JP3027286B2 - 薄膜el素子の製造方法 - Google Patents
薄膜el素子の製造方法Info
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Description
デバイスとして用いられている薄膜EL(Electro Lumin
escence)素子の製造方法に関するものである。
られている薄膜ELパネルは、初期発光が不安定で、時
間の経過に伴い発光閾電圧が高電圧側に10〜20V移
動するため、20〜40時間かけて初期エージングを行
い安定化させる必要がある。したがって、薄膜ELパネ
ルの製造プロセスにおいては、このような長時間にわた
る初期エージングにより、量産性の低下が招来されると
共に、長期信頼性にも欠けるという問題がある。そこ
で、従来では、薄膜ELパネルの製造工程において、予
め発光層に安定化処理を行うことが提案されており、例
えば特公平3−24756号、特開昭61−47096
号、特開平2−306589、特開平2−306590
号、特開平2−306593号、および特開平5−41
284号の各公報には、このような安定化処理として、
酸素雰囲気中で発光層表面に酸化処理あるいは酸素プラ
ズマ処理を行う方法が開示されている。
講演予稿集(1987)p882には、発光層を熱処理
することにより、発光輝度および発光効率を向上させる
方法が開示されている。
として上記のような酸化処理を行うと、短時間で発光特
性を安定化することが可能であるため、初期エージング
に要する時間が短縮され、量産性および長期信頼性も向
上できるが、エージングの初期段階から発光閾電圧が高
電圧化するため、薄膜ELパネルの駆動電圧が高くなる
という問題が生じる。
的として熱処理を行った場合には、発光特性を短時間で
安定化させることができないため、これにより量産性の
低下を招来するものとなる。
わせた安定化処理を、上記発光層に施すことが考えられ
るが、単にこれらの処理を組み合わせただけでは、双方
の処理による効果が十分発揮されず、初期エージング時
間の短縮化と発光閾電圧の低電圧化との両方の効果を得
ることはできない。
ものであって、その目的は、発光層の安定化処理として
酸化処理と熱処理との両方を行う場合に、各処理を行う
順序、さらには条件等を最適に設定することにより、発
光閾電圧の高電圧化を招来することなく、発光特性を短
時間で安定させ、量産性および長期信頼性を向上できる
薄膜EL素子の製造方法を提供することにある。
膜EL素子の製造方法は、上記の課題を解決するため
に、基板上に透明電極、発光層、および背面電極を順次
形成する薄膜EL素子の製造方法において、上記発光層
の形成後、真空中あるいは不活性ガス雰囲気中でこの発
光層に対して熱処理を行い、さらに、熱処理後の発光層
表面に対して酸素雰囲気中あるいは酸素を含む雰囲気中
で酸化処理を行うことを特徴としている。
の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1
記載の薄膜EL素子の製造方法において、上記熱処理
は、基板温度400〜900℃の範囲で行うことを特徴
としている。また、請求項3の発明に係る薄膜EL素子
の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1
記載の薄膜EL素子の製造方法において、上記熱処理
は、基板温度450〜650℃の範囲で行うことを特徴
としている。
の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1
から3の何れか1項に記載の薄膜EL素子の製造方法に
おいて、上記酸化処理は、基板温度250〜450℃の
範囲で行うことを特徴としている。また、請求項5の発
明に係る薄膜EL素子の製造方法は、上記の課題を解決
するために、請求項1から3の何れか1項に記載の薄膜
EL素子の製造方法において、上記酸化処理は、基板温
度325〜350℃の範囲で行うことを特徴としてい
る。
の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1
から5の何れか1項に記載の薄膜EL素子の製造方法に
おいて、上記酸化処理は、酸素分圧1×102 〜1×1
05 Paの範囲で行うことを特徴としている。
の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1
から6の何れか1項に記載の薄膜EL素子の製造方法に
おいて、上記酸化処理は、処理時間10分〜3時間の範
囲で行うことを特徴としている。また、請求項8の発明
に係る薄膜EL素子の製造方法は、上記の課題を解決す
るために、請求項1から6の何れか1項に記載の薄膜E
L素子の製造方法において、上記酸化処理は、処理時間
30分〜1時間の範囲で行うことを特徴としている。
対して、まず真空中あるいは不活性ガス雰囲気中で熱処
理を行い、さらに、酸素雰囲気中あるいは酸素を含む雰
囲気中で酸化処理を行うものである。上記酸化処理で
は、例えば発光層としてZnSが用いられている場合、
発光層表面のS欠陥をO原子が穴埋めすることによっ
て、発光層の組成比ずれが補正されると考えられてお
り、これにより、発光特性の安定化に要する時間が短縮
される。ところで、酸化処理後に駆動電圧の低電圧化を
目的として熱処理を行う場合には、熱処理時の温度が高
すぎると酸化処理により得られる効果は損なわれるた
め、熱処理時の基板温度に制限を受けることになる。一
方、熱処理は、温度が高いほど、発光閾電圧の低減、発
光輝度の向上等の効果が大きい。そこで、上記の方法に
より、酸化処理を行う前に熱処理を行うことにより、酸
化処理後に熱処理を行う場合と比較して、熱処理時の基
板温度をさらに高温領域、例えば請求項2記載のように
400〜900℃の範囲、好ましくは請求項3記載のよ
うに450〜650℃の範囲に設定することが可能であ
る。
能になることにより、初期エージング時間の短縮および
薄膜EL素子における駆動電圧の低減を実現できると共
に、さらに、発光輝度を向上させることが可能である。
4記載のように基板温度を250〜450℃の範囲、好
ましくは請求項5記載のように基板温度を325〜35
0℃の範囲に、請求項6記載のように、酸素分圧を1×
102 〜1×105 Paの範囲に、請求項7記載のよう
に処理時間を10分〜3時間の範囲、好ましくは請求項
8記載のように処理時間を30分〜1時間の範囲にそれ
ぞれ設定することにより、薄膜EL素子における発光特
性、量産性等に関してより優れた作用を得ることが可能
である。
Lパネル(薄膜EL素子)は、図4に示すように、ガラ
ス基板1上に、ITO(Indium Tin Oxide)膜からなる透
明電極層2、Si3 N4 /SiO2 からなる第1絶縁層
3、ZnS:Mnからなる黄色発光層4、Si3 N4 /
SiO2 からなる第2絶縁層5、およびAlからなる背
面電極層6の計五層が順次形成された構造である。
しない交流電源に接続されており、これにより薄膜EL
パネルに駆動電圧が印加される。駆動電圧が印加される
と、発光層4内に発生した電界によって伝導帯に励起さ
れ、かつ加速されて十分なエネルギーを得た電子が、発
光層4に添加されたMn発光中心に衝突励起し、励起さ
れたMn発光中心が基底状態に戻る際に黄色の光を放射
するようになっている。
は、まず始めに、例えばスパッタ法や電子ビーム蒸着法
等の薄膜形成法により、ガラス基板1上にITO膜から
なる膜厚200nmの透明電極層2を形成し、続いて同
様の薄膜形成方法により、上記透明電極層2上にSi3
N4 /SiO2 からなる膜厚200nmの第1絶縁層3
を形成する。尚、上記透明電極層2には、上記ITOの
他にZnO:Al等を用いることができる。また、絶縁
層3には、SiO2 やAl2 O3 等を用いることが可能
である。
としてのZnSに添加された発光層4を、電子ビーム蒸
着法等の薄膜形成法等により上記第1絶縁層3上に膜厚
800nmで形成する。この発光層4には、ZnS、S
rS、CaS等のII−VI族半導体母材に、Sm、Tm、
Pr等の希土類元素やMnなどの遷移金属元素、その他
Al、Ag、Cl等の元素を添加したものが用いられ
る。
理として酸化処理および熱処理を行う。この安定化処理
を行う際の最適な条件設定については、後に詳しく説明
する。安定化処理を行った後は、第1絶縁層3と同様の
方法および材料を用いて、上記発光層4上に膜厚200
nmの第2絶縁層5を形成し、さらにAlからなる膜厚
150nmの背面電極層6を形成して、薄膜ELパネル
を完成させる。
ネルにおける発光輝度−印加電圧特性には、閾値現象が
存在し、印加電圧をある値以上にすると発光輝度は急激
に増大し、さらに印加電圧を上昇させると飽和傾向を示
す。ところが、薄膜ELパネルを所定時間動作させた後
では、作製した直後と比較して、発光閾電圧が高電圧側
に移動する。そこで、安定した発光閾電圧が得られるよ
うに、作製直後の薄膜ELパネルには、初期エージング
という動作が所定時間行われる。
ELパネルの駆動電圧は、上記安定化処理をどのような
順序および条件で行うかによって左右される。そこで、
安定化処理の最適条件を見出すため、上記熱処理におけ
る基板温度や、酸化処理における設定条件を変えて、そ
れぞれ安定化処理を行い、各々薄膜ELパネルを作製し
た。
景について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下
の通りである。 表1には、A〜Eの五通りの方法で、各
々安定化処理を行い、薄膜ELパネルを作製した例を示
しており、また、各安定化処理A〜Eにより、初期エー
ジング時間の短縮化および発光閾電圧の低電圧化の効果
が得られたか否かを示している。
酸素処理のみを行った従来の方法、安定化処理B・C
は、酸素処理とその後の熱処理とを組み合わせた方法で
あり、安定化処理Bにおける熱処理時の基板温度は63
0℃、安定化処理Cにおける熱処理時の基板温度は45
0℃である。また、安定化処理Dは、酸素プラズマ処理
とその後の熱処理(基板温度450℃)とを組み合わせ
た方法、安定化処理Eはオゾン処理とその後の熱処理
(基板温度450℃)とを組み合わせた方法である。
は、いずれも同一の酸素処理条件(酸素分圧1000P
a・基板温度325℃・1時間)でそれぞれ行った。ま
た、安定化処理Bでは、酸素処理後に熱処理条件(真空
中1×10-4Pa・基板温度630℃・1時間)で熱処
理を行い、安定化処理Cでは、酸素処理後に熱処理条件
(真空中1×10-4Pa・基板温度450℃・1時間)
で、熱処理を行った。
より得られた各薄膜ELパネルが、500Hzエージン
グに対して有する発光閾電圧とエージング時間との関係
を示すものである。また、図2のグラフは、上記安定化
処理A〜Cにより得られた各薄膜ELパネルの印加電圧
と発光輝度との関係を示すものである。
に、安定化処理Aを行った薄膜ELパネル(従来)は、
500Hzエージングに対して短時間で発光特性が安定
化し、初期エージング時間の短縮化を実現できるが、発
光閾電圧の高電圧化が見られる。尚、ここでいう発光閾
電圧とは、発光輝度が1ft−L(フートランバート)
のときの印加電圧である。すなわち、酸素処理のみを安
定化処理として行う前記従来の方法では、このような発
光閾電圧の高電圧化が問題となっていた。
安定化処理B・Cを行った薄膜ELパネルでは、いずれ
も輝度特性を損なうことなく、発光閾電圧の低電圧化を
実現できる。また、発光特性の安定化については、Bの
場合には、初期エージング時間が長くなるという問題が
生じるのに対して、Cの場合には、Aの場合と略同様
に、短時間で発光特性が安定化し、初期エージング時間
を短縮できる。
合には、発光閾電圧の低電圧化が実現できても、初期エ
ージング時間を短縮できず、量産性および長期信頼性が
低下するが、450℃で熱処理を行ったCの場合には、
発光閾電圧の低電圧化を実現できると共に、初期エージ
ング時間が短縮され、量産性および長期信頼性を向上で
きる。
るほど輝度向上の効果が大きいが、550℃を超える
と、酸化処理による初期エージング時間の短縮効果が急
激に低減するため、基板温度が400〜550℃の範囲
にあることが望ましく、より好ましくは、450〜50
0℃の範囲である。尚、上記の熱処理は、必ずしも真空
中で行う必要はなく、不活性ガス中であっても良い。
素雰囲気中で行う必要はなく、酸素と不活性ガスとの混
合ガス中、あるいは大気中で行っても良いが、酸素分圧
1×102 〜1×105 Pa下で、基板温度250〜4
50℃、より好ましくは300〜350℃の範囲で行う
ことが望ましい。さらに、酸化処理は、発光層4を形成
した後、第2絶縁層5を形成する前に行う必要がある
が、熱処理は、酸化処理以後なら、第2絶縁層5および
Al背面電極層6の形成後に行っても良い。
薄膜ELパネルが、500Hzエージングに対して有す
る発光閾電圧とエージング時間との関係をそれぞれ示す
グラフである。尚、安定化処理Dは、酸素プラズマ雰囲
気中で酸素プラズマ処理(酸素分圧1Pa・投入電力5
00W・基板温度250℃・10分)を行った後、前記
安定化処理Cと同様の条件で熱処理を行う方法であり、
安定化処理Eは、オゾン雰囲気中でオゾン処理(オゾン
分圧10Pa・オゾン流量1リットル/min・基板温
度250℃・30分)を行った後、前記安定化処理Cと
同様の条件で熱処理を行う方法である。また、比較のた
め、このグラフには、熱処理を含まない前記安定化処理
Aを行った場合についても図示している。
理D・Eを行った場合には、安定化処理Aを行った場合
と比較して、いずれも、初期エージング時間の短縮効果
を損なうことなく、発光閾電圧を低電圧化することが可
能である。
×10-3〜1×103 Paの酸素プラズマ雰囲気中、あ
るいは酸素と不活性ガスとの混合ガスのプラズマ雰囲気
中で行うことが望ましく、また、基板温度は150〜4
50℃、より好ましくは250〜300℃の範囲で行う
ことが望ましい。また、オゾン処理は、オゾン分圧1×
10-3〜1×104 Paのオゾン雰囲気中、あるいはオ
ゾンと不活性ガスとの混合ガス雰囲気中で行うことが望
ましく、また、基板温度は150〜450℃、より好ま
しくは250℃〜300℃の範囲で行うことが望まし
い。
性な酸素を用いて酸化処理を行うものなので、酸化処理
温度を低く設定することが可能であり、発光層形成温度
(例えば200〜300℃)でも酸化処理が十分可能で
ある。したがって、発光層を形成した温度のままで連続
して酸化処理ができるという長所がある。
を行った後、熱処理を行うことにより、初期エージング
時間の短縮による量産性および長期信頼性の向上等、酸
化処理による効果を損なうことなく、発光閾電圧の低電
圧化による駆動電圧の低減等、熱処理による効果を得る
ことが可能になる。以上で説明した薄膜EL素子の製造
方法は、基板上に透明電極、発光層、および背面電極を
順次形成する薄膜EL素子の製造方法において、上記発
光層を形成した後、この発光層表面に対して酸素雰囲気
中あるいは酸素を含む雰囲気中で酸化処理を行い、さら
に、真空中あるいは不活性ガス雰囲気中で上記酸化処理
後の発光層に対して基板温度400〜550℃の範囲で
熱処理を行うことを特徴としている。 また、上記酸化処
理が、酸素プラズマ雰囲気中あるいは酸素と不活性ガス
との混合ガスのプラズマ雰囲気中で行う酸素プラズマ処
理であることを特徴としている。 あるいは、上記酸化処
理が、オゾン雰囲気中あるいはオゾンと不活性ガスとの
混合ガスの雰囲気中で行うオゾン処理であることを特徴
としている。 上記の方法では、基板に形成した発光層に
対して、まずその表面を酸素雰囲気中あるいは酸素を含
む雰囲気中で酸化処理し、その後、上記発光層に対して
基板温度400〜550℃の範囲で熱処理を行うように
なっている。上記酸化処理では、例えば発光層としてZ
nSが用いられている場合、発光層表面のS欠陥をO原
子が穴埋めすることによって、発光層の組成比ずれが補
正されると考えられており、これにより、発光特性の安
定化に要する時間が短縮される。 このような酸化処理後
に駆動電圧の低電圧化を目的として熱処理を行う場合、
熱処理時の温度が高すぎると、酸化処理により得られる
効果は損なわれる。そこで、このような順序で処理を行
う際の熱処理時の基板温度を400〜500℃の範囲に
設定することにより、酸化処理による初期エージング時
間の短縮効果を損なうことなく、発光閾電圧の低電圧化
を実現することが可能になり、結果として、薄膜EL素
子の量産性および長期信頼性を向上できると共に、駆動
電圧を低減することが可能である。 また、上記酸化処理
を、酸素プラズマ雰囲気中あるいは酸素と不活性ガスと
の混合ガスのプラズマ雰囲気中で行う、または、オゾン
雰囲気中あるいはオゾンと不活性ガスとの混合ガスの雰
囲気中で行うと、活性な酸素により酸化処理することに
なるので、純酸素雰囲気中もしくは大気中等において酸
化処理を行う場合と比較して、処理温度を低く設定する
ことが可能である。したがって、発光層形成温度(例え
ば200〜300℃)でも酸化処理を実施することが可
能であり、発光層形成時の温度のままで連続して酸化処
理を行える。その結果、製造プロセスを簡略化できると
いう効果を奏する。
て説明すれば、以下の通りである。尚、説明の便宜上、
前述の図面に示した部材と同一の機能を有する部材に
は、同一の符号を付記し、その説明を省略する。本実施
例の製造方法により作製された薄膜ELパネルは、前述
の構造を有しているが、その製造工程において発光層に
対して行われる安定化処理が、上記の場合とは異なって
いる。
酸化処理を行った後、熱処理を行ったのに対し、本実施
例における安定化処理では、まず、熱処理を行った後、
酸化処理を行う。ここで、安定化処理として酸素処理の
みを行う従来の方法(A)と、酸化処理、熱処理の順序
で安定化処理を行う方法(B)と、熱処理、酸素処理の
順序で安定化処理を行う本実施例の方法(F)との比較
を行うため、ガラス基板上に透明電極、第1絶縁層、発
光層を順次形成した後、この発光層に対して、表2に示
すように、上記三通りの方法に対応する安定化処理を行
って、薄膜ELパネルを作製した。また、表2には、各
方法により作製された各薄膜ELパネルについて、発光
閾電圧の低電圧化、初期エージング時間の短縮化、およ
び発光輝度の効果が得られたか否かを示す。
素処理(酸化処理)は、いずれも同様の酸素処理条件
(酸素分圧1000Pa・基板温度325℃・1時間)
で行い、安定化処理B・Fにおける熱処理は、いずれも
同様の熱処理条件(真空中1×10-4Pa・基板温度6
30℃・1時間)で行った。
ぞれ実施して作製した薄膜ELパネルが、それぞれ50
0Hzエージングに対して有する発光閾電圧とエージン
グ時間との関係を示すグラフである。また、図6は、上
記各薄膜ELパネルにおける発光輝度と印加電圧との関
係を示すグラフである。
処理のみを行ったAの場合には、500Hzエージング
に対して比較的短時間で発光特性が安定化するが、発光
閾電圧の高電圧化が見られる。また、酸素処理の後に6
30℃で熱処理を行ったBの場合には、発光閾電圧は低
電圧化するが、発光特性を安定化させるのに時間がかか
り、初期エージング時間を短縮できない。一方、630
℃で熱処理を行った後に酸素処理を施したFの場合に
は、初期エージング時間の短縮化が可能になると共に、
発光閾電圧の低電圧化、発光輝度の向上が可能である。
の場合には、630℃で熱処理を行うと初期エージング
時間が長くなるという問題があったが、熱処理の後に酸
素処理を行うFの場合には、630℃で熱処理を行って
ても、初期エージング時間が延長されることはなく、ま
た、発光閾電圧の低電圧化も実現できる。したがって、
酸素処理の後に熱処理を行うことにより、より高温領域
での熱処理が可能となり、初期エージング時間の短縮化
による量産性、長期信頼性の向上等、酸化処理による効
果を損なうことなく、発光閾電圧の低電圧化による駆動
電圧の低減、発光輝度の向上等、熱処理による効果を十
分に得ることができる。
通りに温度を設定してそれぞれ熱処理を行った後、酸素
処理を行い、これにより作製された各薄膜ELパネルに
ついて、初期エージング時間の短縮化、発光閾電圧の低
電圧化、および発光輝度の向上の効果が得られるか否か
を検討した。尚、630℃は、無アルカリガラス基板を
使用した場合の耐熱限界温度付近である。また、温度以
外の熱処理条件は、真空中1×10-4Pa・1時間と
し、酸素処理条件は、酸素分圧1000Pa・基板温度
325℃・1時間とした。
電圧との関係を熱処理の温度ごとに示している。このグ
ラフから明らかなように、上記三通りのいずれの温度で
も、発光特性は比較的短時間で安定化するが、300℃
の基板温度では、発光閾電圧の低電圧化は実現できない
ことがわかる。また、図8のグラフは、印加電圧と発光
輝度との関係を熱処理の温度ごとに示している。このグ
ラフから明らかなように、発光輝度は、熱処理温度が高
いほど向上している。したがって、基板の限界温度に近
い630℃で熱処理を行うことにより、初期エージング
時間、発光閾電圧、および発光輝度のいずれについても
良好な結果が得られることがわかる。
上であれば、温度が高くなる程、発光閾電圧の低電圧化
および発光輝度の向上等の効果が大きいが、900℃以
上になると、ZnSを母材として用いている発光層の硫
黄抜けが生じ、再び発光輝度特性が劣化するので好まし
くない。したがって、上記熱処理の温度は、400〜9
00℃が好ましいが、通常薄膜ELパネルに用いられる
無アルカリガラス基板の耐熱限界温度が約650℃であ
ることを考慮すると、450〜650℃であることが望
ましく、その中でも特に、610〜640℃の範囲にあ
ることが最も望ましい。
いて検討を行った。すなわち、真空中1×10-4Pa・
基板630℃・1時間の条件で熱処理を行った後、温
度、酸素分圧、時間をそれぞれ異なる値に設定して酸素
処理を行い、各々薄膜ELパネルを作製して、発光閾電
圧の安定化に要する時間を比較した。
存性を示すものであり、300℃、325℃、350
℃、375℃、および400℃の五通りの温度を設定
し、酸素分圧1000Paでそれぞれ1時間酸素処理を
行った各薄膜ELパネルについて、各々エージング時間
と発光閾電圧との関係を示している。尚、このグラフに
は、熱処理のみを安定化処理として行い酸素処理を行わ
なかった薄膜ELパネルの場合についても参考のために
示している。
350℃の範囲で酸素処理を行ったときに、発光閾電圧
の高電圧化が最も少なく、かつ発光閾電圧が短時間で安
定している。これに対し、375℃および400℃で酸
素処理を行った場合には、全体的に高い発光閾電圧が必
要になり、反対に300℃で酸素処理を行った場合に
は、発光閾電圧の高電圧化が見られる。しかしながら、
300〜400℃のいずれの場合にも、未処理の場合と
比較して、発光特性の安定化に要する時間は短縮でき
る。
の範囲で行うことにより効果が得られることが、既に特
公平3−24756号公報に開示されているが、上記の
結果より、発光閾電圧の高電圧化を伴わず、発光閾電圧
を短時間で安定化させるには、250〜450℃の範囲
で行うのが好ましく、特に325〜350℃の範囲が望
ましいことがわかる。
る酸素分圧の依存性を示すものであり、酸素分圧を1×
102 Pa、1×103 Pa、1×104 Pa、1×1
05Paの四通りに設定し、他の条件は同じにして酸素
処理を行った薄膜ELパネルについて、エージング時間
と発光閾電圧との関係を示している。尚、このグラフに
は、熱処理のみを安定化処理として行い酸素処理を行わ
なかった薄膜ELパネルの場合についても参考のために
示している。
2 〜1×105 Paのいずれの酸素分圧で処理を行った
場合でも、未処理の場合と比較して、発光閾電圧の高電
圧化の割合が少なく、発光閾電圧が短時間で安定した。
つまり、上記の酸素処理においては、酸素分圧に依ら
ず、発光閾電圧の安定化効果が得られる。しかしなが
ら、圧力が1×105 Pa以上になると、酸素処理の効
果は期待できるが、熱処理炉の内部が陽圧になるので、
あまり実用的でない。これにより、酸素処理中の酸素分
圧は、1×102 〜1×105 Paの範囲にあることが
望ましい。
る処理時間の依存性を示すものであり、処理時間を10
分、30分、1時間、及び3時間の四通りに設定し、酸
素分圧1×103 Pa、325℃でそれぞれ酸素処理を
行った各薄膜ELパネルについて、各々エージング時間
と発光閾電圧との関係を示している。尚、このグラフに
は、熱処理のみを安定化処理として行い酸素処理を行わ
なかった薄膜ELパネル、すなわち酸素処理時間が0分
の場合についても参考のために示している。
3時間の処理範囲では、未処理の場合に比べて、発光閾
電圧が高電圧化する割合を低減できる。特に、処理時間
が30分〜1時間の場合に、発光閾電圧における高電圧
化の抑制効果が大きく、発光閾電圧の低電圧化について
も顕著な効果が得られるので、30分〜1時間が処理時
間の最適条件であることがわかる。また、処理時間が1
0分では、発光閾電圧が高電圧化する割合が若干大きく
なり、発光特性の安定にも時間を要するので、10分未
満では、酸素処理不足になる。また、処理時間が3時間
を超えると、発光閾電圧が高電圧化する割合は小さい
が、高い発光閾電圧が必要になり、酸素処理過多にな
る。つまり、発光閾電圧の高電圧化を抑制し、発光閾電
圧を短時間で安定させるには、10分〜3時間、最も好
ましくは30分〜1時間の範囲で酸素処理を行うことが
望ましい。
発光層に対して、真空中1×10−4Pa・630℃・
1時間の条件で熱処理を行った後、酸素分圧1×10
2 〜1×105 Pa・325〜350℃・30分〜1
時間の条件で酸素処理を行うことが、安定化処理の最適
条件であることがわかった。この条件下で安定化処理を
行うことにより、発光閾電圧を低電圧化できると共に、
初期エージング時間を約5時間まで短縮できる。
条件としては、必ずしも真空中に限定されるものではな
く、不活性ガス中であっても良い。また、熱処理後に行
われる酸素処理は、必ずしも純酸素雰囲気中である必要
はなく、酸素と不活性ガスとの混合ガス中もしくは大気
中であってもよい。
適当な制御によって、印加電圧の昇圧過程と降圧過程と
で異なった発光輝度−印加電圧特性を示すヒステリシス
メモリ効果を薄膜ELパネルに付与させた場合において
も、メモリ効果の特性値を安定化するために、初期エー
ジングを行う必要があるので、前記背景説明や本実施例
における安定化処理を適用することにより、同様の効果
を得ることが可能である。
造方法は、以上のように、発光層の形成後、真空中ある
いは不活性ガス雰囲気中でこの発光層に対して熱処理を
行い、さらに、熱処理後の発光層表面に対して、酸素雰
囲気中あるいは酸素を含む雰囲気中で酸化処理を行う方
法である。
の製造方法は、以上のように、熱処理は、基板温度40
0〜900℃の範囲で行うものである。また、請求項3
の発明に係る薄膜EL素子の製造方法は、以上のよう
に、熱処理は、基板温度450〜650℃の範囲で行う
ものである。
光閾電圧の低減、発光輝度の向上等の効果が大きいの
で、酸化処理を行う前に熱処理を行うことにより、酸化
処理後に熱処理を行う場合と比較して、熱処理時の基板
温度をさらに高温領域、例えば請求項2記載のように4
00〜900℃の範囲、好ましくは請求項3記載のよう
に450〜650℃の範囲に設定することが可能にな
り、初期エージング時間の短縮および薄膜EL素子にお
ける駆動電圧の低減を実現できると共に、さらに、発光
輝度を向上させることが可能になるという効果を奏す
る。
の製造方法は、以上のように、酸化処理は、基板温度2
50〜450℃の範囲で行うものである。また、請求項
5の発明に係る薄膜EL素子の製造方法は、以上のよう
に、酸化処理は、基板温度325〜350℃の範囲で行
うものである。
の製造方法は、以上のように、上記酸化処理は、酸素分
圧1×102 〜1×105 Paの範囲で行うものであ
る。
の製造方法は、以上のように、酸化処理は、処理時間1
0分〜3時間の範囲で行うものである。また、請求項8
の発明に係る薄膜EL素子の製造方法は、以上のよう
に、酸化処理は、処理時間30分〜1時間の範囲で行う
ものである。
素分圧、処理時間等を上記のようにそれぞれ設定するこ
とにより、薄膜EL素子における発光特性、量産性等に
関してより優れた効果を得ることが可能である。
薄膜ELパネルの発光閾電圧とエージング時間との関係
をそれぞれ示すグラフである。
関係をそれぞれ示すグラフである。
時間との関係をそれぞれ示すグラフである。
れた薄膜ELパネルを示す断面図である。
作製された薄膜ELパネルの発光閾電圧とエージング時
間との関係をそれぞれ示すグラフである。
関係を示すグラフである。
温度を変えて作製した薄膜ELパネルの発光閾電圧とエ
ージング時間との関係をそれぞれ示すグラフである。
ルの発光輝度と印加電圧との関係をそれぞれ示すグラフ
である。
理温度を変えて作製した薄膜ELパネルの発光閾電圧と
エージング時間との関係をそれぞれ示すグラフである。
膜ELパネルの発光閾電圧とエージング時間との関係を
それぞれ示すグラフである。
膜ELパネルの発光閾電圧とエージング時間との関係を
それぞれ示すグラフである。
Claims (8)
- 【請求項1】基板上に透明電極、発光層、および背面電
極を順次形成する薄膜EL素子の製造方法において、 上記発光層の形成後、真空中あるいは不活性ガス雰囲気
中でこの発光層に対して熱処理を行い、さらに、熱処理
後の発光層表面に対して酸素雰囲気中あるいは酸素を含
む雰囲気中で酸化処理を行うことを特徴とする薄膜EL
素子の製造方法。 - 【請求項2】上記熱処理は、基板温度400〜900℃
の範囲で行うことを特徴とする請求項1記載の薄膜EL
素子の製造方法。 - 【請求項3】上記熱処理は、基板温度450〜650℃
の範囲で行うことを特徴とする請求項1記載の薄膜EL
素子の製造方法。 - 【請求項4】上記酸化処理は、基板温度250〜450
℃の範囲で行うことを特徴とする請求項1から3の何れ
か1項に記載の薄膜EL素子の製造方法。 - 【請求項5】上記酸化処理は、基板温度325〜350
℃の範囲で行うことを特徴とする請求項1から3の何れ
か1項に記載の薄膜EL素子の製造方法。 - 【請求項6】上記酸化処理は、酸素分圧1×102 〜1
×105 Paの範囲で行うことを特徴とする請求項1か
ら5の何れか1項に記載の薄膜EL素子の製造方法。 - 【請求項7】上記酸化処理は、処理時間10分〜3時間
の範囲で行うことを特徴とする請求項1から6の何れか
1項に記載の薄膜EL素子の製造方法。 - 【請求項8】上記酸化処理は、処理時間30分〜1時間
の範囲で行うことを特徴とする請求項1から6の何れか
1項に記載の薄膜EL素子の製造方法。
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KR100546594B1 (ko) * | 2002-11-05 | 2006-01-26 | 엘지전자 주식회사 | 유기 el 소자의 리페어 장치 및 방법 |
CN1736129B (zh) | 2003-01-10 | 2010-06-16 | 株式会社半导体能源研究所 | 发光元件及其制作方法 |
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