JP3141769B2 - 絶縁ゲート型サイリスタ及びその製造方法 - Google Patents

絶縁ゲート型サイリスタ及びその製造方法

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JP3141769B2
JP3141769B2 JP08024973A JP2497396A JP3141769B2 JP 3141769 B2 JP3141769 B2 JP 3141769B2 JP 08024973 A JP08024973 A JP 08024973A JP 2497396 A JP2497396 A JP 2497396A JP 3141769 B2 JP3141769 B2 JP 3141769B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力用スイッチン
グ素子として用いられる絶縁ゲート型サイリスタ及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】サイリスタはその低オン電圧特性から、
大容量用途に必要不可欠な素子として使われてきた。そ
して今日、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタが、
高電圧・大電流領域用素子として多く使われている。し
かしながら,GTOサイリスタは、ターンオフに多大
なゲート電流を必要とする、すなわちターンオフゲイン
が小さい、安全なターンオフのために大きなスナバ回
路が必要である等、その欠点が顕在化してきている。ま
た、GTOサイリスタはその電流・電圧特性において,
電流飽和特性を示さないことから,負荷短絡保護のため
にヒューズ等の受動部品をつながなくてはならず,シス
テムの小型化・コストの削減の大きな障害となってい
る。V.A.K.Temple 氏がIEEE IEDM Tech.
Dig.1984.p282 に発表した電圧駆動型サイリスタであ
るMOS ControlledThyristor(MCT)は、以来世界の様々な
研究機関において、その特性解析、改善が行われてい
る。これはMCTが電圧駆動型であるため、GTOサイ
リスタに比べ、格段に容易なゲート回路で済み、かつ低
オン電圧特性を示すことによる。しかしMCTは、GT
Oサイリスタと同様に、電流飽和特性を示さないため、
実際に使用する際にはヒューズ等の受動部品が必要とな
る。M.S.Shekar氏等は、IEEE Electron Devic
e Lett. vol.12 (1991) p387 にDual Channel型 Emitt
er Switched Thyristor (EST−1)が高電圧領域ま
で電流飽和特性を示すことを実測により示した。さら
に,発明者らは、Proc. IEEE ISPSD ’93,
p71 とProc. IEEE ISPSD ’94,p195 に、
このESTのFBSOA(順バイアス安全動作領域)、
RBSOA(逆バイアス安全動作領域)の解析結果を発
表し、電圧駆動型サイリスタにおいて,初めて負荷短絡
時の安全動作領域を有する素子開発に道を開いた。図4
1に、このESTの素子構造を示す。
【0003】この図に見られるように、この素子は、p
エミッタ層1の上にnバッファ層2を介して設けられた
nベース層3の表面層に、第一pベース領域4およびそ
の一部を占め拡散深さの深いp+ ベース領域5ならびに
第二pベース領域6が形成され、第一pベース領域4の
表面層にnソース領域7、第二pベース領域6の表面層
にnエミッタ領域8がそれぞれ形成されている。第一p
ベース領域4のnソース領域7とnベース層3の露出部
とに挟まれた部分から、第二pベース領域6のnエミッ
タ領域8とnベース層3の露出部とに挟まれた部分にわ
たってゲート酸化膜9を介してゲート電極10が設けら
れている。しかし、いずれもZ方向の長さが有限で、そ
の外側で第一pベース領域4と第二pベース領域6は連
結され、さらにその外側にL字型にp+ ベース領域5が
形成されている。そしてp+ ベース領域5の表面に接触
するカソード電極11は、nソース領域7の表面にも共
通に接触している。一方、pエミッタ層1の裏面には全
面にアノード電極12が設けられている。
【0004】この素子のカソード電極11を接地し,ア
ノード電極12に正の電圧を印加した状態でゲート電極
10に正の電圧を加えると,ゲート酸化膜9の下に反転
層(一部蓄積層)が形成され,横型MOSFETがオン
する。これにより,まず電子がカソード電極11からn
ソース領域7を経て第一pベース領域4の表面層のチャ
ネルを通り、nベース層3に供給される。この電子は、
pエミッタ層1、nバッファ層2およびnベース層3、
第一、第二pベース領域4、6およびp+ ベース領域5
よりなるpnpトランジスタのベース電流として働き,
それによってこのpnpトランジスタが動作する。正孔
は、pエミッタ層1から注入され,nバッファ層2、n
ベース層3を通って一部第二pベース領域6へと流れ
る。そして,nエミッタ領域8の下をZ方向に流れてカ
ソード電極11へと抜けていくIGBTモードとなる。
電流がさらに増加すると、nエミッタ領域8と第二pベ
ース領域6間のpn接合が順バイアスされ、pエミッタ
層1、nバッファ層2およびnベース層3、第二pベー
ス領域6およびnエミッタ領域8からなるサイリスタ部
がラッチアップの状態になる。このESTをオフするに
は,ゲート電極10の電位を横型MOSFETのしきい
値以下に下げ,このMOSFETをオフする。そうする
ことにより、nエミッタ8はカソード電極11から電位
的に切離され、サイリスタ動作が止まる。
【0005】図42、43は、M.S.Shekar氏らの発
明にかかるUS.Patent No.5,317,171(May 31,1994)お
よびUS.Patent No.5,319,222(June 7,1994)に記載さ
れた改良型ESTである。特に図43の改良型EST
は、図41に示したESTと異なり、より低オン電圧化
を目指したものである。図44はL.Leipold 氏らの発
明にかかるUS.Patent No.4,502,070(Feb.26,1985)に
記載されたFET制御サイリスタである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の説明からわかる
ように、図41に示したESTは第二pベース領域6を
Z方向に流れる正孔を利用して、第二pベース領域6と
nエミッタ領域8との間のpn接合を順バイアスしてい
るため、カソード電極11と第二pベース領域6との接
触部に近づくにつれ、前記順バイアスの度合いが小さく
なる。つまり、前記のpn接合において、nエミッタ領
域8からの電子の注入量がZ方向に沿って均一でないと
いうことである。このようなオン状態から、このEST
をオフすると、当然順バイアスの浅いカソード電極11
との接触部近くの接合から回復してゆき、カソード電極
11との接触部から遠い部分が、なかなか回復しない。
このことは、オフ時における電流集中を招き易く、ター
ンオフ時の破壊耐量が小さくなってしまう。
【0007】図42の素子の動作原理は図41のEST
と変わらないが、カソード電極11がY方向に延びて第
二pベース領域6の表面に直接接触しているので、ター
ンオフ速度が速くでき、かつZ方向の正孔電流を利用し
ていないので、均一なオンが可能である。しかし、サイ
リスタ動作時にnエミッタ領域8と第二pベース領域6
との間のpn接合がオンしても、今度は水平方向(Y方
向)に少数キャリアの注入の不均一が起こり、予期した
ほどオン電圧が下がらない。これを解決するために、例
えば第二pベース領域6の不純物濃度を下げて、その抵
抗を上げたとすると、順方向耐圧時にnエミッタ領域8
に空乏層がパンチスルーしてしまい、十分な耐圧がでな
い。
【0008】図43に示した素子は、さらにオン電圧を
下げるために、nエミッタ8が第二pベース領域6より
はみ出す構造となっているが、この構造では順方向耐圧
がでないという欠点がある。図44に示した素子は、n
エミッタ領域8、第二pベース領域6をカソード電極1
1から完全に切り離して、上記課題の解決を図ってい
る。しかしながらnエミッタ領域8、第二pベース領域
6の両方が電位的に浮いた状態となっているため、順方
向電圧印加時に空乏層が第二pベース領域6からは拡が
らず、改良型ESTに比べ耐圧特性が劣るという欠点が
ある。
【0009】以上の問題に鑑みて本発明の目的は、ター
ンオフ時にpn接合を均一に回復できる構造を有してタ
ーンオフ耐量が大きく、オン電圧が小さく、かつ耐圧特
性の良好な絶縁ゲート型サイリスタを提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の絶縁ゲート型サイリスタは、高比抵抗の
第一導電型ベース層と、その第一導電型ベース層の一面
側の表面層に選択的に離れて形成された第一、第二の第
二導電型ベース領域と、第一の第二導電型ベース領域の
表面層に選択的に形成された第一導電型ソース領域と、
第二の第二導電型ベース領域の表面層に選択的に形成さ
れた第一導電型エミッタ領域と、第一導電型のソース領
域およびエミッタ領域間に挟まれた第一の第二導電型ベ
ース領域の表面、第一導電型ベース層の露出部および第
二の第二導電型ベース領域の表面上に絶縁膜を介して形
成されたゲート電極と、第一の第二導電型ベース領域の
露出部と第一導電型ソース領域とに共通に接触する第一
主電極と、第一導電型ベース層の他面側に形成された第
二導電型エミッタ層と、その第二導電型エミッタ層に接
触する第二主電極とを備えたものにおいて、第二の第二
導電型ベース領域の表面全面が絶縁膜で覆われ、第一導
電型エミッタ領域の表面上に第一主電極と接続される抵
抗体を有するものとする。
【0011】また、高比抵抗の第一導電型ベース層と、
その第一導電型ベース層の一面側の表面層に選択的に離
れて形成された第一、第二の第二導電型ベース領域と、
第一の第二導電型ベース領域の表面層に選択的に形成さ
れた第一導電型ソース領域と、第二の第二導電型ベース
領域の表面層に形成された第一導電型エミッタ領域と、
第一導電型エミッタ領域と第一導電型ソース領域との間
の半導体層を第一、第二の第二導電型ベース領域より深
く掘り下げたトレンチと、そのトレンチ内にゲート絶縁
膜を介して形成されたゲート電極と、第一の第二導電型
ベース領域の露出部と第一導電型ソース領域とに共通に
接触する第一主電極と、第一導電型ベース層の他面側に
形成された第二導電型エミッタ層と、その第二導電型エ
ミッタ層に接触する第二主電極とを備えたものにおい
て、第一導電型エミッタ領域の表面上に第一主電極と接
続される抵抗体を有するものでもよい。
【0012】そのようにすれば、絶縁ゲートに電圧を印
加しゲート電極の直下に反転層が生じさせたとき、第一
導電型エミッタ領域が、MOSFETのチャネル領域を
介して第一主電極と同電位になり、第一導電型エミッタ
領域、第二の第二導電型ベース層領域、第一導電型ベー
ス層および第二導電型エミッタ層からなるサイリスタが
オンする。このとき第一導電型エミッタ領域全体から均
一に電子の注入がおこるため、速やかにサイリスタモー
ドに移行し、オン電圧が低くなる。従来のESTのよう
に第二の第二導電型ベース領域をZ方向に流れる正孔電
流が必要でない。逆にターンオフ時には、pn接合の回
復が均一に行われ、電流の集中がなく、破壊耐量が大き
くなる。
【0013】しかも第一導電型エミッタ領域がほぼ第一
主電極と同電位に保たれるので、オフ時のキャリアの掃
き出しが速やかに行われる。特に、このトレンチゲート
構造のものは、トレンチ側面に沿ってチャネル領域が形
成でき、セルピッチを大幅に低減できる。第一と第二の
第二導電型ベース領域が、互いに対向してほぼストライ
プ状であるか、または第一、第二の第二導電型ベース領
域、第一導電型ソース領域、第一導電型エミッタ領域の
少なくとも一つが、多角形、円形又は楕円形のいずれか
とするのがよい。
【0014】そのようにすれば、半導体基板の利用効率
が高められ、また電流の分布が均一化され、熱的なバラ
ンスもよくなる。そして、第二の第二導電型ベース領域
を囲むように、第一の第二導電型ベース領域およびその
表面層の第一導電型ソース領域が形成され、或いは、第
二の第二導電型ベース領域の周囲に、複数の第一の第二
導電型ベース領域およびその表面層の第一導電型ソース
領域が形成されているものがよい。
【0015】そのようにすれば、第一導電型エミッタ領
域からチャネル領域を通って第一導電型ソース領域に流
れる電流が分散され、電流集中することがない。第二の
第二導電型ベース領域表面上の絶縁膜を囲むようにほぼ
環状のゲート電極が設けられ、そのゲート電極を挟んだ
反対側に絶縁膜を介して第一主電極が設けられているも
のとする。
【0016】そのようにすれば、ゲート電極の下の第一
導電型半導体層の表面層に蓄積層が形成され、オン電圧
が低くなる。また、表面層に第一導電型ソース領域が形
成されていない第一の第二導電型ベース領域を有するも
のとする。そのようにすれば、その部分がキャリアの引
き抜き孔として働くため、寄生サイリスタのラッチアッ
プ耐量が増し、可制御電流が増大する。
【0017】そして、表面層に第一導電型ソース領域が
形成されていない第一の第二導電型ベース領域上のゲー
ト電極の幅を、第一導電型ソース領域が形成されている
第一の第二導電型ベース領域上のゲート電極の幅より小
さいものとすれば、キャリアの引き抜き孔としてより有
効に働く。第一主電極と第一の第二導電型ベース領域お
よび第一導電型ソース領域との接触部の形状が、または
多角形、円形又は楕円形のいずれかであることがよい。
【0018】そのようにすれば、半導体基板の利用効率
が高められ、また電流の分布が均一化され、熱的なバラ
ンスもよくなる。また、第二の第二導電型ベース領域を
囲むように、一部を欠いた環状のゲート電極を有するユ
ニットが複数個形成され、そのゲート電極の切り欠け部
を通じて、隣接ユニットと連続する第一の第二導電型ベ
ース領域、第一導電型ソース領域およびカソード電極が
形成されているものとする。
【0019】そのようにすれば、第一の第二導電型ベー
ス領域および第一導電型ソース領域の面積が広くでき、
オン電圧の低減が図れる。第一導電型ソース領域の表面
の第二の第二導電型ベース領域に近い部分が絶縁膜で覆
われ、第二の第二導電型ベース領域から遠い部分にカソ
ード電極が接触するものとする。
【0020】そのようにすれば、第一導電型エミッタ領
域からゲート電極直下のチャネル領域を通って第一導電
型ソース領域に流れる電流が、第一導電型エミッタ領域
に近い部分には流れず、寄生サイリスタのラッチアップ
耐量が大きくなり、可制御電流が増大する。ゲート電極
の一方の端の下の第一導電型ソース領域の少なくとも一
部が、断続しているものとする。
【0021】そのようにすれば、第一導電型ソース領域
のない第一の第二導電型ベース領域が、キャリアの引き
抜き孔として働き、寄生サイリスタがラッチアップ耐量
を増大させる。両端を二つの第一導電型ソース領域上に
置くゲート電極の幅が、両端を第一導電型ソース領域上
と第一導電型エミッタ領域上とに置くゲート電極の幅よ
り広いものとする。
【0022】そのようにすれば、オン動作の初期に接合
型FET作用による抵抗を大きくせずに、オン時のチャ
ネル抵抗を低減できる。ゲート酸化膜の直下の第一導電
型ベース層の表面層の一部に、第一導電型ベース層より
不純物濃度の高い第一導電型補助領域を有するものとす
る。そのようにすれば、オン時のチャネル抵抗を低減す
るとともに、ターンオフ時の電流分散を促し、電流集中
を抑制する。
【0023】第二の第二導電型ベース領域の拡散深さ
が、第一の第一導電型ベース領域のそれより深く、第一
導電型エミッタ領域の拡散深さが、第一導電型ソース領
域のそれより深いものとする。そのようにすれば、サイ
リスタ部のnpnトランジスタの電流増幅率が大きく、
オン電圧は小さくなる。
【0024】更に、ライフタイムキラーが局在化されて
いるものとする。そのようにすれば、キャリアのライフ
タイム分布を最適に制御でき、不要な部分にライフタイ
ムキラーが存在しないので、オン電圧の増大等の悪影響
が避けられる。高比抵抗の第一導電型ベース層と第一導
電型ベース層の他面側に形成された第二導電型エミッタ
層との間に、第一導電型ベース層より不純物濃度の高い
第一導電型バッファ層を有するものとする。
【0025】そのようにすれば、電圧印加時に空乏層を
第一導電型ベース層全体に拡げることができ、高耐圧素
子に適する構造となる。第二導電型エミッタ層の表面層
に、厚さの薄い第二導電型高不純物濃度層を有するもの
とする。そのようにすれば、第二主電極との接触抵抗を
下げることができる。
【0026】本発明の絶縁ゲート型サイリスタの製造方
法として、第二導電型エミッタ層の表面層に、イオン注
入法により厚さの薄い第二導電型高不純物濃度層を形成
するものとする。イオン注入法をとれば、表面層に極め
て厚さの薄い高不純物濃度層を容易に形成できる。
【0027】
【発明の実施の形態】上記の課題解決のため、ESTを
発展させた様々な絶縁ゲート型サイリスタを試作した。
その過程において、発明者等は第一の主電極を第二の第
二導電型ベース領域に接触させる必要がないこと、そし
て第二の第二導電型ベース領域の表面を絶縁膜で覆い、
第一導電型エミッタ領域の表面上に第一主電極と接続さ
れる抵抗体を設けた素子でもサイリスタモードに移行
し、オン電圧とターンオフ時間とのよいトレードオフ特
性を示すことを見いだした。更に、平面的なパターンに
ついても検討を重ねた。
【0028】その結果に基づき、第一、第二の第二導電
型ベース領域の配置としては、ストライプ状にして対向
させても、多角形、円形、楕円形としてもよい。特に第
二の第二導電型ベース領域を囲むように第一の第二導電
型ベース領域を配置すると、電流の集中が抑えられ、ト
レードオフ特性が向上する。第二の第二導電型ベース領
域の周囲に複数の第一の第二導電型ベース領域を配置す
ることもよい。ゲート電極をトレンチに埋め込んだ形の
トレンチゲート型とすることもできる。
【0029】電流の集中を防止するために、更に、ゲー
ト電極の幅を場所によって変える方法、第一導電型ベー
ス層表面に選択的な高濃度領域を形成する方法、ゲート
電極の端の下の第一導電型ソース領域を断続させる方法
や、第二の第二導電型ベース領域に近い部分の第一導電
型ソース領域の表面を絶縁膜で覆う方法、第一導電型ソ
ース領域を持たない第一の第二導電型ベース領域を設け
る方法などがある。
【0030】第一、第二の第二導電型ベース領域の拡散
深さを変え、また第一導電型ソース領域と第一導電型エ
ミッタ領域の拡散深さを変えてオン電圧の低減をはかる
こともできる。また、ライフタイムキラーの局在化も有
効であった。以下、図41と共通の部分に同一の符号を
付した図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
以下の実施例では、n、pを冠した領域、層等はそれぞ
れ電子、正孔を多数キャリアとする領域、層を意味する
ものとし、第一導電型をn型、第二導電型をp型とする
が、これを逆にすることも可能である。
【0031】〔実施例1〕図1は本発明の第一の実施例
(以下実施例1と記す)の絶縁ゲート型サイリスタの部
分断面図を示す。勿論この部分断面図は単位セルを表し
ているのであって、多数の単位セルが反転、繰り返しさ
れて半導体素子を構成している。図1に示した絶縁ゲー
ト型サイリスタの半導体基板部分の構造は、図41のE
STと良く似ている。すなわち、高比抵抗のn型ベース
層3の一方の面側の表面層に互いに離れた第一pベース
領域4と第二pベース領域6が形成され、さらに、寄生
サイリスタのラッチアップを防ぐ目的で、第一pベース
領域4の一部に第一pベース領域4より拡散深さの深い
+ ウェル領域5が形成されている。n型ベース層3の
他方の面側には、n+ バッファ層2を介してpエミッタ
層1が形成されている。第一pベース領域4の表面層に
は、nソース領域7、第二pベース領域6の表面層には
nエミッタ領域8がそれぞれ選択的に形成されている。
そして、表面上には、図41と同様に、nソース領域7
とnエミッタ領域8とに挟まれた第一pベース領域4、
nベース層3、第二pベース領域6の表面上にゲート酸
化膜9を介してゲート電極10が設けられてnチャネル
横型MOSFETが構成されている。この側の表面は、
りんガラス(PSG)等の絶縁膜14で覆われ、第一p
ベース領域4およびnソース領域7の表面上にカソード
電極11が共通に接触するように接触孔が開けられてい
る。nエミッタ領域8の表面上の絶縁膜には窓開けがさ
れ、多結晶シリコン膜13の抵抗体が接している。多結
晶シリコン膜13は更にその上の絶縁膜14に開けられ
た窓を通じてエミッタ電極11と接続している。nエミ
ッタ領域8上の接触点とエミッタ電極11との接触点と
の間の距離を離して、多結晶シリコン膜13の抵抗を調
節することもできる。
【0032】なお、図1の絶縁ゲート型サイリスタは、
拡散領域形成のためのマスクを変えるだけで従来のIG
BTとほぼ同じ工程で製造できる。すなわち、例えば6
00V用素子としては、比抵抗0.02Ω・cm、厚さ
450μm のp型シリコン基板上にn+ バッファ層2と
して、比抵抗0.1Ω・cm、厚さ10μm のn層、n
ベース層3として、比抵抗40Ω・cm、厚さ55μm
のn層をエピタキシャル成長させたウェハを用いる。第
一、第二のpベース領域4、6およびpエミッタ層1
は、ホウ素イオンのイオン注入および熱拡散により形成
し、nエミッタ領域8およびnソース領域7は、砒素イ
オンおよび燐イオンのイオン注入および熱拡散により形
成した。第一pベース領域4、第二pベース領域6、n
ソース領域7およびnエミッタ領域8の端は、半導体基
板上の多結晶シリコンからなるゲート電極10等によっ
て、位置ぎめされて形成され、それぞれの横方向拡散に
より、間隔が決められている。カソード電極11はAl
合金のスパッタリングにより形成し、アノード電極12
は、金属基板に半田づけするためTi/Ni/Auの三
層をスパッタリングで堆積して形成している。また、ス
イッチング時間の短縮を図るためのキャリアのライフタ
イム制御はプロトンの照射を行って作製した。プロトン
照射は、ライフタイムキラーとなる結晶欠陥を局在化で
きる方法である。プロトン照射の条件としては、加速電
圧10MeV、ドーズ量1×1011〜1×1012cm-2
とし、照射後350〜375℃でアニールした。
【0033】各部の寸法例としては、第一pベース領域
4の拡散深さは3μm、第二pベース領域6は18μ
m、nエミッタ領域8、nソース領域7の拡散深さはそ
れぞれ10μm、0.4μmである。ゲート電極の幅は
25μm、nソース領域7の幅は4μm、セルピッチは
55μmである。これにより、サイリスタ部のnpnト
ランジスタの電流増幅率が大きくなり、オン電圧は小さ
くなっている。但し、nエミッタ領域8の第一pベース
領域4に近い部分は、nソース領域7とほぼ同じ寸法に
なっている。これは、耐圧を考慮したものである。
【0034】図2は、図1のようなセルの複数個を含む
MOSFETのゲート電極10の中央を通る水平断面図
で、いずれも図1と共通の部分には同一の符号が付され
ている。カソード電極11、ゲート電極10、多結晶シ
リコン膜13およびそれらを隔てる絶縁膜14が、いず
れもストライプ状に配置されている。但し、図の断面で
はカソード電極11がストライプ状であるが、実際には
図1の断面図に見られるように、絶縁膜14を介してゲ
ート電極10の上にも延長されることが多い。
【0035】このように形成された絶縁ゲート型サイリ
スタの動作を次に説明する。カソード電極11を接地
し、アノード電極12に正の電圧を印加した状態で、ゲ
ート電極10に、ある値(しきい値)以上の正の電圧を
加えると、ゲート酸化膜9の下に反転層(一部蓄積層)
のチャネルが形成され、前記横型MOSFETがオンす
る。これにより、先ず電子がカソード電極11→nソー
ス領域7→MOSFETのチャネルの経路を通ってnベ
ース層3に供給される。この電子は、pnpトランジス
タ(pエミッタ層1/n+ バッファ層2およびnベース
層3/pベース領域4(p+ ウェル領域5))のベース
電流として働き、よってこのpnpトランジスタが動作
する。(この動作をIGBTモードと呼ぶ。) 正孔
が、pエミッタ層1から注入され、n+ バッファ層2、
nベース層3を通り、第一pベース領域4へと流れる。
その際、第二pベース領域6はフローティングとなって
いるので、nベース層3を流れる正孔電流のために次第
に電位が上がってゆく。nエミッタ領域8は多結晶シリ
コン膜13を介してカソード電極11とほぼ等電位に保
たれるので、やがてnエミッタ領域8から電子の注入が
生じ、pエミッタ層1、n+ バッファ層2およびnベー
ス層3、第二pベース領域6、nエミッタ領域8からな
るサイリスタ部が動作する。(この動作をサイリスタモ
ードと呼ぶ。)ターンオフ時には、ゲート電極10の電
位を横型MOSFETのしきい値以下に下げ、横型MO
SFETをオフすることによって、nエミッタ領域8が
カソード電極11から電気的に分離され、よってサイリ
スタ部の動作が止まる。
【0036】図1の絶縁ゲート型サイリスタと図41の
ESTとの違いは、nエミッタ領域8の表面上にカソー
ド電極11と接続される多結晶シリコン膜13が接触し
ていることである。そのため、nエミッタ領域8は多結
晶シリコン膜13を介してカソード電極11とほぼ同電
位に保たれる。そうすると、nベース層3を流れる正孔
電流によって第二pベース領域6の電位が次第に上昇
し、ついに、nエミッタ領域8からの電子の注入を生じ
て、nエミッタ領域8、第二pベース領域6、nベース
層3およびpエミッタ層1からなるサイリスタがオンす
る。従って、図41に示した従来のESTのように第二
pベース領域内をZ方向に流れる正孔電流は必要でな
く、速やかにIGBTモードからサイリスタモードに移
行できる。またnエミッタ領域8全体から均一に電子の
注入が生じるのでオン電圧が低くなる。逆にターンオフ
時には電位差により、nエミッタ領域8と第二のpベー
ス領域6の間のpn接合の回復が均一に行われ、電流の
集中がなく、電流集中が回避されて、RBSOAが格段
に大きくなる。また、nエミッタ領域8が多結晶シリコ
ン膜13の抵抗体を介してカソード電極11と接触して
いるため、ターンオフ時に第二pベース領域6からの空
乏層が素早くのびるため、耐圧特性が良好で、かつキャ
リアの掃き出しも速くなるため、スイッチング特性も優
れている。
【0037】図4は、図1に示した実施例1の絶縁ゲー
ト型サイリスタと、比較例としての図41に示したES
T(以下EST−1とする)、図42に示したEST
(以下EST−2とする)、図43に示したEST(以
下EST−3とする)およびIGBTの逆バイアス安全
動作領域(RBSOA)を、図5に示した測定回路を用
いて125℃で測定した結果である。横軸は、アノード
−カソード間電圧(VAK)、たて軸は、電流(IAK)で
ある。
【0038】図5において、被測定素子21は、並列接
続された1mHのインダクタンス22およびフリーホイ
ーリングダイオード23を介して直流電源24に接続さ
れ、被測定素子21のゲートは、20Ωの抵抗25を介
してゲート電源26に接続されている。図4に示した被
測定素子は、600Vクラス素子として作製されたもの
で、比較例の素子も、先に述べた実施例1の絶縁ゲート
型サイリスタと同じ規格のエピタキシャルウェハを使用
して作製した。EST−2、EST−3のnエミッタ領
域8の幅は共に20μmとした。また、チップサイズ
は、五素子とも、1cm2である。100A導通時の電
位降下で定義したオン電圧は、実施例1の絶縁ゲート型
サイリスタが0.9V、ESTが1.6V、EST−2
が1.7V、EST−3が1.0VそしてIGBTが
2.3Vである。図4からもわかるように、本発明の実
施例の素子は、安全動作領域が、IGBTに比べ2.5
倍、EST−1、3に比べ2倍と広く、大きな破壊耐量
をもっている。しかもオン電圧が他の素子に比べて低い
ことがわかる。EST−2に比べると、ほぼ同程度の破
壊耐量を示すが、しかしなおオン電圧が小さく、優位に
ある。すなわち、他の特性を劣化させずに、オン電圧の
低下が実現できているといえる。これは、第二pベース
領域6とその表面層のnエミッタ領域8とがストライプ
状に形成され、同じくストライプ状に形成された第一p
ベース領域4とその表面層のnソース領域7とが対向し
ている部分が長いため、電流の集中が生じないことによ
る。
【0039】さらに、nエミッタ領域8がカソード電極
11と接触しているため、耐圧が向上している。図8
は、上に述べた600V素子素子のオン電圧とターンオ
フ時間とのトレードオフ特性の比較図である。横軸は、
オン電圧、たて軸は、ターンオフ時間である。オン電圧
は、100A・cm-2の電流導通時の25℃における電
位降下で示す。また、ターンオフ時間は、125℃で測
定したものである。いずれの場合も、図1の構造で図2
のパターンの実施例1の素子は、EST、IGBTに比
べて良いトレードオフ特性を示すことがわかる。
【0040】他に電子線照射でライフタイム制御を行っ
た素子も試作したが、その素子はEST、IGBTに比
べて良いトレードオフ特性を示した。しかしその素子よ
りも実施例1の素子は、一層優れたオン電圧とターンオ
フ時間とのトレードオフ特性を示した。これは、アノー
ド電極12側からのプロトン照射により、n+ バッファ
層2付近にライフタイムキラーとなる結晶欠陥を局在化
させ、ライフタイムキラーの分布を最適化したため、不
必要な部分にライフタイムキラーを発生させることがな
くなり、不要なライフタイムキラーによるオン電圧の増
大が避けられる結果、ターンオフ時間は短く、かつオン
電圧の小さな絶縁ゲート型サイリスタが得られたと考え
られる。ヘリウムイオンの注入でライフタイム制御を行
った。ヘリウムイオンの注入のドーズ量もほぼ同程度で
ある。その素子は、プロトン照射で行った実施例1とほ
ぼ同じ特性であった。
【0041】なお、この例では多結晶シリコン膜13の
抵抗体の例を上げたが、アモルファスシリコン基膜やそ
の他の抵抗体でもよい。 〔実施例2〕図3は、本発明第二の実施例の絶縁ゲート
型サイリスタの、ゲート電極10の中央を通る平面での
水平断面図である。ゲート電極10の網の中に共に絶縁
膜で絶縁された六角形のカソード電極11と多結晶シリ
コン膜13が配置されている。六角形の多結晶シリコン
膜13の周りに六角環状の絶縁膜14があり、その外側
をゲート電極10が取り囲んでいる。ゲート電極10の
反対側には、やはり絶縁膜14に囲まれた六角形のカソ
ード電極11がある。実際にはカソード電極11は、絶
縁膜14を介してゲート電極10の上にも延長されるこ
とが多い。この実施例2の絶縁ゲート型サイリスタのシ
リコン基板表面の平面図を図6に示す。網状の第一pベ
ース領域4の中に、六角形のnベース層3が配置され、
そのnベース層3を取り囲むように六個のnソース領域
7が配置されている。nベース層3の中には第二pベー
ス領域6と、更にその中にnエミッタ領域8が形成され
ている。nソース領域7の中にはp+ ウェル領域5が形
成されている。図6のnエミッタ領域7とp+ ウェル領
域5に図3のカソード電極11が接触し、またnウェル
領域8に多結晶シリコン膜13が接触するように設けら
れている。
【0042】この実施例2の絶縁ゲート型サイリスタで
は、第二pベース領域6を囲むように第一pベース領域
4が形成されているので、サイリスタ部のnエミッタ領
域8からの電流が周囲の第一pベース領域4に分散さ
れ、電流集中が起きない。従って、大きな破壊耐量をも
っているだけでなく、優れたスイッチング速度および高
い耐圧を示す。
【0043】〔実施例3〕図7は、本発明第三の実施例
の絶縁ゲート型サイリスタの、シリコン基板表面の平面
図である。ゲート電極10の中央を通る平面での水平断
面図は図3と同様のものとなる。この絶縁ゲート型サイ
リスタは、ゲート電極10に設けられた共に六角形の穴
を通じて第一pベース領域4およびその表面層の一部の
nソース領域7、第二pベース領域6およびその表面層
のnエミッタ領域8が形成され、ゲート電極10の側方
に堆積された絶縁膜14に設けられた接触孔を通じて、
第一pベース領域4およびnソース領域7の表面にカソ
ード電極11が接触する。第二pベース領域6の表面上
は絶縁膜14で覆われる。nエミッタ領域8の表面には
多結晶シリコン膜13が接触する。この場合も実際には
カソード電極11は、絶縁膜14を介してゲート電極1
0の上にも延長されることが多い。製造方法は図1の実
施例1と同様である。この実施例でも、上述のような理
由で、大きな破壊耐量をもっているだけでなく、優れた
スイッチング速度および高い耐圧を示す。
【0044】この実施例では、六角形の第二pベース領
域6の周りに、点線で示した六つの(それぞれ第一pベ
ース領域4をもつ)ユニットが配置されているが、勿
論、他の種々のパターン配置が考えられる。他の方形、
八角形、十二角形、円形、楕円形等のパターンのもの
も、同様にEST、IGBTに比べて良いトレードオフ
特性を示した。
【0045】〔実施例4〕図9は本発明第三の実施例の
絶縁ゲート型サイリスタの、ゲート電極10の中央を通
る平面での水平断面図である。この絶縁ゲート型サイリ
スタは、第二pベース領域6およびその表面層に形成さ
れたnエミッタ領域8のパターンは六角形でありその表
面上の絶縁膜14が六角形に示されている。第二pベー
ス領域6およびその表面層に形成されたnエミッタ領域
8のパターンはゲート電極10の下にあるので図には示
されていない。nエミッタ領域8の表面に接触している
多結晶シリコン膜13が有る。六角形の多結晶シリコン
膜13、その周りの六角形環状の絶縁膜14を囲むよう
に六角形環状のゲート電極10があり、更にゲート電極
10の側面を覆う絶縁膜を介してカソード電極11が屈
曲線状に見られる。カソード電極11の下には、図示さ
れないがnソース領域7と第一pベース領域4(および
+ ウェル領域5)がある。六角環状のゲート電極10
はゲートランナ16で接続されている。カソード電極1
1はゲート電極10上に絶縁膜14を介して延長されて
いるが図の断面では屈曲線状になっている。このよう
に、第二pベース領域6を取り囲むように第一pベース
領域4とその表面層のnソース領域7とが設けられてい
れば、ターンオフ時の電流集中がなく、可制御電流が大
きく取れる。勿論、第二pベース領域6およびその表面
層に形成されたnエミッタ領域8のパターンは六角形以
外の形でも良い。この実施例でも、上述のような理由
で、大きな破壊耐量をもっているだけでなく、優れたス
イッチング速度および高い耐圧を示す。
【0046】〔実施例5〕更に図10(b)は本発明第
五の実施例の絶縁ゲート型サイリスタの、ゲート電極1
0の中央を通る平面での水平断面図である。図10
(a)はその絶縁ゲート型サイリスタのカソード電極1
1、絶縁膜14およびゲート電極10を除去した表面で
の拡散領域を示した図である。先ず、図10(a)で
は、nベース層3の表面層に、ともに六角形の第二pベ
ース領域6およびその中のnエミッタ領域8が形成され
ている。第二pベース領域6を囲むようにほぼ環状の第
一pベース領域4が形成され、その第一pベース領域4
の中にnソース領域7とp+ ウェル領域5が形成されて
いる。第一pベース領域4とnソース領域7とは、ゲー
ト電極10をマスクの一部とした不純物の導入により形
成されたものである。第一pベース領域4の形状をほぼ
環状と呼んだのは、一部を欠いているからである。すな
わち、その欠けた部分を通じて、隣接するセルのnベー
ス層3がつながっている。
【0047】図10(b)では、六角形の絶縁膜14
と、それを取り囲むゲート電極10およびゲート電極1
0の側部を覆う絶縁膜14を介して屈曲線状のカソード
電極11が見られる。六角形の絶縁膜14は、第二pベ
ース領域6およびその中のnエミッタ領域8の表面上に
ある。ゲート電極10の両端は、nエミッタ領域8とn
ソース領域7の上にある。カソード電極11は、nソー
ス領域7とp+ ウェル領域5との表面上に接触してい
る。六角形の絶縁膜14を囲む部分を、点線のように区
切った六個のユニットセルからなると考えると、各ユニ
ットセルはほぼ六角環状のゲート電極10とカソード電
極11およびそれらの間を分離する絶縁膜14とからな
る。ゲート電極10の形状をほぼ六角環状と呼んだの
は、その二辺を欠いているからである。すなわち、その
欠けた部分を通じて、隣接するセルの第一pベース領域
4とnソース領域7とがつながっている。カソード電極
11はゲート電極10上に絶縁膜14を介して延長され
ているが、図の断面では屈曲線状になっているのであ
る。この構造は、基本パターンが六角形であり、最も密
に充填できるので、シリコン基板の利用効率が高い。ま
た、第一pベース領域4およびnソース領域7の面積が
広くなるので、オン電圧が低くなる。これらの素子にお
いても、前記実施例1の絶縁ゲート型サイリスタと同様
に、nエミッタ領域8と第二pベース領域6間のpn接
合が均一に逆回復プロセスに入ることと、第二pベース
領域6が正孔電流のバイパスになることにより、低いオ
ン電圧と、大きいRBSOAが得られる。
【0048】〔実施例6〕図11は本発明の第六の実施
例(以下実施例6と記す)の絶縁ゲート型サイリスタの
部分断面図を示す。この例は、図1に示した実施例1の
絶縁ゲート型サイリスタの構造と良く似ている。異なっ
ているのは、pエミッタ層1の裏面側に更に高濃度のp
+ コンタクト層101が形成されている点である。nエ
ミッタ領域8の表面上に多結晶シリコン膜13があるの
は、実施例12と同じである。
【0049】このp+ アノード層101は、例えば、ほ
う素イオンの、加速電圧50kV、ドーズ量5×1015
cm-2のイオン注入によって形成される。この高濃度の
+アノード層101を設けることによって、アノード
電極12との接触抵抗が低減され、オン電圧の格段に低
い絶縁ゲート型サイリスタが得られた。図12に、実施
例5と、比較例として実施例1の絶縁ゲート型サイリス
タの600Vクラス素子のオン電圧とターンオフ時間と
のトレードオフ特性を示す。横軸は、オン電圧、たて軸
は、ターンオフ時間である。オン電圧は、100A・c
-2の電流導通時の25℃における電位降下で示す。ま
た、ターンオフ時間は、125℃で測定したものであ
る。本発明の実施例5の素子は、実施例1の絶縁ゲート
型サイリスタに比べて良いトレードオフ特性を示すこと
がわかる。
【0050】実施例6の絶縁ゲート型サイリスタの平面
パターンは図2に示したストライプパターンであった
が、六角形その他のセル型パターンの素子も同様に製造
でき、同様な優れた特性を示した。 〔実施例7〕これまでの実施例は、いずれもpエミッタ
層1とnベース層3との間にn+ バッファ層2を設けた
素子であったが、n+ バッファ層2の無い素子において
も、本発明は適用できる。図13は、エピタキシャルウ
ェハでなく、バルクシリコンウェハを用いて作製した本
発明第六の実施例の絶縁ゲート型サイリスタの部分断面
図である。すなわち、バルクシリコンウェハからなるn
ベース層3の一方の主面側の構造は図1の実施例1と同
じであるが、nベース層3の裏面側には、pエミッタ層
1が直接形成されているものである。nエミッタ領域8
の表面上には多結晶シリコン膜13が形成されている。
【0051】図14は、図13の構造で図2のパターン
をもつ実施例6の絶縁ゲート型サイリスタ、EST−
1、EST−2、EST−3およびIGBTのいずれも
2500V素子の、125℃におけるRBSOAを比較
したものである。横軸、たて軸は、それぞれアノード−
カソード間電圧、電流である。この場合nベース層3の
厚さは440μm であった。それ以外の寸法等は実施例
1の絶縁ゲート型サイリスタとほぼ同じである。五素子
のオン電圧はそれぞれ、1.1V、2.0V、2.2
V、1.4Vそして3.3Vである。エピタキシャルウ
ェハの600V素子と同様に、バルクウェハを用いた2
500V素子でも、本発明の実施例の絶縁ゲート型サイ
リスタは、EST、IGBTに比べ、格段にRBSOA
が広く、しかもオン電圧が低い。これは、第二pベース
領域6とその表面層のnエミッタ領域8とがストライプ
状に形成され、同じくストライプ状に形成された第一p
ベース領域4とその表面層のnソース領域7とが対向し
ている部分が長いため、電流の集中が生じないことによ
る。さらに、nエミッタ領域8がカソード電極11と接
触しているため、他の素子に比べ耐圧が約10%向上し
ている。
【0052】すなわち、本発明の効果はnベース層3の
比抵抗、pnpワイドベーストランジスタの電流増幅率
によらず、オン電圧の劣化を全く伴わずにRBSOAを
大きくできるものである。これを言い換えると、本発明
は、素子の定格電圧、基板の半導体結晶の製法によら
ず、オン電圧の低減、RBSOAの向上に有効であると
いえる。
【0053】図15は、上に述べた各2500V素子の
オン電圧とターンオフ時間とのトレードオフ特性の比較
図である。横軸は、オン電圧、たて軸は、ターンオフ時
間である。オン電圧は50A・cm-2の電流導通時の2
5℃における電位降下で示す。また、ターンオフ時間
は、125℃で測定したものである。いずれの場合も、
図13の構造で図2のパターンの本発明の実施例の素子
は、EST、IGBTに比べて良いトレードオフ特性を
示すことがわかる。
【0054】実施例7の絶縁ゲート型サイリスタのライ
フタイム制御はプロトン照射で行ったが、ヘリウムイオ
ンの注入で行った素子も試作した。その素子の逆バイア
ス安全動作領域(RBSOA)、オン電圧とターンオフ
時間とのトレードオフ特性は、プロトン照射による実施
例7とほぼ同じであった。へリウムイオンの注入によっ
ても、局在化したライフタイムキラーを発生させること
ができることがわかる。
【0055】図6、7に示したような六角形や、他の方
形、八角形、十二角形、円形、楕円形パターンの250
0V素子も、同様にEST、IGBTに比べて良いトレ
ードオフ特性を示した。 〔実施例8〕図16は、本発明の第八の実施例の絶縁ゲ
ート型サイリスタの部分断面図である。図に示した断面
構造は、これまで実施例の絶縁ゲート型サイリスタと少
し異なるので、構造を説明する。高比抵抗のn型ベース
層3の一方の面側の表面層にトレンチ17が設けられて
いる。そのトレンチ17の両側に第一pベース領域4、
第二pベース領域6が形成され、第一pベース領域4の
表面層の一部にはnソース領域7が、第二pベース領域
6の表面層にnエミッタ領域8が形成されていて、トレ
ンチ17の壁面に露出している。トレンチ17の内部に
はゲート酸化膜9を介して多結晶シリコンからなるゲー
ト電極10が充填されていてnチャネル型MOSFET
が構成されている。さらに、寄生サイリスタのラッチア
ップを防ぐ目的でp+ ウェル領域5が第一pベース領域
4の一部に形成されている。nソース領域7およびp+
ウェル領域5の表面上にカソード電極11が接触してい
る。このトレンチ17をもつ構造では通常のプレーナ型
よりラッチアップしにくいので、p+ ウェル領域5は第
一pベース領域4より浅くてもよい。第二pベース領域
6の拡散深さは、第一pベース領域4のそれより深く形
成されている。他方の面側には、n+ バッファ層2を介
してpエミッタ層1が形成されている。特にこの例で
は、nエミッタ領域8の拡散深さは二段になっていて、
nソース領域7に近い部分はnソース領域7と同じく、
遠い部分は、nソース領域7のそれより深く形成されて
いるが、かならずしもそうでなくてもよい。図1の実施
例1と同様にnエミッタ領域8の表面上に、カソード電
極11と接続される多結晶シリコン膜13が形成されて
いる。ゲート電極10の上面は、りんガラス(PSG)
等の絶縁膜14で覆われている。図ではカソード電極1
1が絶縁膜14を介してnエミッタ領域8の上にも延長
されている。キャリアのライフタイム制御はプロトン照
射で行った。
【0056】各部の寸法例としては、トレンチ17の寸
法は幅1μm、深さ約8μmである。第一pベース領域
4の拡散深さは3μm、第二pベース領域6は5μm、
nエミッタ領域8、nソース領域7の深さはそれぞれ2
μm、0.4μmである。セルピッチは3.5μmとし
た。図17は、図16のようなセルの複数個を含む絶縁
ゲート型サイリスタのシリコン表面の平面図で、いずれ
も図16と共通の部分には同一の符号が付されている。
nエミッタ領域8、nソース領域7とp+ ウェル領域5
およびそれらを隔てるゲート電極10が、いずれもスト
ライプ状に配置されている。9はゲート酸化膜である。
nソース領域7内の細線はカソード電極の接触部の端を
示し、nエミッタ領域8内の細線は多結晶シリコン膜の
接触部の端を示している。
【0057】このように形成された絶縁ゲート型サイリ
スタの動作は、これまでの実施例と同じく、ゲート電極
10への信号電圧の印加により、オンオフ動作させるも
のである。この絶縁ゲート型サイリスタも図41のES
Tと違って、第二pベース領域6の表面は絶縁膜で覆わ
れ、nエミッタ領域8が表面上の多結晶シリコン膜13
を介してカソード電極11と同電位に保たれる。そのた
め、従来のESTのように第二pベース領域内をZ方向
に流れる正孔電流は必要でなく、速やかにIGBTモー
ドからサイリスタモードに移行する。またnエミッタ領
域8全体から均一に電子の注入が生じるのでオン電圧が
低くなる。逆にターンオフ時にはその電位差により、n
エミッタ領域8と第二のpベース領域6の間のpn接合
の回復が均一に行われ、電流の集中がなく、電流集中が
回避されて、RBSOAが格段に大きくなる。
【0058】図18は、図16に示した実施例8の絶縁
ゲート型サイリスタと、比較例として前にも挙げたES
T−1、EST−2、EST−3およびIGBTのRB
SOAを、図5に示した測定回路を用いて125℃で測
定した結果である。横軸、縦軸は図4と同じである。図
からもわかるように、実施例7の素子は、安全動作領域
が、比較例の素子に比べて大きな破壊耐量をもってい
る。
【0059】図18に測定結果を示した被測定素子は、
600V用素子として作製されたもので、実施例1の所
で記載した規格のエピタキシャルウェハを用いた。チッ
プサイズは、1cm2 である。100A・cm-2導通時
の電位降下で定義したオン電圧は、実施例12の絶縁ゲ
ート型サイリスタが0.8Vである。図18からもわか
るように、実施例8の素子は、安全動作領域が、IGB
Tに比べ3倍、EST−1、3に比べ2.5倍と広く、
大きな破壊耐量をもっている。しかもオン電圧が他の素
子に比べて低いことがわかる。EST−2に比べても
1.2倍の破壊耐量を示す。すなわち、他の特性を劣化
させずに、オン電圧の低下が実現できているといえる。
【0060】図19は、上に述べた実施例8と比較例の
600V素子のオン電圧とターンオフ時間とのトレード
オフ特性の比較図である。横軸は、オン電圧、たて軸
は、ターンオフ時間である。オン電圧は、100A・c
-2の電流導通時の25℃における電位降下で示す。ま
た、ターンオフ時間は、125℃で測定したものであ
る。図17のパターンの本発明の実施例8の素子は、比
較例の絶縁ゲート型サイリスタより一層良いトレードオ
フ特性を示すことがわかる。
【0061】これは、第二pベース領域6とその表面層
のnエミッタ領域8とがストライプ状に形成され、同じ
くストライプ状に形成された第一pベース領域4とその
表面層のnソース領域7とが対向している部分が長いた
め、電流の集中が生じないことによる。また、トレンチ
型ゲート構造とすることによって、接合FET効果が小
さいこと、セルピッチの縮小によりチャネル密度が大き
く、pエミッタ層、n + バッファ層2とnベース層3、
第二pベース領域6およびnエミッタ領域8からなるサ
イリスタ部に直列接続している抵抗分が小さくなること
もあって、オン電圧の低減に寄与している。更にnエミ
ッタ領域8が、多結晶シリコン膜13を介してカソード
電極11に接触していることによって耐圧特性が良好
で、しかもターンオフ時のキャリアの掃き出しが速く、
スイッチング速度が速くなったことによる。
【0062】また、アノード電極12側からのプロトン
照射により、n+ バッファ層2付近にライフタイムキラ
ーとなる結晶欠陥を局在化させ、ライフタイムキラーの
分布を最適化したため、不必要な部分にライフタイムキ
ラーを発生させることがない。そして、不要なライフタ
イムキラーによるオン電圧の増大が避けられるという効
果もあつたものと考えられる。
【0063】〔実施例9〕図20は、本発明第九の実施
例の絶縁ゲート型サイリスタのシリコン表面の平面図で
ある。ゲート酸化膜9を介してゲート電極10が埋め込
まれたトレンチ17が縦横に形成されている。nエミッ
タ領域8を囲む四方にトレンチ17を介してnソース領
域7があり、その内部にp+ ウェル領域5がある。nエ
ミッタ領域8の下層には第二pベース領域6が、またn
ソース領域7の下層には第一pベース領域があるが図で
は見られない。nソース領域7内の細線はカソード電極
の接触部の端を示し、nエミッタ領域8内の細線は多結
晶シリコン膜の接触部の端を示している。
【0064】この実施例9の素子も、トレンチ構造とし
てセルピツチを縮小し、セル密度を大幅に高めたこと
と、第二pベース領域6とその表面層のnエミッタ領域
8とが方形に形成され、その周囲に形成された第一pベ
ース領域4とその表面層のnソース領域7とが対向して
いる部分が長いため、電流の集中が生じないため、広い
RBSOAと低いオン電圧を持つ。
【0065】〔実施例10〕図21は、本発明第十の実
施例の絶縁ゲート型サイリスタのシリコン表面の平面図
である。トレンチ17にゲート酸化膜9を介して埋め込
まれた方形環状のゲート電極10の内部にnエミッタ領
域8があり、ゲート電極10の外側にはnソース領域7
が見られその外側にはp+ ウェル領域5が見られる。n
エミッタ領域8の下層には第二pベース領域6が、また
nソース領域7の下層には第一pベース領域があるが図
では見られない。方形環状のゲート電極10はシリコン
表面上の図示されない導体により接続されている。nソ
ース領域7内の細線はカソード電極の接触部の端を示
し、nエミッタ領域8内の細線は多結晶シリコン膜の接
触部の端を示している。
【0066】この実施例10の素子も、トレンチ構造と
してセルピツチを縮小し、セル密度を大幅に高めたこと
と、第二pベース領域6とその表面層のnエミッタ領域
8とが方形に形成され、その周囲に形成された第一pベ
ース領域4とその表面層のnソース領域7とが対向して
いる部分が長いため、電流の集中が生じないため、広い
RBSOAと低いオン電圧を持つ。
【0067】〔実施例11〕エピタキシャルウェハでな
く、バルクシリコンウェハを用いて、図16の実施例8
と類似の構造でn+ バッファ層のない本発明第十一の実
施例の絶縁ゲート型サイリスタを作製した。nエミッタ
領域の表面上には、カソード電極と接続される多結晶シ
リコン膜が形成されている図22は、図17のパターン
をもつ実施例11の絶縁ゲート型サイリスタと比較例と
して前掲の、EST−1、EST−2、EST−3およ
びIGBTのいずれも2500V素子の、125℃にお
けるRBSOAを比較したものである。横軸、たて軸
は、それぞれアノード−カソード間電圧、電流である。
この場合nベース層3の厚さは440μmであった。実
施例10の絶縁ゲート型サイリスタのオン電圧は0.9
Vである。なお、キャリアのライフタイム制御はプロト
ン照射で行った。エピタキシャルウェハの600V素子
と同様に、バルクウェハを用いた2500V素子でも、
図からもわかるように、本発明の実施例10の絶縁ゲー
ト型サイリスタは、EST、IGBTに比べ、格段にR
BSOAが広く、しかもオン電圧が低い。すなわち、本
発明の効果はnベース層3の比抵抗、pnpワイドベー
ストランジスタの電流増幅率によらず、オン電圧の劣化
を全く伴わずにRBSOAを大きくできるものである。
これを言い換えると、本発明は、素子の定格電圧、基板
の半導体結晶の製法によらず、オン電圧の低減、RBS
OAの向上に有効であるといえる。
【0068】図23に、この実施例10の絶縁ゲート型
サイリスタと比較例の2500V素子のオン電圧とター
ンオフ時間とのトレードオフ特性も示した。横軸は、オ
ン電圧、たて軸は、ターンオフ時間である。オン電圧
は、50A・cm-2の電流導通時の25℃における電位
降下で示す。また、ターンオフ時間は、125℃で測定
したものである。上記実施例8と同じ理由で比較例のE
ST、IGBTに比べて一層良いトレードオフ特性を示
す。
【0069】方形、六角形、八角形、円形など他のパタ
ーンをもつ絶縁ゲート型サイリスタも、同様にEST、
IGBTに比べて良いトレードオフ特性を示した。 〔実施例12〕図24は、本発明の第十二の実施例の絶
縁ゲート型サイリスタの、ゲート電極10の中央を通る
面での水平断面図である。カソード電極11、ゲート電
極10、10’、多結晶シリコン膜13および絶縁膜1
4がいずれもストライプ状に配置されている。その下の
第一、第二pベース領域、nソース領域、nエミッタ領
域もストライプ状に配置されているということである。
この図では、両側にカソード電極11と多結晶シリコン
膜13とがあるゲート電極10だけでなく、両側に共に
カソード電極11があるゲート電極10’がある。
【0070】多結晶シリコン膜13とカソード電極11
とを結ぶ線A−A’に沿っての断面図を図26(a)
に、カソード電極11同士を結ぶ線B−B’に沿っての
断面図は図26(b)に示す。nエミッタ領域8の表面
上に多結晶シリコン膜13が形成されている。ストライ
プ状のnソース領域7の表面上にカソード電極11が形
成されている。カソード電極11と多結晶シリコン膜1
3との間のゲート電極10は幅が狭く、カソード電極1
1同士の間のゲート電極10’は幅が広い。例えば図2
6(a)のゲート電極10は15μm、図26(b)の
ゲート電極10’は30μmである。
【0071】なお、図24の絶縁ゲート型サイリスタ
は、拡散領域形成のためのマスクを変えるだけでIGB
Tとほぼ同じ工程で製造できる。 〔実施例13〕図25は、本発明第十三の実施例の絶縁
ゲート型サイリスタの、ゲート電極10の中央を通る平
面での水平断面図である。六角形の多結晶シリコン膜1
3の周りに六角環状の絶縁膜14があり、その外側にゲ
ート電極10が広がっている。ゲート電極10の反対側
には、絶縁膜14を介して六角形のカソード電極11が
配置されている。六角形の多結晶シリコン膜13の周り
に、六つのやはり六角形のカソード電極11が配置され
た形のパターンが繰り返されている。多結晶シリコン膜
13の下にはnエミッタ領域8と第二pベース領域6
が、カソード電極11の下にはnソース領域7と第一p
ベース領域4があるということである。図の平面でのカ
ソード電極11と多結晶シリコン膜13との間のゲート
電極10は幅が狭く、カソード電極11同士の間のゲー
ト電極10’は幅が広い。カソード電極11と多結晶シ
リコン膜13とを結ぶ線C−C’に沿っての断面図は図
26(a)、カソード電極11同士を結ぶ線D−D’に
沿っての断面図は図26(b)のようになる。
【0072】このように多角形のセル型のパターンの素
子においても、nエミッタ領域8とnソース領域7との
間のnベース領域3の距離が短く、nソース領域7とn
ソース領域7との間のnベース領域3の距離が長い。図
27は、図25に示した実施例13の絶縁ゲート型サイ
リスタと、比較例としてのIGBTおよびEST−3の
オン電圧とターンオフ時間とのトレードオフ特性の比較
図である。横軸は、オン電圧、たて軸は、ターンオフ時
間である。オン電圧は、100A・cm-2の電流導通時
の25℃における電位降下で示す。また、ターンオフ時
間は、125℃で測定したものである。なお、ライフタ
イム制御をプロトン照射で行った。
【0073】図27からもわかるように、実施例13の
絶縁ゲート型サイリスタは、IGBTおよびEST−3
に比べて良いトレードオフ特性を示している。これは、
nエミッタ領域8とnソース領域7との間のnベース領
域3の距離が短いため、MOSFET動作時の蓄積層の
抵抗が小さく、オン電圧が小さくなること、およびnソ
ース領域7同士の間では、nベース領域3の距離が長い
ため、オン動作の初期に接合型FET(JFET)効果
が無く、速やかにチャネル領域を通して電子が供給され
るためである。更にnエミッタ領域8が、多結晶シリコ
ン膜13を介してカソード電極11に接触していること
によって耐圧特性が良好で、しかもターンオフ時のキャ
リアの掃き出しが速く、スイッチング速度が速くなるこ
とによる。従って、安全動作領域が広く、ターンオフ時
間の短い、可制御電流の大きな絶縁ゲート型サイリスタ
となる。
【0074】また、アノード電極12側からのプロトン
照射により、n+ バッファ層2付近にライフタイムキラ
ーとなる結晶欠陥を局在化させ、ライフタイムキラーの
分布を最適化したため、不必要な部分にライフタイムキ
ラーを発生させることがない。そして、不要なライフタ
イムキラーによるオン電圧の増大が避けられるという効
果もあつたものと考えられる。
【0075】ライフタイム制御をヘリウムイオンの注入
で行ったものは、プロトン照射で行った実施例13とほ
ぼ同じ特性であった。 〔実施例14〕実施例13の絶縁ゲート型サイリスタ
は、pエミッタ層1とnベース層3との間にn+ バッフ
ァ層2を設けた素子であったが、n+ バッファ層2の無
い素子においても、本発明は適用できる。すなわち、バ
ルクシリコンウェハからなるnベース層3の一方の主面
側の構造は図26(a)、(b)と同じであるが、nベ
ース層3の裏面側には、pエミッタ層が直接形成されて
いるものを試作した。nエミッタ領域8の表面上に多結
晶シリコン膜13が形成されている。なお、ライフタイ
ム制御をプロトン照射で行った。これを第十四の実施例
とする。この場合nベース層3の厚さは440μm であ
った。
【0076】実施例14の2500V素子の逆バイアス
安全動作領域(RBSOA)を、図5に示した測定回路
を用いて125℃で測定した。その結果は、図13の実
施例7の絶縁ゲート型サイリスタとほぼ同じであった。
また、50A・cm-2導通時の電位降下で定義したオン
電圧は、1.0Vであった。すなわち、エピタキシャル
ウェハの600V素子と同様に、バルクウェハを用いた
素子でも、本発明の実施例の素子は、IGBTやEST
に比べ格段にRBSOAが広く、大きな破壊耐量をも
ち、しかもオン電圧が低いことがわかる。
【0077】図28は、図25のパターンをもつ実施例
14の絶縁ゲート型サイリスタと、比較例としてのIG
BTおよびEST−3のいずれも2500V素子の、オ
ン電圧とターンオフ時間とのトレードオフ特性の比較図
である。横軸は、オン電圧、たて軸は、ターンオフ時間
である。オン電圧は、50A・cm-2の電流導通時の2
5℃における電位降下で示す。また、ターンオフ時間
は、125℃で測定したものである。実施例14の素子
は、IGBTおよびEST−3に比べて良いトレードオ
フ特性を示すことがわかる。従って、上記実施例12と
おなじ理由で安全動作領域が広く、ターンオフ時間の短
い、可制御電流の大きな絶縁ゲート型サイリスタとな
る。
【0078】ヘリウムイオンの注入でライフタイム制御
を行ったものは、プロトン照射で行った実施例14とほ
ぼ同じ特性であった。 〔実施例15〕図29は、本発明の第十五の実施例の絶
縁ゲート型サイリスタの部分断面図である。
【0079】図の構造において、図1の実施例1の絶縁
ゲート型サイリスタと異なるのは、ゲート酸化膜9の下
のnベース層3の表面層の一部に、nベース層3より高
不純物濃度のn+ 補助領域18が形成されている点であ
る。この実施例18の絶縁ゲート型サイリスタにおいて
も、第二pベース領域6およびnエミッタ領域8の表面
上がいずれも絶縁膜14で覆われ、第二pベース領域6
がカソード電極11に接触していない。各部寸法の例と
しては、第二pベース領域6と第一pベース領域4との
間のnベース層は約20μmであり、n+ 補助領域18
の表面不純物濃度は3×1017cm-3、拡散深さは0.
4μm、幅は10μmである。
【0080】図30は、図29のようなセルの複数個を
含む素子の、ゲート電極10を透視したシリコン基板表
面における部分平面図で、いずれも図29と共通の部分
には同一の符号が付されている。nエミッタ領域8とn
ソース領域7とがともにストライプ状に配置されてい
る。そしてnエミッタ領域8とnソース領域7との間の
nベース層3の表面露出部に、やはりストライプ状のn
+ 補助領域18が形成されている。nソース領域7同士
の間はp+ ウェル領域5である。nソース領域7の外側
に第一pベース領域、nエミッタ領域8の外側に第二p
ベース領域があるが、図には示していない。ゲート電極
10の端が点線で示されている。(薄いゲート酸化膜9
上のゲート電極10の端であって、厚い絶縁膜14上に
延長されたりしている部分を除く。) この実施例15の絶縁ゲート型サイリスタでは、従来の
ESTのように第二pベース領域内をZ方向に流れる正
孔電流は必要でなく、速やかにIGBTモードからサイ
リスタモードに移行する。またnエミッタ領域8全体か
ら均一に電子の注入が生じるのでオン電圧が低くなる。
逆にターンオフ時にはその電位差により、nエミッタ領
域8と第二のpベース領域6の間のpn接合の回復が均
一に行われ、電流の集中がなく、電流集中が回避され
て、RBSOAが格段に大きくなる。
【0081】被測定素子は、1200V用素子として作
製されたもので、比抵抗0.02Ω・cm、厚さ450
μm のpエミッタ層1の上にn+ バッファ層2として、
比抵抗0.03Ω・cm、厚さ5μm のn型層、nベー
ス層3として、比抵抗80Ω・cm、厚さ115μm の
n型層をエピタキシャル成長させたウェハを用いた。n
ソース領域7の幅は4μmとした。また、チップサイズ
は、0.64cm2 である。実施例14の素子は、n+
補助領域18を形成しなかったものに比べ、最大可制御
電流が2倍になり、オン電圧も低くなった。これは、タ
ーンオフ時にゲート酸化膜下のpチャネルが形成されに
くくなったことと、チャネル抵抗が低下することによ
る。
【0082】〔実施例16〕また、パターンの違いによ
る差を調べた。図31は、実施例16の絶縁ゲート型サ
イリスタのゲート電極10を透視したシリコン基板表面
における部分平面図である。この図に示したような六角
セル状の実施例16の方が上記ストライプ状の実施例1
5より、最大可制御電流が大きく、またオン電圧は低い
ことがわかった。これは、pベース領域6とその表面層
のnエミッタ領域8と、第一pベース領域4とその表面
層のnソース領域7とが対向している部分すなわち総チ
ャネル長とJFET効果の違いによる。
【0083】他のパターンをもつ、第二ないし第六の実
施例のようなパターンの絶縁ゲート型サイリスタや、八
角形、十二角形、楕円形パターンのもの、またそれらと
同じパターンの2500V素子も、同様にEST、IG
BTに比べて良いトレードオフ特性を示した。 〔実施例17〕図32は、本発明の第十七の実施例の絶
縁ゲート型サイリスタの、ゲート電極10を透視して見
たシリコン基板表面の部分平面図である。ゲート電極1
0の(薄いゲート酸化膜上の部分の)両端を細点線で示
してある。太線の第一pベース領域4と第二pベース領
域6とが互いに対向してストライプ状に形成されてい
る。第二pベース領域6内には、やはりストライプ状の
nエミッタ領域8が形成されている。一方、第一pベー
ス領域4内には、内部に短冊型の窓を持つストライプ状
のnソース領域7が形成されている。nソース領域7内
部に短冊型の窓内はp+ ウェル領域5である。nソース
領域7とp+ ウェル領域5の表面に接触しているカソー
ド電極11の両端が細線で示されている。nエミッタ領
域8上に接触する多結晶シリコン膜13の両端も細線で
示されている。
【0084】図32のE−E’線に沿った断面図を図3
4(a)に、F−F’線に沿った断面図を図34(b)
に示す。図34(a)に示した断面構造では、nソース
領域7の表面上が絶縁膜で覆われていてカソード電極1
1が接触せず、図34(b)に示した断面構造では、n
ソース領域7の表面上にカソード電極11が接触してい
る。nエミッタ領域8の表面上には多結晶シリコン膜1
3が接触している。
【0085】この実施例の素子の動作等については、次
の例の項で説明する。 〔実施例18〕図33は、本発明の第十八の実施例の絶
縁ゲート型サイリスタの半導体基板上のゲート電極10
を透視して見たシリコン基板の平面図である。ゲート電
極10の端を点線で示してある。太線で示された六角形
の第二pベース領域6の周りに、六つのやはり六角形の
第一pベース領域4が配置された形のパターンが繰り返
されている。第二pベース領域6内には六角形のnエミ
ッタ領域8が、第一pベース領域4内にはほぼ六角環状
のnソース領域7がある。nソース領域7の内側には三
つの突出部があり、その内部はp+ ウェル領域5となっ
ている。nエミッタ領域8内の細線は多結晶シリコン膜
13の(接触部の)端であり、nソース領域7の内側の
細線はカソード電極11の(接触部の)端を示してい
る。この図のnエミッタ領域8とnソース領域7とを結
ぶ線G−G’に沿った断面図は、図34(a)とほぼ同
じとなり、またnソース領域7同士を結ぶ線H−H’に
沿った断面図は図34(b)とほぼ同じになる。
【0086】図33のカソード電極11と多結晶シリコ
ン膜13とを結ぶG−G’線における断面(図34
(a)と同じ)では、nソース領域7の表面上を絶縁膜
が覆っていて、カソード電極11は接触していない。一
方、図33のカソード電極11とカソード電極11とを
結ぶH−H’線における断面(図34(b)と同じ)で
は、実施例1の絶縁ゲート型サイリスタと同様に、第一
pベース領域4およびnソース領域7の表面上に共通に
カソード電極11が接触している。
【0087】なお、図33のパターンの絶縁ゲート型サ
イリスタは、拡散領域形成のためのマスクを変えるだけ
で絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)とほ
ぼ同じ工程で製造できる。また、キャリアのライフタイ
ム制御のため、プロトンの照射を行った。プロトン照射
の条件としては、先に述べたと同様である。このように
形成された絶縁ゲート型サイリスタの動作は、図1の実
施例1と同様であり説明は省略する。この絶縁ゲート型
サイリスタは、第二pベース領域6の拡散深さが第一p
ベース領域4のそれより深く形成されており、またnエ
ミッタ領域8の拡散深さはnソース領域7のそれより深
く形成されている。これにより、サイリスタ部のnpn
トランジスタの電流増幅率が大きくなり、オン電圧は小
さくなっている。但し、nエミッタ領域8の第一pベー
ス領域4に近い部分は、nソース領域7とほぼ同じ寸法
になっている。これは、耐圧を考慮したものである。
【0088】図33のパターンの実施例18の絶縁ゲー
ト型サイリスタは、図34(a)に見られるように、n
エミッタ領域8の表面上にカソード電極11と接続され
た多結晶シリコン膜13を有しているため、実施例1の
動作で説明したように、nエミッタ8、第二pベース領
域6、nベース層3およびpエミッタ層1からなるサイ
リスタのオン、オフが均一に起こり、速いスイッチング
特性と、大きなRBSOAを有する。更に、第二pベー
ス領域6およびnエミッタ領域8に近い第一pベース領
域4の中のnソース領域7の表面が絶縁膜14で覆わ
れ、カソード電極11に接触していないため、ターンオ
フ時に、サイリスタ部のnエミッタ領域8からゲート電
極10直下の反転層を通ってnソース領域7に電流が流
れるが、この時、第二pベース領域6に近い部分のnソ
ース領域7はカソード電極11と短絡されていないの
で、nソース領域7、第一pベース領域4、nベース層
3およびpエミッタ領域1からなる寄生サイリスタのラ
ッチアップは起き難い。従って、従来のように、nソー
ス領域7から電子が注入されてターンオフ時間が長くな
ることはなく、短いターンオフ時間が得られる。
【0089】一方、図34(b)に見られるように、n
ソース領域7同士が向き合っている部分では、nソース
領域7にカソード電極11が接触しているが、第一pベ
ース領域4の下方には、高不純物濃度のp+ ウェル領域
5が設けられていて、この部分でのラッチアップを抑制
している。図35は、図33に示した実施例18の絶縁
ゲート型サイリスタと、比較例としてのIGBTおよび
図43に示したEST−3のオン電圧とターンオフ時間
とのトレードオフ特性の比較図である。比較例としてE
STの中では、耐圧が低かったが、オン電圧とターンオ
フ時間とのトレードオフ特性のよかったEST−3を取
り上げた。横軸は、オン電圧、たて軸は、ターンオフ時
間である。オン電圧は、100A・cm-2の電流導通時
の25℃における電位降下で示す。また、ターンオフ時
間は、125℃で測定したものである。被測定素子は、
600V用素子として作製されたもので、nソース領域
7の幅は4μmとした。EST−3のnエミッタ領域8
の幅は20μmとした。また、チップサイズは、全て、
1cm 2 である。なお、ライフタイム制御はプロトン照
射で行った。
【0090】図35からもわかるように、実施例17の
絶縁ゲート型サイリスタは、IGBTおよびEST−3
に比べて良いトレードオフ特性を示している。これは、
上記のように、第二pベース領域6に近い部分のnソー
ス領域7の表面を絶縁膜で覆って、寄生サイリスタのラ
ッチアップを抑制した効果である。更にnエミッタ領域
8が、多結晶シリコン膜13を介してカソード電極11
に接触していることによって耐圧特性が良好で、しかも
ターンオフ時のキャリアの掃き出しが速く、スイッチン
グ速度が速くなる。また特に、プロトン照射によるライ
フタイム制御を行ったので、ライフタイムキラーとなる
結晶欠陥を局在化させ、ライフタイムキラーの分布を最
適化したため、不必要な部分にライフタイムキラーを発
生させることがなくなり、一層優れたオン電圧とターン
オフ時間とのトレードオフ特性になる。
【0091】図33のパターンでプロトン照射によりラ
イフタイム制御を行った実施例18の絶縁ゲート型サイ
リスタの逆バイアス安全動作領域(RBSOA)を、図
5に示した測定回路を用いて125℃で測定した。10
0A導通時の電位降下で定義したオン電圧は、0.9V
である。その結果は、図1の第一の実施例の絶縁ゲート
型サイリスタとほぼ同じであった。すなわち、IGBT
やESTに比べ大きな破壊耐量をもち、しかもオン電圧
が低いことがわかる。これは、nエミッタ領域8および
第二pベース領域6を多角形にし、その周りを複数の第
一pベース領域4が取り囲むように形成したため、電流
の集中が生じないためである。
【0092】ライフタイム制御をヘリウムイオンの注入
でも行ったが、プロトン照射で行った実施例18とほぼ
同じ特性であった。 〔実施例19〕図34(a)、(b)と同じ断面をもつ
実施例18の絶縁ゲート型サイリスタは、pエミッタ層
1とnベース層3との間にn+ バッファ層2を設けた素
子であったが、n+ バッファ層2の無い素子において
も、本発明は適用できる。すなわち、バルクシリコンウ
ェハからなるnベース層3の一方の主面側の構造は実施
例18の図34と同じであるが、nベース層3の裏面側
に、pエミッタ層1が直接形成されているものを試作し
た。nエミッタ領域8の表面上に多結晶シリコン膜13
が形成されているこの場合nベース層3の厚さは440
μm であった。なお、ライフタイム制御をプロトン照射
で行った。
【0093】図36は、図33のパターンをもつ本発明
第十九の実施例の絶縁ゲート型サイリスタと、比較例と
してのIGBTおよびEST−3のいずれも2500V
素子の、オン電圧とターンオフ時間とのトレードオフ特
性の比較図である。横軸は、オン電圧、たて軸は、ター
ンオフ時間である。オン電圧は、50A・cm-2の電流
導通時の25℃における電位降下で示す。また、ターン
オフ時間は、125℃で測定したものである。実施例1
9の素子は、上記実施例18と同じ理由でIGBTおよ
びEST−3に比べて良いトレードオフ特性を示すこと
がわかる。
【0094】プロトン照射によりライフタイム制御を行
った実施例19の2500V素子の逆バイアス安全動作
領域(RBSOA)を、図5に示した測定回路を用いて
125℃で測定した。その結果は、図13の実施例7の
絶縁ゲート型サイリスタとほぼ同じであった。また、5
0A・cm-2導通時の電位降下で定義したオン電圧は、
1.1Vであった。
【0095】すなわち、エピタキシャルウェハの600
V素子と同様に、バルクウェハを用いた素子でも、本発
明の実施例の素子は、IGBTやESTに比べ格段にR
BSOAが広く、大きな破壊耐量をもち、しかもオン電
圧が低いことがわかる。ヘリウムイオンの注入でライフ
タイム制御を行った絶縁ゲート型サイリスタも試作した
が、その特性はプロトン照射で行った実施例19とほぼ
同じ特性であった。
【0096】〔実施例20〕図37は、本発明の第二十
の実施例の絶縁ゲート型サイリスタの、ゲート電極1
0、絶縁膜14およびカソード電極11を透視して見た
半導体基板の部分平面図である。ゲート電極10(の薄
いゲート酸化膜上の部分)の両端を細点線で、カソード
電極11の両端を細線で示してある。nエミッタ領域8
の表面上に、カソード電極11と接続される多結晶シリ
コン膜13が形成されている。太線の第一pベース領域
4と第二pベース領域6とが互いに対向してストライプ
状に形成されている。第二pベース領域6内には、やは
りストライプ状のnエミッタ領域8が形成されている。
一方、第一pベース領域4内には、ストライプ状と短冊
状のnソース領域7が形成されている。
【0097】図38(a)は図37のI−I’線におけ
る断面図、図38(b)はJ−J’線における断面図で
ある。図38(b)に示した断面構造は、図1の実施例
1の絶縁ゲート型サイリスタとほぼ同じである。従っ
て、この部分での動作は、図1の実施例1と同じであ
る。一方、図38(a)に示したI−I’線における断
面構造では、第一pベース領域4の表面層にnソース領
域7が形成されていない。従ってこの断面では、ゲート
電極10に電圧を印加した際に、カソード電極11から
電子がnベース層3に供給されず、また、ターンオフ時
には、キャリアの引き抜き孔として働くので、寄生サイ
リスタのラッチアップ耐量が増大する。従って、安全動
作領域が広く、ターンオフ時間の短い、可制御電流の大
きな絶縁ゲート型サイリスタとなる。
【0098】なお、この実施例20の絶縁ゲート型サイ
リスタは、拡散領域形成のためのマスクを変えるだけで
IGBTとほぼ同じ工程で製造できる。 〔実施例21〕図39は、本発明第二十一の実施例の絶
縁ゲート型サイリスタの半導体基板上の絶縁膜や電極を
除去した状態の表面の各拡散領域を示す図である。六角
形の第二のpベース領域6の周りに、六つのやはり六角
形の第一pベース領域4が配置された形のパターンが繰
り返されている。第二pベース領域6の表面層には六角
形のnエミッタ領域8が形成されているが、第一pベー
ス領域4の表面層には台形のnソース領域7が形成され
ている。細線はカソード電極との接触部分を示す。第二
pベース領域6とnエミッタ領域8の表面は絶縁膜で覆
われていて、カソード電極とは接触しない。図のK−
K’線に沿った断面図は、図38(a)と同じものとな
り、L−L’線に沿った断面図は、図38(b)と同様
のものとなる。このように多角形のセル型のパターンの
素子においても、nソース領域7を分割した複数の領域
として、ターンオフ時間の短い絶縁ゲート型サイリスタ
とすることができる。
【0099】〔実施例22〕図40は、本発明の第二十
二の実施例の絶縁ゲート型サイリスタの絶縁ゲート型サ
イリスタのゲート電極10を透視して見たシリコン基板
上の絶縁膜や電極を除去した表面の各拡散領域を示す図
である。六角形の第二のpベース領域6の周りに、六つ
のやはり六角形の第一pベース領域4が配置された形の
パターンが繰り返されている。第一pベース領域4の表
面層には六角環状のnソース領域7が、第二pベース領
域6の表面層には六角形のnエミッタ領域8が形成され
ている。但し、内部にnソース領域7の形成されていな
い第一pベース領域4が所々にある。六角環状のnソー
ス領域7の内部はp+ ウェル領域5である。ゲート電極
10の端を点線で示してある。nソース領域7内の細線
はカソード電極11の接触部を示し、nエミッタ領域8
内の細線はカソード電極11の接触部を示している。図
のM−M’線に沿った断面図は、図38(a)と同じも
のとなり、N−N’線に沿った断面図は、図38(b)
と同じものとなる。
【0100】なお、この実施例21の絶縁ゲート型サイ
リスタは、拡散領域形成のためのマスクを変えるだけで
IGBTとほぼ同じ工程で製造できる。これまでに使用
したと同様のエピタキシャルウェハを用い、nソース領
域7の幅は4μmとした耐圧600Vクラスの絶縁ゲー
ト型サイリスタを試作した。キャリアのライフタイム制
御は、プロトンの照射で行った。プロトン照射の条件と
しては、以前に述べたものと同様である。100A・c
-2でのオン電圧は0.9Vであった。
【0101】試作した素子の逆バイアス安全動作領域を
測定したところ、RBSOAが、IGBTに比べ3倍、
EST−3に比べ2倍と広く、大きな破壊耐量をもって
いる。勿論この実施例22の絶縁ゲート型サイリスタ
は、nエミッタ領域8の表面上にカソード電極11と接
続された多結晶シリコン膜13を有しているので、従来
のESTのように第二pベース領域をZ方向に流れる正
孔電流が必要でなく、速やかにIGBTモードからサイ
リスタモードに移行する。またnエミッタ領域8全体か
ら均一に電子の注入が生じるのでオン電圧が低くなる。
逆にターンオフ時にはその電位差により、nエミッタ領
域8と第二のpベース領域6の間のpn接合の回復が均
一に行われ、電流の集中がないことによる。
【0102】図35に、図40に示した本発明の実施例
22の絶縁ゲート型サイリスタのオン電圧とターンオフ
時間とのトレードオフ特性をも示した。測定条件等は他
の素子と同じである。この図からもわかるように、実施
例22の絶縁ゲート型サイリスタは、IGBTおよびE
ST−3に比べて良いトレードオフ特性を示している。
【0103】これは、表面層にnソース領域7が形成さ
れていない第一pベース領域4の部分が、ターンオフ時
には、キャリアの引き抜き孔として働くので、寄生サイ
リスタのラッチアップ耐量が増大するためである。従っ
て、安全動作領域が広く、ターンオフ時間の短い、可制
御電流の大きな絶縁ゲート型サイリスタとなる。特に、
nソース領域を持たない第一pベース領域4の部分のゲ
ート電極の幅を狭くすれば、カソード電極との接触面積
が広くなり、キャリアの引き抜き効果も大きくなる。こ
れらは、実施例43について説明した事柄の他に、更に
nエミッタ領域8が、多結晶シリコン膜13を介してカ
ソード電極11に接触していることによって耐圧特性が
良好で、しかもターンオフ時のキャリアの掃き出しが速
く、スイッチング速度が速くなることによる。
【0104】また、ライフタイム制御をプロトン照射で
おこなっているので、ライフタイムキラーとなる結晶欠
陥を局在化させ、ライフタイムキラーの分布を最適化し
たため、低いオン電圧が得られている。ライフタイム制
御をヘリウムイオンの注入でも行ったが、プロトン照射
で行った実施例22とほぼ同じ特性であった。
【0105】〔実施例23〕図38(a)、(b)と同
じ断面構造をもつ実施例22の絶縁ゲート型サイリスタ
は、pエミッタ層1とnベース層3との間にn+ バッフ
ァ層2を設けた素子であったが、n+ バッファ層2の無
い素子においても、本発明は適用できる。すなわち、バ
ルクシリコンウェハからなるnベース層3の一方の主面
側の構造は図38(a)、(b)と同じであるが、nベ
ース層3の裏面側には、pエミッタ層が直接形成されて
いるものを試作した。nエミッタ領域8の表面上に多結
晶シリコン膜13が形成されている。この場合nベース
層3の厚さは440μm であった。なお、ライフタイム
制御をプロトン照射で行った。
【0106】図36にこの実施例23の絶縁ゲート型サ
イリスタの2500V素子の、オン電圧とターンオフ時
間とのトレードオフ特性をも示した。測定条件等は他の
素子と同じである。実施例21の絶縁ゲート型サイリス
タは、実施例21と同じ理由で、IGBTおよびEST
−3に比べて良いトレードオフ特性を示していることが
わかる。
【0107】プロトン照射によりライフタイム制御を行
った実施例23の2500V素子の逆バイアス安全動作
領域(RBSOA)を、図5に示した測定回路を用いて
125℃で測定した。その結果は、図10の実施例7の
絶縁ゲート型サイリスタとほぼ同じであった。この理由
は表面層にnソース領域7が形成されていない第一pベ
ース領域4の部分が、ターンオフ時には、キャリアの引
き抜き孔として働くので、寄生サイリスタのラッチアッ
プ耐量が増大ためである。また、50A・cm -2導通時
の電位降下で定義したオン電圧は、1.1Vであった。
【0108】エピタキシャルウェハの600V素子と同
様に、バルクウェハを用いた素子でも、本発明の実施例
の素子は、IGBTやESTに比べ格段にRBSOAが
広く、大きな破壊耐量をもち、しかもオン電圧が低いこ
とがわかる。ヘリウムイオンの注入でライフタイム制御
を行ったものは、プロトン照射で行った実施例23とほ
ぼ同じ特性であった。
【0109】すなわち、本発明の効果はnベース層の比
抵抗、pnpワイドベーストランジスタの電流増幅率に
よらず、本発明はオン電圧の劣化を全く伴わずにRBS
OAを大きくできる。これを言い換えると、本発明は、
素子の定格電圧、基板の半導体結晶の製法によらず、オ
ン電圧の低減、RBSOAの向上に有効である。なお、
以上の実施例と逆に第一導電型をp型、第二導電型をn
型にすることもできる。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ESTにおいてIGBTモードからサイリスタをラッチ
アップ状態にするための電位降下をZ方向に流れる電流
によって得ていたのに対し、第二の第二導電型ベース領
域の表面上を絶縁膜で覆い、第一導電型エミッタ領域の
表面上に、例えば多結晶シリコン膜の抵抗体を接触さ
せ、カソード電極と同電位とすることによって、第二の
第二導電型ベース領域と第一導電型エミッタ領域との間
のpn接合の電位差を利用し、サイリスタモードへの移
行およびターンオフ時のpn接合の回復が均一となり、
可制御電流が増大した。
【0111】また、ターンオフ時間が短縮でき、オン電
圧とのトレードオフ特性が向上する。第一、第二の第二
導電型ベース領域の配置としては、ストライプ状にして
対向させても、多角形、円形、楕円形としてもよい。特
に第二の第二導電型ベース領域を囲むように第一の第二
導電型ベース領域を配置すると、電流の集中が抑えら
れ、トレードオフ特性が向上する。第二の第二導電型ベ
ース領域の周囲に複数の第一の第二導電型ベース領域を
配置することもよい。ゲート電極をトレンチ内に埋め込
んだトレンチゲート構造としてもよい。
【0112】更に、ゲート電極幅を場所により変える方
法、第一導電型ベース層の表面層の一部に高濃度の補助
領域を設ける方法、ゲート電極の端の下の第一導電型ソ
ース領域を断続させる方法や、第二の第二導電型ベース
領域に近い部分の第一導電型ソース領域の表面を絶縁膜
で覆い、他の部分でカソード電極と接触させるう方法、
第一導電型ソース領域を持たない第一の第二導電型ベー
ス領域を設ける方法などによって、電流の集中を防止
し、ターンオフ時に寄生サイリスタが動作するのを防止
し、或いはキャリアの引き抜きを効率良く行い、短いタ
ーンオフ時間を実現することができる。
【0113】プロトンの照射やヘリウムイオン注入等に
より、ライフタイムキラーを局在化させた素子では、一
層優れたトレードオフ特性が得られる。この結果、60
0Vから2500Vクラスの広い耐圧領域において、E
ST或いはIGBTより、オン電圧とターンオフ時間と
の間のトレードオフ特性の良好な、かつ逆バイアス安全
動作領域が広い電圧駆動型の絶縁ゲート型サイリスタが
得られる。更に上記の手段を併用することにより、一層
特性の優れた素子とすることができる。
【0114】これらの素子は、素子のみでなく、更にこ
れらの素子を用いた電力用変換装置のスイッチング損失
の低減に大きな貢献をなすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の絶縁ゲート型サイリスタの部分断面
【図2】図1の絶縁ゲート型サイリスタのゲート電極中
央での水平断面図
【図3】実施例2の絶縁ゲート型サイリスタのゲート電
極中央での水平断面図
【図4】実施例1および比較例の600V素子のRBS
OA図
【図5】RBSOA測定回路図
【図6】実施例2の絶縁ゲート型サイリスタのシリコン
基板表面の平面図
【図7】実施例3の絶縁ゲート型サイリスタのシリコン
基板表面の平面図
【図8】実施例1と比較例の600V素子のオン電圧・
ターンオフ時間トレートオフ特性図
【図9】実施例4の絶縁ゲート型サイリスタのゲート電
極中央での水平断面図
【図10】(a)は実施例5の絶縁ゲート型サイリスタ
のシリコン基板表面の平面図、(b)はそのゲート電極
中央での水平断面図
【図11】実施例6の絶縁ゲート型サイリスタの部分断
面図
【図12】実施例6と比較例の600V素子のオン電圧
・ターンオフ時間トレートオフ特性図
【図13】実施例7の絶縁ゲート型サイリスタのゲート
電極中央での水平断面図
【図14】実施例7と比較例の2500V素子のRBS
OA図
【図15】実施例7および比較例の2500V素子のオ
ン電圧・ターンオフ時間トレートオフ特性図
【図16】実施例8の絶縁ゲート型サイリスタの部分断
面図
【図17】実施例8の絶縁ゲート型サイリスタのシリコ
ン基板表面の平面図
【図18】実施例8および比較例の600V素子のRB
SOA図
【図19】実施例8と比較例の600V素子のオン電圧
・ターンオフ時間トレートオフ特性図
【図20】実施例9の絶縁ゲート型サイリスタのシリコ
ン基板表面の平面図
【図21】実施例10の絶縁ゲート型サイリスタのシリ
コン基板表面の平面図
【図22】実施例11と比較例の2500V素子のRB
SOA図
【図23】実施例11と比較例の2500V素子のオン
電圧・ターンオフ時間トレートオフ特性図
【図24】実施例12の絶縁ゲート型サイリスタのゲー
ト電極中央での水平断面図
【図25】実施例13の絶縁ゲート型サイリスタのゲー
ト電極中央での水平断面図
【図26】実施例12の絶縁ゲート型サイリスタの部分
断面図
【図27】実施例12と比較例の600V素子のオン電
圧・ターンオフ時間トレートオフ特性図
【図28】実施例14と比較例の2500V素子のオン
電圧・ターンオフ時間トレートオフ特性図
【図29】実施例15の絶縁ゲート型サイリスタの部分
断面図
【図30】実施例15の絶縁ゲート型サイリスタのシリ
コン基板表面での部分平面図
【図31】実施例16の絶縁ゲート型サイリスタのシリ
コン基板表面での部分平面図
【図32】実施例17の絶縁ゲート型サイリスタのシリ
コン基板表面での部分平面図
【図33】実施例18の絶縁ゲート型サイリスタのシリ
コン基板表面での部分平面図
【図34】(a)および(b)は実施例18の絶縁ゲー
ト型サイリスタの部分断面図
【図35】実施例18と比較例の600V素子のオン電
圧・ターンオフ時間トレートオフ特性図
【図36】実施例19および比較例の2500V素子の
オン電圧・ターンオフ時間トレートオフ特性図
【図37】実施例20の絶縁ゲート型サイリスタのシリ
コン基板表面での部分平面図
【図38】(a)および(b)は実施例20の絶縁ゲー
ト型サイリスタの部分断面図
【図39】実施例21の絶縁ゲート型サイリスタのシリ
コン基板表面での部分平面図
【図40】実施例22の絶縁ゲート型サイリスタのシリ
コン基板表面での部分平面図
【図41】ESTの切断斜視図
【図42】改良ESTの断面図
【図43】別の改良ESTの断面図
【図44】FET制御サイリスタの断面図
【符号の説明】
1 pエミッタ層 2 n+ バッファ層 3 nベース層 4 第一pベース領域 5 p+ ウェル領域 6 第二pベース領域 7 nソース領域 8 nエミッタ領域 9 ゲート酸化膜 10 ゲート電極 11 カソード電極 12 アノード電極 14 絶縁膜 16 ゲートランナ 17 トレンチ 18 n+ 補助領域 21 被測定素子 22 インダクタンス 23 フリーホイーリングダイオード 24 直流電源 25 抵抗 26 ゲート電源 101 p+ アノード層
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−274303(JP,A) 特開 平8−236543(JP,A) 特開 平8−255894(JP,A) 特開 平2−21661(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/749 H01L 29/74

Claims (23)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高比抵抗の第一導電型ベース層と、その第
    一導電型ベース層の一面側の表面層に選択的に離れて形
    成された第一、第二の第二導電型ベース領域と、第一の
    第二導電型ベース領域の表面層に選択的に形成された第
    一導電型ソース領域と、第二の第二導電型ベース領域の
    表面層に選択的に形成された第一導電型エミッタ領域
    と、第一導電型のソース領域およびエミッタ領域間に挟
    まれた第一の第二導電型ベース領域の表面、第一導電型
    ベース層の露出部および第二の第二導電型ベース領域の
    表面上に絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、第一
    の第二導電型ベース領域の露出部と第一導電型ソース領
    域とに共通に接触する第一主電極と、第一導電型ベース
    層の他面側に形成された第二導電型エミッタ層と、その
    第二導電型エミッタ層に接触する第二主電極とを備えた
    ものにおいて、第二の第二導電型ベース領域の表面全面
    が絶縁膜で覆われ、第一導電型エミッタ領域の表面上に
    第一主電極と接続される抵抗体を有することを特徴とす
    る絶縁ゲート型サイリスタ。
  2. 【請求項2】高比抵抗の第一導電型ベース層と、その第
    一導電型ベース層の一面側の表面層に選択的に離れて形
    成された第一、第二の第二導電型ベース領域と、第一の
    第二導電型ベース領域の表面層に選択的に形成された第
    一導電型ソース領域と、第二の第二導電型ベース領域の
    表面層に形成された第一導電型エミッタ領域と、第一導
    電型エミッタ領域と第一導電型ソース領域との間の半導
    体層を第一、第二の第二導電型ベース領域より深く掘り
    下げたトレンチと、そのトレンチ内にゲート絶縁膜を介
    して形成されたゲート電極と、第一の第二導電型ベース
    領域の露出部と第一導電型ソース領域とに共通に接触す
    る第一主電極と、第一導電型ベース層の他面側に形成さ
    れた第二導電型エミッタ層と、その第二導電型エミッタ
    層に接触する第二主電極とを備えたものにおいて、第一
    導電型エミッタ領域の表面上に第一主電極と接続される
    抵抗体を有することを特徴とする絶縁ゲート型サイリス
    タ。
  3. 【請求項3】第一と第二の第二導電型ベース領域が、互
    いに対向してほぼストライプ状に形成されていることを
    特徴とする請求項1または2に記載の絶縁ゲート型サイ
    リスタ。
  4. 【請求項4】第一、第二の第二導電型ベース領域、第一
    導電型エミッタ領域、第一導電型ソース領域の少なくと
    も一つが、多角形、円形又は楕円形のいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の絶縁ゲート型サイリス
    タ。
  5. 【請求項5】第一、第二の第二導電型ベース領域、第一
    導電型エミッタ領域、第一導電型ソース領域の少なくと
    も一つが、多角形、円形又は楕円形のいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の絶縁ゲート型サイリス
    タ。
  6. 【請求項6】第二の第二導電型ベース領域を囲むよう
    に、第一の第二導電型ベース領域およびその表面層の第
    一導電型ソース領域が形成されていることを特徴とする
    請求項1、2、4または5のいずれかに記載の絶縁ゲー
    ト型サイリスタ。
  7. 【請求項7】第二の第二導電型ベース領域を囲むよう
    に、第一の第二導電型ベース領域およびその表面層の第
    一導電型ソース領域が形成され、第二の第二導電型ベー
    ス領域表面上の絶縁膜を囲むようにほぼ環状のゲート電
    極が設けられ、そのゲート電極を挟んだ反対側に絶縁膜
    を介して第一主電極が設けられていることを特徴とする
    請求項1または4に記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  8. 【請求項8】第二の第二導電型ベース領域の周囲に、複
    数の第一の第二導電型ベース領域が形成されていること
    を特徴とする請求項1、2、4または5のいずれかに記
    載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  9. 【請求項9】第二の第二導電型ベース領域の周囲に、複
    数の第一の第二導電型ベース領域およびその表面層の第
    一導電型ソース領域が形成され、第二の第二導電型ベー
    ス領域表面上の絶縁膜を囲むようにほぼ環状のゲート電
    極が設けられ、そのゲート電極を挟んだ反対側に絶縁膜
    を介して第一主電極が設けられていることを特徴とする
    請求項1または4に記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  10. 【請求項10】表面層に第一導電型ソース領域が形成さ
    れていない第一の第二導電型ベース領域を有することを
    特徴とする請求項8または9に記載の絶縁ゲート型サイ
    リスタ。
  11. 【請求項11】表面層に第一導電型ソース領域が形成さ
    れていない第一の第二導電型ベース領域上のゲート電極
    の幅が、第一導電型ソース領域が形成されている第一の
    第二導電型ベース領域上のゲート電極の幅より小さいこ
    とを特徴とする請求項11に記載の絶縁ゲート型サイリ
    スタ。
  12. 【請求項12】第一主電極と第一の第二導電型ベース領
    域および第一導電型ソース領域との接触部の形状が、多
    角形、円形又は楕円形のいずれかであることを特徴とす
    る請求項1ないし11のいずれかに記載の絶縁ゲート型
    サイリスタ。
  13. 【請求項13】第二の第二導電型ベース領域を囲むよう
    に、一部を欠いた環状のゲート電極を有するユニットが
    複数個形成され、そのゲート電極の切り欠け部を通じ
    て、隣接ユニットと連続する第一の第二導電型ベース領
    域、第一導電型ソース領域およびカソード電極が形成さ
    れていることを特徴とする請求項7に記載の絶縁ゲート
    型サイリスタ。
  14. 【請求項14】第一導電型ソース領域の表面の第二の第
    二導電型ベース領域に近い部分が絶縁膜で覆われ、第二
    の第二導電型ベース領域から遠い部分にカソード電極が
    接触することを特徴とする請求項8ないし12のいずれ
    かに記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  15. 【請求項15】第一導電型ソース領域の表面の第二の第
    二導電型ベース領域に対向する部分が絶縁膜で覆われ、
    他の第一の第二導電型ベース領域に対向する部分にカソ
    ード電極が接触することを特徴とする請求項14に記載
    の絶縁ゲート型サイリスタ。
  16. 【請求項16】ゲート電極の一方の端の下の第一導電型
    ソース領域の少なくとも一部が、断続していることを特
    徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の絶縁ゲ
    ート型サイリスタ。
  17. 【請求項17】両端を二つの第一導電型ソース領域上に
    置くゲート電極の幅が、両端を第一導電型ソース領域上
    と第一導電型エミッタ領域上とに置くゲート電極の幅よ
    り広いことを特徴とする請求項1ないし16のいずれか
    に記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  18. 【請求項18】ゲート酸化膜の直下の第一導電型ベース
    層の表面層の一部に、第一導電型ベース層より不純物濃
    度の高い第一導電型補助領域を有することを特徴とする
    請求項1ないし17のいずれかに記載の絶縁ゲート型サ
    イリスタ。
  19. 【請求項19】第二の第二導電型ベース領域の拡散深さ
    が、第一の第一導電型ベース領域のそれより深く、第一
    導電型エミッタ領域の拡散深さが、第一導電型ソース領
    域のそれより深いことを特徴とする請求項1ないし18
    のいずれかに記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  20. 【請求項20】ライフタイムキラーが局在化されている
    ことを特徴とする請求項1ないし19のいずれかに記載
    の絶縁ゲート型サイリスタ。
  21. 【請求項21】高比抵抗の第一導電型ベース層と第一導
    電型ベース層の他面側に形成された第二導電型エミッタ
    層との間に、第一導電型ベース層より不純物濃度の高い
    第一導電型バッファ層を有することを特徴とする請求項
    1ないし20のいずれかに記載の絶縁ゲート型サイリス
    タ。
  22. 【請求項22】第二導電型エミッタ層の表面層に、厚さ
    の薄い第二導電型高不純物濃度層を有することを特徴と
    する請求項21に記載の絶縁ゲート型サイリスタ。
  23. 【請求項23】第二導電型エミッタ層の表面層に、イオ
    ン注入法により厚さの薄い第二導電型高不純物濃度層を
    形成することを特徴とする絶縁ゲート型サイリスタの製
    造方法。
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