JP3157393B2 - 繊維成型高弾性クッション材 - Google Patents

繊維成型高弾性クッション材

Info

Publication number
JP3157393B2
JP3157393B2 JP18232794A JP18232794A JP3157393B2 JP 3157393 B2 JP3157393 B2 JP 3157393B2 JP 18232794 A JP18232794 A JP 18232794A JP 18232794 A JP18232794 A JP 18232794A JP 3157393 B2 JP3157393 B2 JP 3157393B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
low
compression
fibers
melting point
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18232794A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0849152A (ja
Inventor
吉田  誠
四郎 熊川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP18232794A priority Critical patent/JP3157393B2/ja
Publication of JPH0849152A publication Critical patent/JPH0849152A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3157393B2 publication Critical patent/JP3157393B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、3次元曲面形状あるい
は厚みをもった平面形状を有する各種乗物用座席や家具
クッション、寝具用マット、ベッド用マット等に用いる
クッション素材に使用する繊維成型高弾性クッション材
に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、乗物用座席や家具、寝具等に用い
られるクッション材の分野において、ポリウレタンフォ
ームは、製造時の有毒薬品やフロンの使用の問題や燃焼
時のシアンガス発生、使用後のリサイクル性が低い等の
問題から、熱可塑性繊維クッション材の使用が提案され
てきた。これらの繊維成型クッション材は、熱接着性繊
維を含有する短繊維をウェッブ化し、ついで圧縮し熱成
型する方法(たとえば、特公平1−18183号公報、
特開平4−126856号公報、特開平3−22035
4号公報等)や非弾性繊維を熱可塑性エラストマーで固
着したクッショ構造体(PCT/JP91/00703
号公報)等がある。また、特開平6−7562号公報で
は、ヘタリを改良する目的でブチレンテレフタレートと
の共重合ポリエステルよりなる繊維を用いることも提案
されている。
【0003】しかしながら、従来の熱可塑性繊維成型ク
ッション材は、圧縮の弾力性が低い、風合いが硬い、繰
り返し圧縮を受けたときの風合、硬さ、厚みの変化率が
大きい、接着点の破壊による形態変化を生じる等の欠点
があった。これらの課題を解決するために、低融点ポリ
マー組成の変更、低融点繊維の断面形状変更などが試み
られたが、繊維化の際の紡糸性の悪化、クッション構造
体内部の接着性不足、クッション特性不足等の問題があ
った(特開平4−126856号公報)。高融点繊維の
断面形状変更を試みたものでは、熱処理する際の潜在捲
縮の発現で成型収縮が大きくなることや、ウェッブ化の
際のカード工程でのトラブルやムラの発生が大きいとい
った欠点があった。また骨格繊維が通常のポリエステル
繊維であるため圧縮による歪が残りやすく耐久性が充分
でないという問題もあった(特開平3−220354号
公報)。また、低融点繊維を加工温度で全部融解せしめ
て、串玉状に接着することが試みられたが(特公平1−
18183号公報)、融着前に発生する低融点繊維の収
縮が大きいために、成型形状が安定せず、厚みムラや密
度ムラを生じ、この場合も、骨格繊維は通常のポリエス
テル繊維であるため、圧縮したときの弾力性が低く粗硬
で圧縮耐久性も低いという問題があった。
【0004】また、ブチレンテレフタレート共重合ポリ
エステルを用いたクッション構造体の場合は(特開平6
−7562号公報)、ブチレンテレフタレート共重合ポ
リエステルが通常のポリエチレンテレフタレートに比べ
て非晶部の割合が高いため引張モジュラスが低くなり、
10%伸長弾性回復率も低下する。その結果、得られる
クッション材の反撥性は低く、弾力性も低く、回復耐久
性も低くなる。また融点が低いので熱固定しにくい。収
縮率が高いので、熱成型での成型精度が低下する。骨組
繊維の融点が低いため、低融点繊維を融着させる熱成型
温度を高温に設定できず、そのために溶融接着部の物性
を高めることが困難となる。従って得られるクッション
材の耐久性も低くなる等の問題があった。
【0005】
【発明の目的】本発明は、従来の繊維成型クッション材
におけるかかる問題点を解決するためになされたもので
ある。すなわち、本発明の目的は、成型性が良く、弾力
性が大幅に改善され、繰り返し圧縮使用したときの物性
変化の少ない、耐久性の優れたクッション材を提供する
ことにある。
【0006】
【発明の構成】即ち本発明は、「(請求項1) ポリ−
1、4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート(PC
HT)捲縮短繊維が該短繊維より融点が40℃以上低い
融点を有する低融点短繊維により熱固着されてなる繊維
成型クッション材において、該ポリ−1、4−ジメチル
シクロヘキサンテレフタレート(PCHT)捲縮短繊維
の乾熱180℃における自由収縮率が0〜2%、引張モ
ジュラスが200〜350kg/mm2 、10%伸長弾
性回復率が68〜95%で、且つ捲縮度が34〜40%
であることを特徴とする繊維成型高弾性クッション材。
(請求項2) 低融点繊維の少なくとも一部がポリエス
テルエラストマーからなる請求項1記載の繊維成型高弾
性クッション材。(請求項3) 低融点繊維の繊維表面
の過半がポリエステルエラストマーにより覆われている
請求項1又は2記載の繊維成型高弾性クッション材。」
である。
【0007】本発明においては、捲縮短繊維としてポリ
−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート(P
CHT)を主たる構成成分とする捲縮短繊維を用いる。
【0008】この捲縮短繊維の乾熱180℃における自
由収縮率は0〜2%、引張モジュラスは200〜350
kg/mm2、10%伸長弾性回復率は68〜95%で
あることが必要である
【0009】この捲縮短繊維の断面形状は円形、偏平、
異形または中空のいずれであってもよい。また、異方冷
却やコンジュゲートによるスパイラル捲縮や押し込み捲
縮や両方の組み合わせによるω型捲縮であってもよい。
乾熱180℃における自由収縮率は成型の際に低いこと
が必要であり2%以下が必要である。更に好ましくは
1.5%以下である。この収縮率が高いと熱成型の際に
繊維成型体がモールドや設計寸法より収縮して成型され
精度が悪くなるばかりか、クッション材として変形に対
して余裕がない構造となるので耐久性や弾力性が低下す
る。
【0010】引張モジュラスは200〜350kg/m
2が必要であり、更に好ましくは220〜330kg
/mm2である。引張モジュラスが低いと繊維成型クッ
ション材の骨格繊維は圧縮に対して曲がりやすくなり圧
縮されたときの反撥性や弾力性が十分に発現しない。引
張モジュラスが高すぎると圧縮に対して骨格捲縮短繊維
が曲がりにくく繊維の交絡結合部に変形が集中し易くな
り、圧縮での残留歪みが大きくなり、接合部の破壊等の
ため耐久性が低下する。
【0011】上記捲縮短繊維の10%伸長弾性回復率は
68〜95%が必要であり、さらに好ましくは72〜8
8%である。この値が低すぎると、圧縮の際に繊維成型
クッション材の骨格捲縮短繊維は変形後も回復しにくく
なり圧縮変形後の回復が悪く圧縮での残留歪みが大きく
なり好ましくない。また、この値を高くするには分子配
向度や結晶化度やポリマーの重合度等を非常に大きくす
る必要があり、製造工程上の問題が障害となる。
【0012】上記捲縮短繊維は成型繊維クッション材の
骨格となるものであるから、嵩高いことが反撥性や弾力
性を発揮するために好ましい。ポリエステル系捲縮短繊
維単独の嵩高性(JIS−L−1097)は、0.5g
/cm2の荷重下で50cm3/g以上、10g/cm2
の荷重下で20cm3/g以上であることが好ましい。
これらの嵩が低いと、実用的な反撥性や弾力性が得られ
にくい。
【0013】上記捲縮短繊維の単糸繊度は2〜500デ
ニールの範囲が好ましく、更に好ましくは、4〜200
デニールである。単糸繊度が2デニールより小さいと嵩
高性が発揮されず、クッション性や反撥力が乏しくな
る。また500デニールよりも大きくなるとウェッブ化
が難しく、得られた繊維成型クッション材の構成本数が
少なくなり過ぎてクッション性の乏しいものしか得られ
ない。
【0014】上記捲縮短繊維の捲縮数は、4〜25個/
インチが好ましく、捲縮度は34〜40%の範囲にある
ことが必要である。捲縮数や捲縮度が小さ過ぎるとウェ
ッブ嵩が得られにくく、ウェッブ化が困難になる。得ら
れるクッション材も反撥性に乏しく、耐久性の低いもの
しか得られない。また、逆に捲縮数や捲縮度が大きすぎ
るとウェッブの嵩高性が大きくならず高密度のクッショ
ン材しか得られず、ウェッブ化の際に繊維の絡みが強く
筋状のムラ等が出来て好ましくない。
【0015】上記捲縮短繊維と低融点短繊維の融点差が
40℃未満では、加工温度が捲縮短繊維の融点に近くな
るので、捲縮短繊維の物性や捲縮特性が悪化しクッショ
ン性能が低下する。また成型時の収縮が大きすぎて好ま
しくない。低融点短繊維としては、共重合ポリエステル
系繊維や熱可塑性エラストマ−を含有する繊維やポリオ
レフィン系繊維、ポリビニルアルコ−ル系繊維等があ
る。特に繊維表面に低融点ポリマ−成分を有する複合繊
維は、形態保持安定性や、成形性が優れているので好ま
しい。複合形態は、サイドバイサイド型や芯鞘型、偏心
芯鞘型等が好ましい。低融点成分が表面に露出する断面
形態の方が好ましい。複合低融点繊維の非接着成分とし
ては、通常のポリエステルを用いるのが好ましいが、上
記捲縮短繊維を構成するポリマーと同一成分とするのが
特に好ましい。
【0016】しかし、熱融着成型された後、繰り返し圧
縮変形を受ける場合であって、圧縮量即ち変形量が大き
い場合、例えば、厚みの50%を越える変形を受けるよ
うなクッション用途では、熱固着点は変形応力が加えら
れたときは変形し易く、変形応力が除かれたときは、歪
みを残すことなく元の状態に復元できることが必要であ
る。繊維成型クッション体に大きな変形が加えられたと
きは、その交絡点にはより大きな角度変化や引き延ば
し、捩じれ等の変形が加わる。従って、交絡点を形成す
る熱固着ポリマ−には大きい変形回復特性が必要であ
り、破壊伸度が大きく、伸長回復特性の優れた熱可塑性
エラストマーによって構成されていることが必要であ
る。交絡点に、かかる特性を付与するには、一度成型さ
れた後に、すなわち、成型熱処理冷却後に再度圧縮処理
を施すのがより有効である。従来の低伸度、低伸長弾性
回復率の低融点ポリマーでは、圧縮率40%程度の圧縮
処理でも、結合点が僅かの変形で破壊され圧縮硬さが著
しく低下したり、繊維成型クッション体の厚みが初期に
想定した厚みより小さくなり、甚だしい場合には綿の様
になるなど形態寸法安定性が極めて低かった。熱可塑性
エラストマーは伸度や伸長回復性が大きいので、圧縮処
理による低下幅は小さく、初期低下も、使用中の低下も
小さい。
【0017】ポリエステル系エラストマーとしては熱可
塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アル
キレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして
共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合
体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタ
ル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン
2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボ
ン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルフォ
イソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン
酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ド
デカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、また
はこれらのエステル形成誘導体等から選ばれたジカルボ
ン酸の少なくとも一種と、1,4−ブタンジオール、エ
チレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサ
メチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメ
チレングリコール等の脂肪族ジオール、あるいは1,1
−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂
環族ジオール、またはこれらのエステル形成誘導体など
から選ばれたジオール成分の少なくとも一種、および平
均分子量が約400〜5000程度の、ポリエチレング
リコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオ
キシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)
グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドと
の共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランと
の共重合体等のポリ(アルキレンオキシド)グリコール
のうち少なくとも一種から構成される三元共重合体であ
る。
【0018】しかしながら、上記捲縮短繊維との接着性
や温度特性、強度、物性の面などからみて、ポリブチレ
ン系テレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキ
シテトラメチレングリコールをソフトセグメントとする
ブロック共重合ポリエーテルポリエステルが好ましい。
この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部
分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成
分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフ
タレートである。勿論、この酸成分の一部(通常30モ
ル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸
成分で置換されていてもよく、同様にグリコール成分の
一部はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分に置
換されていてもよい。また、ソフトセグメントを構成す
るポリエーテル成分は、テトラメチレングリコール以外
のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってもよ
い。なお、ポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収
剤、増粘分枝剤、艶消剤、着色剤、その他各種の改良剤
等も必要に応じて配合されていてもよい。
【0019】この低融点ポリマー短繊維の単糸繊度は、
2〜100デニールが好ましく、特に4〜100デニー
ルが好ましい。単糸繊度が小さいと結合点が増えすぎて
クッション性が出にくい。また大きすぎると、結合点が
少なすぎて反撥性が低すぎたり、使用中にばらけたりし
易くなる。繊維長は38〜255mm,捲縮は4〜50
個/インチが好ましい。この範囲から外れると、混綿が
困難になり、ウェッブ化が難しくなる。また、成型物の
クッション性能や圧縮耐久性も悪化する。低融点繊維の
混綿比率は10〜70重量%が好ましい。低融点繊維の
比率が10重量%より少ないと繊維構造体の接着点が少
なくなりすぎて、圧縮反撥性が低下し、圧縮耐久性も低
下する。また使用中、破壊され易い。比率が70重量%
より高くなると、繊維構造体の結合点の数が多すぎて、
良好なクッション性が得られず、低融点繊維の収縮のた
め予め設計した成型物の形状が得られにくくなる(一般
的に低融点繊維は、その低融点ポリマーの熱融着性のた
め製造上熱固定しにくく収縮が高い)。
【0020】クッション材の密度は0.005〜0.1
00g/cm3の範囲が好ましく、クッション材の厚み
は2cm以上が好ましい。もし密度が上記範囲よりも小
さいと、繊維密度が低すぎて、反撥性や圧縮耐久性が実
用的でなくなる。また密度がこの範囲よりも高いと、逆
に繊維密度や結合点の密度が大きすぎて固くなる。一
方、厚みが厚すぎるときは成型工程上の問題とともに、
ポリマー劣化の問題も出てくる。また厚みが薄すぎると
クッション性が発揮されない。
【0021】本発明では、特定条件のジメチルシクロヘ
キサンテレフタレート捲縮短繊維と低融点短繊維とを混
綿しカードなどで開繊しウェッブ化した後、通気性を有
するモールドにウェッブを詰め込むか、パンチングプレ
ートで構成される平板やキャタピラー式の上下コンベア
ーにウェッブを挟み込み、低融点繊維の融点より高く
捲縮短繊維の融点よりも低い温度で加圧、加熱処理を
行って低融点ポリマーを融解し低融点繊維と捲縮短繊維
との交絡点や低融点繊維同志の交絡点の少なくとも一部
を加圧・加熱処理し熱融着することによって所定形状の
繊維形成クッション材を得る。
【0022】ここで本発明では、加圧加熱熱処理後に冷
却するが、より高温での安定性や物性を安定させるため
に冷却中に低融点繊維の融点以下の一定温度に保った
り、あるいは冷却後に低融点繊維の融点以下の温度に再
加熱するのが好ましい。また冷却後、再圧縮して不完全
な接着部を予め取り除いておくことも好ましい方法であ
る。この圧縮処理において、圧縮率(初期の0.5g/
cm2の荷重で測定したクッション材の厚みに対する厚
み方向の圧縮量)は40〜95%が好ましい。
【0023】
【発明の効果】本発明における繊維成型クッション材
は、従来の繊維成型クッション材とくらべて、収縮性や
伸長弾性回復特性、引張モジュラスが特定範囲にある骨
格繊維を用いて成型されたクッション材であるために、
成型工程での収縮が小さく寸法精度が高く圧縮に対する
弾力性が極めて高く、また、繰返し大変形が加わるクッ
ション材においても変形回復性が優れているので耐久性
が極めて高い。
【0024】本発明のクッション材は全て熱可塑性繊維
で構成されているため、使用後にメルトして再び新たな
繊維や成型プラスチック等にリサイクル可能である。再
度、クッション材の骨格繊維にすることや低融点繊維の
一部の非接着の成分にすることも可能である。また燃焼
での有毒ガスなどの発生も少ない。従って、これらの熱
処理によって得られるクッション材は三次元曲面形状あ
るいは厚みを持った平面状のクッション材、例えば、乗
り物用座席、家具クッション、寝具用マット、ベット用
マット等に使用する繊維成型クッション材として好適で
ある。
【0025】以下に実施例により本発明を説明する。な
お、実施例における各評価項目はそれぞれ下記の方法に
従って評価した。
【0026】<捲縮性能:捲縮数、捲縮度> JIS−L−1015
【0027】<クッション材の硬さ、密度> JIS−K−6401
【0028】<圧縮残留歪み> JIS−K−6401
【0029】<8万回圧縮残留歪み> JIS−K−6401
【0030】<8万回硬さ保持率> 初期に75%予備圧縮後再び25%圧縮したときの圧縮
応力(F0)とJIS−K−6401により8万回繰り
返し圧縮を行い、30分放置後、75%予備圧縮後、再
び25%圧縮したときの圧縮応力(F1)を求め、(F
1/F0)×100(%)で算出した。
【0031】<融点> Dnpont社製、熱示差分析計990型を使用し、昇
温20℃/分で測定し、融解ピークを求めた。融解温度
がハッキリ観測されない場合は、微量融点測定装置(柳
本製作所製)を用い、約3gのポリマーを2枚のカバー
ガラスに挟み、ピンセットで軽く押さえながら、昇温速
度20℃/分で昇温し、ポリマーの熱変化を観測する。
その際ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)
をここでは融点とした。
【0032】<ウェッブの嵩性> JIS−L−1097
【0033】<クッション材の圧縮ヒステリシス・ロス
率> JIS−K−6401の5.4.3項に従い、75%予
備圧縮後、75%迄圧縮し、直ちに、圧縮速度と同じ速
度で除重し、圧縮過程での圧縮エネルギー量S0(0%
から75%までの圧縮の応力〜歪カーブと応力ゼロとの
面積)と回復過程での回復エネルギー量S1(75%か
ら0%迄の回復の応力〜歪カーブと応力ゼロとの面積)
とから下式で求めた。 [(S0−S1)/S0]×100(%)
【0034】<モジュラス> JIS−L−1074に従い初期引張抵抗度をそのまま
用いた。
【0035】<10%伸長弾性回復率> JIS−L−1074の6.9項法に従い、伸長率を初
荷重の10%とした以外は同様にして行なった。
【0036】<中空率> 短繊維を引き揃え、パラフィンで固めたのち、ミクロト
ームで繊維の断面方向に5ミクロンの長さに切り出し
た。次に繊維の断面を顕微鏡で写真撮影し、繊維の断面
全体の面積S及び中空部の面積S0を測定し、下記式で
中空率を算出した。同じ測定を20回繰り返し、その平
均値を評価値とした。 中空率=(S/S0)×100
【0037】
【実施例1】テレフタル酸とイソフタル酸とを88/1
2(モル%)で混合した酸成分とブレングリコールと
を重合し、得られたポリブチレン系テレフタレート38
%(重量%)を更にポリテトラメチレングリコール(分
子量2000)62%(重量%)と加熱反応させ、ブロ
ック共重合ポリエステルエラストマーを得、常法に従っ
てチップ化した。この熱可塑性エラストマーの融点は1
69℃であった。
【0038】この熱可塑性ポリエステルエラストマーを
シースに、常法により得られたポリブチレンテレフタレ
ート(融点224℃)がコアになるようにして、シース
/コアの重量比で50/50の複合繊維を常法により紡
糸した。なお、この複合繊維は、偏心シース・コア型複
合繊維である。この繊維を2.0倍に延伸したのち、8
0℃で乾燥・捲縮発現、油剤を付与し、64mmに切断
した。ここで得られた複合低融点繊維のデニールは9デ
ニール、捲縮数は16個/インチ、捲縮度は30%であ
った。
【0039】捲縮短繊維として、ジメチレンテレフタレ
ートとシクロヘキサンジメタノールとを常法により重合
したポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレ
ート(PCHT)を溶融紡糸して得た25デニール、丸
断面、繊維長75cm(イーストマンコダック社製、コ
ーデル、タイプ231)を用いた。
【0040】この捲縮短繊維の特性は、180℃乾熱収
縮率が0.3%、10%伸長弾性回復率は76%、引張
モジュラスは286kg/mm2であった。なお、融点
は290℃であった。
【0041】この複合低融点繊維30%(重量)と、コ
ーデル繊維系捲縮短繊維(捲縮数9個/インチ、捲縮度
34%、0.5g/cm2荷重で75cm3/g、10g
/cm2の荷重で30cm3/g)70%(重量)とを混
綿し、カードによって、ウェッブ化し、積層し積層ウェ
ッブを得た。このウェッブを、厚み5cm、密度0.0
38g/cm3になるように平板形の通気性モールドに
挟み込み、200℃の熱風炉で5分間加圧・加熱処理
し、続いて、室温で冷却した。得られたクッション材の
風合いはソフトで粗硬感がなく圧縮ヒステリシス・ロス
も小さくて、非常に弾力性があった。得られたクッショ
ン材の性能を表1、表2、表3に示す。このクッション
材の耐久性(8万回圧縮)、高温雰囲気での耐久性(7
0℃圧縮残留歪)は、非常に良好であった。8万回圧縮
処理後のクッション材は、初期と比較しても変化がわか
りにくい感触で、耐久性が非常に良好であった。
【0042】
【比較例1】常法によって得られたポリ−1,4ジメチ
ルシクロヘキサンテレフタレート(PCHT)を用いて
常法により繊維化を行なった後フリーの熱処理の条件を
実施例1より低温で行なった以外は同様にしてポリエス
テル系捲縮短繊維を得た。この繊維は180℃の乾熱収
縮率はやや高めであった。この繊維を用いて実施例1と
同様にして繊維成型クッション材を得た。得られたクッ
ション材は成型収縮が大きかったため、設計の0.03
8g/cm3より高密度(0.042g/cm3)であ
り、成型品の下側が高密度傾向であった。また得られた
クッション材は圧縮ヒステリシス・ロス率が高めで感触
的にも実施例1のサンプルより弾力性がなかった。一
8万回圧縮耐久性もやや低く、クッション材としてはや
や劣っていた。結果を表1、表2、表3に示す。
【0043】
【比較例2】延伸温度、延伸倍率を高めに変更して実施
例1と同様にして捲縮短繊維を得た。この捲縮短繊維は
引張モジュラスがやや高めであった。この捲縮短繊維を
用いて実施例1と同様に平板クッション材を得た。得ら
れたクッション材の性能を表1、表2、表3に示す。こ
のクッション材の硬さはやや高めで、弾力性も圧縮ヒス
テリシス・ロス率は低目で比較的弾力性は高かった。し
かし、8万回の圧縮耐久性は低く、繊維の引張モジュラ
スが高いため、歪が接着エラストマーポリマーに集中し
易いことが考えられた。このクッション材は耐久性に問
題があると判断された。結果を表1、表2、表3に示
す。
【0044】
【比較例3】常法によって得られたポリブチレンテレフ
タテート(PBT)を紡糸・延伸・押し込み捲縮付与・
油剤付与・フリー熱セットしたのちカットし、捲縮短繊
維をえた。得られた捲縮短繊維の10%伸長弾性回復率
は非常に良好で、回復しやすい特性が出やすかった。し
かし、引張モジュラスは低く、この引張モジュラスは延
伸倍率をあげて、通常の条件ではあがらなかった。この
捲縮短繊維を用いて実施例1と同様にして繊維成型クッ
ション材を得た。得られたクッション材の性能を表1、
表2、表3に示すが、このクッション材の圧縮硬さは低
く、非常に軟らかな物しか得られなった。また圧縮ヒス
テリシス・ロス率も高く、弾力性も非常に低かった。一
方、8万回圧縮耐久性は低く、クッション材には不向き
であった。
【0045】
【比較例4、5、6】常法によって得られたポリエチレ
ンテレフタレート(PET)を紡糸・延伸・押し込み捲
縮付与・油剤付与・フリー熱セットしたのちカットし、
捲縮短繊維を得た。得られた捲縮短繊維の引張モジュラ
スは高く、また10%伸長弾性回復率はやや低かった。
この繊維を用いて、実施例1と同様に成型したクッショ
ン材は圧縮硬さは高かったが、圧縮ヒステリシス・ロス
率は高く、弾力性は乏しく、8万回圧縮耐久性も低めで
あり、クッション材として劣っていた(比較例4)。結
果を表1、表2、表3に示す。一方、10%伸長弾性回
復率を高めるために、延伸倍率を上げたところ、引張モ
ジュラスが高くなりすぎた。この捲縮短繊維の捲縮度は
低かった。綿の嵩性も低いものであった。そのため成型
されたクッション材の圧縮硬さは非常に低く、圧縮ヒス
テリシス・ロス率も低いために弾力性は非常に劣ってい
た。又、耐久性も低く、クッション材として劣るもので
あった(比較例5)。結果を表4、表5、表6に示す。
更に、熱処理条件や延伸倍率を変更して、引張モジュラ
スを下げたところ10%伸長弾性回復率が低くなった。
この繊維を用いた繊維成型クッション材は、圧縮ヒステ
リシス・ロス率が非常に高く、弾力性に乏しく、8万回
の圧縮耐久性も著しく低くクッション材には不適であっ
た(比較例6)。結果を表4、表5、表6に示す。
【0046】
【比較例7、8、9】実施例1と同様に実施して、成型
後密度を0.004g/cm3になるように成型しよう
としたが、ウェッブの反撥性がなく、成型の通気モール
ドに加圧圧縮した状態にならず、成型がうまくできなか
った(比較例7)。
【0047】また、実施例1と同様に実施して厚みが2
mmとなるように成型したが、得られたクッション材の
感触は弾力性が感じられなかった(比較例8)。
【0048】一方、厚みが120cmとなるように成型
したが成型時間に2時間かけても内部まで充分接着して
おらず、内部はウェッブの状態のままで残り、均一な加
工ができず、製造は困難であった(比較例9)。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−179549(JP,A) 特開 平5−261184(JP,A) 特開 平6−184898(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00 B68G 7/00 - 7/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ−1、4−ジメチルシクロヘキサン
    テレフタレート(PCHT)捲縮短繊維が該短繊維より
    融点が40℃以上低い融点を有する低融点短繊維により
    熱固着されてなる繊維成型クッション材において、該ポ
    リ−1、4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート
    (PCHT)捲縮短繊維の乾熱180℃における自由収
    縮率が0〜2%、引張モジュラスが200〜350kg
    /mm2 、10%伸長弾性回復率が68〜95%で、且
    つ捲縮度が34〜40%であることを特徴とする繊維成
    型高弾性クッション材。
  2. 【請求項2】 低融点繊維の少なくとも一部がポリエス
    テルエラストマーからなる請求項1記載の繊維成型高弾
    性クッション材。
  3. 【請求項3】 低融点繊維の繊維表面の過半がポリエス
    テルエラストマーにより覆われている請求項1又は2
    の繊維成型高弾性クッション材。
JP18232794A 1994-08-03 1994-08-03 繊維成型高弾性クッション材 Expired - Fee Related JP3157393B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18232794A JP3157393B2 (ja) 1994-08-03 1994-08-03 繊維成型高弾性クッション材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18232794A JP3157393B2 (ja) 1994-08-03 1994-08-03 繊維成型高弾性クッション材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0849152A JPH0849152A (ja) 1996-02-20
JP3157393B2 true JP3157393B2 (ja) 2001-04-16

Family

ID=16116373

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18232794A Expired - Fee Related JP3157393B2 (ja) 1994-08-03 1994-08-03 繊維成型高弾性クッション材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3157393B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4001983B2 (ja) * 1997-09-04 2007-10-31 帝人ファイバー株式会社 繊維構造体
JP4366638B2 (ja) * 2003-09-24 2009-11-18 東洋紡績株式会社 接着可能な不織布およびその製造方法
JP4366639B2 (ja) * 2003-09-24 2009-11-18 東洋紡績株式会社 収縮異方性不織布及びその利用
JP4366640B2 (ja) * 2003-09-24 2009-11-18 東洋紡績株式会社 高収縮性不織布およびその利用
KR102424160B1 (ko) * 2020-09-10 2022-07-22 주식회사 필드글로벌 배수성이 우수한 충격흡수패드

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0849152A (ja) 1996-02-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5183708A (en) Cushion structure and process for producing the same
JP4439064B2 (ja) 吸音用繊維構造体の製造方法
JP3157393B2 (ja) 繊維成型高弾性クッション材
JP4043492B2 (ja) 耐ヘタリ性の改善された硬綿構造体
JP3150846B2 (ja) 繊維成型クッション材
JP3092679B2 (ja) クッション材
JPH05311559A (ja) 新規高性能クッション構造体およびその製造方法
JPH04240219A (ja) クッション材
JP3233227B2 (ja) クッション材及びその製法
JP4065627B2 (ja) 衛生材料
JP3275974B2 (ja) ポリエステル系低収縮熱接着繊維
JP3879289B2 (ja) クッション材用ポリエステル短繊維の製造方法およびクッション材の製造方法
JP3935776B2 (ja) クッション構造体の製造方法
JP3793301B2 (ja) 耐ヘタリ性の改善された硬綿構造体
JPH05156561A (ja) クッション構造体およびその製造方法
JP3641650B2 (ja) 繰り返し大変形に対する耐久性が改善された成型クッション材及びその製造方法
JP2941539B2 (ja) クッション構造体およびその製造方法
JPH05179549A (ja) クッション構造体およびその製造方法
JP5027442B2 (ja) 繊維クッション材の製造方法
JP3454363B2 (ja) 繊維構造体及びその製法
JP2713667B2 (ja) クッシヨン材
JPH09143848A (ja) 寝具用敷物
JP2001098452A (ja) 再度の熱処理により性能が復元されるクッション材
JP3747654B2 (ja) 熱接着繊維およびクッション材
JPH07126973A (ja) 繊維成型クッション材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080209

FPAY Renewal fee payment

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090209

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090209

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100209

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110209

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees