化体の機械的強度の
測定は、以下の方法に従った。
【0041】(1)粒子径および粒子径の変動係数 SEMで粉体の写真を撮り、その写真の単位視野内に観
察される粒子の数および粒子径を求め、下記式により原
料粉体粒子の平均体積径を求め平均粒子径とした。ま
た、粒子径の変動係数を算出した。平均粒子径が異なる
2つあるいはそれ以上の群からなる混合物の場合は、そ
れぞれの群の平均粒子径と添加量とから、加重平均して
平均体積粒子径を算出した。
【0042】
【数1】
【0043】(2)粒子の平均均斉度 SEMで粉体の写真を撮り、その写真の単位視野内に観
察される粒子の数(n)、粒子の最大径を長径(L
i)、この長径に直交す方向の径を短径(Bi)、として
n、Li、Biをもとめ、次式により算出した。
【0044】
【数2】
【0045】(3)粒度分布 レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SA
LD−1100)にて粒度分布を測定した。
【0046】(4)細孔径および細孔分布 十分に乾燥させた粒子を約0.2g量り取り、水銀圧入
法細孔分布測定装置(カルロエルバ社製、ポロシメータ
ー2000)にて細孔径および細孔分布を測定した。
【0047】(5)比表面積 マイクロメトリックス社製、フローソーブII−2300
にて測定した。測定原理はBET法である。
【0048】(6)硬化性組成物のペーストの調製およ
び硬化方法 重合性単量体に対し所定割合の光重合開始剤を加えマト
リックスモノマーを調製した。次に、無機充填材とマト
リックスモノマーをメノウ乳鉢に入れ、暗所にて十分に
混練し均一な硬化性組成物ペーストとした。
【0049】上記硬化性組成物ペーストを以下に示すそ
れぞれの測定に応じた型枠に充填し、十分に光照射を行
って硬化させた後、型枠から取り出し、更に100℃2
0分間重合させた。その後37℃水中に24時間浸責し
た後に試料片として使用した。
【0050】(7)破壊靱性値 幅2×高さ4×長さ20mmの角柱状の試料片を作製し、
その高さ方向にカッターで約2mmの亀裂を入れ、片側切
り欠き入り3点曲げ試料片を作製する。この試料片を試
験機(島津製作所製、オートグラフ500D)に装着
し、支点間距離16mm、クロスヘッドスピード1.0mm
/分で3点曲げ試験を行い、その破壊強度から破壊靱性
値を算出した。
【0051】(8)曲げ強度 2×2×25mmの角柱状の試料片を試験機(島津製作所
製、オートグラフ5000D)に装着し、クロスヘッド
スピード0.5mm/分で3点曲げ破壊強度を測定した。
【0052】製造例1〜3 不定形無機粒子(A)の製
室温にてテトラエチルシリケート(日本コルコート社
製)1600gをイソブタノール2.0lに溶かした溶
液に0.005%希硫酸60mlを添加して3時間攪拌
し、部分的に加水分解した後、テトラブチルジルコネー
ト670g、ナトリウムメチラート77gを添加した。
1時間攪拌を続けた後、攪拌しながら水0.3lを加
え、さらに加水分解してゲルを得た。次にゲルを取り出
し、100℃にて加熱乾燥して溶媒を除去し、乾燥ゲル
を得た。乾燥ゲルはボールミルで粉砕した。ボールミル
により1000μm以下に粗粉砕した粉砕物をジェット
ミル(株会社セイシン企業製、機種FS−4)により、
ノズル圧力6kg/cm2の条件で粉砕した。得られた粉砕
物を940℃で1時間焼成し、白色粉体を得た。この白
色粉体は、X線回折と螢光X線分析からジルコニアの正
方晶系の結晶を一部含むジルコニウム、ケイ素、ナトリ
ウムの複合酸化物からなる不定形無機粒子であった。
【0053】この白色粉体を水簸で3種類(A−1、A
−2、A−3)の不定形無機粒子を得た。さらに得られ
た各粒子はγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシランを用いて表面処理を施した。各不定形無機粒
子の細孔径および細孔分布の測定では、粒子内細孔及び
強凝集細孔は観察されなかった。各不定形無機粒子の平
均粒子径、および粒子径10μm以上の粒子の含有量を
表1にまとめて示した。
【0054】
【表1】
【0055】製造例4 不定形無機粒子(A)の製造 製造例1の不定形無機粒子の製造方法において、テトラ
エチルシリケートの代わりにテトライソプロピルシリケ
ートを使用し、希硫酸添加後の攪拌時間を4時間行った
以外は全て製造例1〜3と同様な方法でSiO2−Zr
2−Na2O系の白色粉体(A−4)を得た。この白色
粉体は、X線回折と螢光X線分析からジルコニアの正方
晶系の結晶を一部含むジルコニウム、ケイ素、ナトリウ
ムの複合酸化物からなる不定形無機粒子であった。
【0056】さらに粒子はγ−メタクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシランを用いて表面処理を施した。
得られた不定形無機粒子は粒子内細孔及び強凝集細孔が
観察されなかった。平均粒子径、および粒子径10μm
以上の粒子の含有量を表1にまとめた。
【0057】製造例5 平均粒子径0.5μmの球状シ
リカ−ジルコニア粒子(B)の合成 テトラエチルシリケート(日本コルコート化学社製,製
品名、エチルシリケート28)80gをイソブチルアル
コール(東然石油化学社製)400gと混合し、0.0
5%希硫酸5gを加えて40℃で約1時間攪拌しながら
加水分解した。その後、この溶液にテトラブチルジルコ
ネート(日本曹達社製)35gとナトリウムメチラート
メタノール溶液(濃度28重量%)をイソブチルアルコ
ール200gに溶かした溶液を攪拌しながら混合して、
テトラエチルシリケートとテトラブチルジルコネートの
混合溶液を調整した。次に攪拌装置付き内容積3lガラ
ス製容器にイソブチルアルコール1000g,25%ア
ンモニア水250gを導入したアンモニア性アルコール
溶液中に攪拌しながらテトラエチルシリケート4gを添
加し、30分間攪拌した後に、上記テトラエチルシリケ
ートとテトラブチルジルコネートの混合溶液を約6時間
かけて滴下した。なお、反応中は反応槽の温度を40℃
に保った。反応終了後、白濁した反応槽液から溶媒を留
去して乾燥し、950℃,1時間焼成し、シリカ−ジル
コニア粒子(B−1)を得た。このシリカ−ジルコニア
粒子の平均粒子径は0.52μmで、平均均斉度は0.
96で、さらに粒子径の変動係数は0.13であった。
平均粒子径から求めた理論表面積4.8m2/gとBET
法による比表面積4.8m2/gとは良く一致しており粒
子内部の細孔は認められなかった。各物性は表2にまと
めた。
【0058】
【表2】
【0059】製造例6〜8 球状シリカ粒子(B)の合
攪拌装置付き内容積3lガラス製容器にメチルアルコー
ル400g、25%アンモニア水100gを導入したア
ンモニア性アルコール溶液中に攪拌しながらテトラエチ
ルシリケート(日本コルコート化学社製,製品名:エチ
ルシリケート28)を10g添加し、30分間攪拌した
後、さらにテトラエチルシリケート2000gと25%
アンモニア水640gを反応槽液の液温を30℃に保ち
4時間かけて同時滴下した。反応終了後、白濁した反応
槽液から溶媒を留去して乾燥し、1000℃,1時間焼
成しシリカ粒子(B−2)を得た。このシリカ粒子の平
均粒子径は0.62μmで、平均均斉度は0.97で、
さらに粒子径の変動係数は0.05であった。またBE
T法による比表面積は4.5m2/gであり、平均粒子径
から計算した理論表面積4.4m2/gとほぼ一致するこ
とから粒子内部に細孔を有さないことがわかった。さら
に、初期のアンモニア性アルコール溶液の組成で上記の
メチルアルコールをエチルアルコールに変更した以外は
上記と同様の操作でシリカ粒子(B−3,B−4)を得
た。それぞれのシリカ粒子の物性はまとめて表2に示し
た。
【0060】製造例9 平均粒子径0.08μm球状シ
リカ−チタニア粒子(C)の合成 テトラエチルシリケート(日本コルコート化学社製,製
品名:エチルシリケート28)170gをメタノール4
00gと混合し、0.04%塩酸水溶液5gを加えて3
0℃で約1時間攪拌しながら加水分解した。その後、こ
の溶液にテトラブチルチタネート(日本曹達社製)20
gとナトリウムメチラートメタノール溶液(濃度28重
量%)10gをイソプロピルアルコール200gに溶か
した溶液を攪拌しながら混合して、テトラエチルシリケ
ートとテトラブチルチタネートの混合溶液を調整した。
次に攪拌装置付き内容積3lガラス製容器中で、メタノ
ール1000g,25%アンモニア水250gを導入し
たアンモニア性アルコール溶液中に攪拌しながらテトラ
エチルシリケートを2g添加し、30分間攪拌した後に
上記テトラエチルシリケートとテトラブチルチタネート
の混合溶液を約5時間かけて滴下した。なお反応中は反
応槽の温度を40℃に保った。反応終了後、白濁した反
応槽液から溶媒を留去して乾燥し、950℃、1時間焼
成してシリカ−チタニア粒子(C−1)を得た。このシ
リカ−チタニア粒子の平均粒子径は0.077μmで、
形状は球状であった。平均粒子径から求めた理論表面積
33.9m2/gとBET法による比表面積32.5m2
gとは良く一致しており粒子内部の細孔は認められなか
った。各物性はまとめて表3に示した。
【0061】
【表3】
【0062】製造例10 平均粒子径0.06μm球状
シリカジルコニア粒子(C)の合成 製造例5のアンモニア性アルコール溶液中にテトラエチ
ルシリケートを添加し、次いでテトラエチルシリケート
とテトラブチルジルコネートの混合溶液を添加する工程
において、アンモニア性アルコール溶液として、メチル
アルコール1000gと25%アンモニア水200gを
使用し、テトラエチルシリケート4gの単独添加を行わ
ずにテトラエチルシリケートとテトラブチルジルコネー
トの混合溶液を約3時間かけて滴下した以外は製造例5
と同様にしてシリカ−ジルコニア粒子(C−2)を得
た。このシリカ−ジルコニア粒子の平均粒子径は0.0
58μmで、形状は球状であった。平均粒子径から求め
た理論表面積43.1m2/gとBET法による比表面積
47.4m2/gとは良く一致しており粒子内部の細孔は
認められなかった。各物性はまとめて表3に示した。
【0063】上記製造例で示される以外に使用した無機
微粒子(C)とその略称は以下の通りである。
【0064】C−3:微粉末シリカ(株式会社トクヤマ
製、レオロシールQS102、比表面積200m2/g) 製造例11 平均粒子径0.52μmの球状シリカ−ジルコニア粒子
(B−1)70gと平均粒子径0.077μmの球状シ
リカ−チタニア粒子(C−1)30gとを400gの純
水溶媒中に導入し、超高圧衝撃型乳化分散機ナノマイザ
ーを用いて処理圧力60MPaで粒子を分散させた。γ
−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを
用いて表面処理を行った後に溶媒を留去し乾燥して混合
粒子を得た。
【0065】上記の混合粒子と平均粒子径が3.4μm
で10μm以上の粒子の割合が1.0重量%の不定形無
機粒子(A−1)を重量比〔(A−1)/{(B−1)
+(C−1)}〕で1.0の混合割合で乳鉢にとり、軽
く混合分散させ、無機充填材(M−1)を得た。無機充
填材(M−1)の細孔径分布を測定した結果、0.08
μm以上の細孔径を有する強凝集細孔の容積は0.01
cc/gであった。無機充填材(M−1)の組成と強凝集
細孔の容積を表4に示した。
【0066】製造例12〜20 配合する球形状無機粒子(B)と無機微粒子(C)およ
び、不定形無機粒子(A)の組成を表4に示すように代
えた以外は製造例11と同様に無機充填材(M−2〜M
−10)を得た。各無機充填材の強凝集細孔の容積を表
4に示した。
【0067】
【表4】
【0068】但し、表中、配合量1,2,3は以下の通
りである。
【0069】配合量1:球形状無機粒子(B)と無機微
粒子(C)の合計量を100重量%としたときの、球形
状無機粒子(B)の配合量(重量%) 配合量2:球形状無機粒子(B)と無機微粒子(C)の
合計量を100重量%としたときの、無機微粒子(C)
の配合量(重量%) 配合量3:不定形無機粒子(A)と、球形状無機粒子
(B)および無機微粒子(C)の合計量との割合。重量
比〔(A)/{(B)+(C)}〕 実施例1 平均粒子径0.52μmの球状シリカ−ジルコニア粒子
(B−1)と平均粒子径0.077μmの球状シリカ−
チタニア粒子(C−1)を混合分散し、表面処理を施し
て得た混合粒子と、平均粒子径が3.4μmで10μm
以上の粒子の割合が1.0重量%の不定形無機粒子(A
−1)を混合してなる無機充填材(M−1)10gを乳
鉢にとり、これに予め重合開始剤、還元剤としてカンフ
ァーキノン、ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルを
重量比でそれぞれ0.5%溶解したマトリックスモノマ
ーbis−GMA/3G(重量比60/40)をペース
ト状態を示す限界まで徐々に添加混合し硬化性組成物を
得た。この時の無機充填材(M−1)の含有量は、マト
リックスモノマー100重量部に対して640重量部で
あった。さらに、上記ペーストに光を照射し重合硬化さ
せた後に更に加熱重合させ、破壊靱性値と曲げ強度を測
定したところ、破壊靱性値は3.1MPa・m1/2で、曲
げ強度は274MPaであった。マトリックスモノマー
100重量部に対する無機充填材(M−1)の配合割合
及び機械的物性をまとめて表5に示す。
【0070】実施例2〜4 配合する無機充填材を表5に示すように代えた以外は実
施例1と同様に硬化性組成物を得た。これに光を照射し
重合硬化させた後に更に加熱重合させ、各種機械的物性
を評価した。マトリックスモノマー100重量部に対す
る無機充填材の配合割合及び機械的物性をまとめて表5
に示す。
【0071】
【表5】
【0072】実施例5 実施例1においてマトリックスモノマーをD−2.6E
/3G(重量比70/30)に変更した以外は同様に行
った。マトリックスモノマー100重量部に対する無機
充填材の配合割合及び機械的物性をまとめて表5に示
す。
【0073】比較例1 実施例1において無機充填材(M−1)の代わりに無機
充填材(M−5)を使用して硬化性組成物を得た。マト
リックスモノマー100重量部に対する無機充填材(M
−5)の配合割合及び機械的物性をまとめて表6に示
す。
【0074】
【表6】
【0075】比較例2〜6 比較例1において配合する無機充填材を表6に示すよう
に代えた以外は比較例1と同様に硬化性組成物を得た。
マトリックスモノマー100重量部に対する無機充填材
の配合割合及び機械的物性をまとめて表6に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湯浅 茂樹 山口県徳山市御影町1番1号 株式会社 トクヤマ内 (56)参考文献 特開 平2−132102(JP,A) 特開 平8−231330(JP,A) 特開 平8−12305(JP,A) 特開 平5−58837(JP,A) 特開 平4−210609(JP,A) 特開 平6−247825(JP,A) 特開 昭63−88110(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 6/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ア)重合性単量体 イ)平均粒子径1〜9μmで且つ粒子径10μm以上の
    粒子が3重量%以下の不定形無機粒子(A) ウ)平均粒子径が0.1〜5μmの範囲にある球形状無
    機粒子(B) エ)平均粒子径が0.01〜0.1μmの範囲にある無
    機微粒子(C) オ)重合開始剤 を含み、不定形無機粒子(A)、球形状無機粒子(B)
    および無機微粒子(C)は、重合性単量体100重量部
    に対して合計量で300〜1900重量部の範囲で配合
    され、球形状無機粒子(B)および無機微粒子(C)の
    配合割合は、これらの合計量を100重量%としたと
    き、球形状無機粒子(B)が50〜99重量%、無機微
    粒子(C)が50〜1重量%であり、不定形無機粒子
    (A)の配合量と球形状無機粒子(B)および無機微粒
    子(C)の合計量との割合は、重量比〔(A)/
    {(B)+(C)}〕で0.3〜3で配合され、さらに、
    重合開始剤は重合性単量体100重量部に対して0.0
    1〜5重量部の範囲で配合されてなる硬化性組成物。
  2. 【請求項2】不定形無機粒子(A)、球形状無機粒子
    (B)および無機微粒子(C)とを混合したときに、
    0.08μm以上の細孔径を有する強凝集細孔の積算容
    積が0.1cc/g以下である請求項1記載の硬化性組成
    物。
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