JP2003273702A - 水晶ユニット、その製造方法と水晶発振器 - Google Patents

水晶ユニット、その製造方法と水晶発振器

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JP2003273702A
JP2003273702A JP2002383549A JP2002383549A JP2003273702A JP 2003273702 A JP2003273702 A JP 2003273702A JP 2002383549 A JP2002383549 A JP 2002383549A JP 2002383549 A JP2002383549 A JP 2002383549A JP 2003273702 A JP2003273702 A JP 2003273702A
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electrode
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宏文 川島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】等価直列抵抗Rが小さく、品質係数Q値が高
い超小型の音叉形状の屈曲水晶振動子を具えた水晶ユニ
ットとその製造方法と基本波モード振動の周波数で出力
信号が高い周波数安定性を有する水晶発振器を提供する
事にある。 【解決手段】 音叉腕と音叉基部とを具えて構成され、
前記音叉腕又は前記音叉腕と前記音叉基部の上下面に溝
又は貫通穴を設け、これらの溝又は貫通穴の側面部に電
極を配置し、その電極に対抗して音叉腕の側面に極性の
異なる電極を配置した音叉形状の屈曲水晶振動子で、か
つ、基本波モード振動のフイガーオブメリットが高調波
モード振動のフイガーオブメリットより大きくなるよう
に水晶ユニットは構成されている。と同時に、更に、増
幅回路の増幅率と帰還回路の帰還率との関係により、出
力信号が基本波モードの周波数である水晶発振器が高精
度で実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は屈曲モードで振動す
る音叉腕と音叉基部から成る音叉形状の水晶振動子とケ
ースと蓋から構成される水晶ユニットとその製造方法と
増幅回路と帰還回路から成る水晶発振器に関する。特
に、小型化、高精度化、耐衝撃性、低廉化の要求の強い
情報通信機器用の基準信号源として最適な水晶ユニット
と水晶発振器で、新形状、新電極構成及び最適寸法を有
する超小型の音叉形状の屈曲水晶振動子から構成される
水晶ユニットと、基本波モード振動の周波数が出力信号
である水晶発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の水晶ユニットはケースと蓋と音叉
腕の上下面と側面に電極が配置された音叉型屈曲水晶振
動子から構成され、又、水晶発振器は増幅器とコンデン
サーと抵抗と音叉腕の上下面と側面に電極が配置された
音叉型屈曲水晶振動子から成る水晶発振器がよく知られ
ている。図9には、この従来例の水晶ユニットと水晶発
振器に用いられている音叉形状の屈曲水晶振動子200
の概観図を示す。図9において水晶振動子200は2本
の音叉腕201,202と音叉基部230とを具えてい
る。図10には図9の音叉腕の断面図を示す。図10に
示すように、励振電極は音叉腕の上下面と側面に配置さ
れている。音叉腕の断面形状は一般的には長方形をして
いる。一方の音叉腕の断面の上面には電極203が下面
には電極204が配置されている。側面には電極205
と206が設けられている。他方の音叉腕の上面には電
極207が下面には電極208が、更に側面には電極2
09,210が配置され2電極端子H−H′構造を成し
ている。今、H−H′間に直流電圧を印加すると電界は
矢印方向に働く。その結果、一方の音叉腕が内側に曲が
ると他方の音叉腕も内側に曲がる。この理由は、x軸方
向の電界成分Exが各音叉腕の内部で方向が反対になる
ためである。交番電圧を印加することにより振動を持続
することができる。又、特開昭56−65517と特開
2000−223992(P2000−223992
A)では、音叉腕に溝を設け、且つ、電極構成について
開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】音叉型屈曲水晶振動子
では、電界成分Exが大きいほど損失等価直列抵抗R
が小さくなり、品質係数Q値が大きくなる。しかしなが
ら、従来から使用されている音叉型屈曲水晶振動子は、
図10で示したように、各音叉腕の上下面と側面の4面
に電極を配置している。そのために電界が直線的に働か
ず、かかる音叉型屈曲水晶振動子を小型化させると、電
界成分Exが小さくなってしまい、損失等価直列抵抗R
が大きくなり、品質係数Q値が小さくなるなどの課題
が残されていた。同時に、時間基準として高精度な、即
ち、高い周波数安定性を有し、高調波モード振動を抑え
た屈曲水晶振動子を得ることが課題として残されてい
た。又、前記課題を解決する方法として、例えば、特開
昭56−65517では音叉腕に溝を設け、且つ、溝の
構成と電極構成について開示している。しかしながら、
溝の構成、寸法と振動モード並びに基本波モード振動で
の等価直列抵抗Rと高調波モード振動での等価直列抵
抗Rとの関係及び周波数安定性に関係するフィガーオ
ブメリットMについては全く開示されていない。と同時
に、前記溝を設けた振動子を従来の回路に接続し、水晶
発振回路を構成すると、基本波振動モードの出力信号が
衝撃や振動などの影響で出力信号が高調波モード振動の
周波数に変化、検出される等の問題が発生していた。こ
のようなことから、衝撃や振動を受けても、それらの影
響を受けない高調波モード振動を抑えた基本波モードで
振動する音叉形状の屈曲水晶振動子を具えた水晶ユニッ
トと水晶発振器が所望されていた。更に、水晶発振器の
消費電流を低減するために、負荷容量Cを小さくする
と高調波モードの振動がし易くなり、基本波モード振動
の出力周波数が得られない等の課題が残されていた。そ
れ故、基本波モードで振動する超小型で、等価直列抵抗
の小さい、品質係数Q値が高くなるような新形状
で、電気機械変換効率の良い溝の構成と電極構成を有す
る音叉形状の屈曲水晶振動子を具え、出力信号が基本波
モード振動の周波数で、高い周波数安定性(高い時間精
度)を有し、消費電流の少ない水晶発振器が所望されて
いた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の方法で
従来の課題を有利に解決した屈曲モードで振動する音叉
形状の水晶振動子を具えた水晶ユニットとその製造方法
と水晶発振器を提供することを目的とするものである。
【0005】即ち、本発明の水晶ユニットの第1の態様
は、水晶振動子とケースと蓋とを具えて構成される水晶
ユニットで、前記水晶振動子は屈曲モードで振動する音
叉腕と音叉基部から成る音叉形状の屈曲水晶振動子で構
成され、かつ、前記音叉形状の屈曲水晶振動子は表面実
装型あるいは円筒型のユニットに収納されていて、前記
音叉腕は上面と下面と側面とを有し、前記音叉形状の音
叉腕に溝が設けられ、前記溝の側面に電極が配置され、
前記溝側面の電極とその電極に対抗する音叉腕側面の電
極とが互いに異極で、かつ、前記音叉腕が逆相で振動す
るように溝と電極を構成し、前記音叉形状の屈曲水晶振
動子の基本波モード振動のフイガーオブメリットM
高調波モード振動のフイガーオブメリットMより大き
い振動子を具えて構成されている水晶ユニットである。
【0006】本発明の水晶ユニットの製造方法の第1の
態様は、水晶振動子とケースと蓋とを具えて構成される
水晶ユニットの製造方法であって、前記水晶振動子は屈
曲モードで振動する音叉腕と音叉基部から成る音叉形状
の屈曲水晶振動子で構成され、前記音叉腕は上面と下面
と側面とを有し、前記音叉形状の音叉腕に溝が設けら
れ、前記溝の側面に電極が配置され、前記溝側面の電極
とその電極に対抗する音叉腕側面の電極とが互いに異極
で、かつ、前記音叉腕が逆相で振動するように溝と電極
を有する音叉形状の屈曲水晶振動子を水晶ウエハに形成
する工程、と前記音叉形状の屈曲水晶振動子は表面実装
型あるいは円筒型のユニットに収納する工程、と前記水
晶ウエハに形成された音叉形状の屈曲水晶振動子が良振
動子か不良振動子かをウエハの状態で検査する工程、と
を有し、前記音叉形状の屈曲水晶振動子が不良振動子の
場合、前記不良振動子をウエハから取り除くか又は前記
不良振動子にマーキングするか又は前記不良振動子をコ
ンピュターに記憶するかの工程からなる事を特徴とする
水晶ユニットの製造方法である。
【0007】本発明の水晶発振器の第1の態様は、増幅
回路と帰還回路から構成されていて、増幅回路は少なく
とも増幅器から構成され、帰還回路は少なくとも水晶振
動子とコンデンサーから構成されている水晶発振器で、
前記水晶振動子は屈曲モードで振動する音叉腕と音叉基
部から成る音叉形状の屈曲水晶振動子で構成され、前記
音叉腕は上面と下面と側面とを有し、前記音叉形状の音
叉腕に溝が設けられ、前記溝の側面に電極が配置され、
前記溝側面の電極とその電極に対抗する音叉腕側面の電
極とが互いに異極で、かつ、前記音叉腕が逆相で振動す
るように溝と電極を構成し、前記音叉形状の屈曲水晶振
動子は表面実装型あるいは円筒型のユニットに収納され
ていて、前記音叉形状の屈曲水晶振動子の基本波モード
振動のフイガーオブメリットMが高調波モード振動の
フイガーオブメリットMより大きい屈曲水晶振動子を
具えて前記水晶発振器は構成されると共に、増幅回路の
基本波モード振動の増幅率αと高調波モード振動の増
幅率αとの比が帰還回路の高調波モード振動の帰還率
βと基本波モード振動の帰還率βとの比より大き
く、かつ、基本波モード振動の増幅率αと基本波モー
ド振動の帰還率βの積が1より大きくなるように前記
水晶発振器は構成されていて、前記音叉形状の屈曲水晶
振動子を具えて構成された前記水晶発振器の出力信号が
基本波モード振動の周波数を有する水晶発振器である。
【0008】
【作用】このように、本発明は屈曲モードで振動する音
叉形状の水晶振動子を具えた水晶ユニットとその製造方
法と水晶発振器で、しかも、音叉形状の溝と電極の構成
を改善し、増幅回路と帰還回路との関係を示すことによ
り、高調波振動を抑え、基本波振動モードで振動する周
波数を出力する水晶発振器を得る事ができる。
【0009】加えて、音叉腕の中立線を挟んだ(含む)
中央部に溝を設け、且つ、電極を配置し、溝の寸法の最
適化を図る事により、等価直列抵抗Rが小さく、Q値
が高く、電気機械変換効率の良い屈曲モードで振動する
超小型の音叉形状の屈曲水晶振動子が得られる。と同時
に、帰還回路の負荷容量を小さくできる。その結果、消
費電流の少ない水晶発振器が得られる。
【0010】
【本発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に
基づき具体的に述べる。図1は本発明の水晶発振器を構
成する水晶発振回路図の一実施例である。本実施例で
は、水晶発振回路1は増幅器(CMOSインバータ)
2、帰還抵抗4、ドレイン抵抗7、コンデンサー5,6
と音叉形状の屈曲水晶振動子3から構成されている。即
ち、水晶発振回路1は、増幅器2と帰還抵抗4から成る
増幅回路8とドレイン抵抗7、コンデンサー5,6と屈
曲水晶振動子3から成る帰還回路9から構成されてい
る。詳細には、本発明の水晶発振器は、増幅回路と帰還
回路から構成されていて、増幅回路は少なくとも増幅器
から構成され、帰還回路は少なくとも音叉形状の屈曲水
晶振動子とコンデンサーから構成されている。又、本発
明の水晶発振器と水晶ユニットに用いられる音叉形状の
屈曲水晶振動子は図3から図6で詳述される。
【0011】図2は図1の帰還回路図を示す。今、屈曲
モードで振動する音叉形状の水晶振動子の角周波数をω
、ドレイン抵抗7の抵抗をR、コンデンサー5、6
の容量をC、C、水晶のクリスタルインピーダンス
をRei,入力電圧をV,出力電圧をVとすると、
帰還率βはβ=|V/|Vで定義され
る。但し、iは屈曲振動モードの振動次数を表し、例え
ば、i=1のとき、基本波モード振動、i=2のとき、
2次高調波モード振動、i=3のとき、3次高調波モー
ド振動である。即ち、i=nのとき、n次高調波モード
振動であるが、以下単に、高調波モード振動と言う。更
に、負荷容量CはC=C/(C+C)で
与えられ、C=C=CgsとRd>>Reiとする
と、帰還率βはβ=1/(1+kC )で与えら
れる。但し、kはω、R、Reiの関数で表され
る。又、Reiは近似的に等価直列抵抗Rに等しくな
る。
【0012】このように、帰還率βと負荷容量C
の関係から、負荷容量Cが小さくなると、基本波振動
モードと高調波振動モードの共振周波数の帰還率はそれ
ぞれ大きくなることが良く分かる。それ故、負荷容量C
が小さくなると、基本波モード振動よりも高調波モー
ド振動の方が発振し易くなる。その理由は高調波モード
振動の最大振動振幅が基本波モード振動の最大振動振幅
より小さいために、発振持続条件である振幅条件と位相
条件を同時に満足するためである。
【0013】本発明の水晶発振器は、消費電流が少な
く、しかも、出力周波数が高い周波数安定性(高い時間
精度)を有する、基本波モード振動の周波数である水晶
発振器を提供することを目的としている。それ故、消費
電流を少なくするために、本実施例では、負荷容量C
は10pF以下を用いる。より消費電流を少なくするに
は、消費電流は負荷容量に比例するので、C=8pF
以下が好ましい。ここで言う、容量C、Cは回路の
浮遊容量を含まない数値であるが、実際には、回路構成
により浮遊容量が存在する。それ故、本実施例では、こ
の回路構成による浮遊容量を含んだ負荷容量Cは18
pF以下を用いる。また、高調波モードの振動を抑え、
発振器の出力信号が基本波モード振動の周波数を得るた
めに、α/α>β/βとαβ>1を満足す
るように本実施例の水晶発振回路は構成される。但し、
α、αは基本波モード振動と高調波モード振動の増
幅回路の増幅率で、β、βは基本波モード振動と高
調波モード振動の帰還回路の帰還率である。即ち、n=
2、3のとき、それぞれ、2次、3次高調波モード振動
である。
【0014】換言するならば、増幅回路の基本波モード
振動の増幅率αと高調波モード振動の増幅率αとの
比が帰還回路の高調波モード振動の帰還率βと基本波
モード振動の帰還率βとの比より大きく、かつ、基本
波モード振動の増幅率αと基本波モード振動の帰還率
βの積が1より大きくなるように構成される。このよ
うな構成により、消費電流の少ない、出力信号が基本波
モード振動の周波数である水晶発振器が実現できる。
尚、前記周波数とは、屈曲水晶振動子の基準周波数、又
はそれの分周された周波数である。更に、高い周波数安
定性については後述される。又、出力信号はバッフアを
介して回路のドレイン側から出力される。
【0015】又、本実施例の水晶発振回路を構成する増
幅回路の増幅部は負性抵抗−RLでその特性を示すこ
とができる。i=1のとき基本波モード振動の負性抵抗
で、i=nのとき高調波モード振動の負性抵抗である。
即ち、n=2,3の時、2次、3次高調波モード振動の
負性抵抗である。本実施例の水晶発振器は、増幅回路の
基本波モード振動の負性抵抗の絶対値|−RL|と基
本波モード振動の等価直列抵抗Rとの比が増幅回路の
高調波モード振動の負性抵抗の絶対値|−RL|と高
調波モード振動の等価直列抵抗Rとの比より大きくな
るように発振回路が構成されている。即ち、|−RL
/R>|−RL|/Rを満足するように構成され
ている。このように水晶発振回路を構成することによ
り、高調波モード振動の発振起動が抑えられ、その結
果、基本波モード振動の発振起動が得られるので基本波
モード振動の周波数が出力信号として得られる。
【0016】図3は本発明の第1実施例の水晶ユニット
又は水晶発振器に用いられる屈曲モードで振動する音叉
形状の屈曲水晶振動子10の外観図とその座標系を示す
ものである。座標系O、電気軸x、機械軸y、光軸zか
らなるO−xyzを構成している。本実施例の音叉形状
の屈曲水晶振動子10は音叉腕20、音叉腕26と音叉
基部40とから成り、音叉腕20と音叉腕26は音叉基
部40に接続されている。また、音叉腕20と音叉腕2
6はそれぞれ上面と下面と側面とを有する。更に、音叉
腕20の上面には中立線を挟んで、即ち、中立線を含む
ように溝21が設けられ、又、音叉腕26の上面にも音
叉腕20と同様に溝27が設けられるとともに、さら
に、音叉基部40に溝32と溝36とが設けられてい
る。なお、角度θは、x軸廻りの回転角であり、通常0
〜10°の範囲で選ばれる。又、音叉腕20、26の下
面にも上面と同様に溝が設けられている。
【0017】図4は、図3の音叉形状の屈曲水晶振動子
10の音叉基部40のD−D′断面図を示す。図4では
図3の水晶振動子の音叉基部40の断面形状並びに電極
配置について詳述する。音叉腕20と連結する音叉基部
40には溝21,22が設けられている。同様に、音叉
腕26と連結する音叉基部40には溝27,28が設け
られている。更に、溝21と溝27との間には更に溝3
2と溝36とが設けられている。又、溝22と溝28と
の間にも溝33と溝37とが設けられている。そして、
溝21と溝22には電極23,24が、溝32,33,
36,37には電極34,35,38,39が、溝27
と溝28には電極29,30が配置され、音叉基部40
の両側面には電極25,31が配置されている。詳細に
は、溝の側面に電極が配置され、前記電極に対抗して極
性の異なる電極が配置されている。
【0018】また、音叉形状の屈曲水晶振動子10は厚
みtを有し、溝は厚みtを有している。ここで言う厚
みtは溝の一番深いところの厚みを言う。その理由は
水晶は異方性の材料のために、化学的エッチング法では
各結晶軸の方向によりエッチングスピードが異なる。そ
れ故、化学的エッチング法では溝の深さにバラツキが生
じ、図4に示した一様な形状に加工するのが極めて難し
いためである。本実施例では、溝の厚みtと音叉腕又
は音叉腕と音叉基部の厚みtとの比(t/t)が
0.79より小さくなるように、好ましくは、0.01
〜0.79となるように溝が音叉腕又は音叉腕と音叉基
部に形成されている。特に、音叉基部の歪みを大きくす
るために、音叉基部の溝の厚みと音叉基部の厚みの比を
0.01〜0.025にする事が好ましい。このように
形成することにより、音叉腕又は音叉腕と音叉基部の溝
側面電極とそれに対抗する側面の電極との間の電界Ex
が大きくなる。すなわち、電気機械変換効率の良い屈曲
振動子が得られる。即ち、容量比の小さい音叉形状の屈
曲水晶振動子が得られる。更に、本実施例では、音叉基
部の溝と溝との間にさらに溝32,33,36,37が
設けられているので、その電界強度はより一層大きくな
り、より電気機械変換効率が良くなる。又、本実施例で
は、音叉基部40の上面に溝32,36が、下面に溝3
3,37が設けられているが、片面にのみ設けても良
い。
【0019】更に、電極25,29,30,34,35
は一方の同極に、電極23,24,31,37,38,
39は他方の同極になるように配置されていて、2電極
端子構造E−E′を構成する。即ち、z軸方向に対抗す
る溝電極は同極に、且つ、x軸方向に対抗する電極は異
極になるように構成されている。今、2電極端子E−
E′に直流電圧を印加(E端子に正極、E′端子に負
極)すると電界Exは図4に示した矢印のように働く。
電界Exは水晶振動子の側面と溝内の側面とに配置され
た電極により電極に垂直に、即ち、直線的に引き出され
るので、電界Exが大きくなり、その結果、発生する歪
の量も大きくなる。従って、音叉形状の屈曲水晶振動子
を小型化させた場合でも、等価直列抵抗Rの小さい、
品質係数Q値の高い屈曲モードで振動する音叉形状の水
晶振動子が得られる。
【0020】図5は図3の音叉形状の屈曲水晶振動子1
0の上面図を示すものである。図5では溝21,27の
配置及び寸法について特に詳述する。音叉腕20の中立
線41を挟むようにして溝21が設けられている。他方
の音叉腕26も中立線42を挟むようにして溝27が設
けられている。更に、本実施例の音叉形状の屈曲水晶振
動子10では、音叉基部40の、溝21と溝27との間
に挟まれた部分にも溝32と溝36とが設けられてい
る。それら溝21,27及び溝32,36を設けたこと
で、音叉形状の屈曲水晶振動子10には、先に述べたよ
うに、電界Exが図4に示した矢印のように働き、電界
Exは水晶振動子の側面と溝内の側面とに配置された電
極により電極に垂直に、即ち、直線的に引き出され、特
に音叉基部の電界Exが大きくなり、その結果、発生す
る歪の量も大きくなる。このように、本実施例の音叉形
状の屈曲水晶振動子10の形状と電極構成とは、音叉型
屈曲水晶振動子を小型化した場合でも電気的諸特性に優
れた、即ち、等価直列抵抗Rの小さい、品質係数Q値
の高い水晶振動子が実現できる。
【0021】更に、部分幅W、Wと溝幅Wとする
と、音叉腕20,26の腕幅WはW= <Wとなるように構成される。又、溝幅WはW
≧W,Wを満足する条件で構成される。更に具体
的に述べると、本実施例では、溝幅Wと音叉腕幅Wと
の比(W/W)が0.35より大きく、1より小さく
なるように、好ましくは、0.35〜0.95で、溝の
厚みtと音叉腕の厚みt又は音叉腕と音叉基部の厚み
tとの比(t/t)が0.79より小さくなるよう
に、好ましくは、0.01〜0.79となるように溝が
音叉腕に形成されている。このように形成することによ
り、音叉腕の中立線41と42を基点とする慣性モーメ
ントが大きくなる。即ち、電気機械変換効率が良くなる
ので、等価直列抵抗Rの小さい、Q値の高い、しか
も、容量比の小さい音叉形状の屈曲水晶振動子を得る事
ができる。
【0022】これに対して、溝21および溝27の長さ
について本実施例では、溝21,27が音叉腕2
0,26から音叉基部40の長さlにまで延在し、基
部の溝の長さlとなるような寸法とされている。それ
故、音叉腕20,26に設けられた溝の長さは(l
)で与えられ、Rの小さい振動子を得るために、
(l−l)/(l−l)が0.4〜0.8の値を
有する。更に、音叉形状の屈曲水晶振動子10の全長l
は要求される周波数や収納容器の大きさなどから決定さ
れる。と共に、基本波モードで振動する良好な音叉形状
の屈曲水晶振動子を得るためには、溝の長さlと全長
lとの間には密接な関係が存在する。
【0023】すなわち、音叉腕20,26又は音叉腕2
0,26と音叉基部40に設けられた溝の長さlと音
叉形状の屈曲水晶振動子の全長lとの比(l/l)が
0.2〜0.78となるように溝の長さは設けられる。
このように形成する理由は、不要振動である高調波モー
ド振動、特に、2次、3次高調波モード振動を抑圧する
事ができると共に基本波モード振動の周波数安定性を高
めることができる。それ故、基本波モードで容易に振動
する良好な音叉形状の屈曲水晶振動子が実現できる。さ
らに詳述するならば、基本波モードで振動する音叉形状
の屈曲水晶振動子の等価直列抵抗Rが高調波モード振
動の等価直列抵抗Rより小さくなる。即ち、R<R
(n=2,3のとき、2次、3次高調波モード振動の
等価直列抵抗)となり、増幅器(CMOSインバー
タ)、コンデンサ、抵抗、本実施例の音叉形状の屈曲水
晶振動子等から成る水晶発振器において、振動子が基本
波モードで容易に振動する良好な水晶発振器が実現でき
る。又、溝の長さlは音叉腕の長さ方向に分割されて
いても良く、その中の少なくとも1個が前記辺比(l
/l)を満足すれば良いか、又は、分割された溝の長さ
方向の加えられた溝の長さが前記辺比(l/l)を満
足すれば良い。
【0024】また、この実施例では、音叉基部40は図
5中、振動子10の長さlの下側部分全体とされ、
又、音叉腕20及び音叉腕26は、図5中、振動子10
の長さlの部分から上側の部分全体とされている。本
実施例では音叉の叉部は矩形をしているが、本発明は前
記形状に限定されるものではなく、音叉の叉部がU字型
をしていても良い。この場合も矩形の形状と同じよう
に、音叉腕と音叉基部との寸法の関係は前記関係と同じ
である。更に、本実施例では、溝は音叉腕と音叉基部に
設けられているが、本発明はこれに限定されるものでな
く、音叉腕にのみ溝を設けても良く、同様の効果が得ら
れる。この場合、溝の長さl=0となる。また、本発
明で言う溝の長さlとは、音叉腕にのみ溝が設けられ
ている時には、溝幅Wと音叉腕幅Wとの比(W
W)が0.35より大きく、且つ、1より小さくなるよ
うに形成された溝の長さである。更に、前記音叉腕に設
けられた溝が、音叉基部にまで延在し、音叉基部に延在
した溝の間にさらに溝が設けられている時には、溝の長
さlを含む長さがlである。しかし、音叉腕の溝が
音叉基部に延在しているが、その溝の間にさらに溝が設
けられていない時には、長さlは音叉腕の溝の長さで
ある。
【0025】換言するならば、音叉形状の音叉腕の中立
線を挟んだ、即ち、中立線を含む音叉腕の上下面に各々
少なくとも1個の溝が長さ方向に設けられ、前記溝の両
側面に電極が配置され、前記溝側面の電極とその電極に
対抗する音叉腕側面の電極とが互いに異極となるように
構成されていて、音叉腕に生ずる慣性モーメントが大き
くなるように前記各々少なくとも1個の溝の内少なくと
も1個の溝幅Wと音叉腕幅Wとの比(W/W)が
0.35より大きく、1より小さく、且つ、前記溝の厚
みtと音叉腕の厚みtとの比(t/t)が0.79
より小さくなるように溝が形成されている。
【0026】更に、本実施例の音叉腕の間隔はWで与
えられ、間隔Wと溝幅WはW≧Wを満足するよ
うに構成され、間隔Wは0.05mm〜0.35mm
で、溝幅Wは0.03mm〜0.12mmの値を有す
る。このように構成する理由は超小型の屈曲水晶振動子
で、かつ、音叉形状と音叉腕の溝をフオトリソグラフィ
技術を用いて別々(別々の工程)に形成でき、更に、基
本波モード振動の周波数安定性が高調波モード振動の周
波数安定性より高くすることができる。この場合、厚み
tは通常0.05mm〜0.12mmの水晶ウエハが用
いられる。しかし、本発明は本実施例に限定されるもの
でなく、0.12mmより厚い水晶ウエハを使用しても
よい。
【0027】更に詳述するならば、屈曲水晶振動子の誘
導性と電気機械変換効率と品質係数を表すフイガーオブ
メリットMは品質係数Q値と容量比rの比(Q
/r)によって定義され(i=1のとき基本波振動、
i=2のとき2次高調波振動、i=3のとき3次高調波
振動)、屈曲水晶振動子の並列容量に依存しない機械的
直列共振周波数fと並列容量に依存する直列共振周波
数fの周波数差ΔfはフイガーオブメリットMに反
比例し、その値Mが大きい程Δfは小さくなる。従っ
て、Mが大きい程、屈曲水晶振動子の共振周波数は並
列容量の影響を受けないので、屈曲水晶振動子の周波数
安定性は良くなる。即ち、時間精度の高い音叉形状の屈
曲水晶振動子が得られる。
【0028】詳細には、前記音叉形状と溝と電極とその
寸法の構成により、基本波モード振動のフイガーオブメ
リットMが2次、3次高調波モード振動のフイガーオ
ブメリットM、Mより大きくなる。即ち、M>M
となる。但し、Mは高調波モード振動のフイガーオ
ブメリットである。一例として、基本波モード振動の周
波数が32.768kHzで、W/W=0.5、t
/t=0.34、l/1=0.48のとき、製造によ
るバラツキが生ずるが、音叉形状の屈曲水晶振動子のM
、M、MはそれぞれM>65、M<30、M
<18となる。即ち、高い誘導性と電気機械変換効率
の良い(等価直列抵抗Rの小さい)、品質係数の大き
い基本波モードで振動する屈曲水晶振動子を得ることが
できる。その結果、基本波モード振動の周波数安定性が
2次、3次高調波モード振動の周波数安定性より良くな
ると共に、2次、3次高調波モード振動を抑圧すること
ができる。また、本発明の基本波モード振動の基準周波
数は10kHz〜200kHzが用いられる。特に、3
2.768kHzは広く使用されている。
【0029】図6は本発明の第2実施例の水晶ユニット
又は水晶発振器に用いられる屈曲モードで振動する音叉
形状の水晶振動子45の上面図である。音叉形状の屈曲
水晶振動子45は、音叉腕46,47と音叉基部48と
を具えて構成されている。即ち、音叉腕46,47の一
端部が音叉基部48に接続されている。本実施例では、
音叉基部48に切り欠き部53、54が設けられてい
る。又、音叉腕46、47には中立線51、52を挟ん
で(含む)溝49、50が設けられている。更に、本実
施例では溝49、50は音叉腕46、47の一部に設け
られていて、溝49、50はそれぞれ幅Wと長さl
を有する。更に詳述するならば、溝の面積S=W×l
で示し、Sは0.025〜0.12mmの値を有す
るように構成される。このように溝の面積を構成する理
由は化学的エッチング法による溝の形成が容易で、しか
も、電気機械変換効率が良くなる溝の形成ができる。と
同時に、基本波モード振動の品質係数Q値の高い屈曲モ
ードで振動する音叉形状の水晶振動子が得られる。その
結果、前記水晶振動子を具えた水晶ユニットと出力信号
が基本波モード振動の周波数である水晶発振器が実現で
きる。
【0030】上記溝の面積Sでは、溝と音叉腕を別々の
工程で加工できる。しかし、音叉腕とそれに設けられた
溝を同時に加工するには、音叉腕の厚みtと溝幅W
音叉腕の間隔Wと面積Sを最適寸法にする必要が有
る。即ち、音叉腕の厚みtが0.06mm〜0.15m
mのとき、溝幅Wが0.02mm〜0.068mmの
範囲内に、更に、面積Sは0.023mm〜0.08
8mmの範囲内にあり、間隔Wは0.05mm〜
0.35mmとなるように構成される。このように構成
する理由は水晶の結晶性を利用し、その結晶性から貫通
穴でない溝(音叉腕の長さ方向に分割された溝を含む)
と音叉形状を同時に形成することができる。また、図6
には示されていないが、音叉腕46,47の下面にも溝
49,50と対抗する位置に溝が設けられている。
【0031】更に、音叉基部48に設けられた切り欠き
部53、54の音叉部側の幅寸法はWで与えられ、切
り欠き部53、54の端部側の寸法はWで与えられ
る。そして、音叉基部48の端部側で表面実装型のケー
スや円筒型のケースに半田や接着剤によって固定される
とき、振動子の振動エネルギーの損失を小さくするに
は、 振動部のエネルギー損失を小さくすることができる。図
6で示されている音叉腕の腕幅W、部分幅W、W
溝幅Wと間隔W及び溝の長さlと音叉振動子の全
長lとの関係は図5で述べられているので、ここでは省
略する。
【0032】図7は本発明の第3実施例の水晶ユニット
の断面図又は第3実施例の水晶発振器に用いられる水晶
ユニットの断面図である。水晶ユニット170は音叉形
状の屈曲水晶振動子70、ケース71と蓋72を具えて
構成されている。更に詳述するならば、振動子70はケ
ース71に設けられた固定部74に導電性接着剤76や
半田によって固定される。又、ケース71と蓋72は接
合部材73を介して接合される。本実施例では、振動子
70は図3と図6で詳細に述べられた屈曲モードで振動
する音叉形状の水晶振動子10、45の内の一個と同じ
振動子である。又、本実施例の水晶発振器では回路素子
は水晶ユニットの外側に接続される。即ち、音叉形状の
屈曲水晶振動子のみがユニット内に収納されている。こ
の時、屈曲水晶振動子は真空中のユニット内に収納され
ている。
【0033】更に、ケースの部材はセラミックスかガラ
ス、蓋の部材は金属かガラス、そして、接合部材は金属
か低融点ガラスでできている。又、本実施例で述べられ
た振動子とケースと蓋との関係は以下に述べられる図8
の水晶発振器にも適用される。
【0034】図8本発明の第4実施例の水晶発振器の断
面図を示す。水晶発振器190は水晶発振回路とケース
91と蓋92を具えて構成されている。本実施例では、
水晶発振回路はケース91と蓋92から成る水晶ユニッ
ト内に収納されている。又、水晶発振回路は音叉形状の
屈曲水晶振動子90と帰還抵抗を含む増幅器98とコン
デンサー(図示されていない)とドレイン抵抗(図示さ
れていない)を具えて構成されていて、増幅器98はC
MOSインバータが用いられる。
【0035】更に、本実施例では、振動子90はケース
91に設けられた固定部94に接着剤96や半田によっ
て固定される。これに対して、増幅器98はケース91
に固定されている。また、ケース91と蓋92は接合部
材93を介して接合されている。本実施例の振動子90
は図3と図6で詳細に述べられた音叉形状の屈曲水晶振
動子10、45の中の振動子が用いられる。
【0036】次に、本発明の水晶ユニットと水晶発振器
の製造方法について述べる。上記音叉形状の屈曲水晶振
動子は半導体の技術を用いたフオトリソグラフィ法と化
学的エッチング法によって形成される。まず、研磨加工
あるいはポリッシュ加工された水晶ウエハの上下面に金
属膜(例えば、クロムそしてその上に金)をスパッタリ
ング法又は蒸着法により形成する。次に、その金属膜の
上にレジストが塗布される。そして、フオトリソ工程に
より、それらレジストと金属膜が音叉形状を残して除去
された後、化学的エッチング法により、音叉腕と音叉基
部を具えた音叉形状が形成される。この音叉形状を形成
するときに、音叉基部に切り欠き部を形成しても良い。
更に、音叉形状の面上に前記工程で示した金属膜とレジ
ストが塗布され、フオトリソ工程と化学的エッチング法
により、音叉腕又は音叉腕と音叉基部に溝が形成され
る。
【0037】次に、溝を有する音叉形状に金属膜とレジ
ストが再び塗布されて、フオトリソ工程により、電極が
形成される。即ち、音叉腕の側面の電極と溝の側面の電
極は極性が異なるように対抗して配置される。さらに詳
述するならば、第1の音叉腕の側面電極と第2の音叉腕
の溝の電極は同極に、第1の音叉腕の溝の電極と第2の
音叉腕の側面電極は同極に構成され、第1の音叉腕の溝
の電極と側面電極は極性が異なるように構成される。即
ち。2電極端子が振動子に形成される。その結果、2電
極端子に交番電圧を印加する事により、音叉腕は逆相で
屈曲振動する。本実施例では、音叉形状の形成の後に溝
を音叉腕又は音叉腕と音叉基部に形成しているが、本発
明は前記実施例に限定されるものではなくて、まず、溝
を形成してから音叉形状を形成してもよい。又は、音叉
形状と溝を同時に形成しても良い。更に、この工程での
溝の寸法等については前記した寸法と同じであり既に述
べられているので、ここでは省略する。
【0038】この実施例の工程により、水晶ウエハには
多数個の音叉形状の屈曲水晶振動子が形成されている。
それ故、次の工程では、このウエハの状態で、最初の周
波数調整がレーザ又はプラズマエッチング又は蒸着にて
行われる。と共に、不良振動子はマーキングされるかウ
エハから取り除かれる。また、本工程では10kHz〜
200kHzの基準周波数に対して、周波数偏差は−9
000PPM〜+5000PPMの範囲内にあるように
周波数調整がなされる。更に、次の工程では、形成され
た振動子は表面実装型のケース、あるいは蓋又は円筒型
のケースのリード線に接着材あるいは半田等で固定され
る。その固定後に、第2回目の周波数調整がレーザ又は
プラズマエッチング又は蒸着にて行われる。本工程で
は、周波数偏差は−100PPM〜+100PPMの範
囲内にあるように周波数調整がなされる。又、本発明で
の固定後に周波数調整が行われるということは、固定後
すぐに周波数調整しても良いし、あるいは固定後にケー
スと蓋を接続した後に周波数調整をしても良い。即ち、
固定後にいかなる工程を入れても、その後に周波数調整
をすれば良く、本発明はこれらを全て包含するものであ
る。
【0039】尚、第3回目の周波数調整がなされるとき
には、前記2回目の周波数調整による周波数偏差は−9
50PPM〜+950PPMの範囲内にあるように周波
数調整がなされる。又、上記実施例では、前記ウエハの
状態で、最初の周波数調整を行い、それと共に、不良振
動子はマーキングされるかウエハから取り除かれている
が、本発明はこれに限定されるものでなく、本発明は水
晶ウエハにできた多数個の音叉形状の屈曲水晶振動子を
ウエハの状態で検査し、良振動子か不良振動子を検査す
る工程を含めば良い。即ち、不良振動子はマーキングさ
れるか、ウエハから取り除かれるか、コンピュタに記憶
される。このような工程を含むことにより、不良振動子
を早く見つけることができ、次工程に流れないので、歩
留まりを上げることができる。その結果、安価な屈曲水
晶振動子を得る事ができる。
【0040】更に、周波数調整後に、前記振動子はケー
スと蓋となるユニットに真空中で収納され、水晶ユニッ
トが得られる。蓋がガラスで構成されているときには、
収納後、第3回目の周波数調整がレーザにて行われる。
本工程では、周波数偏差は−50PPM〜+50PPM
の範囲内にあるように周波数調整がなされる。本実施例
では、周波数調整は3回の別々の工程で行われるが、少
なくとも2回の別々の工程で行えば良い。例えば、第3
回目の工程の周波数調整はしなくても良い。更に次の工
程では、前記した振動子の2電極端子が増幅器とコンデ
ンサと抵抗に電気的に接続される。換言するならば、増
幅回路はCMOSインバータと帰還抵抗からなり、帰還
回路は音叉形状の屈曲水晶振動子とドレイン抵抗とゲー
ト側のコンデンサとドレイン側のコンデンサからなるよ
うに接続される。又、前記第3回目の周波数調整は水晶
発振回路を構成後に行っても良い。
【0041】以上、図示例に基づき説明したが、この発
明は上述の例に限定されるものではなく、上記第1実施
例から第4実施例の水晶発振器に用いられる音叉形状の
屈曲水晶振動子では、音叉腕又は音叉腕と音叉基部に溝
を設けているが、例えば、音叉腕に貫通穴(t=0)
を設けてもよい。即ち、貫通穴は溝の特別の場合で、本
発明の溝は前記貫通穴をも包含するものである。又、上
記実施例では、音叉腕は2本で構成されているが、本発
明は3本以上の音叉腕を包含するものである。この場
合、少なくとも2本の音叉腕が逆相で振動するように電
極が構成されていれば良い。
【0042】更に、本実施例では、溝が中立線を挟む
(含む)ように音叉腕に設けられているが、本発明はこ
れに限定されるものでなく、中立線を残して、その両側
に溝を形成しても良い。この場合、音叉腕の中立線を含
めた部分幅Wは0.05mmより小さくなるように構
成される。又、各々の溝の幅は0.04mmより小さく
なるように構成され、溝の厚みtと音叉腕の厚みtの
比は0.79以下に成るように構成される。このような
構成により、MをMより大きくする事ができる。
【0043】更に、第1実施例〜第4実施例の水晶発振
器とそれに用いられる音叉形状の屈曲水晶振動子につい
て述べてきたが、これらの実施例の水晶発振器に用いら
れる水晶振動子はケースと蓋とから構成される、いわゆ
るユニット内に収納され、水晶ユニットを構成する。即
ち、ケース又は蓋に設けられた固定部に導電性接着剤又
は半田等によって固定部に本実施例の振動子は固定さ
れ、さらに、ケースと蓋とは接合部材を介して接合され
ていて、ケース内は真空になるように構成されている。
このように構成することにより、等価直列抵抗Rの小
さい、超小型の水晶ユニットを実現することができる。
【0044】更に、本実施例の屈曲水晶振動子の音叉形
状と溝は化学的、物理的と機械的方法の内の少なくとも
一つの方法を用いて加工される。例えば、物理的方法で
はイオン化した原子、分子を飛散させて加工するもので
ある。又、機械的方法では、ブラスト加工用の粒子を飛
散させて加工するものである。
【0045】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の水晶ユニッ
トとその製造方法と水晶発振器を提供する事により多く
の効果が得られることを既に述べたが、その中でも特
に、次の如き著しい効果が得られる。 (1)音叉腕または音叉腕と音叉基部に複数個の溝を設
け、且つ、それらの側面に極性の異なる電極が配置され
ているので、電界が垂直に働く。その結果、電気機械変
換効率が良くなるので、等価直列抵抗Rが小さく、品
質係数Q値の高い音叉形状の屈曲水晶振動子を具えた水
晶ユニットと水晶発振器が得られる。 (2)音叉形状の屈曲水晶振動子の基本波モード振動の
フイガーオブメリットMが高調波モード振動のフイガ
ーオブメリットMり大きい振動子を具えて水晶発振器
は構成され、更に、増幅回路の基本波モード振動の増幅
率αと高調波モード振動の増幅率αとの比が帰還回
路の高調波モード振動の帰還率βと基本波モード振動
の帰還率βとの比より大きく、かつ、基本波モード振
動の増幅率αと基本波モード振動の帰還率βの積が
1より大きくなるように水晶発振器は構成されているの
で、負荷容量が小さくても、水晶発振器の出力信号は、
基本波モード振動の周波数が出力として得られると共
に、消費電流の少ない水晶発振器が実現できる。 (3)音叉形状と溝をフォトリソグラフィ法と化学的エ
ッチング法によって形成でき、量産性に優れ、更に1枚
の水晶ウエハ上に多数個の振動子を一度にバッチ処理に
て形成できるので、安価な水晶振動子が得られる。と同
時に、それを具えた安価な水晶ユニットと水晶発振器が
実現できる。 (4)基本波モード振動のフイガーオブメリットM
高調波モード振動のフイガーオブメリットMより大き
い振動子を具えて水晶発振器は構成されるので、出力信
号が基本波モード振動の周波数が得られると共に、高い
周波数安定性を有する水晶発振器が実現できる。即ち、
高い時間精度を有する水晶発振器を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の水晶発振器を構成する水晶発振回路
図の一実施例である。
【図2】 図1の帰還回路図を示す。
【図3】 本発明の第1実施例の水晶ユニット又は第1
実施例の水晶発振器に用いられる屈曲モードで振動する
音叉形状の水晶振動子の外観図とその座標系を示す。
【図4】 図3の音叉形状の屈曲水晶振動子の音叉基部
のD−D′断面図を示す。
【図5】 図3の音叉形状の屈曲水晶振動子の上面図を
示す。
【図6】 本発明の第2実施例の水晶ユニット又は第2
実施例の水晶発振器に用いられる屈曲モードで振動する
音叉形状の水晶振動子の上面図である。
【図7】 本発明の第3実施例の水晶ユニットの断面図
又は第3実施例の水晶発振器に用いられる水晶ユニット
の断面図である。
【図8】 本発明の第4実施例の水晶発振器の断面図を
示す。
【図9】 従来の音叉形状の屈曲水晶振動子の斜視図と
その座標系を示す。
【図10】 図9の音叉形状水晶振動子の音叉腕の断面
図である。
【符号の説明】
1 増幅回路 9 帰還回路 V 入力電圧 V 出力電圧 20,26,46,47音叉腕 W 溝幅 W 音叉腕の腕幅 W,W 音叉腕の部分幅 W 音叉腕の間隔 W 音叉腕の中立線を含む部分幅 l 溝の長さ l 音叉基部の長さ l 音叉形状の屈曲水晶振動子の全長 t 音叉腕又は音叉腕と音叉基部の厚み t 溝の厚み

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水晶振動子とケースと蓋とを具えて構成
    される水晶ユニットで、前記水晶振動子は屈曲モードで
    振動する音叉腕と音叉基部から成る音叉形状の屈曲水晶
    振動子で構成され、かつ、前記音叉形状の屈曲水晶振動
    子は表面実装型あるいは円筒型のユニットに収納されて
    いて、前記音叉腕は上面と下面と側面とを有し、前記音
    叉形状の音叉腕に溝が設けられ、前記溝の側面に電極が
    配置され、前記溝側面の電極とその電極に対抗する音叉
    腕側面の電極とが互いに異極で、かつ、前記音叉腕が逆
    相で振動するように溝と電極を構成し、前記音叉形状の
    屈曲水晶振動子の基本波モード振動のフイガーオブメリ
    ットMが高調波モード振動のフイガーオブメリットM
    より大きい振動子を具えて構成されている事を特徴と
    する水晶ユニット。
  2. 【請求項2】 水晶振動子とケースと蓋とを具えて構成
    される水晶ユニットの製造方法であって、前記水晶振動
    子は屈曲モードで振動する音叉腕と音叉基部から成る音
    叉形状の屈曲水晶振動子で構成され、前記音叉腕は上面
    と下面と側面とを有し、前記音叉形状の音叉腕に溝が設
    けられ、前記溝の側面に電極が配置され、前記溝側面の
    電極とその電極に対抗する音叉腕側面の電極とが互いに
    異極で、かつ、前記音叉腕が逆相で振動するように溝と
    電極を有する音叉形状の屈曲水晶振動子を水晶ウエハに
    形成する工程、と前記音叉形状の屈曲水晶振動子は表面
    実装型あるいは円筒型のユニットに収納する工程、と前
    記水晶ウエハに形成された音叉形状の屈曲水晶振動子が
    良振動子か不良振動子かをウエハの状態で検査する工
    程、とを有し、前記音叉形状の屈曲水晶振動子が不良振
    動子の場合、前記不良振動子をウエハから取り除くか又
    は前記不良振動子にマーキングするか又は前記不良振動
    子をコンピュターに記憶するかの工程からなる事を特徴
    とする水晶ユニットの製造方法。
  3. 【請求項3】 増幅回路と帰還回路から構成されてい
    て、増幅回路は少なくとも増幅器から構成され、帰還回
    路は少なくとも水晶振動子とコンデンサーから構成され
    ている水晶発振器で、前記水晶振動子は屈曲モードで振
    動する音叉腕と音叉基部から成る音叉形状の屈曲水晶振
    動子で構成され、、前記音叉腕は上面と下面と側面とを
    有し、前記音叉形状の音叉腕に溝が設けられ、前記溝の
    側面に電極が配置され、前記溝側面の電極とその電極に
    対抗する音叉腕側面の電極とが互いに異極で、かつ、前
    記音叉腕が逆相で振動するように溝と電極を構成し、前
    記音叉形状の屈曲水晶振動子は表面実装型あるいは円筒
    型のユニットに収納されていて、前記音叉形状の屈曲水
    晶振動子の基本波モード振動のフイガーオブメリットM
    が高調波モード振動のフイガーオブメリットMより
    大きい屈曲水晶振動子を具えて前記水晶発振器は構成さ
    れると共に、増幅回路の基本波モード振動の増幅率α
    と高調波モード振動の増幅率αとの比が帰還回路の高
    調波モード振動の帰還率βと基本波モード振動の帰還
    率βとの比より大きく、かつ、基本波モード振動の増
    幅率αと基本波モード振動の帰還率βの積が1より
    大きくなるように前記水晶発振器は構成されていて、前
    記音叉形状の屈曲水晶振動子を具えて構成された前記水
    晶発振器の出力信号が基本波モード振動の周波数である
    ことを特徴とする水晶発振器。
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