JP3141593B2 - 耐光性および制電性に優れた立毛シート状物 - Google Patents

耐光性および制電性に優れた立毛シート状物

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JP3141593B2 JP04338922A JP33892292A JP3141593B2 JP 3141593 B2 JP3141593 B2 JP 3141593B2 JP 04338922 A JP04338922 A JP 04338922A JP 33892292 A JP33892292 A JP 33892292A JP 3141593 B2 JP3141593 B2 JP 3141593B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高耐光性および恒久制
電性を有した立毛シート状物に関する。更に詳しくは、
高強力で難燃性を有し、かつ高級感のある表面タッチに
優れたスェード調の立毛シート状物に関し、特に自動車
用シート、家具用シートとして好適な立毛シート状物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、乗用車は、走行性,操作性および
安全性の追及はもちろんのこと、車内の快適性の追及と
して機能性向上が要求されている。例えば、高耐光性、
防臭、消臭性、防汚性、制電性などが挙げられる。中で
も、特に自動車シートとの摩擦で発生する人体帯電によ
る電撃を解消する機能および高耐光性の付与が強く要望
されている。
【0003】制電性機能を付与する技術としては、シー
トに帯電防止剤を後処理にて付与する方法や帯電防止性
の樹脂をコーティングする方法があるが、これらの方法
は摩擦、洗濯による脱落等で、制電効果の耐久性は低
く、自動車シートへの展開は困難であった。
【0004】制電効果の耐久性を向上させる技術とし
て、シート自体に制電性繊維を混繊する方法がある。例
えば、特昭52−3145号公報、特公昭53−44
579号公報、特平3−249212号公報、特
4−153306号公報などに記載された芯鞘型電性繊
維で、芯成分に導電性カーボンブラックを含有させた繊
維を編織物としたものが挙げられる。これらの製品は、
制電性繊維が太いため、コロナ放電効果をねらってパイ
ル編織物とすると表面タッチがざらつき、高級感を有す
るスェード調カーシート素材としては不向きであり、用
途展開としてはカーペット分野が主体であった。一方、
この欠点を解消する手段として特昭5−14352
5号公報において、極細導電性繊維が提案されている。
このものは制電性繊維が極細繊維であるが故に、表面タ
ッチの良い高級感を有するスェード調カーシート素材と
して好適である。しかしながら、自動車シートに要求さ
れる低温、低湿度における人体摩擦帯電圧にするには、
多量の極細導電性繊維の混繊を必要とし、また短繊維の
みの絡合構造であるがために自動車シートに要求される
強力耐久性が得難く、かつシート自体に黒色が目立ち、
シートカラーが限定されるといった欠点を有していた。
【0005】一方、極細繊維の耐光性を向上させる技術
としては、特公昭62−37152号公報に記載された
ごとき芯鞘型構造で鞘成分を顔料原着したものがある。
該発明は文中記載のごとく、導電性繊維を作るために芯
成分に多量のカーボンブラックを入れたものとは、目的
からして全く異なるものであり、繊維中の顔料が紡糸中
あるいは後加工工程における溶剤での色落ちを鞘成分で
防止し、かつ、耐光性の向上を狙ったものであり、極細
原着繊維自体が制電性効果を有するものではなく、か
つ、鞘成分により発色性が低下すると言った欠点を有し
ていた。
【0006】かくのごとく本発明の意図する高耐光性、
恒久制電性および高強力で難燃性を有し、かつ高級感の
ある表面タッチに優れたスェード調の立毛シート状物
は、未だ開発されていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した点に鑑み、本
発明の目的は、耐光性、制電性に優れ、かつ、高強力で
難燃性を有し、高級感、良好な表面タッチを兼ね備えた
自動車シート、家具用シート等に好適な立毛シート状物
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、ついに本発明に到達
したものである。本発明の骨子は次の通りである。
【0009】すなわち、立毛形成繊維が導電性微粒子を
含有した電気比抵抗が104 Ωcm以下、繊度が1デニー
ル以下の極細導電性繊維と極細原着非導電性繊維とから
なり、これらの繊維が編織物と三次元交絡し、立毛面に
おいて該極細導電性繊維と極細原着非導電性繊維が混繊
開繊した状態で存在し、編織物を貫通し裏面に露出した
前記極細導電性繊維が導電性材料を含有した樹脂と接着
されており、かつ立毛形成繊維中の前記極細導電性繊維
の占める割合が0.5重量%以上、前記導電性材料含有
率が3〜30g/m2 であることを特徴とする耐光性お
よび制電性に優れた立毛シート状物である。
【0010】好ましい実施態様としては、極細導電性繊
維が芯鞘型構造を有し、鞘成分が顔料原着されてなり
(以下、極細原着導電性芯鞘型繊維と呼称する)、芯/
鞘成分比率が5/95〜60/40重量%であること、
および/または極細原着導電性芯鞘型繊維と極細原着非
導電性繊維が介在成分により結束されてなる3成分系複
合繊維から形成されたものであり、かつ、介在成分除去
後の極細原着導電性芯鞘型繊維の割合が0.5重量%以
上であること、および/または3成分系複合繊維の介在
成分が熱水および/または弱アルカリ性で溶解可能な繊
維形成性ポリマーであること、および/または導電性材
料が難燃剤を含有していることおよび/または温湿度1
0℃、30%における人体摩擦帯電圧が3KV以下であ
ること、および/または高分子弾性重合体が付与された
ものであること、および/または高分子弾性重合体が極
細原着非導電性繊維と同系色に顔料着色されてなるこ
と、および/または編織物が導電性繊維を混繊したもの
であること、および/または編織物が、撚数500T/
m以上、4000T/m以下の強撚糸より構成された強
撚編織物であること、および/または高分子弾性重合
が、難燃性を有したものである。
【0011】
【作用】以下、本発明について説明する。
【0012】本発明に用いられる極細導電性繊維として
は、繊維形成性ポリマーに導電性微粒子を含有せしめた
電気比抵抗が104 Ωcm以下としたものである。繊維形
成性ポリマーは、特に限定されるものではないが、ポリ
エステル、ポリアミドおよびその共重合体類などが好ま
しく用いられる。
【0013】極細導電性繊維の断面形状は、特に限定さ
れるものではなく、導電性微粒子を含有せしめた繊度1
デニール以下のものであれば使用可能である。極細化、
加工安定性および耐久性などの観点から、芯鞘型極細導
電性繊維が好ましく用いられる。
【0014】導電性微粒子としては、例えば導電性カー
ボン(チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセ
チレンブラック、サマーブラックなど)、金属微粒子
(銅、白金、金、銀、鉄、亜鉛、クロム、ニッケル、ア
ルミニュウムおよびこれらの合金など)、導電性金属酸
化微粒子(酸化銅、酸化亜鉛、酸化錫、亜酸化銅、酸化
タングステン、酸化ジリコニウム、酸化インジニウムな
ど)、導電性金属化合物微粒子(硫酸銅、夭化第一銅、
夭化亜鉛、硫化カドミウムなど)などが用いられる。こ
れらの導電性微粒子の含有量は、用いられる導電性微粒
子の種類によって異なるため、一律に特定することはで
きないが、本発明者らの知見によれば、極細導電性繊維
の電気比抵抗が104 Ωcm以下となるように調整するこ
とが好ましく、例えば芯鞘型極細導電性繊維における導
電性微粒子の含有量は、芯鞘型極細導電性繊維全体に占
める割合が0.5〜30重量%、芯鞘比率としては芯/
鞘=5/95〜60/40重量%とするのがよい。
【0015】極細導電性繊維および極細原着非導電性繊
維の繊度は、立毛シートの表面タッチ、スェード効果お
よび立毛耐久性の観点から1デニール以下、好ましくは
0.5デニール以下、0.05デニール以上がよい。こ
れらの範疇において混繊使用しても差支えない。
【0016】本発明において好ましい実施態様として
は、極細導電性繊維が芯鞘型であって、かつ鞘成分が顔
料原着されてなる極細原着導電性芯鞘型繊維とするのが
よい。鞘成分が原着化されることにより、導電性微粒子
の発する色を隠蔽することが可能となり、かつ、極細原
着非導電性繊維と同系色の顔料原着することにより、極
細導電性繊維自体の耐光性を向上させ、霜降り色をも軽
減することが可能となる。一般に行なわれている鞘成分
への酸化チタンを多量に添加して、黒色隠蔽性を得るも
のとは思想を異にするものである。
【0017】極細導電性繊維の繊度がこのように細繊度
であることは、繊維断面方向にも徐々に電気が流れ、断
面先端からの放電との相乗効果が得られるものと推定さ
れる。また、放電効果を高めるには更にい極細導電性繊
維が束状となり極細原着非導電性繊維と交絡し、立毛面
において極細導電性繊維と極細原着非導電性繊維が混繊
開繊している構造とすることが重要である。まて、開繊
することにより立毛隙間と方向の乱れで光が散乱し、極
細導電性繊維による発色性への影響を緩和するのにも好
ましい。
【0018】このような構造とするには、極細原着導電
性芯鞘型繊維と極細原着非導電性繊維が介在成分により
結束された3成分系複合繊維を用いるのが好ましい。交
絡シート形成の後、介在成分を除去することにより得ら
れるものである。この場合、介在成分除去後の極細原着
導電性芯鞘型繊維の割合が0.5重量%以上とし、芯鞘
比率としては芯/鞘=5/95〜60/40重量%とす
るのがよい。かかる繊維の製造法としては、例えば特開
昭54−116417号公報に記載されているごとき3
成分系芯鞘型複合口金を用い、芯成分となる島成分の流
路を目的とする割合、配置を考慮して一部遮断し、例え
ば芯成分に導電性微粒子を含有した繊維形成性ポリマー
を、鞘成分に顔料原着した繊維形成性ポリマーを、海成
分に島成分と溶剤溶解性の異なる繊維形成性ポリマーを
配して紡糸し、所定の繊度になるように延伸し、海成分
を脱海することにより得られるものである。
【0019】極細原着導電性芯鞘型繊維と極細原着非導
電性繊維とが形成する繊維束を構成する単糸本数は、2
〜250本が好ましく、6〜70本が特に好ましい。こ
の繊維束中で極細原着導電性芯鞘型繊維の割合が0.5
重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上、上限と
しては20重量%以下であれば十分である。これ以上極
細原着導電性芯鞘型繊維の割合を増やしても、制電性効
果はほとんど変わらず、経済的、製品強力の観点から不
利である。
【0020】3成分系芯鞘型複合繊維の介在成分として
は、熱水および/または弱アルカリ性熱水で溶解除去可
能な繊維形成性ポリマーを配することが好ましい。すな
わち、極細原着導電性芯鞘型繊維の鞘成分と極細原着非
導電性繊維成分に添加する顔料は、発色性の観点すると
耐光性のよいものであれば有機系顔料が好ましい。しか
し、脱海における溶剤への色落ち防止の観点からは、無
機系顔料が好ましい。これらの相反する欠点を解消する
には、介在成分として熱水および/または弱アルカリ性
熱水で溶解除去可能な繊維形成性ポリマーを配すること
が重要である。
【0021】このような介在成分として特に好ましいポ
リマーは、特公平1−6286号公報に記載されたごと
き、8〜15mol%の5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸、および5〜40mol%のイソフタル酸を含み、
主たる酸成分がテレフタル酸である共重合ポリエステル
を用いるのがよい。
【0022】極細原着非導電性繊維としては、顔料原着
可能な繊維形成性ポリマーであれば特に限定されるもの
ではない。直紡型繊維あるいは剥離、分割、溶解除去型
などの複合繊維のいずれでも用いることができる。中で
も製品強力、顔料添加率からしてポリエステル、ポリア
ミドおよびこれらの共重合体類が残存成分として好まし
く用いられる。また繊維の断面形状も特に限定されるも
のではない。
【0023】本発明の更に重要なポイントは、これらの
立毛形成繊維が編織物と三次元交絡し、編織物を貫通し
裏面に露出した構造とすることが制電効果を高めるのに
重要である。かかるシート構造体は、例えば芯成分に導
電性カーボンを含有した芯鞘型の高分子相互配列体繊維
の短繊維と直紡型の極細原着非導電性短繊維を混繊しウ
ェブ化した後、編織物の少なくとも片面に積層し、ニー
ドルパンチ、ウオータージェットパンチあるいはこれら
を組み合わせた交絡処理を行ない、次いで高分子相互配
列体繊維の海成分を溶解除去することにより、極細導電
性繊維束と非導電性繊維が交絡した、かつ編織物と不離
一体化した構造体を得ることができる。そして、このシ
ートを起毛処理することにより、立毛面において極細導
電性繊維束と非導電性繊維が混繊開繊した構造、裏面に
おいてはこれらの繊維が編織物を被覆するがごとく交絡
した構造とすることが可能となる。かかる構造体とする
ことにより、極細導電性繊維を混繊することによるシー
トの強力低下を防止し、高強力、耐光性に優れた製品を
も得ることを可能にしたものである。
【0024】編織物の種類としては、経編、トリコット
編で代表される緯編、レース編およびそれらの編み方を
基本とした各種の編物、あるいは平織、綾織、朱子織お
よびそれらの織り方を基本とした各種の織物などいずれ
でも採用することができ、特に限定されるものではな
い。
【0025】また、特開昭57−143525号公報お
よび特開平3−174074号公報に開示された技術
は、単に立毛表面に露出した極細導電性繊維のアンテナ
効果によるコロナ放電を利用するものであるが、本発明
者らの検討によれば自動車シートに要求される厳しい条
件下(温度10℃、湿度30%)における人体摩擦帯電
圧は不十分なものであった。
【0026】本発明者らは、これらの知見に鑑み、空気
中への放電効果を付与するアンテナ機能と製品裏面を通
じて流す漏洩効果を付与するアース機能を併せ持つ、本
発明の立毛シート状物に到達したものである。
【0027】すなわち、前記の立毛シート構造とした上
に、極細導電性繊維の混繊比率が極めて少量で、十分な
制電効果を発揮するには、編織物の裏面に導電性材料を
含有する層を付与した併用型構造とすることが極めて重
要であることを見出したものである。かかる導電性材料
を含有する層を付与することにより、極細導電性繊維と
極細原着非導電性繊維とが立毛面において混繊開繊し、
編織物の裏面に貫通した極細導電性繊維あるいは極細原
着導電性芯鞘型繊維が導電性材料と接触した本発明のア
ンテナ機能とアース機能を合わせ持った制電性立毛シー
ト状物を可能にしたものである。
【0028】かかる構造とすることにより、立毛シート
状物中の極細導電性繊維の混繊比率は、立毛形成繊維重
量の0.5重量%以上、好ましくは1.5重量%以上、
20重量%以下で十分であり、導電性材料固形分として
は3〜30g/m2 、より好ましくは5〜20g/m2
とするのがよい。3g/m2 未満では導電性材料の繋が
りが不十分であり、30g/m2 を越えても本発明の効
果は損なわれるものではないが経済的に不利である。
【0029】本発明に用いられる導電性材料としては、
例えば導電性カーボン(チャンネルブラック、ファーネ
スブラック、アセチレンブラック、サマーブラックな
ど)、金属微粒子(銅、白金、金、銀、鉄、亜鉛、クロ
ム、ニッケル、アルミニュウムおよびこれらの合金な
ど)、導電性金属酸化物微粒子(酸化銅、酸化亜鉛、酸
化錫、亜酸化銅、酸化タングステン、酸化ジリコニウ
ム、酸化インジニウムなど)、導電性金属化合物微粒子
(硫酸銅、夭化第一銅、夭化亜鉛、硫化カドミウムな
ど)や微細な繊維状とした導電性チタン酸カリウムウィ
スカー、炭素繊維、更には紙状、フィルム状としたあら
ゆる導電性フィラーを用いることが可能である。中でも
アスペクト比が高く、少量混合で制電性効果が高く、コ
ーティング加工性の良い微細な短繊維状のチタン酸カリ
ウムウィスカーを用いた、例えば市販の平均繊維径0.
01〜1μm、平均繊維長1〜100μmで、かつアス
ペクト比10以上の“デントール”(大塚化学(株)
製)、あるいはチタン酸カリウムウィスカー中に微量の
導電性カーボン(特にファーネスブラック)を混合した
ものなどが特に好ましい。
【0030】これらの導電性材料をアクリルあるいはエ
チレン/塩ビレジンなどに分散させ、立毛シートの裏面
にバッキングすることにより達成できるものである。バ
ッキングするレジンの目付は、15〜150g/m2
好ましくは30〜100g/m2 がよい。このレジンの
目付中に導電性材料が固形分として、3〜30g/
2 、より好ましくは5〜20g/m2 とするのがよ
い。レジンの目付が10g/m2 未満、200g/m2
を越えると摩擦による導電性材料の脱落、立毛シートの
風合が硬化しすぎ好ましいものではない。
【0031】公知技術として、導電性繊維を混繊したモ
ケットの裏面に導電材料をバッキングする技術がある
が、該技術では導電性繊維が非導電性繊維の中に埋もれ
る確立が高く、バッキングによる導電材料との接触比率
が低下し、十分な制電効果が得られにくく、かつ裏面組
織の凹凸のため、バッキング樹脂の付着むらや裏面から
立毛層に浸透しやすく、製品風合が硬く、シート縫製性
が低下するという欠点を有しているものであった。本発
明の製品は編織物の組織隙間に極細短繊維が充填され、
かつ裏面が極細短繊維で被覆され凹凸が少なく、導電材
料をコーティングしても、樹脂の付着むらや裏面から立
毛層に浸透せず、また極細導電性繊維は編織物を貫通し
裏面に効率良く露出されるため、導電材料との接触比率
が極めて高く十分な制電効果が得られるものである。
【0032】本発明の効果を高めるために、これらレジ
ンの中に補助剤として一般市販の帯電防止剤、例えばア
ルキル燐酸エステル類、ポリエチレンオキサイド誘導
体、第4級アンモニウム塩等カチオン活性剤、高級アル
コール硫酸エステル等アニオン活性剤などの併用、樹脂
中の導電性フィラー分散性を安定させるための分散剤お
よび樹脂粘度の適正化を図るための増粘剤などを添加す
ることは好ましいものである。
【0033】本発明に用いられる難燃剤としてはハロゲ
ン系化合物、燐系化合物、金属系化合物が用いられる。
例えばハロゲン系化合物としては、テトラブロムビスフ
ェノールA、テトラブロムビスフェノールAビスジブロ
ムエチルエーテル、テトラブロムビスフェノールAエポ
キシ化オリゴマー、テトラブロムビスフェノールS、ヘ
キサブロムシクロドデカン、デカブロムジフェニルエー
テル、オクタブロムジフェニルエーテルなど、燐系化合
物としては、ポリ燐酸アンモニウム、燐酸グアニジン、
燐酸アンモニウム、ハロゲン化燐酸エステル、燐酸メラ
ミン、トリフェニルホスフェート、TCP、プロピルフ
ェニルジフェニルホスフェート、ハロゲン化アルキル燐
酸エステル、ポリハロゲン化ポリホスフォネートなど、
金属系化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アン
チモン、硼酸亜鉛、酸化錫、モリブデン酸化亜鉛、酸化
モリブデン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシュー
ムなどが挙げられる。これらの難燃剤の少なくとも1種
類以上を組み合わせ使用するものである。中でも、製品
風合の柔軟性、少量添加での防燃性および耐熱変色性の
観点から、三酸化アンチモンとデカブロムジフェニルエ
ーテルの組み合わせ使用が好ましい。
【0034】難燃剤を導電性材料と併用使用する場合の
含有固形分比率としては、導電性材料/難燃剤=5/9
5〜40/60、好ましくは10/90〜30/70%
がよい。この配合割合で樹脂に混合し、必要に応じて分
散剤、増粘剤などを添加し、適宜の濃度としてコーティ
ングするのが好ましい。全固形分としては、30〜20
0g/m2 、好ましくは50〜150g/m2 の範囲が
良い。
【0035】これらの混合樹脂を立毛シート裏面にバッ
キングすることにより、従来技術では到底達し得なかっ
た高耐光性、恒久制電性、難燃性を有し、高強力で発色
性に優れ、かつスェード調の高級感、良好な表面タッチ
を兼ね備えた自動車シートあるいは家具用シートに好適
な立毛シート状物の提供を可能としたものである。
【0036】立毛シート裏面へのバッキング処理は、起
毛処理前後のいずれでもよいが、立毛シートを染色する
場合は、染色処理後にバッキング処理をするのが好まし
い。本発明の製品の更に好ましい実施態様としては、シ
ートに適度な反発性、耐久性および優れたスェード調感
覚を付与せしめるために、高分子弾性重合体を付与する
ことが好ましい。更に高分子弾性重合体種類が立毛形成
繊維の極細原着非導電繊維と同系色に顔料着色されてい
るのが好ましい。高分子弾性重合体としては、特に限定
はされないが、ポリウレタンが好ましく用いられる。ポ
リウレタンとしては、一般の布帛類や人工皮革の加工に
用いられる水系のポリウレタン樹脂や溶剤系のポリウレ
タン樹脂のいずれでも用いることができる。また、ウレ
タンが、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、滑材、もし
くは原着など本発明の効果が損なわれない範囲内で適宜
に添加されたものであってもよい。また、立毛シートの
難燃性を更に高めるために高分子弾性重合体が難燃剤を
含有したものであっても差支えない。例えば、DMF系
ポリウレタン溶液に上記の難燃剤を混合し、交絡シート
に含浸し、シート裏面に導電性材料含有レジンをバッキ
ングしたものである。
【0037】本発明の立毛シートの厚み、質感を付与
し、強力をより高め、かつ柔軟性を付与せしめるには、
立毛形成繊維交絡層と導電性材料含有層との間に介在す
る編織物が強撚編織物であることが好ましい。特に、絡
合手段がニードルパンチである場合、針のバーブに単糸
が引掛り、糸の切断、損傷し、製品強力低下を誘発す
る。これを防止するためには、撚数500T/m以上、
4000T/m以下の強撚糸より構成された強撚編織物
を用いることが好ましく、より好ましくは1500T/
m以上、3000T/m以下のものを用いるのがよい。
【0038】強撚編織物の種類としては、経編、トリコ
ット編で代表される緯編、レース編およびそれらの編み
方を基本とした各種の編物、あるいは平織、綾織、朱子
織およびそれらの織り方を基本とした各種の織物などい
ずれでも採用することができ、特に限定されるものでは
ない。
【0039】これらの織物のうち、好ましいものとして
は、少なくとも経、緯いずれかに強撚糸を用いたものが
よく、特に好ましいものとしては、経、緯ともに強撚糸
を用いた織物を使用するのが高強力を発揮するのによ
い。また、これらの編織物が適度な潜在収縮率を有し、
立毛形成繊維と編織物との沸水での面積収縮率差が5〜
20%、好ましくは5〜15%の範囲がよい。5%未満
では積層絡合シートの柔軟性が不足し20%を越えると
積層絡合シートの凹凸が発生し、バッキング処理時に樹
脂の付着むらを誘発し好ましくない。
【0040】編織物を構成する繊維は、ポリエステル
類、ポリアミド類、アクリル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどの合成繊維、レーヨン、キュプラレーヨンな
どの再生繊維などを用いることができる。中でも製品強
力および風合などの観点からポリエステル繊維が好まし
い。
【0041】これら繊維を用いた編織物の糸使いとして
は、単糸繊度で0.05〜5デニール、より好ましくは
0.1〜3デニール、構成糸で20〜300デニール、
より好ましくは30〜150デニールの範囲がよい。単
糸繊度が0.05デニール未満となると製品柔軟化には
好ましいが強力が得難く、5デニールを越えると風合が
硬くなり好ましいものではない。構成糸が20デニール
未満となるとウェブとの積層時にシワが入りやすく、3
00デニールを越えると絡合処理時の繊維の貫通が不足
し剥離しやすくなり好ましくない。これらの単糸繊維の
断面形状は、特に限定されるものではない。
【0042】編織物を構成する繊維の形態は、高分子相
互配列体型繊維のごとき海島型複合繊維、分割型複合繊
維などの極細化可能な複合繊維であってもよい。この場
合、公知の極細化手段によって編織物を構成する繊維を
絡合処理後に極細化することによって、製品の曲げ特性
を一層低下させ、柔軟性を発揮させ、シート成形性を向
上せしめるのに好ましいものである。
【0043】また、上記の編織物に導電性繊維を混繊し
てもよい。立毛形成繊維中の極細導電性繊維との接触に
よりアース効果を一層発揮せしめるのに好都合なもので
ある。この場合、編織物に混繊した導電性繊維は、立毛
表面に露出するものではないため、導電性繊維の太さは
特に極細繊維に限定されるものではなく、市販の1デニ
ール以上の導電性繊維を混繊してもよい。
【0044】本発明の立毛シート構造体を形成する極細
原着非導電性繊維が、適宜に添加物・助剤等が付与され
たもの、たとえば、消臭、抗菌性を有するゼオライト微
粒子が混練りされたもの等であって、更なる機能が付加
されたものであることもまた好ましいことである。
【0045】
【実施例】以下に、本発明を実施例にて詳細に説明す
る。
【0046】実施例における導電性繊維の電気比抵抗
(Ωcm)および人体摩擦帯電圧(KV)は、以下に示す
方法で測定したものである。
【0047】(1)導電性繊維の電気比抵抗(R) 極細導電性繊維を束状に引き揃え温度20℃、湿度30
%で、24時間調温、調湿したのち、グリップ法で試長
10cmの繊維束とし、グリップ部に導電性接着剤を塗布
し、印加電圧100Vで試料の抵抗(R)を測定し、次
式により算出する。 R=(R×D)/
(9×105 ×L×d) R:電気比抵抗(Ωcm) R :抵抗(Ω) d :試料密度(g/cm3 ) D :デニール L :試料長(cm) (2)人体摩擦帯電圧(KV) 立毛シートの長さ方向に1.5m、巾方向に0.5mの
寸法でサンプリングし、10℃、30%の恒温恒湿室に
6時間以上調温、調湿した立毛シートをトヨタ法のTS
L2100に準じ測定したものである。
【0048】ある制電性立毛シート状物。
【0049】(3)耐光性(級) フェードメーター(スガ試験機器(株)製)を用い、ブ
ラック温度83℃で200時間照射後、変退色グレース
ケールで等級を判定したものである。
【0050】[極細導電性芯鞘型繊維を島繊維とする高
分子相互配列体繊維の製造]特開昭54−116467
号公報に示される如くの3成分口金を用いて、下記に示
す条件で紡糸、延伸し、芯鞘型極細導電性繊維を島繊維
とする高分子相互配列体繊維の原綿化(以後、「A原
綿」と呼称する)を行なった。
【0051】(1)紡糸機 : 3成分紡糸機 (2)口 金 : 海島型口金(島芯鞘型) 島
数16島、吐出孔数18 (3)紡糸温度 : 290℃ (4)海成分 : ポリスチレン 約30部 (5)島成分(芯) : 導電性カーボンブラックを3
5重量%混入したナイロン6 約28部 (6)島成分(鞘) : ポリエチレンテレフタレート
(極限粘度IV=0.72) 約42部 (7)引取速度 : 1000m/分 かくして得られた未延伸糸を液浴ステープル延伸機で
3.5倍に延伸し、カット長約51mm、ケン縮数約12
山/in、複合繊度約7dの原綿を得た。海成分をトリク
レンで溶解除去した芯鞘型繊維の繊度は、計算値より約
0.3dであった。
【0052】この芯鞘型極細導電性繊維の電気比抵抗
は、約1.1×10Ωcmであった。
【0053】[極細原着導電性芯鞘型繊維と極細原着非
導電性繊維を島繊維とする高分子相互配列体繊維の製
造]特開昭54−116467号公報に示される如くの
3成分口金を一部改造し、下記に示す条件で紡糸、延伸
し、高分子相互配列体繊維の原綿化(以後、「B原綿」
と呼称する)を行なった。
【0054】(1)紡糸機 : 3成分紡糸機 (2)口 金 : 海島型口金(島一部芯鞘型)
島数16、吐出孔数18口金1号板は芯成分流入孔の1
6孔数(中列1孔、内列5孔、外列10孔配列)の内、
内列3孔の孔を全て遮断したものを使用する。
【0055】(3)紡糸温度 : 290℃ (4)海成分 : ポリスチレン 約30部 (5)島成分(芯) : 導電性カーボンブラックを3
5重量%混入したナイロン6 約28部 (6)島成分(鞘) : レッド2種類、ブラック1種
類を配合した無機系顔料をポリエチレンテレフタレート
(極限粘度IV=0.72)に混練したマルーン系色の
マスターチプをポリエチレンテレフタレート(極限粘度
IV=0.72)で顔料濃度が約5重量%となるように
混合希釈したチップ 約42部 (7)引取速度 : 1000m/分 かくして得られた未延伸糸は、極細原着導電性芯鞘型繊
維3本が内列に、極細原着非導電性繊維が中列に1本、
内列2本、外列10本に配列し、極細原着導電性芯鞘型
繊維を包み、ポリスチレンで結束された断面構造を有し
ていた。この未延伸糸を液浴ステープル延伸機で3.5
倍に延伸し、カット長約51mm、ケン縮数約12山/i
n、複合繊度約7dの原綿を得た。海成分をトリクレン
で溶解除去した極細原着導電性芯鞘型繊維と極細原着非
導電性繊維の繊度は、計算値より約0.42dと0.3
dで、混繊比率は18.7重量%であった。この繊維の
電気比抵抗は、約1.8×10Ωcmであった。
【0056】[極細原着非導電性繊維の製造] (1)紡糸機 : 2成分紡糸機 (2)口 金 : 海島型口金(島数16、吐出
孔数18) (3)紡糸温度 : 285℃ (4)海成分 : ポリスチレン 約40部 (5)島成分 : レッド2種類、ブラック1種
類を配合した無機系顔料をポリエチレンテレフタレート
(極限粘度IV=0.72)に混練したマルーン系色の
マスターチプをポリエチレンテレフタレート(極限粘度
IV=0.72)で顔料濃度が約5重量%となるように
混合希釈したチップ 約60部 (7)引取速度 : 1000m/分 かくして得られた未延伸糸を液浴ステープル延伸機で
2.8倍に延伸し、カット長約51mm、ケン縮数約12
山/in、複合繊度約4.6dの原綿(以後、「C原綿」
と呼称する)を得た。海成分をトリクレンで溶解除去し
た島繊維の繊度は、計算値より約0.19dであった。
【0057】[極細非導電性繊維の製造]極細原着非導
電性繊維の製造方法において、島成分をポリエチレンテ
レフタレート(極限粘度IV=0.72) 約40部と
し、その他は同じ条件で紡糸、延伸し、カット長約51
mm、ケン縮数約10山/in、複合繊度約4.5dの原綿
(以後、「D原綿」と呼称する)を得た。海成分をトリ
クレンで溶解除去した島繊維の繊度は、計算値より約
0.19dであった。
【0058】実施例1〜5 A原綿とC原綿を用い、A原綿/C原綿の混繊比率が、
島成分比率で1.4/98.6重量%(実施例1)、
2.7/97.3重量%(実施例2)、5.5/94.
5重量%(実施例3)、11.1/88.9重量%(実
施例4)、22.6/77.4重量%(実施例5)とな
るように、カード・クロスラッパー装置を用いて混繊し
た。この混繊原綿を用い目付約500〜550g/m2
のウェブを加工した。次いで、ウェブの両面に平織物
(75d−72f、撚数2000T/m、織密度が経9
4本/in、緯80本/in、目付75g/m2 )を積
層し、ニードルパンチを行なった。得られたフェルトを
熱水中で収縮し乾燥した。次いでポリビニールアルコー
ル(PVA)水溶液に浸漬し、絡合シートに対して固形
分付量が10重量%となるようにマングルで調整し、1
00℃で乾燥し恒量とした後、トリクレンを用い海成分
を溶解除去し、乾燥した。
【0059】次いで、DMF系ポリウレタンを絡合シー
トに対して固形分付量が30重量%となるようにマング
ルで調整し、水中に浸漬して凝固した後、温水中でPV
AおよびDMFを除去し乾燥した。このものをスライス
装置を用いて判裁し、スライス面をサンドペーパーバフ
装置を用いて起毛し、目付約320〜380g/m2
厚さ約0.95〜1.1mmの生機を得た。この生機を液
流染色機で湯練りし、仕上げ処理を行なった。得られた
製品の立毛面は、極細原着非導電性繊維の中に極細導電
性芯鞘型繊維が混繊して点在し、裏面は極細原着非導電
性繊維束と極細導電性芯鞘型繊維束が織物を被覆したも
のであった。
【0060】次いで、固形分比率としてデカブロムジフ
ェニルエーテル20部、三酸化アンチモン11部、導電
性材料(大塚化学(株)製、“デントール”WK−20
0)8部、エチレン・塩ビレジン7.5部、その他分散
剤、増粘剤を少量添加した樹脂を固形分で約65g/m
2 となるようにコーティングして100℃で乾燥した。
【0061】かくして得られた製品の人体摩擦帯電圧
は、表1に示したごとく極細導電性芯鞘型繊維の混繊比
率が極めて少量でもカーシートに要求される3KV以下
を有し、かつ電撃がなく、良好な耐光性を有した製品表
面タッチ、風合、高級感に優れたマルーン系のスェード
調感覚を有した製品であった。
【0062】実施例6 実施例2で得られた生機を分散染料(Yellow G
SL、Red SE−2BF、BullG−FS)を用
いて液流染色機でオーバーダイを行ない、仕上げ処理を
行なった。次いで、実施例1〜5と同条件で導電・難燃
バッキンク処理を行った。
【0063】かくして得られた製品の人体摩擦帯電圧
は、表1に示したごとくカーシートに要求される3KV
以下を有し、かつ電撃がなく、実施例1〜5の発色性よ
りも更に濃色化されたマルーン系発色の良好な耐光性を
有した製品表面タッチ、風合、高級感に優れたスェード
調感覚を有した製品であった。
【0064】実施例7 B原綿をカード・クロスラッパー装置を用い、目付約5
00g/m2 のウェブを加工した。次いでウェブの両面
に実施例1〜5と同じ平織物を積層し、同条件でニード
ルパンチを行なった。得られたフェルトを熱水中で収縮
し乾燥した。次いでポリビニールアルコール(PVA)
水溶液に浸漬し、絡合シートに対して固形分付量が10
重量%となるようにマングルで調整し、100℃で乾燥
し恒量とした後、トリクレンを用い海成分を溶解除去
し、乾燥した。
【0065】次いで、DMF系ポリウレタンを絡合シー
トに対して固形分付量が30重量%となるようにマング
ルで調整し、水中に浸漬して凝固した後、温水中でPV
AおよびDMFを除去し乾燥した。このものをスライス
装置を用いて判裁し、スライス面をサンドペーパーバフ
装置を用いて起毛し、目付約320g/m2 、厚さ約
0.95mmの生機を得た。この生機を液流染色機で湯練
りし、仕上げ処理を行なった。得られた製品の立毛面
は、極細原着非導電性繊維束の中に極細原着導電性芯鞘
型繊維が混繊し、裏面はこれらの繊維が織物を被覆した
ものであった。次いで、実施例1〜5と同条件で導電・
難燃バッキンク処理を行なった。
【0066】かくして得られた製品の人体摩擦帯電圧
は、表1に示したごとくカーシートに要求される3KV
以下を有し、かつ電撃がなく、実施例5に近い導電性繊
維を含有しているにも関わらず、黒色発色の見え難い、
マルーン系色の良好な耐光性を有した製品表面タッチ、
風合、高級感に優れたスェード調感覚を有した製品であ
った。
【0067】比較例1〜5 A原綿/C原綿の混繊比率が、島成分比率で1.4/9
8.6重量%(比較例1)、2.7/97.3重量%
(比較例2)、5.5/94.5重量%(比較例3)、
11.1/88.9重量%(比較例4)、22.6/7
7.4重量%(比較例5)となるようにカード・クロス
ラッパー装置を用いて混繊し、以後、実施例1〜5と同
様に加工し、目付約320〜380g/m2 、厚さ約
0.95〜1.1mmの生機を得た。この生機を液流染色
機で湯練りし、仕上げ処理を行なった。これらの製品の
人体摩擦帯電圧は、表1に示したように極細導電性芯鞘
型繊維の混繊比率が5.5重量%を越えると大差なく、
約23重量%混繊しても人体摩擦帯電圧が不十分なもの
であり、かつ電撃を有する製品であった。
【0068】比較例6 A原綿とD原綿を2.7/97.3重量%に混繊し、カ
ード・クロスラッパー装置を用いてウェブとし、実施例
1〜5と同条件でニードルパンチを行なった。得られた
フェルトを以後実施例1〜5と同条件で加工し、目付約
330g/m2、厚さ約0.97mmの生機を得た。この
生機を実施例6で用いた分散染料配合で実施例6とほぼ
同程度の発色性を得るように濃度アップし、同条件で染
色し、次いで、実施例1〜5と同条件で導電・難燃バッ
キンク処理を行なった。
【0069】かくして得られた製品は、スェード調タッ
チであり、人体摩擦帯電圧は3KV以下で、かつ電撃は
なかったが、耐光性は表1に示したように劣るものであ
った。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、少量の極細導電性繊維
の混繊で極めて低い人体帯電圧が得られ、かつ電撃のな
い、耐光性に優れた高強力で風合、タッチ、高級感に優
れたスェード調感覚のカーシート素材の提供を可能とす
るものである。
【0072】さらに、このように優れた制電効果を有し
ているため、衣料用分野および家具類、その他従来の人
工皮革を用いて制電性が欠陥とされていた分野に展開可
能となるものである。

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】立毛形成繊維が導電性微粒子を含有した電
    気比抵抗が104 Ωcm以下、繊度が1デニール以下の極
    細導電性繊維と極細原着非導電性繊維とからなり、これ
    らの繊維が編織物と三次元交絡し、立毛面において該極
    細導電性繊維と極細原着非導電性繊維が混繊した状態で
    存在し、編織物を貫通し裏面に露出した前記極細導電性
    繊維が導電性材料を含有した樹脂と接着されており、か
    つ、立毛形成繊維中の前記極細導電性繊維の占める割合
    が0.5重量%以上、前記導電性材料含有率が3〜30
    g/m2 であることを特徴とする耐光性および制電性に
    優れた立毛シート状物。
  2. 【請求項2】極細導電性繊維が芯鞘型構造を有し、鞘成
    分が顔料原着されてなり(以下、極細原着導電性芯鞘型
    繊維と呼称する)、芯/鞘成分比率が5/95〜60/
    40重量%であることを特徴とする請求項1記載の耐光
    性および制電性に優れた立毛シート状物。
  3. 【請求項3】極細原着導電性芯鞘型繊維と極細原着非導
    電性繊維が介在成分により結束されてなる3成分系複合
    繊維から形成されたものであり、かつ、介在成分除去後
    の極細原着導電性芯鞘型繊維の割合が0.5重量%以上
    であることを特徴とする請求項2記載の耐光性および制
    電性に優れた立毛シート状物。
  4. 【請求項4】3成分系複合繊維の介在成分が熱水および
    /または弱アルカリ性で溶解可能な繊維形成性ポリマー
    であることを特徴とする請求項3記載の耐光性および制
    電性に優れた立毛シート状物。
  5. 【請求項5】導電性材料が難燃剤を含有していることを
    特徴とする請求項1、2、3または4記載の耐光性およ
    び制電性に優れた立毛シート状物。
  6. 【請求項6】温湿度10℃、30%における人体摩擦帯
    電圧が3KV以下であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4または5記載の耐光性および制電性に優れた
    立毛シート状物。
  7. 【請求項7】請求項1、2、3、4、5または6記載の
    耐光性および制電性に優れた立毛シート状物において、
    該立毛シート状物が、高分子弾性重合体が付与されたも
    のであることを特徴とする耐光性および制電性に優れた
    立毛シート状物。
  8. 【請求項8】高分子弾性重合体が極細原着非導電性繊維
    と同系色に顔料着色されてなることを特徴とする請求
    記載の耐光性および制電性に優れた立毛シート状物。
  9. 【請求項9】編織物が制電性繊維を混繊したものである
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7ま
    たは8記載の耐光性および制電性に優れた立毛シート状
    物。
  10. 【請求項10】編織物が、撚数500T/m以上、40
    00T/m以下の強撚糸より構成された強撚編織物であ
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8または9記載の耐光性および制電性に優れた立毛
    シート状物。
  11. 【請求項11】高分子弾性重合体が、難燃性を有したも
    のであることを特徴とする請求項7、8、9または10
    記載の耐光性および制電性に優れた立毛シート状物。
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