JP3292709B2 - 計測機能付きエアチャック - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空気圧の作用によ
り開閉する複数のジョー部材間にワークを把持するエア
チャックに関するものであり、更に詳しくは、把持した
ワークの寸法や形状等を計測することが可能な計測機能
付きエアチャックに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】空気圧の作用により開閉する複数のジョ
ー部材でワークを把持するエアチャックは、従来より良
く知られているところである。この種のエアチャックと
して、例えば登録実用新案第３０２３０９５号公報に開
示されているように、直方体状をしたケーシング内に、
空気圧の作用により互いに逆方向に同期して伸縮する一
対の平行なピストンロッドを設け、ケーシングの互いに
反対側の端面に突出するこれらのピストンロッドの先端
にそれぞれジョー部材を取り付けて、上記ピストンロッ
ドの伸縮により開閉するこれら一対のジョー部材間にワ
ークを把持する方式のものがある。このエアチャック
は、上記ジョー部材の開閉が円滑に行われるように、上
記ケーシングに、ラックとピニオンとの組み合わせによ
って相互に逆方向に同期的に伸縮するようにした一対の
ガイドロッドを組み込み、これらのガイドロッドの先端
を各ジョー部材に連結して、これらのガイドロッドでジ
ョー部材の開閉を案内させるようにしている。

【０００３】上記エアチャックは、ジョー部材の間隔や
開閉ストローク等が比較的大きく設定されているため、
寸法が異なるワークでも確実に把持することができると
いう利点を持っている。ところが、このように種々の大
きさのワークを把持することはできても、把持したワー
クの寸法を認識することができないため、寸法の異なる
ワークを寸法に応じて選別したり、センタリングすると
いったような使い方をすることはできなかった。

【０００４】上記ジョー部材の開閉ストロークを電気的
又は磁気的な手段で計測するようにすれば、ワークの寸
法を計測することは可能であるが、そのために専用の計
測手段を別途に組み込むようにすると、チャックの構造
が複雑になって外形も大形化する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の技術的課題
は、把持したワークの寸法を計測することが可能な簡単
で合理的な設計構造を有するエアチャックを提供するこ
とにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明によれば、一対のシリンダー孔と一対のガイド孔
とを備えたケーシング、上記シリンダー孔内にそれぞれ
摺動自在に収容されて互いに逆方向に同期して駆動され
るピストン、上記各ピストンに一体に連結されて先端が
ケーシングの互いに反対側の端面に突出する一対のピス
トンロッド、上記各ガイド孔内に摺動自在に挿入されて
先端がケーシングの互いに反対側の端面に突出する一対
のガイドロッド、上記ガイドロッドに設けられたラッ
ク、これらのラックに噛合するピニオン、上記ケーシン
グの両端面においてそれぞれ上記ピストンロッドとガイ
ドロッドとの先端に共通に取り付けられた一対のジョー
部材、一方のガイドロッドの側面に形成された磁気目
盛、上記ケーシングの側面の上記磁気目盛付きガイドロ
ッドと対応する位置に形成されたヘッド取付孔、上記ヘ
ッド取付孔内に収納される読取ヘッドと、該読取ヘッド
全体を覆うアンプ部とで構成されている、上記ケーシン
グに液密に取り付けられた磁気目盛読取用のセンサーユ
ニット、を有することを特徴とするエアチャックが提供
される。

【０００７】上記構成を有する本発明のエアチャック
は、ジョー部材と一緒に摺動するガイドロッド上の磁気
目盛をセンサーユニットで読み取ることにより、一対の
ジョー部材間に把持されたワークの寸法を計測すること
ができる。また、ワークを異なる複数カ所で把持して各
把持位置での寸法を計測することにより、該ワークの形
状を判別することもできる。

【０００８】また、エアチャックに寸法計測機構を組み
込むに当たり、ジョー部材の開閉を円滑化するためのガ
イド手段である上記ガイドロッドに磁気目盛を設けるこ
とにより、このガイドロッドを寸法計測機構の一部とし
て兼用し、磁気目盛を付すための専用のロッドを別途に
設ける必要をなくしたので、寸法計測機構付きのエアチ
ャックを非常に簡単且つ合理的な設計構造とすることが
できるばかりでなく、寸法計測機構の付設によって該エ
アチャックが大形化するのを防止することができる。

【０００９】本発明の具体的な実施形態によれば、上記
ケーシングが実質的に直方体状をしていて、その内部に
上記一対のガイドロッドと一対のピストン及びピストン
ロッドとが上下２段に配設され、上記ケーシングの上面
はロボットアームに取付けるための取付面となってい
て、上記センサーユニットが、上記ケーシング上面から
上方に突出しない高さに取り付けられている。

【００１０】これにより、公知のエアチャックに大幅な
改変を施すことなく、またロボットアームに対するエア
チャックの取り付けにセンサーユニットが邪魔になると
いった問題を生じることなく、寸法計測機構を該エアチ
ャックに簡単に組み込むことができる。

【００１１】本発明の他の具体的な実施形態によれば、
上記読取ヘッドがセンサーケース内に磁気目盛読取用の
センサーを備え、上記アンプ部がアンプケース内に該読
取ヘッドからの読取信号を増幅する増幅回路を備え、該
アンプケースが上記読取ヘッド全体を覆うようにケーシ
ングとの間に防水シールを介在させた状態で該ケーシン
グに固定されている。

【００１２】センサーユニットをこのような態様でケー
シングに取り付けることにより、上記読取ヘッドがアン
プケース及び防水シールによって水分から完全に遮断さ
れた状態になるため、高湿の環境下でエアチャックを使
用しても、水分が読取ヘッドの場所に進入して計測に悪
影響を及ぼすといったようなことがなく、高い計測精度
を保つことができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係るエアチャック
の好ましい代表的な実施形態を図面を参照しながら詳細
に説明する。図１〜図５に示すようにこのエアチャック
は、実質的に直方体状をしたケーシング１を有してい
る。このケーシング１の上面はロボットアームに取り付
けるための実質的に平らな取付面１ａとなっていて、そ
の四隅に取付用のねじ孔１ｂが設けられている。またケ
ーシング１の内部には、互いに平行に延びる左右一対の
シリンダー孔２ａ，２ｂと左右一対のガイド孔３ａ，３
ｂとが、ガイド孔３ａ，３ｂが上段側に位置してシリン
ダー孔２ａ，２ｂが下段側に位置するように、上下２段
に設けられている。

【００１４】上記シリンダー孔２ａ，２ｂ内にはそれぞ
れ、ピストン５ａ，５ｂ（５ｂは図示されていない）が
摺動自在に収容されると共に、各ピストン５ａ，５ｂに
一体に連結されたピストンロッド６ａ，６ｂが、その先
端をシリンダー孔２ａ，２ｂからケーシング１の互いに
反対側の端面に突出させた状態に設けられ、各ピストン
ロッド６ａ，６ｂの先端に、ワーク把持用のジョー部材
７ａ，７ｂがそれぞれ個別に取り付けられている。

【００１５】上記シリンダー孔２ａ，２ｂ内における各
ピストン５ａ，５ｂの両側には、それぞれ、該シリンダ
ー孔２ａ，２ｂの両端に装着した封止部材９，９との間
に、ピストンロッド６ａ，６ｂの先端側の第１圧力作用
室１０ａと、ピストンロッド６ａ，６ｂの基端側の第２
圧力作用室１０ｂとが形成され、２つのシリンダー孔２
ａ，２ｂの第１圧力作用室１０ａ，１０ａがケーシング
１の側面に開口する第１ポート１１ａに共通に連通し、
第２圧力作用室１０ｂ，１０ｂが第２ポート１１ｂに共
通に連通している。また、上記各ピストンロッド６ａ，
６ｂは、上記封止部材９を防水用のシール部材９ａを介
して摺動自在に貫通している。

【００１６】従って、上記第２ポート１１ｂから２つの
シリンダー孔２ａ，２ｂの第２圧力作用室１０ｂ，１０
ｂに圧縮空気を供給すると、図示したように、２つのピ
ストン５ａ，５ｂが第１圧力作用室１０ａ，１０ａ側に
向けて互いに逆向きに摺動するため、２つのピストンロ
ッド６ａ，６ｂが前進（伸長）して一対のジョー部材７
ａ，７ｂ間の間隔が広がる。逆に、上記第１ポート１１
ａから第１圧力作用室１０ａ，１０ａに圧縮空気を供給
すると、２つのピストン５ａ，５ｂが第２圧力作用室１
０ｂ，１０ｂ側に向けて互いに逆向きに摺動し、２つの
ピストンロッド６ａ，６ｂが後退（短縮）して一対のジ
ョー部材７ａ，７ｂ間の間隔が狭まるため、これらのジ
ョー部材７ａ，７ｂ間にワークを挟持することができ
る。この場合、上記各ジョー部材７ａ，７ｂにはワーク
に合ったアタッチメントが取り付けられ、これらのアタ
ッチメントによってワークが把持される。

【００１７】また、上記２つのガイド孔３ａ，３ｂの内
部にはそれぞれ、上記ジョー部材７ａ，７ｂの開閉を円
滑化するためのガイド手段を構成するガイドロッド１３
ａ，１３ｂが、先端をケーシング１の互いに反対側の端
面に突出させた状態で摺動自在に挿入されており、各ガ
イドロッド１３ａ，１３ｂの先端は上記ジョー部材７
ａ，７ｂにそれぞれ連結されている。上記ガイド孔３
ａ，３ｂの両端部には、ガイドロッド１３ａ，１３ｂの
外周に密に摺接するダストシール１４と軸受部材１７と
がそれぞれ設けられ、上記ダストシール１４でガイド孔
３ａ，３ｂ内に水分やその他の異物が進入するのを防止
している。

【００１８】上記２つのガイドロッド１３ａ，１３ｂの
中間部にはそれぞれ、部分的にラック１５が設けられて
いて、これらのラック１５，１５が、ケーシング１の内
部の２本のガイドロッド１３ａ，１３ｂ間の位置に回転
自在に設けられた共通のピニオン１６に噛合し、このラ
ック・ピニオン機構により２本のガイドロッド１３ａ，
１３ｂが互いに反対方向に同期的に摺動するようになっ
ており、これらのガイドロッド１３ａ，１３ｂに案内さ
れて２つのジョー部材７ａ，７ｂが、円滑に開閉できる
ようになっている。

【００１９】上記２本のガイドロッド１３ａ，１３ｂの
うち一方のガイドロッド１３ｂの側面には、磁性部と非
磁性部とを一定ピッチ（例えば０．８ｍｍピッチ）で交
互に配設することにより形成された磁気目盛１８が、ロ
ッドの軸線方向に向けて部分的に付設され、これに対し
てケーシング１の側面には、この磁気目盛１８を読み取
るためのセンサーユニット２０が取り付けられている。

【００２０】上記センサーユニット２０は、読取ヘッド
２１とアンプ部２２とで構成されている。このうち読取
ヘッド２１は、センサーケース２３内に磁気目盛１８を
読み取るためのセンサー２４を取り付けたもので、この
センサー２４としては、磁力により電気抵抗値が変化す
る磁気抵抗素子を好適に使用することができる。一方の
アンプ部２２は、角形キャップ状をしたアンプケース２
５内に、上記読取ヘッド２１からの読取信号を増幅する
増幅回路や増幅した信号を分割する分割回路等を含む信
号処理回路２６を内蔵したもので、これらの読取ヘッド
２１とアンプ部２２とは、図示しないリード線で相互に
接続されている。

【００２１】そして上記センサーユニット２０は、次の
ようにしてケーシング１の側面に取り付けられている。
即ち、該ケーシング１の側面に形成したヘッド取付孔２
８内には、上記読取ヘッド２１が、センサー２４をガイ
ドロッド１３ａの磁気目盛１８に近接させて固定され、
その上からアンプ部２２の上記アンプケース２５が、読
取ヘッド２１全体を完全に覆うと共に、ケーシング１と
の間の読取ヘッド２１の回りを取り囲む位置に防水シー
ル２９を介在させた状態で、ケーシング１の側面に形成
した段部３０内に嵌合され、ねじ止め等の適宜手段で該
ケーシング１に固定されている。このようにしてセンサ
ーユニット２０をケーシング１に取り付けることによ
り、上記読取ヘッド２１をアンプケース２５及び防水シ
ール２９によって水分から完全に遮断することができる
ため、高湿の環境下でエアチャックを使用しても、水分
が読取ヘッド２１の場所に進入して計測に悪影響を及ぼ
すことがなく、高い計測精度を維持することができる。

【００２２】また、上記センサーユニット２０は、ロボ
ットアームへの取付面１ａであるケーシング上面から上
方に突出しない高さに取り付けられており、これによ
り、ロボットアームに対するエアチャックの取り付けに
センサーユニット２０が邪魔になるといったような問題
が生じないようにしている。

【００２３】上記センサーユニット２０は、ガイドロッ
ド１３ｂの移動ストローク（従ってジョー部材７ａ，７
ｂの開閉ストローク）を磁気目盛１８から読み取り、そ
れをパルス信号として出力するものである。即ち、２つ
のジョー部材７ａ，７ｂが開閉して磁気目盛１８付きの
ガイドロッド１３ｂが移動すると、読取ヘッド２１が磁
気目盛１８を読み取って図６に示すようなｓｉｎ／ｃｏ
ｓの波形を持ったＡ相とＢ相との２相信号を出力する。
これらの波形は、その１周期分が磁気目盛１８の１ピッ
チに相当している。

【００２４】上記信号は、アンプ部２２において増幅さ
れると共に複数に分割され、図７に示すようなパルス信
号がこのアンプ部２２から図示しない制御装置に向けて
出力される。そして、このパルスをカウンターで計数す
ることによりガイドロッド１３ｂの位置（従ってジョー
部材７ａ，７ｂの位置）を検出することができ、その位
置から２つのジョー部材７ａ，７ｂ間に把持されたワー
クの寸法を計測することができる。

【００２５】例えば、磁気目盛１８が０．８ｍｍピッチ
で刻まれている場合、読取ヘッド２１からの信号を増幅
して１／８に分割すると、０．１ｍｍ／パルスの９０度
位相差パルス信号が出力されるから、０．１ｍｍの分解
能でワークの寸法を計測することができる。また、信号
を１／２０に分割すると、０．０４ｍｍという高い分解
能でワークの寸法を計測することができる。

【００２６】

【発明の効果】このように本発明のエアチャックは、ジ
ョー部材と一緒に摺動するガイドロッド上の磁気目盛を
センサーユニットで読み取ることにより、一対のジョー
部材間に把持されたワークの寸法を計測することができ
る。また、エアチャックに寸法計測機構を組み込むに当
たり、ジョー部材の開閉を円滑化するためのガイド手段
である上記ガイドロッドに磁気目盛を設けることによ
り、このガイドロッドを寸法計測機構の一部として兼用
し、磁気目盛を付すための専用のロッドを別途に設ける
必要をなくしたので、寸法計測機構付きのエアチャック
を非常に簡単且つ合理的な設計構造とすることができる
ばかりでなく、寸法計測機構の付設によって該エアチャ
ックが大形化するのを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るエアチャックの好ましい一実施形
態を示す正面図である。

【図２】図１のエアチャックの平面図である。

【図３】図１のエアチャックの側面図である。

【図４】図２におけるＡ−Ａ線での断面図である。

【図５】図１におけるＢ−Ｂ線での断面図である。

【図６】読取ヘッドから出力される２相信号波形を示す
線図である。

【図７】アンプ部から出力されるパルス信号波形を示す
線図である。

【符号の説明】

１ ケーシング １ａ 取付面 ２ａ，２ｂ シリンダー孔 ３ａ，３ｂ ガイド孔 ５ａ，５ｂ ピストン ６ａ，６ｂ ピストンロッド ７ａ，７ｂ ジョー部材 １３ａ，１３ｂ ガイドロッド １５ ラック １６ ピニオン １８ 磁気目盛 ２０ センサーユニット ２１ 読取ヘッド ２２ アンプ部 ２３ センサーケース ２４ センサー ２５ アンプケース ２６ 信号処理回路 ２８ ヘッド取付孔 ２９ 防水シール

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神 田 浩一郎 茨城県筑波郡谷和原村絹の台４−２−２ エスエムシー株式会社筑波技術センタ ー内 (56)参考文献 特開 平４−341603（ＪＰ，Ａ) 実開 平６−42900（ＪＰ，Ｕ) 実開 平７−41406（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭64−31207（ＪＰ，Ｕ) 米国特許5163729（ＵＳ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B25J 15/08

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】互いに平行に位置する一対のシリンダー孔
   と一対のガイド孔とを備えたケーシング、 上記一対のシリンダー孔内にそれぞれ摺動自在に収容さ
   れ、空気圧の作用により互いに逆方向に同期的に駆動さ
   れるピストン、 上記各ピストンに一体に連結され、先端がシリンダー孔
   からケーシングの互いに反対側の端面に突出する一対の
   ピストンロッド、 上記各ガイド孔内に摺動自在に挿入され、先端がケーシ
   ングの互いに反対側の端面に突出する一対のガイドロッ
   ド、 上記ガイドロッドに設けられたラック、 上記ケーシングの内部の一対のガイドロッド間の位置に
   回転自在に設置されて上記各ラックに噛合するピニオ
   ン、 上記ケーシングの両端面においてそれぞれ上記ピストン
   ロッドとガイドロッドとの先端に共通に取り付けられ
   た、ワーク把持用の一対のジョー部材、 何れか一方のガイドロッドの側面に軸線方向に形成され
   た、交互に位置する複数の磁性部と非磁性部とからなる
   磁気目盛、上記ケーシングの側面の上記磁気目盛付きガイドロッド
   と対応する位置に形成されたヘッド取付孔、 上記ヘッド取付孔内に収納される読取ヘッドと、該読取
   ヘッド全体を覆うアンプ部とで構成されている、 上記ケ
   ーシングに液密に取り付けられた磁気目盛読取用のセン
   サーユニット、を有する ことを特徴とする計測機能付きエアチャック。
2. 【請求項２】請求項１に記載のエアチャックにおいて、
   上記ケーシングが実質的に直方体状をしていて、その内
   部に、上記一対のガイドロッドと一対のピストン及びピ
   ストンロッドとが上下２段に配設され、上記ケーシング
   の上面はロボットアームに取付けるための取付面となっ
   ていて、上記センサーユニットが、上記ケーシング上面
   から上方に突出しない高さに取り付けられていることを
   特徴とするもの。
3. 【請求項３】請求項１又は２に記載のエアチャックにお
   いて、上記読取ヘッドがセンサーケース内に磁気目盛読
   取用のセンサーを備え、上記アンプ部がアンプケース内
   に該読取ヘッドからの読取信号を増幅する増幅回路を備
   え、該アンプケースが上記読取ヘッド全体を覆うように
   ケーシングとの間に防水シールを介在させた状態で該ケ
   ーシングに固定されていることを特徴とするもの。