JP2005010618A - プラスチックレンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、屈折率が1.60以上のプラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成された染色が可能なハードコート層及び前記ハードコート層上に形成された無機物質から成る反射防止層を有するプラスチックレンズに関し、透明性、各種耐久性、染色性に優れ、特に耐衝撃性に優れたプラスチックレンズを提供する。
【解決手段】ハードコート層又はプライマー層のいずれか少なくとも一方が、酸化防止剤又は紫外線吸収剤のいずれか少なくとも一方を含有する。
【選択図】 無し
【解決手段】ハードコート層又はプライマー層のいずれか少なくとも一方が、酸化防止剤又は紫外線吸収剤のいずれか少なくとも一方を含有する。
【選択図】 無し
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屈折率が1.60以上のプラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成された染色が可能なハードコート層及び前記ハードコート層上に形成された無機物質から成る反射防止層を有するプラスチックレンズに関し、透明性、各種耐久性、染色性に優れ、特に耐衝撃性に優れたプラスチックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックレンズはガラスレンズに比べ軽量で、成形性、加工性、染色性が良く、割れにくく安全性も高いため、眼鏡レンズの分野で広く用いられている。これに関連して、特にジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂レンズは樹脂の屈折率が1.50とガラスレンズに比べ低いため、近視用レンズでは外周部がガラスレンズに比べ厚くなるという欠点があった。このため合成樹脂レンズの分野では、1.60更にはそれ以上の屈折率を有する高屈折率樹脂材料によって薄型化を図る試みが積極的に行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、プラスチックレンズは軟質で非常に傷つきやすい為、プラスチックレンズの表面に硬度の高いシリコン系のハードコート層をもうけ、耐擦傷性の向上を図る方法が一般的に行われている。しかし、1.54以上の高屈折率樹脂レンズに同様の方法を適用した場合、樹脂レンズとコーティング膜の屈折率差による干渉縞が発生し、外観不良の原因となることがあった。この問題点を解決するために、シリコン系皮膜形成用塗布液に使われている二酸化ケイ素微粒子のコロイド状分散体を、高屈折率を有するAl、Ti、Zr、Sn、Sbの無機酸化物微粒子のコロイド分散体に置き換える技術が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。更には1.60以上の屈折率を有する塗膜の形成方法として、酸化チタン含有核微粒子とアンチモン酸化物から成る被覆層とから構成される複合酸化物微粒子を用いる方法がある(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
また、近年、プラスチックレンズの屈折率が高くなったことに伴い、プラスチックレンズが薄くなっている。この高屈折率を有するプラスチックレンズ表面にハードコート層を形成し、更にこのハードコート層上に反射防止層を形成する工程で、プラスチックレンズ基材に歪みが生じ、落下の衝撃によりプラスチックレンズ基材が割れやすくなるという欠点があったが、これを解決する方法として、プラスチックレンズとハードコート層の間に衝撃を吸収する柔軟なプライマー層を設けることがなされている。
【0005】
しかしながら、プライマー層の屈折率が基材の屈折率と等しくないと干渉縞が生じるという問題点があり、基材の屈折率と等しいプライマー層を形成することが望まれている。例えば、特許文献5には、屈折率が1.54以上のレンズ基材に使用できるチタンとケイ素、ジルコニウム及び又はアルミニウムの酸化物からなる複合酸化物微粒子とマトリックスを含む被膜形成用塗布液を用いる方法が開示されている。また特許文献6には、屈折率が1.67から1.70を有するレンズ基材上にも使用できる被膜形成用塗布液が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−270859号公報(第1〜9頁)
【特許文献2】
特公昭61−54331号公報(第1〜2頁)
【特許文献3】
特公昭63−37142号公報(第1〜2頁)
【特許文献4】
特開2002−363442号公報(第1〜2頁)
【特許文献5】
特開平8−48940号公報(第1〜2頁)
【特許文献6】
特開2000−204301号公報(第1〜2頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら現状では、1.60以上の高い屈折率を有するレンズ基材表面に、レンズ基材の屈折率と同等の屈折率を有するプライマー層を形成するため、高屈折率を有するAl、Ti、Zr、Sn、Sb等の無機酸化物微粒子から成る複合金属酸化物微粒子のコロイド分散体を高い配合率でプライマー層中に添加することが必要であるため、樹脂成分の配合比が低下し、その結果、耐衝撃性が低下するという問題を有していた。また同様にハードコート層の屈折率を高くするためにハードコート層中の金属酸化物微粒子の配合比を高くすることによっても、プラスチックレンズ基材の耐衝撃性は低下する。また更に、このハードコート層の上に無機物質からなる反射防止層を設けた場合にも、レンズ基材の耐衝撃性は低下するという問題が生じていた。
【0008】
そこで本発明は、上記に鑑みて、屈折率が1.60以上のプラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、染色が可能なハードコート層及び無機物質とから成る反射防止層と、を有するプラスチックレンズにおいて、干渉縞を生じることなく、FDA規格を充分満たす耐衝撃性を備え、且つ透明性及び、各種耐久性に優れたプラスチックレンズを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明におけるプラスチックレンズは、屈折率が1.60以上のプラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたハードコート層及び前記ハードコート層上に形成された無機物質から成る反射防止層を有するプラスチックレンズにおいて、前記ハードコート層又は前記プライマー層のいずれか少なくとも一方が、酸化防止剤又は紫外線吸収剤のいずれか少なくとも一方を含有することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、プラスチックレンズ基材上にプライマー層、ハードコート層及び無機物質から成る反射防止層を備えた屈折率が1.60以上のあらゆるプラスチックレンズにおいて、前記ハードコート層又は前記プライマー層のいずれか少なくとも一方が、酸化防止剤又は紫外線吸収剤のいずれか少なくとも一方を含有する事によって、プラスチックレンズ基材の耐衝撃性が、FDA規格を充分満たすことができるようになるという効果がある。
【0011】
本発明におけるプレスチックレンズは、ハードコート層が下記の成分
(A)Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる、微粒子または複合微粒子で、前記金属酸化物微粒子の最外表面を有機ケイ素化合物で改質処理を施した微粒子。
【0012】
(B)一般式(1)
【化2】
(式中、R1は重合可能な反応基を有する有機基、R2は炭素数1〜6の炭化水素基、X は加水分解性基であり、n は0 または1である。)で表される有機ケイ素化合物、
(C)硬化触媒
(D)多官能性エポキシ化合物
を含有することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる、微粒子または複合微粒子で、前記金属酸化物微粒子の最外表面を有機ケイ素化合物で改質処理を施した微粒子を用いることでハードコート層の屈折率が1.60以上を得ることが可能となり、且つ前記ハードコート層の上に設ける無機物質から成る反射防止層との良好な密着性を得ることが可能になるという効果を有する。
【0014】
また、一般式
【化3】
(式中、R1は重合可能な反応基を有する有機基、R2は炭素数1〜6の炭化水素基、X は加水分解性基であり、n は0 または1である。)で表される有機ケイ素化合物を用いることにより、レンズ表面上へハードコート層をコーティングを施す際に、塗膜の形成が容易となるという効果を有し、硬化触媒を用いることにより、ハードコート層の硬化を促進するという効果を有し、多官能性エポキシ化合物を用いることにより、ハードコート層を着色することが可能になるという効果を有する。また更には前記ハードコート層又は前記プライマー層のいずれか少なくとも一方が、酸化防止剤又は紫外線吸収剤のいずれか少なくとも一方を含有する事によって、プラスチックレンズ基材の耐衝撃性が、FDA規格を充分満たすことができるようになるという効果がある。
【0015】
本発明におけるプラスチックレンズは、プライマー層が水性化アクリル−ウレタン系樹脂又はポリエステル系熱可塑性樹脂及び、Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる、微粒子または複合微粒子で、前記金属酸化物微粒子の最外表面を有機ケイ素化合物で改質処理を施した微粒子を含有することを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、水性化アクリル−ウレタン系樹脂又はポリエステル系熱可塑性樹脂を用いることによって、前記プライマー層の屈折率が1.60以上を得ることが可能となり、且つ前記ハードコート層及びレンズ基材との良好な密着性を得ることが可能になるという効果を有する。また更には前記ハードコート層又は前記プライマー層のいずれか少なくとも一方が、酸化防止剤又は紫外線吸収剤のいずれか少なくとも一方を含有する事によって、プラスチックレンズ基材の耐衝撃性が、FDA規格を充分満たすことができるようになるという効果がある。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を実施例により更に詳細に説明する。
(実施例1)
1)プライマー層の形成
メタノール90.41g、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液17.22g、市販のメタノール分散アンチモン酸化物被覆酸化チタン含有複合酸化物ゾル(触媒化成工業株式会社製、商品名「オプトレイク特殊品(40)」)39.58gを混合し、更に市販の水性ポリエステル「A −160P」(高松油脂株式会社製、固形分濃度25重量%)42.41g、メタノールで10倍希釈したシリコン系界面活性剤(日本ユニカー株式会社製、商品名「L −7604 」)0 .38gを加え3時間攪拌した。
【0018】
本発明で用いる金属酸化物ゾルは、上記アンチモン酸化物被覆酸化チタン含有複合酸化物ゾルに限らず、Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる、微粒子または複合微粒子であっても良く、また前記金属酸化物微粒子の最外表面を有機ケイ素化合物で改質処理を施した微粒子は、混合物であっても、互いに固溶状態であっても良く、他の複合状態であっても良い。また、酸化チタンは無定型であっても、アナタース型、ルチル型、ブルッカイト型或いはペロブスカイト型チタン化合物であっても良い。これらは分散媒たとえば水やアルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散させたものである。また本発明に関わる複合酸化物微粒子は、その表面が有機珪素化合物又はアミン系化合物で処理され改質されていても良い。この際用いられる有機ケイ素化合物としては、単官能性シラン、あるいは二官能性シラン、三官能性シラン、四官能性シラン等がある。処理に際しては加水分解性基を未処理で行ってもあるいは加水分解して行ってもよい。また処理後は、加水分解性基が微粒子の−OH基と反応した状態が好ましいが、一部残存した状態でも安定性には何ら問題がない。またアミン系化合物としてはアンモニウムまたはエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンがある。これら有機ケイ素化合物とアミン化合物の添加量は微粒子の重量に対して1から15%程度の範囲内で加える必要がある。いずれも粒子径は約1〜300ミリミクロンが好適である。
【0019】
ポリエステル系熱可塑性樹脂の屈折率は、約1.5程度であるため、近年のプラスチックレンズ基材の高屈折率化により、プラスチックレンズ基材にプライマー層としてそのままポリエステル系熱可塑性樹脂を塗布すると、プライマー層により干渉縞が生じる。そのため、上記金属酸化物微粒子をプライマー層に配合して屈折率調整をすることが好ましい。本発明のコーティング組成物への適用種及び使用量は目的とする被膜性能により決定されるものであるが、0 〜65 重量%、特に55 重量%以下であることが望ましい。65 重量%を超えると、プライマー層が白濁し外観が悪化する場合がある。
【0020】
本発明において用いたアンチモン酸化物被覆酸化チタン含有複合酸化物ゾルは、該ゾルに含有される酸化チタンをアンチモン酸化物によって被覆することによって、酸化チタンの有する紫外線照射により生じる光活性による耐候性の低下や、染色した場合の退色性の低下を防止している。また、該ゾルはその表面が有機珪素化合物で改質処理されているため、ハードコート層及びレンズ基材との良好な密着性を得ることが可能である。
【0021】
本発明で用いたポリエステル系熱可塑性樹脂としては、特開2000−144048号公報 に記載されているものを例示することができる。ポリエステル系熱可塑性樹脂は、ハードセグメントにポリエステル、ソフトセグメントにポリエーテルまたはポリエステルを使用したマルチブロック共重合体である。ハードセグメント(H)とソフトセグメント(S)との重量比率は、H/S=30/70〜90/10、望ましくは40/60〜80/20である。ハードセグメント構成成分としてのポリエステルは、基本的には、ジカルボン酸類と低分子グリコールよりなる。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2 ,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、デカメチレンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸等の炭素数4 〜20 の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、ε−オキシカプロン酸等の脂肪族オキソカルボン酸、ダイマー酸(二重結合を有する脂肪族モノカルボン酸を二量重合させた二塩基酸)等、及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でもテレフタル酸、2 ,6−ナフタレンジカルボン酸が使用に際して望ましい。また、低分子グリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1 ,4−ブタンジオール、1 ,5−ペンタンジオール、1 ,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、1 ,6−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族グリコール等、及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でもエチレングリコール、1 ,4−ブタンジオールが使用に際して望ましい。
【0022】
ソフトセグメント構成成分としてのポリエステルは、ジカルボン酸類と長鎖グリコールよりなり、ジカルボン酸類としては、前記のものが挙げられる。長鎖グリコールとしては、ポリ(1 ,2−ブタジエングリコール)、ポリ(1 ,4−ブタジエングリコール)及びその水素添加物等が挙げられる。また、ε−カプロラクトン、エナントラクトン及びカプロリロラクトンもポリエステル成分として有用である。これらの中でε−カプロラクトンが使用に際して望ましい。
【0023】
ソフトセグメント構成成分のポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(1 ,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1 ,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等のポリ(アルキレンオキシド)グリコール類が挙げられ、これらの中でポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールが使用に際して望ましい。ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、他のポリマーと混合して使用が可能であり、例えば通常のエステル系樹脂(PBT、PET等)、アミド系樹脂、さらには、アミド系熱可塑性エラストマー等任意であり、通常、ポリマー全体に占める割合は、50%未満、望ましくは30%未満とする。ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、溶液タイプのプライマー組成物に調製することができる。しかし、加工性及び環境保護の観点より水性エマルジョンのプライマー組成物として使用することが望ましい。
【0024】
このプライマー組成物を屈折率1.60眼鏡レンズ(セイコーエプソン(株)製、SLUレンズ生地)上に浸漬法(引き上げ速度25cm /min )にて塗布した。
【0025】
本発明で用いるプラスチックレンズ基材としては、特に制限されないが、(メタ)アクリル樹脂をはじめとしてスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂等を例示することができる。これらの内、屈折率が1.60以上である基材を用いた。
【0026】
プラスチック基材上へプライマー層を形成する方法は、例えば水性化アクリル−ウレタン樹脂を含む水溶液に必要により金属酸化物微粒子を配合し、必要により溶剤に希釈してプライマー液を調製して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。なお、レベリング剤などの従来公知の各種添加剤を含むことが可能である。調製したプライマー液をスピンコート、ディッピングなどの方法でプラスチック基材に塗布し、乾燥後、硬化させる方法で行うことができる。
調製したプライマー液をスピンコート、ディッピングなどの方法でプラスチック基材に塗布し、乾燥後、硬化させる方法で行うことができる。
【0027】
塗布した基材レンズは80℃で20分間加熱硬化処理して基材上に膜厚0.8μmのプライマー層を形成した。プライマー層の膜厚は0 .01〜50μm、特に0 .1〜30μmの範囲が好ましい。プライマー層が薄すぎるとハードコート層の染色性の向上や耐衝撃性の改善効果は少なく、逆に厚すぎると、表面の平滑性が損なわれたり、光学的歪が発生する場合がある。
【0028】
さらに、本発明のコーティング組成物の塗布にあたっては、基材レンズと被膜の密着性を向上させる目的で、基材表面をあらかじめアルカリ処理、酸処理、界面活性剤処理、無機あるいは有機物の微粒子による研磨処理、プライマー処理またはプラズマ処理を行うことが効果的である。
【0029】
2)ハードコート層の形成
まず溶剤としてブチルセロソルブ41.2g 、有機ケイ素化合物としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン22.9g を混合した。
本発明では、上記の一般式(1)
【化4】
(式中、R1は重合可能な反応基を有する有機基、R2は炭素数1〜6の炭化水素基、X は加水分解性基であり、n は0 または1である。)で表される有機ケイ素化合物を用いることもできる。成分の一般式において、R1は重合可能な反応基を有する有機基で、ビニル基,アリル基,アクリル基,メタクリル基,エポキシ基,メルカプト基,シアノ基,イソシアノ基,アミノ基等の重合可能な反応基を有するシラン化合物であり、R2は炭素数1〜6の炭化水素基であるが、その具体的例としては、メチル基,エチル基,ブチル基,ビニル基,フェニル基等が挙げられる。またXは加水分解性基であり、n は0 または1であり、その具体的なものとして、メトキシ基,エトキシ基,メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基,ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等が挙げられる。この(B)成分は、加水分解を行なってから用いるか、もしくは硬化した後の被膜に酸処理を行なうか、どちらかの方法を取った方がより有効である。使用量は固形分の3〜40重量%であることが望ましい。すなわち、3重量%未満では、染色性と無機蒸着膜との各種耐久性の双方を同時に満足させることができない。また40重量%を越えると塗膜の耐水性が悪くなる。また、塗液のポットライフも短くなる。このシラン化合物の具体例として、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルジアルコキシメチルシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン等がある。これらは、2種以上混合して用いてもかまわない。
【0030】
この混合液に0 .1N 塩酸水溶液6.3gを攪拌しながら滴下した。さらに3時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に0.1Nの水酸化ナトリウムブチルセロソルブ溶液を添加後、ブチルセロソルブで10倍希釈したシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L −7001 」)0 .63g、メタノール分散アンチモン酸化物被覆酸化チタン含有複合酸化物ゾル(触媒化成工業株式会社製、商品名「オプトレイク特殊品(45)」)113.4g 、及び多官能性エポキシ化合物として1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、商品名「デナコールEX−313」)7.36g を加え、硬化触媒としてアセチルアセトネ−トFe(III)0.462g、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)0 .26gを添加し4時間撹拌後、濾過を行った後、一昼夜熟成させて塗液とした。
【0031】
本発明のコーティング組成物で用いる金属酸化物ゾルは、上記プライマー層で用いる金属酸化物ゾルと同様であるが、使用量は固形分の10〜65重量%であることが望ましい。すなわち、10重量%未満では、無機蒸着膜との密着性が不充分となるか、もしくは、塗膜の耐擦傷性が不充分となり、また65重量%を越えると、塗膜にクラックが生じる。更には屈折率が1.60以上の基材上において干渉縞を生じないような使用量は35重量%以上であることが望ましい。
【0032】
また、ハードコート液のコーティング液のpHは、耐擦傷性,コーティング液のポットライフ等において重要な因子である。即ち、pHが4.5未満であるとコーティング液のポットライフが短くなり、生産性が低下する。また6.5を越えると、耐擦傷性が低下する。
【0033】
本発明のコーティング組成物で用いる多官能性エポキシ化合物は、ハードコート層に色むらを生じない充分な染色性を付与するもので、塗料、接着剤、注型用などに広く実用されているもので、例えば過酸化法で合成されるポリオレフィン系エポキシ樹脂、シクロペンタジエンオキシドやシクロヘキセンオキシドあるいはヘキサヒドロフタル酸とエピクロルヒドリンから得られるポリグリシジルエステルなどの脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールAやカテコール、レゾシノールなどの多価フェノールあるいは(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ソルビトールなどの多価アルコールとエピクロルヒドリンから得られるポリグリシジルエーテル、エポキシ化植物油、ノボラック型フェノール樹脂とエピクロルヒドリンから得られるエポキシノボラック、フェノールフタレインとエピクロルヒドリンから得られるエポキシ樹脂、グリシジルメタクリレートとメチルメタクリレートアクリル系モノマーあるいはスチレンなどの共重合体、さらには上記エポキシ化合物とモノカルボン酸含有(メタ)アクリル酸とのグリシジル基開環反応により得られるエポキシアクリレートなどが挙げられる。
【0034】
多官能性エポキシ化合物の具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールヒドロキシヒバリン酸エステルのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールジグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテル、等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。
【0035】
本発明で用いる硬化触媒としては上記以外に、過塩素酸,過塩素酸アンモニウム,過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類、Cu(II),Zn(II),Co(II),Ni(II),Be(II),Ce(III),Ta(III),Ti(III),Mn(III),La(III),Cr(III),V(III),Co(III),Fe(III),Al(III),Ce(IV),Zr(IV),V(IV)等を中心金属原子とするアセチルアセトネ−ト、アミン、グリシン等のアミノ酸、ルイス酸、有機酸金属塩等が挙げられる。この中でも最も好ましい硬化触媒としては、過塩素酸マグネシウム、Al(III),Fe(III)のアセチルアセトネ−トが挙げられる。添加量は、固形分濃度の0.01〜5.0重量%の範囲内が望ましい。
【0036】
このようにして得られるコーティング用組成物は、必要に応じ、溶剤に希釈して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。
【0037】
尚、本発明のコーティング組成物は上記成分の他に必要に応じて、少量の界面活性剤、帯電防止剤、分散染料・油溶染料・蛍光染料・顔料、フォトクロミック化合物等を添加しコーティング液の塗布性および硬化後の被膜性能を改良することもできる。
【0038】
このハードコート組成物を、1)で得られたプライマー層を形成したプラスチックレンズ基材上に浸漬法(引き上げ速度25cm/min )にて塗布した。塗布した基材レンズは125 ℃で3 時間加熱硬化処理して基材上に膜厚2 .0μm のハードコート層を形成させた。塗布・硬化方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法あるいはフロー法によりコーティング液を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥することにより、被膜を形成することができる。特に熱変形温度が100℃未満の基材に対しては治工具でレンズ基材を固定する必要のないスピンナー法が好適である。
【0039】
また、硬化被膜の膜厚としては、0.05〜30μであることが好ましい。すなわち、0.05μ未満では、基本となる性能が出ず、30μを越えると、表面の平滑性が損なわれたり、光学的歪が発生する為好ましくない。
【0040】
3)反射防止層及び撥水膜の形成
反射防止膜は、無機被膜の単層または多層で構成されるが、有機被膜で構成されていても良い。無機被膜の材質としては、SiO2、SiO 、ZrO2 、TiO2 、TiO 、Ti2O3 、Ti2O5、Al2O3 、Ta2O5 、CeO2 、MgO 、Y2O3 、SnO2 、MgF2 、WO3等の無機物が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。プラスチックレンズの場合は、低温で真空蒸着が可能なSiO2、ZrO2、TiO2、Ta2O5が好ましい。また、多層膜構成とした場合は、最外層はSiO2とすることが好ましい。無機被膜の成膜方法は、例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD 法、飽和溶液中での化学反応により析出させる方法等を採用することができる。真空蒸着法においては、蒸着中にイオンビームを同時に照射するイオンビームアシスト法を用いてもよい。
【0041】
また、反射防止膜を形成する際には、ハードコート層の表面処理を行なうことが望ましい。この表面処理の具体的例としては、酸処理、アルカリ処理、紫外線照射処理、アルゴンもしくは酸素雰囲気中での高周波放電によるプラズマ処理、アルゴンや酸素もしくは窒素などのイオンビーム照射処理などが挙げられる。更に、反射防止膜の表面を汚れ難く、あるいは汚れを拭き取りやすくするために、パーフルオロアルキル基等を含む含フッ素シラン化合物などを用いて反射防止膜の表面に撥水膜を形成することができる。
【0042】
本発明では、プラスチックレンズ上に、基板側から順に、SiO2層とTiO2層を交互に積層させた7層からなる反射防止多層膜を構築した。反射防止膜SiO2層の成膜は、真空蒸着法(真空度5 .0×10−4Pa)で行った。TiO 2 層の成膜は、イオンアシスト蒸着法(真空度4 .0×10−3Pa)で行った。TiO2層をイオンアシスト蒸着で成膜するときのイオンアシスト条件は加速電圧520V 、加速電流値270mA で、真空度は酸素を導入して4 .0×10−3Paで保持するようにした。基材側から数えて、第1層は0 .083λの光学膜厚を持つSiO2層、第2層は0 .07λの光学膜厚を持つTiO2層、第3層は0 .10 λの光学膜厚を持つSiO2層、第4層は0 .18λの光学膜厚を持つTiO2層、第5層は0 .065λの光学膜厚を持つSiO2層、第6層は0 .14λの光学膜厚を持つTiO2層、第7層は0 .26λの光学膜厚を持つSiO2層を順次積層してなる反射防止膜を構築した。設計波長λは520nm とした。得られた多層膜の反射干渉色は緑色を呈し、全光線透過率は99%であった。
【0043】
その後、反射防止膜上に含フッ素シラン化合物からなる撥水膜を真空蒸着法にて成膜を行った。
【0044】
4)各種評価試験
上記のようにして得られたレンズについて、下記の各種評価試験を行い、特性評価を行った。以下の実施例及び比較例においても同様の試験評価を行った。
【0045】
耐衝撃性:16 .3g の硬球を147cm の高さからレンズの凸面中心に自然落下させ、レンズの割れを確認し、割れ及びひびのないものを○とした。なお本試験に使用したレンズの中心厚はすべて1 .1mm のものとした。また硬球の重量を2 倍にしても、割れ及びひびのないものを◎とした。
【0046】
耐擦傷性:ボンスター#0000 スチールウール(日本スチールウール(株)製)で1kg の荷重をかけ、10 往復表面を摩擦し、傷ついた程度を目視で観察した。
【0047】
耐候性:キセノンランプによるサンシャインウェザーメーターに250 時間暴露した後の表面状態に変化のないものを良とした。
【0048】
耐湿性:60 ℃×99 %雰囲気に10 日間放置した後、表面状態に変化のないものを良とした。
【0049】
耐温水性:プラスチックレンズを90℃の温水中に60分間浸漬させ、クラック、白化等の発生を目視で観察した。
【0050】
表面処理層の密着性:レンズ基材と表面処理層(ハードコート層および反射防止膜)の密着性は(c)と(d)の試験を行なったものについて、JISD−0202 に準じてクロスカットテープ試験によって行なった。即ち、ナイフを用い基材表面に1mm 間隔に切れ目を入れ、1平方mm のマス目を100 個形成させる。次に、その上ヘセロファン粘着テープ(ニチバン(株)製:商品名「セロテープ」(登録商標))を強く押し付けた後、表面から90 度方向へ急に引っ張り剥離した後コート被層の残っているマス目を密着性指標として、目視で観察した。
【0051】
染色性:最表層がハードコート層のプラスチックレンズについて試験を行った。94 ℃の分散染料浴中に10分間浸漬させ、分光光度形で視感透過率を測定し30%以下のものを◎、50%以下のものを○、70%以下のものを△、70%以上のものを×にした。
【0052】
外観:暗箱中で黒色の背景と蛍光灯を用いて、透過光、反射光で白濁、クラック、白化等について観察した。
【0053】
上記試験結果を表1に示す。上記試験結果によれば、屈折率が1.60以上のプラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成された染色が可能なハードコート層及び前記ハードコート層上に形成された無機物質から成る反射防止層を有するプラスチックレンズにおいて、前記ハードコート層中にフェノール系酸化防止剤を添加することによって、透明性、各種耐久性、染色性に優れ、特に耐衝撃性に優れたプラスチックレンズを得ることができた。
【0054】
(実施例2)
実施例1のハードコート層の形成において、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)の代わりにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(Ciba製、商品名「チヌビン213」)0 .26gを用いたこと以外は全て同様に行った。ここで用いる紫外線吸収剤としては、上記以外に、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、イソオクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート等のベンゾトリアゾール類、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルペピリジン重縮合物等のヒンダードアミン類が挙げられ、酸化防止剤及び紫外線吸収剤の使用量は、固形分の0.002〜0.2重量%であることが望ましい。すなわち、0.002重量%未満では、FDA規格を十分満たす耐衝撃性を得ることができない。また0.2重量%を越えると塗膜が白濁し外観が悪化する。
【0055】
上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、ハードコート層中にベンゾトリアゾール系酸化防止剤を添加することによっても実施例1と同様の特性を得ることできた。
【0056】
(実施例3)
実施例1のハードコート層の形成において、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)0.13g、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(Ciba製、商品名「チヌビン213」)0.13gを用いたこと以外は全て同様に行った。
【0057】
上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、ハードコート層中にフェノール系酸化防止剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加することによっても実施例1と同様の特性を得ることできた。
【0058】
(実施例4)
実施例1のプライマー層の形成において、プライマー組成物の調合の最後にフェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)0.26gを添加し、ろ過を行った。またハードコート層の形成において前記酸化防止剤を使用しなかったこと以外は全て実施例1と同様に行った。上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、プライマー層中にフェノール系系酸化防止剤を添加することによっても実施例1と同様の特性を得ることできた。
【0059】
(実施例5)
実施例4のプライマー層の形成において、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)の代わりにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(Ciba製、商品名「チヌビン213」)0 .26gを用いたこと以外は全て同様に行った。上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、プライマー層中にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加することによっても実施例1と同様の特性を得ることできた。
【0060】
(実施例6)
実施例4のプライマー層の形成において、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)0.13g、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(Ciba製、商品名「チヌビン213」)0.13gを用いたこと以外は全て同様に行った。上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、ハードコート層中にフェノール系酸化防止剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加することによっても実施例1と同様の特性を得ることできた。
【0061】
(実施例7)
実施例1のプライマー層の形成において、水性ポリエステル「A −160P」(高松油脂株式会社製、固形分濃度25重量%)の代りに、水性化アクリル−ウレタン樹脂「ネオステッカー700」(日華化学株式会社製)を使用したこと以外は全て同様に行った。
【0062】
本発明で用いる水性化アクリル−ウレタン樹脂とは、アクリルポリオールと多官能性イソシアネート化合物との共重合体、又はアクリルポリオールと水性化ポリウレタン樹脂との複合体であり、水に分散されたものである。アクリルポリオールは、水酸基をもつアクリルモノマーとアクリル酸エステル等の共重合可能なモノマーとの共重合アクリル樹脂である。水性化ポリウレタン樹脂は、水性ウレタン樹脂又は水分散型ポリウレタンともよばれ、多官能イソシアネート化合物とポリオールとの反応によって得られたウレタン樹脂が水溶液中にエマルジョンとして分散されているものである。アクリルポリオールの原料である水酸基をもつアクリルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、5,6−ジヒドロキシヘキシルメタクリレートなどが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0063】
また、水酸基をもつアクリルモノマーと共重合可能なモノマーとしては、メチル(メタ)クリレート、エチル(メタ)クリレート、n−プロピル(メタ)クリレート、n−ブチル(メタ)クリレート、イソプロピル(メタ)クリレート、イソブチル(メタ)クリレート、n−アミル(メタ)クリレート、n−ヘキシル(メタ)クリレート、イソアミル(メタ)クリレート、トリフルオロエチル(メタ)クリレート、ベンジル(メタ)クリレート、2−n−ブトキシエチル(メタ)クリレート、2−クロロエチル(メタ)クリレート、sec−ブチル(メタ)クリレート、tert−ブチル(メタ)クリレート、2−エチルブチル(メタ)クリレート、シンナミル(メタ)クリレート、シクロヘキシル(メタ)クリレート、シクロペンチル(メタ)クリレート、2−エトキシエチル(メタ)クリレート、フルフリル(メタ)クリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)クリレート、3−メトキシブチル(メタ)クリレート、2−メトキシブチル(メタ)クリレート、2−ニトロ−2−メチルプロピル(メタ)クリレート、n−オクチル(メタ)クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)クリレート、2−フェノキシエチル(メタ)クリレート、2−フェニルエチル(メタ)クリレート、フェニル(メタ)クリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)クリレート、テトラピラニル(メタ)クリレート、アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル系単量体、さらにはアクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、メチルクロトナート、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレンなどのエチレン性単量体などが例示できる。なお、(メタ)クリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0064】
アクリルポリオールは、これらの水酸基をもつアクリルモノマーとこれと共重合可能なモノマーとを塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法等の公知の重合法で重合させることにより得ることができる。とりわけ、乳化重合法は、水性化アクリルポリオールを直接製造できることに加え、溶液重合では製造が困難な巨大分子量のものが得られる点で好ましい。また、自己乳化型の水性化ポリウレタン樹脂を得るために、アクリルポリオールと共に、分子中にカルボキシル基と少くとも2個の活性水素とを有する化合物を用いることが好ましい。このような化合物としては、例えば2,2 −ジメチロールプロピオン酸、2,2 −ジメチロール酪酸、2,2 −ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,2 −ジメチロールブタン酸などを挙げることができる。これらは単独で又は2 種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
一方、多官能イソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、3 ,3 ’−ジメチル−4 ,4 ’−ジフェニレンジイソシアネート、1 ,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボランジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、t−シクロヘキサン−1 ,4−ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1 ,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等のジイソシアネートと、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、リジンエステルトリイソシアネート、2−イソシアネートエチル−2 ,6−ジイソシアネートヘキサノエート、1 ,6 ,11−ウンデカントリイソシアネート、1 ,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1 ,3 ,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のトリイソシアネートがあげられる。さらにこれらジイソシアネート、トリイソシアネートから得られるウレタン変性体が使用可能である。ウレタン変性体としては、アダクト体、ウレチジオン体(二量体)、イソシアヌレート体(三量体)、カルボジイミド、アロハネート変性体、ウレア変性ポリイソシアネート、ビュレット変性ポリイソシアネート、イソシアネートプレポリマー(セミプレポリマー)があげられる。さらにこれらポリイソシアネートをアセチルアセトン、ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、2 ,4−ヘキサンジオン、3 ,5−ヘプタンジオン、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、プクノンオキシム、カプロラクタムなどのブロッキング剤でブロックしたブロックイソシアネートがあげられる。これらの中でも、脂肪族ジイソシアネート化合物及び脂環式ジイソシアネートが耐候性の面から好ましく、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボランジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
【0066】
水性化アクリル−ウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、アクリルポリオール、必要によりその他のポリオール、上記カルボキシル基と少なくとも2個の活性水素とを有する化合物、多官能イソシアネート化合物及び触媒を水酸基に対して化学量論的に過剰の多官能イソシアネート化合物を用いて有機溶媒中で反応させてカルボキシル基を有し、末端にイソシアネート基を有するアクリル変性ウレタンプレポリマーを製造した後、中和剤で中和して水性化し、この水性化ウレタンプレポリマーを水に分散させ、更に鎖伸長剤で高分子化して自己乳化型の水性化アクリル−ウレタン共重合組成物を得る方法がある。アクリルポリオール以外のポリオールとしては、例えばポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールを挙げることができ、これらのポリオールの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、プライマー層中に水性化アクリル−ウレタン系樹脂を用いた場合にも、ハードコート層中にフェノール系酸化防止剤を添加することによって実施例1と同様の特性を得ることできた。
【0068】
(比較例)
実施例1のハードコート層の形成において、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)を使用しなかったこと以外は全て同様に行った。上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、フェノール系酸化防止剤を添加しなかったため、十分な耐衝撃性を得ることができなかった。
【0069】
【表1】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屈折率が1.60以上のプラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成された染色が可能なハードコート層及び前記ハードコート層上に形成された無機物質から成る反射防止層を有するプラスチックレンズに関し、透明性、各種耐久性、染色性に優れ、特に耐衝撃性に優れたプラスチックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックレンズはガラスレンズに比べ軽量で、成形性、加工性、染色性が良く、割れにくく安全性も高いため、眼鏡レンズの分野で広く用いられている。これに関連して、特にジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂レンズは樹脂の屈折率が1.50とガラスレンズに比べ低いため、近視用レンズでは外周部がガラスレンズに比べ厚くなるという欠点があった。このため合成樹脂レンズの分野では、1.60更にはそれ以上の屈折率を有する高屈折率樹脂材料によって薄型化を図る試みが積極的に行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、プラスチックレンズは軟質で非常に傷つきやすい為、プラスチックレンズの表面に硬度の高いシリコン系のハードコート層をもうけ、耐擦傷性の向上を図る方法が一般的に行われている。しかし、1.54以上の高屈折率樹脂レンズに同様の方法を適用した場合、樹脂レンズとコーティング膜の屈折率差による干渉縞が発生し、外観不良の原因となることがあった。この問題点を解決するために、シリコン系皮膜形成用塗布液に使われている二酸化ケイ素微粒子のコロイド状分散体を、高屈折率を有するAl、Ti、Zr、Sn、Sbの無機酸化物微粒子のコロイド分散体に置き換える技術が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。更には1.60以上の屈折率を有する塗膜の形成方法として、酸化チタン含有核微粒子とアンチモン酸化物から成る被覆層とから構成される複合酸化物微粒子を用いる方法がある(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
また、近年、プラスチックレンズの屈折率が高くなったことに伴い、プラスチックレンズが薄くなっている。この高屈折率を有するプラスチックレンズ表面にハードコート層を形成し、更にこのハードコート層上に反射防止層を形成する工程で、プラスチックレンズ基材に歪みが生じ、落下の衝撃によりプラスチックレンズ基材が割れやすくなるという欠点があったが、これを解決する方法として、プラスチックレンズとハードコート層の間に衝撃を吸収する柔軟なプライマー層を設けることがなされている。
【0005】
しかしながら、プライマー層の屈折率が基材の屈折率と等しくないと干渉縞が生じるという問題点があり、基材の屈折率と等しいプライマー層を形成することが望まれている。例えば、特許文献5には、屈折率が1.54以上のレンズ基材に使用できるチタンとケイ素、ジルコニウム及び又はアルミニウムの酸化物からなる複合酸化物微粒子とマトリックスを含む被膜形成用塗布液を用いる方法が開示されている。また特許文献6には、屈折率が1.67から1.70を有するレンズ基材上にも使用できる被膜形成用塗布液が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−270859号公報(第1〜9頁)
【特許文献2】
特公昭61−54331号公報(第1〜2頁)
【特許文献3】
特公昭63−37142号公報(第1〜2頁)
【特許文献4】
特開2002−363442号公報(第1〜2頁)
【特許文献5】
特開平8−48940号公報(第1〜2頁)
【特許文献6】
特開2000−204301号公報(第1〜2頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら現状では、1.60以上の高い屈折率を有するレンズ基材表面に、レンズ基材の屈折率と同等の屈折率を有するプライマー層を形成するため、高屈折率を有するAl、Ti、Zr、Sn、Sb等の無機酸化物微粒子から成る複合金属酸化物微粒子のコロイド分散体を高い配合率でプライマー層中に添加することが必要であるため、樹脂成分の配合比が低下し、その結果、耐衝撃性が低下するという問題を有していた。また同様にハードコート層の屈折率を高くするためにハードコート層中の金属酸化物微粒子の配合比を高くすることによっても、プラスチックレンズ基材の耐衝撃性は低下する。また更に、このハードコート層の上に無機物質からなる反射防止層を設けた場合にも、レンズ基材の耐衝撃性は低下するという問題が生じていた。
【0008】
そこで本発明は、上記に鑑みて、屈折率が1.60以上のプラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、染色が可能なハードコート層及び無機物質とから成る反射防止層と、を有するプラスチックレンズにおいて、干渉縞を生じることなく、FDA規格を充分満たす耐衝撃性を備え、且つ透明性及び、各種耐久性に優れたプラスチックレンズを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明におけるプラスチックレンズは、屈折率が1.60以上のプラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたハードコート層及び前記ハードコート層上に形成された無機物質から成る反射防止層を有するプラスチックレンズにおいて、前記ハードコート層又は前記プライマー層のいずれか少なくとも一方が、酸化防止剤又は紫外線吸収剤のいずれか少なくとも一方を含有することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、プラスチックレンズ基材上にプライマー層、ハードコート層及び無機物質から成る反射防止層を備えた屈折率が1.60以上のあらゆるプラスチックレンズにおいて、前記ハードコート層又は前記プライマー層のいずれか少なくとも一方が、酸化防止剤又は紫外線吸収剤のいずれか少なくとも一方を含有する事によって、プラスチックレンズ基材の耐衝撃性が、FDA規格を充分満たすことができるようになるという効果がある。
【0011】
本発明におけるプレスチックレンズは、ハードコート層が下記の成分
(A)Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる、微粒子または複合微粒子で、前記金属酸化物微粒子の最外表面を有機ケイ素化合物で改質処理を施した微粒子。
【0012】
(B)一般式(1)
【化2】
(式中、R1は重合可能な反応基を有する有機基、R2は炭素数1〜6の炭化水素基、X は加水分解性基であり、n は0 または1である。)で表される有機ケイ素化合物、
(C)硬化触媒
(D)多官能性エポキシ化合物
を含有することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる、微粒子または複合微粒子で、前記金属酸化物微粒子の最外表面を有機ケイ素化合物で改質処理を施した微粒子を用いることでハードコート層の屈折率が1.60以上を得ることが可能となり、且つ前記ハードコート層の上に設ける無機物質から成る反射防止層との良好な密着性を得ることが可能になるという効果を有する。
【0014】
また、一般式
【化3】
(式中、R1は重合可能な反応基を有する有機基、R2は炭素数1〜6の炭化水素基、X は加水分解性基であり、n は0 または1である。)で表される有機ケイ素化合物を用いることにより、レンズ表面上へハードコート層をコーティングを施す際に、塗膜の形成が容易となるという効果を有し、硬化触媒を用いることにより、ハードコート層の硬化を促進するという効果を有し、多官能性エポキシ化合物を用いることにより、ハードコート層を着色することが可能になるという効果を有する。また更には前記ハードコート層又は前記プライマー層のいずれか少なくとも一方が、酸化防止剤又は紫外線吸収剤のいずれか少なくとも一方を含有する事によって、プラスチックレンズ基材の耐衝撃性が、FDA規格を充分満たすことができるようになるという効果がある。
【0015】
本発明におけるプラスチックレンズは、プライマー層が水性化アクリル−ウレタン系樹脂又はポリエステル系熱可塑性樹脂及び、Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる、微粒子または複合微粒子で、前記金属酸化物微粒子の最外表面を有機ケイ素化合物で改質処理を施した微粒子を含有することを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、水性化アクリル−ウレタン系樹脂又はポリエステル系熱可塑性樹脂を用いることによって、前記プライマー層の屈折率が1.60以上を得ることが可能となり、且つ前記ハードコート層及びレンズ基材との良好な密着性を得ることが可能になるという効果を有する。また更には前記ハードコート層又は前記プライマー層のいずれか少なくとも一方が、酸化防止剤又は紫外線吸収剤のいずれか少なくとも一方を含有する事によって、プラスチックレンズ基材の耐衝撃性が、FDA規格を充分満たすことができるようになるという効果がある。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を実施例により更に詳細に説明する。
(実施例1)
1)プライマー層の形成
メタノール90.41g、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液17.22g、市販のメタノール分散アンチモン酸化物被覆酸化チタン含有複合酸化物ゾル(触媒化成工業株式会社製、商品名「オプトレイク特殊品(40)」)39.58gを混合し、更に市販の水性ポリエステル「A −160P」(高松油脂株式会社製、固形分濃度25重量%)42.41g、メタノールで10倍希釈したシリコン系界面活性剤(日本ユニカー株式会社製、商品名「L −7604 」)0 .38gを加え3時間攪拌した。
【0018】
本発明で用いる金属酸化物ゾルは、上記アンチモン酸化物被覆酸化チタン含有複合酸化物ゾルに限らず、Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる、微粒子または複合微粒子であっても良く、また前記金属酸化物微粒子の最外表面を有機ケイ素化合物で改質処理を施した微粒子は、混合物であっても、互いに固溶状態であっても良く、他の複合状態であっても良い。また、酸化チタンは無定型であっても、アナタース型、ルチル型、ブルッカイト型或いはペロブスカイト型チタン化合物であっても良い。これらは分散媒たとえば水やアルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散させたものである。また本発明に関わる複合酸化物微粒子は、その表面が有機珪素化合物又はアミン系化合物で処理され改質されていても良い。この際用いられる有機ケイ素化合物としては、単官能性シラン、あるいは二官能性シラン、三官能性シラン、四官能性シラン等がある。処理に際しては加水分解性基を未処理で行ってもあるいは加水分解して行ってもよい。また処理後は、加水分解性基が微粒子の−OH基と反応した状態が好ましいが、一部残存した状態でも安定性には何ら問題がない。またアミン系化合物としてはアンモニウムまたはエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンがある。これら有機ケイ素化合物とアミン化合物の添加量は微粒子の重量に対して1から15%程度の範囲内で加える必要がある。いずれも粒子径は約1〜300ミリミクロンが好適である。
【0019】
ポリエステル系熱可塑性樹脂の屈折率は、約1.5程度であるため、近年のプラスチックレンズ基材の高屈折率化により、プラスチックレンズ基材にプライマー層としてそのままポリエステル系熱可塑性樹脂を塗布すると、プライマー層により干渉縞が生じる。そのため、上記金属酸化物微粒子をプライマー層に配合して屈折率調整をすることが好ましい。本発明のコーティング組成物への適用種及び使用量は目的とする被膜性能により決定されるものであるが、0 〜65 重量%、特に55 重量%以下であることが望ましい。65 重量%を超えると、プライマー層が白濁し外観が悪化する場合がある。
【0020】
本発明において用いたアンチモン酸化物被覆酸化チタン含有複合酸化物ゾルは、該ゾルに含有される酸化チタンをアンチモン酸化物によって被覆することによって、酸化チタンの有する紫外線照射により生じる光活性による耐候性の低下や、染色した場合の退色性の低下を防止している。また、該ゾルはその表面が有機珪素化合物で改質処理されているため、ハードコート層及びレンズ基材との良好な密着性を得ることが可能である。
【0021】
本発明で用いたポリエステル系熱可塑性樹脂としては、特開2000−144048号公報 に記載されているものを例示することができる。ポリエステル系熱可塑性樹脂は、ハードセグメントにポリエステル、ソフトセグメントにポリエーテルまたはポリエステルを使用したマルチブロック共重合体である。ハードセグメント(H)とソフトセグメント(S)との重量比率は、H/S=30/70〜90/10、望ましくは40/60〜80/20である。ハードセグメント構成成分としてのポリエステルは、基本的には、ジカルボン酸類と低分子グリコールよりなる。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2 ,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、デカメチレンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸等の炭素数4 〜20 の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、ε−オキシカプロン酸等の脂肪族オキソカルボン酸、ダイマー酸(二重結合を有する脂肪族モノカルボン酸を二量重合させた二塩基酸)等、及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でもテレフタル酸、2 ,6−ナフタレンジカルボン酸が使用に際して望ましい。また、低分子グリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1 ,4−ブタンジオール、1 ,5−ペンタンジオール、1 ,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、1 ,6−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族グリコール等、及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でもエチレングリコール、1 ,4−ブタンジオールが使用に際して望ましい。
【0022】
ソフトセグメント構成成分としてのポリエステルは、ジカルボン酸類と長鎖グリコールよりなり、ジカルボン酸類としては、前記のものが挙げられる。長鎖グリコールとしては、ポリ(1 ,2−ブタジエングリコール)、ポリ(1 ,4−ブタジエングリコール)及びその水素添加物等が挙げられる。また、ε−カプロラクトン、エナントラクトン及びカプロリロラクトンもポリエステル成分として有用である。これらの中でε−カプロラクトンが使用に際して望ましい。
【0023】
ソフトセグメント構成成分のポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(1 ,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1 ,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等のポリ(アルキレンオキシド)グリコール類が挙げられ、これらの中でポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールが使用に際して望ましい。ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、他のポリマーと混合して使用が可能であり、例えば通常のエステル系樹脂(PBT、PET等)、アミド系樹脂、さらには、アミド系熱可塑性エラストマー等任意であり、通常、ポリマー全体に占める割合は、50%未満、望ましくは30%未満とする。ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、溶液タイプのプライマー組成物に調製することができる。しかし、加工性及び環境保護の観点より水性エマルジョンのプライマー組成物として使用することが望ましい。
【0024】
このプライマー組成物を屈折率1.60眼鏡レンズ(セイコーエプソン(株)製、SLUレンズ生地)上に浸漬法(引き上げ速度25cm /min )にて塗布した。
【0025】
本発明で用いるプラスチックレンズ基材としては、特に制限されないが、(メタ)アクリル樹脂をはじめとしてスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂等を例示することができる。これらの内、屈折率が1.60以上である基材を用いた。
【0026】
プラスチック基材上へプライマー層を形成する方法は、例えば水性化アクリル−ウレタン樹脂を含む水溶液に必要により金属酸化物微粒子を配合し、必要により溶剤に希釈してプライマー液を調製して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。なお、レベリング剤などの従来公知の各種添加剤を含むことが可能である。調製したプライマー液をスピンコート、ディッピングなどの方法でプラスチック基材に塗布し、乾燥後、硬化させる方法で行うことができる。
調製したプライマー液をスピンコート、ディッピングなどの方法でプラスチック基材に塗布し、乾燥後、硬化させる方法で行うことができる。
【0027】
塗布した基材レンズは80℃で20分間加熱硬化処理して基材上に膜厚0.8μmのプライマー層を形成した。プライマー層の膜厚は0 .01〜50μm、特に0 .1〜30μmの範囲が好ましい。プライマー層が薄すぎるとハードコート層の染色性の向上や耐衝撃性の改善効果は少なく、逆に厚すぎると、表面の平滑性が損なわれたり、光学的歪が発生する場合がある。
【0028】
さらに、本発明のコーティング組成物の塗布にあたっては、基材レンズと被膜の密着性を向上させる目的で、基材表面をあらかじめアルカリ処理、酸処理、界面活性剤処理、無機あるいは有機物の微粒子による研磨処理、プライマー処理またはプラズマ処理を行うことが効果的である。
【0029】
2)ハードコート層の形成
まず溶剤としてブチルセロソルブ41.2g 、有機ケイ素化合物としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン22.9g を混合した。
本発明では、上記の一般式(1)
【化4】
(式中、R1は重合可能な反応基を有する有機基、R2は炭素数1〜6の炭化水素基、X は加水分解性基であり、n は0 または1である。)で表される有機ケイ素化合物を用いることもできる。成分の一般式において、R1は重合可能な反応基を有する有機基で、ビニル基,アリル基,アクリル基,メタクリル基,エポキシ基,メルカプト基,シアノ基,イソシアノ基,アミノ基等の重合可能な反応基を有するシラン化合物であり、R2は炭素数1〜6の炭化水素基であるが、その具体的例としては、メチル基,エチル基,ブチル基,ビニル基,フェニル基等が挙げられる。またXは加水分解性基であり、n は0 または1であり、その具体的なものとして、メトキシ基,エトキシ基,メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基,ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等が挙げられる。この(B)成分は、加水分解を行なってから用いるか、もしくは硬化した後の被膜に酸処理を行なうか、どちらかの方法を取った方がより有効である。使用量は固形分の3〜40重量%であることが望ましい。すなわち、3重量%未満では、染色性と無機蒸着膜との各種耐久性の双方を同時に満足させることができない。また40重量%を越えると塗膜の耐水性が悪くなる。また、塗液のポットライフも短くなる。このシラン化合物の具体例として、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルジアルコキシメチルシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン等がある。これらは、2種以上混合して用いてもかまわない。
【0030】
この混合液に0 .1N 塩酸水溶液6.3gを攪拌しながら滴下した。さらに3時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に0.1Nの水酸化ナトリウムブチルセロソルブ溶液を添加後、ブチルセロソルブで10倍希釈したシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L −7001 」)0 .63g、メタノール分散アンチモン酸化物被覆酸化チタン含有複合酸化物ゾル(触媒化成工業株式会社製、商品名「オプトレイク特殊品(45)」)113.4g 、及び多官能性エポキシ化合物として1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、商品名「デナコールEX−313」)7.36g を加え、硬化触媒としてアセチルアセトネ−トFe(III)0.462g、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)0 .26gを添加し4時間撹拌後、濾過を行った後、一昼夜熟成させて塗液とした。
【0031】
本発明のコーティング組成物で用いる金属酸化物ゾルは、上記プライマー層で用いる金属酸化物ゾルと同様であるが、使用量は固形分の10〜65重量%であることが望ましい。すなわち、10重量%未満では、無機蒸着膜との密着性が不充分となるか、もしくは、塗膜の耐擦傷性が不充分となり、また65重量%を越えると、塗膜にクラックが生じる。更には屈折率が1.60以上の基材上において干渉縞を生じないような使用量は35重量%以上であることが望ましい。
【0032】
また、ハードコート液のコーティング液のpHは、耐擦傷性,コーティング液のポットライフ等において重要な因子である。即ち、pHが4.5未満であるとコーティング液のポットライフが短くなり、生産性が低下する。また6.5を越えると、耐擦傷性が低下する。
【0033】
本発明のコーティング組成物で用いる多官能性エポキシ化合物は、ハードコート層に色むらを生じない充分な染色性を付与するもので、塗料、接着剤、注型用などに広く実用されているもので、例えば過酸化法で合成されるポリオレフィン系エポキシ樹脂、シクロペンタジエンオキシドやシクロヘキセンオキシドあるいはヘキサヒドロフタル酸とエピクロルヒドリンから得られるポリグリシジルエステルなどの脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールAやカテコール、レゾシノールなどの多価フェノールあるいは(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ソルビトールなどの多価アルコールとエピクロルヒドリンから得られるポリグリシジルエーテル、エポキシ化植物油、ノボラック型フェノール樹脂とエピクロルヒドリンから得られるエポキシノボラック、フェノールフタレインとエピクロルヒドリンから得られるエポキシ樹脂、グリシジルメタクリレートとメチルメタクリレートアクリル系モノマーあるいはスチレンなどの共重合体、さらには上記エポキシ化合物とモノカルボン酸含有(メタ)アクリル酸とのグリシジル基開環反応により得られるエポキシアクリレートなどが挙げられる。
【0034】
多官能性エポキシ化合物の具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールヒドロキシヒバリン酸エステルのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールジグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテル、等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。
【0035】
本発明で用いる硬化触媒としては上記以外に、過塩素酸,過塩素酸アンモニウム,過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類、Cu(II),Zn(II),Co(II),Ni(II),Be(II),Ce(III),Ta(III),Ti(III),Mn(III),La(III),Cr(III),V(III),Co(III),Fe(III),Al(III),Ce(IV),Zr(IV),V(IV)等を中心金属原子とするアセチルアセトネ−ト、アミン、グリシン等のアミノ酸、ルイス酸、有機酸金属塩等が挙げられる。この中でも最も好ましい硬化触媒としては、過塩素酸マグネシウム、Al(III),Fe(III)のアセチルアセトネ−トが挙げられる。添加量は、固形分濃度の0.01〜5.0重量%の範囲内が望ましい。
【0036】
このようにして得られるコーティング用組成物は、必要に応じ、溶剤に希釈して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。
【0037】
尚、本発明のコーティング組成物は上記成分の他に必要に応じて、少量の界面活性剤、帯電防止剤、分散染料・油溶染料・蛍光染料・顔料、フォトクロミック化合物等を添加しコーティング液の塗布性および硬化後の被膜性能を改良することもできる。
【0038】
このハードコート組成物を、1)で得られたプライマー層を形成したプラスチックレンズ基材上に浸漬法(引き上げ速度25cm/min )にて塗布した。塗布した基材レンズは125 ℃で3 時間加熱硬化処理して基材上に膜厚2 .0μm のハードコート層を形成させた。塗布・硬化方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法あるいはフロー法によりコーティング液を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥することにより、被膜を形成することができる。特に熱変形温度が100℃未満の基材に対しては治工具でレンズ基材を固定する必要のないスピンナー法が好適である。
【0039】
また、硬化被膜の膜厚としては、0.05〜30μであることが好ましい。すなわち、0.05μ未満では、基本となる性能が出ず、30μを越えると、表面の平滑性が損なわれたり、光学的歪が発生する為好ましくない。
【0040】
3)反射防止層及び撥水膜の形成
反射防止膜は、無機被膜の単層または多層で構成されるが、有機被膜で構成されていても良い。無機被膜の材質としては、SiO2、SiO 、ZrO2 、TiO2 、TiO 、Ti2O3 、Ti2O5、Al2O3 、Ta2O5 、CeO2 、MgO 、Y2O3 、SnO2 、MgF2 、WO3等の無機物が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。プラスチックレンズの場合は、低温で真空蒸着が可能なSiO2、ZrO2、TiO2、Ta2O5が好ましい。また、多層膜構成とした場合は、最外層はSiO2とすることが好ましい。無機被膜の成膜方法は、例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD 法、飽和溶液中での化学反応により析出させる方法等を採用することができる。真空蒸着法においては、蒸着中にイオンビームを同時に照射するイオンビームアシスト法を用いてもよい。
【0041】
また、反射防止膜を形成する際には、ハードコート層の表面処理を行なうことが望ましい。この表面処理の具体的例としては、酸処理、アルカリ処理、紫外線照射処理、アルゴンもしくは酸素雰囲気中での高周波放電によるプラズマ処理、アルゴンや酸素もしくは窒素などのイオンビーム照射処理などが挙げられる。更に、反射防止膜の表面を汚れ難く、あるいは汚れを拭き取りやすくするために、パーフルオロアルキル基等を含む含フッ素シラン化合物などを用いて反射防止膜の表面に撥水膜を形成することができる。
【0042】
本発明では、プラスチックレンズ上に、基板側から順に、SiO2層とTiO2層を交互に積層させた7層からなる反射防止多層膜を構築した。反射防止膜SiO2層の成膜は、真空蒸着法(真空度5 .0×10−4Pa)で行った。TiO 2 層の成膜は、イオンアシスト蒸着法(真空度4 .0×10−3Pa)で行った。TiO2層をイオンアシスト蒸着で成膜するときのイオンアシスト条件は加速電圧520V 、加速電流値270mA で、真空度は酸素を導入して4 .0×10−3Paで保持するようにした。基材側から数えて、第1層は0 .083λの光学膜厚を持つSiO2層、第2層は0 .07λの光学膜厚を持つTiO2層、第3層は0 .10 λの光学膜厚を持つSiO2層、第4層は0 .18λの光学膜厚を持つTiO2層、第5層は0 .065λの光学膜厚を持つSiO2層、第6層は0 .14λの光学膜厚を持つTiO2層、第7層は0 .26λの光学膜厚を持つSiO2層を順次積層してなる反射防止膜を構築した。設計波長λは520nm とした。得られた多層膜の反射干渉色は緑色を呈し、全光線透過率は99%であった。
【0043】
その後、反射防止膜上に含フッ素シラン化合物からなる撥水膜を真空蒸着法にて成膜を行った。
【0044】
4)各種評価試験
上記のようにして得られたレンズについて、下記の各種評価試験を行い、特性評価を行った。以下の実施例及び比較例においても同様の試験評価を行った。
【0045】
耐衝撃性:16 .3g の硬球を147cm の高さからレンズの凸面中心に自然落下させ、レンズの割れを確認し、割れ及びひびのないものを○とした。なお本試験に使用したレンズの中心厚はすべて1 .1mm のものとした。また硬球の重量を2 倍にしても、割れ及びひびのないものを◎とした。
【0046】
耐擦傷性:ボンスター#0000 スチールウール(日本スチールウール(株)製)で1kg の荷重をかけ、10 往復表面を摩擦し、傷ついた程度を目視で観察した。
【0047】
耐候性:キセノンランプによるサンシャインウェザーメーターに250 時間暴露した後の表面状態に変化のないものを良とした。
【0048】
耐湿性:60 ℃×99 %雰囲気に10 日間放置した後、表面状態に変化のないものを良とした。
【0049】
耐温水性:プラスチックレンズを90℃の温水中に60分間浸漬させ、クラック、白化等の発生を目視で観察した。
【0050】
表面処理層の密着性:レンズ基材と表面処理層(ハードコート層および反射防止膜)の密着性は(c)と(d)の試験を行なったものについて、JISD−0202 に準じてクロスカットテープ試験によって行なった。即ち、ナイフを用い基材表面に1mm 間隔に切れ目を入れ、1平方mm のマス目を100 個形成させる。次に、その上ヘセロファン粘着テープ(ニチバン(株)製:商品名「セロテープ」(登録商標))を強く押し付けた後、表面から90 度方向へ急に引っ張り剥離した後コート被層の残っているマス目を密着性指標として、目視で観察した。
【0051】
染色性:最表層がハードコート層のプラスチックレンズについて試験を行った。94 ℃の分散染料浴中に10分間浸漬させ、分光光度形で視感透過率を測定し30%以下のものを◎、50%以下のものを○、70%以下のものを△、70%以上のものを×にした。
【0052】
外観:暗箱中で黒色の背景と蛍光灯を用いて、透過光、反射光で白濁、クラック、白化等について観察した。
【0053】
上記試験結果を表1に示す。上記試験結果によれば、屈折率が1.60以上のプラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成された染色が可能なハードコート層及び前記ハードコート層上に形成された無機物質から成る反射防止層を有するプラスチックレンズにおいて、前記ハードコート層中にフェノール系酸化防止剤を添加することによって、透明性、各種耐久性、染色性に優れ、特に耐衝撃性に優れたプラスチックレンズを得ることができた。
【0054】
(実施例2)
実施例1のハードコート層の形成において、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)の代わりにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(Ciba製、商品名「チヌビン213」)0 .26gを用いたこと以外は全て同様に行った。ここで用いる紫外線吸収剤としては、上記以外に、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、イソオクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート等のベンゾトリアゾール類、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルペピリジン重縮合物等のヒンダードアミン類が挙げられ、酸化防止剤及び紫外線吸収剤の使用量は、固形分の0.002〜0.2重量%であることが望ましい。すなわち、0.002重量%未満では、FDA規格を十分満たす耐衝撃性を得ることができない。また0.2重量%を越えると塗膜が白濁し外観が悪化する。
【0055】
上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、ハードコート層中にベンゾトリアゾール系酸化防止剤を添加することによっても実施例1と同様の特性を得ることできた。
【0056】
(実施例3)
実施例1のハードコート層の形成において、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)0.13g、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(Ciba製、商品名「チヌビン213」)0.13gを用いたこと以外は全て同様に行った。
【0057】
上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、ハードコート層中にフェノール系酸化防止剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加することによっても実施例1と同様の特性を得ることできた。
【0058】
(実施例4)
実施例1のプライマー層の形成において、プライマー組成物の調合の最後にフェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)0.26gを添加し、ろ過を行った。またハードコート層の形成において前記酸化防止剤を使用しなかったこと以外は全て実施例1と同様に行った。上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、プライマー層中にフェノール系系酸化防止剤を添加することによっても実施例1と同様の特性を得ることできた。
【0059】
(実施例5)
実施例4のプライマー層の形成において、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)の代わりにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(Ciba製、商品名「チヌビン213」)0 .26gを用いたこと以外は全て同様に行った。上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、プライマー層中にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加することによっても実施例1と同様の特性を得ることできた。
【0060】
(実施例6)
実施例4のプライマー層の形成において、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)0.13g、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(Ciba製、商品名「チヌビン213」)0.13gを用いたこと以外は全て同様に行った。上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、ハードコート層中にフェノール系酸化防止剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加することによっても実施例1と同様の特性を得ることできた。
【0061】
(実施例7)
実施例1のプライマー層の形成において、水性ポリエステル「A −160P」(高松油脂株式会社製、固形分濃度25重量%)の代りに、水性化アクリル−ウレタン樹脂「ネオステッカー700」(日華化学株式会社製)を使用したこと以外は全て同様に行った。
【0062】
本発明で用いる水性化アクリル−ウレタン樹脂とは、アクリルポリオールと多官能性イソシアネート化合物との共重合体、又はアクリルポリオールと水性化ポリウレタン樹脂との複合体であり、水に分散されたものである。アクリルポリオールは、水酸基をもつアクリルモノマーとアクリル酸エステル等の共重合可能なモノマーとの共重合アクリル樹脂である。水性化ポリウレタン樹脂は、水性ウレタン樹脂又は水分散型ポリウレタンともよばれ、多官能イソシアネート化合物とポリオールとの反応によって得られたウレタン樹脂が水溶液中にエマルジョンとして分散されているものである。アクリルポリオールの原料である水酸基をもつアクリルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、5,6−ジヒドロキシヘキシルメタクリレートなどが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0063】
また、水酸基をもつアクリルモノマーと共重合可能なモノマーとしては、メチル(メタ)クリレート、エチル(メタ)クリレート、n−プロピル(メタ)クリレート、n−ブチル(メタ)クリレート、イソプロピル(メタ)クリレート、イソブチル(メタ)クリレート、n−アミル(メタ)クリレート、n−ヘキシル(メタ)クリレート、イソアミル(メタ)クリレート、トリフルオロエチル(メタ)クリレート、ベンジル(メタ)クリレート、2−n−ブトキシエチル(メタ)クリレート、2−クロロエチル(メタ)クリレート、sec−ブチル(メタ)クリレート、tert−ブチル(メタ)クリレート、2−エチルブチル(メタ)クリレート、シンナミル(メタ)クリレート、シクロヘキシル(メタ)クリレート、シクロペンチル(メタ)クリレート、2−エトキシエチル(メタ)クリレート、フルフリル(メタ)クリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)クリレート、3−メトキシブチル(メタ)クリレート、2−メトキシブチル(メタ)クリレート、2−ニトロ−2−メチルプロピル(メタ)クリレート、n−オクチル(メタ)クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)クリレート、2−フェノキシエチル(メタ)クリレート、2−フェニルエチル(メタ)クリレート、フェニル(メタ)クリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)クリレート、テトラピラニル(メタ)クリレート、アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル系単量体、さらにはアクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、メチルクロトナート、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレンなどのエチレン性単量体などが例示できる。なお、(メタ)クリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0064】
アクリルポリオールは、これらの水酸基をもつアクリルモノマーとこれと共重合可能なモノマーとを塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法等の公知の重合法で重合させることにより得ることができる。とりわけ、乳化重合法は、水性化アクリルポリオールを直接製造できることに加え、溶液重合では製造が困難な巨大分子量のものが得られる点で好ましい。また、自己乳化型の水性化ポリウレタン樹脂を得るために、アクリルポリオールと共に、分子中にカルボキシル基と少くとも2個の活性水素とを有する化合物を用いることが好ましい。このような化合物としては、例えば2,2 −ジメチロールプロピオン酸、2,2 −ジメチロール酪酸、2,2 −ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,2 −ジメチロールブタン酸などを挙げることができる。これらは単独で又は2 種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
一方、多官能イソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、3 ,3 ’−ジメチル−4 ,4 ’−ジフェニレンジイソシアネート、1 ,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボランジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、t−シクロヘキサン−1 ,4−ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1 ,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等のジイソシアネートと、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、リジンエステルトリイソシアネート、2−イソシアネートエチル−2 ,6−ジイソシアネートヘキサノエート、1 ,6 ,11−ウンデカントリイソシアネート、1 ,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1 ,3 ,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のトリイソシアネートがあげられる。さらにこれらジイソシアネート、トリイソシアネートから得られるウレタン変性体が使用可能である。ウレタン変性体としては、アダクト体、ウレチジオン体(二量体)、イソシアヌレート体(三量体)、カルボジイミド、アロハネート変性体、ウレア変性ポリイソシアネート、ビュレット変性ポリイソシアネート、イソシアネートプレポリマー(セミプレポリマー)があげられる。さらにこれらポリイソシアネートをアセチルアセトン、ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、2 ,4−ヘキサンジオン、3 ,5−ヘプタンジオン、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、プクノンオキシム、カプロラクタムなどのブロッキング剤でブロックしたブロックイソシアネートがあげられる。これらの中でも、脂肪族ジイソシアネート化合物及び脂環式ジイソシアネートが耐候性の面から好ましく、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボランジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
【0066】
水性化アクリル−ウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、アクリルポリオール、必要によりその他のポリオール、上記カルボキシル基と少なくとも2個の活性水素とを有する化合物、多官能イソシアネート化合物及び触媒を水酸基に対して化学量論的に過剰の多官能イソシアネート化合物を用いて有機溶媒中で反応させてカルボキシル基を有し、末端にイソシアネート基を有するアクリル変性ウレタンプレポリマーを製造した後、中和剤で中和して水性化し、この水性化ウレタンプレポリマーを水に分散させ、更に鎖伸長剤で高分子化して自己乳化型の水性化アクリル−ウレタン共重合組成物を得る方法がある。アクリルポリオール以外のポリオールとしては、例えばポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールを挙げることができ、これらのポリオールの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、プライマー層中に水性化アクリル−ウレタン系樹脂を用いた場合にも、ハードコート層中にフェノール系酸化防止剤を添加することによって実施例1と同様の特性を得ることできた。
【0068】
(比較例)
実施例1のハードコート層の形成において、フェノール系酸化防止剤(川口化学工業株式会社製、商品名「アンテージクリスタル」)を使用しなかったこと以外は全て同様に行った。上記のようにして得られたレンズの特性評価を行った結果、フェノール系酸化防止剤を添加しなかったため、十分な耐衝撃性を得ることができなかった。
【0069】
【表1】
Claims (3)
- 屈折率が1.60以上のプラスチックレンズ基材と、
前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、
前記プライマー層上に形成されたハードコート層及び
前記ハードコート層上に形成された無機物質から成る反射防止層と、
を有するプラスチックレンズにおいて、前記ハードコート層又は前記プライマー層のうち少なくとも一方が、酸化防止剤又は紫外線防止剤のうち少なくとも一方を含有することを特徴とするプラスチックレンズ。 - 請求項1乃至2記載のプラスチックレンズにおいて、前記プライマー層が、水性化アクリル−ウレタン系樹脂又はポリエステル系熱可塑性樹脂及び、Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる、微粒子または複合微粒子で、前記金属酸化物微粒子の最外表面を有機ケイ素化合物で改質処理を施した微粒子を含有することを特徴とするプラスチックレンズ。
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