JP3407246B2 - 横型絶縁ゲート型サイリスタ - Google Patents

横型絶縁ゲート型サイリスタ

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JP3407246B2 JP09045497A JP9045497A JP3407246B2 JP 3407246 B2 JP3407246 B2 JP 3407246B2 JP 09045497 A JP09045497 A JP 09045497A JP 9045497 A JP9045497 A JP 9045497A JP 3407246 B2 JP3407246 B2 JP 3407246B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パワーICの出力
段素子として用いられる横型絶縁ゲート型サイリスタに
関する。
【0002】
【従来の技術】サイリスタはその低オン電圧特性から、
大容量用途に必要不可欠な素子として使われてきた。そ
して今日、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタが、
高電圧・大電流領域用素子として多く使われている。し
かしながら,GTOサイリスタは、ターンオフに多大
なゲート電流を必要とする、すなわちターンオフゲイン
が小さい、安全なターンオフのために大きなスナバ回
路が必要である等、その欠点が顕在化してきている。ま
た、GTOサイリスタはその電流・電圧特性において,
電流飽和特性を示さないことから,負荷短絡保護のため
にヒューズ等の受動部品をつながなくてはならず,シス
テムの小型化・コストの削減の大きな障害となってい
る。V.A.K.Temple 氏がIEEE IEDM Tech.
Dig.1984.p282 に発表した電圧駆動型サイリスタであ
るMOS Controlled Thyristor (MCT)は、発表以来世界
の様々な研究機関において、その特性解析、改善が行わ
れている。これはMCTが電圧駆動型であるため、GT
Oサイリスタに比べ、格段に容易なゲート回路で済み、
かつ低オン電圧特性を示すことによる。しかしMCT
は、GTOサイリスタと同様に、電流飽和特性を示さな
いため、実際に使用する際にはヒューズ等の受動部品が
必要となる。
【0003】Pattanayak博士らはEmitter Switched Thy
ristor(以下ESTと記す)が電流飽和特性を示すこと
を明らかにした。[US.Patent No. 4,847,671 (JuI.1
1,1989)]また、M.S.Shekar氏等は、IEEE Ele
ctron Device Lett. vol.12(1991) p387 にDual Chann
el型 Emitter Switched Thyristor (ES
T)が高電圧領域まで電流飽和特性を示すことを実測に
より示した。さらに,発明者らは、Proc. IEEE I
SPSD ’93,p71 とProc. IEEE ISPSD
’94,p195 に、このESTのFBSOA(順バイア
ス安全動作領域)、RBSOA(逆バイアス安全動作領
域)の解析結果を発表し、電圧駆動型サイリスタにおい
て,初めて負荷短絡時の安全動作領域を有する素子開発
に道を開いた。図4に、ESTの素子構造を示す。
【0004】この図に見られるように、この素子は、p
エミッタ層1の上にn+ バッファ層2を介して設けられ
たnベース層3の表面層に、第一pベース領域4および
その一部を占め拡散深さの深いp+ ウェル領域5ならび
に第二pベース領域6が形成され、第一pベース領域4
の表面層にnソース領域7、第二pベース領域6の表面
層にnエミッタ領域8がそれぞれ形成されている。第一
pベース領域4のnソース領域7とnベース層3の露出
部とに挟まれた部分から、第二pベース領域6のnエミ
ッタ領域8とnベース層3の露出部とに挟まれた部分に
わたってゲート酸化膜9を介してゲート電極層10が設
けられている。しかし、いずれもZ方向の長さが有限
で、その外側で第一pベース領域4と第二pベース領域
6は連結され、さらにその外側にL字型にp+ ウェル領
域5が形成されている。そしてp+ウェル領域5の表面
に接触するカソード電極11は、nソース領域7の表面
にも共通に接触している。一方、pエミッタ層1の裏面
には全面にアノード電極12が設けられている。
【0005】この素子のカソード電極11を接地し,ア
ノード電極12に正の電圧を印加した状態でゲート電極
層10に電気的に接続されるゲート電極(図示せず)
正の電圧を加えると,ゲート酸化膜9の下に反転層(一
部蓄積層)が形成され,横型MOSFETがオンする。
これにより,まず電子がカソード電極11からnソース
領域7を経て第一pベース領域4の表面層の反転層(チ
ャネル)を通り、nベース層3に供給される。この電子
は、pエミッタ層1、n+ バッファ層2およびnベース
層3、第一、第二pベース領域4、6およびp+ ウェル
領域5よりなるpnpトランジスタのベース電流として
働き,それによってこのpnpトランジスタが動作す
る。すると正孔が、pエミッタ層1から注入され,n+
バッファ層2、nベース層3を通って第一pベース領域
4へ流れる。正孔の一部は第二pベース領域6へと流
れ、nエミッタ領域8の下をZ方向に流れてカソード電
極11へと抜けていく。(この動作をIGBTモードと
呼ぶ。)電流がさらに増加すると、nエミッタ領域8と
第二pベース領域6間のpn接合が順バイアスされ、p
エミッタ層1、n+ バッファ層2およびnベース層3、
第二pベース領域6およびnエミッタ領域8からなるサ
イリスタ部がラッチアップの状態になる。(この動作を
サイリスタモードと呼ぶ。)このESTをオフするに
は,ゲート電極(図示せず)の電位を横型MOSFET
のしきい値以下に下げ,このMOSFETをオフする。
そうすることにより、nエミッタ領域8はカソード電極
11から電位的に切離され、サイリスタ動作が止まる。
【0006】ESTは電流飽和作用を示すことから、そ
れを横型にしてパワーICの出力段素子として利用する
研究もなされている[Sunkavalli,R. et al.;IEEE IEDM
Tech. Dig.(1993)]。図は横型ESTの例の斜視断
面図である。この横型ESTは、n+ 基板1上に例え
ば酸化シリコン膜の分離絶縁膜1を介して積層された
nベース層3の表面層に形成されている。図4の縦型の
ESTと異なっている点は、nベース層3のpベース領
域4、6と同じ側の表面層に選択的にn+ バッファ領域
2が形成され、その表面層にpエミッタ領域1が形成さ
れていて、そのpエミッタ領域1の表面に接触してアノ
ード電極12が表面上に形成されている点である。そし
て、pエミッタ領域1に対向する側のnエミッタ領域8
とnベース層3とに挟まれた第二pベース領域6の表面
上にも第二ゲート電極17が設けられている。図5の素
子の動作原理は図4の縦型のESTと変わらない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の説明からわかる
ように、図4に示したESTおよび図5に示した横型E
STは、第二pベース領域6をZ方向に流れる正孔を利
用して、第二pベース領域6とnエミッタ領域8との間
のpn接合を順バイアスしているため、カソード電極1
1と第二pベース領域6との接触部に近づくにつれ、前
記順バイアスの度合いが小さくなる。つまり、前記のp
n接合において、nエミッタ領域8からの電子の注入量
がZ方向に沿って均一でないということである。このよ
うなオン状態から、このESTをオフすると、当然順バ
イアスの浅いカソード電極11との接触部近くの接合か
ら回復してゆき、カソード電極11との接触部から遠い
部分が、なかなか回復しない。このため、オフ時におけ
る電流集中を招き易く、ターンオフ時の破壊耐量が小さ
くなってしまう。
【0008】本発明の目的は、前記pn接合をターンオ
フ時均一に回復できる構造を示し、ターンオフ耐量の大
きく、かつオン電圧の小さな横型絶縁ゲート型サイリス
タを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題解決のため、本
発明の横型絶縁ゲート型サイリスタは、高比抵抗の第一
導電型ベース層と、その第一導電型ベース層の一面側の
表面層に選択的に形成された第一、第二の第二導電型ベ
ース領域と、第一の第二導電型ベース領域の表面層に選
択的に形成された第一導電型ソース領域と、第二の第二
導電型ベース領域の表面層に選択的に形成された第一導
電型エミッタ領域と、第一導電型のソース領域およびエ
ミッタ領域間に挟まれた第一の第二導電型ベース領域の
表面、第一導電型ベース層の露出部および第二の第二導
電型ベース領域の表面上に絶縁膜を介して形成された第
一のゲート電極層と、第一の第二導電型ベース領域の露
出部と第一導電型ソース領域とに共通に接触する第一主
電極と、第一導電型ベース層の同じ側の表面層の第一、
第二の第二導電型ベース領域と重ならない部分に形成さ
れた第二導電型エミッタ領域と、その第二導電型エミッ
タ領域の表面に接触する第二主電極と、ゲート電極層に
接触するゲート電極とを備え、第二の第二導電型ベース
領域および第一導電型エミッタ領域の表面全面が絶縁膜
で覆われフローティングであるものとする。
【0010】そのようにすれば、第二の第二導電型ベー
ス領域と、第一導電型エミッタ領域とがどこの電極とも
接触していないフローティングであることによって、I
GBTモードからサイリスタモードに移行させラッチア
ップさせる際に、第二の第二導電型ベース領域をZ方向
に流れる正孔電流を全く使わないで済むことから、ター
ンオンも均一におこなわれ、またターンオフ時の電流集
中を回避できる。
【0011】特に、第二導電型エミッタ領域側の第一導
電型ベース層と第一導電型エミッタ領域とに挟まれた第
二の第二導電型ベース領域の表面の絶縁膜上に第二のゲ
ート電極層を有するものとする。そのようにすれば、第
二のゲート電極層の下方にもチャネル領域が誘起され、
サイリスタモードへの移行が速く、オン電圧も低減され
る。
【0012】更に、第一のゲート電極層と第二のゲート
電極層とが接続されているものとすれば、制御信号は一
つで済む。そして、第一導電型エミッタ領域の拡散深さ
が、第一導電型ソース領域の拡散深さより深いものとす
る。そのようにすれば、第一導電型エミッタ領域、第二
の第二導電型ベース領域、第一導電型ベース層からなる
トランジスタの電流増幅率が、第一導電型ソース領域、
第一の第二導電型ベース領域、第一導電型ベース層から
なるトランジスタのそれより大きくなる。従って、絶縁
ゲート型サイリスタとしてのオン電圧が低減される。
【0013】また、第一導電型ベース層の他面側に絶縁
膜を介して半導体基板を有するものとすれば、絶縁膜分
離型の高耐圧ICと同一ウェハ上に集積できる。
【0014】
【発明の実施の形態】上記の課題解決のため、横型ES
Tを発展させた様々な絶縁ゲート型サイリスタを試作し
た。その過程において、発明者等は第一の主電極を第二
の第二導電型ベース領域に接触させる必要がないこと、
そして第二の第二導電型ベース領域の表面を絶縁膜で覆
った素子でもサイリスタモードに移行し、オン電圧とタ
ーンオフ時間とのよいトレードオフ特性を示すことを見
いだした。更に、不純物濃度分布等についても検討を重
ねた。
【0015】以下、図5と共通の部分に同一の符号を付
した図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。以
下の実施例では、n、pを冠した領域、層等はそれぞれ
電子、正孔を多数キャリアとする領域、層を意味するも
のとし、第一導電型をn型、第二導電型をp型とする
が、これを逆にすることも可能である。 〔実施例1〕 図1は、本発明第一の実施例(以下実施例1と記す)の
絶縁ゲート型サイリスタの部分断面図である。この部分
断面図は必要な最小単位を表しているのであって、同様
の構造が反転、或いは繰り返されて半導体素子を構成し
ている。図1に示した絶縁ゲート型サイリスタの構造
は、図5に示した横型ESTと良く似ている。
【0016】すなわち、高比抵抗のnベース層3の一方
の面側の表面層に互いに離れた第一pベース領域4と第
二pベース領域6が形成され、さらに、寄生サイリスタ
のラッチアップを防ぐ目的で、第一pベース領域4の一
部に第一pベース領域4より拡散深さの深いp+ ウェル
領域5が形成されている。この例では、第二pベース領
域6の下方にもp+ ウェル領域が形成されている。nベ
ース層3の表面層の別の部分には、n+ バッファ領域2
を介してpエミッタ領域1が形成されている。第一pベ
ース領域4の表面層には、nソース領域7、第二pベー
ス領域6の表面層にはnエミッタ領域8がそれぞれ選択
的に形成されている。そして、表面上には、図5と同様
に、nソース領域7とnエミッタ領域8とに挟まれた第
一pベース領域4、nベース層3の表面露出部、第二p
ベース領域6の表面上にゲート酸化膜9を介して多結晶
シリコンのゲート電極層10が設けられてnチャネル横
型MOSFETが構成されている。更にこの実施例で
は、pエミッタ領域1に近い側のnエミッタ領域8とn
ベース層3の表面露出部とに挟まれた第二pベース領域
6の表面上にゲート酸化膜9を介して多結晶シリコンの
第二ゲート電極層17が設けられている。そしてこの第
二電極層17は図示されない断面でゲート電極層10と
接続されている。この側の表面は、図示されないりんガ
ラス(PSG)等の絶縁膜で覆われ、第一pベース領域
4およびnソース領域7の表面上にカソード電極11が
共通に接触するように、また一部では、図示していない
ゲート電極がゲート電極層10に接触するように接触孔
が開けられている。pエミッタ領域1の表面上にはアノ
ード電極12が設けられている。他方の面側には、酸化
シリコン膜の分離絶縁膜16を介してn+ 基板15があ
る。
【0017】なお、実施例1の絶縁ゲート型サイリスタ
は、拡散領域形成のためのマスクを変えるだけで従来の
パワーICとほぼ同じ工程で製造できる。すなわち、例
えば600V用素子としては、厚さ450μm のn型シ
リコン基板15上に分離絶縁膜16として厚さ2μmの
酸化シリコン膜を介し、比抵抗50Ω・cm-3、厚さ3
0μmのnベース層3を積層したいわゆるSOIウェハ
を用いる。p+ ウェル領域5、第一、第二のpベース領
域4、6およびpエミッタ領域1は、ホウ素イオンのイ
オン注入および熱拡散により形成し、n+ バッファ領域
2、nエミッタ領域8およびnソース領域7は、砒素イ
オンや燐イオンのイオン注入および熱拡散により形成し
た。第一pベース領域4、第二pベース領域6、nソー
ス領域7およびnエミッタ領域8の端は、半導体基板上
の多結晶シリコンからなるゲート電極層10等をマスク
として、位置決めされて形成され、それぞれの横方向拡
散により、間隔が決められている。カソード電極11、
アノード電極12およびゲート電極はAl合金のスパッ
タリングとその後のフォトリソグラフィにより形成して
いる。また、スイッチング時間の短縮を図るためのキャ
リアのライフタイム制御はヘリウムイオンの照射でおこ
なった。ヘリウムイオン照射は、ライフタイムキラーと
なる結晶欠陥を局在化できる方法である。ヘリウムイオ
ン照射の条件としては、加速電圧24MeV、ドーズ量
1×1011〜1×1012cm-2とし、照射後350〜3
75℃でアニールした。
【0018】各部の寸法例としては、p+ ウェル領域5
の拡散深さは6μm、第一、第二のpベース領域4、6
の拡散深さは3μm、nエミッタ領域8、nソース領域
7の拡散深さはそれぞれ2μm、0.4μmである。こ
れにより、サイリスタ部のnpnトランジスタの電流増
幅率が大きくなり、オン電圧は小さくなっている。但
し、nエミッタ領域8の幅の両端部分は、nソース領域
7とほぼ同じ寸法になっている。これは、耐圧を考慮し
たものである。n+ バッファ領域2、pエミッタ領域1
の拡散深さは、それぞれ6μm、1.2μmである。ゲ
ート電極層10の幅は、12μm、nソース領域7、n
エミッタ領域8の幅はそれぞれ約4μm、12μmであ
る。
【0019】このように形成された絶縁ゲート型サイリ
スタの動作を次に説明する。カソード電極11を接地
し、アノード電極12に正の電圧を印加した状態で、ゲ
ート電極(図示せず)に、ある値(しきい値)以上の正
の電圧を加えると、ゲート酸化膜9の下に反転層(一部
蓄積層)のチャネルが形成され、前記横型MOSFET
がオンする。これにより、先ず電子がカソード電極11
→nソース領域7→MOSFETのチャネルの経路を通
ってnベース層3に供給される。この電子は、pnpト
ランジスタ(pエミッタ領域1/n+ バッファ領域2お
よびnベース層3/pベース領域4およびp+ ウェル領
域5)のベース電流として働き、よってこのpnpトラ
ンジスタが動作する。(この動作をIGBTモードと呼
ぶ。)すると、pエミッタ領域1から正孔が注入され、
+ バッファ領域2、nベース層3を通り、第一pベー
ス領域4へと流れる。その際、第二pベース領域6はフ
ローティングとなっているので、nベース層3を流れる
正孔電流のために次第に電位が上がってゆく。図1の断
面図からわかるように、オン時にはnエミッタ領域8は
MOSFETのチャネル領域を通じてnソース領域7と
ほぼ等電位に保たれるので、やがてnエミッタ領域8か
ら電子の注入が生じ、pエミッタ領域1、n+バッファ
領域2およびnベース層3、第二pベース領域6、nエ
ミッタ領域8からなるサイリスタ部が動作する。(この
動作をサイリスタモードと呼ぶ。)このとき、当然第二
ゲート電極層17の下方の第二導電型ベース領域6の表
面層にもチャネル領域を生じている。
【0020】ターンオフ時には、ゲート電極の電位を横
型MOSFETのしきい値以下に下げ、横型MOSFE
Tをオフすることによって、nエミッタ領域8がカソー
ド電極11から電気的に分離され、よってサイリスタ部
の動作が止まる。図1の絶縁ゲート型サイリスタでは第
二pベース領域6およびnエミッタ領域8の表面上がい
ずれも絶縁膜で覆われ、第二pベース領域6がカソード
電極11に接していない。そのため、オン時にnエミッ
タ領域8はゲート電極層10直下のチャネル領域を通じ
てカソード電極11とほぼ同電位に保たれる。そうする
と、nベース層3を流れる正孔電流によって第二pベー
ス領域6の電位が次第に上昇し、ついに、nエミッタ領
域8からの電子の注入を生じて、nエミッタ領域8、第
二pベース領域6、nベース層3およびpエミッタ層1
からなるサイリスタがオンする。従って、図5に示した
従来のESTのように第二pベース領域内をZ方向に流
れる正孔電流は必要でなく、速やかにIGBTモードか
らサイリスタモードに移行できる。また、nエミッタ領
域8全体から均一に電子の注入が生じるのでオン電圧が
低くなる。
【0021】逆にターンオフ時には電位差により、nエ
ミッタ領域8と第二pベース領域6の間のpn接合の回
復が均一に行われ、電流の集中がなく、電流集中が回避
されて、逆バイアス安全動作領域(RBSOA)が格段
に大きくなる。特に、図1の実施例1の絶縁ゲート型サ
イリスタにおいては、nエミッタ領域8の拡散深さがn
ソース領域7のそれより深く形成されているため、サイ
リスタモードが強く起き、オン電圧が低くなる。
【0022】同じエピタキシャルウェハを用いて、図5
に示した横型ESTおよびIGBTのいずれも600V
素子を試作した。チップサイズはいずれも1cm2 であ
る。同じライフタイム制御を行ったときの実施例1の横
型絶縁ゲート型サイリスタおよび上記二種類の素子の1
0A・cm-2の電流導通時のオン電圧はそれぞれ、1.
8V、2.6Vそして3.3Vであつた。
【0023】図2は本実施例の素子と、比較例として前
記600V級のESTおよびIGBTの逆バイアス安全
動作領域(以下RBSOAと記す)を、図3に示した測
定回路を用いて125℃で測定した結果である。横軸
は、アノード−カソード間電圧(VAK)、たて軸は、電
流(IAK)である。図3において、被測定素子21は、
並列接続された1mHのインダクタンス22およびフリ
ーホイーリングダイオード23を介して直流電源24に
接続され、被測定素子21のゲートは、20Ωの抵抗2
5を介してゲート電源26に接続されている。
【0024】本発明の実施例の素子は、図2からもわか
るように、安全動作領域が、オン電圧が他の素子より低
いにもかかわらず、IGBTに比べ3倍、ESTに比べ
2倍と広く、大きな破壊耐量をもっている。これは、前
にも述べたように、nエミッタ領域8と第二pベース領
域6との間のpn接合が均一に逆回復プロセスにはいる
ことと、第二pベース領域6が正孔電流のバイパスにな
ることによる。
【0025】この実施例1では、第一のゲート電極層1
0と第二のゲート電極層17とが接続されていたが、こ
れらを分離して、異なる信号で駆動してもよい。 [実施例2] また、図1において第二のゲート電極層17を設けない
素子も製造できる。そのような横型絶縁ゲート型サイリ
スタを試作した。実施例1で比較したと同じ条件でライ
フタイム制御を行った素子は、10A導通時のオン電圧
が1.9Vで、第二ゲート電極層17下のチャネル領域
ができない分だけ実施例1の素子よりオン電圧が大きい
が、それでも十分低い値を示した。
【0026】また、第二のゲート電極層17を設けない
タイプとすれば、第二ゲート電極層17の分だけ、第
二pベース領域6とpアノード領域1との間の距離を狭
くでき、集積密度を高くできる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、E
STにおいてIGBTモードからサイリスタをラッチア
ップ状態にするための電位降下を第二の第二導電型領域
の長手方向をカソード電極の方向に向かって流れる電流
によって得ていたのに対し、第二の第二導電型ベース領
域の表面上を絶縁膜で覆い、その第二導電型ベース領域
の正孔電流による電位上昇を利用することにより、サイ
リスタモードへの移行およびターンオフ時のpn接合の
回復が均一となり、可制御電流が増大する。更に、第一
導電型エミッタ領域の拡散深さを第一導電型ソース領域
のそれより深くして、横型絶縁ゲート型サイリスタのオ
ン電圧を低減した。
【0028】600Vクラスの高耐圧パワーICの出力
段素子として、従来の横型EST、横型IGBTよりも
オン電圧、破壊耐量とも格段に良好な素子となり、高耐
圧パワーICの損失低減やあるいは小面積化に寄与する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の横型絶縁ゲート型サイリスタの切断
斜視図
【図2】実施例13および比較例の600V素子のRB
SOA図
【図3】RBSOA測定回路図
【図4】縦型ESTの切断斜視図
【図5】横型ESTの切断斜視図
【符号の説明】
1 pエミッタ層またはpエミッタ領域 2 n+ バッファ層またはn+ バッファ領
域 3 nベース層 4 第一pベース領域 5 p+ ウェル領域 6 第二pベース領域 7 nソース領域 8 nエミッタ領域 9 ゲート酸化膜 10 ゲート電極層 11 カソード電極 12 アノード電極 15 n+ 基板 16 分離絶縁膜 17 第二ゲート電極層 21 被測定素子 22 インダクタンス 23 フリーホイーリングダイオード 24 直流電源 25 抵抗 26 ゲート電源

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高比抵抗の第一導電型ベース層と、その第
    一導電型ベース層の一面側の表面層に選択的に形成され
    た第一、第二の第二導電型ベース領域と、第一の第二導
    電型ベース領域の表面層に選択的に形成された第一導電
    型ソース領域と、第二の第二導電型ベース領域の表面層
    に選択的に形成された第一導電型エミッタ領域と、第一
    導電型のソース領域およびエミッタ領域間に挟まれた第
    一の第二導電型ベース領域の表面、第一導電型ベース層
    の露出部および第二の第二導電型ベース領域の表面上に
    絶縁膜を介して形成されたゲート電極層と、第一の第二
    導電型ベース領域の露出部と第一導電型ソース領域とに
    共通に接触する第一主電極と、第一導電型ベース層の同
    じ側の表面層の第一、第二の第二導電型ベース領域と重
    ならない部分に形成された第二導電型エミッタ領域と、
    その第二導電型エミッタ領域の表面に接触する第二主電
    極と、ゲート電極層に接触するゲート電極とを備え、第
    二の第二導電型ベース領域および第一導電型エミッタ領
    域の表面全面が絶縁膜で覆われフローティングである
    とを特徴とする横型絶縁ゲート型サイリスタ。
  2. 【請求項2】第二導電型エミッタ領域側の第一導電型ベ
    ース層と第一導電型エミッタ領域とに挟まれた第二の第
    二導電型ベース領域の表面の絶縁膜上に第二のゲート電
    極層を有することを特徴とする請求項1記載の横型絶縁
    ゲート型サイリスタ。
  3. 【請求項3】第一のゲート電極層と第二のゲート電極層
    とが接続されていることを特徴とする請求項2記載の横
    型絶縁ゲート型サイリスタ。
  4. 【請求項4】第一導電型エミッタ領域の拡散深さが、第
    一導電型ソース領域の拡散深さより深いことを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれかに記載の横型絶縁ゲート
    型サイリスタ。
  5. 【請求項5】第一導電型ベース層の他面側に絶縁膜を介
    して半導体基板を有することを特徴とする請求項1ない
    し4のいずれかに記載の横型絶縁ゲート型サイリスタ。
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