JP3280053B2 - 衛生混合栓装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ハウジングと、流出す
る混合水を制御する閉鎖部材を備えた電気作動弁と、該
ハウジングのチャンバ内に配置され、流出する混合水に
おける冷水と温水との混合比を決定する調整部材と、放
出口とを具備した衛生混合栓装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】電気的に操作される従来のあらゆる衛生
器具、特に非接触式に制御される衛生器具における一つ
の課題は、機械的構成要素及び電気的構成要素によって
必要となる専有空間に関するものである。これらの構成
要素の全てを衛生器具の内部に組み込む場合には、しば
しば大型で見た目の良くない外観を呈することとなる。
これは特に、電気的に操作される衛生器具が混合栓装置
である場合に顕著である。混合栓装置においては、冷水
と温水との混合比を調節するための調整部材をさらに設
ける必要がある。上記形式の周知の衛生混合栓装置にお
いて、混合水の温度を決定する調整部材と、一般に純粋
な閉止弁からなる電気作動弁とは相互に空間的に分離さ
れる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
形式の衛生混合栓装置において、少なくとも調整部材と
電気作動弁とをより狭小な空間内に配置でき、衛生混合
栓装置の外観をさらに魅力的なものにすることにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
するために、本発明は、ａ）上記調整部材を中空ピスト
ンから構成し、ｂ）この中空ピストンの外周上に、ハウ
ジングのチャンバ内に開口する冷水及び温水のそれぞれ
の流路と協働して冷水及び温水の混合比を決定する構造
を設け、ｃ）上記混合水の流路の少なくとも一部分を上
記中空ピストンの内部を通して延設し、かつ上記中空ピ
ストンの内部の、混合水の流路が通って延びる領域に、
少なくとも電気作動弁の閉鎖部材を配置して、構成され
た衛生混合栓装置を提供する。

【０００５】したがって本発明によれば、少なくとも電
気作動弁の閉鎖部材は、中空ピストンとして形成された
調整部材自体の内部に配置される。このために、装置の
放出口方向への混合水の軌道が、少なくとも部分的に中
空ピストン内を通過するように、水案内路を選定する必
要がある。このようにして電気作動弁の閉鎖部材は、中
空ピストンのあらゆる動作に追従する。調整部材と電気
作動弁の閉鎖部材との相互組合せによって、相当の空間
が省略されるだけでなく、衛生混合栓装置の全ての機械
的部材を組み合わせた構成要素が得られるので、この構
成要素を衛生混合栓装置から一つのユニットとして取り
出し、かつ修理又は交換を実施することが可能となる。

【０００６】中空ピストンには、円筒状のエプロンが好
適に形成され、このエプロンに操作ハンドルを取着する
ことができる。一般に、電気的に操作される衛生器具又
は非接触式に制御される衛生器具において、温度は手動
で調節することが通例である。この実施例において、エ
プロンによって包囲された空間は、一般に磁気コイルを
備える電気作動弁に対し有効に利用することができる。
本発明の特徴によれば、磁気コイルは中空ピストンのエ
プロンによって包囲された空間内に配置される。

【０００７】流出する水の混合比を決定するため中空ピ
ストンの外周上に設けた構造は、特に、中空ピストンの
外周面に沿って混合水を案内する溝から構成することが
できる。混合水の流路は、中空ピストンが移動するハウ
ジングのチャンバへ入った後、まず中空ピストンの外周
面に沿って延び、その後、混合水が中空ピストンの内側
及びそこに配置された電気作動弁の閉鎖部材へ案内され
る。上記の溝が混合水を中空ピストンの開口端へ案内す
る場合は、最も簡単である。

【０００８】上記の調整部材は、回転式ピストンとして
構成することが極く一般的である。この構造は、上記溝
が、中空ピストンの外周に沿って、その軸線に関して角
度を有したコイル状に案内され、さらに、ハウジングの
チャンバに開口する冷水及び温水用流路の各開口部の中
心点が、中空ピストンの回転軸線に平行な直線上に配置
される場合に有効である。この回転式ピストン構造によ
り、「傾斜して」延びる溝は、冷水及び温水用流路の２
つの開口部に異なる様態で交差する。すなわち回転式ピ
ストン構造によって、冷水及び温水の異なる流量が、対
応する流路から上記溝へ、かつ溝から中空ピストンの内
部へと流動可能になる。

【０００９】一般に、高エネルギーの根拠から、電気作
動弁としてパイロット制御弁を使用する。この弁は、閉
鎖部材として弾性ダイヤフラムを具備する。弾性ダイヤ
フラムは、その両側面に作用する圧力の影響下で開放位
置と閉鎖位置との間を前後へ移動可能である。この場
合、磁気コイルによって移動可能な閉鎖体が、パイロッ
ト開口を開閉することによって弾性ダイヤフラムの両側
面への圧力に影響を及ぼす。このようなパイロット制御
弁は、上記閉鎖体と上記パイロット開口とが、上記磁気
コイルの近傍に弾性ダイヤフラムから離間して配置さ
れ、また、第１の流路が、上記パイロット開口から中空
ピストンの中実部分を通って、弾性ダイヤフラムの一側
面に作用する圧力を有したチャンバ内へ延び、さらに、
第２の流路が、上記パイロット開口からの上記閉鎖体の
持ち上げ後に上記第１の流路へ接続されるチャンバか
ら、中空ピストンの中実部分を通って、弾性ダイヤフラ
ムの他側面に作用する圧力を有したチャンバ内へ案内さ
れる場合に、本発明の目的に対して特に有効である。

【００１０】特別の観点から特に好適である本発明の実
施態様において、上記電気作動弁の上記閉鎖部材は、
ａ）両端を中空ピストンの内壁に固定され、かつその中
心領域で半径方向へ移動可能な、管状の弾性ダイヤフラ
ムと、ｂ）この管状の弾性ダイヤフラム内に配置され、
閉鎖位置において表面にこのダイヤフラムが当接され、
かつ開放位置において表面からこのダイヤフラムが持ち
上げられる当接部材とを具備して構成される。

【００１１】この場合、上記当接部材は、上記弾性ダイ
ヤフラムを保持するケージの一部からなり、このケージ
は軸線方向両端のそれぞれに、上記弾性ダイヤフラムの
対応する軸線方向両端に設けた半径方向突縁部と協働す
る支持環を備え、これら２つの支持環がリブによって上
記当接部材に連結されることが好ましい。このようにし
て、電気作動弁の閉鎖部材は１つのユニットに組み合わ
され、その全体を中空ピストンの内部へ挿設可能とな
る。このユニットは、その全体を交換することができ
る。以下、添付図面を参照して、本発明の一実施例を詳
細に説明する。

【００１２】

【実施例】図１から分かるように、図示の非接触制御式
衛生器具は５つの主構成要素に分割することができる。
中央の主ハウジング１の上側には旋回式の放出口３が取
付けられ、主ハウジング１の下側には基部２が取付けら
れる。温水及び冷水用の各流入路４（そのうちの１つを
図２に破線で示す）が基部２内を通る。可撓性の給水ホ
ース５が、基部２内に下方から螺嵌されている。

【００１３】２つのハンドル状付属物６及び７が、図１
に示した断面線II−IIに関して左右対称に、主ハウジン
グ１に連結される。左側のハンドル状付属物６は、ハン
ドルの外観を有するだけでハンドルの機能は有しない。
このハンドル状付属物６は単に、非接触式に制御される
衛生器具の電子的構成要素を収容する機能のみを有す
る。図１及び図３において、使用者を検出するための赤
外線用の光学的出入り窓８が図示されている。この窓８
は、光学窓としての機能のために暗色になっており、発
光ダイオード９及びその後方の受光ダイオード１０は見
えない（図３の断面図を参照）。図３は、電子装置１１
がハンドル状付属物６の内側にどのように配置されてい
るかを示す。電子装置１１にはケーブル１２を介して供
給電圧が供給されるとともに、もう１本のケーブル１３
によって、水流を制御するソレノイド弁１４に電子装置
１１が後述の要領で接続される。ケーブル１２は、主ハ
ウジング１又は基部２内の軸線方向ボア１５及び主ハウ
ジング１内の傾斜ボア１６によって、衛生器具の外に導
かれる。

【００１４】このような配置は明らかに、衛生器具の前
方にいる使用者の電気的検出及びソレノイド弁を制御可
能な信号の生成に役立つという意味で「電子的」と言え
る全ての構成要素を、１つのユニットとしてハンドル状
付属物６の中で組合わせたものである。

【００１５】図示の実施例において、右側のハンドル状
付属物７は「ハンドル状」であるだけでなく、つまり従
来の衛生器具のハンドルのように見えるだけでなく、実
際にそのハンドル機能を有している。すなわちハンドル
状付属物７は、衛生器具から流出する混合水の温度を調
節するために、水平軸線に関して回転させることができ
る。単一温度の水のみを放出する衛生器具においては、
付属物７は単にハンドル「状」のものであればよく、従
ってハンドル機能を実際にもたず、単にこのようなハン
ドルが存在する外観を与えるだけである。

【００１６】水流を制御する機能を有し、この意味で
「機械的」なものと言える全ての構成要素は、ハンドル
状付属物７内に１つのユニットとして配置され又は取り
付けられている。特にこれらの機械的構成要素に属して
いるのは、以下に構造を詳述する磁気起動式パイロット
弁、及び、温度調整用に構造的にこのパイロット弁と組
み合わされる「摩擦部材」としても知られた回転ピスト
ン１７（以下、摩擦部材１７という）である。

【００１７】ハンドル状付属物７内又はその上に配置さ
れる要素を、図１〜図３を拡大図示した図４及び図５を
参照して、さらに正確に説明する。より明確にするた
め、図４及び図５では、ハンドル状付属物７のカップ状
の外側ハウジング１８を省略して示す。この外側ハウジ
ング１８は、図３からわかるように、ねじ１９によって
摩擦部材１７の円筒形のエプロン２０に取り付けられ
る。操作ハンドルを構成する外側ハウジング１８が回転
すると、それにより摩擦部材１７全体が回転され、後述
する要領で冷水と温水の混合比を変化させる。

【００１８】摩擦部材１７は一体成形部品であり、エプ
ロン２０から離れた端部において主ハウジング１の円筒
形チャンバ２１内に突出する。円筒形チャンバ２１内に
は、主ハウジング１を通って斜めに案内されたボア２
２，２３が開口し（図５参照）、これらのボア２２，２
３が基部２内のボア４と連通してその中を冷水及び温水
が円筒形チャンバ２１内へと通過する。各ボア２２，２
３に関して軸線方向へ食い違った状態で、主ハウジング
１のもう１つのボア２４が円筒形チャンバ２１内に開口
する。ボア２４は、放出口３へ連通する鉛直なボア２５
に連結される（特に図３参照）。従って、摩擦部材１７
の内側端部を円筒形チャンバ２１内に挿入しなかった場
合、ホース５、及び流路を構成するボア４，２２，２３
を通して主ハウジング１の円筒形チャンバ２１内へ流れ
込む水は、直接にボア２４，２５を通って放出口３へ流
動可能となる。

【００１９】冷水と温水との混合比の調整は、斜めに延
びる溝２７を内部に備えた摩擦部材１７の略円筒形のヘ
ッド２６により行われる。回転位置に応じて、溝２７
は、異なる様態で主ハウジング内の流路を構成するボア
２２，２３と交差する。図５は、ボア２２，２３の双方
が同程度すなわち半分まで溝２７内に開放していること
から、冷水と温水が同じ比率で受け入れられる位置を示
している。従って、水はボア２２，２３から溝２７内へ
と流れることができる。溝２７は、混合すべき水を摩擦
部材１７のヘッド２６の外周上の凹部２８内に導き、こ
こから水は摩擦部材１７の端面へと通過する。

【００２０】弾性パッド７９は、摩擦部材１７のヘッド
２６表面の下部領域へ嵌入される。摩擦部材１７が完全
冷水位置まで回転させられたとき、弾性パッド７９は、
温水を供給するボア２２の開口部の上にあり、ボア２２
を密閉する。このため、温水の損失は回避される。

【００２１】摩擦部材１７の開放端面に到達した混合水
の、ボア２４従って放出口３へのもうひとつの流路は、
パイロット制御弁２９を配置した摩擦部材１７の中空の
ヘッド２６内部、並びに摩擦部材１７の半径方向ボア４
４及び円筒形チャンバ２１の壁と摩擦部材１７の縮径領
域との間の環状チャンバ７８を経由して通る。環状チャ
ンバ７８は、摩擦部材１７の表面の溝内に配置された２
つのＯリング５６，５７によって軸線方向に制限され
る。

【００２２】パイロット制御弁２９が無い場合、摩擦部
材１７のヘッド２６の内側端面に到達する水は、摩擦部
材１７の内部を通ってボア２４まで自由に流れることが
できる。パイロット制御弁２９は、閉鎖部材として、弾
性材料からなるダイヤフラム３０と、硬い合成材料から
なりダイヤフラム３０が協働するケージ３１とを備え
る。これは図面に一体的に示されているが、複数の部分
で構成することも可能である。

【００２３】弾性ダイヤフラム３０は、２つの切頭円錐
を相互に反対向きに積み重ねた形状を有し、軸線方向に
相対する各端部には半径方向内方に突出する突縁部３
２，３３が形成される。ケージ３１は、中央の当接部材
３４と、軸線方向両端部にそれぞれ１つ配置した支持環
３５，３６とを備える。支持環３５，３６は、弾性ダイ
ヤフラム３０の軸線方向両端部に配置した突縁部３２，
３３と協働する。ケージ３１の当接部材３４は、リブ３
７によって支持環３５，３６に連結され、１つのユニッ
トを形成する。

【００２４】ケージ３１とそれに取付けられたダイヤフ
ラム３０とは、摩擦部材の内側の段部に当接し、かつ、
外側端部においてパッキン４６及びピストンリング４７
によって取り外し可能に固定される。弾性ダイヤフラム
３０は、通常時、すなわち内側又は外側からの水による
圧力作用が無いときに、ケージ３１の当接部材３４の外
側に当接するように成形されている。これは、パイロッ
ト制御弁２９の閉鎖状態を示すものであり、この状態で
は、その後に摩擦部材１７内部を通ってボア２４に至る
水の流路が、当接部材３４及びダイヤフラム３０によっ
て阻止されるのである。

【００２５】ダイヤフラム３０は、図示の閉鎖位置から
開放位置へと移動可能である。開放位置でダイヤフラム
３０は、中心領域において当接部材３４から持ち上が
り、主ハウジング１の円筒形チャンバ２１の壁に当接す
る。この場合、ダイヤフラム３０と当接部材３４との間
に形成される環状チャンバは、流れを通すために解放さ
れる。ダイヤフラム３０のこの動作は、ダイヤフラム３
０の半径方向内側及び半径方向外側に存在する圧力の作
用によって生じる。この過程はそれ自体周知のものであ
り、ここでは詳述しない。この明細書では、下記の点が
理解されれば充分である。

【００２６】当接部材３４の下方に位置するダイヤフラ
ム３０の内部は、放射状の小さな均圧ボア３８によって
外部チャンバに連結される。外部チャンバはさらに、軸
線方向流路３９を経由して、エプロン２０内に半径方向
に配置された摩擦部材１７の外側端面上の凹部４０と連
通する。凹部４０は、磁気コイル１４の下面によって覆
われ、Ｏリング４５によってシールされる。凹部４０の
基部上には弁座４１が形成され、弁座４１は閉鎖体４２
と協働する。閉鎖体４２は、通常は弁座４１を閉鎖し、
したがって軸線方向流路４３への入路を閉じる。軸線方
向流路４３は、摩擦部材１７内の半径方向ボア４４及び
主ハウジング１内のボア２４へと連通する。

【００２７】閉鎖体４２が図４に示すように弁座４１を
閉じている限り、弾性ダイヤフラム３０に対して外側か
ら作用する圧縮力は、ダイヤフラム３０の内部チャンバ
内に拡がる結果的な圧縮力より大きい。したがって、ダ
イヤフラム３０はケージ３１の当接部材３４の外周に接
触した状態を保持し、パイロット制御弁２９が閉じられ
る。しかしながら、電流がパイロット制御弁２９の磁気
コイル１４に供給されると、閉鎖体４２は弁座４１から
持ち上がる。その結果、ダイヤフラム３０に作用する圧
力が変化し、ダイヤフラム３０は、その中心領域で当接
部材３４から持ち上がり、摩擦部材１７のヘッド２６の
内壁に当接する開放位置へと移動する。

【００２８】非接触式に制御される衛生器具の組み立て
に際し、まず最初に、ハンドル状付属物６及び７により
保持され又は形成されている全てのユニットが予め組立
てられる。すなわち、ハンドル状付属物６に関しては、
発光ダイオード９及び受光ダイオード１０、並びに電子
装置１１が、ハウジング５２内にその開放端部から挿入
され取り付けられる。ハウジング５２は開放端部におい
てねじ部を有し、その中にリング４９が螺嵌される。２
つのねじ５０，５１（図２参照）が主ハウジング１を通
して横方向に延び、そのねじ付き端部によってリング４
９のねじ付きボア内へ螺合される。したがって、ねじ５
０，５１の頭は、図１の右側に示す主ハウジング１の側
面内の凹部に当接する。このようにして、左側のハンド
ル状の付属物６が主ハウジング１に取り付けられる。リ
ング４９及びねじ５０，５１の使用により、ハウジング
５２の角度方向及び光学窓８の心合せを正確に固定する
ことができる。これは、左側のハンドル状付属物６のハ
ウジング５２が端部を主ハウジング１内にねじ込んだだ
けの場合には不可能であった。

【００２９】主ハウジング１にハンドル状付属物６を最
終的に固定する前に、当然のことながらケーブル１２が
ボア１５及び１６を通って案内される。ケーブル１３
は、主ハウジング１内を完全に貫通するボア５３（図２
参照）を通して、主ハウジング１の他側面まで案内され
る。ハウジング５２の内側端部の円筒形カラー５４は、
図１の左側に示す主ハウジング１の側面上の溝内に突出
する。これにより、ハンドル状付属物６と主ハウジング
１との間に、見た目に魅力的な推移部分が形成される。

【００３０】実際上、真のハンドルを構成する図１右側
のハンドル状付属物７の締め付けは、次の要領で行われ
る（以下の説明では特に図３〜図６を参照する）。摩擦
部材１７は、設置状態で図１右側の主ハウジング１の側
面が位置するようになる軸線方向の部位に、溝５８を備
える。Ｕ字形の締結部品５９が、溝５８内へ側面から挿
入される。この締結部品は、３つのねじ６０，６１，６
２によって図１右側の主ハウジング１の側面に強固にね
じ留めされる。これらのねじの１つ、すなわちねじ６０
を、図４及び図５に示す。また、これら３つのねじ６
０，６１，６２は、各ねじの頭の高さで、図３の線VI−
VIでの断面図である図６に示される。各ねじ６０，６
１，６２の頭は、摩擦部材１７の外側部分を通して軸線
方向に延びる凹部６３，６４を介して、図１右側の端面
まで入ることができる。摩擦部材１７の回転によって、
これらの凹部６３，６４を交互にねじ６０，６１，６２
の頭と心合せすることができ、したがって、各ねじ６
０，６１，６２をこの部位で挿入し、ドライバーで締付
けることができる。

【００３１】流出する混合水の温度調整のために摩擦部
材１７を回転させる角度は、以下の要領で調整可能であ
る。溝５８の外側（図４では溝５８の上）に直接隣接し
た状態で、摩擦部材１７の外部輪郭にもう１つの凹部６
５が設けられる。凹部６５は、溝５８よりも大きい直径
を有し、摩擦部材１７の周囲全体に完全には案内されな
い。これに対し、図６から分かるように、ばち形突出部
６６が、摩擦部材１７の「コア」６７から半径方向外向
きに突出する。ばち形突出部６６は、ねじ６０の頭に当
接することにより、図６での時計回り方向への摩擦部材
１７の回転能力を制限する。

【００３２】湾曲したスロット６８は、エプロン２０を
支持する摩擦部材１７の部分的領域に向けて凹部６５に
より形成される環状肩部と、エプロン２０によって包囲
された摩擦部材１７の外側端壁との間の壁を貫通する。
エプロン２０には、磁気コイル１４も嵌め込まれてい
る。スロット６８を通して外側から１本のねじ６９が案
内され、ねじ６９がストッパ部材７０を凹部６５の環状
肩部に固定する。ストッパ部材７０は、摩擦部材１７の
「コア」６７から半径方向に、凹部６５によって形成さ
れた環状肩部の外周方向へ延びる。ストッパ部材７０
は、ねじ６０の頭に当接することにより、摩擦部材１７
の反時計方向への回転能力を制限する。図示のように、
摩擦部材１７が網羅できる全体回転角度は、湾曲したス
ロット６８内のストッパ部材７０の可変的位置によって
規定される。

【００３３】磁気コイル１４により起動されるパイロッ
ト制御弁２９を内部に配置した摩擦部材１７が、Ｕ字形
締結部品５９及びねじ６０〜６２によって主ハウジング
１に固定される場合、外側ハウジング１８は摩擦部材１
７のエプロン２０上を摺動させられ、ねじ１９によって
そこに締め付けられる。外側ハウジング１８にねじ留め
され、また外側ハウジング１８と一体的にも構成できる
円筒形カラー７１は、このようにして図１右側の主ハウ
ジング１の側面の溝内に係合する。この点に関する係合
状態は、図１左側のハンドル状付属物６の外部ハウジン
グ５２が主ハウジング１の左側面上の溝内に係合する要
領と同じである。

【００３４】最終的に、操作ハンドルである外側ハウジ
ング１８内のねじ１９の頭は、窓４８によって覆われ
る。窓４８の外観は、図１左側のハンドル状付属物６内
の窓８に相応する。図１からわかるように、このように
して完全に対称な外観が得られる。主ハウジング１は、
中央ねじ７２により基部２に取り付けられ（図２参
照）、中央ねじ７２の頭は、円筒形チャンバ２１から放
出口３へ流れる混合水を案内するボア２５の上部領域内
に位置する。下向きの水の流路は、図２において、ねじ
７２の頭とその下方のボア２５の環状肩部との間に配置
されたガスケット７３によって阻止される。

【００３５】主ハウジング１に放出口３を締結するた
め、主ハウジング１内に上方から固定用ソケット７４が
螺嵌される。固定用ソケット７４は、その上部領域にお
いて幾分か大きい直径を有し、この場合では、Ｏリング
によって放出口３の内壁に当接する。Ｏリングは、主ハ
ウジング１の上端面の近傍まで固定用ソケット７４上に
押し上げられる。Ｕ字形の固定部品７５は、放出口３の
内壁と固定用ソケット７４の小径の領域との間に位置す
る。放出口３は、ねじ７６によって固定部品７５に固定
される。固定部品７５は、軸線方向へ延びる突出部７７
によって、固定用ソケット７４の拡径領域を小径領域に
連結する環状段部に当接する。これにより、放出口３は
軸線方向に固定される。固定用ソケット７４の外部輪郭
の対応形成のために、軸線方向の突出部７７は同時に、
主ハウジング１に関して放出口３が横断しうる回転角度
に対する制限として作用する。

【００３６】上記の実施例は、様々な構成要素を２つの
ハンドル状付属物に配分した構成の、非接触式に制御さ
れる電気作動式の混合栓装置に関するものである。しか
しながら、この非接触式制御及び配分構成は、本発明の
必須の構成要件ではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】非接触式に制御される衛生器具の正面図であ
る。

【図２】図１の線II−IIに沿った断面図である。

【図３】図１の線 III−III に沿った断面図である。

【図４】図３の部分拡大断面図である。

【図５】図４と同様の図で、図２の矢印Ｖ方向における
断面図である（ただし、回転ピストンは断面では示さな
い）。

【図６】図３の線VI−VIに沿った拡大断面図である。

【符号の説明】

１…主ハウジング ３…放出口 １４…磁気コイル １７…摩擦部材 １８…外側ハウジング ２０…エプロン ２１…円筒形チャンバ ２２，２３…流路 ２７…溝 ２９…パイロット制御弁 ３０…ダイヤフラム ３１…ケージ ３２，３３…突縁部 ３４…当接部材 ３５，３６…支持環 ３７…リブ ３９，４３…軸線方向流路 ４０…凹部 ４１…弁座 ４２…閉鎖体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ベルナー バインマン ドイツ連邦共和国，デー−7024 フィル ダーシュタット，ロイトリンガー シュ トラーセ 29 (56)参考文献 特開 平２−217533（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−203530（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−100560（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E03C 1/05 E03C 1/044

Claims (9)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジングと、流出する混合水を制御す
   る閉鎖部材を備えた電気作動弁と、該ハウジングのチャ
   ンバ内に配置され、流出する混合水における冷水と温水
   との混合比を決定する調整部材と、放出口とを具備した
   衛生混合栓装置において、 ａ）前記調整部材は、中空ピストン（１７）から構成さ
   れ、 ｂ）前記中空ピストン（１７）は、その外周上に、前記
   ハウジングの前記チャンバ（２１）内に開口する冷水及
   び温水のそれぞれの流路（２２，２３）と協働して該冷
   水及び温水の混合比を決定する構造（２７）を備え、 ｃ）前記混合水の流路は、少なくともその一部分が前記
   中空ピストン（１７）の内部を通って延び、該中空ピス
   トン（１７）の内部の、該混合水の流路が通って延びる
   領域に、少なくとも前記電気作動弁（２９，１４）の前
   記閉鎖部材（３０，３４）が配置される、 ことを特徴とする衛生混合栓装置。
2. 【請求項２】 前記中空ピストン（１７）上に、操作ハ
   ンドル（１８）を取着可能な円筒状のエプロン（２０）
   を形成したことを特徴とする請求項１記載の衛生混合栓
   装置。
3. 【請求項３】 前記電気作動弁が磁気コイルを備える請
   求項２記載の衛生混合栓装置において、該磁気コイル
   （１４）を、前記中空ピストン（１７）の前記エプロン
   （２０）に包囲された空間内に配置することを特徴とす
   る衛生混合栓装置。
4. 【請求項４】 前記中空ピストン（１７）の外周上に備
   えた前記構造は、混合水を前記中空ピストン（１７）の
   外面に沿って案内する溝（２７）からなることを特徴と
   する請求項１〜３のいずれか１つに記載の衛生混合栓装
   置。
5. 【請求項５】 前記溝（２７）が、前記混合水を前記中
   空ピストン（１７）の開口端部へ案内することを特徴と
   する請求項４記載の衛生混合栓装置。
6. 【請求項６】 前記調整部材の前記中空ピストンが回転
   式ピストンからなる請求項１〜５のいずれか１つに記載
   の衛生混合栓装置において、前記溝（２７）は、前記中
   空ピストン（１７）の外周に沿って、その軸線に関して
   角度を有したコイル状に案内され、前記ハウジングのチ
   ャンバ（２１）に開口する前記冷水及び温水用流路（２
   ２，２３）の各開口部の中心点が、前記中空ピストン
   （１７）の回転軸線に平行な直線上に配置されることを
   特徴とする衛生混合栓装置。
7. 【請求項７】 前記電気作動弁が、前記閉鎖部材として
   構成された弾性ダイヤフラムを具備するパイロット制御
   弁からなり、該ダイヤフラムが、その両側面に作用する
   圧力の影響下で開放位置と閉鎖位置との間を前後へ移動
   可能であり、磁気コイルによって移動可能な閉鎖体が、
   パイロット開口を開閉することによって前記ダイヤフラ
   ムの両側面への圧力に影響を及ぼすようになっている請
   求項３記載の衛生混合栓装置において、前記閉鎖体（４
   ２）と前記パイロット開口（４１）とは、前記磁気コイ
   ル（１４）の近傍で前記ダイヤフラム（３０）から離間
   して配置され、第１の流路（４３）が、前記パイロット
   開口（４１）から前記中空ピストン（１７）の中実部分
   を通って、前記ダイヤフラム（３０）の一側面に作用す
   る圧力を有したチャンバ（４４）内へ延び、さらに、第
   ２の流路（３９）が、前記パイロット開口（４１）から
   の前記閉鎖体（４２）の持ち上げ後に前記第１の流路
   （４３）へ接続される前記チャンバ（４０）から、前記
   中空ピストン（１７）の中実部分を通って、前記ダイヤ
   フラム（３０）の他側面に作用する圧力を有したチャン
   バ内へ案内されることを特徴とする衛生混合栓装置。
8. 【請求項８】 前記電気作動弁（２９，１４）の前記閉
   鎖部材は、 ａ）両端で前記中空ピストン（１７）の内壁に固定さ
   れ、かつその中心領域で半径方向へ移動可能な、管状の
   弾性ダイヤフラム（３０）と、 ｂ）該管状の弾性ダイヤフラム（３０）内に配置され、
   閉鎖位置において表面に該ダイヤフラム（３０）が当接
   され、かつ開放位置において表面から該ダイヤフラム
   （３０）が持ち上げられる当接部材（３４）とを、 具備したことを特徴とする請求項１〜７のいずれか１つ
   に記載の衛生混合栓装置。
9. 【請求項９】 前記当接部材（３４）は、前記弾性ダイ
   ヤフラム（３０）を保持するケージ（３１）の一部から
   なり、該ケージ（３１）は軸線方向両端のそれぞれに、
   前記弾性ダイヤフラム（３０）の対応する軸線方向両端
   に設けた半径方向突縁部（３２，３３）と協働する支持
   環（３５，３６）を備え、これら２つの支持環（３５，
   ３６）がリブ（３７）によって前記当接部材（３４）に
   連結されることを特徴とする請求項８記載の衛生混合栓
   装置。