JP3277502B2 - 無機充填材の製造方法及び歯科用充填修復材料 - Google Patents

無機充填材の製造方法及び歯科用充填修復材料

Info

Publication number
JP3277502B2
JP3277502B2 JP31022892A JP31022892A JP3277502B2 JP 3277502 B2 JP3277502 B2 JP 3277502B2 JP 31022892 A JP31022892 A JP 31022892A JP 31022892 A JP31022892 A JP 31022892A JP 3277502 B2 JP3277502 B2 JP 3277502B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silica
weight
inorganic filler
average particle
particle size
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP31022892A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06157230A (ja
Inventor
將之 相澤
俊夫 川口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Tokuyama Corp
Original Assignee
TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOKUYMA DENTAL CORPORATION, Tokuyama Corp filed Critical TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Priority to JP31022892A priority Critical patent/JP3277502B2/ja
Publication of JPH06157230A publication Critical patent/JPH06157230A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3277502B2 publication Critical patent/JP3277502B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dental Preparations (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無機充填材、その製造
方法、及び該充填材を充填してなる高強度、高審美性を
特徴とした歯科用充填材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】齲蝕や破折等による歯牙の欠損部あるい
は歯冠全体の修復や動揺歯の固定等幅広く用いられる歯
科用充填修復材料は、一般に重合性単量体と無機充填材
から構成される。かかる歯科用充填修復材料に求められ
る性質は、そしゃく時の高い咬合圧に耐え得る機械的強
度、歯質と同程度の熱膨張率、重合硬化時に歯質からの
剥離を防ぐための低重合収縮率等の理工学物性、さらに
自然感溢れる修復を可能とするために自然歯と同様な色
調、及び光沢、また舌接触時の平滑感等が挙げられる。
【0003】従来、かかる修復材料の充填材には、石英
やシリカを主成分とするガラスを機械的に粒径数μmか
ら150μm程度に粉砕されたもの、あるいは熱分解法
や水溶液の沈澱生成による沈降法、また気相反応法によ
り合成された一次粒径が0.05μm未満のシリカが用
いられていた。しかし前者は、充填材を80wt%程度
に充填可能であるため圧縮強度や熱膨張率を高めること
ができるものの充填粒径大きいため仕上げ研磨後の表面
滑沢性、光沢性に劣り、後者はかかる性質に優れるもの
の、充填剤の比表面積が大きくなることから充填率はせ
いぜい60wt%程度と低くなるため、理工学物性が低
い等の問題があった。
【0004】そこで、理工学物性と審美性を両立させる
目的で粒子を微細化し、且つ高密度に充填することが試
みられてきた。例えば特開昭57−82303に見られ
る技術では、粒径範囲0.1〜100μm平均粒径0.
2〜20μmの無機粉体と粒径範囲10〜100μm、
平均粒径10〜50μmの無機粉体を組み合わせること
により、すなわち粒径の異なる数種類のフィラーを組み
合わせることによりフィラーの細密充填化を行い、機械
的強度の改良がこころみられている。また、特開昭61
−134307では、0.05μmのフュームドシリカ
と平均粒径5μmのシリカの組み合わせが開示されてい
る。
【0005】近時では、さらに充填材の微細化が検討さ
れ、特開平3−258707では、シリコンアルコキシ
ドから合成された平均粒径0.01〜5μmの範囲にあ
る球状シリカが開示されている。
【0006】しかし、かかる粒径を有する充填剤は、充
填率を80wt%以上にすることは可能であるが、尚、
粒径が大きいため表面滑沢性は満足されるものでない。
【0007】本発明者らの検討結果では、自然歯と同様
の光沢を得るためには、充填材の粒径は1μm以下であ
る必要がある。一方、理工学物性を満足させるために
は、充填率は80wt%より高いことが望ましい。
【0008】そこで、粒径が1μm以下であり樹脂への
充填時に80wt%を越える充填率が得られる充填材が
望まれるが、前記機械的粉砕方法で粒径が1μm以下の
粒子を得ることは困難であり分級等の操作を必要とし、
また高度な粒径分布の制御が困難であるため、80wt
%を越える充填率を得ることはできない。
【0009】サブミクロンからミクロン領域において粒
径を高度にコントロールする方法として、金属有機化合
物を出発原料として溶液中から金属酸化物の粒子を沈降
して得る方法が報告されている(特公平1−2797
6、特公平1−38044、特公平−38043)。
【0010】特開平3−258707では、テトラエチ
ルシリケートの加水分解法によりサブミクロンと、数ミ
クロンの粒径を有するシリカ粒子を合成し、その混合物
を充填材とした歯科用充填修復材料が開示されている。
しかし、その混合方法は、得られた粒子をそれぞれ、1
000℃以上の温度で焼成した後、ボールミルを用いた
混合を行っている。しかし、この方法では1000℃の
ような高い温度で焼成したシリカ粒子は強固に結合した
凝集体を生成しやすく、特に0.1μm前後の粒径で
は、焼成時に生成した凝集体をボールミルのような機械
的方法で単分散な状態まで解砕することはできない。そ
のため充填率の低下、ひいては理工学物性の低下を招
く。また、かかる方法では混合に80時間という長時間
を必要としている上、長時間機械的に混合した場合に容
器及び粉砕ボールから不純物質が混入する恐れがある等
の問題もあった。
【0011】上述の如く、いまだ81wt%以上の充填
率と表面滑沢性を満足する無機充填材は得られてていな
かった。
【0012】
【発明が解決しようする課題】無機充填材を81%以上
充填した高強度でしかも人歯と同等の光沢性を有する歯
科用充填修復材料を開発することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題の解
決に鑑み鋭意研究した結果、少なくとも2種類の異なる
平均粒径を有し、両者の平均粒径の比が4〜20倍の範
囲である未焼成シリカ系複合酸化物を混合し、次いで焼
結未満の温度で焼成することにより作製した混合粒子
は、各粒子が均一に分散混合され、充填材として用いた
場合に高密度に充填可能であることを見いだし、さら
に、上記製造方法を用いて作製した平均粒径0.1μm
未満のシリカ系無機酸化物10〜50重量%と粒径0.
5〜1μmのシリカ系無機酸化物50〜90重量%を混
合した充填材は、0.1μm以下粒子が均一に分散して
いるため、重合性単量体に充填した場合に、これまで困
難であった81wt%以上の高い充填率が得られ、表面
滑沢性及び光沢性に優れるばかりでなく、優れた理工学
的物性を有する歯科用充填修復材料を開発するに至っ
た。すなわち、本発明は、平均粒径0.1μm未満のシ
リカ系複合酸化物10〜50重量%と平均粒径0.5〜
1μmのシリカ系複合酸化物50〜90重量%とからな
る無機充填材であって、両者のシリカ系複合酸化物の平
均粒径の比は4〜20倍の範囲であり、これらのシリカ
系複合酸化物はそれぞれ未焼成の状態で混合された後、
焼結温度未満の温度で焼成されてなることを特徴とする
無機充填材である。 また、本発明は、異なる平均粒径を
有し且つ両者の平均粒径の比が4〜20倍の範囲である
少なくとも二種類の未焼成シリカ系複合酸化物を混合
し、次いで焼結温度未満の温度で焼成することを特徴と
する無機充填材の製造方法も提供する。 また、本発明
は、上記無機充填材、重合性単量体、及び重合開始材と
を混合することを特徴とする歯科用充填修復材料の製造
方法も提供する。 さらに本発明は、上記無機充填材を8
1〜90重量部、重合性単量体10〜19重量部、およ
び重合性単量体100重量部に対し0.1〜10重量部
の重合開始剤(ただし無機充填材と重合性単量体の合計
は100重量部とする)を含有してなることを特徴とす
る歯科用充填修復材料も提供する。
【0014】本発明に用いられる未焼成シリカ系複合酸
化物は、特に限定されないが、一般に金属アルコキシド
の加水分解法から合成されたシリカ、またはシリカを主
成分とした他の金属との複合酸化物であり、形状は球状
あるいは球形に近い不定形状物である。
【0015】未焼成シリカ系複合酸化物を具体的に例示
するとシリカ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニ
ア、シリカ−バリウムオキサイド、シリカ−アルミナ、
シリカ−カルシア、シリカ−ストロンチウムオキサイ
ド、シリカ−マグネシア、シリカ−チタニア−ナトリウ
ムオキサイド、シリカ−チタニア−カリウムオキサイ
ド、シリカ−ジルコニア−ナトリウムオキサイド、シリ
カ−ジルコニア−カリウムオキサイド、シリカ−アルミ
ナ−ナトリウムオキサイド、またはシリカ−アルミナ−
カリウムオキサイド等が挙げられる。
【0016】該未焼成シリカ系複合酸化物は無機充填材
として用いる場合に、充填率を高める目的で、少なくと
も二種類の平均粒径を有するものが組み合わされる。そ
の平均粒径の比は4〜20の範囲であればよいが、さら
には5〜15の範囲がより好ましい。具体的に示すと、
0.1μm未満と0.5〜1μm、0.01μm〜0.
1μmと0.1μm〜2μm、0.1〜0.5μmと
0.5μm〜10μm、または0.5μm〜10μmと
10μm〜100μmの範囲の組み合わせから上記平均
粒径比の条件を満たすものが好ましく選ばれる。
【0017】上記少なくとも二種類の未焼成シリカ系複
合酸化物の混合方法は、公知の方法が何等制限なく用い
られるが、粒径0.1μm以下の粒子の凝集体を解砕
し、単分散性を高める目的から、機械的な圧力によるボ
ールミル、振動ボールミル、アトライタ等のボール媒体
ミル、またペースト状物の混練に用いられるライカイ機
等の混練機が好適に用いられる。さらに近年粉体のメカ
ノケミカル的な表面改質方法として注目されているハイ
ブリダイザーを利用することも可能であり、奈良機械制
作所ハイブリダイザー等の高速気流中衝撃方法やホソカ
ワミクロン社製ハイブリダイザー等の衝撃粉砕式が好適
に用いられる。
【0018】また混合時に、適当な分散媒を用いるのも
解砕分散効率を高めるために好ましく、分散媒は特に限
定されるものでないが、未焼成シリカ系複合酸化物表面
との濡れ性から極性溶媒が好ましく、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール等のアルコール類、1、2−
プロパンジオール、1,4−ブタンジオル等のジオール
類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ホル
ムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、水等が好適
に用いられ、またこれらの溶媒は2種以上を組み合わせ
て用いても良く、さらにこれらの分散媒に界面活性剤を
小量添加することも分散性を向上させる方法として好適
に採用される。
【0019】歯科用充填修復材料に十分な表面光沢性を
付与するためには、無機充填材の粒径は1μm以下であ
ればよいが、平均粒径が0.1μm未満の粉体と平均粒
径が0.5〜1μmの範囲にある粉体から選ばれた少な
くとも2種類の異なる粒度分布を有する粉体が好まし
い。更に、高充填効率を得るためには、両者の平均粒径
の比は4〜20の範囲で組み合わされるが、特に5〜1
5の範囲であればより好ましい。粒径の比が4より小さ
いと、また20より大きいと充填効率は大きく低下す
る。また、両者の配合比は、平均粒径が0.1μm未満
の粉体対平均粒径が0.5〜1μmの範囲にある粉体が
それぞれ10〜50重量%対50〜90重量%の範囲が
高充填率をえるために好ましく、さらには20〜40重
量%対80〜60重量%の範囲にあればより高い充填率
が得られる。
【0020】本発明の無機充填材は、上記複数の平均粒
径を有する予め混合された未焼成シリカ系複合酸化物
を、強度、化学的安定性を向上させる目的で特定温度で
焼成することにより得られる。異なる粒径の未焼成シリ
カ系複合酸化物を先に個別に焼成した後混合して無機充
填材としても、該無機充填材は後述する重合性単量体と
混合して歯科充填修復材料とした場合81wt%以上の
高充填率を達成できない。
【0021】焼成温度はシリカ系複合酸化物の組成及び
粒径によりそれぞれ異なるが、シリカ系複合酸化物が焼
結する温度以下の温度で焼成されることが必須である。
具体的には焼結温度から下200℃以内、好ましくは1
00℃以内の範囲であることが強度、化学的安定性から
望ましい。焼成温度が焼結温度から200℃を越えた低
い温度では、粒子表面は多孔質な状態となる可能性があ
り十分な強度及び化学的安定性がえられない。また焼結
温度以上で焼成すると焼成後単分散状態に解砕すること
はできない。具体的に焼成温度を例示すると粒径1μm
の球状シリカ粒子であれば1050℃で焼結がはじまる
ことから焼成温度は800〜1000℃の範囲で焼成す
ることが好ましく、さらには900℃で焼成することが
望ましい。係留時間は30分〜2時間程度で良いが好ま
しくは1時間焼成するのがよい。
【0022】本発明の歯科用充填修復材料は上記製法で
得られた無機充填材と、重合開始剤を含有する重量性単
量体とを混合して得られる。該無機充填材と重合性単量
体の配合比は、無機充填材81〜90重量部、重合性単
量体10〜19重量部(ただし無機充填材と重合性単量
体の合計は100重量部とする)の範囲から選べば、機
械的強度に優れ、歯質に近い熱膨張率を有する歯科用充
填修復材料が得られる。さらには、無機充填材は83〜
88重量部の範囲が機械的強度と歯牙の窩洞への充填お
よび形態付与における容易な操作性を両立するためによ
り好ましい。無機充填材が81重量部より少ないと機械
的強度は大幅に低下し、90重量部より多くなるとペー
ストとしての性状が失われ、操作性が低下するといった
問題が生じる。
【0023】無機充填剤を歯科用充填修復材料の充填材
として用いる場合、一般に強度及び耐久性を向上させる
目的によりシランカップリング剤に代表される表面処理
剤で処理することが行われる。表面処理方法は、公知の
方法で行えばよく、シランカップリング剤は、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、ε−メタクリ
ロキシオクチルトリメトキシシラン、κ−メタクリロキ
シデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン等が好適に用いられる。
【0024】また、無機充填材に組み合わされる重合性
単量体は特に限定されるものでなく、一般に歯科用とし
て使用されるメタクリル基アクリル基を有するモノマー
が広く用いられる。具体的に上記アクリル基及び/また
はメタクリル基を有するモノマーについて例示すると、
ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート
(以下メタクリレート化合物をbis−GMAと呼
ぶ)、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
(以下メタクリレート化合物を3Gと呼ぶ)、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、下記の構造を
有する
【0025】
【化1】
【0026】( ただし、上記式中R1、R2、R3及
びR4は同種又は異種のH又はCH3で、Aは
【0027】
【化2】
【0028】のいずれかの基を示す)ウレタン系4官能
化合物等が用いられる。
【0029】さらに、こらの重合性単量体は粘度、屈折
率を調整する目的で、複数組み合わせることも適宜行わ
れる。
【0030】また、重合の開始に用いられる開始剤は公
知のものが制限なく使用されるが、加熱によりラジカル
を発生するもの、また室温中で過酸化物と三級アミンの
反応によりラジカルを発生するもの、さらに可視光線や
紫外線等の光線の露爆によりラジカルを発生するものが
適宜用途に応じて選ばれるれる。
【0031】各々の代表的化合物を例示すると、加熱に
よりラジカルを発生する重合開始剤としては、2,2−
アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(シ
アノ吉草酸)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等が好
適であり、光線によりラジカルを発生する開始剤として
は、カンファーキノン、α−ナフチル、ベンジル等のα
−ジケトンが好適に用いら中でもカンファーキノンを用
いるのが好ましい。さらにこれらの光開始材には還元剤
としてN,N−ジメチル−P−トルイジン、N,N−ジ
エタノール−P−トルイジン、ジメチルアミノ安息香酸
及びそのエチルエステル、N,N−ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート等の三級アミンが組み合わされる。こ
れらの重合開始剤の添加量は、適宜決定すればよいが、
重合性単量体100重量部に対し0.1〜10、好まし
くは0.3〜3重量部用いられる。
【0032】さらに上記必須成分以外に紫外線吸収材、
ラジカル重合禁止材、色調を合わせるための顔料等が添
加材として適宜添加される。
【0033】これら無機充填材、重合性単量体、重合開
始剤、および必要に応じて用いられる添加材の混合方法
は特に限定されず、公知の方法が採用される。通常、混
合機内に置かれた特定量の無機充填材に、重合開始剤及
び任意の添加材を含有する重合性単量体を徐々に添加、
混合しペースト状態を示さなくなるまで加える。
【0034】
【実施例】本発明を具体的に説明するために以下実施例
を挙げて説明するが本発明はこれらの実施例に限定され
るものでない。本発明における各種物性の測定は以下の
通りに行った。
【0035】〔径測定〕レーザー散乱式粒度分布測定装
置(FOTAL3300 大塚電子社(株)製)により
測定した。
【0036】〔機械的強度〕 <圧縮強度>4mmΦ×3mmの孔を有するステンレス
製モールドにペーストを充填し、ポリプロピレン製シー
トで圧接した後、タカラベルモント社製光照射器ホワイ
トライトによりシートの上から30秒間照射した。硬化
体をモールドからとりだし、さらに100℃20分間加
熱したものを37℃水中に24時間浸漬後、島津製作所
製試験機オートグラフを用いて、クロスヘッドスピード
10mm/minで測定した。
【0037】<引張強度>6mmΦ×4mmの孔を有す
るステンレス製モールドにペーストを充填し、ポリプロ
ピレン製シートで圧接した後、タカラベルモント社製光
照射器ホワイトライトによりシートの上から30秒間照
射した。硬化体をモールドからとりだし、さらに100
℃20分間加熱したものを37℃水中に24時間浸漬
後、島津製作所製試験機オートグラフを用いて、クロス
ヘッドスピード10mm/minで測定した。
【0038】<曲げ強度>25mm×2×2の孔を有す
るステンレス性割型にペーストを充填し、ポリプロピレ
ン性シートで圧接した後、タカラベルモント社製光照射
機ホワイトライトにより、ポリプロピレン製シートの上
から1面につき3箇所各30秒間光照射した。硬化体を
割型から取り出しさらに100℃20分間加熱したもの
を37℃水中に24時間浸漬した後、島津製作所製試験
機オートグラフを用いて、クロスヘッドスピード0.5
mm/minで測定した。
【0039】〔表面滑沢性〕20mm×10mm×4m
mのテフロン製モールドにペーストを充填し、技巧用照
射機アルファライトを用いて3分間光照射して硬化体を
作製した。次に硬化体表面を注水下、#800、#10
00、#1500のエメリーペーパーで研磨した後さら
にバフ研磨を行った。研磨面の表面粗さRa値を東京精
密社製サーフコムにて測定した。
【0040】〔表面光沢度〕上記表面粗さの測定方法で
作製した試験片を東京電色社性光沢度計(モデルTC−
108D)を用いて反射角45゜で測定した。
【0041】製造例1 平均粒径0.7μm球状シリカ
粒子の合成 攪拌装置機付き内容積3lガラス製容器にメチルアルコ
ール400g、25%アンモニア水100g導入したア
ンモニア性アルコール溶液中に攪拌しながらテトラエチ
ルシリケート、日本コルコート化学社製、商品名「エチ
ルシリケート28」を10g添加し30分間攪拌した後
さらにテトラエチルシリケート2000gと25%アン
モニア水640gを4時間かけて同時滴下した。尚反応
中の反応溶液の温度は35℃に保った。反応終了後さら
に30分間攪拌した後溶媒を留去し、さらに100℃で
風乾して白色粉体(A−1)を得た。得られた粉体は、
粒径範囲0.68〜0.76μm、平均粒径0.72μ
mであり、その形状は走査型電子顕微鏡(以下SEMと
呼ぶ)による観察から真球状であった。
【0042】製造例2 平均粒径1μm球状シリカ粒子
の合成 攪拌装置機付き内容積3lガラス製容器にメチルアルコ
ール375g、25%アンモニア水125g導入したア
ンモニア性アルコール溶液中に攪拌しながらテトラエチ
ルシリケート、日本コルコート化学社製、商品名「エチ
ルシリケート28」を10g添加し30分間攪拌した後
さらにテトラエチルシリケート2000gと25%アン
モニア水640gを4時間かけて同時滴下した。尚反応
中の反応溶液の温度は40℃に保った。反応終了後さら
に30分間攪拌した後溶媒を留去し、さらに100℃で
風乾して白色粉体(A−2)を得た。得られた粉体は、
粒径範囲0.96〜1.06μm、平均粒径1.02μ
mであり、その形状はSEM観察から真球状であった。
【0043】製造例3 平均粒径2μm球状シリカ粒子
の合成 攪拌装置機付き内容積3lガラス製容器にエチルアルコ
ール400g、25%アンモニア水100g導入したア
ンモニア性アルコール溶液中に攪拌しながらテトラエチ
ルシリケート、日本コルコート化学社製、商品名「エチ
ルシリケート28」を10g添加し30分間攪拌した後
さらにテトラエチルシリケート2000gと25%アン
モニア水640gを4時間かけて同時滴下した。尚反応
中の反応溶液の温度は40℃に保った。反応終了後さら
に30分間攪拌した後溶媒を留去し、さらに100℃で
風乾して白色粉体(A−3)を得た。得られた粉体は、
粒径範囲1.89〜1.96μm、平均粒径1.94μ
mであり、その形状はSEM観察から真球状であった。
【0044】製造例4 平均粒径0.08μmシリカ−
チタニア粒子の合成 テトラエチルシリケート、日本コルコート化学社製、商
品名「エチルシリケート28」176.6gをメタノー
ル400gと混合し、0.04%塩酸水溶液を5g加え
て温度30℃約1時間攪拌しながら加水分解した。その
後、この溶液にテトラブチルチタネート(日本曹達社
製)21.4gとナトリウムメチラーとメタノール溶液
(濃度28重量%)をイソプロピルアルコール210g
に溶かした溶液を攪拌しながら混合して、テトラエチル
シリケートとテトラブチルチタネートの混合溶液を調整
した。次に攪拌装置付き内容積3lのガラス製容器にメ
タノール1050g導入し、これに25重量%アンモニ
ア水溶液250gを加えてアンモニア性アルコール溶液
を調整した。これにシリカ種粒子をつくるためのテトラ
エチルシリケート0.8gをメタノール15gに溶かし
た溶液を添加し、添加終了後反応液が乳白色を帯びてき
たところで、さらに上記混合物を約5時間かけて滴下し
た。尚反応中は反応曹の温度を40℃に保った。滴か終
了後さらに30分間攪拌した後、溶媒を留去して乳白色
粒子を回収した。回収した粒子をさらに100℃で乾燥
してシリカ−チタニア系白色粉体(B−1)を得た。得
られた粉体は、粒径範囲0.080〜0.095μm、
平均粒径は0.084μmであり、形状はSEM観察か
ら球状であった。
【0045】製造例5 平均粒径0.2μmシリカ−チ
タニア球状粒子の合成 テトラエチルシリケート、日本コルコート化学社製、商
品名「エチルシリケート28」176.6gをメタノー
ル400gと混合し、0.04%塩酸水溶液を5g加え
て温度30℃約1時間攪拌しながら加水分解した。その
後、この溶液にテトラブチルチタネート(日本曹達社
製)37.7gとナトリウムメチラートとメタノール溶
液(濃度28重量%)をイソプロピルアルコール210
gに溶かした溶液を攪拌しながら混合して、テトラエチ
ルシリケートとテトラブチルチタネートの混合溶液を調
整した。次に攪拌装置付きの内容積3lのガラス製容器
にメタノール400glとイソブチルアルコール700
gを導入し、これに25重量%アンモニア水溶液250
gを加えてアンモニア性アルコール溶液を調整した。こ
れにシリカ種粒子をつくるためのテトラエチルシリケー
ト1.8gをメタノール15gに溶かした溶液を添加
し、添加終了後反応液が乳白色を帯びてきたところで、
さらに上記混合物を約5時間かけて滴下した。尚反応中
は反応曹の温度を40℃に保った。滴か終了後さらに3
0分間攪拌した後、溶媒を留去して乳白色粒子を回収し
た。回収した粒子をさらに100℃で乾燥してシリカ−
チタニア系白色粉体(B−2)を得た。得られた粉体
は、粒径範囲0.17〜0.22μm、平均粒径0.1
9μmであり、その形状はSEM観察から球状であっ
た。
【0046】実施例1 平均粒径0.7μmシリカ粒子70gにエチレングリコ
ール4gを添加してライカイ機を用いて30分間混練し
た。次に平均粒径0.08μmシリカ−チタニア粒子3
0gを加えて、さらに7時間混練したものを温度900
℃で1時間焼成し、ボールミルにより30分間解砕した
ものを、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン1.5重量%で処理した。
【0047】得られた表面処理物に乳鉢中で、予め重合
開始剤、還元剤としてカンファーキノン、ジメチルアミ
ノ安息香酸エチルステルを重量比0.5%溶解してある
重合性単量体BisGMA/3G(重量比60/40)
をペースト状態を示す限界まで徐々に添加、混合した。
この時の無機充填剤の含有重量%をもって無機充填率と
する。
【0048】実施例2 平均粒径0.7μm球状未焼成シリカ80gにエチレン
グリコール3gを添加してライカイ機を用いて30分間
混合した。次に平均粒径0.08μmシリカ−チタニア
粒子20gを加えて、さらに7時間混合したものを温度
900℃で1時間焼成し、ボールミルにより30分間解
砕したものを、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシランを1.2重量%処理した。次いで実施例1と同
様にして重合性単量体と混合してペースト状物を得た。
【0049】実施例3 実施例2において0.7μm球状未焼成シリカに代わ
り、1.0μm球状未焼成シリカ粒子を用いた以外同様
な方法にて混合、焼成を行った。
【0050】さらに、焼成物をγ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン1重量%で処理しものを実施例
1と同様に重合性単量体に充填してペースト状物を得
た。
【0051】比較例1 実施例1において0.7μm球状未焼成シリカに代わり
2.0μm球状未焼成シリカを用いた以外は同様に行っ
た。
【0052】比較例2 実施例1において0.08μm球状未焼成シリカ−チタ
ニアに代わり0.2μm球状未焼成シリカ−チタニアを
用いた以外同様な方法で行った。
【0053】比較例3 平均粒径0.7μmの球状未焼成シリカと粒径0.08
μmの球状未焼成シリカ−チタニアをそれぞれ温度90
0℃で1時間焼成したものを以下実施例1と同様にして
混合、表面処理し、次いで重合性単量体に充填してペー
スト状物を得た。
【0054】比較例4 比較例3において粒径0.7μmのシリカ粒子にかわり
粒径1.0μmのシリカ粒子を用いた以外は同様に行っ
た。
【0055】比較例5 実施例1において0.7μm球状未焼成シリカと0.0
8μm球状未焼成シリカ−チタニアをそれぞれ30g、
70gに代えた以外は同様におこなった。
【0056】比較例6 実施例1において焼成条件を1100℃1時間に変更し
た。その結果無機充填材は焼結し、解砕することはでき
なかった。
【0057】実施例1〜3、比較例1〜5で得られた歯
科用充填修復材料の最大無機充填率、表面滑沢性、表面
光沢度、及び機械的強度を測定し併せて表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られる少なく
とも二種類の平均粒径を有するシリカ系金属酸化物から
なる無機充填材は重合性単量体と混合したとき、二種以
上の粒径の異なる粒子が単分散状態で均一に混合するこ
とが可能であり特に、サブミクロン領域の粒子の分散混
合が容易になる。この結果、0.1μm以下のシリカ系
球状無機酸化物を10〜50重量%、0.5μm〜1μ
mのシリカ系球状無機酸化物を50〜90重量%の範囲
で混合して得た充填材と重合性単量体を混合した歯科用
充填修復材料は81%以上の無機充填率となり、その結
果高強度を有ししかも人歯と同等の表面光沢性、表面滑
沢性を有する。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−258707(JP,A) 特開 昭61−171404(JP,A) 特開 昭61−148109(JP,A) 特表 平3−504874(JP,A) 特表 昭57−500150(JP,A) 特表 昭61−501090(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 6/08 A61K 25/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径0.1μm未満のシリカ系複合
    酸化物10〜50重量%と平均粒径0.5〜1μmのシ
    リカ系複合酸化物50〜90重量%とからなる無機充填
    材であって、両者のシリカ系複合酸化物の平均粒径の比
    は4〜20倍の範囲であり、これらのシリカ系複合酸化
    物はそれぞれ未焼成の状態で混合された後、焼結温度未
    満の温度で焼成されてなることを特徴とする無機充填
    材。
  2. 【請求項2】 異なる平均粒径を有し且つ両者の平均粒
    径の比が4〜20倍の範囲である少なくとも二種類の未
    焼成シリカ系複合酸化物を混合し、次いで焼結温度未満
    の温度で焼成することを特徴とする無機充填材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 未焼成シリカ系複合酸化物が、シリカ、
    または周期律表第1族、第2族、第3族、及び第4族か
    らなる群から選ばれた少なくとも一種の金属とシリカと
    の複合酸化物であることを特徴とする請求項記載の無
    機充填材の製造方法。
  4. 【請求項4】 異なる平均粒径が0.01μm〜100
    μmの範囲にあることを特徴とする請求項2または請求
    項3記載の無機充填材の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4の何れかに記載の製造方法
    で得られた無機充填材、重合性単量体、及び重合開始剤
    とを混合することを特徴とする歯科用充填修復材料の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の無機充填材81〜90重
    量部、重合性単量体10〜19重量部、および重合性単
    量体100重量部に対し0.1〜10重量部の重合開始
    剤(ただし無機充填材と重合性単量体の合計は100重
    量部とする)を含有してなることを特徴とする歯科用充
    填修復材料。
JP31022892A 1992-11-19 1992-11-19 無機充填材の製造方法及び歯科用充填修復材料 Expired - Fee Related JP3277502B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31022892A JP3277502B2 (ja) 1992-11-19 1992-11-19 無機充填材の製造方法及び歯科用充填修復材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31022892A JP3277502B2 (ja) 1992-11-19 1992-11-19 無機充填材の製造方法及び歯科用充填修復材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06157230A JPH06157230A (ja) 1994-06-03
JP3277502B2 true JP3277502B2 (ja) 2002-04-22

Family

ID=18002735

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31022892A Expired - Fee Related JP3277502B2 (ja) 1992-11-19 1992-11-19 無機充填材の製造方法及び歯科用充填修復材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3277502B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022224807A1 (ja) 2021-04-19 2022-10-27 株式会社トクヤマデンタル 歯科用接着性組成物

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
HUP9901760A3 (en) * 1996-01-29 1999-11-29 Usbiomaterials Corp Alachua Bioactive glass compositions and methods of treatment using bioactive glass
CN101448480B (zh) 2006-05-26 2012-07-04 株式会社德山齿科 单液型牙科用粘结性组合物
JP5943672B2 (ja) * 2012-03-28 2016-07-05 クラレノリタケデンタル株式会社 歯科用複合化無機充填材
JP6093213B2 (ja) * 2013-03-15 2017-03-08 株式会社トクヤマデンタル 無機凝集粒子、有機無機複合フィラー、及びそれらの製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022224807A1 (ja) 2021-04-19 2022-10-27 株式会社トクヤマデンタル 歯科用接着性組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06157230A (ja) 1994-06-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4741781B2 (ja) 光硬化性歯科用修復材料及びその製造方法
JP3487395B2 (ja) 硬化性組成物
JP3214982B2 (ja) 無機組成物
JP2732968B2 (ja) 歯科用充填組成物
JP3683861B2 (ja) 粒子複合材に基づくフィラー
EP1226807B1 (en) Dental curable composition
JP2002518309A (ja) 最適粒径をもつ混成複合材
JP3495171B2 (ja) 歯科用充填組成物
JP5094188B2 (ja) 歯科用硬化性組成物
JPH0651735B2 (ja) 硬化性組成物
JP2007314484A (ja) 歯科用有機無機複合フィラー、該フィラーを用いた歯科用修復材組成物及びそれらの製造方法
JP3277502B2 (ja) 無機充填材の製造方法及び歯科用充填修復材料
JP2011068596A (ja) 歯科用修復材組成物
JP4798680B2 (ja) 歯科用硬化性組成物
JP4502673B2 (ja) フィラー、該フィラーを用いた複合レジン、及び該複合レジンを用いた歯科補綴物
JP2000053519A (ja) 光硬化性歯科用修復材料
JPS6011505A (ja) 重合用の複合組成物
JPH0312044B2 (ja)
JP2000026226A (ja) 光硬化性歯科用修復材料
JPH04210609A (ja) 歯科用複合材料の製造方法
JP3023065B2 (ja) 不定形無機酸化物凝集粒子、その製法および歯科用充填組成物
JP3421072B2 (ja) 歯科用充填組成物
JP3466343B2 (ja) 歯科用充填組成物
WO2023085201A1 (ja) 歯科用硬化性組成物
JPH0310603B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080215

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110215

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120215

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees