JP3401303B2 - プラスチックレンズ用プライマー組成物及びプラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

プラスチックレンズ用プライマー組成物及びプラスチックレンズの製造方法

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JP3401303B2
JP3401303B2 JP27698093A JP27698093A JP3401303B2 JP 3401303 B2 JP3401303 B2 JP 3401303B2 JP 27698093 A JP27698093 A JP 27698093A JP 27698093 A JP27698093 A JP 27698093A JP 3401303 B2 JP3401303 B2 JP 3401303B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチックレンズ基
材に施されるプライマー組成物及び該組成物を用いたプ
ラスチックレンズの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】プラスチックレンズは、軽
量、耐衝撃性、加工性、染色性などの性能において従来
のガラスレンズに比べて優れているため、近年、特に眼
鏡レンズの分野で急速に普及してきている。一方、プラ
スチックレンズは、表面硬度が不十分なため傷がつきや
すいといった欠点を有する。そのため、通常は、レンズ
表面にシリコン系のハードコート層が設けられ、改善さ
れている。また、像や物体のチラツキの原因となる表面
反射を抑えるために、無機物質をレンズ表面に蒸着して
反射防止膜を設ける処置が採られている。しかしなが
ら、シリコン系ハードコート層と無機反射防止膜の両者
を施したプラスチックレンズにおいては、耐衝撃性が劣
るという難点がある。
【0003】また、プラスチックレンズ基材にシリコン
系ハードコート層を施す場合に、シリコン系ハードコー
ト層とプラスチックレンズ基材との密着性を改善するこ
とが課題となっており、このため、プラスチックレンズ
基材にプラズマ照射などの表面処理を行ったり、プラス
チックレンズ基材とハードコート層との間にプライマー
層を設けるなどの方法により表面改質が行われている。
【0004】後者のプライマーによる表面改質の従来技
術としては、例えば、プライマー組成物として水酸基を
含むエポキシ化合物を用いる方法(特開昭60−214
301号公報)、アクリル系及び/又はメタクリル系化
合物と芳香族ビニル化合物を用いる方法(特開昭60−
214302号公報)、アクリルポリオールと多官能性
有機イソシアネート化合物からなるプライマー組成物を
用いる方法(特開昭61−114203号公報)、ポリ
ウレタン樹脂溶液を主成分とするプライマー組成物を用
いる方法(特開昭63−141001号公報)などが知
られている。これらのうち、特開昭60−214301
号公報に開示されている水酸基を含むエポキシ化合物を
主成分とするプライマー組成物を用いる方法では、プラ
イマー層形成材料としてエポキシ化合物を単体で用いて
おり、加熱硬化の際にクラックを生じる場合がある。ま
た、このプライマー層を設けた後にシリコン系ハードコ
ート層を設け、さらに無機反射防止膜を設けたプラスチ
ックレンズは、耐薬品性及びハードコート層とレンズ基
材との密着性においては向上しているものの、耐熱性が
劣る。また、特開昭60−214302号公報に開示さ
れているアクリル系及び/又はメタクリル系化合物と芳
香族ビニル化合物を用いる方法では、プライマー層形成
のためにエマルジョンを用いており、このエマルジョン
の配合には水を使用するため、プライマーの乾燥時に乾
燥に長時間を要し、それでも水が残留しやすく、外観の
悪化や面精度の低下を招きやすい。また、このプライマ
ー層上に、シリコン系ハードコート層、さらに無機反射
防止膜を施した場合、密着性は良好であるが、レンズの
中心厚が2mm未満のものでは耐衝撃性の改善がなされ
ていない。
【0005】特開昭61−114203号公報には、ア
クリルポリオールと多官能性有機イソシアネート化合物
からなるプライマー組成物を塗布し、硬化させて架橋構
造を持つポリウレタン層を形成する方法が開示されてい
る。しかし、常温で活性水素と反応し得るイソシアネー
ト化合物を用いるため、アクリルポリオールの水酸基と
イソシアネート基の反応がプライマーの保存中にも進行
する。このため、このプライマー組成物のポットライフ
があまり長くなく、実用的でない。また、特開昭63−
141001号公報に開示されているポリウレタン樹脂
溶液をプラスチックレンズ基材に塗布した後、溶剤を揮
発させてポリウレタン樹脂層を得る方法では、得られる
ポリウレタンが架橋構造を有しない所謂熱可塑性の樹脂
であるため、このポリウレタン層を有するレンズをハー
ドコート液に浸漬すると、プライマー層のポリウレタン
がハードコート液の溶剤に溶解し、ハードコート液中に
溶出してハードコート液を汚染する。また、溶剤の作用
によってポリウレタン層の透明性が失われ、白化するこ
とがある。
【0006】以上述べたように従来のプライマーコート
による表面改質方法では、密着性及び耐薬品性において
は効果が認められるものの、耐衝撃性及び耐熱性は改善
されておらず、また、外観上に悪影響を受ける。このた
め、シリコン系ハードコート層及び無機反射防止膜を有
するプラスチックレンズは、プライマー層を設けた場合
にも米国FDA規格によるメガネレンズの耐衝撃性試験
に合格させるためにはマイナスレンズの場合、レンズの
中心厚を2.0mm以上にする必要があり、これによっ
てレンズのコバ厚が厚くなり、レンズが重くなるなどの
原因となる。
【0007】
【発明の目的】したがって、本発明の目的は、シリコン
系ハードコート層及び無機反射防止膜を有するプラスチ
ックレンズの製造に際し、ハードコート層を設ける前に
プラスチックレンズ基材表面に塗布、硬化させることに
よりプラスチックレンズの耐衝撃性、耐熱性及びプラス
チックレンズ基材とハードコート層との密着性を改善す
ることができるプラスチックレンズ用プライマー組成物
及び該組成物を用いたプラスチックレンズの製造方法を
提供することである。
【0008】
【発明の概要】本発明は、ポリイソシアネートとエポキ
シ樹脂を主成分とするプライマー組成物によって上記目
的を達成したものである。すなわち、本発明によるプラ
イマー組成物は、ポリイソシアネート及びエポキシ化合
物を、イソシアネート基とエポキシ基の当量比が0.5
〜1.5の範囲となる割合で含有することを特徴とす
る。また、本発明によるプラスチックレンズの製造方法
は、 プラスチックレンズ基板上に上記のプライマー組
成物を塗布、加熱硬化させてプライマー層を形成し、次
いで、有機ハードコート層を設け、さらにその表面に蒸
着により単層あるいは多層の反射防止膜を設けることを
特徴とする。
【0009】本発明のプライマー組成物は、上記のよう
に、ポリイソシアネートとエポキシ樹脂を含有する。こ
こで、ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレン
ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナ
フタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,
4’−ジフェニルジイソシアネートなどの芳香族系ジイ
ソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、1,3’−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキ
サン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなど
の脂肪族系ジイソシアネート、1,6,11−ウンデカ
ントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4
−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサ
メチレントリイソシアネートなどが挙げられる。さら
に、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソ
シアネート又はイソホロンジイソシアネートのビュレッ
ト変性体あるいはイソシアヌレート変性体、ヘキサメチ
レンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反
応アダクト体、イソホロンジイソシアネートとトリメチ
ロールプロパンとの反応アダクト体、キシリレンジイソ
シアネートとトリメチロールプロパンとの反応アダクト
体、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンとト
リメチロールプロパンとの反応アダクト体、ビシクロヘ
プタントリイソシアネートとトリメチロールプロパンと
の反応アダクト体などのトリイソシアネートなどの所謂
変性ポリイソシアネートを使用することができる。ま
た、上記の変性ポリイソシアネートのイソシアネート基
をβ−ジケトン、フェノール類、ε−カプロラクタム、
オキシム類でブロックしたブロック型ポリイソシアネー
トも用いられる。このブロック型ポリイソシアネートと
して特に好適なのは、ヘキサメチレンジイソシアネート
の環状三量体であるイソシアヌレートをβ−ジケトンで
ブロックしたものが挙げられる。ブロック剤としては、
β−ジケトンが、ブロック剤の解離温度が低く、耐熱性
があまり良くないレンズにも使用できる点で好ましい。
β−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン、
2,4−ヘキサジオンなどが挙げられる。特開昭61−
114203号公報で問題となっているポットライフを
解決するためにもブロック型イソシアネートを用いるこ
とが好ましい。
【0010】また、エポキシ化合物としては、エポキシ
基を含むものであれば特に制限はなく、例えば、アリル
グリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエ
ーテル、フェニルグリシジルエーテルなどのモノエポキ
シ化合物、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、
o−フタル酸ジグリシジルエーテルなどのジエポキシ化
合物、グリセロールジグリシジルエーテル、トリメチロ
ールプロパントリグリシジルエーテルなどのポリエポキ
シ化合物が挙げられる。エポキシ化合物としては、水酸
基を含むもの、例えば、グリセロールジグリシジルエー
テルなどを用いてもよいが、その場合、ポリイソシアネ
ートはエポキシ化合物のエポキシ基とイソシアネート基
が反応し、液中でゲル化してしまうので、ブロック型ポ
リイソシアネートに限定される。他方、水酸基を持たな
いエポキシ化合物については、この限りではない。特開
昭60−214301号公報に示されている方法では、
単体で水酸基を含むエポキシ化合物を用いるため耐熱性
が不十分である。これに対し、本発明によりイソシアネ
ート化合物とエポキシ樹化合物の二成分系を用いること
により、エポキシ化合物単独を用いた場合より可とう性
が向上し、耐熱性を改善することができる。
【0011】ポリイソシアネートとエポキシ化合物の比
率は、イソシアネート基とエポキシ基の当量比で0.5
〜1.5であり、特に0.95〜1.15であるのが好
ましい。この当量比が0.5未満又は1.5より大きい
と、硬化膜の架橋密度が小さすぎて、耐熱性は向上する
が、耐衝撃性は向上しない。
【0012】ポリイソシアネートとエポキシ化合物との
反応には、硬化剤、硬化触媒、硬化促進剤は必ずしも用
いなくてもよい。これは、ポリイソシアネートのイソシ
アネート基とエポキシ化合物中の水酸基が反応に極めて
敏感であることによる。この反応は、通常5〜20℃の
範囲で進行する。ポリイソシアネートとしてブロック型
ポリイソシアネートを用いる場合は、ブロック剤の解離
温度を硬化温度とすることによりポリイソシアネートと
エポキシ化合物が反応する。しかし、エポキシ化合物が
水酸基を含まない場合、例えばアリルグリシジルエーテ
ルなどに対しては、アミン系硬化剤が用いられる。
【0013】アミン系硬化剤としては、例えば、エチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテト
ラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプ
ロピルアミンなどの鎖状脂肪族アミン、メンセンジアミ
ン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチ
ルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシ
ルエタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−
アミノエチルピペラジンなどの環状脂肪族アミン、メタ
フェニレンジミアン、ジアミノジフェニルメタン、ジア
ミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニル
メタンなどの芳香族アミンが挙げられる。さらに、アミ
ン系硬化剤を用いた場合の硬化触媒は、2,4,6−ト
リスジメチルアミノメチルフェノールが適用できる。ア
ミン系硬化剤と硬化触媒は、アミン系硬化剤だけで単独
で用いるより硬化触媒と併用した方が生成物の構成、構
造強度からみて好ましい。また、硬化触媒を単独で用い
ると、生成物が目的と異なるものになる可能性があるた
め、避けた方がよい。したがって、アミン系硬化剤と硬
化触媒は、同時に用いることが好ましい。さらにまた、
硬化速度を上げる目的で硬化促進剤を用いることができ
る。アミン系硬化剤を用いた場合の硬化促進剤は、サリ
チル酸が好ましい。
【0014】本発明のプライマー組成物は、上記のよう
に、ポリイソシアネートとエポキシ化合物を主成分とし
て含有するものであり、この組成物は、使用に際して塗
布に適した濃度に希釈して使用される。希釈に用いられ
る溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エステル
類、エーテル類などが挙げられ、その他の公知の溶媒も
使用することができる。特に好ましくは、ベンジルアル
コール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレン
グリコールモノメチルエーテルであるが、これらは単独
で用いてもよく、また、2種以上の混合溶媒として用い
てもよい。また、塗布性の改善を目的とした各種レベリ
ング剤あるいは耐候性の向上を目的とした紫外線吸収剤
や酸化防止剤、その他膜の性能や機能を高める公知の添
加剤を併用することができる。
【0015】次に、本発明によるプラスチックレンズの
製造方法について説明する。本発明のプライマー組成物
が塗布されるプラスチックレンズ基材としては、公知の
任意のものが用いられ、例えば、ジエチレングリコール
ビスアリルカーボネートを重合することによって得られ
たものが好適である。このジエチレングリコールビスア
リルカーボネート重合体から成るレンズの成形方法は、
通常の他のプラスチックレンズと同様であり、モノマー
混合物をガラスモールドとエチレン−酢酸ビニル共重合
体製ガスケットにより組み立てられた鋳型中に流し込
み、所定時間、所定温度で加熱し、さらに硬化後ガラス
モールドから取り出し、後硬化させればよい。
【0016】プライマー組成物の塗布方法には、特に制
限はなく、ディップコート、ローラコート、スプレー塗
装、フローコート、スピンコートなどを容易に適用でき
る。プライマー層を形成するには、プライマー組成物を
レンズに塗布した後、50〜200℃、好ましくは90
〜140℃で加熱することが望ましい。50℃より低い
温度では充分な硬さが得られず、また、200℃より高
い温度ではレンズが変形し、黄変したりする。ブロック
型ポリイソシアネートを用いる場合は、ブロック剤の解
離する温度より高い温度で硬化させるようにする。硬化
に必要な時間は、用いる溶媒、硬化温度などによって異
なるが、通常5〜90分である。こうして密着性に優れ
たプライマー層をプラスチックレンズ基材上に形成する
ことができる。プライマー層としての必要な膜厚は、通
常0.01〜20μm、好ましくは0.1〜10μmで
ある。0.01μm未満では耐衝撃性の向上効果がな
く、20μmを超えるとレンズに塗布した時の面精度が
低下し、クラックの誘発にもつながる。
【0017】本発明のプラスチックレンズは、上記のよ
うに基材上に形成したプライマー層の上にさらに有機ハ
ードコート層及び無機反射防止層を設けたものである。
このハードコート層の形成に用いるハードコート組成物
としては、特に制限はなく、各種のシリコン樹脂を主成
分とするものが好ましい。特に好ましいハードコート組
成物は、(A)コロイダルシリカ、コロイダル酸化アン
チモン、コロイダル酸化セリウム、コロイダル酸化ジル
コニウム、コロイダル酸化チタン、コロイダル酸化タン
グステン等のような10〜100オングストロームの平
均粒子径を有する無機酸化物微粒子及び(B)アルキル
基、アルケニル基、アリル基、ハロゲン、エポキシ基、
アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基あるいは
シアミノ基のような置換基を有するシラン化合物及びそ
の加水分解物から選ばれる1種以上のシラン化合物を主
成分とするものである。上記の(A)成分と(B)成分
の配合比率は、A/Bで表して0.25〜3.0である
ことが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ま
しい。
【0018】上記のシラン化合物の具体例としては、メ
チルトリメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラ
ン、トリメチルクロロシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル
トリメトキシシランなどが挙げられる。
【0019】上記(A)成分の無機酸化物微粒子は、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコー
ル、又は水等の溶媒に分散させて用いる。この場合、コ
ロイド溶液の固形分は、30〜35重量%であることが
好ましい。これより低濃度では、分散媒が多すぎてハー
ドコート組成物とした時、所定の膜厚を得にくく、ま
た、上記より高濃度のものはコロイドとしての安定性に
欠ける。
【0020】ハードコート組成物の塗布方法としては、
特に制限はなく、プライマー組成物の塗布方法と同様に
ディップコート、スプレー塗装、フローコート、スピン
コートなど、一般に実施されている任意の方法を採用す
ることができる。ハードコート組成物を塗布した後、加
熱及び/又は紫外線、電子線照射など、使用したハード
コート組成物に適する方法で硬化処理を行う。このと
き、硬化促進、低温での硬化を目的とした各種の硬化剤
を併用してもよい。硬化剤としては、例えば、各種の有
機酸及びその酸無水物、金属錯化合物、金属アルコキシ
ド、炭酸塩などの各種塩などが挙げられ、これらのうち
特に金属錯化合物が好ましい。これらは単独であるいは
2種以上組み合わせて使用することもできる。金属錯化
合物の具体例としては、アルミニウムアセチルアセトネ
ートが挙げられる。こうして形成されるハードコート層
の好ましい膜厚は、2〜4μmである。
【0021】本発明においては、前記ハードコート層上
にさらに単層又は多層の無機反射防止膜を設ける。反射
防止層の形成に用いる物質としては、SiO2 、ZrO
2 、TiO2 等の金属酸化物、MgF2 等の金属フッ化
物などが挙げられる。反射防止層を形成させる方法とし
ては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテ
ィング法、イオンビームアシスト法などが挙げられる。
多層の反射防止膜の具体例としては、ハードコート層の
側からZrO2 、SiO2 、ZrO2 、SiO2 の膜を
順次、それぞれλ/4、λ/4、λ/2、λ/2の光学
的膜厚で形成させたものが挙げられる。ここで、λは光
の波長520nmである。
【0022】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】実施例1 (1)プラスチックレンズ基材の製造 ジエチレングリコールビスアリルカーボネート150重
量部と、ラジカル重合開始剤としてのジイソプロピルパ
ーオキシカーボネート5重量部とからなる混合物を室温
で攪拌して均一にした後、0.8μmのメンブランフィ
ルタを用いて濾過し、さらに冷却しながら脱気した。次
いで、レンズ成形用のガラス製鋳型中に注入し、40℃
で6時間加温し、40℃から65℃まで12時間かけて
昇温し、さらに65℃から85℃まで7時間かけて昇温
し、最後に85℃で4時間加熱した。レンズを鋳型から
取り出し、130℃で1時間ポストキュアーを行った。
得られたレンズ成形品は、無色透明であり、屈折率が
1.50で、内部歪みのない光学用のプラスチックレン
ズとして好適なものであった。これをプラスチックレン
ズ基材として用いた。
【0024】(2)プライマー用組成物の調製及び塗布
硬化 市販のポリイソシアネート(住友バイエルウレタン
(株)製の商品名デスモジュールTPLS−2759)
44重量部、エポキシ樹脂(ナガセ化成工業(株)製の
商品名デナコールEX−111、エポキシ当量117)
55重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチ
ルエーテル390重量部、レベリング剤としてフロラー
ドFC−430(住友スリーエム(株)製、商品名)
0.2重量部、硬化剤としてエチレンジアミン0.1重
量部、硬化触媒として2,4,6−トリスジメチルアミ
ノメチルフェノール0.05重量部及び硬化促進剤とし
てサリチル酸エチル0.1重量部を混合し、室温で均一
な状態になるまで充分に攪拌し、これをプライマー組成
物とした。このプライマー組成物を前処理としてアルカ
リ処理を施した上記(1)で得られたプラスチックレン
ズ基材上に浸漬法(引き上げ速度10cm/分)で塗布
した。その後、120℃で30分間加熱硬化処理してプ
ライマーを硬化させ、レンズ上に厚みが1.0μmのプ
ライマー層を形成させた。
【0025】(3)シリコン系ハードコート組成物の調
製及び塗布硬化 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン65重量
部を0.01規定塩酸水溶液35重量部と混合し、加水
分解させた後、一昼夜(24時間)常温で熟成した。こ
の加水分解調製液90重量部とメタノール分散コロイダ
ルシリカ(平均粒子径20±3μm、固形分30%)2
00重量部を混合し、さらに硬化剤としてアルミニウム
アセチルアセトネート0.5重量部、溶媒としてイソプ
ロピルアルコール60重量部及びフローコントロール剤
としてL−7607(日本ユニカー(株)製)0.2重
量部を混合し、充分に攪拌し、室温で熟成させた。この
液をハードコート組成物とした。このハードコート組成
物を上記(2)で得られたプライマー層を有するプラス
チックレンズ基材のプライマー層上に浸漬法(引き上げ
速度20cm/分)で塗布した。塗布したレンズを室温
で15分間風乾させた後、90℃で10分間、さらに1
30℃で2時間加熱処理して厚みが2μmのハードコー
ト層を形成させた。
【0026】(4)反射防止膜の形成 上記(3)で得られたプライマー層及びハードコート層
を有するプラスチックレンズ基材にSiO2 /ZrO2
/TiO2 系の5層反射防止膜を真空蒸着法により形成
させた。すなわち、ハードコート層の側からSiO2
ZrO2 、SiO2 、TiO2 、SiO2 の膜を順次、
それぞれλ0 /4、λ0 /2、λ0 /4、λ0 /2、λ
0 /1の光学的膜厚で形成させた。ここで、λ0 は、光
の波長550nmである。このようにして透明性に優
れ、内部歪み、ゆがみなどの光学的問題のないプラスチ
ックレンズが得られた。その他、諸性能を測定した。そ
の評価方法は下記のとおりであり、評価結果を表1に示
した。
【0027】評価方法 密着性 塗膜面にナイフ等で縦横1mm間隔で各11本の平行な
線を入れ、100個のマス目を入れる。その上にセロフ
ァン粘着テープを強くはりつけ、90度方向に急速に剥
がし、100個中の剥がれずに残ったマス目の個数を調
べ、下記のように評価する。すなわち、100個中に剥
がれずに残っていた個数=mとして、m/100と表
す。「100/100」はクロスカットテープにおいて
膜が全く剥がれなかったことを示している。
【0028】 耐候性 サンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製)
に240時間曝露した後、表面を肉眼で観察し、クラッ
クのないものを良好と評価した。 耐擦傷性 スチールウール#0000で塗膜表面を1kgの荷重を
かけて摩擦して傷の状態を調べ、下記の基準で評価す
る。 良好:塗膜表面に傷がつかないか又は僅かに傷がつく 不良:塗膜表面に深く傷がつく
【0029】 耐熱性 70℃に設定したオーブン中に10分間放置し、10分
後直ちに取り出して外観検査を行う。クラックのないも
のを「良好」と評価した。 耐衝撃性 16gの鋼球を127cmの高さからレンズ中心部に自
然落下させ、破砕、ひび割れなどの有無を調べた。落下
は3回行い、3回とも変化しなかったものについて「良
好」とした。なお、本試験に用いたレンズの中心厚さは
すべて1.2mmとした。
【0030】実施例2(参考例) プライマー組成物として、市販のスミジュールN−75
(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)39重量
部、エポキシ樹脂(ナガセ化成工業(株)製の商品名デ
ナコールEX−111、エポキシ当量117)54重量
部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル396重量部、レベリング剤としてフロラードFC−
430(住友スリーエム(株)製、商品名)0.2重量
部の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にしてプラ
イマー付きプラスチックレンズを作製した。さらに、実
施例1と同様にしてハードコート層及び反射防止層を形
成し、実施例1と同様に性能を評価し、結果を表1に示
す。
【0031】実施例3 プライマー組成物として、市販のポリイソシアネート
(住友バイエルウレタン(株)製の商品名デスモジュー
ルTPLS−2759)44重量部、エポキシ樹脂(ナ
ガセ化成工業(株)製の商品名デナコールEX313、
エポキシ当量141)50重量部、溶媒としてプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル390重量部、レベリ
ング剤として(住友スリーエム(株)製の商品名フロラ
ードFC−430)0.2重量部の混合物を用いた以外
は、実施例1と同様にしてプライマー付きプラスチック
レンズを作製した。さらに、実施例1と同様にしてハー
ドコート層及び反射防止層を形成し、実施例1と同様に
性能を評価し、結果を表1に示す。
【0032】比較例1〜3 プライマー層を全く設けない以外は、すべて実施例1〜
3と同様にしてプラスチックレンズを作製した。性能評
価の結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明により、プラスチックレンズとハ
ードコート層の間にポリイソシアネートとエポキシ化合
物の二成分系からなるプライマー層を設けることによっ
て耐衝撃性、耐熱性、レンズ基材とハードコート層との
密着性を著しく向上することができる。特に、耐衝撃性
については、米国FDA規格に合格するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−25299(JP,A) 特開 平5−142401(JP,A) 特開 平5−93803(JP,A) 特開 昭60−214301(JP,A) 特開 昭55−108471(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 175/04 B29D 11/00 G02B 1/11

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブロック型ポリイソシアネート及びエポ
    キシ化合物を、イソシアネート基とエポキシ基の当量比
    が0.5〜1.5の範囲となる割合で含有することを特
    徴とするプラスチックレンズ用プライマー組成物。
  2. 【請求項2】 プラスチックレンズ基板上に請求項1記
    載のプライマー組成物を塗布、加熱硬化させてプライマ
    ー層を形成し、次いで、有機ハードコート層を設け、さ
    らにその表面に蒸着により単層あるいは多層の反射防止
    層を設けることを特徴とするプラスチックレンズの製造
    方法。
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