JP2003273703A - 水晶振動子と水晶振動子の製造方法 - Google Patents

水晶振動子と水晶振動子の製造方法

Info

Publication number
JP2003273703A
JP2003273703A JP2003040389A JP2003040389A JP2003273703A JP 2003273703 A JP2003273703 A JP 2003273703A JP 2003040389 A JP2003040389 A JP 2003040389A JP 2003040389 A JP2003040389 A JP 2003040389A JP 2003273703 A JP2003273703 A JP 2003273703A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tuning fork
groove
fork arm
arm
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003040389A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003273703A5 (ja
Inventor
Hirofumi Kawashima
宏文 川島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Piedek Technical Laboratory
Original Assignee
Piedek Technical Laboratory
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Piedek Technical Laboratory filed Critical Piedek Technical Laboratory
Priority to JP2003040389A priority Critical patent/JP2003273703A/ja
Publication of JP2003273703A publication Critical patent/JP2003273703A/ja
Publication of JP2003273703A5 publication Critical patent/JP2003273703A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 屈曲モードで振動する音叉形状の水晶振動子
で、基本波モード振動の周波数安定性が2次高調波モー
ド振動の周波数安定性より高い水晶振動子を提供する事
にある。 【解決手段】 音叉腕と音叉基部とを具えて構成され、
前記音叉腕又は前記音叉腕と前記音叉基部の上下面に溝
又は貫通穴を設け、これらの溝又は貫通穴の側面部に電
極を配置し、その電極に対抗して音叉腕の側面に極性の
異なる電極を配置した音叉形状の屈曲水晶振動子で、か
つ、基本波モード振動のフイガーオブメリットが高調波
モード振動のフイガーオブメリットより大きくなる水晶
振動子である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は屈曲モードで振動す
る音叉腕と音叉基部とを具えて構成される音叉形状の水
晶振動子とその製造方法に関する。特に、小型化、高精
度化、耐衝撃性、低廉化の要求の強い情報通信機器用の
基準信号源として最適な水晶振動子で、新形状、新電極
構成及び最適寸法を有する超小型の音叉形状の屈曲水晶
振動子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の水晶振動子は音叉腕の上下面と側
面に電極が配置された音叉形状の屈曲水晶振動子がよく
知られている。図9には、この従来例の音叉形状の屈曲
水晶振動子200の概観図を示す。図9において水晶振
動子200は2本の音叉腕201,202と音叉基部2
30とを具えている。図10には図9の音叉腕の断面図
を示す。図10に示すように、励振電極は音叉腕の上下
面と側面に配置されている。音叉腕の断面形状は一般的
には長方形をしている。一方の音叉腕の断面の上面には
電極203が下面には電極204が配置されている。側
面には電極205と206が設けられている。他方の音
叉腕の上面には電極207が下面には電極208が、更
に側面には電極209,210が配置され2電極端子H
−H′構造を成している。今、H−H′間に直流電圧を
印加すると電界は矢印方向に働く。その結果、一方の音
叉腕が内側に曲がると他方の音叉腕も内側に曲がる。こ
の理由は、x軸方向の電界成分Exが各音叉腕の内部で
方向が反対になるためである。交番電圧を印加すること
により振動を持続することができる。又、特開昭56−
65517と特開2000−223992(P2000
−223992A)では、音叉腕に溝を設け、且つ、電
極構成について開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】音叉型屈曲水晶振動子
では、電界成分Exが大きいほど等価直列抵抗Rが小
さくなり、品質係数Q値が大きくなる。しかしながら、
従来から使用されている音叉型屈曲水晶振動子は、図1
0で示したように、各音叉腕の上下面と側面の4面に電
極を配置している。そのために電界が直線的に働かず、
かかる音叉型屈曲水晶振動子を小型化させると、電界成
分Exが小さくなってしまい、等価直列抵抗Rが大き
くなり、品質係数Q値が小さくなるなどの課題が残され
ていた。同時に、時間基準として高精度な、即ち、高い
周波数安定性を有し、高調波モード振動を抑えた屈曲水
晶振動子を得ることが課題として残されていた。又、前
記課題を解決する方法として、例えば、特開昭56−6
5517では音叉腕に溝を設け、且つ、溝の構成と電極
構成について開示している。しかしながら、溝の構成、
寸法と振動モード並びに基本波モード振動での等価直列
抵抗Rと高調波モード振動での等価直列抵抗Rとの
関係及び周波数安定性に関係するフィガーオブメリット
Mについては全く開示されていない。又、従来の水晶振
動子や前記溝を設けた振動子を従来の回路に接続し、水
晶発振回路を構成すると、基本波振動モードの出力信号
が衝撃や振動などの影響で出力信号が高調波モード振動
の周波数に変化、検出される等の問題が発生していた。
このようなことから、衝撃や振動を受けても、それらの
影響を受けない高調波モード振動を抑えた基本波モード
で振動する音叉形状の屈曲水晶振動子で、それを具えた
水晶発振器が所望されていた。それ故、基本波モードで
振動する超小型で、等価直列抵抗Rの小さい、品質係
数Q値が高くなるような新形状で、電気機械変換効率の
良い溝の構成と電極構成を有する音叉形状の屈曲水晶振
動子が所望されていた。さらに詳細には、基本波モード
振動の周波数安定性が2次高調波モード振動の周波数安
定性より高い音叉形状の屈曲水晶振動子が所望されてい
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の方法で
従来の課題を有利に解決した屈曲モードで振動する音叉
形状の水晶振動子とその製造方法を提供することを目的
とするものである。
【0005】即ち、本発明の水晶振動子の第1の態様
は、屈曲モードで振動する音叉腕と音叉基部とを具えて
構成される音叉形状の屈曲水晶振動子で、前記音叉腕は
上面と下面と側面とを有し、前記音叉形状の音叉腕に溝
が設けられ、前記溝と前記音叉腕の側面に電極が配置さ
れ、前記溝の側面の電極とその電極に対抗する音叉腕の
側面の電極とが互いに異極で、かつ、前記音叉腕が逆相
で振動するように溝と電極を構成し、更に、前記音叉形
状の屈曲水晶振動子の基本波モード振動のフイガーオブ
メリットMが高調波モード振動のフイガーオブメリッ
トMより大きい水晶振動子である。
【0006】本発明の水晶振動子の製造方法の第1の態
様は、屈曲モードで振動する音叉腕と音叉基部とを具え
て構成される音叉形状の屈曲水晶振動子の製造方法で、
前記音叉腕は上面と下面と側面とを有し、前記音叉形状
の音叉腕に溝が設けられ、前記溝と前記音叉腕の側面に
電極が配置され、前記溝の側面の電極とその電極に対抗
する音叉腕の側面の電極とが互いに異極で、かつ、前記
音叉腕が逆相で振動するように溝と電極を形成する工
程、と前記音叉形状の屈曲水晶振動子を表面実装型ある
いは円筒型のユニットに収納する工程、とを有し、前記
音叉形状の屈曲水晶振動子の基本波モード振動のフイガ
ーオブメリットMが高調波モード振動のフイガーオブ
メリットMより大きい水晶振動子の製造方法である。
【0007】
【作用】このように、本発明は屈曲モードで振動する音
叉形状の水晶振動子で、しかも、音叉形状の溝と電極の
構成を改善し、高調波モード振動を抑え、基本波モード
で振動する水晶振動子を得る事ができる。
【0008】加えて、音叉腕の中立線を挟んだ(含む)
中央部に溝を設け、且つ、電極を配置し、溝の寸法の最
適化を図る事により、等価直列抵抗Rが小さく、Q値
が高く、電気機械変換効率の良い屈曲モードで振動する
超小型の音叉形状の屈曲水晶振動子が得られる。
【0009】
【本発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に
基づき具体的に述べる。図1は本発明の第1実施例の屈
曲モードで振動する音叉形状の屈曲水晶振動子10の外
観図とその座標系を示すものである。座標系O、電気軸
x、機械軸y、光軸zからなるO−xyzを構成してい
る。本実施例の音叉形状の屈曲水晶振動子10は音叉腕
20、音叉腕26と音叉基部40とから成り、音叉腕2
0と音叉腕26は音叉基部40に接続されている。ま
た、音叉腕20と音叉腕26はそれぞれ上面と下面と側
面とを有する。更に、音叉腕20の上面には中立線を挟
んで、即ち、中立線を含むように溝21が設けられ、
又、音叉腕26の上面にも音叉腕20と同様に溝27が
設けられるとともに、さらに、音叉基部40に溝32と
溝36とが設けられている。なお、角度θは、x軸廻り
の回転角であり、通常、0°〜10°の範囲で選ばれ
る。又、音叉腕20、26の下面にも上面と同様に溝が
設けられている。
【0010】図2は、図1の音叉形状の屈曲水晶振動子
10の音叉基部40のD−D′断面図を示す。図2では
図1の水晶振動子の音叉基部40の断面形状並びに電極
配置について詳述する。音叉腕20と連結する音叉基部
40には溝21,22が設けられている。同様に、音叉
腕26と連結する音叉基部40には溝27,28が設け
られている。更に、溝21と溝27との間には更に溝3
2と溝36とが設けられている。又、溝22と溝28と
の間にも溝33と溝37とが設けられている。そして、
溝21と溝22には電極23,24が、溝32,33,
36,37には電極34,35,38,39が、溝27
と溝28には電極29,30が配置され、音叉基部40
の両側面には電極25,31が配置されている。詳細に
は、溝の側面に電極が配置され、前記電極に対抗して極
性の異なる電極が配置されている。
【0011】また、音叉形状の屈曲水晶振動子10は厚
みtを有し、溝は厚みtを有している。ここで言う厚
みtは溝の一番深いところの厚みを言う。その理由は
水晶は異方性の材料のために、化学的エッチング法では
各結晶軸の方向によりエッチングスピードが異なる。そ
れ故、化学的エッチング法では溝の深さにバラツキが生
じ、図2に示した一様な形状に加工するのが極めて難し
いためである。本実施例では、溝の厚みtと音叉腕又
は音叉腕と音叉基部の厚みtとの比(t/t)が0.
79より小さくなるように、好ましくは、0.01〜
0.79となるように溝が音叉腕又は音叉腕と音叉基部
に形成されている。特に、音叉基部の歪みを大きくする
ために、音叉基部の溝の厚みと音叉基部の厚みの比を
0.01〜0.025にする事が好ましい。このように
形成することにより、音叉腕又は音叉腕と音叉基部の溝
側面電極とそれに対抗する側面の電極との間の電界Ex
が大きくなる。すなわち、電気機械変換効率の良い屈曲
振動子が得られる。即ち、容量比の小さい音叉形状の屈
曲水晶振動子が得られる。更に、本実施例では、音叉基
部の溝と溝との間にさらに溝32,33,36,37が
設けられているので、その電界強度はより一層大きくな
り、より電気機械変換効率が良くなる。又、本実施例で
は、音叉基部40の上面に溝32,36が、下面に溝3
3,37が設けられているが、片面にのみ設けても良
い。
【0012】更に、電極25,29,30,34,35
は一方の同極に、電極23,24,31,37,38,
39は他方の同極になるように配置されていて、2電極
端子構造E−E′を構成する。即ち、z軸方向に対抗す
る溝電極は同極に、且つ、x軸方向に対抗する電極は異
極になるように構成されている。今、2電極端子E−
E′に直流電圧を印加(E端子に正極、E′端子に負
極)すると電界Exは図2に示した矢印のように働く。
電界Exは水晶振動子の側面と溝内の側面とに配置され
た電極により電極に垂直に、即ち、直線的に引き出され
るので、電界Exが大きくなり、その結果、発生する歪
の量も大きくなる。従って、音叉形状の屈曲水晶振動子
を小型化させた場合でも、等価直列抵抗Rの小さい、
品質係数Q値の高い屈曲モードで振動する音叉形状の水
晶振動子が得られる。
【0013】図3は図1の音叉形状の屈曲水晶振動子1
0の上面図を示すものである。図3では溝21,27の
配置及び寸法について特に詳述する。音叉腕20の中立
線41を挟むようにして溝21が設けられている。他方
の音叉腕26も中立線42を挟むようにして溝27が設
けられている。更に、本実施例の音叉形状の屈曲水晶振
動子10では、音叉基部40の、溝21と溝27との間
に挟まれた部分にも溝32と溝36とが設けられてい
る。それら溝21,27及び溝32,36を設けたこと
で、音叉形状の屈曲水晶振動子10には、先に述べたよ
うに、電界Exが図2に示した矢印のように働き、電界
Exは水晶振動子の側面と溝内の側面とに配置された電
極により電極に垂直に、即ち、直線的に引き出され、特
に音叉基部の電界Exが大きくなり、その結果、発生す
る歪の量も大きくなる。このように、本実施例の音叉形
状の屈曲水晶振動子10の形状と電極構成とは、音叉型
屈曲水晶振動子を小型化した場合でも電気的諸特性に優
れた、即ち、等価直列抵抗Rの小さい、品質係数Q値
の高い水晶振動子が実現できる。
【0014】更に、部分幅W、Wと溝幅Wとする
と、音叉腕20,26の腕幅WはW= <Wとなるように構成される。又、溝幅WはW
≧W,Wを満足する条件で構成される。更に具体
的に述べると、本実施例では、溝幅Wと音叉腕幅Wと
の比(W/W)が0.35より大きく、1より小さく
なるように、好ましくは、0.35〜0.95で、溝の
厚みtと音叉腕の厚みt又は音叉腕と音叉基部の厚み
tとの比(t/t)が0.79より小さくなるよう
に、好ましくは、0.01〜0.79となるように溝が
音叉腕に形成されている。このように形成することによ
り、音叉腕の中立線41と42を基点とする慣性モーメ
ントが大きくなる。即ち、電気機械変換効率が良くなる
ので、等価直列抵抗Rの小さい、Q値の高い、しか
も、容量比の小さい音叉形状の屈曲水晶振動子を得る事
ができる。
【0015】これに対して、溝21および溝27の長さ
について本実施例では、溝21,27が音叉腕2
0,26から音叉基部40の長さ1にまで延在し、基
部の溝の長さ1となるような寸法とされている。それ
故、音叉腕20,26に設けられた溝の長さは(1
)で与えられ、Rの小さい振動子を得るために、
(1−1)/(1−1)が0.4〜0.8の値を
有する。更に、音叉形状の屈曲水晶振動子10の全長1
は要求される周波数や収納容器の大きさなどから決定さ
れる。と共に、基本波モードで振動する良好な音叉形状
の屈曲水晶振動子を得るためには、溝の長さ1と全長
1との間には密接な関係が存在する。
【0016】すなわち、音叉腕20,26又は音叉腕2
0,26と音叉基部40に設けられた溝の長1と音叉
形状の屈曲水晶振動子の全長1との比(1/1)が
0.2〜0.78となるように溝の長さは設けられる。
このように形成する理由は、不要振動である高調波モー
ド振動、特に、2次、3次高調波モード振動を抑圧する
事ができると共に基本波モード振動の周波数安定性を高
めることができる。それ故、基本波モードで容易に振動
する良好な音叉形状の屈曲水晶振動子が実現できる。さ
らに詳述するならば、基本波モードで振動する音叉形状
の屈曲水晶振動子の等価直列抵抗Rが高調波モード振
動の等価直列抵抗Rより小さくなる。即ち、R<R
(n=2,3のとき、2次、3次高調波モード振動の
等価直列抵抗)となり、増幅器(CMOSインバー
タ)、コンデンサ、抵抗素子、本実施例の音叉形状の屈
曲水晶振動子等から成る水晶発振器において、振動子が
基本波モードで容易に振動する良好な水晶発振器が実現
できる。又、溝の長さ1は音叉腕の長さ方向に分割さ
れていても良く、その中の少なくとも1個が前記辺比
(1/1)を満足すれば良いか、又は、分割された溝
の長さ方向の加えられた溝の長さが前記辺比(1
1)を満足すれば良い。
【0017】また、この実施例では、音叉基部40は図
3中、振動子10の長さ1の下側部分全体とされ、
又、音叉腕20及び音叉腕26は、図3中、振動子10
の長さ1の部分から上側の部分全体とされている。本
実施例では音叉の叉部は矩形をしているが、本発明は前
記形状に限定されるものではなく、音叉の叉部がU字型
をしていても良い。この場合も矩形の形状と同じよう
に、音叉腕と音叉基部との寸法の関係は前記関係と同じ
である。更に、本実施例では、溝は音叉腕と音叉基部に
設けられているが、本発明はこれに限定されるものでな
く、音叉腕にのみ溝を設けても良く、同様の効果が得ら
れる。この場合、溝の長さ1=0となる。また、本発
明で言う溝の長さ1とは、音叉腕にのみ溝が設けられ
ている時には、溝幅Wと音叉腕幅Wとの比(W
W)が0.35より大きく、且つ、1より小さくなるよ
うに形成された溝の長さである。更に、前記音叉腕に設
けられた溝が、音叉基部にまで延在し、音叉基部に延在
した溝の間にさらに溝が設けられている時には、溝の長
さ1を含む長さが1である。しかし、音叉腕の溝が
音叉基部に延在しているが、その溝の間にさらに溝が設
けられていない時には、長さ1は音叉腕の溝の長さで
ある。
【0018】換言するならば、音叉形状の音叉腕の中立
線を挟んだ、即ち、中立線を含む音叉腕の上下面に各々
少なくとも1個の溝が長さ方向に設けられ、前記溝の両
側面に電極が配置され、前記溝側面の電極とその電極に
対抗する音叉腕側面の電極とが互いに異極となるように
構成されていて、音叉腕に生ずる慣性モーメントが大き
くなるように前記各々少なくとも1個の溝の内少なくと
も1個の溝幅Wと音叉腕幅Wとの比(W/W)が
0.35より大きく、1より小さく、且つ、前記溝の厚
みtと音叉腕の厚みtとの比(t/t)が0.79
より小さくなるように溝が形成されている。
【0019】 を満足するように構成され、間隔Wは0.05mm〜
0.35mmで、溝幅Wは0.03mm〜0.12m
mの値を有する。このように構成する理由は超小型の屈
曲水晶振動子で、かつ、音叉形状と音叉腕の溝をフオト
リソグラフィ技術を用いて別々(別々の工程)に形成で
き、更に、基本波モード振動の周波数安定性が高調波モ
ード振動の周波数安定性より高くすることができる。こ
の場合、厚みtは通常0.05mm〜0.15mmの水
晶ウエハが用いられる。しかし、本発明は本実施例に限
定されるものでなく、0.15mmより厚い水晶ウエハ
を使用してもよい。
【0020】更に詳述するならば、音叉形状の屈曲水晶
振動子の誘導性と電気機械変換効率と品質とを表すフイ
ガーオブメリットMは屈曲水晶振動子の品質係数Q
値と容量比rの比(Q/r)によって定義され
る。即ち、M=Q/rで与えられる。但し、iは
音叉形状の屈曲水晶振動子の振動次数を表し、i=1の
とき基本波モード振動、i=2のとき2次高調波モード
振動、i=3のとき3次高調波モード振動である。ま
た、音叉形状の屈曲水晶振動子の並列容量に依存しない
機械的直列共振周波数fと並列容量に依存する直列共
振周波数fの周波数差ΔfはフイガーオブメリットM
に反比例し、その値Mが大きい程Δfは小さくな
る。従って、Mが大きい程、音叉形状の屈曲水晶振動
子の共振周波数は並列容量の影響を受けないので、屈曲
水晶振動子の周波数安定性は良くなる。即ち、時間精度
の高い音叉形状の屈曲水晶振動子が得られる。
【0021】さらに詳細には、前記音叉形状と溝と電極
とその寸法の構成により、基本波モード振動のフイガー
オブメリットMが高調波モード振動のフイガーオブメ
リットMより大きくなる。即ち、M>Mとなる。
但し、nは高調波モード振動の振動次数を表し、n=
2、3のとき、2次、3次高調波モード振動のフイガー
オブメリットである。一例として、基本波モード振動の
周波数が32.768kHzで、W/W=0.5、t
/t=0.34、1/1=0.48のとき、製造に
よるバラツキが生ずるが、音叉形状の屈曲水晶振動子の
、MはそれぞれM>65、M<30となる。
即ち、高い誘導性と電気機械変換効率の良い(容量比r
と等価直列抵抗Rの小さい)、品質係数の大きい基
本波モードで振動する屈曲水晶振動子を得ることができ
る。その結果、基本波モード振動の周波数安定性が2次
高調波モード振動の周波数安定性より良くなると共に、
2次高調波モード振動を抑圧することができる。従っ
て、本実施例の屈曲水晶振動子から構成される水晶発振
器は基本波モード振動の周波数が出力信号として得ら
れ、かつ、高い周波数安定性(優れた時間精度)を有す
る。換言するならば、本実施例の水晶発振器はエージン
グによる周波数変化が極めて小さく成るという著しい効
果を有する。また、本発明の基本波モード振動の基準周
波数は既に述べたように、10kHz〜200kHzが
用いられる。特に、32.768kHzは広く使用さ
れ、例えば、その周波数偏差は−100PPM〜+10
0PPMの範囲内にあるように周波数調整される。
【0022】図4は本発明の第2実施例の屈曲モードで
振動する音叉形状の水晶振動子45の上面図である。音
叉形状の屈曲水晶振動子45は、音叉腕46,47と音
叉基部48とを具えて構成されている。即ち、音叉腕4
6,47の一端部が音叉基部48に接続されている。本
実施例では、音叉基部48に切り欠き部53、54が設
けられている。又、音叉腕46、47には中立線51、
52を挟んで(含む)溝49、50が設けられている。
更に、本実施例では溝49、50は音叉腕46、47の
一部に設けられていて、溝49、50はそれぞれ幅W
と長さ1を有する。更に詳述するならば、溝の面積S
=W×1で示し、Sは0.025〜0.12mm
の値を有するように構成される。このように溝の面積を
構成する理由は化学的エッチング法による溝の形成が容
易で、しかも、電気機械変換効率が良くなる溝の形成が
できる。と同時に、基本波モード振動の品質係数Q値の
高い屈曲モードで振動する音叉形状の水晶振動子が得ら
れる。その結果、出力信号が基本波モード振動の周波数
である水晶発振器が実現できる。
【0023】上記溝の面積Sでは、溝と音叉腕を別々の
工程で加工できる。しかし、音叉腕とそれに設けられた
溝を同時に加工するには、音叉腕の厚みtと溝幅W
音叉腕の間隔Wと面積Sを最適寸法にする必要が有
る。即ち、音叉腕の厚みtが0.06mm〜0.15m
mのとき、溝幅Wが0.02mm〜0.068mmの
範囲内に、更に、面積Sは0.023mm〜0.08
8mmの範囲内にあり、間隔Wは0.05mm〜
0.35mmとなるように構成される。このように構成
する理由は水晶の結晶性を利用し、その結晶性から貫通
穴でない溝(音叉腕の長さ方向に分割された溝を含む)
と音叉形状を同時に形成することができる。また、図4
には示されていないが、音叉腕46,47の下面にも溝
49,50と対抗する位置に溝が設けられている。
【0024】更に、音叉基部48に設けられた切り欠き
部53、54の音叉部側の幅寸法はWで与えられ、切
り欠き部53、54の端部側の寸法はWで与えられ
る。そして、音叉基部48の端部側で表面実装型のケー
スや円筒型のケースに半田や接着剤によって固定される
とき、振動子の振動エネルギーの損失を小さくするに
は、 固定による振動部のエネルギー損失を小さくすることが
できる。図4で示されている音叉腕の腕幅W、部分幅W
、W、溝幅Wと間隔W及び溝の長さ1と音叉
振動子の全長1との関係は図3と同様な関係を有する。
【0025】図5は本発明の第1実施例又は第2実施例
の水晶振動子を収納した水晶ユニットの一実施例の断面
図である。水晶ユニット170は音叉形状の屈曲水晶振
動子70、ケース71と蓋72を具えて構成されてい
る。更に詳述するならば、振動子70はケース71に設
けられた固定部74に導電性接着剤76や半田によって
固定される。又、ケース71と蓋72は接合部材73を
介して接合される。本実施例では、振動子70は図1と
図4で詳細に述べられた音叉形状の屈曲水晶振動子1
0、45の内の一個と同じ振動子である。又、水晶発振
器を構成する場合には、回路素子は水晶ユニットの外側
に接続される。即ち、音叉形状の屈曲水晶振動子のみが
ユニット内に収納されている。この時、屈曲水晶振動子
は真空中のユニット内に収納されている。本実施例で
は、表面実装型の水晶ユニットを示したが、円筒型のユ
ニットに屈曲水晶振動子を収納しても良い。即ち、円筒
型の水晶ユニットが得られる。
【0026】更に、ケースの部材はセラミックスかガラ
ス、蓋の部材は金属かガラス、そして、接合部材は金属
か低融点ガラスでできている。又、本実施例で述べられ
た振動子とケースと蓋との関係は以下に述べられる図8
の水晶発振器にも適用される。
【0027】図6は本発明の水晶振動子を搭載した水晶
発振器を構成する水晶発振回路図の一実施例である。本
実施例では、水晶発振回路1は増幅器(CMOSインバ
ータ)2、帰還抵抗4、ドレイン抵抗7、コンデンサー
5,6と音叉形状の屈曲水晶振動子3から構成されてい
る。即ち、水晶発振回路1は、増幅器2と帰還抵抗4か
ら成る増幅回路8とドレイン抵抗7、コンデンサー5,
6と屈曲水晶振動子3から成る帰還回路9から構成され
ている。更に、基本波モードで振動する音叉形状の屈曲
水晶振動子3を具えて構成される水晶発振回路1の出力
信号はバッフア回路(図示されていない)を通してドレ
イン側から出力される。即ち、基本波モード振動の周波
数がバッフア回路を通して出力信号として出力される。
本発明では、基本波モード振動の周波数は10kHz〜
200kHzが用いられる。又、本発明では、前記出力
信号の周波数を分周回路又は逓倍回路によって分周又は
逓倍された周波数も基本波モード振動の周波数に含まれ
る。さらに詳細には、本実施例の水晶発振器は水晶発振
回路とバッフア回路とを具えて構成されている。換言す
るならば、水晶発振回路は増幅回路と帰還回路から構成
され、増幅回路は少なくとも増幅器から構成され、帰還
回路は少なくとも音叉形状の屈曲水晶振動子とコンデン
サーから構成されている。又、本実施例の水晶発振器に
用いられる音叉形状の屈曲水晶振動子は既に図1から図
4で詳述されている。
【0028】図7は図6の帰還回路図を示す。今、屈曲
モードで振動する音叉形状の水晶振動子の角周波数をω
、ドレイン抵抗7の抵抗をR、コンデンサー5、6
の容量をC、C、水晶のクリスタルインピーダンス
をRei,入力電圧をV,出力電圧をVとすると、
帰還率βはβ=|V/|Vで定義され
る。但し、iは屈曲振動モードの振動次数を表し、例え
ば、i=1のとき、基本波モード振動、i=2のとき、
2次高調波モード振動、i=3のとき、3次高調波モー
ド振動である。即ち、i=nのとき、n次高調波モード
振動であるが、以下単に、高調波モード振動と言う。更
に、負荷容量CはC=C/(C+C)で
与えられ、C=C=CgsとRd>>Reiとする
と、帰還率βはβ=1/(1+kC )で与えら
れる。但し、kはω、R、Reiの関数で表され
る。又、Reiは近似的に等価直列抵抗Rに等しくな
る。
【0029】このように、帰還率βと負荷容量C
の関係から、負荷容量Cが小さくなると、基本波振動
モードと高調波振動モードの共振周波数の帰還率はそれ
ぞれ大きくなることが良く分かる。それ故、負荷容量C
が小さくなると、基本波モード振動よりも高調波モー
ド振動の方が発振し易くなる。その理由は高調波モード
振動の最大振動振幅が基本波モード振動の最大振動振幅
より小さいために、発振持続条件である振幅条件と位相
条件を同時に満足するためである。また、本実施例の屈
曲水晶振動子を搭載した水晶発振器の負荷容量Cは、
消費電流を低減するために18pF以下が用いられる。
【0030】更に、本実施例の水晶発振回路を構成する
増幅回路の増幅部は負性抵抗−RLでその特性を示す
ことができる。i=1のとき基本波モード振動の負性抵
抗で、i=nのとき高調波モード振動の負性抵抗であ
る。即ち、n=2,3のとき、2次、3次高調波モード
振動の負性抵抗である。本実施例の水晶発振器は、増幅
回路の基本波モード振動の負性抵抗の絶対値|−RL
|と基本波モード振動の等価直列抵抗Rとの比が増幅
回路の高調波モード振動の負性抵抗の絶対値|−RL
|と高調波モード振動の等価直列抵抗Rとの比より大
きくなるように発振回路が構成されている。即ち、|−
RL|/R>|−RL|/Rを満足するように
構成されている。このように水晶発振回路を構成するこ
とにより、高調波モード振動の発振起動が抑えられ、そ
の結果、基本波モード振動の発振起動が得られるので基
本波モード振動の周波数が出力信号として得られる。
【0031】図8は本発明の第1実施例又は第2実施例
の水晶振動子を搭載した水晶発振器の一実施例の断面図
を示す。水晶発振器190は水晶発振回路とケース91
と蓋92とを具えて構成されている。本実施例では、水
晶発振回路はケース91と蓋92から成る水晶ユニット
内に収納されている。又、水晶発振回路は音叉形状の屈
曲水晶振動子90と帰還抵抗を含む増幅器98とコンデ
ンサー(図示されていない)とドレイン抵抗(図示され
ていない)とを具えて構成されていて、増幅器98はC
MOSインバータが用いられる。
【0032】更に、本実施例では、振動子90はケース
91に設けられた固定部94に接着剤96や半田によっ
て固定される。これに対して、増幅器98はケース91
に固定されている。また、ケース91と蓋92は接合部
材93を介して接合されている。本実施例の振動子90
は図1と図4で詳細に述べられた音叉形状の屈曲水晶振
動子10、45の中の振動子が用いられる。
【0033】次に、本発明の水晶振動子の製造方法につ
いて述べる。上記音叉形状の屈曲水晶振動子は半導体の
技術を用いたフオトリソグラフィ法と化学的エッチング
法によって形成される。まず、研磨加工あるいはポリッ
シュ加工された水晶ウエハの上下面に金属膜(例えば、
クロムそしてその上に金)をスパッタリング法又は蒸着
法により形成する。次に、その金属膜の上にレジストが
塗布される。そして、フオトリソ工程により、それらレ
ジストと金属膜が音叉形状を残して除去された後、化学
的エッチング法により、音叉腕と音叉基部を具えた音叉
形状が形成される。この音叉形状を形成するときに、音
叉基部に切り欠き部を形成しても良い。更に、音叉形状
の面上に前記工程で示した金属膜とレジストが塗布さ
れ、フオトリソ工程と化学的エッチング法により、音叉
腕又は音叉腕と音叉基部に溝が形成される。
【0034】次に、溝を有する音叉形状に金属膜とレジ
ストが再び塗布されて、フオトリソ工程により、電極が
形成される。即ち、音叉腕の側面の電極と溝の側面の電
極は極性が異なるように対抗して配置される。さらに詳
述するならば、第1の音叉腕の側面電極と第2の音叉腕
の溝の電極は同極に、第1の音叉腕の溝の電極と第2の
音叉腕の側面電極は同極に構成され、第1の音叉腕の溝
の電極と側面電極は極性が異なるように構成される。即
ち。2電極端子が振動子に形成される。その結果、2電
極端子に交番電圧を印加する事により、音叉腕は逆相で
屈曲振動する。本実施例では、音叉形状の形成の後に溝
を音叉腕又は音叉腕と音叉基部に形成しているが、本発
明は前記実施例に限定されるものではなくて、まず、溝
を形成してから音叉形状を形成してもよい。又は、音叉
形状と溝を同時に形成しても良い。更に、この工程での
溝の寸法等については前記した寸法と同じであり既に述
べられているので、ここでは省略する。
【0035】この実施例の工程により、水晶ウエハには
多数個の音叉形状の屈曲水晶振動子が形成されている。
それ故、次の工程では、このウエハの状態で、最初の周
波数調整がレーザ又はプラズマエッチング又は蒸着にて
行われる。と共に、不良振動子はマーキングされるかウ
エハから取り除かれる。また、本工程では10kHz〜
200kHzの基準周波数に対して、周波数偏差は−9
000PPM〜+5000PPMの範囲内にあるように
周波数調整がなされる。更に、次の工程では、形成され
た振動子は表面実装型のケース、あるいは蓋又は円筒型
のケースのリード線に接着材あるいは半田等で固定され
る。その固定後に、第2回目の周波数調整がレーザ又は
プラズマエッチング又は蒸着にて行われる。本工程で
は、周波数偏差は−100PPM〜+100PPMの範
囲内にあるように周波数調整がなされる。又、本発明で
の固定後に周波数調整が行われるということは、固定後
すぐに周波数調整しても良いし、あるいは固定後にケー
スと蓋を接続した後に周波数調整をしても良い。即ち、
固定後にいかなる工程を入れても、その後に周波数調整
をすれば良く、本発明はこれらを全て包含するものであ
る。又、ケースと蓋を接続した後の周波数調整はガラス
を介してレーザで行われる。
【0036】尚、第3回目の周波数調整がなされるとき
には、前記2回目の周波数調整による周波数偏差は−9
50PPM〜+950PPMの範囲内にあるように周波
数調整がなされる。又、上記実施例では、前記ウエハの
状態で、最初の周波数調整を行い、それと共に、不良振
動子はマーキングされるかウエハから取り除かれている
が、本発明はこれに限定されるものでなく、本発明は水
晶ウエハにできた多数個の音叉形状の屈曲水晶振動子を
ウエハの状態で検査し、良振動子か不良振動子かを検査
する工程を含めば良い。即ち、不良振動子はマーキング
されるか、ウエハから取り除かれるか、コンピュタに記
憶される。このような工程を含むことにより、不良振動
子を早く見つけることができ、次工程に流れないので、
歩留まりを上げることができる。その結果、安価な屈曲
水晶振動子を得る事ができる。
【0037】更に、周波数調整後に、前記振動子はケー
スと蓋となるユニットに真空中で収納され、水晶ユニッ
トが得られる。蓋がガラスで構成されているときには、
収納後、第3回目の周波数調整がレーザにて行われる。
本工程では、周波数偏差は−50PPM〜+50PPM
の範囲内にあるように周波数調整がなされる。本実施例
では、周波数調整は3回の別々の工程で行われるが、少
なくとも2回の別々の工程で行えば良い。例えば、第3
回目の工程の周波数調整はしなくても良い。更に次の工
程では、前記した振動子の2電極端子が増幅器とコンデ
ンサと抵抗素子に電気的に接続される。換言するなら
ば、増幅回路はCMOSインバータと帰還抵抗素子とを
具えて構成され、帰還回路は音叉形状の屈曲水晶振動子
とドレイン抵抗素子とゲート側のコンデンサとドレイン
側のコンデンサとを具えて構成されるように電気的に接
続される。又、前記第3回目の周波数調整は水晶発振回
路を構成後に行っても良い。
【0038】以上、図示例に基づき説明したが、この発
明は上述の例に限定されるものではなく、上記第1実施
例と第2実施例の音叉形状の屈曲水晶振動子では、音叉
腕又は音叉腕と音叉基部に溝を設けているが、例えば、
音叉腕に貫通穴(t=0)を設けてもよい。即ち、貫
通穴は溝の特別の場合で、本発明の溝は前記貫通穴をも
包含するものである。又、上記実施例では、音叉腕は2
本で構成されているが、本発明は3本以上の音叉腕を包
含するものである。この場合、少なくとも2本の音叉腕
が逆相で振動するように電極が構成されていれば良い。
【0039】更に、本実施例では、溝が中立線を挟む
(含む)ように音叉腕に設けられているが、本発明はこ
れに限定されるものでなく、中立線を残して、その両側
に溝を形成しても良い。この場合、音叉腕の中立線を含
めた部分幅Wは0.05mmより小さくなるように構
成される。又、各々の溝の幅は0.04mmより小さく
なるように構成され、溝の厚みtと音叉腕の厚みtの
比は0.79以下に成るように構成される。このような
構成により、MをMより大きくする事ができる。
【0040】更に、第1実施例と第2実施例の音叉形状
の屈曲水晶振動子の基本波モード振動での容量比r
2次高調波モード振動での容量比rより小さくなるよ
うに構成されている。このような構成により、同じ負荷
容量Cの変化に対して、基本波モードで振動する屈曲
水晶振動子の周波数変化が2次高調波モードで振動する
屈曲水晶振動子の周波数変化より大きくなる。即ち、基
本波モード振動の方が2次高調波モード振動より周波数
の可変範囲を広くとることができる。さらに詳細には、
例えば、負荷容量C=18pFのとき、そのC値が
1pF変わると、基本波モード振動の周波数変化は2次
高調波モード振動の周波数変化より大きくなる。それ
故、基本波モード振動では、負荷容量Cの可変量が小
さくても、周波数の可変範囲を広くできるという著しい
効果を有する。これにより、コンデンサーの可変容量の
範囲を小さくできるので、用いるコンデンサーの数を少
なくできる。その結果、本実施例の音叉形状の屈曲水晶
振動子を用いることにより安価な水晶発振器が得られ
る。
【0041】また、音叉形状の屈曲水晶振動子の容量比
、rはそれぞれr=C/C、r=C
で与えられる。但し、Cは等価回路の並列容量
で、CとCは等価回路の基本波モード振動と2次高
調波モード振動の等価容量である。更に、音叉形状の屈
曲水晶振動子の基本波モード振動と2次高調波モード振
動の品質係数はQ値とQ値で与えられる。そして、
前記実施例の音叉形状の屈曲水晶振動子は、基本波モー
ドで振動する共振周波数の並列容量による依存性が2次
高調波モードで振動する共振周波数の並列容量による依
存性より小さく成るように構成される。即ち、r/2
<r/2Q を満たすように構成されてい
る。このような構成により、基本波モードで振動する共
振周波数の並列容量による影響が無視できるほど極めて
小さくなるので、高い周波数安定性を有する基本波モー
ドで振動する屈曲水晶振動が得られる。又、本発明で
は、r/2Q とr/2Q をそれぞれS
と置き、SとSをそれぞれ基本波モード振動と
2次高調波モード振動の周波数安定係数と呼ぶ。即ち、
=r/2Q とS=r/2Q で与えら
れる。
【0042】更に、本実施例の屈曲水晶振動子の音叉形
状と溝は化学的、物理的と機械的方法の内の少なくとも
一つの方法を用いて加工される。物理的方法では、例え
ば、イオン化した原子、分子を飛散させて加工するもの
である。又、機械的方法では、例えば、ブラスト加工用
の粒子を飛散させて加工するものである。
【0043】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の水晶振動子
とその製造方法を提供する事により多くの効果が得られ
ることを既に述べたが、その中でも特に、次の如き著し
い効果が得られる。 (1)音叉形状の屈曲水晶振動子の基本波モード振動の
フイガーオブメリットMが高調波モード振動のフイガ
ーオブメリットMより大きいので、高い周波数安定性
を有する基本波モードで振動する水晶振動子が得られ
る。 (2)音叉形状と溝をフォトリソグラフィ法と化学的エ
ッチング法によって形成でき、量産性に優れ、更に1枚
の水晶ウェハ上に多数個の振動子を一度にバッチ処理に
て形成できるので、安価な水晶振動子が得られる。と同
時に、それを具えた安価な水晶ユニットと水晶発振器が
実現できる。 (3)基本波モード振動のフイガーオブメリットM
高調波モード振動のフイガーオブメリットMより大き
い音叉形状の屈曲水晶振動子を具えて水晶発振器は構成
されるので、出力信号が基本波モード振動の周波数が得
られると共に、高い周波数安定性を有する水晶発振器が
実現できる。即ち、高い時間精度を有する水晶発振器が
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例の屈曲モードで振動する
音叉形状の水晶振動子の外観図とその座標系を示す。
【図2】 図1の音叉形状の屈曲水晶振動子の音叉基部
のD−D′断面図を示す。
【図3】 図1の音叉形状の屈曲水晶振動子の上面図を
示す。
【図4】 本発明の第2実施例の屈曲モードで振動する
音叉形状の水晶振動子の上面図である。
【図5】 本発明の第1実施例又は第2実施例の音叉形
状の屈曲水晶振動子を収納した水晶ユニットの一実施例
の断面図である。
【図6】 本発明の音叉形状の屈曲水晶振動子を搭載し
た水晶発振器を構成する水晶発振回路図の一実施例であ
る。
【図7】 図7は図6の帰還回路図を示す。
【図8】 図8は本発明の第1実施例又は第2実施例の
音叉形状の屈曲水晶振動子を搭載した水晶発振器の一実
施例の断面図を示す。
【図9】 従来の音叉形状の屈曲水晶振動子の斜視図と
その座標系を示す。
【図10】 図9の音叉形状水晶振動子の音叉腕の断面
図である。
【符号の説明】
溝幅 W 音叉腕の腕幅 W,W 音叉腕の部分幅 W 音叉腕の間隔 W 音叉腕の中立線を含む部分幅 1 溝の長さ 1 音叉基部の長さ 1 音叉形状の屈曲水晶振動子の全長 t 音叉腕又は音叉腕と音叉基部の厚み t 溝の厚み

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屈曲モードで振動する音叉腕と音叉基部
    とを具えて構成される音叉形状の屈曲水晶振動子で、前
    記音叉腕は上面と下面と側面とを有し、前記音叉形状の
    音叉腕に溝が設けられ、前記溝と前記音叉腕の側面に電
    極が配置され、前記溝の側面の電極とその電極に対抗す
    る音叉腕の側面の電極とが互いに異極で、かつ、前記音
    叉腕が逆相で振動するように溝と電極を構成し、更に、
    前記音叉形状の屈曲水晶振動子の基本波モード振動のフ
    イガーオブメリットMが高調波モード振動のフイガー
    オブメリットMより大きい事を特徴とする水晶振動
    子。
  2. 【請求項2】 屈曲モードで振動する音叉腕と音叉基部
    とを具えて構成される音叉形状の屈曲水晶振動子の製造
    方法で、前記音叉腕は上面と下面と側面とを有し、前記
    音叉形状の音叉腕に溝が設けられ、前記溝と前記音叉腕
    の側面に電極が配置され、前記溝の側面の電極とその電
    極に対抗する音叉腕の側面の電極とが互いに異極で、か
    つ、前記音叉腕が逆相で振動するように溝と電極を形成
    する工程、と前記音叉形状の屈曲水晶振動子を表面実装
    型あるいは円筒型のユニットに収納する工程、とを有
    し、前記音叉形状の屈曲水晶振動子の基本波モード振動
    のフイガーオブメリットMが高調波モード振動のフイ
    ガーオブメリットMより大きい事を特徴とする水晶振
    動子の製造方法。
JP2003040389A 2002-01-11 2003-01-14 水晶振動子と水晶振動子の製造方法 Pending JP2003273703A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003040389A JP2003273703A (ja) 2002-01-11 2003-01-14 水晶振動子と水晶振動子の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002-40795 2002-01-11
JP2002040795 2002-01-11
JP2003040389A JP2003273703A (ja) 2002-01-11 2003-01-14 水晶振動子と水晶振動子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003273703A true JP2003273703A (ja) 2003-09-26
JP2003273703A5 JP2003273703A5 (ja) 2005-06-09

Family

ID=29217958

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003040389A Pending JP2003273703A (ja) 2002-01-11 2003-01-14 水晶振動子と水晶振動子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003273703A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007329879A (ja) * 2006-06-09 2007-12-20 Kyocera Kinseki Hertz Corp 音叉型屈曲水晶振動片とその製造方法
JP2011097562A (ja) * 2009-10-01 2011-05-12 Seiko Epson Corp 振動片、振動子、発振器、及び電子機器
JP2011216924A (ja) * 2010-03-15 2011-10-27 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 圧電振動片および圧電デバイス
JP2013066211A (ja) * 2012-11-15 2013-04-11 Seiko Epson Corp 振動片、振動子、発振器、センサー及びデバイス
JP2014003711A (ja) * 2008-12-27 2014-01-09 Seiko Epson Corp 振動片、振動子、センサー及び電子部品
US9088264B2 (en) 2013-03-29 2015-07-21 Seiko Epson Corporation Resonator element, resonator, oscillator, electronic device, and moving object

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007329879A (ja) * 2006-06-09 2007-12-20 Kyocera Kinseki Hertz Corp 音叉型屈曲水晶振動片とその製造方法
JP2014003711A (ja) * 2008-12-27 2014-01-09 Seiko Epson Corp 振動片、振動子、センサー及び電子部品
JP2011097562A (ja) * 2009-10-01 2011-05-12 Seiko Epson Corp 振動片、振動子、発振器、及び電子機器
JP2011216924A (ja) * 2010-03-15 2011-10-27 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 圧電振動片および圧電デバイス
US8736152B2 (en) 2010-03-15 2014-05-27 Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. Piezoelectric vibrating pieces and associated devices exhibiting enhanced electrical field
JP2013066211A (ja) * 2012-11-15 2013-04-11 Seiko Epson Corp 振動片、振動子、発振器、センサー及びデバイス
US9088264B2 (en) 2013-03-29 2015-07-21 Seiko Epson Corporation Resonator element, resonator, oscillator, electronic device, and moving object

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005039767A (ja) 水晶振動子と水晶ユニットと水晶発振器
JP5531319B2 (ja) 水晶振動子と水晶ユニットと水晶発振器の各製造方法
JP2003273703A (ja) 水晶振動子と水晶振動子の製造方法
JP3749917B2 (ja) 水晶発振器の製造方法
JP4411494B2 (ja) 水晶振動子
JP4411495B2 (ja) 屈曲水晶振動子を備えた水晶ユニット
JP4074934B2 (ja) 水晶発振器とその製造方法
JP2003273696A (ja) 水晶ユニットの製造方法と水晶発振器の製造方法
JP2005094733A (ja) 振動子と振動子ユニットと発振器と電子機器とそれらの製造方法
JP2003273647A (ja) 水晶発振器とその製造方法
JP4074935B2 (ja) 水晶発振器と水晶発振器の製造方法
JP4697196B2 (ja) 水晶ユニットと水晶発振器の製造方法
JP4697190B2 (ja) 水晶振動子と水晶ユニットの各製造方法
JP4697190B6 (ja) 水晶振動子と水晶ユニットの各製造方法
JP4697196B6 (ja) 水晶ユニットと水晶発振器の製造方法
JP4411496B6 (ja) 水晶発振器を搭載した携帯機器とその製造方法
JP4411496B2 (ja) 水晶発振器を搭載した携帯機器とその製造方法
JP2003273695A (ja) 水晶ユニットと水晶発振器
JP2003273699A (ja) 水晶ユニットと水晶発振器
JP2005094734A (ja) 振動子と振動子ユニットと発振器と電子機器
JP2003273701A (ja) 水晶発振器
JP2003273697A (ja) 水晶発振器と水晶発振器の製造方法
JP2003273702A (ja) 水晶ユニット、その製造方法と水晶発振器
JP2004215205A (ja) 水晶ユニットと水晶発振器
JP2003229721A (ja) 水晶発振器

Legal Events

Date Code Title Description
A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Effective date: 20040216

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20040423

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040820

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20041102

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051004

A521 Written amendment

Effective date: 20051130

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Effective date: 20060704

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02