JP3248630B2 - 水晶片の直接接合方法ならびにその方法を用いてなる水晶振動子,水晶発振器および水晶フィルタ - Google Patents

水晶片の直接接合方法ならびにその方法を用いてなる水晶振動子,水晶発振器および水晶フィルタ

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JP3248630B2
JP3248630B2 JP26160192A JP26160192A JP3248630B2 JP 3248630 B2 JP3248630 B2 JP 3248630B2 JP 26160192 A JP26160192 A JP 26160192A JP 26160192 A JP26160192 A JP 26160192A JP 3248630 B2 JP3248630 B2 JP 3248630B2
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも2枚の水晶
片を接着剤などの介在物なしに直接接合してなる水晶振
動子、およびその水晶振動子を用いて構成する、携帯電
話機などの移動体通信機器に使用することができる水晶
デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話機などの移動体通信機器
の普及に伴って、それら機器の基準周波数源やフィルタ
に用いられる水晶デバイスの需要が増大している。
【0003】以下に図面を参照しながら、従来の水晶デ
バイスの一例について説明する。
【0004】図32は、従来の水晶振動子の構成の各例
を示す要部側面図である。図32において、401,4
03は水晶片、402,404は励振電極である。水晶
片401および403は機械的および化学的加工法によ
って円板やレンズ状に加工されている。
【0005】このような圧電材料である水晶片401,
403を介して対向設置した励振電極402,404に
電界が加えられると、水晶片401,403に歪が生
じ、水晶の弾性定数と形状寸法で決まる周波数で共振す
ることができる。従来、移動体通信機器に用いられてい
る水晶振動子は、ATカット水晶振動子(切り出し角度
が54.75゜近辺)と呼ばれ、厚みすべり振動を利用
した振動子である。ここで、この切り出し角度とは板面
の法線と水晶結晶のZ軸とのなす角である。このATカ
ットに対し、切り出し角度が135.00゜近辺のもの
をBTカット水晶振動子という。ATカット水晶振動子
の共振周波数−温度特性は切り出し角度で決まり、図3
3に従来のATカット水晶片の共振周波数−温度特性を
示したように、三次曲線となり、0〜50℃(横軸)の
温度範囲で、そのときの周波数偏差量(縦軸)は、±
1.0ppmの周波数安定度が得られる。(例えば、
‘ピエゾエレクトロシティ’;ウォルター・ガイトン・
キャディー,ドーバー出版社(‘Piezoelect
ricity’;edited by Walter
Guyton CADY,Dover Publ.,I
nc.)もしくは、‘水晶の断熱弾性定数とその温度特
性について’;有賀正直著,東京工業大学学報,昭和3
1年12月発行,88頁)。また、周波数安定度を高め
る方法としては、水晶基板上に異なる線膨張係数の物質
を育成(特開昭55−138914号)もしくは装着
(特開昭55−158718号,特開昭56−6189
9号)する方法が提案されている。
【0006】また、図32(a)に示すように、水晶片
401を光学レンズのように中央部が周辺部に比べて厚
くなっている形状(コンベックス加工)にしたり、図3
2(b)に示すように、励振電極の中央部を厚くした構
成で弾性振動を中央部に閉じ込めてQ値を高めている。
(例えば、特開平2−260910号)。
【0007】なお、上記コンベックス加工に対し、水晶
片の片面または両面の角を落としたベベル加工がある。
【0008】また、1つの水晶振動子から複数の振動を
取り出す方法としては、化学的研磨法で水晶片を部分的
に薄くする方法や基本モードと高次モードを同時に使用
する方法などが考えられる。
【0009】次に、従来の水晶発振器、アナログ温度補
償水晶発振器およびデジタル温度補償水晶発振器につい
て、図面を参照しながら説明する。
【0010】水晶発振器は、共振素子に約10万のQを
もつ水晶振動子を利用して、周波数安定化を図った発振
器である。したがって、水晶発振器の出力周波数−温度
特性は、水晶振動子の共振周波数−温度特性に依存し、
従来のATカット水晶振動子を用いた場合には、図33
に示すように0〜50℃の温度範囲で±1.0ppmの
周波数安定度が得られる。しかしながら、携帯電話機に
用いられる水晶発振器には、−30℃から80℃で±
1.0ppmの周波数安定度が要求されており、その要
求を満足させるために温度補償回路が必要になる。温度
補償回路が設けられた水晶発振器を温度補償水晶発振器
といい、大きくアナログ方式とデジタル方式に分けるこ
とができる。
【0011】図34および図35に、それぞれ従来のア
ナログ温度補償水晶発振器およびデジタル温度補償水晶
発振器の代表的な回路構成を示す。
【0012】図34において、411は発振回路、41
2は出力端子、413は水晶振動子、414は温度補償
回路である。この温度補償回路414はサーミスタなど
の感温素子、コンデンサやバラクタダイオードなどの容
量素子および抵抗を用いて構成されており、温度によっ
てリアクタンスが変化し、水晶振動子413のリアクタ
ンス(共振周波数)の温度による変化を補償し、出力周
波数を安定にする。
【0013】図35において、421は温度センサ、4
22はA/D変換器、423は記憶装置、424は可変
リアクタンス回路、425は発振回路、426は水晶振
動子である。427は可変リアクタンス回路424、発
振回路425および水晶振動子426からなるデジタル
制御水晶発振器である。また、記憶装置423には温度
センサ421の出力信号をA/D変換器422で変換し
たデジタル信号と、可変リアクタンス回路424の制御
信号とを対応させたデータがあらかじめ記憶してある。
これによって、温度変化に対応して可変リアクタンス回
路424のリアクタンスが変化し、水晶振動子426の
共振周波数−温度特性を補償して発振出力周波数を安定
にしている。
【0014】また、温度センサ421と水晶振動子42
6の設置場所の違いや熱時定数の違いに起因する温度差
を抑えるために、1枚の水晶片で基本波と高次オーバー
トーンもしくは副振動を取り出す方法が考えられている
(例えば、特開平2−170607号や特開平2−17
4407号)。
【0015】次に、従来の水晶フィルタの一例につい
て、図面を参照しながら説明する。
【0016】図36は、従来の水晶フィルタの構造を示
すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)のa−
a′における断面図である。図36において、431は
水晶片、432,433,434は電極であり、水晶片
431を介して対向設置している。また、電極432,
433と434が対向している部分の水晶は周辺部より
薄くなっている。
【0017】以上のように構成された水晶フィルタにつ
いて、以下その動作について説明する。
【0018】電極434は通常接地され、残りの2つの
電極432および433が電気信号を入出力する電極に
なる。例えば、電極432に電気信号を入力すると、水
晶片431はその厚みや弾性定数で決まる周波数で共振
する。この共振は水晶片431中を機械的に伝達し、そ
の結果、電極433と434との間に電界が発生し、電
極433から電気信号を取り出せる。すなわち、水晶片
431の厚みや弾性定数で決まる共振周波数の帯域通過
フィルタとなる。また、この構成では、共振周波数を高
くするために、化学研磨法で中央部を薄くしている。
〔例えば、第39回アニュアル・フリケンシー・コント
ロール・シンポジウム会報、481−485頁、イオン
ミリング法によるVHF帯モノリシック水晶フィルタの
作製(Proc.39th Ann.Frequenc
y Contorol Symposium,pp.4
81−485‘VHF MONOLITHIC CRY
STAL FILTERS FABRICATED B
Y CHEMICAL MILLING’)〕
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように機械的および化学的研磨法によるだけで水晶片の
加工をするのみでは、三次元的な加工が困難であり、加
工時間が長いという問題点を有していた。
【0020】また、切り出し角度だけで水晶振動子の安
定度を向上させるのには限界があり、さらに、水晶基板
上に異なる物質を育成もしくは装着する方法では、これ
らの物質が水晶の弾性振動を妨げる抵抗体となり、水晶
振動子のQを劣化させるという問題点を有していた。
【0021】また、Qを高める方法として、水晶片をコ
ンベックス加工する方法は共振周波数の精度が低下する
などの問題点を有し、一方大きさの異なる電極膜を何回
も蒸着する方法は時間がかかるなどの問題を有してい
た。
【0022】また、1枚の水晶片の基本モードと高次モ
ードを用いて2つの振動を取り出す方法では、それぞれ
の共振周波数や温度特性を別個に設定することができな
かった。
【0023】また、水晶振動子の共振周波数が温度特性
をもつために、水晶振動子を用いた基準発振器に温度補
償回路や恒温槽などの温度補償装置が必要であった。前
者は、例えば発振周波数をサーミスタなどを用いて水晶
振動子の共振周波数−温度特性を打ち消すように温度補
償回路のインピーダンスを変化させる方法であり、後者
は、恒温槽内に水晶振動子および発振回路を納めること
により、これらを一定温度に保って発振周波数を一定に
保つ方法である。
【0024】まず、前者の方法によれば、特別の温度特
性制御回路を必要とし、その回路部品点数が多く、また
調整作業も必要となり、結果的にコスト高となる問題を
有していた。一方、後者の方法では、恒温槽の占める体
積が大きく、さらに消費電流が多くなる。
【0025】また、水晶振動子の共振周波数が水晶片の
厚みで決定されるために、1つの水晶振動子について1
つの共振周波数しか得られず、複数の共振周波数を必要
とする場合には、その数に対応した水晶振動子を用意す
る必要性があり、結果的に複数の周波数を必要とする機
器の小型化や低価格化を困難にしていた。
【0026】また、水晶発振器の場合も上記水晶振動子
と同様に、水晶発振器に温度補償回路や恒温槽などの温
度補償装置が組み込まれており、まず前者の方法によれ
ば、特別の温度特性制御回路を必要とし、その回路部品
点数が多く、また調整作業も必要となり、結果的にコス
ト高となる問題を有していた。一方、後者の方法では、
恒温槽の占める体積が大きくさらに消費電流が多くなる
という問題を有していた。
【0027】また、サーミスタなどを用いたアナログ温
度補償水晶発振器では、高温用と低温用に別々の補償回
路が必要であり、回路部品点数が多く、調整作業が煩雑
となりコスト高になる問間点を有していた。
【0028】一方、デジタル温度補償水晶発振器では、
温度センサと発振用の水晶振動子が別個に備えられてお
り、両者の間の熱時定数の差や設置場所の違いなどから
生じる温度差を抑えなければ適切な温度補償が行えない
こと、大容量のメモリが必要となること、調整コストが
高くなることなどの問題点を有していた。
【0029】さらに、温度センサと水晶振動子の温度差
を抑えるために、1枚の水晶振動子で基本波と高次オー
バートーンもしくは副振動を取り出す方法は、広い温度
範囲にわたって基本波と高次オーバートーンもしくは副
振動それぞれを独立に、選択的に、かつ安定に励振させ
ることが必須となり、そのためには水晶振動子の設計や
発扱回路のバイアスおよび帰還容量を非常に厳密に決定
することが必要になり、場合によっては発振回路のバイ
アスおよび帰還容量に温度補償をする必要があり、回路
規模が大きく非常に煩雑で作りにくいということなどの
問題点を有していた。
【0030】また、水晶フィルタでは、周波数−温度特
性の安定度が低いという問題点や、平面的な構成である
ために小型化が困難であるという問題点を有していた。
【0031】本発明は、上記問題点に鑑み、異なる周波
数−温度特性を有する少なくとも2枚の水晶片を介在物
なしに直接接合し、共振周波数−温度特性が従来よりも
優れた水晶振動子、Qを高くする構造が容易に構成でき
る水晶振動子、単体で任意の共振周波数と温度特性をも
った複数の振動を取り出せる水晶振動子、発振周波数−
温度特性の優れた水晶発振器、部品点数が少なく小型
で、高精度の温度補償が可能な低価格の温度補償水晶発
振器、周波数−温度特性が安定な水晶フィルタおよび小
型な水晶フィルタを提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明の水晶片の直接接合方法は、所望の切り出
し角度および所望の厚みを有する少なくとも2つの水晶
片の接合面を、それぞれ、鏡面研磨して、洗浄液で十分
に洗浄して汚染物を完全に取り除いた上、加熱乾燥し
て、前記接合面に水素結合している水分子を取り除くこ
とにより、平滑,平坦にしかつ水酸基によって終端した
後、介在物なしに接触させて、前記接合面の前記水酸基
の間で作用する結合力によって接合した上、水晶結晶が
相転移しない温度範囲内で熱処理して、さらに強い結合
力で直接接合するものである。
【0033】また、本発明の水晶振動子は、周波数−温
度特性が異なる少なくとも2つの水晶片を介在物なしに
厚み方向に積層して請求項1記載の水晶片の直接接合方
法により接合した水晶片と、該接合した水晶片の厚み方
向に対向設置した励振電極とからなり、該励振電極に電
界を加えると、前記接合した水晶片が振動するものであ
る。
【0034】また、本発明の水晶発振器は、請求項2記
載の水晶振動子を共振素子として用いるものである。
【0035】また、本発明の水晶フィルタは、請求項1
記載の水晶片の直接接合方法により接合した水晶片に少
なくとも2対の対向電極を厚み方向にそれぞれ対向設置
し、一方の対の前記対向電極から電気信号を入力する
と、他方の対の前記対向電極から特定の周波数成分の電
気信号を出力するものである。
【0036】
【作用】本発明は、異なる周波数−温度特性を有する少
なくとも2枚の水晶片を介在物なしに直接接合した張り
合わせ水晶片を用いることによって、 (1)直接接合した水晶片が一体となって振動するの
で、それぞれの水晶片の共振周波数−温度特性が打ち消
しあって、温度安定な水晶振動子および水晶フィルタが
実現できる。
【0037】(2)直接接合によって、簡易かつ短時間
で、振動部の厚みと支持部の厚みが異なる三次元構造を
実現でき、高Qな水晶振動子が実現できる。
【0038】(3)直接接合した水晶片が一体となって
振動するので、任意の共振周波数と温度特性をもった複
数の振動を取り出せる水晶振動子を実現できる。
【0039】(4)温度安定な水晶振動子を使用できる
ので、周波数−温度特性の優れた水晶発振器が実現でき
る。
【0040】
【0041】
【0042】()直接接合により、共振を立体的に結
合させことができ、小型の水晶フィルタが実現でき
る。
【0043】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら詳細に説明する。本発明では、異なる周波数−
温度特性を有する少なくとも2枚の水晶片を介在物なし
に直接接合するので、まず、その接合方法の具体例を説
明する。
【0044】図1は、水晶片の直接接合方法の第1の例
を示したものである。水晶の直接接合手順は、(1)鏡
面研磨、(2)洗浄、(3)乾燥、(4)接触、(5)
熱処理の各工程からなっている。
【0045】以下、図1のフローチャートに沿って詳し
く説明する。
【0046】まず、鏡面研磨工程(1)として、複数の
水晶片の表面を凹凸が数百オングストローム程度の平滑
かつ平坦な状態にする。
【0047】さらに、洗浄工程(2)では、鏡面研磨工
程(1)の際に付着した汚れや研磨粒子などを取り除く
ために、洗剤を用いた湿式スクラブ洗浄およびイソプロ
ピルアルコールを用いた洗浄を行い、さらに硫酸と過酸
化水素水の混合液を用いて洗浄する。この状態で水晶表
面は、水晶表面原子のダングリングの結合手に水酸基が
結合し、さらにこれら水酸基は周囲の水分子と水素結合
している状態である。
【0048】次に乾燥工程(3)において、水晶片の表
面に水素結合している水分子を取り除くために、埃など
の異物が付着しない環境で加熱乾燥する。例えば、30
0℃で1時間保持する。ここまでの手順が終了した水晶
片の表面は、水晶片の表面原子とダングリング結合した
水酸基で終端されている。
【0049】次に接触工程(4)において、上述のよう
な表面状態の水晶片同士を接触させると、接触面におい
て、片方の水晶片の表面に結合している水酸基とそれと
対向する水晶片の表面に結合している水酸基とが互いに
水素結合し、この水素結合によって接着剤などの介在物
なしに水晶片同士の初期の弱い接合状態が得られる。
【0050】さらに熱処理工程(5)において、機械的
および電気的な特性を向上させる目的で、互いに初期の
接合をした水晶片同士を、水晶結晶が相転移しない温度
範囲内で熱処理を行う。例えば、大気圧下では500℃
で行えばよい。熱処理により、水晶片同士の初期の接合
に寄与していた水酸基は脱水縮合し、一部は水晶片の接
合界面を通って外部に放出し、一部は水晶結晶中に拡散
するなどして水晶片同士が強固に直接接合する。
【0051】なお、水晶片を接触させる前に乾燥の工程
を取り入れて水分子を取り除くのは、後の熱処理の工程
で水分子が脱離反応を起こしてガス化することを防い
で、より良好な直接接合状態が得られ、水晶の直接接合
の歩留まりを向上させるためである。
【0052】上記方法によれば、水晶片同士を機械的に
強固に直接接合することができる。さらに、直接接合し
た水晶片に弾性振動を電気的に励振させたとき、直接接
合界面において弾性振動は連続的に伝搬し、直接接合し
た水晶片は一体となって弾性振動をする。例えば、厚み
すべり振動モードの共振周波数が(数1)で表される水
晶片を2枚直接接合した場合の共振周波数は、(数2)
で表すことができ、同一の水晶片を直接接合すれば、2
枚の水晶片を合わせた厚みをもつ1枚の水晶片と同じ共
振周波数をもつことになる。
【0053】
【数1】
【0054】
【数2】
【0055】また、直接接合界面は弾性振動を妨げる要
因とはならないので、直接接合した水晶片のQは劣化し
ない。
【0056】図2は、水晶片の直接接合方法の第2の例
を示したものである。水晶の直接接合手順は、(1)鏡
面研磨、(2)洗浄、(3)乾燥、(4)接触、(5)
熱処理の各工程からなっている。
【0057】基本的な手順(工程(1)ないし(5))
および効果については第1の例の場合と同様であるが、
この第2の例においては、洗浄工程(2)において、加
熱乾燥工程(3)の前の予備乾燥としてイソプロピルア
ルコールを用いた乾燥を用いることにより、洗浄後に水
晶表面に付着する埃などの異物を少なくすることができ
る。
【0058】図3は、水晶片の直接接合方法の第3の例
を示したものである。水晶の直接接合手順は、(1)鏡
面研磨、(2)洗浄、(3)乾燥、(4)接触、(5)
熱処理の各工程からなっている。
【0059】この第3の例の基本的な手順および効果に
ついては、第1の例の場合と同様であるが、ここでは、
洗浄工程(2)において、フッ化水素水もしくはフッ化
アンモニウム水による洗浄を行うことにより、水晶表面
を化学的に研磨処理することが可能となり、より清浄な
表面を得ることができる。
【0060】なお、前記第1,第2および第3の各例に
おいて、加熱乾燥の代わりに乾燥した雰囲気中で長時間
保持する工程を用いてもよい。
【0061】(第1の実施例) 図4は、本発明の第1の実施例(請求項1記載の発明)
における水晶振動子を示したものであり、(a)は側面
図、(b)は(a)を上からみた平面図、(c)は張り
合わせた水晶片の共振周波数−温度特性の一例図であ
る。図4(a),(b)において、101および102
は水晶片、103は励振電極であり、104は張り合わ
せ水晶片である。Pは水晶片101および102両方の
板面の法線であり、X,YおよびZは水晶片10
1の結晶軸、X,YおよびZは水晶片102の結
晶軸であり、θはPとZのなす角度、φはPとZ
なす角度である。
【0062】水晶片101と102は、XとXが一
致するように前記第1ないし第3の例による直接接合方
法により直接接合して一体となり、張り合わせ水晶片1
04となっている。また、励振電極103は張り合わせ
水晶片104を介して対向設置されている。
【0063】以上のように構成された水晶振動子につい
て、以下その動作を説明する。
【0064】水晶片101および102は励振電極10
3に電界(P方向の電界)が加えられると、厚みすべり
歪を生じ、それぞれの共振周波数fとfはそれぞれ
の厚みと弾性定数を用いて(数1)で表される。
【0065】また、水晶片101と102は直接接合さ
れているので、接合面において弾性振動が連続してお
り、このとき張り合わせ水晶片104の共振周波数fは
(数2)で表される。したがって、張り合わせ水晶片1
04の温度特性は、水晶片101および102の共振周
波数−温度特性(すなわち、切り出し角度θおよびφ)
および厚みの比で決定される。例えば、水晶片101と
水晶片102の厚みの比を5;1とし、θおよびφをそ
れぞれ55.01゜(ATカット)および145.00
゜(BTカット)とすれば、図4(c)に示すように1
0〜80℃の温度範囲(横軸)において、その周波数偏
差量(縦軸)は、±1.0ppmの周波数安定度が得ら
れる。
【0066】以上のように本第1の実施例によれば、異
なる周波数−温度特性を有する2つの水晶片を、介在物
なしに直接接合した張り合わせ水晶片を介して励振電極
を対向設置しているので、それぞれの水晶片がもつ共振
周波数−温度特性が互いに打ち消しあって、図4(c)
に示すように、広い温度範囲にわたって共振周波数の安
定な水晶振動子を実現できる。
【0067】(第2の実施例) 図5は、本発明の第2の実施例における水晶振動子を示
すものであり、(a)は側面図、(b)は(a)を上か
ら見た平面図である。図5において、111,112お
よび113は水晶片、114は励振電極であり、115
は張り合わせ水晶片である。Pは水晶片111,112
および113全ての板面の法線である。また、X,Y
およびZは水晶片111の結品軸、X,Yおよ
びZは水晶片112の結晶軸、X,YおよびZ
は水晶片113の結晶軸であり、θ,φおよびξはそれ
ぞれPとZ,PとZおよびPとZのなす角度であ
る。水晶片111,112および113はX,X
よびXとが一致するように直接接合して一体となり、
張り合わせ水晶片115となっている。また、励振電極
114は、張り合わせ水晶片115を介して対向設置さ
れている。
【0068】以上のように構成された水晶振動子の共振
周波数−温度特性は、第1の実施例と同様に水品片11
1,112および113の厚みの比とそれぞれの切り出
し角度θ,φおよびξによって、所望のものとすること
ができる。また、第1の実施例に比べて、3枚の水晶片
を直接接合して張り合わせ水晶片を形成した場合には、
より安定度の高い共振周波数−温度特性をもつ張り合わ
せ水晶振動子を実現できる。
【0069】(第3の実施例) 図6は、本発明の第3の実施例(請求項2記載の発明)
における水晶振動子を示すものであり、(a)は側面
図、(b)は(a)を上から見た平面図である。図6に
おいて、121および122は水晶片、123は励振電
極であり、124は張り合わせ水晶片である。水晶片1
21および122はそれぞれの片面は中央部が厚く、端
部に向かうにつれて薄く加工(コンベックス加工)され
ている。水晶片121と122は第1の実施例(図4)
で示したような結晶軸関係および厚みの比で、コンベッ
クス加工されていない側で直接接合して一体となり、張
り合わせ水晶片124となっている。また、励振電極1
23は、張り合わせ水晶片124を介して対向設置され
ている。
【0070】以上のような構成にすれば、第1の実施例
と同様に、広い温度範囲にわたって共振周波数を安定に
保つことができると同時に、張り合わせ水晶片124の
中央部が厚く端部に向かうにつれて薄くなっているので
弾性振動を中央部に閉じ込める効果が得られ、高Qな水
晶振動子を実現できる。
【0071】なお、本第3の実施例において、水晶片1
21および122は両面コンベックス加工もしくは片面
または両面の端部の角を落とした加工(ベベル加工)を
した水晶片を用いても同様の結果が得られる。
【0072】また、本発明の前述した第1ないし第3の
各実施例において、張り合わせ水晶片を構成するために
直接接合する水晶片の切り出し角度,厚み,枚数および
互いの結晶軸の関係には一切の限定はなく、張り合わせ
水晶片が所望の共振周波数−温度特性をもつように設定
することができる。
【0073】また、厚みすべり振動以外の振動モードに
おいても、本発明の第1,第2の各実施例で示したよう
な張り合わせ水晶片を用いて、所望の温度特性を実現す
ることができる。
【0074】(第4〜第7の実施例) 図7から図10は、それぞれ本発明の第4ないし第7の
実施例における水晶振動子を示すものであり、各図にお
いて(a)は側面図、(b)は(a)を上から見た平面
図である。
【0075】図7の第4の実施例において、131およ
び132は水晶片、133は励振電極、134および1
35は支持部、136は振動部であり、137は張り合
わせ水晶片である。水晶片131と132は、振動部1
36において直接接合して一体となり、張り合わせ水晶
片137となっている。また、励振電極133は、振動
部136を介して対向設置されている。
【0076】図8の第5の実施例において、141は水
晶片、142は水晶片141よりも大きい水晶片、14
3は励振電極、144および145は支持部、146は
振動部であり、147は張り合わせ水晶片である。水晶
片141と142はそれぞれの中心がほぼ一致するよう
に直接接合して一体となり、張り合わせ水晶片147と
なっている。また、励振電極143は、振動部146を
介して対向設置されている。
【0077】図9の第6の実施例において、151,1
52および153は水晶片、154は励振電極、155
および156は支持部、157は振動部であり、158
は張り合わせ水晶片である。水晶片152と153は水
晶片151より小さく、図9に示す接合順序で、それぞ
れの中心がほぼ一致するように直接接合して一体とな
り、張り合わせ水晶片158となっている。また、励振
電極154は、振動部157を介して対向設置されてい
る。
【0078】図10の第7の実施例において、161,
162および163は水晶片、164は励振電極、16
5および166は支持部、167は振動部であり、16
8は張り合わせ水晶片である。水晶片161,162お
よび163は、図10に示す接合順序で直接接合して一
体となり、張り合わせ水晶片168となっている。ま
た、励振電極164は、振動部167を介して対向設置
されている。
【0079】以上のように構成された第4ないし第7の
各実施例では、励振電極に電界が加えられると振動部は
厚みすべり歪を生じ、(数1)および(数2)に示すよ
うに振動部の共振周波数はそれぞれの水晶片の厚みおよ
び弾性定数によって決まる。振動部に発生した弾性振動
は、支持部を通って張り合わせ水晶片の端部まで伝達し
ようとするが、支持部の厚みが振動部より薄く構成され
ているので、弾性振動は支持部では急激に減衰する。
【0080】以上のように、第4ないし第7の各実施例
によれば、少なくとも2枚の水晶片を直接接合して中央
部の厚い張り合わせ水晶片を構成し、前記中央部の厚い
部分を介して励振電極を設置しているので、弾性振動を
閉じ込めることができ、高Qの水晶振動子を容易に実現
することができる。
【0081】(第8の実施例) 図11は、本発明の第8の実施例(請求項3記載の発
明)における水晶振動子を示すものであり、(a)は側
面図、(b)は(a)を上から見た平面図である。図1
1において、171は中央部に穴171aのあいた水晶
片、172は水晶片、173は励振電極であり、174
は張り合わせ水晶片である。水晶片171と172は直
接接合して一体となり、張り合わせ水晶片174を構成
している。また、励振電極173は、中央部の水晶片1
71と172か張り合わされていない振動部177で水
晶片172を介して対向設置されている。また、水晶片
171および172が直接接合している領域において支
持部175および176が形成されている。
【0082】以上のように構成された本第8の実施例で
は、励振電極173に電界が加えられると水晶片172
は厚みすべり歪を生じ、(数1)および(数2)に示す
ように振動部の共振周波数は厚みおよび弾性定数によっ
て決まる。振動部177に発生した弾性振動は張り合わ
せ水晶片174の端部まで伝達しようとするが、振動部
177よりも支持部175および176の厚みが厚く、
つまり、中央部の厚みが周辺部よりも薄い張り合わせ水
晶片で構成されているので、弾性振動を振動部177に
閉じ込めることができる。
【0083】以上のように、本第8の実施例によれば、
少なくとも2枚の水晶片を直接接合して中央部の薄い張
り合わせの水晶片を構成し、前記中央部の薄い部分を介
して励振電極を設置しているので、弾性振動を閉じ込め
ることができ、高Qの水晶振動子を容易に実現すること
ができる。
【0084】なお、本発明の前記第4ないし第8の各実
施例において、直接接合する水晶片の枚数および厚みに
ついての限定は一切なく、振動部の厚みが支持部の厚み
よりも厚く、もしくは薄く構成されていれば同様の効果
を得ることができる。
【0085】また、本発明の前記第4ないし第8の各実
施例において、例えば本発明の前記第1〜第3の各実施
例で示したような切り出し角度および厚みの水晶片を、
また結晶軸関係で直接接合して振動部を構成すれば、共
振周波数−温度特性が安定で、かつ高Qな水晶振動子を
実現することができる。
【0086】また、本発明の前記第4ないし第8の各実
施例において振動部および支持部の形状についての限定
は一切なく、水晶片の形状も本発明の実施例で示した円
板形状にこだわることなく、角板形状など任意の形状を
用いることができる。
【0087】また、本発明の前記第1ないし第8の各実
施例において、水晶片に本発明の第3の実施例(図6)
で示したような両面または片面のコンベックス加工また
はベベル加工を施した水晶片を用いてもよいし、コンベ
ックス加工(水晶片の中央部が周辺部に比べて厚く加
工)もしくは、ベベル加工(水晶片の片面または両面の
角を落とした加工)した水晶片と平板の水晶片を組み合
わせてもよい。
【0088】(第9〜第11の実施例) 図12,図13および図14は、それぞれ本発明の第9
ないし第11の実施例(請求項4記載の発明)における
水晶振動子の構造を示す側面図である。
【0089】図12の第9の実施例において、181お
よび182は異なる厚みの水晶片、183は直接接合
部、184および185は励振電極であり、186は張
り合わせ水晶片である。水晶片181および182は互
いに直接接合して一体となり、張り合わせ水晶片186
を形成している。張り合わせ水晶片186は水晶片18
1と182を組み合わせた厚みの直接接合部183と水
晶片181だけの厚みの部分(図中、左側の励振電極1
85の部分)を有している。励振電極184は直接接合
部183を介して対向設置されており、励振電極185
は水晶片181を介して対向設置されている。
【0090】また、図13の第10の実施例において、
191,192および193は、それぞれ異なる厚みの
水晶片、194は直接接合部、195および196は励
振電極であり、197は張り合わせ水晶片である。水晶
片191,192および193は互いに直接接合して一
体となり、張り合わせ水晶片197を形成している。張
り合わせ水晶片197は、水晶片191,192および
193を合わせた厚みの直接接合部194と水晶片19
1だけの厚みの部分(図中、左側の励振電極195の部
分)を有している。励振電極196は直接接合部194
を介して対向設置されており、励振電極195は水晶片
191を介して対向設置されている。
【0091】以上のように構成された第9,第10の各
実施例では、励振電極に電界が加えられると、厚みすべ
り歪を生じ、励振電極185および195間の水晶片は
(数1)で表される共振周波数で振動する。また、直接
接合部は第1の実施例(図4)で説明したように(数
2)で表される共振周波数で振動する。
【0092】以上のように第9,第10の各実施例によ
れば、それぞれ2枚または3枚の水晶片を直接接合して
2つの厚みを有する張り合わせ水晶片186,197を
構成し、それぞれの厚みを介して2組の励振電極を対向
設置しているので、任意の2つの共振周波数をもった水
晶振動子を容易に実現することができる。
【0093】図14は、本発明の第11の実施例におけ
る水晶振動子の構成を示す側面図である。図14におい
て、201および202は厚さの異なる水晶片、203
は直接接合部、204,205および206は励振電極
であり、207は張り合わせ水晶片である。水晶片20
1および202は互いに直接接合して一体となり、張り
合わせ水晶片207を形成している。張り合わせ水晶片
207は、水晶片201および202を合わせた厚みの
直接接合部203と、水晶片201および202だけの
厚みの部分(図中、左側と右側の励振電極205,20
6の部分)を有している。励振電極204は直接接合部
203を介して対向設置されており、励振電極205お
よび206はそれぞれ水晶片201および202を介し
て対向設置されている。
【0094】以上のように本第11の実施例によれば、
前記第9および第10の実施例と同様にして、任意の3
つの共振周波数をもった水晶振動子を実現することがで
きる。
【0095】また、前記図12,図13および図14に
示す第9〜第11の各実施例において、水晶片181,
191および201,202は、張り合わせ水晶片18
6,197および207と同様な直接接合した張り合わ
せ水晶片で構成してもよく、前記と同様に任意の3つの
共振周波数をもった水晶振動子を実現することができ
る。
【0096】(第12〜第14の実施例) 図15,図16および図17は、それぞれ本発明の第1
2ないし第14の実施例(請求項5記載の発明)におけ
る水晶振動子の構造を示す側面図である。
【0097】図15の第12の実施例において、21
1,212および213は、それぞれ厚みの異なる水晶
片で、211と213は同じ厚みである。216および
217は励振電極であり、214,215は直接接合
部、218は張り合わせ水晶片である。水晶片211は
水晶片212および213と直接接合して一体となり、
張り合わせ水晶片218を形成している。張り合わせ水
晶片218は、水晶片211および212を合わせた厚
みの直接接合部214と水晶片211および213を合
わせた厚みの直接接合部215を有し、さらに、直接接
合部214と215の間に水晶片211だけの厚みの部
分(図中、中央部分)を有している。励振電極216
は、直接接合部214を介して対向設置されており、励
振電極217は直接接合部215を介して対向設置され
ている。
【0098】図16の第13の実施例において、22
1,222,223および224は厚みの異なる水晶片
である。227および228は励振電極であり、22
5,226は直接接合部、229は張り合わせ水晶片で
ある。水晶片221と水晶片222,223および22
4は直接接合して一体となり、張り合わせ水晶片229
を形成している。張り合わせ水晶片229は、水晶片2
21,222および223を合わせた厚みの直接接合部
225と水晶片221および224を合わせた厚みの直
接接合部226を有し、さらに、直接接合部225と2
26の間に水晶片221だけの厚みの部分を有してい
る。励振電極227は、直接接合部225を介して対向
設置されており、励振電極228は直接接合部226を
介して対向設置されている。
【0099】以上のように第12および第13の各実施
例によれば、前記第9および第10の実施例(図12,
図13)と同様に、任意の2つの共振周波数をもった水
晶振動子を得ることができ、さらに、2つの直接接合部
の間に、両直接接合部より薄い領域を設けることができ
るので、2つの直接接合部それぞれに発生する弾性振動
を内部に閉じ込めることができ、両弾性振動間のアイソ
レーションを高くすることができる。
【0100】図17は、本発明の第14の実施例におけ
る水晶振動子の構造を示す側面図である。図17におい
て、231,232および233は厚みの異なる水晶
片、234,235,236は直接接合部、237およ
び238は励振電極であり、239は張り合わせ水晶片
である。水晶片231と水晶片232および233は、
それぞれ直接接合して一体となり、張り合わせ水晶片2
39を形成している。張り合わせ水晶片239は、水晶
片231および232を合わせた厚みの直接接合部23
4、水晶片231および233を合わせた厚みの直接接
合部235および水晶片231,232および233を
合わせた厚みの直接接合部236を有している。励振電
極237は、直接接合部234を介して対向設置されて
おり、励振電極238は、直接接合部235を介して対
向設置されている。
【0101】以上のように本第14の実施例によれば、
前記第9および第10の実施例(図12,図13)と同
様に、任意の2つの共振周波数をもった水晶振動子を得
ることができ、さらに、直接接合部234と235との
間に、両直接接合部より厚い直接接合部236を設ける
ことができるので、直接接合部234および235それ
ぞれに発生する弾性振動を内部に閉じ込めることがで
き、両弾性振動間のアイソレーションを高くすることが
できる。
【0102】なお、本発明の前記第9,第10,第1
1,第12,第13および第14の各実施例において、
水晶片の枚数,切り出し角度,厚みおよび直接接合する
際の結晶軸関係についての限定は一切なく、例えば本発
明の第1,第2および第3の各実施例で示したように、
それぞれの水晶片もしくは張り合わせ水晶片が所望の共
振周波数−温度特性をもつように自由に設定することが
できる。
【0103】また励振電極の組数に一切の限定はなく、
任意の数の所望の周波数を得るように設定することがで
きる。
【0104】また水晶片の形状および励振電極の形状に
一切の限定はなく、円形や方形など任意に設定すること
ができる。また、水晶片に前記第3の実施例で示したよ
うなコンベックス加工された水晶片を使用することもで
きる。
【0105】なお、本発明の前記第1から第14の各実
施例において、励振電極の数,パターン形状,組成およ
び厚みには一切限定はない。
【0106】(第15の実施例) 図18は、本発明の第15の実施例(請求項6記載の発
明)における水晶発振器の回路図である。図18におい
て、241は本発明の前記第1から第8の各実施例(図
4から図11)に記載したような水晶振動子であり、異
なる周波数−温度特性を有する少なくとも2枚の水晶片
を介在物なしに直接接合した張り合わせ水晶片を介し
て、励振電極を対向設置した構成により、広い温度範囲
にわたって共振周波数の安定な水晶振動子である。ま
た、242は発振回路、243は出力端子である。
【0107】以上のように構成された水晶発振器では、
水晶振動子241の共振周波数の近傍において、発振回
路242と水晶振動子241による発振条件が満足さ
れ、出力端子243から発振信号が出力される。ここ
で、出力周波数−温度特性は水晶振動子241の共振周
波数−温度特性でほぼ決定される。
【0108】以上のように本第15の実施例によれば、
前記第1から第8の各実施例に示したような、温度に対
し安定な水晶振動子を共振素子として用いているので、
広い温度範囲にわたって出力周波数の安定な水晶発振器
を実現できる。
【0109】(第16の実施例) 図19は、本発明の第16の実施例(請求項7記載の発
明)におけるアナログ温度補償水晶発振器の回路図であ
る。図19において、251は本発明の前記第1から第
8の各実施例(図4から図11)に記載したような水晶
振動子であり、異なる周波数−温度特性を有する少なく
とも2枚の水晶片を介在物なしに直接接合した張り合わ
せ水晶片を介して、励振電極を対向設置した構成によ
り、広い温度範囲にわたって共振周波数の安定な水晶振
動子である。また、252は温度補償回路、253は発
振回路、254は出力端子であり、温度補償回路252
は感温素子、抵抗および容量素子などで構成され、温度
によってリアクタンスの変化する回路である。
【0110】以上のように構成されたアナログ温度補償
水晶発振器では、水晶振動子251のリアクタンス(共
振周波数)の温度による変化を温度補償回路252で補
償することにより、出力周波数−温度特性を安定にして
いる。ところで、水晶振動子251の共振周波数−温度
特性は図4(c)に示すように10℃から80℃までの
温度範囲において±1.0ppmの周波数安定度が得ら
れるので、携帯電話機などの移動体通信機器用の温度補
償水晶発振器を構成する場合、温度補償が必要になるの
は−30℃から10℃の温度範囲となる。したがって、
従来、高温用と低温用にそれぞれ独立に必要であった温
度補償回路が低温用の温度補償回路だけでよいことにな
り、温度補償回路252の回路規模を半分にすることが
できる。
【0111】以上のように、本実施例によれば、本発明
の第1から第8の各実施例で示したような広い温度範囲
にわたって共振周波数の安定な水晶振動子を用いること
により、温度補償回路の規模を半減でき、製造工程およ
び調整工程の簡略化を図れるので、小型で低価格なアナ
ログ温度補償水晶発振器を実現できる。
【0112】なお、本発明の第16の実施例において、
感温素子としては、サーミスタやダイオードなどを使用
でき、容量素子としては、コンデンサや可変容量ダイオ
ードなどが使用できる。
【0113】(第17〜第19の実施例) 図20から図22は、それぞれ本発明の第17ないし第
19の実施例におけるデジタル温度補償水晶発振器の構
成を示すブロック図である。
【0114】図20の第17の実施例(請求項8記載の
発明)において、左のブロックから266は温度セン
サ、265はA/D変換器、264は記憶装置、263
はデジタル信号制御の可変リアクタンス回路、262は
発振回路である。また、261は本発明の前記第1から
第8の各実施例に記載したような水晶振動子であり、異
なる周波数−温度特性を有する少なくとも2枚の水晶片
を介在物なしに直接接合した張り合わせ水晶片を介し
て、励振電極を対向設置した構成により、広い温度範囲
にわたって共振周波数の安定な水晶振動子である。26
7は、水晶振動子261,可変リアクタンス回路263
および発振回路262からなるデジタル制御水晶発振器
である。
【0115】図21の第18の実施例(請求項9記載の
発明)において、273は温度センサ、274はA/D
変換器、275は記憶装置、276はプログラマブル分
周器、272は水晶発振器、271は本発明の前記第1
から第8の各実施例で示したような、異なる周波数−温
度特性を有する少なくとも2枚の水晶片を介在物なしに
直接接合した張り合わせ水晶片を介して、励振電極を対
向設置した構成により、広い温度範囲にわたって共振周
波数の安定な水晶振動子であり、水晶発振器272の共
振素子となっている。
【0116】図22の第19の実施例において、282
および283は水晶発振器、284は周波数カウンタ、
285は記憶装置、286はプログラマブル分周器、2
81は本発明の前記第1から第8の各実施例で示したよ
うな、異なる周波数−温度特性を有する少なくとも2枚
の水晶片を介在物なしに直接接合した張り合わせ水晶片
を介して、励振電極を対向設置した構成により、広い温
度範囲にわたって共振周波数の安定な水晶振動子であ
り、水晶発振器282の共振素子となっている。また、
水晶発振器283は温度センサとして用いる水晶発振器
であり、温度検知が容易な共振周波数−温度特性をもっ
た水晶振動子を用いて構成されている。
【0117】以上のように構成されたデジタル温度補償
水晶発振器では、記憶装置264,275および285
にA/D変換器265もしくは274、もしくは周波数
カウンタ284の出力信号と、可変リアクタンス回路2
63、もしくはプログラマブル分周器276もしくは2
86の制御信号とを対応させたデータを予め記憶してお
く。これによって、温度変化に対応して可変リアクタン
ス回路のリアクタンスもしくはプログラマブル分周器の
分周比が変化し、水晶振動子の共振周波数−温度特性を
補償して発振出力周波数を安定にしている。
【0118】ところで、図20,図21および図22の
水晶振動子261,271および281の特性は前記図
4(c)に示すように10℃から80℃までの温度範囲
において±1.0ppmの周波数安定度が得られるの
で、携帯電話機などの移動体通信機器用の温度補償水晶
発振器を構成する場合、温度補償が必要になるのは−3
0℃から10℃の温度範囲となり、温度範囲が従来のほ
ぼ2/5と、大幅に軽減される。
【0119】以上のように本発明の第17から第19の
各実施例によれば、本発明の前記第1から第8の実施例
に示したような広い温度範囲にわたって共振周波数の安
定な水晶振動子を用いているので、補償する温度範囲が
大幅に減少し、記憶装置の容量やA/D変換器のビット
数を減少させることができ、製造および調整工程を簡略
化できるので、小型,低消費電流で低価格のデジタル温
度補償水晶発振器が実現できる。また、温度センサも低
温で温度検知が可能であればよく、素子や回路の自由度
が大きくなる。
【0120】なお、本発明の第17および第19の各実
施例において、温度センサとしては、サーミスタやダイ
オードなどを用いた温度によって電位差や電流値が変化
する素子や回路を用いることができる。また、温度セン
サとして水晶発振器を用いることもでき、水晶発振器を
用いたときには、A/D変換器として周波数カウンタを
用いることができる。
【0121】また、本発明の第17の実施例において、
可変リアクタンス回路としては、例えば、D/A変換器
と可変容量ダイオードを用いて、D/A変換器の出力電
圧を可変容量ダイオードに印加する方法や、デジタル信
号によるスイッチングで直接容量値を変化させる方式な
どを用いることができる。
【0122】また、本発明の第19の実施例において、
水晶振動子281と、水晶発振器283に用いられてい
る水晶振動子は、例えば本発明の前記第9,第10,第
12,第13および第14の各実施例で示したような構
成により一体化して構成することができる。
【0123】また、本発明の前記第15,第16,第1
7,第18および第19の各実施例において、図18な
いし図22の水晶振動子241,251,261,27
1および281は必ずしも前記図4(c)に示したよう
な共振周波数−温度特性をもつ水晶振動子を用いる必要
はなく、所望の温度範囲において安定した共振周波数−
温度特性が得られるように、直接接合する水晶片の枚
数、それぞれの切り出し角度、厚みおよび結晶軸関係を
任意に設定することができる。
【0124】(第20〜第23実施例) 図23から図26は、それぞれ本発明の第20ないし第
23の実施例(請求項10記載の発明)におけるデジタ
ル温度補償水晶発振器の構成を示すブロック図である。
【0125】図23の第20の実施例において、291
は本発明の前記第9の実施例(図12)に示したような
単体で任意の共振周波数と温度特性をもった2つの振動
を取り出せる水晶振動子である。292および293は
水晶振動子291上に形成された2つの第1,第2の振
動部である。294は第1の発振回路、295はデジタ
ル信号制御の可変リアクタンス回路であり、296は第
1の振動部292と第1の発振回路294および可変リ
アクタンス回路295からなるデジタル制御水晶発振器
である。297は記憶装置、298はA/D変換器であ
る。また、299は第2の発振回路であり、300は第
2の振動部293と第2の発振回路299からなる温度
センサである。ここで、第2の振動部293が容易に温
度検知できるような共振周波数−温度特性をもち、かつ
第1の振動部292が安定な共振周波数−温度特性をも
つように、水晶振動子291を構成している2枚の水晶
片は切り出し角度,厚みおよび結晶軸関係が設定され、
直接接合されている。
【0126】図24の第21の実施例において、301
は本発明の前記第9の実施例(図12)に示したよう
な、単体で任意の共振周波数と温度特性をもった2つの
振動を取り出せる水晶振動子である。302および30
3は水晶振動子301上に形成された2つの第1,第2
の振動部である。304は第1の振動部302と、第1
の発振回路294および可変リアクタンス回路295か
らなるデジタル制御水晶発振器であり、305は第2の
振動部303と第2の発振回路299からなる温度セン
サである。ここで、第2の振動部303が容易に温度検
知できるような共振周波数−温度特性をもち、かつ第1
の振動部302が安定な共振周波数−温度特性をもつよ
うに、水晶振動子301を構成している2枚の水晶片は
切り出し角度,厚みおよび結晶軸関係が設定され、直接
接合されている。
【0127】図25の第22の実施例において、311
は本発明の前記第10の実施例(図13)に示したよう
な単体で任意の共振周波数と温度特性をもった2つの振
動を取り出せる水晶振動子である。312および313
は水晶振動子311上に形成された2つの第1,第2の
振動部である。314は第1の振動部312と第1の発
振回路294および可変リアクタンス回路295からな
るデジタル制御水晶発振器であり、315は第2の振動
部313と第2の発振回路299からなる温度センサで
ある。ここで、第2の振動部313が容易に温度検知で
きるような共振周波数−温度特性をもち、かつ第1の振
動部312が安定な共振周波数−温度特性をもつよう
に、水晶振動子311を構成している3枚の水晶片は切
り出し角度,厚みおよび結晶軸関係が設定され、直接接
合されている。
【0128】図26の第23の実施例において、321
は本発明の前記第12の実施例(図15)に示したよう
な単体で任意の共振周波数と温度特性をもった2つの振
動を取り出せる水晶振動子である。322および323
は水晶振動子321上に形成された2つの第1,第2の
振動部である。324は第1の振動部322と第1の発
振回路294および可変リアクタンス回路295からな
るデジタル制御水晶発振器であり、325は第2の振動
部323と第2の発振回路299からなる温度センサで
ある。ここで、第2の振動部323が容易に温度検知で
きるような共振周波数−温度特性をもち、かつ第1の振
動部322が安定な共振周波数−温度特性をもつよう
に、水晶振動子321を構成している3枚の水晶片は切
り出し角度,厚みおよび結晶軸関係が設定され、直接接
合されている。
【0129】以上のように構成されたデジタル温度補償
水晶発振器において、記憶装置に温度センサの出力信号
をA/D変換器で変換したデジタル信号と可変リアクタ
ンス回路の制御信号とを対応させたデータをあらかじめ
記憶させておく。これによって、温度変化に対応して可
変リアクタンス回路のリアクタンスが変化し、デジタル
制御水晶発振器の出力周波数を安定にすることができ
る。また、温度センサ用とデジタル制御水晶発振器用の
振動部が一体形成されているので、両者間に生じる温度
差はほとんど皆無になり、デジタル制御発振器用の振動
部の温度情報を正確に得ることができる。
【0130】以上のように本発明の第20から第23の
各実施例によれば、本発明の前記第9,第10および第
12の各実施例で示したような単体で任意の共振周波数
と温度特性をもった2つの振動を取り出せる水晶振動子
を用いることにより、温度センサ用とデジタル制御水晶
発振器用の振動部を一体形成でき、しかもそれぞれの振
動部を目的に応じた最適な温度特性に別個に設定できる
ので、小型,安価で、しかも低ビット数でも高精度の温
度補償ができるデジタル温度補償水晶発振器を実現でき
る。
【0131】また、前記第22の実施例では、第1の振
動部312の振動子311は前記第10の実施例(図1
3)に示す3枚の水晶片(191,192,193)を
張り合わせた水晶片197を構成しており、第20およ
び第21の実施例に比べてより安定度の高い共振周波数
−温度特性とすることができ、より高精度、低ビット化
したデジタル温度補償水晶発振器を得ることができる。
【0132】また、第23の実施例では、2つの第1,
第2の振動部322,323の間に、両振動部いずれの
厚みより薄い領域を設けているので、両振動部それぞれ
に発生する弾性振動間のアイソレーションを高くするこ
とができる。なお、本発明の第23の実施例において
は、2つの第1,第2の振動部の間の厚みが両振動部い
ずれの厚みよりも薄くなるように構成したが、必ずしも
薄くする必要はなく、本発明の第14の実施例(図1
7)に記載した水晶振動子のように2つの振動部23
4,235の間の直接接合部236の厚みを、両振動部
234,235の厚みより厚くした場合でも同様の効果
が得られる。
【0133】(第24の実施例) 図27は、本発明の第24の実施例(請求項11記載の
発明)のデジタル温度補償水晶発振器の構成を示すブロ
ック図である。図27において、331は本発明の第1
1の実施例(図14)に示したような単体で任意の共振
周波数と温度特性をもった3つの振動を取り出せる水晶
振動子である。332,333および334は水晶振動
子331上に形成された3つの第1,第2および第3の
振動部である。335は第1の振動部332と第1の発
振回路294および可変リアクタンス回路295からな
るデジタル制御水晶発振器であり、336は第2の振動
部333と第2の発振回路299からなる第1の温度セ
ンサであり、337は第3の振動部334と第3の発振
回路338からなる第2の温度センサである。ここで、
第2,第3の振動部333および334が容易に温度検
知できるような共振周波数−温度特性をもち、かつ第1
の振動部332が安定な共振周波数−温度特性をもつよ
うに、水晶振動子331を構成している2枚の水晶片は
切り出し角度,厚みおよび結晶軸関係が設定され、直接
接合されている。
【0134】以上のように本発明の第24の実施例によ
れば、本発明の前記第20から第23の各実施例の効果
に加えて、第1,第2の温度センサ336および337
の両方を用いて温度検知を行うので、より精度良く温度
検知が行える。
【0135】なお、本発明の第24の実施例において、
励振電極は4組以上設けてもよく、4組以上の励振電極
を形成した場合でも同様の効果が得られる。
【0136】また、本発明の前記第20から第24の各
実施例において水晶片の切り出し角度,厚み,形状およ
び枚数の限定は一切なく、振動部が所望の特性をもつよ
うに自由に設定することができる。また、張り合わせた
際の結晶軸の関係についても所望の特性が得られるよう
に自由に設定することができる。また、A/D変換器と
しては周波数カウンタなどを用いることができる。さら
に、可変リアクタンス回路としては、例えば、D/A変
換器と可変容量ダイオードを用いて、D/A変換器の出
力電圧を可変容量ダイオードに印加する方法や、デジタ
ル信号によるスイッチングで直接容量値を変化させる方
式などを用いることができる。
【0137】(第25,26の実施例) 以下、本発明の第25および第26の実施例(請求項1
2記載の発明)について、図面を参照しながら説明す
る。
【0138】図28は、第25の実施例の水晶フィルタ
の構造を示したものであり、(a)は平面図、(b)は
側面図である。図28において、341と342は水晶
片、344,345,346および347は電極であ
る。水晶片341と342は周波数温度特性が互いに打
ち消し合うように所望の切り出し角度および所望の厚み
を有しており、しかもそれぞれの結晶軸が所望の角度を
もって交わるように直接接合されて張り合わせ水晶片3
43となっている。電極344と345および346と
347は張り合わせ水晶片343を介して対向設置され
ている。
【0139】以上のように構成された水晶フィルタにつ
いて、以下その動作を説明する。
【0140】電極344と345および346と347
それぞれのいずれか一方の電極は通常接地される。例え
ば、電極345と347を接地し、電極344を入力端
子,電極346を出力端子としたとき、電極344に電
気信号を入力すると、張り合わせ水晶片343はその厚
みや弾性定数で決まる周波数で共振する。この共振は張
り合わせ水晶片343中を機械的に伝達し、その結果、
電極346と347との間に電界が発生し、電極346
から電気信号を取り出せる。すなわち、張り合わせ水晶
片343の厚みや弾性定数で決まる共振周波数の帯域通
過フィルタとなる。さらに、張り合わせ水晶片343は
周波数温度特性が互いに打ち消し合うような水晶片34
1と342を張り合わせて構成されているので、温度に
対して共振周波数が安定している。
【0141】以上のように本第25の実施例によれば、
異なる周波数−温度特性を有する2枚の水晶片を、介在
物なしに直接接合した張り合わせ水晶片を介して電極を
対向設置しているので、周波数温度特性の安定した水晶
フィルタを実現することができる。
【0142】図29は、第26の実施例の水晶フィルタ
の構造を示したものであり、(a)は平面図、(b)は
側面図である。図29において、348は電極である。
第26の実施例の動作は前記第25の実施例(図28)
と同様であるが、接地する電極を電極348に一つにま
とめることによって構造および組み立てを簡単にしたも
のである。
【0143】(第27の実施例) 図30は、本発明の第27の実施例(請求項13記載の
発明)の水晶フィルタの構造を示すものであり、(a)
は平面図、(b)は側面図である。図30において、3
49および350は水晶片、351,352および35
3は電極である。両面に電極352と353が対向して
形成された水晶片350と片面に電極351が形成され
た水晶片349が、水晶片349を介して電極351と
352が対向するように、電極352を介さない部分で
直接接合されている。
【0144】以上のように構成された水晶フィルタにつ
いて、以下その動作を説明する。通常、電極352は接
地され、電極351と353が電気信号を入出力する電
極になる。例えば、電極351に電気信号を入力する
と、水晶片350はその寸法や弾性定数で決まる周波数
で共振する。水晶片349と350は直接接合されてい
るので、この共振は機械的に水晶片349に伝達し、電
極351と352の間に電界が発生し、電極353から
電気信号を出力する。
【0145】以上のように本第27の実施例によれば、
電極を挾んで2つの水晶振動子を直接接合することによ
って、共振を立体的に結合させることができるので小型
の水晶フィルタを実現することができる。
【0146】(第28の実施例) 図31は、本発明の第28の実施例(請求項14記載の
発明)の水晶フィルタの構造を示すものであり、(a)
は平面図、(b)は側面図である。図31において、3
55,356,357および358は水晶片である。水
晶片355と356および357と358はそれぞれ周
波数特性が互いに打ち消し合うように、所望の切り出し
角度および所望の厚みを有しており、しかも結晶軸が所
望の角度をもって交わるように、それぞれ直接接合され
て張り合わせ水晶片359および360となっている。
本実施例の動作は、前記第27の実施例(図30)と同
様であるが、図30における水晶片349と350の代
わりに張り合わせ水晶片359と360を用いているの
で、前記第25の実施例(図28)と同様に安定した周
波数温度特性を得ることができる。
【0147】なお、前記第25から第28の各実施例に
おいて、水晶片および電極の形状は方形としたが、円形
など任意の形状を用いてもよい。また、水晶片の枚数,
切り出し角度,厚みおよび直接接合する際の結晶軸関係
についての限定は一切ない。さらに、電極の数,パター
ン形状,組成および厚みについての限定は一切ない。
【0148】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、異なる周
波数−温度特性を有する少なくとも2枚の水晶片を介在
物なしに直接接合した張り合わせ水晶片を介して、励振
電極を対向設置することにより、広い温度範囲において
共振周波数の安定な水晶振動子を実現できる。
【0149】
【0150】
【0151】また、異なる周波数−温度特性を有する少
なくとも2枚の水晶片を介在物なしに直接接合した張り
合わせ水晶片を介して、励振電極を対向設置した構成の
水晶振動子を共振素子として用いることにより、広い温
度範囲にわたって出力周波数の安定な水晶発振器および
小型,低消費電流,高精度で低価格なアナログもしくは
デジタル温度補償水晶発振器が実現できる。
【0152】
【0153】また、異なる周波数−温度特性を有する少
なくとも2枚の水晶片を介在物なしに直接接合した張り
合わせ水晶片を介して、少なくとも2組の対向電極を形
成した構成にすることによって、周波数−温度特性の安
定した水晶フィルタを実現できる。
【0154】また、少なくとも2枚以上の水晶片と前記
水晶片の枚数よりも1つ多い電極を交互に重ね合わせ、
かつ前記それぞれの電極を介して対向している前記それ
ぞれの水晶片が、電極を介在しない部分で直接接合した
構成にすることによって、小型の水晶フィルタを実現で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用する水晶片の直接接合方法
の第1の例を示すフローチャートである。
【図2】本発明において使用する水晶片の直接接合方法
の第2の例を示すフローチャートである。
【図3】本発明において使用する水晶片の直接接合方法
の第3の例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施例における水晶振動子の側
面図(a)と平面図(b)と張り合わせ水晶片の共振周
波数−温度特性の一例を示す図(c)である。
【図5】本発明の第2の実施例における水晶振動子の側
面図(a)と平面図(b)である。
【図6】本発明の第3の実施例における水晶振動子の側
面図(a)と平面図(b)である。
【図7】本発明の第4の実施例における水晶振動子の側
面図(a)と平面図(b)である。
【図8】本発明の第5の実施例における水晶振動子の側
面図(a)と平面図(b)である。
【図9】本発明の第6の実施例における水晶振動子の側
面図(a)と平面図(b)である。
【図10】本発明の第7の実施例における水晶振動子の
側面図(a)と平面図(b)である。
【図11】本発明の第8の実施例における水晶振動子の
側面図(a)と平面図(b)である。
【図12】本発明の第9の実施例における水晶振動子の
構造を示す側面図である。
【図13】本発明の第10の実施例における水晶振動子
の構造を示す側面図である。
【図14】本発明の第11の実施例における水晶振動子
の構造を示す側面図である。
【図15】本発明の第12の実施例における水晶振動子
の構造を示す側面図である。
【図16】本発明の第13の実施例における水晶振動子
の構造を示す側面図である。
【図17】本発明の第14の実施例における水晶振動子
の構造を示す側面図である。
【図18】本発明の第15の実施例における水晶発振器
の回路図である。
【図19】本発明の第16の実施例におけるアナログ温
度補償水晶発振器の回路図である。
【図20】本発明の第17の実施例におけるデジタル温
度補償水晶発振器の構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の第18の実施例におけるデジタル温
度補償水晶発振器の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第19の実施例におけるデジタル温
度補償水晶発振器の構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の第20の実施例におけるデジタル温
度補償水晶発振器の構成を示すブロック図である。
【図24】本発明の第21の実施例におけるデジタル温
度補償水晶発振器の構成を示すブロック図である。
【図25】本発明の第22の実施例におけるデジタル温
度補償水晶発振器の構成を示すブロック図である。
【図26】本発明の第23の実施例におけるデジタル温
度補償水晶発振器の構成を示すブロック図である。
【図27】本発明の第24の実施例におけるデジタル温
度補償水晶発振器の構成を示すブロック図である。
【図28】本発明の第25の実施例における水晶フィル
タの構造を示す平面図(a)とその側面図(b)であ
る。
【図29】本発明の第26の実施例における水晶フィル
タの構造を示す平面図(a)とその側面図(b)であ
る。
【図30】本発明の第27の実施例における水晶フィル
タの構造を示す平面図(a)とその側面図(b)であ
る。
【図31】本発明の第28の実施例における水晶フィル
タの構造を示す平面図(a)とその側面図(b)であ
る。
【図32】従来の水晶振動子の構成の各例を示す要部側
面図である。
【図33】従来のATカット水晶片の共振周波数−温度
特性を示す図である。
【図34】従来のアナログ方式の温度補償水晶発振器の
代表的な構成を示す図である。
【図35】従来のデジタル方式の温度補償水晶発振器の
代表的な構成を示す図である。
【図36】従来の水晶フィルタの構造を示す斜視図
(a)とそのa−a′断面図(b)である。
【符号の説明】
101,102,111,112,113,121,1
22,131,132,141,142,151,15
2,153,161,162,163,171,17
2,181,182,191,192,193,20
1,202,211,212,213,221,22
2,223,224,231,232,233,34
1,342,349,350,355,356,35
7,358,401,403,431…水晶片、 10
3,114,123,133,143,154,16
4,173,184,185,195,196,20
4,205,206,216,217,227,22
8,237,238,402,404…励振電極、 1
04,115,124,137,147,158,16
8,174,186,197,207,218,22
9,239,343,359,360…張り合わせ水晶
片、 134,135,144,145,155,15
6,165,166,175,176…支持部、 13
6,146,157,167,177,292,29
3,302,303,312,313,322,32
3,332,333,334…振動部、 183,19
4,203,214,215,225,226,23
4,235,236…直接接合部、 241,251,
261,271,281,291,301,311,3
21,331,413,426…水晶振動子、 24
2,253,262,294,299,338,41
1,425…発振回路、 243,254,412…出
力端子、 252,414…温度補償回路、 263,
295,424…温度補償回路、 263,295,4
24…可変リアクタンス回路、 264,275,28
5,297,423…記憶装置、 265,274,2
98,422…A/D変換器、 266,273,30
0,305,315,325,336,337,421
…温度センサ、 267,296,304,314,3
24,335,427…デジタル制御水晶発振器、 2
72,282,283…水晶発振器、 276,286
…プログラマブル分周器、 284…周波数カウンタ、
344,345,346,347,348,351,
352,353,432,433,434…電極、 X
…水晶結晶のX軸、 Y…水晶結晶のY軸、 Z…水晶
結晶のZ軸、 P…水晶片の板面の法線、 θ,φ,ξ
…各結晶軸のなす角度。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平4−31669 (32)優先日 平成4年2月19日(1992.2.19) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−44772 (32)優先日 平成4年3月2日(1992.3.2) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−113526 (32)優先日 平成4年5月6日(1992.5.6) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 石崎 俊雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭49−3667(JP,A) 特開 昭50−147295(JP,A) 特開 昭63−285195(JP,A) 特公 昭62−27040(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 3/00 H03B 5/32 H03H 9/19 H03H 9/205 H01L 21/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所望の切り出し角度および所望の厚みを
    有する少なくとも2つの水晶片の接合面を、それぞれ、
    鏡面研磨して、洗浄液で十分に洗浄して汚染物を完全に
    取り除いた上、加熱乾燥して、前記接合面に水素結合し
    ている水分子を取り除くことにより、平滑,平坦にしか
    つ水酸基によって終端した後、介在物なしに接触させ
    て、前記接合面の前記水酸基の間で作用する結合力によ
    って接合した上、水晶結晶が相転移しない温度範囲内で
    熱処理して、さらに強い結合力で直接接合することを特
    徴とする水晶片の直接接合方法。
  2. 【請求項2】 周波数−温度特性が異なる少なくとも2
    つの水晶片を介在物なしに厚み方向に積層して請求項1
    記載の水晶片の直接接合方法により接合した水晶片と、
    該接合した水晶片の厚み方向に対向設置した励振電極と
    からなり、該励振電極に電界を加えると、前記接合した
    水晶片が振動することを特徴とする水晶振動子。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の水晶振動子を共振素子と
    して用いることを特徴とする水晶発振器。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の水晶片の直接接合方法に
    より接合した水晶片に少なくとも2対の対向電極を厚み
    方向にそれぞれ対向設置し、一方の対の前記対向電極か
    ら電気信号を入力すると、他方の対の前記対向電極から
    特定の周波数成分の電気信号を出力することを特徴とす
    る水晶フィルタ。
JP26160192A 1991-10-02 1992-09-30 水晶片の直接接合方法ならびにその方法を用いてなる水晶振動子,水晶発振器および水晶フィルタ Expired - Lifetime JP3248630B2 (ja)

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